JP2001198828A - 耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法Info
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- JP2001198828A JP2001198828A JP2000012014A JP2000012014A JP2001198828A JP 2001198828 A JP2001198828 A JP 2001198828A JP 2000012014 A JP2000012014 A JP 2000012014A JP 2000012014 A JP2000012014 A JP 2000012014A JP 2001198828 A JP2001198828 A JP 2001198828A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】この発明は、ステンレス鋼の塩分環境下におけ
る孔食、全面腐食等への耐食性をショットブラスト法に
より改善する方法を提供する。 【解決手段】ステンレス鋼の表面に圧縮応力を付与し、
引張応力を緩和させるショットピーニング加工におい
て、ブラスト材としてジルコニア系ショットを用い、更
に必要に応じて該ショット材の靭性を向上させるため、
イットリア、セリア、カルシア、マグネシアのうち少な
くともひとつを含有し、卵型や、楕円球或いは長円球等
の略球状で、粒度を０．１〜１０ｍｍφとし、回転投射
法、エアー吸引法、加圧式ブラスト法によりショットピ
ーニング加工を行なう。
る孔食、全面腐食等への耐食性をショットブラスト法に
より改善する方法を提供する。 【解決手段】ステンレス鋼の表面に圧縮応力を付与し、
引張応力を緩和させるショットピーニング加工におい
て、ブラスト材としてジルコニア系ショットを用い、更
に必要に応じて該ショット材の靭性を向上させるため、
イットリア、セリア、カルシア、マグネシアのうち少な
くともひとつを含有し、卵型や、楕円球或いは長円球等
の略球状で、粒度を０．１〜１０ｍｍφとし、回転投射
法、エアー吸引法、加圧式ブラスト法によりショットピ
ーニング加工を行なう。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面改質方法を改
良したステンレス鋼の製造方法に係り、特にショットブ
ラストにより塩化物の多い環境で優れた耐食性を発揮す
るステンレス鋼の製造方法及びステンレス鋼製構造物に
関する。
良したステンレス鋼の製造方法に係り、特にショットブ
ラストにより塩化物の多い環境で優れた耐食性を発揮す
るステンレス鋼の製造方法及びステンレス鋼製構造物に
関する。
【０００２】
【従来の技術】ステンレス鋼等を用いた金属製構造物
は、溶接などの加工が容易で、経済的に安価なことより
ボイラー、圧力容器、橋梁、水門、及び化学プラント等
の塔槽類等多くの構造物に用いられている。しかし、こ
れらのステンレス製構造物は、塩化物等の腐食性物質の
多い環境で使用すると、腐食が発生する場合のあること
が知られている。
は、溶接などの加工が容易で、経済的に安価なことより
ボイラー、圧力容器、橋梁、水門、及び化学プラント等
の塔槽類等多くの構造物に用いられている。しかし、こ
れらのステンレス製構造物は、塩化物等の腐食性物質の
多い環境で使用すると、腐食が発生する場合のあること
が知られている。
【０００３】腐食の形態は、全面腐食、孔食、粒界腐
食、隙間腐食、応力腐食割れ、金属疲労等が挙げられ、
これらは景観を損なうばかりではなく、腐食による肉厚
減少や腐食を起点とした割れ等により、構造物の強度低
下をきたすので、何らかの腐食対策が必要とされ、二相
ステンレスなどの高級ステンレス，防錆を目的とする表
面処理等様々な技術が提案されている。
食、隙間腐食、応力腐食割れ、金属疲労等が挙げられ、
これらは景観を損なうばかりではなく、腐食による肉厚
減少や腐食を起点とした割れ等により、構造物の強度低
下をきたすので、何らかの腐食対策が必要とされ、二相
ステンレスなどの高級ステンレス，防錆を目的とする表
面処理等様々な技術が提案されている。
【０００４】腐食対策技術の一つとして、金属の表面改
質技術であるショットブラスト加工があり、ショットブ
ラストのピーニング効果により圧縮応力を付与し、金属
部品の疲労強度を増し、応力腐食割れを防止する目的で
用いられている。一般には、鋳鉄又は鋳鋼製のショット
が主に使われているが、アルミナショット、ステンレス
ショット、ガラスショット等も用いられる場合がある。
従来、ステンレス鋼等の金属材料には、鋳鋼製ショッ
ト、ステンレスショットを用いて、ショット加工を施し
ていたが、特開平６−２４６６３７号公報では、熱疲労
阻止や応力腐食割れの防止を目的としてジルコニア系シ
ョットを用いた方法を提案している。
質技術であるショットブラスト加工があり、ショットブ
ラストのピーニング効果により圧縮応力を付与し、金属
部品の疲労強度を増し、応力腐食割れを防止する目的で
用いられている。一般には、鋳鉄又は鋳鋼製のショット
が主に使われているが、アルミナショット、ステンレス
ショット、ガラスショット等も用いられる場合がある。
従来、ステンレス鋼等の金属材料には、鋳鋼製ショッ
ト、ステンレスショットを用いて、ショット加工を施し
ていたが、特開平６−２４６６３７号公報では、熱疲労
阻止や応力腐食割れの防止を目的としてジルコニア系シ
ョットを用いた方法を提案している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかし、二相ステンレ
スは高価であり、熱影響により組織が変化する溶接部で
は耐食性が劣化する場合もある。又、防錆を目的とした
表面処理は環境、衛生上の問題点が指摘されている。す
なわち、ステンレス鋼の表面処理として、フッ酸―硝酸
溶液による酸洗等の薬液処理、酸性薬液を用いる電解洗
浄などが挙げられるが、これらの方法は有害な薬液を使
用し衛生面から十分な洗浄が必要で、また、大量の廃液
処理が必要である。更に、構造物への適用の場合大掛か
りな装置が必要とされる。
スは高価であり、熱影響により組織が変化する溶接部で
は耐食性が劣化する場合もある。又、防錆を目的とした
表面処理は環境、衛生上の問題点が指摘されている。す
なわち、ステンレス鋼の表面処理として、フッ酸―硝酸
溶液による酸洗等の薬液処理、酸性薬液を用いる電解洗
浄などが挙げられるが、これらの方法は有害な薬液を使
用し衛生面から十分な洗浄が必要で、また、大量の廃液
処理が必要である。更に、構造物への適用の場合大掛か
りな装置が必要とされる。
【０００６】そこで、本発明では比較的安価で簡便な表
面改質技術であるショットブラスト加工により、海岸地
域等塩化物等の腐食性物質を多く含む環境で長期間、有
効な耐食性が得られるステンレス鋼の表面改質技術を提
案する。
面改質技術であるショットブラスト加工により、海岸地
域等塩化物等の腐食性物質を多く含む環境で長期間、有
効な耐食性が得られるステンレス鋼の表面改質技術を提
案する。
【０００７】
【課題を解決するための手段】特開平６−２４６６３７
号公報には、金属の熱疲労阻止や応力腐食割れの防止を
目的としてジルコニア系ショットを用いた方法が提案さ
れ、実施例としてＳＵＳ３０４試験片を対象とし、加熱
された塩化マグネシウム溶液中における応力腐食割れ試
験において優れた結果の得られることが記載されてい
る。
号公報には、金属の熱疲労阻止や応力腐食割れの防止を
目的としてジルコニア系ショットを用いた方法が提案さ
れ、実施例としてＳＵＳ３０４試験片を対象とし、加熱
された塩化マグネシウム溶液中における応力腐食割れ試
験において優れた結果の得られることが記載されてい
る。
【０００８】しかし、応力腐食割れ試験は溶液に浸漬さ
れた状態における腐食を問題とするものであり、海岸地
域のように塩化物が表面に付着し、大気中で乾燥、湿潤
が交互に繰り返されるような腐食環境とは相違する。し
たがって、本発明で対象とするステンレス鋼における海
岸地域など塩化物環境下での孔食、溶接部の赤錆の発生
防止等の耐食性を推測することはできない。
れた状態における腐食を問題とするものであり、海岸地
域のように塩化物が表面に付着し、大気中で乾燥、湿潤
が交互に繰り返されるような腐食環境とは相違する。し
たがって、本発明で対象とするステンレス鋼における海
岸地域など塩化物環境下での孔食、溶接部の赤錆の発生
防止等の耐食性を推測することはできない。
【０００９】尚、ステンレス鋼の孔食は、ある種の陰イ
オン、特に塩化物イオンが存在すると、不働態皮膜が局
部的に破壊されて発生する。孔食は一般に数ｍｍ以内の
径を持ち深く、周辺部はほとんど腐食されず孔食が生じ
た部分だけが侵食されるため、景観を損なうだけでなく
貫通に至ることもある。一般に海岸地域等塩分の多い環
境で発生しやすいが、塩分は表面に付着して乾燥・濃縮
するため、塩分の少ない環境でも発生する。
オン、特に塩化物イオンが存在すると、不働態皮膜が局
部的に破壊されて発生する。孔食は一般に数ｍｍ以内の
径を持ち深く、周辺部はほとんど腐食されず孔食が生じ
た部分だけが侵食されるため、景観を損なうだけでなく
貫通に至ることもある。一般に海岸地域等塩分の多い環
境で発生しやすいが、塩分は表面に付着して乾燥・濃縮
するため、塩分の少ない環境でも発生する。
【００１０】本発明者等は、ショットブラスト加工にお
いて、種々の材質、寸法のブラスト材を用い、ステンレ
ス鋼の表面に圧縮応力の層を付与し、海岸地域における
長期の耐食性を検討した。その結果、ジルコニア系ショ
ットによるショットブラスト加工の優れていることを見
出したもので、本発明は得られた知見に更に検討を加え
てなされたものである。
いて、種々の材質、寸法のブラスト材を用い、ステンレ
ス鋼の表面に圧縮応力の層を付与し、海岸地域における
長期の耐食性を検討した。その結果、ジルコニア系ショ
ットによるショットブラスト加工の優れていることを見
出したもので、本発明は得られた知見に更に検討を加え
てなされたものである。
【００１１】すなわち本発明は １．ショットピーニング加工において、ジルコニア系シ
ョットを用いたことを特徴とする耐食性に優れたステン
レス鋼の製造方法。
ョットを用いたことを特徴とする耐食性に優れたステン
レス鋼の製造方法。
【００１２】２． 前記ジルコニア系ショットがイット
リア、セリア、カルシア、マグネシアのうち少なくとも
ひとつを含有した部分安定化ジルコニア質燒結体からな
り、略球状であることを特徴とする１記載の耐食性に優
れたステンレス鋼の製造方法。
リア、セリア、カルシア、マグネシアのうち少なくとも
ひとつを含有した部分安定化ジルコニア質燒結体からな
り、略球状であることを特徴とする１記載の耐食性に優
れたステンレス鋼の製造方法。
【００１３】３．前記ジルコニア系ショットの粒度が
０．１〜１０ｍｍφであることを特徴とする１又は２記
載の耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法。
０．１〜１０ｍｍφであることを特徴とする１又は２記
載の耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法。
【００１４】４．１乃至３の何れかに記載の方法によ
り、ショットピーニング加工したことを特徴とする耐食
性に優れたステンレス鋼製構造物。
り、ショットピーニング加工したことを特徴とする耐食
性に優れたステンレス鋼製構造物。
【００１５】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて詳細に説明する。本発明者等は、ステンレス鋼を対
象としたショットブラスト加工において、種々のショッ
ト材を用いてステンレス鋼の表面に圧縮応力を付与し、
海岸地域における長期の耐食性を検討した。試験期間は
5年とし、飛来塩分量は約０．３ｍｇ／ｄｍ2／ｄａｙで
あった。その結果、ジルコニア系ショット材が優れた耐
食性を示すことを見出したので、本発明ではショット材
をジルコニア系とする。特にイットリア、セリア、カル
シア、マグネシアのうち少なくともひとつを含有した部
分安定化ジルコニア質燒結体からなるものとする。これ
により、靭性を改善し、その形状を略球状のショット材
とした場合、優れた効果を示した。略球状とは卵型、楕
円球、長円球等の球状であるが、真円球であっても本発
明の効果は損なわれず、本発明では真円球を含むものと
する。
いて詳細に説明する。本発明者等は、ステンレス鋼を対
象としたショットブラスト加工において、種々のショッ
ト材を用いてステンレス鋼の表面に圧縮応力を付与し、
海岸地域における長期の耐食性を検討した。試験期間は
5年とし、飛来塩分量は約０．３ｍｇ／ｄｍ2／ｄａｙで
あった。その結果、ジルコニア系ショット材が優れた耐
食性を示すことを見出したので、本発明ではショット材
をジルコニア系とする。特にイットリア、セリア、カル
シア、マグネシアのうち少なくともひとつを含有した部
分安定化ジルコニア質燒結体からなるものとする。これ
により、靭性を改善し、その形状を略球状のショット材
とした場合、優れた効果を示した。略球状とは卵型、楕
円球、長円球等の球状であるが、真円球であっても本発
明の効果は損なわれず、本発明では真円球を含むものと
する。
【００１６】ジルコニア系ショット材は、ＺｒＯ2を主
成分とし、安定化剤（Ｙ2Ｏ3，ＭｇＯ，ＣａＯ，Ｄｙ2
Ｏ3,ＣｅＯ2など）を適量添加して焼成した正方晶を含
む部分安定化ジルコニアを用いるのが望ましい。ここ
で、ジルコニア結晶成分中の正方晶系ジルコニア量が５
０モル％以上含まれているものが、特に靭性や強度が高
いので望ましい。ジルコニア結晶成分中の正方晶系ジル
コニア量が５０モル％以上であるためには、例えば、安
定化剤がＹ2Ｏ3であれば、Ｙ2Ｏ3／ＺｒＯ2のモル比で
１．５／９８．５〜５．５／９４．５の範囲にあること
が好ましい。１．５／９８．５未満であれば単斜晶系ジ
ルコニアが多くなって正方晶系ジルコニアが少なくな
り、高強度のショット材が得られず、一方、５．５／９
４．５を超えると正方晶系ジルコニアが減少し、立方晶
系ジルコニアが主体となるので、結晶粒径が大きくな
り、靭性が低下し、強度が低下する。
成分とし、安定化剤（Ｙ2Ｏ3，ＭｇＯ，ＣａＯ，Ｄｙ2
Ｏ3,ＣｅＯ2など）を適量添加して焼成した正方晶を含
む部分安定化ジルコニアを用いるのが望ましい。ここ
で、ジルコニア結晶成分中の正方晶系ジルコニア量が５
０モル％以上含まれているものが、特に靭性や強度が高
いので望ましい。ジルコニア結晶成分中の正方晶系ジル
コニア量が５０モル％以上であるためには、例えば、安
定化剤がＹ2Ｏ3であれば、Ｙ2Ｏ3／ＺｒＯ2のモル比で
１．５／９８．５〜５．５／９４．５の範囲にあること
が好ましい。１．５／９８．５未満であれば単斜晶系ジ
ルコニアが多くなって正方晶系ジルコニアが少なくな
り、高強度のショット材が得られず、一方、５．５／９
４．５を超えると正方晶系ジルコニアが減少し、立方晶
系ジルコニアが主体となるので、結晶粒径が大きくな
り、靭性が低下し、強度が低下する。
【００１７】これら安定化剤のほか、燒結助剤のＡｌ2
Ｏ3，ＴｉＯ2,ＳｉＯ2などが共存していてもよい。これ
らはＺｒＯ2より融点が低いことによってジルコニアの
燒結温度を下げることができる。これらはＺｒＯ2と安
定化剤との合計に対し、０．０５〜５０ｍａｓｓ％の範
囲内で用いられている。その含有量が５０ｍａｓｓ％よ
り多くなると靭性が低下するなどジルコニア本来の特性
が低下し、投射時に破砕したり、摩耗量が多くなる。
Ｏ3，ＴｉＯ2,ＳｉＯ2などが共存していてもよい。これ
らはＺｒＯ2より融点が低いことによってジルコニアの
燒結温度を下げることができる。これらはＺｒＯ2と安
定化剤との合計に対し、０．０５〜５０ｍａｓｓ％の範
囲内で用いられている。その含有量が５０ｍａｓｓ％よ
り多くなると靭性が低下するなどジルコニア本来の特性
が低下し、投射時に破砕したり、摩耗量が多くなる。
【００１８】ジルコニア系ショットの平均ビッカース硬
さは、１０００ｋｇｆ／ｍｍ2以上であるのがよい。平
均ビッカース硬さが１０００ｋｇｆ／ｍｍ2を下回る
と、被処理剤の加工速度が遅くなると共に、投射材の消
耗や破損率が大きくなるので好ましくない。
さは、１０００ｋｇｆ／ｍｍ2以上であるのがよい。平
均ビッカース硬さが１０００ｋｇｆ／ｍｍ2を下回る
と、被処理剤の加工速度が遅くなると共に、投射材の消
耗や破損率が大きくなるので好ましくない。
【００１９】更に、ショット材の粒度は０．１ｍｍφよ
り小さいと効果が小さく、１０ｍｍφより大きいと被加
工材自身が塑性変形を起こす可能性があり、０．１〜１
０ｍｍφとした場合、最も耐食性は改善された。また、
この範囲においても、均一な大きさのショット材にする
ことの望ましいことが見出された。上述したような効果
の得られる詳細な理由は不明であるが、概略以下のよう
に推測される。
り小さいと効果が小さく、１０ｍｍφより大きいと被加
工材自身が塑性変形を起こす可能性があり、０．１〜１
０ｍｍφとした場合、最も耐食性は改善された。また、
この範囲においても、均一な大きさのショット材にする
ことの望ましいことが見出された。上述したような効果
の得られる詳細な理由は不明であるが、概略以下のよう
に推測される。
【００２０】１．ショットピーニングにより金属材料表
面に圧縮応力が付与され、金属表面の微細な割れの発生
が抑制され、微細傷からの孔食などの腐食の発生が抑制
される。 ２．ショット材自身が破砕し、または摩耗すると金属材
料の表面に微細傷が形成されたり、ショット材の破片や
ダストが残留し腐食の起点となる。従って、ジルコニア
系ショットのように１０００回以上使用しても破砕や摩
耗が起きにくく、更にイットリア、セリア、カルシア、
マグネシアのうち少なくともひとつを含有した部分安定
化ジルコニア質燒結体からなるショット材が靭性が良好
であり、有効である。更に、球形のショットを用いた場
合、ショットピーニング後の金属表面の傷が少なく、表
面粗さも小さい。また、凹凸があるものの比較的滑らか
な表面が形成される。
面に圧縮応力が付与され、金属表面の微細な割れの発生
が抑制され、微細傷からの孔食などの腐食の発生が抑制
される。 ２．ショット材自身が破砕し、または摩耗すると金属材
料の表面に微細傷が形成されたり、ショット材の破片や
ダストが残留し腐食の起点となる。従って、ジルコニア
系ショットのように１０００回以上使用しても破砕や摩
耗が起きにくく、更にイットリア、セリア、カルシア、
マグネシアのうち少なくともひとつを含有した部分安定
化ジルコニア質燒結体からなるショット材が靭性が良好
であり、有効である。更に、球形のショットを用いた場
合、ショットピーニング後の金属表面の傷が少なく、表
面粗さも小さい。また、凹凸があるものの比較的滑らか
な表面が形成される。
【００２１】３．ショットピーニングにより金属表面の
組織が変化し、表面硬化を生じる。表面の金属組織を局
部的に微細化することができるため、粒界腐食の防止に
効果がある。また、オーステナイト系ステンレスの場
合、表面近傍のオーステナイト体積率が減少しマルテン
サイト組織が形成されていることがＸ線回折装置を用い
たオーステナイト体積率の測定結果より、確認されてい
る。このような表層の２相組織が、孔食などの腐食の発
生を抑制する。
組織が変化し、表面硬化を生じる。表面の金属組織を局
部的に微細化することができるため、粒界腐食の防止に
効果がある。また、オーステナイト系ステンレスの場
合、表面近傍のオーステナイト体積率が減少しマルテン
サイト組織が形成されていることがＸ線回折装置を用い
たオーステナイト体積率の測定結果より、確認されてい
る。このような表層の２相組織が、孔食などの腐食の発
生を抑制する。
【００２２】ショットブラストの方法は被加工物に圧縮
残留応力を付与し、残留引張応力を緩和させるものであ
ればよく特に限定しない。回転投射法、エアー吸引法、
加圧式ブラスト法等から、現地での施工環境に応じて選
択することができる。又、ブラストの圧力、距離、角
度、ホース長さ、ノズル径の調整等具体的な施工条件の
調整は、例えば「ショットピーニングの施工」（メタル
インプルーブメント社、第６版、１９８０年）に記載さ
れているアルメンゲージ測定等により行なえばよい。
尚、ジルコニア系ショットは、耐食性及び耐酸性を有
し、油、酸類、金属の微粉末等に汚染された場合であっ
ても、洗浄乾燥すれば再利用が可能である。
残留応力を付与し、残留引張応力を緩和させるものであ
ればよく特に限定しない。回転投射法、エアー吸引法、
加圧式ブラスト法等から、現地での施工環境に応じて選
択することができる。又、ブラストの圧力、距離、角
度、ホース長さ、ノズル径の調整等具体的な施工条件の
調整は、例えば「ショットピーニングの施工」（メタル
インプルーブメント社、第６版、１９８０年）に記載さ
れているアルメンゲージ測定等により行なえばよい。
尚、ジルコニア系ショットは、耐食性及び耐酸性を有
し、油、酸類、金属の微粉末等に汚染された場合であっ
ても、洗浄乾燥すれば再利用が可能である。
【００２３】本発明が対象とするステンレス鋼について
は特に限定せず、オーステナイト系ステンレス鋼、オー
ステナイト・フェライト系二相ステンレス鋼、フェライ
ト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析
出硬化系ステンレス鋼等に適用でき、又それらを用いた
被加工物の形状および構造物も特に限定しない。尚、シ
ョットブラストされた厚板等で溶接により構造物を製作
した場合、溶接部のみ再度ショットピーニング加工を行
なうことが望ましい。溶接時の熱影響により、表面の圧
縮応力層で、再結晶し、ショットピーニング加工が失わ
れるためである。
は特に限定せず、オーステナイト系ステンレス鋼、オー
ステナイト・フェライト系二相ステンレス鋼、フェライ
ト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析
出硬化系ステンレス鋼等に適用でき、又それらを用いた
被加工物の形状および構造物も特に限定しない。尚、シ
ョットブラストされた厚板等で溶接により構造物を製作
した場合、溶接部のみ再度ショットピーニング加工を行
なうことが望ましい。溶接時の熱影響により、表面の圧
縮応力層で、再結晶し、ショットピーニング加工が失わ
れるためである。
【００２４】
【実施例】本発明の効果を実施例を用いて示す。
【００２５】［実施例１］ 試験片として、２００×１
００×５（ｍｍ）のステンレス鋼（ＳＵＳ３０４）の表
面に種々のブラスト材をエアブラスト方式でブラスト加
工を施し，海岸に近い場所（飛来塩分量：約０．３ｍｇ
／ｄｍ2／ｄａｙ）に暴露し、錆発生までの時間を調べ
た。ジルコニア系ショット材はジルコニア９５ｍｏｌ
％，イットリア５ｍｏｌ％，密度６．０、硬さ１３００
ｋｇ／ｍｍ2，破壊靭性値８ＭＮ／ｍ3/2のものを用い
た。ブラスト条件はブラスト空気圧：０．４Ｍｐａ，ノ
ズル径：６ｍｍ，ノズルと試験片の距離：２００ｍｍ，
カバレージ：１００％とした。表１に試験結果を示す。
表１より、ステンレス鋼（ＳＵＳ３０４）表面の錆発生
状況はジルコニアショット材によるものが良好であり、
耐食性の向上していることが認められた。
００×５（ｍｍ）のステンレス鋼（ＳＵＳ３０４）の表
面に種々のブラスト材をエアブラスト方式でブラスト加
工を施し，海岸に近い場所（飛来塩分量：約０．３ｍｇ
／ｄｍ2／ｄａｙ）に暴露し、錆発生までの時間を調べ
た。ジルコニア系ショット材はジルコニア９５ｍｏｌ
％，イットリア５ｍｏｌ％，密度６．０、硬さ１３００
ｋｇ／ｍｍ2，破壊靭性値８ＭＮ／ｍ3/2のものを用い
た。ブラスト条件はブラスト空気圧：０．４Ｍｐａ，ノ
ズル径：６ｍｍ，ノズルと試験片の距離：２００ｍｍ，
カバレージ：１００％とした。表１に試験結果を示す。
表１より、ステンレス鋼（ＳＵＳ３０４）表面の錆発生
状況はジルコニアショット材によるものが良好であり、
耐食性の向上していることが認められた。
【００２６】
【表１】
【００２７】[実施例２] 試験片として、２００×１０
０×５（ｍｍ）のステンレス鋼（ＳＵＳ３０４、ＳＵＳ
３１６，ＳＵＳ３２９Ｊ４Ｌ）の表面に被覆溶接棒を用
いてビードオンプレートのアーク溶接を行なった。溶接
スラグを除去した後、ジルコニアショット（直径約１ｍ
ｍの球）によるショットブラスト加工を施し、海岸に近
い場所（飛来塩分量：約０．３ｍｇ／ｄｍ2／ｄａｙ）
に暴露し、錆発生までの時間を調べた。ジルコニア系シ
ョット材は実施例１と同じものを用いた。ブラスト条件
はブラスト空気圧：０．４Ｍｐａ，ノズル径：６ｍｍ，
ノズルと試験片の距離：２００ｍｍ，カバレージ：１０
０％とした。表２に試験結果を示す。表２よりジルコニ
アショット材によるショットピーニング加工を施した試
験片は溶接熱影響部においても錆の発生はなく、耐食性
の良好なことが認められた。
０×５（ｍｍ）のステンレス鋼（ＳＵＳ３０４、ＳＵＳ
３１６，ＳＵＳ３２９Ｊ４Ｌ）の表面に被覆溶接棒を用
いてビードオンプレートのアーク溶接を行なった。溶接
スラグを除去した後、ジルコニアショット（直径約１ｍ
ｍの球）によるショットブラスト加工を施し、海岸に近
い場所（飛来塩分量：約０．３ｍｇ／ｄｍ2／ｄａｙ）
に暴露し、錆発生までの時間を調べた。ジルコニア系シ
ョット材は実施例１と同じものを用いた。ブラスト条件
はブラスト空気圧：０．４Ｍｐａ，ノズル径：６ｍｍ，
ノズルと試験片の距離：２００ｍｍ，カバレージ：１０
０％とした。表２に試験結果を示す。表２よりジルコニ
アショット材によるショットピーニング加工を施した試
験片は溶接熱影響部においても錆の発生はなく、耐食性
の良好なことが認められた。
【００２８】
【表２】
【００２９】
【発明の効果】ジルコニア系ショットを用いたショット
ピーニングによる冷間加工によれば、比較的簡便な方法
で、ステンレス鋼及びそれを用いた既存の構造物の塩分
環境下での耐食性を向上させることが可能で、薬液処理
のように廃液処理を必要とせず、また、ショット材とし
て再利用が可能であるため、産業廃棄物の発生量が少な
い環境に負担の少ない方法であり、産業上、極めて有用
である。
ピーニングによる冷間加工によれば、比較的簡便な方法
で、ステンレス鋼及びそれを用いた既存の構造物の塩分
環境下での耐食性を向上させることが可能で、薬液処理
のように廃液処理を必要とせず、また、ショット材とし
て再利用が可能であるため、産業廃棄物の発生量が少な
い環境に負担の少ない方法であり、産業上、極めて有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福島 敏郎 千葉県市川市市川２−23−７ (72)発明者 糸村 昌祐 沖縄県浦添市前田1386 前田社宅７−304
Claims (4)
- 【請求項１】 ショットピーニング加工において、ジ
ルコニア系ショットを用いたことを特徴とする耐食性に
優れたステンレス鋼の製造方法。 - 【請求項２】 前記ジルコニア系ショットがイットリ
ア、セリア、カルシア、マグネシアのうち少なくともひ
とつを含有した部分安定化ジルコニア質燒結体からな
り、略球状であることを特徴とする請求項１記載の耐食
性に優れたステンレス鋼の製造方法。 - 【請求項３】 前記ジルコニア系ショットの粒度が０．
１〜１０ｍｍφであることを特徴とする請求項１又は２
記載の耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法。 - 【請求項４】 請求項１乃至３の何れかに記載の方法に
より、ショットピーニング加工したことを特徴とする耐
食性に優れたステンレス鋼製構造物。
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|---|---|---|---|
| JP2000012014A JP2001198828A (ja) | 2000-01-20 | 2000-01-20 | 耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000012014A JP2001198828A (ja) | 2000-01-20 | 2000-01-20 | 耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法 |
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|---|---|
| JP2001198828A true JP2001198828A (ja) | 2001-07-24 |
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ID=18539793
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000012014A Pending JP2001198828A (ja) | 2000-01-20 | 2000-01-20 | 耐食性に優れたステンレス鋼の製造方法 |
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| JP (1) | JP2001198828A (ja) |
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2000
- 2000-01-20 JP JP2000012014A patent/JP2001198828A/ja active Pending
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