JP2001194191A - 土木構造物の変位計測方法および装置 - Google Patents

土木構造物の変位計測方法および装置

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JP2001194191A
JP2001194191A JP2000006745A JP2000006745A JP2001194191A JP 2001194191 A JP2001194191 A JP 2001194191A JP 2000006745 A JP2000006745 A JP 2000006745A JP 2000006745 A JP2000006745 A JP 2000006745A JP 2001194191 A JP2001194191 A JP 2001194191A
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light
optical fiber
displacement
civil engineering
engineering structure
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JP2000006745A
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Masato Murakami
正人 村上
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NIPPON KOEI YOKOHAMA WORKS CO
NIPPON KOEI YOKOHAMA WORKS CO Ltd
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NIPPON KOEI YOKOHAMA WORKS CO
NIPPON KOEI YOKOHAMA WORKS CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバ中のブリルアン散乱現象を利用し
て、長大な土木構造物の変位を連続的に、安全に、しか
も微小変位を増幅して確実に計測する方法および装置を
提供すること。 【解決手段】 土木構造物12に所定間隔で固定した光フ
ァイバ11の一端に周波数可変できる光周波数Vp=V+
Δvのパルス光17を入射し、光ファイバ11の他端に光周
波数Vcw=Vの連続光18を入射し、土木構造物12の変
位による光ファイバ11のブリルアン散乱光の周波数シフ
ト変化から土木構造物12の歪の大きさを検出し計測す
る。Δv=Vp−Vcwを光ファイバ11固有のブリルア
ン周波数シフトVbに一致させると、連続光18は、光フ
ァイバ11中でブリルアン増幅され、出力光19として取り
出され、電気信号に変換され、パルス光17が伝播する距
離Lの2倍に相当する時間で電気信号をサンプリングし
て連続光18の強度を測定し、当初の波形に対して受光レ
ベルに、凹部、突部などの波形の変化55が生じているこ
とを検出することにより、土木構造物12の亀裂などの変
位29が測定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバのブリ
ルアン散乱を用いて土木構造物の変位を計測するための
ブリルアン散乱を利用した変位計測方法および装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネルの変形(歪)を検査する
には、人間が暗いトンネルなどを徒歩で巡回し目視点検
によりクラックなどの変位をさがしたり、変位が生じて
いる個所にテストモルタルを塗布し、このテストモルタ
ルの状態により変位を確認していた。橋梁、その他の土
木構造物においても同様である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のように、人間が
徒歩で巡回し目視点検する方法では、長距離の点検作業
に多くの時間を要し、連続的な常時観測ができないとい
う問題があった。また、すでに亀裂などが発生している
トンネルなどでは、落盤や土砂崩れなどがいつ発生する
かわからないので、その進行状態を観測するのに危険が
大きすぎるという問題があった。また、土木構造物や岩
盤などでは、亀裂の進行がmm単位かそれ以下の場合、
目視による進行状態の判断がきわめて困難であるだけで
なく、経時的な変化を把握するのが困難であるという問
題があった。
【0004】本発明は、光ファイバ中のブリルアン散乱
現象を利用することによって、トンネルなどの長大な土
木構造物の変位を連続的に、安全に、しかも微小変位を
増幅して確実に計測する方法および装置を提供すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、土木構造物1
2の計測地点に所定間隔で固定的に張り巡らした光ファ
イバ11と、この光ファイバ11の一端に周波数可変で
きる光パルスを入力するポンプ光光源32と、光ファイ
バ11の他端に連続光を入力するプローブ光光源35
と、前記土木構造物12の変位による前記光ファイバ1
1のブリルアン散乱光の周波数シフト変化から前記土木
構造物12の歪の大きさを検出し計測する歪検出装置4
6とからなり、前記ポンプ光光源32は、パルス光17
の光周波数Vpと、連続光18の光周波数Vcwとの差
Δv=Vp−Vcwを、光ファイバ11の歪εにともな
う固有のブリルアン周波数シフトVbに一致させる光周
波数可変信号入力端子33を結合してなり、前記歪検出
装置46は、光増幅された連続光18を出力光19とし
て取り出すハーフミラー34と、ブリルアン周波数シフ
トVbに一致した光周波数を抽出する光フィルタ36
と、この光フィルタ36の出力を電気信号に変換する受
光器37と、パルス光17が伝播する距離Lの2倍に相
当する時間で電気信号をサンプリングして連続光18の
強度を測定し表示する表示器38とからなることを特徴
とする土木構造物の変位計測装である。
【0006】以上のような構成において、光ファイバ1
1の一端部14側へ光周波数Vp=V+Δvのパルス光
17を入射し、他端部15側へ光周波数Vcw=Vの連
続光18を入射する。また、パルス光17の光周波数V
pと、連続光18の光周波数Vcwとの差Δv=Vp−
Vcwを光ファイバ11固有のブリルアン周波数シフト
Vbに一致させる。すると、誘導ブリルアン散乱による
パルス光17から連続光18への光電力変換が生じ、連
続光18は、光ファイバ11中でブリルアン増幅され
る。光増幅された連続光18は、出力光19として取り
出され、電気信号に変換され、パルス光17が伝播する
距離Lの2倍に相当する時間で電気信号をサンプリング
して連続光18の強度を測定し、当初の波形に対して受
光レベルに、凹部、突部などの波形の変化55が生じて
いることを検出することにより、土木構造物12の亀裂
などの変位29が測定される。
【0007】
【発明の実施の形態】光ファイバ11内の散乱現象に
は、レイリー散乱、ブリルアン散乱、ラマン散乱があ
る。レイリー散乱は、入射光と同じ周波数をもつ成分の
媒質内の密度揺らぎにより生じる。ブリルアン散乱は、
入射光とわずかに周波数の異なる成分と、媒質内の音波
との相互作用により生じる。ラマン散乱は、入射光とわ
ずかに周波数の異なる成分と、媒質内の分子振動などの
相互作用により生じる。これらの散乱光のスペクトラム
は、図8に示される。
【0008】本発明は、以上のような光ファイバ11内
の散乱現象のうち、ブリルアン散乱光の周波数シフト変
化から歪を計測することができる、という現象を利用し
て土木構造物などの変位を計測する方法および装置に関
するものであるが、まず、ブリルアン散乱光の特性につ
いて説明する。
【0009】図5は、特性の異なる光ファイバを連結し
てブリルアン利得の3次元表示をしたものである。X軸
は、光ファイバの距離をとってあり、最初の500mが
1.55μm零分散シフトファイバ、つぎの500mが
通常のシングルモードファイバ、後の2000mが1.
55μm零分散シフトファイバを順次連結したものであ
る。Y軸は、利得(受光レベル)である。Z軸は、相対
光周波数差を示し、f1=10.700GHz〜f2=
11.100GHzの間の400MHZを10MHzス
テップで41周波数トレースし、3次元表示した波形で
ある。この3次元波形から、500m〜1000mにか
けてブリルアン周波数シフトが観測され、これは、1.
55μm零分散シフトファイバとシングルモードファイ
バの媒質の特性の相違によるブリルアン周波数シフトの
相違であることがわかる。
【0010】また、図6は、図5におけるブリルアン利
得の3次元表示データからブリルアン周波数シフトを求
めて歪分布波形としたもので、X軸が距離、Y軸が歪量
(%)を示している。この歪分布波形によれば、500
m〜1000mにかけて約0.7%の擬似的な歪、すな
わち、1.55μm零分散シフトファイバとシングルモ
ードファイバの媒質の特性の相違によるブリルアン周波
数シフトの差から換算した擬似的な歪が観測されること
がわかる。
【0011】前記シングルモードファイバにおけるブリ
ルアン周波数シフトVbと歪εは、直線的に比例するこ
とも知られている。すなわち、シングルモードファイバ
の歪εに比例して、ブリルアン周波数シフトVbが直線
的に増加するという現象がある。
【0012】光ファイバの長さ方向のブリルアン周波数
シフトVbが分かれば、歪εの分布が求められるはずで
あり、このために、光ファイバの一端に光パルスを入射
し、その後方散乱光の信号を時間分解する測定方法が考
えられる。しかし、光ファイバ中で発生する自然ブリル
アン散乱光パワーは、非常に微弱であり、測定が困難で
ある。
【0013】そこで、光ファイバの両端からパルス光V
pと連続光Vcwを対向して入射し、両信号間の誘導ブ
リルアン散乱相互作用を利用する方法が提案されてい
る。これは、光ファイバの一端から周波数Vp=V+Δ
vのポンプパルス光を入射し、他端から周波数Vcw=
Vのプローブ連続光を対向して入射し、2つの光源の周
波数差Δvを掃引してブリルアン周波数シフトVbと一
致させる。このとき、誘導ブリルアン散乱によるパルス
光Vpから連続光Vcwへの光電力変換過程により、連
続光Vcwは、光ファイバ中でブリルアン増幅され、光
増幅された連続光Vcwは、光検出器で電気信号に変換
される。その波形の一例が図7に示される。
【0014】本発明は、以上のような光ファイバにおけ
るブリルアン散乱光の周波数シフト変化から歪を計測で
きる、という現象を利用して土木構造物などの変位を計
測する方法および装置に関するものである。図1に基づ
き本発明の実施例を説明する。11は、光ファイバで、
この光ファイバ11は、トンネルなどの長大な土木構造
物12の被測定個所に、一定間隔(たとえば2m間隔)
で土木構造物12と一体となるように固定具28により
固定した状態で張り巡らされる。前記光ファイバ11の
一端部14に臨ませてポンプ光光源32が設けられ、他
端部15に臨ませてプローブ光光源35が設けられる。
また、前記光ファイバ11の一端部とポンプ光光源32
との間には、出力光19を取り出すためのハーフミラー
34が介在されている。
【0015】前記ハーフミラー34の反射光側には、光
フィルタ36、受光器37、表示器38が順次設けら
れ、これらハーフミラー34、光フィルタ36、受光器
37、表示器38によって歪検出装置46が構成されて
いる。また、前記ポンプ光光源32には、光周波数可変
信号入力端子33が結合されている。
【0016】このような構成によるブリルアン散乱を利
用した変位計測方法および装置の作用を説明する。光フ
ァイバ11の一端部14側へポンプ光光源32から光周
波数Vp=V+Δvのパルス光17を入射し、他端部1
5側へプローブ光光源35から光周波数Vcw=Vの連
続光18を入射する。また、パルス光17の光周波数V
pと、連続光18の光周波数Vcwとの差Δv=Vp−
Vcwを光ファイバ11固有のブリルアン周波数シフト
Vbに一致させる。すると、誘導ブリルアン散乱による
パルス光17から連続光18への光電力変換が生じ、連
続光18は、光ファイバ11中でブリルアン増幅され
る。光増幅された連続光18は、ハーフミラー34から
出力光19として取り出され、光フィルタ36を通過
後、受光器37により電気信号に変換される。パルス光
17が伝播する距離Lの2倍に相当する時間で電気信号
をサンプリングして連続光18の強度を測定する。
【0017】一方、ブリルアン周波数シフトVbは、光
ファイバ11に加わった歪εにより、つぎのように変化
する。 Vb(ε)=Vb(0)・(1+C・ε) ここで、Vb(0):歪εが0のときのブリルアン周波
数シフト C :比例係数 ポンプ光光源32からのパルス光17の周波数を光周波
数可変信号入力端子33で変化させ、プローブ光光源3
5の連続光18が増幅されるときの相対光周波数差Vb
(ε)から歪を求める。
【0018】これを図1の波形図(a)(b)(c)に
よりさらに詳しく説明する。(a)は、Vp−Vcw=
Vb(0)のとき、すなわち、歪εが0のときの受光レ
ベルの特性図である。亀裂29の位置する固定具28、
28間の光ファイバ11にもともと歪があって受光レベ
ルの特性に凹部54があったとしても、光ファイバ11
にそれ以上の歪の進行がなければ、この状態で監視状態
にあり、ポンプ光光源32からのパルス光17の周波数
を光周波数可変信号入力端子33で変化させても、受光
レベルに変化は現われない。
【0019】(b)は、Vp−Vcw=Vb(ε)のと
き、すなわち、歪εが変化したときの受光レベルの特性
図である。亀裂29が広がり、光ファイバ11が伸び、
歪εが変化すると、前述のように、この歪εに比例し
て、ブリルアン周波数シフトVbが直線的に増加する。
パルス光光周波数Vpと、連続光光周波数Vcwとの差
Δv=Vp−VcwがVbに一致するように、光周波数
可変信号入力端子33でパルス光光周波数Vpを変化さ
せると、ブリルアン周波数シフトVb=Vp−Vcw=
Vb(ε)のとき、誘導ブリルアン散乱によるパルス光
17から連続光18への光電力変換が生じ、連続光18
は、光ファイバ11中でブリルアン増幅され、亀裂29
の位置する固定具28、28間の受光レベルに、突部な
どの波形の変化55が生じる。
【0020】(c)は、演算処理をした出力波形図を表
示器38で表示している状態を表わしている。このよう
に、光周波数可変信号入力端子33でパルス光光周波数
Vpを変化させながら、光ファイバ11の据付け時の特
性との相違を監視することにより、光増幅された連続光
18は、ハーフミラー34から出力光19として取り出
され、光フィルタ36を通過後、受光器37により電気
信号に変換される。パルス光17が伝播する距離Lの2
倍に相当する時間で電気信号をサンプリングして連続光
18の強度を測定し、もし、当初の波形に対して受光レ
ベルに、凹部、突部などの波形の変化55が生じている
ことを検出することにより、土木構造物12の亀裂など
の変位29が測定される。
【0021】つぎに、光ファイバ11を長大な土木構造
物12に取り付けた本発明の具体的例が図2に示され
る。前記土木構造物12は、地下に埋設された長大な導
水路42とし、この導水路42は、縦坑39によって地
上と連絡され、この縦坑39の地上付近に計測室40が
設けられ、有線や無線アンテナ41にて中央管理所と結
合されている。
【0022】前記計測室40から図3(a)に示すよう
な電気信号ケーブル45と光ファイバ11を収納した保
護管44が垂下され、途中を管固定具47で支え、アン
カーボルト48により固定するとともに、水面43を検
出する超音波式水位計52が設けられている。この超音
波式水位計52は、図3(c)に示すように、土木構造
物12の側壁にアンカーボルト48により下向きに取り
付けられ、保護カバー53で被覆されている。
【0023】前記保護管44の下端部は、導水路42の
略中央部のプルボックス20に中継され、本発明による
ブリルアン散乱を利用した変位計測方法および装置のた
めの光ファイバ11が連結されている。また、必要に応
じて、レイリー散乱を利用した変位計測装置のための光
ファイバ11が分岐して連結されている。
【0024】ブリルアン散乱を利用した変位計測方法お
よび装置のための光ファイバ11は、変位計測しようと
する導水路42の側壁に沿って数100mから数km、
さらに数10kmにわたって一定間隔で固定具28によ
り固定されつつ張り巡らされる。この光ファイバ11に
は、その一端部14に臨ませてポンプ光光源32を設
け、また、他端部15に臨ませてプローブ光光源35を
設けるが、光ファイバ11を往復して張り巡らせ、光フ
ァイバ11の両端部14、15を同一個所のプルボック
ス20または計測室40に設けておけば、ポンプ光光源
32とプローブ光光源35も同一個所に配置でき、か
つ、電気信号線も同一個所から引き出すことができる。
また、光ファイバ11を往復で張り巡らせれば、略同一
個所を2回計測することとなり、変位計測精度もそれだ
け向上する。
【0025】この光ファイバ11は、図3(b)に示す
ように、光ファイバ押え49で挾みつけて固定し、溝型
鋼50を被せ、所定間隔(たとえば2m間隔)の固定具
28でアンカーボルト48により固定する。このため、
導水路42の亀裂29が広がると、光ファイバ11に引
っ張り力が生じ伸びが発生し、導水路42の亀裂29が
縮まると光ファイバ11に圧縮や曲がりが発生するなど
して光ファイバ11に歪が発生する。
【0026】光ファイバ11を張り巡らす距離が比較的
短いときには、片道だけとし、一端部14に臨ませてポ
ンプ光光源32を設け、また、他端部15に臨ませてプ
ローブ光光源35を設けるようにしてもよい。
【0027】以上のような構成によるブリルアン散乱を
利用した変位計測方法および装置の作用は、図1と同様
であるが、出力波形の例が図4に示される。すなわち、
図4(a)に示す波形は、光ファイバ11の据付け時の
特性線であり、この図4における(1)(2)(3)
(4)(5)(6)は、図2における光ファイバ11の
位置と対応している。この図4(a)において、計測前
であって監視中の波形が一定のレベルを示していないの
は、据付け時に光ファイバ11にかかる張力の違いによ
るものであり、図4(a)に示す状態の波形が監視のた
めの基本形となる。
【0028】監視中において、固定具28aと28b
間、28cと28d間において、亀裂29が発生し、光
ファイバ11に歪εが生じたものとすると、図4(b)
に示すように、この歪εに対応したブリルアン周波数シ
フトVb(ε)のとき、突部などの波形の変化55が生
じる。この変化55によりトンネルなどの長大な土木構
造物の変位を連続的に、安全に、しかも微小変位を増幅
して確実に計測することができる。
【0029】つぎに、レイリー散乱を利用した変位計測
装置を説明する。光学時間領域反射測定器から光ファイ
バ11へパルス光17を送りこむと、このパルス光17
は、光ファイバ11の内部を伝播する。光ファイバ11
におけるレイリー散乱光を捕らえるためには、光ファイ
バ11の変位により直径が7mm程度まで屈曲させるこ
とが必要である。ところが、土木構造物12の変位は、
微小であり、光ファイバ11の屈曲から直接レイリー散
乱光を捕らえることは困難である。
【0030】そこで、土木構造物12の変位を増幅して
検出することにより、1mmかそれ以下の変位をも検出
できるようにしてある。すなわち、光ファイバ11は、
図2に示すように、土木構造物12内に数10cmから
1m間隔程度に固定具28で固定して張り巡らせるが、
前記変位増幅手段21は、土木構造物12内の亀裂29
の発生個所など、変位を測定しようとする個所に取り付
けられる。この変位増幅手段21は、変位を増幅して検
出する部分と、その変位により光ファイバ11をより確
実に屈曲させる部分とからなる。
【0031】前記変位増幅手段21は、図3(e)に示
すように、変位伝達部材22と変位増幅ロッド23とが
連結点24にて回動自在に連結され、前記変位伝達部材
22の固定点25は、亀裂29を挾んだ土木構造物12
の一方の壁面に固定的に取り付けられ、また、変位増幅
ロッド23の固定点26は、亀裂29を挾んだ固定点2
5とは反対側の土木構造物12の壁面に固定的に取り付
けられる。前記固定点26は、連結点24からできるだ
け近い位置に設定される。また、変位増幅ロッド23の
先端部には、光ファイバ11を固定的に支持するファイ
バー支持点27が設けられている。前記ファイバー支持
点27の両側には、それぞれ屈曲発生装置30が設けら
れ、さらにそれぞれの外側の位置で光ファイバ11がフ
ァイバ固定具28により土木構造物12に固定されてい
る。
【0032】つぎに土木構造物12に亀裂29が発生し
たときの作用を説明する。図3(e)において、光ファ
イバ11に亀裂29が発生したものとする。変位伝達部
材22が固定点25で固定され、変位増幅ロッド23が
固定点26で固定されているので、亀裂29が図示矢印
方向にxだけ変位移動したものとすると、固定点26も
同様にxだけ変位移動する。ところが、連結点24は、
変位伝達部材22に連結されているので、変位しない。
【0033】ここで、連結点24から固定点26までの
距離をa、連結点24からファイバー支持点27まで間
距離をbとすると、ファイバー支持点27における変位
移動距離yは、y=x・b/aとなる。b>aとする
と、b/a倍(少なくとも10倍程度)だけ増幅された
こととなる。
【0034】光ファイバ11が変位増幅ロッド23によ
り引っ張られると、光ファイバ11は、鎖線にて示され
るように、鋭角に曲げられるか、場合によっては切断す
る。
【0035】この光ファイバ11の鋭角な曲げまたは切
断により、光ファイバ11の曲げ損が急増し、後方への
散乱光量は、激減する。これを光学時間領域反射測定器
内のOTDR(光ファイバリフレクトメータ)によって
計測する。この光学時間領域反射測定器で検出された光
量は、微弱であるから、何回も平均化処理を行なう。こ
のときの受光時間と光ファイバ11内での光速から災害
発生地点の距離が求められる。
【0036】光学時間領域反射測定器は、このようにし
て土木構造物12に亀裂29などの変位を検出すると、
内部の発信回路などを介して管理者などに知らせる。
【0037】
【発明の効果】従来のような人間が徒歩で巡回し目視点
検する方法に比較し、長距離の点検作業が短時間で、連
続的に常時観測できる。また、光ファイバ11の設置の
とき以外、亀裂29の発生しているトンネル12などに
直接人間が入る必要がないので、落盤や土砂崩れなどが
発生しても安全である。
【0038】土木構造物12や岩盤などにおける亀裂2
9の進行がmm単位かそれ以下の微小であっても、変位
増幅手段21により進行状態の判断がきわめて正確で、
経時的な変化を把握することが容易である。機械的に可
動する部品がなく、長期間設置したたままであっても確
実に動作する。また、ブリルアン散乱を利用した変位計
測装置と、レイリー散乱を利用した変位計測装置とを併
用することにより、より一層正確な土木構造物の変位計
測装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるブリルアン散乱を利用した土木構
造物の変位計測装置の原理的な説明図である。
【図2】本発明によるブリルアン散乱を利用した変位計
測装置と、レイリー散乱を利用した変位計測装置とを併
用した土木構造物の変位計測装置の具体的実施例を示す
説明図である。
【図3】図2における(a)部、(b)部、(c)部、
(d)部、(e)部の各部のそれぞれの詳細な説明図で
ある。
【図4】(a)は、監視中の波形図(b)は、歪ε発生
時の波形図である。
【図5】特性の異なる光ファイバを連結してブリルアン
利得の3次元表示をした波形図である。
【図6】図5に示したブリルアン利得の3次元表示デー
タからブリルアン周波数シフトを求めて表わした歪分布
波形図である。
【図7】受信連続光パワーの時間的な変化を表わした波
形図である。
【図8】光ファイバ11内の散乱現象を説明する散乱光
のスペクトラムである。
【符号の説明】
11…光ファイバ、12…土木構造物、14…一端部、
15…他端部、16…屈曲部、17…パルス光、18…
レイリー散乱光、19…出力光、20…プルボックス、
21…変位増幅手段、22…変位伝達部材、23…変位
増幅ロッド、24…連結点、25…固定点、26…固定
点、27…ファイバー支持点、28…ファイバー固定
具、29…亀裂、30…屈曲発生装置、32…ポンプ光
光源、33…光周波数可変信号入力端子、34…ハーフ
ミラー、35…プローブ光光源、36…光フィルタ、3
7…受光器、38…表示器、39…縦坑、40…計測
室、41…アンテナ、42…導水路、43…水面、44
…保護管、45…電気信号ケーブル、46…歪検出装
置、47…管固定具、48…アンカーボルト、49…光
ファイバ押え、50…溝型鋼、52…超音波式水位計、
53…保護カバー、54…凹部、55…変化(凸部)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ11を土木構造物12に所定
    間隔で固定的に張り巡らし、この光ファイバ11の一端
    に光パルスを入力し、他端に連続光を入力し、前記土木
    構造物12の変位による前記光ファイバ11のブリルア
    ン散乱光の周波数シフト変化から前記土木構造物12の
    歪の大きさを計測するようにしたことを特徴とする土木
    構造物の変位計測方法。
  2. 【請求項2】 土木構造物12の計測地点に所定間隔で
    固定的に張り巡らした光ファイバ11と、この光ファイ
    バ11の一端に周波数可変できる光パルスを入力するポ
    ンプ光光源32と、光ファイバ11の他端に連続光を入
    力するプローブ光光源35と、前記土木構造物12の変
    位による前記光ファイバ11のブリルアン散乱光の周波
    数シフト変化から前記土木構造物12の歪の大きさを検
    出し計測する歪検出装置46とからなることを特徴とす
    る土木構造物の変位計測装置。
  3. 【請求項3】 ポンプ光光源32は、パルス光17の光
    周波数Vpと、連続光18の光周波数Vcwとの差Δv
    =Vp−Vcwを、光ファイバ11の歪εにともなう固
    有のブリルアン周波数シフトVbに一致させる光周波数
    可変信号入力端子33を結合してなることを特徴とする
    請求項2記載の土木構造物の変位計測装置。
  4. 【請求項4】 歪検出装置46は、光増幅された連続光
    18を出力光19として取り出すハーフミラー34と、
    ブリルアン周波数シフトVbに略一致した光周波数を抽
    出する光フィルタ36と、この光フィルタ36の出力を
    電気信号に変換する受光器37と、パルス光17が伝播
    する距離Lの2倍に相当する時間で電気信号をサンプリ
    ングして連続光18の強度を測定し表示する表示器38
    とからなることを特徴とする請求項2記載の土木構造物
    の変位計測装置。
  5. 【請求項5】 土木構造物12の計測地点に所定間隔で
    固定的に張り巡らした光ファイバ11と、この光ファイ
    バ11の一端に周波数可変できる光パルスを入力するポ
    ンプ光光源32と、光ファイバ11の他端に連続光を入
    力するプローブ光光源35と、前記土木構造物12の変
    位による前記光ファイバ11のブリルアン散乱光の周波
    数シフト変化から前記土木構造物12の歪の大きさを検
    出し計測する歪検出装置46とからなるブリルアン散乱
    を利用した変位計測装置と、 光ファイバ11を土木構造物12に張り巡らし、この光
    ファイバ11の一端に入力した光パルスの後方散乱光の
    変化により前記土木構造物12の変位を検知するように
    した装置において、前記土木構造物12の変位検出個所
    に変位増幅手段21を設け、この変位増幅手段21の変
    位増幅ロッド23に前記光ファイバ11を連結固定して
    なるレイリー散乱を利用した変位計測装置とを併用した
    ことを特徴とする土木構造物の変位計測装置。
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