JP2001178857A - パター型ゴルフクラブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 打球の転がり方向を安定化しうるパターを提
供する。 【解決手段】 ボールＢを打球するフェース面４を有す
るヘッド２を具えたパター型ゴルフクラブ１である。フ
ェース面４の上縁４ａに連なりかつへッド上面をなすク
ラウン部５に、ヘッド長さＨＬの方向の中間位置ＣＬを
フェース面４と直角にのびる中央ラインＬｃと、この中
央ラインＬｃを中心として線対称位置に配されかつ前記
中央ラインＬｃと平行なトウ側のラインＬｔとヒール側
のラインＬｈとを設ける。トウ側のラインＬｔの中心線
とヒール側のラインＬｈの中心線との間の距離Ｘを４
２．６７〜５０．８０mmとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフボールの転
がり方向を安定化しうるパター型ゴルフクラブに関す
る。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パター
型ゴルフクラブでパットを成功させるためには、目標ラ
インに向かってゴルフボールを正確に転がすことが重要
となる。パットは常に注意深く行われるが、常に頭の中
でイメージされた目標ラインに沿ってゴルフボールを転
がしていくことはプロゴルファといえども容易でないこ
とは経験的にも良く知られており、目標ラインに沿って
正確にゴルフボールを打ち出しできる方向性の優れたパ
ター型ゴルフクラブの出現が期待される。

【０００３】図６には、従来のパター型ゴルフクラブの
ヘッドａの平面図を示している。ヘッドａは、ゴルフボ
ールｂを打球するフェース面ｃの上縁に連なりかつへッ
ド上面をなすクラウン部ｄに、例えばへッドａのフェー
ス面ｃに沿う長さ方向の中間位置ＣＬを前記フェース面
ｃと直角にのびる目印用の中心線ｅが設けられている
（例えば特開平９−２６２３２３号公報）。このような
パター型ゴルフクラブでは、前記中心線ｅをカップＨま
での目標ラインｇ上に沿わせて構えかつ打球すると、フ
ェース面ｃが目標ラインｇと直角となり、理論上はゴル
フボールｂを目標ラインｇ上に沿って転がすことが可能
となっている。

【０００４】しかしながら、上述のパター型ゴルフクラ
ブでは、現実には多くのミスパットが生じる。すなわ
ち、ゴルフボールｂには、通常その中心線が描かれてい
ないため、ヘッドａに設けた前記中心線ｅと、ゴルフボ
ールｂの中心線ｊ（目標ラインｇと平行な中心線）とを
一致させて構えかつ打球することには非常に熟練した技
術が必要で一般のゴルファにとっては容易ではない。そ
して多くゴルファの場合、中心線ｅよりもトウ側又はヒ
ール側に外れた位置でゴルフボールｂを打ってしまうこ
とが多く、そのため打球時にフェース面ｃの向きが変わ
り易くなって、ゴルフボールｂの転がり方向も目標ライ
ンｇからずれるという問題がある。

【０００５】また、パター型のゴルフクラブは、通常、
フェース面ｃの厚さ（上下方向の厚さ）がゴルフボール
ｂの直径よりも小で形成されているため、打球時、フェ
ース面ｃがボールの赤道よりも下側を叩く確率が高く、
ゴルフボールの転がりが悪いなどの問題もある。

【０００６】本発明は、以上のような問題点に鑑み案出
なされたもので、ヘッドのクラウン部に、ヘッド長さの
中間位置をフェース面と直角にのびる中央ラインと、こ
の中央ラインを中心として線対称位置に配されかつこの
中央ラインと平行なトウ側のラインとヒール側のライン
とを設けるとともに、トウ側のラインの中心線と前記ヒ
ール側のラインの中心線との間の距離をほぼボールの直
径、すなわち４２．６７〜５０．８０mmとすることを基
本として、ゴルフボールを目標ライン上に正確に転がし
出す確率を大幅に高めうるパター型ゴルフクラブを提供
することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項１記
載の発明は、ボールを打球するフェース面を有するヘッ
ドを具えたパター型ゴルフクラブであって、前記フェー
ス面の上縁に連なりかつへッド上面をなすクラウン部
に、前記へッドのフェース面と平行なヘッド長さ方向の
略中間位置を前記フェース面と直角にのびる中央ライン
と、この中央ラインを中心として線対称位置に配されか
つ前記中央ラインと平行なトウ側のラインとヒール側の
ラインとを設けるとともに、前記トウ側のラインの中心
線と前記ヒール側のラインの中心線との間の前記ヘッド
長さ方向の距離Ｘを４２．６７〜５０．８０mmとしたこ
とを特徴としている。

【０００８】また請求項２記載の発明は、前記フェース
面は、少なくとも前記ヘッド長さの略中間位置でのフェ
ース厚さＹが４２．６７〜５０．８０mmであることを特
徴とする請求項１記載のパター型ゴルフクラブである。

【０００９】また請求項３記載の発明は、前記中央ライ
ン、トウ側のライン、及びヒール側のラインは、前記ク
ラウン部の表面を凹ませた凹溝からなることを特徴とす
る請求項１又は２記載のパター型ゴルフクラブである。

【００１０】また請求項４記載の発明は、前記中央ライ
ン、トウ側のライン、及びヒール側のラインは、前記ク
ラウン部の表面と異なる色彩により形成されたことを特
徴とする請求項３記載のパター型ゴルフクラブである。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図１には本実施形態のパター型ゴル
フクラブ（以下、単に「パター」ということがある。）
１の部分斜視図を、また図２にはその平面図を示してい
る。図において、本実施形態のパター１は、ゴルフボー
ルＢを打球する面をなすフェース面４を有するヘッド２
と、一端側がこのヘッド２に装着されかつ他端側にグリ
ップを設けたシャフト３とを含んで構成される。

【００１２】前記ヘッド２は、主としてグリーン上で使
用するために適した形状をなし、本例では中実かつ板状
のマレットタイプを例示している。本例のヘッド２は、
前記フェース面４の上縁４ａに連なりかつへッド上面を
なすクラウン部５と、フェース面４の下縁４ｂに連なり
かつへッド底面をなすソール部７と、前記クラウン部５
とソール部７との間をのびるサイド部９とを有してお
り、本例ではフェース面４と平行なヘッド長さＨＬの中
間位置であるヘッド中間位置ＣＬを中心としてトウ、ヒ
ール方向で対称に構成されたものが例示されている。

【００１３】なおヘッド２は、例えばアルミ、真鍮、ス
テンレスといった各種金属材料などを好適に用いること
ができ、またこれ以外にもゴルフボールよりも硬い材料
であれば適宜の材料を用いて構成しうる。またフェース
面４に、樹脂インサートなどを埋め込んだ複合体として
も構成しうる。

【００１４】そして、本実施形態のヘッド２は、前記ク
ラウン部５に、中央ラインＬｃと、この中央ラインＬｃ
を挟むようにして配されたトウ側のラインＬｔとヒール
側のラインＬｈとを設けたものが例示される。前記各ラ
インＬｃ、Ｌｔ、Ｌｈは、いずれもゴルファがパター１
を構えた際、或いはボールを打球する際、識別可能な線
状の模様であれば、窪んだ溝、突出するリブ体、着色物
（塗料）、罫書き線、異種材料同士の境界線、形状線、
さらにはこれらの２以上の組合せなどによる種々の態様
で構成することができる。

【００１５】前記中央ラインＬｃは、本例では前記ヘッ
ド中間位置ＣＬを前記フェース面４と直角にのびている
ものを例示する。ただし、中央ラインＬｃは、厳密にヘ
ッド中間位置ＣＬを通るもののみならず、多少の誤差、
例えばヘッド中間位置ＣＬとのヘッド長さ方向のずれ量
がヘッド長さＨＬの５％以内、より好ましくは３％以内
である略中間位置に配することもできる。また前記トウ
側のラインＬｔとヒール側のラインＬｈとは、中央ライ
ンＬｃを中心として線対称位置に配されかつこの中央ラ
インＬｃと平行にのびている。本例の中央ラインＬｃ、
トウ側のラインＬｔ、及びヒール側のラインＬｈは、い
ずれもフェース面４の上縁４ａからヘッド２のバックフ
ェース側にのびるものが例示される。また本例ではトウ
側のラインＬｔ、ヒール側のラインＬｈは、クラウン部
５を連続して横切るものが例示されるが、中央ラインＬ
ｃは、前記トウ側のラインＬｔ、ヒール側のラインＬｈ
よりも小長さかつクラウン部５の上面で途切れて終端し
たものを例示している。但し、特にこの態様には限定さ
れない。

【００１６】前記各ラインＬｃ、Ｌｔ、Ｌｈは、本例で
はクラウン部５の表面を小深さで凹ませた凹溝６からな
るものが例示されている。このような凹溝６は、例えば
各ラインをクラウン部５の表面から突出させたリブ体で
構成した場合に比し、引っかかったり、摩擦したり、あ
るいは傷付いたりする機会が少なくラインの消失や見映
えの悪化を長期に亘り抑制するのに役立つ。

【００１７】また各ラインＬｃ、Ｌｔ、Ｌｈは、上述の
ように識別可能であればその巾や長さなどについては、
特に限定されるものではないが、例えば巾Ｗ（図２に示
す）を０．１〜５mm、好ましくは０．２〜３mm、より好
ましくは０．５〜２mmとすることが望ましく、また長さ
Ｓ（図２に示す）は５〜３０mm、より好ましくは１０〜
３０mm程度とするのが望ましい。これらの寸法は、各ラ
インで同一としても良く、また違えていても良い。また
凹溝６にて各ラインＬｃ、Ｌｔ、Ｌｈを形成する場合、
その溝深さを０．１〜５mm、好ましくは０．２〜３mm、
より好ましくは０．５〜２mmとすることが望ましい。さ
らに本例の各ラインは、前記凹溝６からなるとともにク
ラウン部５の表面と異なる色彩を具えた塗料により着色
されたものが例示される。このため、各ラインＬｃ、Ｌ
ｔ、Ｌｈの識別性がより一層向上する他、塗料がクラウ
ン部５の表面から凹んだ位置に塗布されることにより、
塗膜の剥がれを長期に亘って防止できラインの消失がよ
り一層効果的に防止される。

【００１８】そして、本実施形態では前記トウ側のライ
ンＬｔの巾方向の中心を通る中心線Ｃｔと前記ヒール側
のラインＬｈの巾方向の中心を通る中心線Ｃｈとの間の
前記ヘッド長さ方向の距離Ｘを４２．６７〜５０．８０
mm、すなわち規則で定められたゴルフボールの直径と略
等しく設定している。

【００１９】このようなパター１のヘッド２は、図２に
示す如く、構えた際に前記トウ側のラインＬｔとヒール
側のラインＬｈとの中心線でゴルフボールＢを挟むよう
に構えることが容易に行え、しかもこのように構えるこ
とにより、ゴルフボールＢをフェース面４のヘッド中間
位置ＣＬに自然にかつ簡単に位置合わせできる。また中
央ラインＬｃをパットの目標ラインに沿わせることによ
りボールを打ち出す方向を容易に確認することができ
る。さらにインパクト時においても、これらのトウ側の
ラインＬｔとヒール側のラインＬｈとにより、ゴルフボ
ールをヘッド２の中間位置ＣＬでヒットし易くなる。ヘ
ッドの中間位置ＣＬには、本例のようにまた多くのパタ
ーのように、ヘッド２の重心が設定されることから、か
かる位置のフェース面４でゴルフボールＢを打球するこ
とによりフェース面４の向きが変わりにくく、ひいては
ゴルフボールを目標ライン上に正確に転がすことが可能
になる。

【００２０】なおトウ側のラインＬｔの中心線Ｃｔとヒ
ール側のラインＬｈの中心線Ｃｈとの間の前記距離Ｘが
４２．６７mm未満、あるいは５０．８０mmを超える場
合、ゴルフボールＢの直径との差が大きくなるため、該
ゴルフボールＢをヘッド２の中間位置に位置合わせしづ
らくなり、ひいては打球の方向性が安定しづらい。

【００２１】また本実施形態のパター１は、フェース面
４の少なくとも前記ヘッド中間位置ＣＬでのフェース厚
さＹが４２．６７〜５０．８０mm、すなわち規則で定め
られたゴルフボールＢの直径と略等しく設定されたもの
が例示されている。これにより、ゴルフボールＢの中心
とフェース面４の厚さの中間位置とを一致させて打球し
易くなるため、フェース面４の上下の向きが変わりにく
いため距離感が安定するとともに、打球に順方向のスピ
ンが掛けりやすくなってボールの転がりをも向上しう
る。

【００２２】なお前記フェース厚さＹが、４２．６７mm
未満、或いは５０．８０mmを超える場合、フェース厚さ
Ｙと、ゴルフボールＢの直径との差が大きくなるため、
該ゴルフボールＢをヘッド２の厚さの中間位置に位置合
わせしづらくなり、ひいては打球の距離感の安定性が低
下する傾向がある。

【００２３】以上本発明の実施形態について説明した
が、例えばヘッド２は、図３（Ａ）に示すようないわゆ
るトウ＆ヒールタイプ、同図（Ｂ）に示すようにクラウ
ン部５がステップ状の段差を有するものなどにも適用で
きる。またフェース面４の厚さは、ヘッド中間位置から
トウ、ヒール方向に向けて厚さが漸減するようにも構成
しうるなど、本発明は種々の態様にて実施しうる。

【００２４】

【実施例】以下、本発明のより具体的な実施例を示すと
ともに、その効果を明らかにする。先ず、図４（Ａ）〜
（Ｃ）に示すヘッド２を試作するとともに、これにラバ
ーグリップ（図示せず）を装着したスチールシャフト３
を組み込んでパター１を製作し、打球の転がり方向と、
打球時のフェース面４の向きを測定する試打テスト１を
行った。使用したパターは、ヘッド、シャフト、グリッ
プは全て同一形状のものを用い、図４に示したように、
トウ側のラインＬｔ、ヒール側のラインＬｈのみ異なる
ものを採用した。比較例２では、トウ側のラインＬｔ、
ヒール側のラインＬｈの中心線間の距離を４２．６７mm
よりも小とし、比較例１では、トウ側のラインＬｔ、ヒ
ール側のラインＬｈを設けていない。各ラインの巾は２
mm、深さは１mmの凹溝とした。フェース厚さＹは、いず
れも３０mmとした。

【００２５】また試打テスト１では、１０名のゴルファ
（ハンディキャップ：２〜１７）が各供試クラブを用い
て５回ずつ８ｍ先のカップを狙ってパッティングを行な
うとともに、ボールの打ち出し点とカップを結ぶ目標ラ
インからボールが停止した位置までのずれ量（最短距
離）と、インパクトでのフェース面４の角度（目標ライ
ンと直角な線分に対するフェース面の角度）とをそれぞ
れ測定し各データの５回の平均値で評価を行った。ずれ
量は小さい程良く、またフェース面の角度も０°に近い
程良い。テストの結果を表１に示す。

【００２６】

【表１】

【００２７】次に試打テスト２として、図５（Ａ）〜
（Ｃ）に示すように、フェース厚さだけを異ならせたパ
ターを試作し、１０名のゴルファ（ハンディキャップ：
２〜１７）が各供試クラブを用いて５回ずつ８ｍ先のカ
ップを狙ってパッティングを行なうとともに、転がり距
離のバラツキを測定し各データの５回の平均値で評価を
行った。クラウン部の形状は、図４（Ｃ）と同一とし
た。テストの結果を表２に示す。

【００２８】

【表２】

【００２９】次に、図４（Ｃ）に示したパターを表３の
仕様にて着色を行い、試打テスト１と同様のテストを行
った。テストの結果などを表３に示す。

【００３０】

【表３】

【００３１】

【発明の効果】上述したように、本発明では、ヘッドの
クラウン部に、ヘッド長さの略中間位置をフェース面と
直角にのびる中央ラインと、この中央ラインを中心とし
て線対称位置に配されかつこの中央ラインと平行なトウ
側のラインとヒール側のラインとを設けるとともに、ト
ウ側のラインの中心線と前記ヒール側のラインの中心線
との間の距離をほぼボールの直径、すなわち４２．６７
〜５０．８０mmとすることにより、ゴルフボールをフェ
ース面の中間でヒットすることが容易に行え、ボールの
転がりを正確にコントロールすることができる。従っ
て、打球を目標ライン上に正確に転がし出す確率を大幅
に高めうる。

【００３２】また、フェース面の少なくともヘッドの中
間位置でのフェース厚さＹを４２．６７〜５０．８０m
m、すなわちゴルボールの直径と略等しく設定したとき
には、ゴルフボールの中心とフェース面の厚さの中間位
置とを一致させて打球し易くなるため、フェース面の上
下の向きが変わりにくいため距離感が安定するととも
に、打球に順方向のスピンが掛けりやすくなってボール
の転がりをも向上しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示すパターの部分斜視図で
ある。

【図２】その平面図である。

【図３】（Ａ）、（Ｂ）は他の実施形態を示すパターの
部分斜視図である。

【図４】（Ａ）〜（Ｃ）は実施例のヘッドを示す平面図
である。

【図５】（Ａ）〜（Ｃ）は実施例のヘッドを示す正面図
である。

【図６】従来の技術を説明する平面図である。

【符号の説明】

１ パター型ゴルフクラブ ２ ヘッド ３ シャフト ４ フェース面 ５ クラウン部 ６ 凹溝 Ｌｃ 中央ライン Ｌｔ トウ側のライン Ｌｈ ヒール側のライン ＣＬ ヘッド中間位置 Ｘ トウ側のラインの中心線とヒール側のラインの中心
線との間の距離

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ボールを打球するフェース面を有するヘッ
   ドを具えたパター型ゴルフクラブであって、 前記フェース面の上縁に連なりかつへッド上面をなすク
   ラウン部に、前記へッドのフェース面と平行なヘッド長
   さ方向の略中間位置を前記フェース面と直角にのびる中
   央ラインと、 この中央ラインを中心として線対称位置に配されかつ前
   記中央ラインと平行なトウ側のラインとヒール側のライ
   ンとを設けるとともに、 前記トウ側のラインの中心線と前記ヒール側のラインの
   中心線との間の前記ヘッド長さ方向の距離Ｘを４２．６
   ７〜５０．８０mmとしたことを特徴とするパター型ゴル
   フクラブ。
2. 【請求項２】前記フェース面は、少なくとも前記ヘッド
   長さの略中間位置でのフェース厚さＹが４２．６７〜５
   ０．８０mmであることを特徴とする請求項１記載のパタ
   ー型ゴルフクラブ。
3. 【請求項３】前記中央ライン、トウ側のライン、及びヒ
   ール側のラインは、前記クラウン部の表面を凹ませた凹
   溝からなることを特徴とする請求項１又は２記載のパタ
   ー型ゴルフクラブ。
4. 【請求項４】前記中央ライン、トウ側のライン、及びヒ
   ール側のラインは、前記クラウン部の表面と異なる色彩
   により形成されたことを特徴とする請求項３記載のパタ
   ー型ゴルフクラブ。