JP2001178450A - ロイコシトゾン・ワクチン菌株の作製と使用法 - Google Patents
ロイコシトゾン・ワクチン菌株の作製と使用法Info
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- JP2001178450A JP2001178450A JP36282699A JP36282699A JP2001178450A JP 2001178450 A JP2001178450 A JP 2001178450A JP 36282699 A JP36282699 A JP 36282699A JP 36282699 A JP36282699 A JP 36282699A JP 2001178450 A JP2001178450 A JP 2001178450A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ロイコシトゾン感染症に対する顕著な予防効
果を示すロイコシトゾン・ワクチン菌株の作製と使用法
の提供。 【解決手段】 OU5046菌株は、何らプラズミドを
持たない菌株であり、ネズミサルモネラ野性株OU50
45から病原性プラズミドを取り除いて派生したもので
あり、この菌株は、無病原性であるが、内蔵侵入性をま
だ持っており、鶏体内で最長三日間存在することができ
る。ワクチンプラズミドpOU1500はCSタンパク質
遺伝子(スポロゾイト周囲タンパク質遺伝子)を含むク
ローンプラズミドである。ワクチン菌株OU5758
は、pOU1500プラズミドをOU5046菌株にい
れた菌株であり、OU5046の性質を持つほか、CSタ
ンパク質を生産する能力を持ち、鶏に対ロイコシトゾン
免疫を生じさせる。このワクチンOU5758菌株を喉
から強制的に飲ませるか自然飲水で投与する。
果を示すロイコシトゾン・ワクチン菌株の作製と使用法
の提供。 【解決手段】 OU5046菌株は、何らプラズミドを
持たない菌株であり、ネズミサルモネラ野性株OU50
45から病原性プラズミドを取り除いて派生したもので
あり、この菌株は、無病原性であるが、内蔵侵入性をま
だ持っており、鶏体内で最長三日間存在することができ
る。ワクチンプラズミドpOU1500はCSタンパク質
遺伝子(スポロゾイト周囲タンパク質遺伝子)を含むク
ローンプラズミドである。ワクチン菌株OU5758
は、pOU1500プラズミドをOU5046菌株にい
れた菌株であり、OU5046の性質を持つほか、CSタ
ンパク質を生産する能力を持ち、鶏に対ロイコシトゾン
免疫を生じさせる。このワクチンOU5758菌株を喉
から強制的に飲ませるか自然飲水で投与する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はロイコシトゾン感染
症に対する顕著な予防効果を示すロイコシトゾン・ワク
チン菌株の作製と使用法に関する。
症に対する顕著な予防効果を示すロイコシトゾン・ワク
チン菌株の作製と使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】ロイコシトゾーン症は糠蚊から感染され
る住血性原虫によっておこる疾病で、発病した鶏は貧血
をおこし、肉冠が蒼白状となり、体内各処に内出血をお
こし、元気そう失、産卵率も低下し、死亡にも至る。一
般にこの病気はロイコシトゾーン・カウレリー(leucocy
tozoon caulleryi) 原虫によっておこり、原虫はニハト
リヌカカ(Cullicoid arakawae)によって媒介される。こ
の原虫をもつヌカカが鶏にたかって吸血する際、スポロ
ゾイト(Sporozoite)状の原虫を鶏体内に注入する。スポ
ロゾイトは肝臓等内蔵にすぐ入り、増殖してシゾント(S
chizont)状原虫に発育し、血液に入り赤血球内で大量繁
殖して、メロゾイト(Merozoite) からガメトサイト(Gam
etocyte)になり、この際、赤血球が破壊される為、貧血
になり、トサカは蒼白状を呈する。この時、ヌカカに再
び刺された場合、吸血と同時に蚊体内に入り、雄ガメサ
イトと雌ガメサイトが結合受精してザイゴート(Zygote)
となる。ザイゴートは腸内で発育し、唾腺に移行してス
ポロゾイトとなりこの原虫の生活史の一サイクルを完了
する。こうして原虫状が各段階にて変化するため、抗原
性も従って変化する、特に、血液内の原虫の形状は変化
に富む為、抗原性も多様で、ワクチン用の抗原を取りに
くい。幸い、鶏体内に注入された当初はスポロゾイト形
態で、このスポロゾイト原虫の表面は殆どがサーカムス
ポロゾイト(Circumsporozoite,CS) というタンパク質に
よって覆われており、ワクチン用抗原として最も好都合
である。
る住血性原虫によっておこる疾病で、発病した鶏は貧血
をおこし、肉冠が蒼白状となり、体内各処に内出血をお
こし、元気そう失、産卵率も低下し、死亡にも至る。一
般にこの病気はロイコシトゾーン・カウレリー(leucocy
tozoon caulleryi) 原虫によっておこり、原虫はニハト
リヌカカ(Cullicoid arakawae)によって媒介される。こ
の原虫をもつヌカカが鶏にたかって吸血する際、スポロ
ゾイト(Sporozoite)状の原虫を鶏体内に注入する。スポ
ロゾイトは肝臓等内蔵にすぐ入り、増殖してシゾント(S
chizont)状原虫に発育し、血液に入り赤血球内で大量繁
殖して、メロゾイト(Merozoite) からガメトサイト(Gam
etocyte)になり、この際、赤血球が破壊される為、貧血
になり、トサカは蒼白状を呈する。この時、ヌカカに再
び刺された場合、吸血と同時に蚊体内に入り、雄ガメサ
イトと雌ガメサイトが結合受精してザイゴート(Zygote)
となる。ザイゴートは腸内で発育し、唾腺に移行してス
ポロゾイトとなりこの原虫の生活史の一サイクルを完了
する。こうして原虫状が各段階にて変化するため、抗原
性も従って変化する、特に、血液内の原虫の形状は変化
に富む為、抗原性も多様で、ワクチン用の抗原を取りに
くい。幸い、鶏体内に注入された当初はスポロゾイト形
態で、このスポロゾイト原虫の表面は殆どがサーカムス
ポロゾイト(Circumsporozoite,CS) というタンパク質に
よって覆われており、ワクチン用抗原として最も好都合
である。
【0003】スポロゾイトは蚊体内で形成され、吸血の
際に鶏体内に吸入されるため、スポロゾイトを取るに
は、ヌカカから取るのがいちばん手っとり早いが、大量
の蚊を必要とし、又蚊も感染されて居なければならな
い。この蚊の大量培養は非常に難しく、又原虫をもって
居なければならないので、病鶏から吸血させて感染させ
ねばならず、そのうえ病鶏もある一定の疾病期間( 即
ち、ガメトサイト期間) でないと蚊は原虫を吸い取る事
がせきない。そのスポロゾイトも唾腺に居るので、大量
の蚊の唾腺から集めねばならない。かくして、蚊から大
量のスポロゾイトの精製は非能率的で非常に難しい。
際に鶏体内に吸入されるため、スポロゾイトを取るに
は、ヌカカから取るのがいちばん手っとり早いが、大量
の蚊を必要とし、又蚊も感染されて居なければならな
い。この蚊の大量培養は非常に難しく、又原虫をもって
居なければならないので、病鶏から吸血させて感染させ
ねばならず、そのうえ病鶏もある一定の疾病期間( 即
ち、ガメトサイト期間) でないと蚊は原虫を吸い取る事
がせきない。そのスポロゾイトも唾腺に居るので、大量
の蚊の唾腺から集めねばならない。かくして、蚊から大
量のスポロゾイトの精製は非能率的で非常に難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】よって分子遺伝工学の
応用となる。まずは蚊体内のスポロゾイトを収集精製
し、このスポロゾイトからRNAを抽出、CSタンパク質
遺伝子をクローニングしてバクテリアに入れる。このク
ローンにあるCSタンパク質遺伝子の同定は、抗CSタンパ
ク質血清で行うが、この同定はCSタンパク質遺伝子の存
在とその発現を同時に確認する。
応用となる。まずは蚊体内のスポロゾイトを収集精製
し、このスポロゾイトからRNAを抽出、CSタンパク質
遺伝子をクローニングしてバクテリアに入れる。このク
ローンにあるCSタンパク質遺伝子の同定は、抗CSタンパ
ク質血清で行うが、この同定はCSタンパク質遺伝子の存
在とその発現を同時に確認する。
【0005】次に、この遺伝子を鶏体内に導入し発現さ
せる方法である。導入方法の一つは注射であるが、何千
何万羽を注射しなければならぬ場合が、多大であり、非
能率的である。もう一つ考慮にいれなければならぬの
は、注射だと抗体免疫を生ずるが、しかるに病原は原虫
であり、原虫を除去するには抗体では比較的効果がうす
い。又抗体の威力は殆ど血液内で発揮されるが、スポロ
ゾイトは蚊からの注入当時以外は血液内に存在しない。
言い換えれば、免疫性はスポロゾイトの目的部位肝臓で
発揮すべきである。以上の諸点を考慮に入れると、もう
一つの導入法は、この遺伝子を含む活性菌を鶏に経口投
与することである。バクテリアに入れれば、菌内でCSタ
ンパク質が作られる。この菌がワクチンであるが、活性
菌でなければならぬ。死菌だと生ずるのは抗体であり、
前述の如く効果が弱い。又活性菌は体内である程度増殖
するので、ワクチンは比較的少量ですむ。活性菌なら
ば、どの細菌でも好いというのではない。例えば、大腸
菌を使った場合、大腸菌は始終腸内に存在し、腸外に出
る事なく、従って肝臓に移行することもないので、肝臓
で免疫を起こすこともない。これらを考慮に入れて採用
したのがサルモネラ・ネズミチブス菌(Salmonella typh
imurium)である。この菌は侵入性があり腸から腸外に出
て、内蔵に移行してそこで付着し増殖する。従って肝臓
にも移行しそこで免疫を生じ、しかも抗体性免疫ではな
く、細胞性(T−白血球、マクロファージ)免疫を生ず
る。細胞性免疫は原虫に対して、もっとも効果的であ
る。
せる方法である。導入方法の一つは注射であるが、何千
何万羽を注射しなければならぬ場合が、多大であり、非
能率的である。もう一つ考慮にいれなければならぬの
は、注射だと抗体免疫を生ずるが、しかるに病原は原虫
であり、原虫を除去するには抗体では比較的効果がうす
い。又抗体の威力は殆ど血液内で発揮されるが、スポロ
ゾイトは蚊からの注入当時以外は血液内に存在しない。
言い換えれば、免疫性はスポロゾイトの目的部位肝臓で
発揮すべきである。以上の諸点を考慮に入れると、もう
一つの導入法は、この遺伝子を含む活性菌を鶏に経口投
与することである。バクテリアに入れれば、菌内でCSタ
ンパク質が作られる。この菌がワクチンであるが、活性
菌でなければならぬ。死菌だと生ずるのは抗体であり、
前述の如く効果が弱い。又活性菌は体内である程度増殖
するので、ワクチンは比較的少量ですむ。活性菌なら
ば、どの細菌でも好いというのではない。例えば、大腸
菌を使った場合、大腸菌は始終腸内に存在し、腸外に出
る事なく、従って肝臓に移行することもないので、肝臓
で免疫を起こすこともない。これらを考慮に入れて採用
したのがサルモネラ・ネズミチブス菌(Salmonella typh
imurium)である。この菌は侵入性があり腸から腸外に出
て、内蔵に移行してそこで付着し増殖する。従って肝臓
にも移行しそこで免疫を生じ、しかも抗体性免疫ではな
く、細胞性(T−白血球、マクロファージ)免疫を生ず
る。細胞性免疫は原虫に対して、もっとも効果的であ
る。
【0006】ネズミチブス菌は殆どの動物(人類を含
む)に対して、病原性を持つ病原菌である。従って、病
原性(毒性)を除去して無病原性(Avirulence)にする必
要がある。しかるに、菌の移行性は病原性の一要素であ
り、これを除去すると、肝臓への移行性を喪失し、肝臓
での免疫を生ずる能力を失う。即ち、移行性を保持して
ある、無病原性又は低毒性ネズミチブス菌が組み換えプ
ラズミドを保有するワクチン菌として望ましい。
む)に対して、病原性を持つ病原菌である。従って、病
原性(毒性)を除去して無病原性(Avirulence)にする必
要がある。しかるに、菌の移行性は病原性の一要素であ
り、これを除去すると、肝臓への移行性を喪失し、肝臓
での免疫を生ずる能力を失う。即ち、移行性を保持して
ある、無病原性又は低毒性ネズミチブス菌が組み換えプ
ラズミドを保有するワクチン菌として望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、OU
5046菌株(特許寄託名PTA−854)とされ、こ
の菌株は何らプラズミドを持たない菌株であり、ネズミ
サルモネラ野性株OU5045から病原性プラズミドを
取り除いて派生したものであり、この菌株は、無病原性
であるが、内蔵侵入性をまだ持っており、鶏体内で最長
三日間存在することができる。請求項2の発明は、ワク
チンプラズミドpOU1500とされ、このプラズミド
はCSタンパク質遺伝子(スポロゾイト周囲タンパク質遺
伝子)を含むクローンプラズミドである。請求項3の発
明は、ワクチン菌株OU5758(特許寄託名PTA−
853)とされ、この菌株はpOU1500プラズミド
をOU5046菌株にいれた菌株であり、OU5046
の性質を持つほか、CSタンパク質を生産する能力を持
ち、鶏に対ロイコシトゾン免疫を生じさせる。請求項4
の発明は、ワクチンOU5758菌株投与法とされ、こ
の投与法は、喉から強制的に飲ませるか自然飲水で投与
する。
5046菌株(特許寄託名PTA−854)とされ、こ
の菌株は何らプラズミドを持たない菌株であり、ネズミ
サルモネラ野性株OU5045から病原性プラズミドを
取り除いて派生したものであり、この菌株は、無病原性
であるが、内蔵侵入性をまだ持っており、鶏体内で最長
三日間存在することができる。請求項2の発明は、ワク
チンプラズミドpOU1500とされ、このプラズミド
はCSタンパク質遺伝子(スポロゾイト周囲タンパク質遺
伝子)を含むクローンプラズミドである。請求項3の発
明は、ワクチン菌株OU5758(特許寄託名PTA−
853)とされ、この菌株はpOU1500プラズミド
をOU5046菌株にいれた菌株であり、OU5046
の性質を持つほか、CSタンパク質を生産する能力を持
ち、鶏に対ロイコシトゾン免疫を生じさせる。請求項4
の発明は、ワクチンOU5758菌株投与法とされ、こ
の投与法は、喉から強制的に飲ませるか自然飲水で投与
する。
【0008】
【発明の実施の形態】材料と方法: 菌株 ネズミチブス菌は病原菌でありそれ故にワクチン菌とし
て選んだ。このワクチンの働き方を考えると、この菌を
使うには二つの条件を必要とする。第一は無論病原性の
菌株でなければならない。だが、ワクチン用菌株は、完
全に無病原性だと効果がないか、もしくは弱い。少なく
とも、今回の目的には、侵入性を保留した菌株が好都合
である。第二に、無病原性であっても、体内に入った
ら、ただちに除去( 不活性化) されるのも望ましくな
い。免疫を引き起こすには、体内でその菌が何回か分裂
し、三四日間は滞在しなければ免疫は起こりがたい。菌
株OU5046はこれらの条件を満たし得る菌株であ
る。 CSタンパク質遺伝子のクローン このワクチンの抗原はCSタンパク質である。その遺伝子
をクローニングするため、先ず糠蚊の唾腺からスポロゾ
イトを分離し、それからmRNAを抽出した。次いで、
Reverse transcriptase を用いて、mRNAをcDNA
に転換し、ベクターpBluescript(+/-)でクローニングし
た遺伝子クローン(pOU1500) をElectropolation 法でO
U5046に送り込んだ。これらクローンを含むOU5
046菌株を抗CSタンパク質血清を使い、ドット・ブロ
ット法でCSタンパク質遺伝子クローンを持つOU504
6菌株を同定選択してワクチン菌OU5758を得た。
て選んだ。このワクチンの働き方を考えると、この菌を
使うには二つの条件を必要とする。第一は無論病原性の
菌株でなければならない。だが、ワクチン用菌株は、完
全に無病原性だと効果がないか、もしくは弱い。少なく
とも、今回の目的には、侵入性を保留した菌株が好都合
である。第二に、無病原性であっても、体内に入った
ら、ただちに除去( 不活性化) されるのも望ましくな
い。免疫を引き起こすには、体内でその菌が何回か分裂
し、三四日間は滞在しなければ免疫は起こりがたい。菌
株OU5046はこれらの条件を満たし得る菌株であ
る。 CSタンパク質遺伝子のクローン このワクチンの抗原はCSタンパク質である。その遺伝子
をクローニングするため、先ず糠蚊の唾腺からスポロゾ
イトを分離し、それからmRNAを抽出した。次いで、
Reverse transcriptase を用いて、mRNAをcDNA
に転換し、ベクターpBluescript(+/-)でクローニングし
た遺伝子クローン(pOU1500) をElectropolation 法でO
U5046に送り込んだ。これらクローンを含むOU5
046菌株を抗CSタンパク質血清を使い、ドット・ブロ
ット法でCSタンパク質遺伝子クローンを持つOU504
6菌株を同定選択してワクチン菌OU5758を得た。
【0009】結果(効果) ワクチン菌株OU5758(OU5046/pOU15
00)の性質 ワクチン(抗原)はCSタンパク質であるので、OU57
58(OU5046/pOU1500)にこのタンパク
質がなければならない。そこで、上述の如くドット・ブ
ロット(ウエスターン・ブロット)法で調べた結果、O
U5758はCSタンパク質を作っている。即ち、OU5
046の中にあるpOU1500のCSタンパク質遺伝子
は発現されている。ワクチンの必須の条件の一つは動物
に対して無病原性であることである。そこで、OU57
58とOU5046( プラズミドなし、対照) の鶏に対
しての病原性を調べた。パイペットを鶏口内にいれてテ
スト菌株( 菌数、106 、107 、108 ) を注入して、鶏の
健康状態を観察した所、両菌株とも鶏に病気を引き起こ
す事なく、全く影響はなかった。最長のものでも、菌株
を注入してもう一年近くを経るが、悪影響は全くもって
見られない。
00)の性質 ワクチン(抗原)はCSタンパク質であるので、OU57
58(OU5046/pOU1500)にこのタンパク
質がなければならない。そこで、上述の如くドット・ブ
ロット(ウエスターン・ブロット)法で調べた結果、O
U5758はCSタンパク質を作っている。即ち、OU5
046の中にあるpOU1500のCSタンパク質遺伝子
は発現されている。ワクチンの必須の条件の一つは動物
に対して無病原性であることである。そこで、OU57
58とOU5046( プラズミドなし、対照) の鶏に対
しての病原性を調べた。パイペットを鶏口内にいれてテ
スト菌株( 菌数、106 、107 、108 ) を注入して、鶏の
健康状態を観察した所、両菌株とも鶏に病気を引き起こ
す事なく、全く影響はなかった。最長のものでも、菌株
を注入してもう一年近くを経るが、悪影響は全くもって
見られない。
【0010】次に、このワクチン菌株の鶏体内での短期
間滞在性と肝臓への到達能力を調べた。その理由は前述
の菌株の無病原性は菌株の鶏体内での不活性化によるも
のかもしれなく、また鶏体内でただちに不活性化された
ら、病原性はないが、同時に分裂することもないので、
抗原性もなくなりワクチンの用をなさなくなる。それ
で、OU5758を百万個ヒヨコに経口投与後五日間、
毎日肝臓を取り出し菌株の有無を調べた。投与後第一日
目(菌株投与の翌日)に、一羽は無菌、一羽から750
個、もう一羽から140個の菌が得られた。第二日目に
は、もう菌は得られなかった。もう一回のテストも同じ
ような結果が得られた。今回は、第一日目に菌は得られ
なかったが、第二日目には二羽から菌は得られなかった
が、一羽から160個の菌が検出された。その後は無菌
状である。この結果はこの菌株は肝臓に移行することが
でき、少なくとも三日間は鶏体内に存在し、その後に除
去されることを意味する。
間滞在性と肝臓への到達能力を調べた。その理由は前述
の菌株の無病原性は菌株の鶏体内での不活性化によるも
のかもしれなく、また鶏体内でただちに不活性化された
ら、病原性はないが、同時に分裂することもないので、
抗原性もなくなりワクチンの用をなさなくなる。それ
で、OU5758を百万個ヒヨコに経口投与後五日間、
毎日肝臓を取り出し菌株の有無を調べた。投与後第一日
目(菌株投与の翌日)に、一羽は無菌、一羽から750
個、もう一羽から140個の菌が得られた。第二日目に
は、もう菌は得られなかった。もう一回のテストも同じ
ような結果が得られた。今回は、第一日目に菌は得られ
なかったが、第二日目には二羽から菌は得られなかった
が、一羽から160個の菌が検出された。その後は無菌
状である。この結果はこの菌株は肝臓に移行することが
でき、少なくとも三日間は鶏体内に存在し、その後に除
去されることを意味する。
【0011】OU5758菌株の鶏体内投与後及び環境
中での活性 OU5758(OU5046/pOU1500)菌株は
病原性のある野性株OU5045菌株から派生分離した
ものである。従ってこの菌株の無病原性の安定性(有病
原性への還元)と環境中での持続性と鶏から排泄される
期間等の状況を知ることが非常に大事なのでこれを調べ
た。先ず鶏に106 菌を経口投与し鶏糞にワクチン菌が排
泄されたかどうかを調べた。6時間(鶏が飲食した後、
その飲食物を最初に排泄するのに必要な時間)以後の鶏
糞から菌は全く分離できなかった。これはこの菌が鶏体
内を通過中に不活性化されることを意味する。又、鶏舎
内の数箇所から下敷き木屑(鶏糞の湿気吸収用)のサン
プルを採取し、菌の有無を調べた。サンプルの採取は、
ワクチン投与後、一カ月と四カ月と二回にわたって採取
したが、菌を分離することはできなかった。この結果
は、この菌は長期間自然環境中で活性を維持存続するこ
とができ得ない事を意味する。
中での活性 OU5758(OU5046/pOU1500)菌株は
病原性のある野性株OU5045菌株から派生分離した
ものである。従ってこの菌株の無病原性の安定性(有病
原性への還元)と環境中での持続性と鶏から排泄される
期間等の状況を知ることが非常に大事なのでこれを調べ
た。先ず鶏に106 菌を経口投与し鶏糞にワクチン菌が排
泄されたかどうかを調べた。6時間(鶏が飲食した後、
その飲食物を最初に排泄するのに必要な時間)以後の鶏
糞から菌は全く分離できなかった。これはこの菌が鶏体
内を通過中に不活性化されることを意味する。又、鶏舎
内の数箇所から下敷き木屑(鶏糞の湿気吸収用)のサン
プルを採取し、菌の有無を調べた。サンプルの採取は、
ワクチン投与後、一カ月と四カ月と二回にわたって採取
したが、菌を分離することはできなかった。この結果
は、この菌は長期間自然環境中で活性を維持存続するこ
とができ得ない事を意味する。
【0012】ワクチンOU5758菌株の抗原性 ワクチンの最も大事な性質は勿論動物宿主に免疫を発生
させることである。活性ワクチンは主に細胞性免疫を引
き起こすので、ワクチン投与後は細胞性免疫が生じたか
どうかを調べる。これは遅延性過敏現象(Delayed Hype
rsensitivity)で調べるが、これはワクチン投与後の鶏
に活性抗原( スポロゾイト) を皮下注射して反応を見
る。もし注射した場所が腫れたら、細胞性免疫が生じた
証拠である。テストは、鶏を二組に分けて行った。一組
(A組)は、週齢が一週間のヒヨコで、もう一組(B
組)は、月齢が4カ月の鶏である。各鶏にOU5758
百万個を経口投与後、八日後、糠蚊の唾腺から取ったス
ポロゾイトを上肢(ツバサ)に皮下注射して、次の日ツ
バサの腫れ具合を厚度測定器を使って計ったところ、ワ
クチン組は顕著に腫れ上がっていたが、対照組(コント
ロール組、食塩水だけを投与)には腫れは全く見られ
ず、投与組と対照組間の差異は統計学的に有意義であっ
た。A組(対照組と比較)では、t=2.130 、degree of
freedom(d.f.)=6 、p=0.05であり、B組では、t=3.660
2、d.f.=6、p=0.01<0.02 であった。これは、OU57
58を百万個投与すれば、ヒヨコでも四カ月大の鶏でも
細胞性免疫が得られる事を意味する。
させることである。活性ワクチンは主に細胞性免疫を引
き起こすので、ワクチン投与後は細胞性免疫が生じたか
どうかを調べる。これは遅延性過敏現象(Delayed Hype
rsensitivity)で調べるが、これはワクチン投与後の鶏
に活性抗原( スポロゾイト) を皮下注射して反応を見
る。もし注射した場所が腫れたら、細胞性免疫が生じた
証拠である。テストは、鶏を二組に分けて行った。一組
(A組)は、週齢が一週間のヒヨコで、もう一組(B
組)は、月齢が4カ月の鶏である。各鶏にOU5758
百万個を経口投与後、八日後、糠蚊の唾腺から取ったス
ポロゾイトを上肢(ツバサ)に皮下注射して、次の日ツ
バサの腫れ具合を厚度測定器を使って計ったところ、ワ
クチン組は顕著に腫れ上がっていたが、対照組(コント
ロール組、食塩水だけを投与)には腫れは全く見られ
ず、投与組と対照組間の差異は統計学的に有意義であっ
た。A組(対照組と比較)では、t=2.130 、degree of
freedom(d.f.)=6 、p=0.05であり、B組では、t=3.660
2、d.f.=6、p=0.01<0.02 であった。これは、OU57
58を百万個投与すれば、ヒヨコでも四カ月大の鶏でも
細胞性免疫が得られる事を意味する。
【0013】ワクチンOU5758菌株の効果 以上の結果から、OU5758菌株は白血球を活性化す
ることが分かる。しかし、ワクチン投与の目的は動物の
病原性微生物からの感染を予防することである。従っ
て、一番大事なテストは、ワクチン投与された鶏がロイ
コシトゾンの感染を予防し疾病の発生を防げるかどうか
である。そこで、ワクチン投与後、以下に述べるテスト
を行った。鶏を二組に分け、一組を対照組、もう一組
(計四組をここに掲載)を免疫組とし、対照組にただの
食塩水を与え免疫組にそれぞれ百万乃至五億個のワクチ
ン菌株を経口投与した。二カ月後、各鶏に4000匹の
活性スポロゾイトを静脈経由で注射して、十九日間観察
を行った。この試験を三回行った。この寄生虫の量は、
半致死量(ID50 =100匹)の40倍である。観察
項目は次の三つである。1.肉冠の蒼白化、 2.緑色
糞の排泄、 及び、3.産卵率の低下、である。この三
つ共ロイコシトゾン・ワクチン感染病の典型的特徴であ
る。代表的な一観察結果を、表1及び表2に示した。対
照組の鶏は全部罹病し、産卵率も大幅に減り、免疫組に
比べ、16(総合結果)ないし18%(10日間の疾病
期間)少ない。それに比べ、免疫組の鶏は、たまに軽微
のロイコシトゾン病に似た症候を示したが、産卵率は低
下をみせず正常であった。最小試験ワクチン量の百万個
で同ようの効果があった。
ることが分かる。しかし、ワクチン投与の目的は動物の
病原性微生物からの感染を予防することである。従っ
て、一番大事なテストは、ワクチン投与された鶏がロイ
コシトゾンの感染を予防し疾病の発生を防げるかどうか
である。そこで、ワクチン投与後、以下に述べるテスト
を行った。鶏を二組に分け、一組を対照組、もう一組
(計四組をここに掲載)を免疫組とし、対照組にただの
食塩水を与え免疫組にそれぞれ百万乃至五億個のワクチ
ン菌株を経口投与した。二カ月後、各鶏に4000匹の
活性スポロゾイトを静脈経由で注射して、十九日間観察
を行った。この試験を三回行った。この寄生虫の量は、
半致死量(ID50 =100匹)の40倍である。観察
項目は次の三つである。1.肉冠の蒼白化、 2.緑色
糞の排泄、 及び、3.産卵率の低下、である。この三
つ共ロイコシトゾン・ワクチン感染病の典型的特徴であ
る。代表的な一観察結果を、表1及び表2に示した。対
照組の鶏は全部罹病し、産卵率も大幅に減り、免疫組に
比べ、16(総合結果)ないし18%(10日間の疾病
期間)少ない。それに比べ、免疫組の鶏は、たまに軽微
のロイコシトゾン病に似た症候を示したが、産卵率は低
下をみせず正常であった。最小試験ワクチン量の百万個
で同ようの効果があった。
【表1】 月齢四カ月の各鶏にただ水を投与(対照組)、或いはワ
クチン菌株(OU5758)をB22とE22組に百万
個、C22組に千万個、そしてD22組に一億個をそれ
ぞれ経口投与、二カ月後に静脈注射で各羽に4000匹
の活性スポロゾイトを注入して、十九日間次の三状態を
観察した。1.蒼白肉冠の出現、2.緑色糞の排泄、と
3.産卵率。この三項目はロイコシトゾン症の典型的な
症状である。対照組の産卵率の低下は他の組に較べて、
約16%の低下である。
クチン菌株(OU5758)をB22とE22組に百万
個、C22組に千万個、そしてD22組に一億個をそれ
ぞれ経口投与、二カ月後に静脈注射で各羽に4000匹
の活性スポロゾイトを注入して、十九日間次の三状態を
観察した。1.蒼白肉冠の出現、2.緑色糞の排泄、と
3.産卵率。この三項目はロイコシトゾン症の典型的な
症状である。対照組の産卵率の低下は他の組に較べて、
約16%の低下である。
【表2】 表1にある観察期間19日間の内、疾病最盛期の十日間
の状況をこの表2に示した。この期間の産卵率の低下は
18.4%に及ぶ。
の状況をこの表2に示した。この期間の産卵率の低下は
18.4%に及ぶ。
【0014】
【発明の効果】ワクチンOU5758菌株はロイコシト
ゾン感染症に対して顕著な予防効果を示した。
ゾン感染症に対して顕著な予防効果を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 33/02 171 A61P 33/02 171 // A61K 39/112 A61K 39/112 (C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:42) C12R 1:42) Fターム(参考) 4B065 AA46X AB01 AC20 BA02 BA14 CA43 4C085 AA03 BA02 CC07 DD63 EE01 GG08 4C087 AA01 AA02 BC35 MA52 ZC61
Claims (4)
- 【請求項1】 OU5046菌株、 この何らプラズミドを持たない菌株であり、ネズミサル
モネラ野性株OU5045から病原性プラズミドを取り
除いて派生したものであり、この菌株は、無病原性であ
るが、内蔵侵入性をまだ持っており、鶏体内で最長三日
間存在することができる。 - 【請求項2】 ワクチンプラズミドpOU1500、 このプラズミドはCSタンパク質遺伝子(スポロゾイト周
囲タンパク質遺伝子)を含むクローンプラズミドであ
る。 - 【請求項3】 ワクチン菌株OU5758、 この菌株はpOU1500プラズミドをOU5046菌
株にいれた菌株であり、OU5046の性質を持つほ
か、CSタンパク質を生産する能力を持ち、鶏に対ロイコ
シトゾン免疫を生じさせる。 - 【請求項4】 ワクチンOU5758菌株投与法、 この投与法は喉から強制的に飲ませるか自然飲水で投与
する。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36282699A JP2001178450A (ja) | 1999-12-21 | 1999-12-21 | ロイコシトゾン・ワクチン菌株の作製と使用法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36282699A JP2001178450A (ja) | 1999-12-21 | 1999-12-21 | ロイコシトゾン・ワクチン菌株の作製と使用法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001178450A true JP2001178450A (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=18477832
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36282699A Pending JP2001178450A (ja) | 1999-12-21 | 1999-12-21 | ロイコシトゾン・ワクチン菌株の作製と使用法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001178450A (ja) |
-
1999
- 1999-12-21 JP JP36282699A patent/JP2001178450A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20030722 |