JP2001174543A - アクティブソーナー装置およびアクティブソーナー方法 - Google Patents

アクティブソーナー装置およびアクティブソーナー方法

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JP2001174543A
JP2001174543A JP35526399A JP35526399A JP2001174543A JP 2001174543 A JP2001174543 A JP 2001174543A JP 35526399 A JP35526399 A JP 35526399A JP 35526399 A JP35526399 A JP 35526399A JP 2001174543 A JP2001174543 A JP 2001174543A
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JP
Japan
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transmission signal
acoustic transmission
signal
frequency band
echo
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JP35526399A
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Yoshiyuki Nakamura
義行 中村
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NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
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Publication date
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、1本の曳航式アレイにより目標エ
コーの左右分別を行うことができ、探知の度に曳航船を
回頭、再探知を繰り返す必要なく、最終的な探知確認に
至るまでの時間を短縮できるアクティブソーナー装置お
よびアクティブソーナー方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 左側海域(海中)に左舷側音響送信信号
を送波するとともに、右側海域(海中)に左舷側音響送
信信号とは異なる周波数帯域の右舷側音響送信信号を送
波する送信用曳航体1と、曳航船に搭載されている左右
方向を分別して信号処理を行う信号処理器3とにより、
目標エコーの左右分別を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、曳航式アレイを用
いたアクティブソーナー装置およびアクティブソーナー
方法に関し、特に別周波数の指向性送波器を使用するこ
とで受波信号中の左右情報を分別・抽出するアクティブ
ソーナー装置およびアクティブソーナー方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、曳航式アレイは、主として海底地
層探査や潜水艦の捜索などに用いられている長大なハイ
ドロフォンアレイであり、曳航式アレイは曳航船によっ
て直線的に曳航されるソーナーシステムである。曳航式
アレイの使用にあたっては、目標が発する音を聞くのみ
のパッシブ処理方式であるTASS(Towed Array Sonar
System)と、自ら発した送信信号のエコーを聞くアクテ
ィブ処理方式であるATAS(Active Towed Array Sona
r)とが知られている。
【0003】一般に曳航式アレイは複数の無指向性ハイ
ドロフォンが長く繋がれた構成であり、従って、線軸の
円周方向についての音響到来方位が推定できないため、
パッシブ処理方式では受信される目標音響信号が左右ど
ちらから到来しているのか区別できず、またアクティブ
処理方式についても通常は爆発音源のような低周波無指
向性音源が用いられるため、目標エコーについてパッシ
ブ処理方式と同様に左右分別ができない。
【0004】この不都合を解消する目的でいくつかの左
右分別方法が提案されている。例えば何らかの目標が探
知されたら曳航船の進行方向を変えて曳航式アレイの方
位を変え、並行しない複数のベースライン上から同じ目
標を探知し、目標の左右分別および位置局限を可能とす
る方法がある。
【0005】また他の方法としてはアレイを同時に複数
曳航し、それぞれの受信信号を相関処理することで目標
信号の到来方位を推定する方法がある。この方法は、例
えば2本のアレイを適当な間隔で左右並行に曳航し、両
アレイの受信信号の相互相関をとる。このとき相互相関
の最大値を示すラグタイムは、音響信号が左右の間隔を
伝搬する時間、すなわち遅延時間に相当するため、ラグ
タイムの符号から左右分別が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では、1本の曳航式アレイでは目標信号が左右どちら
から到来しているのかが推定できないため、探知の度に
曳航船の進行方位を変えて再探知を行う場合には、海底
探査などの連続的なエコーレベル計測には適用できず、
潜水艦等の捜索に適用する場合でも、探知の度に曳航船
を回頭、再探知を繰り返すので捜索効率が悪く、最終的
な探知確認に至るまでに多大の時間を要してしまうとい
う問題点があった。
【0007】さらに従来技術では、1本の曳航式アレイ
では目標信号が左右どちらから到来しているのかが推定
できないため、複数アレイを用いるとシステムが大規模
化、複雑化してしまい、曳航式アレイは運用に必要なウ
ィンチ、リール、固定具などを合わせると大掛かりなも
のとなり、しかも複数アレイを曳航するためにはかなり
高度なハンドリングおよび操船技術等が要求されるとい
う問題点があった。
【0008】本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、1本の曳航式アレ
イにより目標エコーの左右分別を行うことができ、海底
探査などの連続的なエコーレベル計測には適用でき、探
知の度に曳航船を回頭、再探知を繰り返す必要なく、最
終的な探知確認に至るまでの時間を短縮でき、システム
が簡略化でき、曳航式アレイは運用に必要なウィンチ、
リール、固定具などを最小限のものにでき、高度なハン
ドリング、操船技術等が要求されることのないアクティ
ブソーナー装置およびアクティブソーナー方法を提供す
る点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべく、以下に掲げる構成とした。請求項1記載の発明
の要旨は、海中に送波した音響送信信号に対する対象物
からの反射波であるエコーを受信して、受信した前記エ
コーを信号処理して表示装置に表示することにより前記
対象物の探知を行うアクティブソーナー装置であって、
左側海域に対して予め定められた周波数帯域の左側音響
送信信号を送波する左側音響送信信号発信手段と、右側
海域に対して前記左側音響送信信号の前記周波数帯域と
は重複しない予め定められた前記周波数帯域の右側音響
送信信号を送波する右側音響送信信号発信手段と、前記
対象物からの反射波である前記エコーを受波して受信信
号に変換するエコー受波手段と、該エコー受波手段から
の前記受信信号を前記左側音響送信信号に対応する前記
受信信号と前記右側音響送信信号に対応する前記受信信
号とに分離して信号処理を行う信号処理手段と、該信号
処理手段により信号処理した前記受信信号を表示する表
示手段とを具備することを特徴とするアクティブソーナ
ー装置に存する。また請求項2記載の発明の要旨は、前
記信号処理手段は、前記エコー受波手段からの前記受信
信号を前記左側音響送信信号の前記周波数帯域を含む通
過帯域でフィルタリングする左側帯域フィルタと、前記
エコー受波手段からの前記受信信号を前記右側音響送信
信号の前記周波数帯域を含む前記通過帯域でフィルタリ
ングする右側帯域フィルタとを具備することを特徴とす
る請求項1記載のアクティブソーナー装置に存する。ま
た請求項3記載の発明の要旨は、前記左側帯域フィルタ
と前記右側帯域フィルタとは、共通の前記通過帯域を重
複させないことを特徴とする請求項1又は2記載のアク
ティブソーナー装置に存する。また請求項4記載の発明
の要旨は、前記左側帯域フィルタの前記通過帯域と前記
右側帯域フィルタの前記通過帯域とは、隣接する前記通
過帯域にさせたことを特徴とする請求項1乃至3のいず
れかに記載のアクティブソーナー装置に存する。また請
求項5記載の発明の要旨は、前記左側音響送信信号発信
手段および前記右側音響送信信号発信手段は、指向性ア
レイで構成させたことを特徴とする請求項1乃至4のい
ずれかに記載のアクティブソーナー装置に存する。また
請求項6記載の発明の要旨は、前記エコー受波手段は、
複数のサブアレイからなる1本の曳航式アレイで構成さ
せたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載
のアクティブソーナー装置に存する。また請求項7記載
の発明の要旨は、前記エコー受波手段の先頭に配置させ
たディプレッサ機能を有する曳航体を具備し、該曳航体
に前記左側音響送信信号発信手段と前記右側音響送信信
号発信手段とを配置させたことを特徴とする請求項1乃
至6のいずれかに記載のアクティブソーナー装置に存す
る。また請求項8記載の発明の要旨は、海中に送波した
音響送信信号に対する対象物からの反射波であるエコー
を受信して、受信した前記エコーを信号処理して表示装
置に表示することにより前記対象物の探知を行うアクテ
ィブソーナー方法であって、左側海域に対して予め定め
られた周波数帯域の左側音響送信信号を送波し、右側海
域に対して前記左側音響送信信号の前記周波数帯域とは
重複しない予め定められた前記周波数帯域の右側音響送
信信号を送波し、前記対象物からの反射波である前記エ
コーを受波して受信信号に変換し、該受信信号を前記左
側音響送信信号に対応する前記受信信号と前記右側音響
送信信号に対応する前記受信信号とに分離して信号処理
を行い、該信号処理した前記受信信号を表示することを
特徴とするアクティブソーナー方法に存する。また請求
項9記載の発明の要旨は、前記受信信号を前記左側音響
送信信号の前記周波数帯域を含む通過帯域でフィルタリ
ングするとともに、前記受信信号を前記右側音響送信信
号の前記周波数帯域を含む前記通過帯域でフィルタリン
グすることを特徴とする請求項8記載のアクティブソー
ナー方法に存する。また請求項10記載の発明の要旨
は、前記左側音響送信信号の前記周波数帯域を含む前記
通過帯域と前記右側音響送信信号の前記周波数帯域を含
む前記通過帯域とは、重複しないことを特徴とする請求
項8又は9記載のアクティブソーナー方法に存する。ま
た請求項11記載の発明の要旨は、前記左側音響送信信
号の前記周波数帯域を含む前記通過帯域と前記右側音響
送信信号の前記周波数帯域を含む前記通過帯域とは、隣
接する前記周波数帯域とすることを特徴とする請求項8
乃至10のいずれかに記載のアクティブソーナー方法に
存する。また請求項12記載の発明の要旨は、前記左側
音響送信信号と前記右側音響送信信号とを指向性ビーム
とすることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに
記載のアクティブソーナー方法に存する。また請求項1
3記載の発明の要旨は、複数のサブアレイからなる1本
の曳航式アレイにより前記エコーを受波することを特徴
とする請求項8乃至12のいずれかに記載のアクティブ
ソーナー方法に存する。また請求項14記載の発明の要
旨は、前記曳航式アレイの先頭に配置したディプレッサ
機能を有する曳航体から前記左側音響送信信号と前記右
側音響送信信号とを送波することを特徴とする請求項8
乃至13のいずれかに記載のアクティブソーナー方法に
存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0011】図1は、本発明に係る実施の形態のアクテ
ィブソーナー装置の基本原理を示す原理図であり、図2
は、本発明に係る実施の形態のアクティブソーナー装置
の構成を示すブロック図であり、図3は、図2に示され
ている信号処理器の構成を示すブロック図である。
【0012】本発明の実施の形態は、自ら発した送信信
号のエコーを聞くアクティブ処理方式であるATAS(A
ctive Towed Array Sonar)を運用できる設備や環境を有
する艦船である曳航船と、送信用曳航体1と、曳航式ア
レイ2と、曳航船に搭載されている信号処理器3と、外
部ディスプレイ4と、CPU5とから構成されており、
送信用曳航体1と曳航船との間は信号/電源ラインおよ
びテンションメンバーからなる曳航ケーブルで接続さ
れ、曳航船から水中部の送信用曳航体1および曳航式ア
レイ2への電源供給と両者の通信を可能とし、曳航船に
より送信用曳航体1と曳航式アレイ2とを曳航すること
によって目標物の探知を行う。
【0013】送信用曳航体1は、側面方向に比較的大き
な断面積を持つ形状を有する筐体からなり、筐体の左舷
に配置された周波数帯域f1±fd1の帯域を持つ左舷
側指向性アレイ11と、筐体の右舷に配置された左舷側
指向性アレイ11の持つ周波数帯域とは異なる周波数帯
域f2±fd2の帯域を持つ右舷側指向性アレイ12
と、CPU5のコマンドを受けて左舷側指向性アレイ1
1から送信する送信信号を生成する左舷側送信装置13
と、CPU5のコマンドを受けて右舷側指向性アレイ1
2から送信する送信信号を生成する右舷側送信装置14
と、曳航式アレイ2からの受信信号を受信するプリプロ
セス回路15とからなる。なお、送信用曳航体1は、曳
航時の動揺安定を考慮し、全体形状は流線型で水平/垂
直安定翼を持つものが好ましく、水平翼には強い下向き
揚力を発生させる翼形状を持たせ、曳航式アレイのディ
プレッサ(沈降器)としても機能する。
【0014】左舷側指向性アレイ11は、左舷側送信装
置13からの左舷側電気送信信号を左舷側音響送信信号
に変換して左側海域(海中)に送波するもので、15±
2kHzの周波数帯域を持ち、13〜17kHzのチャ
ープ波(LFM)を左舷側音響送信信号として送波し、
右舷側指向性アレイ12は、右舷側送信装置14からの
右舷側電気送信信号を右舷側音響送信信号に変換して右
側海域(海中)に送波するもので、10±2kHzの周
波数帯域を持ち、左舷側音響送信信号の周波数帯域と重
複しない8〜12kHzのチャープ波(LFM)を右舷
側音響送信信号として送波する。なお、チャープ波の替
わりにPCW(Pulse Continuous Wave)、CDM(Cod
e Divided Modulation)などでもよい。
【0015】左舷側指向性アレイ11と右舷側指向性ア
レイ12とは、目標エコー/残響比(S/R比)を向上
するために、一般的なセラミック素子をグリッド構成に
して数10゜程度の水平/垂直指向性を有しており、上
方向への音響放射とそれに伴う海面残響を極力低減して
いる。なお、さほどシャープな指向性は要求されないの
で、水平/垂直にそれぞれ数段程度、長さで1〜2m程
度もあれば十分である。
【0016】左舷側送信装置13と右舷側送信装置14
とは、波形生成器と、A/D変換器(ADC)と、パワ
ーアンプとからなり、CPU5からの送信コマンドを受
け、送信波形を生成、もしくはウェーブメモリから読み
込み、A/D変換器(ADC)でアナログ信号に変換し
てパワーアンプへ送り、パワーアンプはそれぞれの電気
送信信号を十分なレベルに増幅して、左舷側指向性アレ
イ11と右舷側指向性アレイ12とにそれぞれ送信す
る。ここで左舷側指向性アレイ11に送信する左舷側電
気送信信号は13〜17kHzのチャープ波(LFM)
であり、右舷側指向性アレイ12に送信する右舷側電気
送信信号は8〜12kHzのチャープ波(LFM)であ
る。
【0017】プリプロセス回路15は、プリアンプと、
A/D変換器(ADC)と、帯域フィルタとからなり、
曳航式アレイ2からの微弱な受信信号をプリアンプによ
り増幅し、A/D変換器(ADC)によりデジタル信号
に変換し、帯域フィルタにより帯域フィルタリングを行
った後に信号処理器3に送信する。なお、プリプロセス
回路15は、一般的なソーナー信号処理にて用いられる
装置性能、機能の範疇であり、特に特殊な仕様を有さな
い。受信信号のA/D変換は一般的な12ビット程度、
サンプリングレートは17kHzの8倍程度で十分であ
る。
【0018】曳航式アレイ2は、複数の受波素子である
サブアレイ21〜24からなり、各サブアレイ21〜2
4はそれぞれ独立に音響信号を受信し、音響/電気変換
を行った受信信号をプリプロセス回路15へ送信する。
なお、曳航式アレイ2は、一般的な中性浮力のものを用
い、長さは所要の方位分解能にもよるが、本実施の形態
では、ATASとしては比較的高い周波数であるので1
0m程度の比較的短い曳航式アレイ2とし、受波特性と
しては送信帯域以上の広帯域性を有していることが必要
であり、左舷側音響送信信号と右舷側音響送信信号の周
波数帯域を含む周波数帯域5〜20kHzで十分な受波
感度を有していればよく、かつS/N比向上のためその
前後帯域の感度は低いほうが好ましい。また、サブアレ
イの配置は受信波長の1/2とするのが通常であり、本
実施の形態では、ここでは左舷側音響送信信号に周波数
帯域13〜17kHzを使用しているので、その波長の
半分の50mm間隔で曳航式アレイ2を構成した場合、
サブアレイの総数は200となる。
【0019】信号処理器3は、左右方向を分別する左舷
側帯域フィルタ31および右舷側帯域フィルタ32と、
ビームフォーミング位相整相を行う位相整相部33と、
レンジ分解能を向上する左舷側レンジ圧縮部34および
右舷側レンジ圧縮部35と、帯域変換によりデータレー
トを低減する左舷側ベースバンド変調部36および右舷
側ベースバンド変調部37と、受信信号のレベルを算出
する検波部38と、時間スケールをレンジスケールに変
換する時間/レンジ変換部39とからなり、曳航式アレ
イ2のサブアレイの数のデジタル入力と、曳航式アレイ
2のサブアレイの数のデジタル入力の入力信号を高速処
理できるアーキテクチャを有し、ビームフォーミングし
た曳航式アレイ2の各サブアレイ21〜24からの受信
信号を外部ディスプレイ4に出力する。なお、処理にリ
アルタイム性が必要とされない場合は、信号処理器3に
大容量ストレージを接続し、曳航式アレイ2からのデー
タである受信信号を接続した大容量ストレージに蓄積し
てオフライン処理してもよい。また信号処理器3の各機
能31〜39はソフトウェア実装され、DSP等により
処理されるものとする。
【0020】左舷側帯域フィルタ31は、通過帯域が左
舷側音響送信信号の周波数帯域を含む13〜17kHz
のデジタルフィルタであり、右舷側帯域フィルタ32
は、通過帯域が右舷側音響送信信号の周波数帯域を含む
8〜12kHzのデジタルフィルタであり、左舷側帯域
フィルタ31の通過帯域は、右舷側音響送信信号の周波
数帯域を含まず、同様に右舷側帯域フィルタ32の通過
帯域は、左舷側音響送信信号の周波数帯域を含まない。
【0021】外部ディスプレイ4は、信号処理器3から
の出力により曳航船の位置からレンジ方向へのエコーレ
ベル分布を画像として表示する。
【0022】CPU5は、送信用曳航体1、曳航式アレ
イ2、信号処理器3と制御ラインで接続されており、送
信信号の送波処理を指示する送信コマンドとエコーの受
信処理を指示する受信コマンドとを送り、一連のプロセ
スが正常に行われるように制御する。
【0023】次に、本発明の実施の形態の動作について
詳細に説明する。まず、CPU5が送信コマンドを左舷
側送信装置13と右舷側送信装置14とに送り、左舷側
送信装置13と右舷側送信装置14とは、CPU5から
の送信コマンドを受け、波形生成器で周波数帯域が13
〜17kHzの左舷側電気送信信号と周波数帯域が8〜
12kHzの右舷側電気送信信号とをそれぞれ生成し、
生成した左舷側電気送信信号と右舷側電気送信信号とを
A/D変換器(ADC)でアナログ信号に変換してパワ
ーアンプで十分なレベルに増幅して左舷側指向性アレイ
11と右舷側指向性アレイ12とにそれぞれ送信する。
【0024】左舷側指向性アレイ11と右舷側指向性ア
レイ12とは、左舷側送信装置13と右舷側送信装置1
4とから周波数帯域が13〜17kHzの左舷側電気送
信信号と周波数帯域が8〜12kHzの右舷側電気送信
信号とをそれぞれ受信すると、左舷側電気送信信号と右
舷側電気送信信号とを左舷側音響送信信号と右舷側音響
送信信号とにそれぞれ変換し、変換した周波数帯域が1
3〜17kHzのチャープ波(LFM)である左舷側音
響送信信号と周波数帯域が8〜12kHzのチャープ波
(LFM)である右舷側音響送信信号とを送信用曳航体
1の左右それぞれの海域(海中)にそれぞれ送波する。
【0025】左舷側指向性アレイ11と右舷側指向性ア
レイ12とは、適切な送波指向性を有しているため、右
舷側音響送信信号は空間的に左舷側へ放射されることは
ないか、極めて微弱なレベルでしか放射されず、左舷側
音響送信信号も同様に右舷側へ放射されることはない
か、極めて微弱なレベルでしか放射されず、また垂直指
向性により水平より上側への音響放射もないため、左右
それぞれの海域(海中)にそれぞれ送波された音響送信
信号と同じ周波数帯域のエコーが帰ってくる。すなわ
ち、左舷側からは、f1±fd1kHzの周波数帯域の
音響送信信号を送波するため、f1±fd1kHzの周
波数帯域のエコーが、右舷側からはf2±fd2kHz
の周波数帯域の音響送信信号を送波するため、f2±f
d2kHzの周波数帯域のエコーが戻ってくることにな
り、本実施の形態では、左舷側からは、13〜17kH
zの周波数帯域の左舷側音響送信信号を送波するため、
13〜17kHzの周波数帯域のエコーが、右舷側から
は、8〜12kHzの周波数帯域の右舷側音響送信信号
を送波するため、8〜12kHzの周波数帯域のエコー
がそれぞれ戻ってくる。
【0026】海中に送波された左舷側音響送信信号と右
舷側音響送信信号とは、海底面や目標に反射し、エコー
として曳航式アレイ2の位置に戻り、曳航式アレイ2の
各サブアレイ21〜24は、それぞれ独立に戻ってきた
エコーを受信し、音響/電気変換を行った受信信号をプ
リプロセス回路15へ送る。曳航式アレイ2の各サブア
レイ21〜24は、左右舷側からのエコーを同時に受信
し、受信信号は左右のエコーが時間領域で加算された状
態であり、受波レベルは伝搬減衰や反射損失のため一般
に微弱である。
【0027】音響送信信号の送信処理がなされた後、C
PU5は、プリプロセス回路15および信号処理器3に
対して受信コマンドを送り、プリプロセス回路15は、
CPU5からの受信コマンドを受け、曳航式アレイ2の
各サブアレイ21〜24から受信した受信信号をプリア
ンプで増幅し、A/D変換器(ADC)でデジタル信号
に変換、サンプリングを開始し、得られたデジタル受信
信号をデジタルフィルタ(BPF)で音響送信信号が含
まれる周波数帯域である5〜20kHzの周波数帯域を
フィルタリングすることでノイズ除去して信号処理器3
へ送信する。
【0028】信号処理器3は、CPU5からの受信コマ
ンドを受け、プリプロセス回路15からの受信信号を処
理し、ビームフォーミングおよび映像化を行う。
【0029】まず、プリプロセス回路15からの受信信
号を2分して、2分した受信信号を通過帯域が左舷側音
響送信信号の周波数帯域を含む13〜17kHzのデジ
タルフィルタである左舷側帯域フィルタ31と右舷側音
響送信信号の周波数帯域を含む8〜12kHzのデジタ
ルフィルタである右舷側帯域フィルタ32とによりそれ
ぞれ帯域分離を行い、左舷側帯域フィルタ31からのフ
ィルタ出力を左舷側エコーとし、右舷側帯域フィルタ3
2からのフィルタ出力を右舷側エコーとして後段の処理
を分けて行う。なお、左舷側帯域フィルタ31の通過帯
域は、右舷側音響送信信号の周波数帯域を含まず、同様
に右舷側帯域フィルタ32の通過帯域は、左舷側音響送
信信号の周波数帯域を含まないため、左舷側帯域フィル
タ31からのフィルタ出力は、左舷海域からのエコーに
対応し、同様に右舷側帯域フィルタ32からのフィルタ
出力は、右舷海域からのエコーに対応する。
【0030】次に左右分離された左舷側エコーと右舷側
エコーとは、位相整相部33により位相整相を施して方
位分解能を向上する。なお、位相整相部33での位相整
相処理は、遠距離音場が対象であれば通常の位相整相処
理であるが、近距離音場を扱う場合にはいわゆるダイナ
ミックフォーカシングが適用される。
【0031】次に位相整相した左舷側エコーと右舷側エ
コーとは、レンジ分解能を向上するための左舷側レンジ
圧縮部34と右舷側レンジ圧縮部35とによりレンジ圧
縮処理をそれぞれ行う。レンジ圧縮処理は、左右の送信
波形をそれぞれレプリカ信号としたマッチドフィルタに
より行われる。
【0032】レンジ圧縮処理がなされた左舷側エコーと
右舷側エコーとは、データレート低減のために、左舷側
ベースバンド変調部36と右舷側ベースバンド変調部3
7とによりベースバンド変調を行ってデータ量を間引
き、検波部38により2乗検波等の検波処理を行って受
信信号レベルを抽出し、時間/レンジ変換部39により
得られた時系列信号にスケール変換を施してエコー/レ
ンジ系列に直して、その瞬間の曳航船の位置からレンジ
方向へのエコーレベル分布として外部ディスプレイ4に
出力する。
【0033】曳航船は前方へ進行しながら上記のプロセ
スを繰り返し実行することで、曳航船が通過した海域の
詳細な2次元エコーレベル分布が外部ディスプレイ4に
得られる。
【0034】なおビームフォーミングにあたっては曳航
式アレイの水中姿勢がいわゆる直線形状であることを前
提としているが、潮流等の影響を受けて著しく歪んでい
る場合があり、この場合は十分な方位分解能が得られな
いため、曳航式アレイの水中形状が歪んでしまう効果を
キャンセルするために特開平7−333318、特開平
7−27851といった水中形状検出および補正方式を
適用することが挙げられる。
【0035】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、1本の曳航式アレイにより目標エコーの左右分別を
行うことができ、海底探査などの連続的なエコーレベル
計測には適用でき、探知の度に曳航船を回頭、再探知を
繰り返す必要なく、最終的な探知確認に至るまでの時間
を短縮でき、システムが簡略化でき、曳航式アレイは運
用に必要なウィンチ、リール、固定具などを最小限のも
のにでき、高度なハンドリング、操船技術等が要求され
ることのないという効果を奏する。
【0036】本実施の形態では、音源である左舷用指向
性アレイ11および右舷用指向性アレイ12のプラット
フォームとして送信用曳航体1を用いているが、送信用
曳航体1の替わりに左舷用指向性アレイ11および右舷
用指向性アレイ12を曳航船の船底に直接配置してもよ
く、この場合、送信用曳航体1が必要ないため、構成は
簡略化されるが、音源が海面付近にあることから海面反
射による残響が混入しやすくなり、深い深度で運用する
場合に比べて探知・捜索性能が悪化することが予測され
る。従って、船底にアレイを配する方式でシステムを構
成する場合は、海面残響を抑圧するための何らかの手
段、方式を別途追加する必要がある。
【0037】また音源として用いている左舷用指向性ア
レイ11および右舷用指向性アレイ12をパラメトリッ
ク音源で代替してもよく、この場合、パラメトリック音
源の特性からアレイの物理的寸法や重量の低減が期待で
きるが、送波レベルが通常のアレイに比べて大きく劣る
ため、捜索レンジが短くなることが予想され、パラメト
リック音源を用いたシステム構成とする場合では、航走
雑音の低減、曳航式アレイの受波感度向上、システムの
セットノイズ低減といった技術が別途要求される。また
運用については背景雑音レベルがある程度以上低い環境
下に限定されることも予測される。
【0038】さらに送信用曳航体1に搭載されているプ
リプロセス回路15を曳航船側に配置してもよく、この
場合、曳航式アレイ2の受信信号はアナログ信号のまま
曳航ケーブルの信号ラインを介して曳航船側まで伝送さ
れることになるが、受波信号は通常微弱レベルであるた
め、曳航ケーブルが長くなるとノイズに埋もれてしまう
可能性がある。
【0039】さらに送信用曳航体1のプリプロセス回路
15のA/D変換器を曳航船側に配置し、曳航ケーブル
の伝送はアナログ信号で行ってもよいが、一般にアナロ
グ通信はノイズ耐性でデジタル通信に劣るため、システ
ム構築上は伝送の前にA/D変換しておくほうが好まし
い。
【0040】なお、本発明が上記各実施形態に限定され
ず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は
適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成
部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定され
ず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にす
ることができる。なお、各図において、同一構成要素に
は同一符号を付している。
【0041】
【発明の効果】本発明のアクティブソーナー装置および
アクティブソーナー方法は、1本の曳航式アレイにより
目標エコーの左右分別を行うことができ、海底探査など
の連続的なエコーレベル計測には適用でき、探知の度に
曳航船を回頭、再探知を繰り返す必要なく、最終的な探
知確認に至るまでの時間を短縮でき、システムが簡略化
でき、曳航式アレイは運用に必要なウィンチ、リール、
固定具などを最小限のものにでき、高度なハンドリン
グ、操船技術等が要求されることのないという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態のアクティブソーナー
装置の基本原理を示す原理図である。
【図2】本発明に係る実施の形態のアクティブソーナー
装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示されている信号処理器の構成を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
1 送信用曳航体 2 曳航式アレイ 3 信号処理器 4 外部ディスプレイ 5 CPU 11 左舷側指向性アレイ 12 右舷側指向性アレイ 13 左舷側送信装置 14 右舷側送信装置 15 プリプロセス回路 21〜24 サブアレイ 31 左舷側帯域フィルタ 32 右舷側帯域フィルタ 33 位相整相部 34 左舷側レンジ圧縮部 35 右舷側レンジ圧縮部 36 左舷側ベースバンド変調部 37 右舷側ベースバンド変調部 38 検波部 39 時間/レンジ変換部

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海中に送波した音響送信信号に対する対
    象物からの反射波であるエコーを受信して、受信した前
    記エコーを信号処理して表示装置に表示することにより
    前記対象物の探知を行うアクティブソーナー装置であっ
    て、 左側海域に対して予め定められた周波数帯域の左側音響
    送信信号を送波する左側音響送信信号発信手段と、 右側海域に対して前記左側音響送信信号の前記周波数帯
    域とは重複しない予め定められた前記周波数帯域の右側
    音響送信信号を送波する右側音響送信信号発信手段と、 前記対象物からの反射波である前記エコーを受波して受
    信信号に変換するエコー受波手段と、 該エコー受波手段からの前記受信信号を前記左側音響送
    信信号に対応する前記受信信号と前記右側音響送信信号
    に対応する前記受信信号とに分離して信号処理を行う信
    号処理手段と、 該信号処理手段により信号処理した前記受信信号を表示
    する表示手段とを具備することを特徴とするアクティブ
    ソーナー装置。
  2. 【請求項2】 前記信号処理手段は、前記エコー受波手
    段からの前記受信信号を前記左側音響送信信号の前記周
    波数帯域を含む通過帯域でフィルタリングする左側帯域
    フィルタと、 前記エコー受波手段からの前記受信信号を前記右側音響
    送信信号の前記周波数帯域を含む前記通過帯域でフィル
    タリングする右側帯域フィルタとを具備することを特徴
    とする請求項1記載のアクティブソーナー装置。
  3. 【請求項3】 前記左側帯域フィルタと前記右側帯域フ
    ィルタとは、共通の前記通過帯域を重複させないことを
    特徴とする請求項1又は2記載のアクティブソーナー装
    置。
  4. 【請求項4】 前記左側帯域フィルタの前記通過帯域と
    前記右側帯域フィルタの前記通過帯域とは、隣接する前
    記通過帯域にさせたことを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載のアクティブソーナー装置。
  5. 【請求項5】 前記左側音響送信信号発信手段および前
    記右側音響送信信号発信手段は、指向性アレイで構成さ
    せたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    のアクティブソーナー装置。
  6. 【請求項6】 前記エコー受波手段は、複数のサブアレ
    イからなる1本の曳航式アレイで構成させたことを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載のアクティブソ
    ーナー装置。
  7. 【請求項7】 前記エコー受波手段の先頭に配置させた
    ディプレッサ機能を有する曳航体を具備し、 該曳航体に前記左側音響送信信号発信手段と前記右側音
    響送信信号発信手段とを配置させたことを特徴とする請
    求項1乃至6のいずれかに記載のアクティブソーナー装
    置。
  8. 【請求項8】 海中に送波した音響送信信号に対する対
    象物からの反射波であるエコーを受信して、受信した前
    記エコーを信号処理して表示装置に表示することにより
    前記対象物の探知を行うアクティブソーナー方法であっ
    て、 左側海域に対して予め定められた周波数帯域の左側音響
    送信信号を送波し、 右側海域に対して前記左側音響送信信号の前記周波数帯
    域とは重複しない予め定められた前記周波数帯域の右側
    音響送信信号を送波し、 前記対象物からの反射波である前記エコーを受波して受
    信信号に変換し、 該受信信号を前記左側音響送信信号に対応する前記受信
    信号と前記右側音響送信信号に対応する前記受信信号と
    に分離して信号処理を行い、 該信号処理した前記受信信号を表示することを特徴とす
    るアクティブソーナー方法。
  9. 【請求項9】 前記受信信号を前記左側音響送信信号の
    前記周波数帯域を含む通過帯域でフィルタリングすると
    ともに、 前記受信信号を前記右側音響送信信号の前記周波数帯域
    を含む前記通過帯域でフィルタリングすることを特徴と
    する請求項8記載のアクティブソーナー方法。
  10. 【請求項10】 前記左側音響送信信号の前記周波数帯
    域を含む前記通過帯域と前記右側音響送信信号の前記周
    波数帯域を含む前記通過帯域とは、重複しないことを特
    徴とする請求項8又は9記載のアクティブソーナー方
    法。
  11. 【請求項11】 前記左側音響送信信号の前記周波数帯
    域を含む前記通過帯域と前記右側音響送信信号の前記周
    波数帯域を含む前記通過帯域とは、隣接する前記周波数
    帯域とすることを特徴とする請求項8乃至10のいずれ
    かに記載のアクティブソーナー方法。
  12. 【請求項12】 前記左側音響送信信号と前記右側音響
    送信信号とを指向性ビームとすることを特徴とする請求
    項8乃至11のいずれかに記載のアクティブソーナー方
    法。
  13. 【請求項13】 複数のサブアレイからなる1本の曳航
    式アレイにより前記エコーを受波することを特徴とする
    請求項8乃至12のいずれかに記載のアクティブソーナ
    ー方法。
  14. 【請求項14】 前記曳航式アレイの先頭に配置したデ
    ィプレッサ機能を有する曳航体から前記左側音響送信信
    号と前記右側音響送信信号とを送波することを特徴とす
    る請求項8乃至13のいずれかに記載のアクティブソー
    ナー方法。
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