JP2001133393A - コーティング薄膜の強度評価方法 - Google Patents

コーティング薄膜の強度評価方法

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JP2001133393A JP31297699A JP31297699A JP2001133393A JP 2001133393 A JP2001133393 A JP 2001133393A JP 31297699 A JP31297699 A JP 31297699A JP 31297699 A JP31297699 A JP 31297699A JP 2001133393 A JP2001133393 A JP 2001133393A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーティング簿膜の膜自体の強度や基材との
密着強度等の各強度を客観的に評価できるようにする。 【解決手段】 基材2表面に所定の方法により形成され
たコーティング簿膜3の強度評価方法であって、前記コ
ーティング簿膜3層単体を前記基材2の端面より適宜な
長さ突出するようにひさし4状に加工するとともに、該
ひさし4状に突出したコーティング簿膜3層に該膜面に
対して少なくとも垂直方向の荷重を適宜印加し、前記コ
ーティング簿膜3の前記基材2からの剥離またはコーテ
ィング簿膜3層の破断における前記荷重の変化と亀裂進
展量との関係に基づいてコーティング簿膜の密着強度ま
たはコーティング簿膜自体の強度を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、基材上に形成さ
れたコーティング薄膜の強度、特には該コーティング薄
膜自体の機械的強度並びに前記基材に対する密着強度を
客観的な数値として評価することのできるコーティング
薄膜の強度評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コーティング薄膜、例えばダイヤ
モンド薄膜等の高硬度薄膜は、その硬度が高いことから
切削工具の刃先に用いられる超硬合金の摩耗を低減させ
るとともに、切削におけるオイルレス化を実現させる技
術として着目され、これらダイヤモンド薄膜等は、その
形成技術であるCVD法や気相プラズマ法の薄膜形成技
術の発展により、前記超硬合金にとどまらず簡便に種々
の基材に形成可能となって、その応用範囲が拡大してき
ている。
【0003】このため、これらコーティング薄膜が形成
される製品の設計および管理においては、これらコーテ
ィング薄膜の強度評価を客観的に実施できる評価方法が
重要となってきている。
【0004】これらコーティング膜の強度を評価する手
法として、その厚みが比較的厚いコーティング膜である
場合には、通常の構造材料に関して適用可能な強度評価
手法をそのまま用いることが可能である。例えば、10
0μmを超える厚さを有するダイヤモンドコーティング
膜の強度(じん性)をコンパクトテンション試験片(構
造材料のじん性計測のための標準試験片の1つ)により
計測した例が報告されているが、これらの手法では、前
記100μm以下、特に前述のCVD法や気相プラズマ
法等により形成される数μm程度の薄膜の強度(じん
性)を正確に測定、評価することは不可能である。
【0005】また、これらコーティング薄膜の強度、特
に基材との界面じん性について評価する手法として、延
性に富む金属基板、例えば金等にコーティング薄膜を形
成し、該金属基板を塑性変形させてコーティング薄膜の
基材との界面じん性を評価したものがあるが、この場合
においては、前記のように基材が限定されてしまい、実
際にコーティング薄膜が形成される基材による評価は不
可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来にお
いては、これらコーティング薄膜の膜自体の強度や基材
との密着強度等の各強度を客観的に評価できる方法が存
在しないことから、これらコーティング薄膜が形成され
る製品の設計等においては、種々の条件によりコーティ
ング薄膜が形成された各サンプルの特性をそれぞれ評価
し、目的の特性が得られる形成条件を試行錯誤により探
し出すことが実施されており、これら製品設計等におい
ては、多大の労力や時間を要してしまうという問題があ
った。
【0007】よって、本発明は上記した問題点に着目し
てなされたもので、前記のようなコーティング薄膜の膜
自体の強度や基材との密着強度等の各強度を客観的に評
価できるコーティング薄膜の強度評価方法を提供するこ
とを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した問題を解決する
ために、本発明のコーティング薄膜の強度評価方法は、
基材表面に所定の方法により形成されたコーティング薄
膜の強度評価方法であって、前記コーティング薄膜層単
体を前記基材の端面より適宜な長さ突出するようにひさ
し状に加工するとともに、該ひさし状に突出したコーテ
ィング薄膜層に該膜面に対して少なくとも垂直方向の荷
重を適宜印加し、前記コーティング薄膜の前記基材から
の剥離またはコーティング薄膜層の破断における前記荷
重の変化とき裂進展量との関係に基づいてコーティング
薄膜の密着強度またはコーティング薄膜自体の強度を評
価することを特徴としている。この特徴によれば、前記
コーティング薄膜が形成された基材がどのような基材で
あっても、コーティング薄膜の膜自体の強度や基材との
密着強度等の各強度を客観的に評価できるようになり、
前述のような製品設計等における労力や時間を大幅に低
減することが可能となる。
【0009】本発明のコーティング薄膜の強度評価方法
は、前記コーティング薄膜の硬度が前記基材の硬度より
も高い場合において前記コーティング薄膜層単体をひさ
し状に加工する手法が、コーティング薄膜が形成された
前記基材の端面に研磨材を適宜な荷重にて当接して研磨
する研磨手法であることが好ましい。このようにすれ
ば、研磨材を基材の端面に適宜な荷重にて当接して研磨
するのみで、簡便に前記コーティング薄膜のひさしを得
ることができる。
【0010】本発明のコーティング薄膜の強度評価方法
は、前記コーティング薄膜層単体をひさし状に加工する
手法が、前記基材を優先的にエッチング可能な薬剤また
はレーザー光によるエッチングであることが好ましい。
このようにすれば、例え前記コーティング薄膜が曲率を
有する基材上に形成されていても、コーティング薄膜を
破損することなく前記ひさし状の加工を良好に実施する
ことができる。
【0011】本発明のコーティング薄膜の強度評価方法
は、前記垂直方向の荷重印加時において、前記コーティ
ング薄膜の膜面に対して水平方向で、かつ該膜面方向に
向かう荷重を印加することが好ましい。このようにすれ
ば、前記コーティング薄膜に荷重を印加する押圧子が、
コーティング薄膜から脱落することを防止できるように
なる。
【0012】本発明のコーティング薄膜の強度評価方法
は、前記ひさし状としたコーティング薄膜に、適宜な長
さの切り込みを形成し、少なくとも該切り込みの一方側
において前記垂直方向の荷重を適宜印加することが好ま
しい。このようにすれば、前記基材との密着力に伴うじ
ん性に影響されることなく、コーティング薄膜自体の機
械的強度(じん性)を評価できるようになるばかりか、
き裂の進行方向が所定の方向にほぼ安定して生成するよ
うになるため、より正確な評価が可能となる。
【0013】本発明のコーティング薄膜の強度評価方法
は、前記各強度を特定する手法が、前記コーティング薄
膜と基材またはコーティング薄膜自体におけるき裂の進
展状況の有限要素法による模擬式を作成し、き裂前縁に
おける前記各強度の各値を前記模擬式に入力し、前記に
て測定された荷重とき裂進展量との関係とほぼ一致する
前記入力値を各強度とすることが好ましい。このように
すれば、き裂を生じたコーティング薄膜の幅や形状等に
依存することなく、各強度を客観的な数値にて評価する
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施形態を説明する。
【0015】(実施例1)図1は、本実施例1における
コーティング薄膜の強度評価方法に用いた試料の作成状
況を示す断面図であり、図2は、本実施例1における前
記試料を用いたコーティング薄膜の強度評価方法の測定
状況を示す図である。
【0016】まず、本実施例1に使用する試料1として
は、切削工具等に広く使用されているタングステンカー
バイト・コバルト合金の超硬チップ基材2の表面に、ダ
イヤモンド薄膜3を蒸着雰囲気中に適宜メタンガスを存
在させた状態にてCVD法により所定厚みに形成したも
のを使用し、本実施例1では前記ダイヤモンド薄膜3の
厚みをほぼ12μmとしており、これら試料1は実際に
製品として使用されるものと同一の条件にて形成された
ものまたは製品そのものの一部を使用することができ
る。
【0017】これら試料1は、タングステンカーバイト
・コバルト合金の超硬チップ基材2よりもダイヤモンド
薄膜3が硬いことから、図1に示すように、前記ダイヤ
モンド薄膜3が形成された前記合金基材2の端面13
に、研磨材、特に本実施例では前述のように薄膜が最も
硬いダイヤモンド薄膜3であるため、その表面にダイヤ
モンド砥粒を適宜塗布した金属板(本実施例では銅板)
から成る研磨材を、研磨により生成するダイヤモンド薄
膜3のひさし4が、著しく破損しないような適宜な荷重
にて当接させて研磨することで、ダイヤモンド薄膜3が
研磨される研磨量と合金基材2が研磨される研磨量とに
差が生じ、硬度の低い合金基材2が多く研磨されて、ダ
イヤモンド薄膜3のひさし4が形成される。
【0018】これらひさし4を形成する手法を、前記の
ように合金基材2の端面13に研磨材を当接して研磨す
ることは、簡便にてひさしを形成することが可能となる
ことから好ましいが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、これらひさしを形成する手法は、使用する基材
2や薄膜3の材質や、必要とされるひさしの長さ等によ
り適宜に選択すれば良く、例えば前記超硬チップ基材2
をダイヤモンド薄膜3が形成されていない面側より、そ
の端部の所定長さに渡ってダイヤモンドペーストにて研
磨することで得ても良いし、後述する実施例2のよう
に、エッチング等により形成するようにしても良い。
【0019】これら形成されるひさし4の長さは、この
長さが小さいと、該ひさし4に後述する針材5の先端が
係止されにくくなり、この長さが大きいと、前記超硬チ
ップ基材2の研磨による除去処理に長い時間を要してし
まうことから、前記ひさし4に針材5の先端が良好に係
止される適宜な長さとすれば良い。
【0020】また、これらひさし4を形成する手法は、
前記のダイヤモンドペーストによる研磨に限定されるも
のではなく、前記薄膜がチタンナイトライド(TiN)
等のセラミック等である場合には、これら形成される薄
膜より柔らかくかつ基材を研磨可能な適宜な研磨材を使
用すれば良い。
【0021】更には、これらひさし4を形成する手法と
して、前記ダイヤモンド薄膜3やチタンナイトライド
(TiN)等のセラミック薄膜等の薄膜を溶解せずに、
超硬チップ基材2等の基材のみを優先的に溶解する溶液
を用いて基材のみを選択的にエッチングにて除去しても
良く、更にはこれら基材の除去をYAGレーザーやエキ
シマレーザーを用いて実施したり、これら各手法や前記
研磨手法等を適宜に組み合わせて使用しても良い。
【0022】このようにして形成されたひさし4には、
図2に示すように、その下方側より針材5の先端が前記
ひさし4に係止されるように配置され、該針材5は、針
材5に加えられる水平並びに垂直方向の各力(荷重)の
大きさを個々に検出可能なロードセル6を介して前記針
材5を水平並びに垂直方向に移動させるX−Yテーブル
10に取付けられている。尚、本実施例では前記のよう
に、基材2を固定して針材5をX−Yテーブル10にて
移動しているが、本発明はこれに限定されるものではな
く、前記針材5を前記ロードセル6を介して固定し、基
材2をX−Yテーブルに取付けて移動させるようにして
も良い。
【0023】本実施例1では前記針材5としてダイヤモ
ンド針を用いているが、このように針材の材質をダイヤ
モンドとすることは、硬質な薄膜を対象とした計測にお
いても、針先がつぶれることがなく、針材交換の手間等
を低減できることから好ましいが、本発明はこれに限定
されるものではなく、これら針材5の材質をその他のも
のとしても良く、これら材質は前記薄膜の材質や厚み等
により適宜に選択すれば良い。
【0024】前記X−Yテーブル10の移動により、前
記針材5にひさし4を上方へ押し上げる力Fyと、針材
5を前記超硬チップ基材2の端面13に押しつける前記
ダイヤモンド薄膜3の膜面と水平方向の力Fxを適宜印
加可能とされ、該針材5を介して前記ひさし4に印加さ
れた各方向の力(荷重)の大きさの時間変化が、前記ロ
ードセル6にて検出され、レコーダ7に記録される。
【0025】この際、前記ダイヤモンド薄膜3の上面に
設けられたCCDイメージセンサ8により、ダイヤモン
ド薄膜3と超硬チップ基材2との間に生成する各経過時
間毎のき裂の長さが測定され、レコーダ9に記録され
る。このようにCCDイメージセンサ8によるき裂の長
さ測定は、自動にて測定が実施できることから好ましい
が、本発明はこれに限定されるものではなく、これらき
裂の長さを各経過時間毎に測定者が顕微鏡等により測定
してプロットするようにしても良い。
【0026】また、本実施例1では前述のように、ダイ
ヤモンド薄膜3の膜面に水平方向の荷重Fxを適宜に印
加しているが、このようにすることは、前記針材5とひ
さし4との係合が外れにくく、垂直方向の荷重Fyの印
加によるひさし4の変形により針材5が脱落することを
適宜防止できるようになることから好ましいが、本発明
はこれに限定されるものではなく、前記ひさし4の変形
量が少なく、針材5が脱落する可能性が低い場合には、
これら水平方向の荷重Fxを印加せずとも良い。
【0027】これら荷重の印加の状況を、図3のチャー
トを参考に説明すると、まず前記垂直方向の荷重Fyの
印加の前に、予め水平方向に所定の荷重Fxを印加して
おき、該荷重Fxは測定中においてほぼ一定となるよう
にしておく。
【0028】前記水平方向の荷重Fxが所定の荷重にほ
ぼ達した後、前記垂直方向の荷重印加を開始し、該印加
荷重を徐々に大きくしていく。
【0029】該印加荷重の大きさが増大するにつれて、
ダイヤモンド薄膜3と超硬チップ基材2との界面にき裂
が進展し、やがて図4に示すように、ダイヤモンド薄膜
3が破断して脱落する。これらダイヤモンド薄膜3が脱
落した後も荷重Fyを測定することで、該荷重Fyの大
きさが前記針材5と超硬チップ基材2の端面13との摩
擦による抵抗Frに相当することから、このFrの大き
さを特定することができ、前記き裂が進展において印加
した荷重Fyより該抵抗Frの大きさを差し引くことに
より、実際にひさし4に印加された実荷重の大きさを算
出することができる。
【0030】これらの測定結果より、前記荷重Fyより
抵抗Frを減じた実荷重と、き裂進展長さとの関係を図
3のようにして把握することができる。
【0031】これらひさし4に印加した実荷重とき裂進
展長さとの関係は、図5に示す有限要素モデルを一例と
する有限要素法により、各き裂進展長さ位置における荷
重とじん性(破断発生時におけるエネルギ解放率の限界
値)との関係を以下の式より求めることができる。
【数式1】
【0032】但し、F=F+fP,Δ=Δ+δPで
あって、Fはき裂前縁の節点反力、Δはこれを解放した
際に生じる節点の相対変位を示す。また、ΔAは、この
節点の解放により進展したき裂面積を示す。
【0033】前記式において、節点力Fおよび節点変位
Pは、残留応力による寄与分F,Δと外荷重による
寄与分fP,δPとから成り、後者は一般に外荷重Pに
比例する。F,Δおよび外荷重の寄与分に対する係
数f,δは、複数の荷重(例えばP=0とP=1)にお
いて有限要素法により、前記節点反力F、変位Δを求め
ることで、各き裂長さ(き裂前縁位置)において算出す
ることができる。これら有限要素法により得られた
,Δ,f,δの各値と、前記数式1の左辺に仮定
したじん性値Gを代入して、荷重Pに関して式を解くこ
とで、各き裂長さにおける荷重が特定されるようにな
る。
【0034】このように、き裂前縁におけるじん性(J
/m)として適宜な数値を仮定することにより、該仮
定値におけるき裂進展長さと荷重との関係を逆に算出す
ることができ、これら前記図5に示す有限要素モデルに
おける有限要素法においてき裂前縁におけるじん性とし
て10J/m、15J/m、20J/mの各値を
与えた際のき裂進展長さと荷重との関係、並びに前記に
て実測したき裂進展長さと荷重との関係とを示したグラ
フを図6に示す。
【0035】これら仮定された複数の値の各じん性にお
けるき裂進展長さと荷重との関係と、実測されたき裂進
展長さと荷重との関係とから、実測値が前記じん性仮定
値の10〜15J/mの間に位置することから、測定
に供された前記ダイヤモンド薄膜3の剥離におけるじん
性の大きさはおよそ12〜14J/m程度であると特
定でき、評価することができる。
【0036】これら評価において、より高精度の評価を
行いたい場合には、前記にて仮定したじん性値をより細
かな数値幅にて変化させ、測定結果に最も近い計算結果
が得られるじん性値を求めるようにすれば良い。
【0037】この場合、実験結果を入力として与え、繰
り返し計算を実施して計算結果を測定結果に対して最適
化し、仮定するじん性が収束する値を評価結果とする方
法としても良い。
【0038】また、これら繰り返しの計算に際しては、
予めいくつかのじん性値について有限要素法等により計
算を実施して該計算結果をデータベース化し、形状変化
や中間のじん性値についてこれらを補間する等の手法を
行えば、計測を行う度に有限要素法に伴う多大な計算を
行うことを回避して、迅速な評価を実施することもでき
る。
【0039】(実施例2)本実施例2の試料は、前記実
施例が基材と薄膜との密着強度を評価したが、本実施例
2では、薄膜自体の強度の評価を行う例を示す。
【0040】本実施例2の試料1’は、前記実施例1の
試料1が基材として超硬チップ基材2を用いていたのに
対し、本実施例2では基材として単結晶シリコンから成
るシリコンウエハ基板を使用し、該シリコンウエハ基板
上に実施例1と同様の手法にてダイヤモンド薄膜3が形
成されたものを使用している。
【0041】これら試料1’も、図7に示すように、前
記シリコンウエハ基板の端面より突出するダイヤモンド
薄膜3のひさし4が、フッ酸+硝酸水溶液による選択性
エッチングにより形成されており、該ひさし4の端部位
置には、集束イオンビーム(FIB)により、所定の長
さの切り込みであるノッチ11が形成されている。
【0042】これらノッチ11の形状や長さ等は、後述
する荷重の印加により、該ノッチ11に繋がるようにき
裂12の生成がなされるようになるものであれば良く、
特に限定されるものではない。また、本実施例では該ノ
ッチ11を集束イオンビーム(FIB)により形成して
いるが、これらFIBによる形成手法は該ノッチ11を
非接触により形成でき、前記ひさし4が破断することが
ないことから好ましいが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、これらノッチ11の形成方法を他の手法と
しても良く、更には、これらノッチ11の形成を前記選
択性エッチングの前に事前に実施するようにしても良
い。
【0043】また、これらノッチ11を形成する位置と
しては、本実施例のようにひさし4の端部位置に限定さ
れるものではなく、例えば図10に示すように、ひさし
4とシリコンウエハ基板との境界領域に、該シリコンウ
エハ基板の端面に沿って形成するようにしても良い。
【0044】このようにして形成された前記ノッチ11
の周辺位置、本実施例では図7の「X」で示す前記ノッ
チ11の両側位置において、所定の金属針を用いて同一
垂直方向(下方)にほぼ等しい荷重をかけ、前記実施例
1の界面き裂の場合と同様に、荷重印加において進展し
たき裂12の進展長さとの関係を、前記実施例1と同様
に測定する。
【0045】本実施例では、前記のように前記ノッチ1
1の両側位置において同一垂直方向(下方)にほぼ等し
い荷重を印加しているが、これら荷重の印加方法はこれ
に限定されるものではなく、図11(a)に示すよう
に、前記ノッチ11を開く方向の荷重を印加したり、図
11(b)に示すように、前記ノッチ11の両側位置に
おいて異なる垂直方向に荷重を印加しても良い。
【0046】しかしながら、前記ノッチ11を開く方向
の荷重を印加するには、少なくともノッチ11の片方の
ダイヤモンド薄膜3を、水平方向に引っ張ることができ
るようにする必要があり、これら引っ張りを行うために
前記ノッチ11内にワイヤ等を挿入すること等は非常に
困難であり、測定の操作性が低下してしまうし、前記の
ようにノッチ11の両側位置において異なる垂直方向に
荷重を印加する場合は、荷重により生成するき裂12の
き裂面に、該荷重によりひさし4が変形することで摩擦
が生じるようになり、これら摩擦が測定に悪影響を及ぼ
す場合が生じることから、前記のようにノッチ11の両
側位置において同一垂直方向(下方)にほぼ等しい荷重
を印加することで、前記の操作性の低下やき裂12のき
裂面に変位による摩擦が生じることをほぼ無くすことが
できることから好ましい。
【0047】これらひさし4部分において前記ノッチ1
1より進展するき裂12の進展長さと前記荷重との関係
は、前記実施例1と同様に該ひさし4部分(ダイヤモン
ド薄膜内)のみの有限要素モデルを用いて有限要素法に
よる計算にて模擬式を得ることができ、その模擬式によ
る荷重5.1×10−3N(50mgf)、膜厚2μm
における計算例を図8に示す。
【0048】これら前記有限要素法を用いたき裂12の
進展長さと前記荷重との関係式に、前記実施例1と同様
にじん性として適宜な数値を仮定して代入することによ
り、該仮定値におけるき裂進展長さと荷重との関係を図
9に示すように、算出することができ、これら仮定した
じん性値によるき裂進展長さと荷重との関係と、前記実
測したき裂進展長さと荷重との関係とを比較することに
より、測定に供したダイヤモンド薄膜自体の強度である
じん性値を評価することができるようになる。
【0049】以上、本発明の実施形態を図面により前記
各実施例にて説明してきたが、本発明はこれら各実施例
に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない
範囲における変更や追加があっても本発明に含まれるこ
とは言うまでもない。
【0050】また、前記各実施例においては、き裂進展
状況の模擬式を有限要素法にて得ているが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、これら模擬式を境界要素
法や差分法等の他の方法にて得ても良い。
【0051】
【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。
【0052】(a)請求項1の発明によれば、前記コー
ティング薄膜が形成された基材がどのような基材であっ
ても、コーティング薄膜の膜自体の強度や基材との密着
強度等の各強度を客観的に評価できるようになり、前述
のような製品設計等における労力や時間を大幅に低減す
ることが可能となる。
【0053】(b)請求項2の発明によれば、このよう
にすれば、研磨材を基材の端面に適宜な荷重にて当接し
て研磨するのみで、簡便に前記コーティング薄膜のひさ
しを得ることができる。
【0054】(c)請求項3の発明によれば、例え前記
コーティング薄膜が曲率を有する基材上に形成されてい
ても、コーティング薄膜を破損することなく前記ひさし
状の加工を良好に実施することができる。
【0055】(d)請求項4の発明によれば、前記コー
ティング薄膜に荷重を印加する押圧子が、コーティング
薄膜から脱落することを防止できるようになる。
【0056】(e)請求項5の発明によれば、前記基材
との密着力に伴うじん性に影響されることなく、コーテ
ィング薄膜自体の機械的強度(じん性)を評価できるよ
うになるばかりか、き裂の進行方向が所定の方向にほぼ
安定して生成するようになるため、より正確な評価が可
能となる。
【0057】(f)請求項6の発明によれば、き裂を生
じたコーティング薄膜の幅や形状等に依存することな
く、各強度を客観的な数値にて評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に用いた試料を示す側断面図
である。
【図2】本発明の実施例1において実施した測定状況を
示す図である。
【図3】本発明の実施例1において測定した測定結果の
グラフを例示する図である。
【図4】本発明の実施例1において測定後の試料を示す
上面図である。
【図5】本発明の実施例1において用いた有限要素モデ
ルを示す図である。
【図6】本発明の実施例1において有限要素法にて求め
たき裂進展長さと荷重との関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例2において用いた試料を示す上
面図である。
【図8】本発明の実施例2の試料におけるき裂長さとじ
ん性との関係の一例を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例2において有限要素法にて求め
たき裂進展長さと荷重との関係を示す図である。
【図10】本発明のその他の形態の試料を示す上面図で
ある。
【図11】本発明のその他の荷重印加の形態を示す図で
ある。
【符号の説明】
l 試料 2 超硬チップ基材 3 ダイヤモンド薄膜 4 ひさし 5 針材 6 ロードセル 7 レコーダ 8 CCDイメージセンサ 9 レコーダ 10 X−Yテーブル 11 ノッチ 12 き裂 13 端面(基材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G061 AA01 AB01 BA01 BA03 CB15 EA01 EA10 EB05 EB07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に所定の方法により形成された
    コーティング薄膜の強度評価方法であって、前記コーテ
    ィング薄膜層単体を前記基材の端面より適宜な長さ突出
    するようにひさし状に加工するとともに、該ひさし状に
    突出したコーティング薄膜層に該膜面に対して少なくと
    も垂直方向の荷重を適宜印加し、前記コーティング薄膜
    の前記基材からの剥離またはコーティング薄膜層の破断
    における前記荷重の変化とき裂進展量との関係に基づい
    てコーティング薄膜の密着強度またはコーティング薄膜
    自体の強度を評価することを特徴とするコーティング薄
    膜の強度評価方法。
  2. 【請求項2】 前記コーティング薄膜の硬度が前記基材
    の硬度よりも高い場合において前記コーティング薄膜層
    単体をひさし状に加工する手法が、コーティング薄膜が
    形成された前記基材の端面に研磨材を適宜な荷重にて当
    接して研磨する研磨手法である請求項1に記載のコーテ
    ィング薄膜の強度評価方法。
  3. 【請求項3】 前記コーティング薄膜層単体をひさし状
    に加工する手法が、前記基材を優先的にエッチング可能
    な薬剤またはレーザー光によるエッチングである請求項
    1に記載のコーティング薄膜の強度評価方法。
  4. 【請求項4】 前記垂直方向の荷重印加時において、前
    記コーティング薄膜の膜面に対して水平方向で、かつ該
    膜面方向に向かう荷重を印加する請求項1〜3のいずれ
    かに記載のコーティング薄膜の強度評価方法。
  5. 【請求項5】 前記ひさし状としたコーティング薄膜
    に、適宜な長さの切り込みを形成し、少なくとも該切り
    込みの一方側において前記垂直方向の荷重を適宜印加す
    る請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング薄膜の
    強度評価方法。
  6. 【請求項6】 前記各強度を特定する手法が、前記コー
    ティング薄膜と基材またはコーティング薄膜自体におけ
    るき裂の進展状況の有限要素法による模擬式を作成し、
    き裂前縁における前記各強度の各値を前記模擬式に入力
    し、前記にて測定された荷重とき裂進展量との関係とほ
    ぼ一致する前記入力値を各強度とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載のコーティング薄膜の強度評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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