JP2001129609A - 鋼板の圧延方法 - Google Patents

鋼板の圧延方法

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JP2001129609A
JP2001129609A JP30723499A JP30723499A JP2001129609A JP 2001129609 A JP2001129609 A JP 2001129609A JP 30723499 A JP30723499 A JP 30723499A JP 30723499 A JP30723499 A JP 30723499A JP 2001129609 A JP2001129609 A JP 2001129609A
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光 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スケールを効果的に除去してスケール疵のな
い表面性状の良好な熱延鋼板を製造する鋼板のデスケー
リング方法を提供する。 【解決手段】 (1)予め、圧延処理すべき鋼板と同等
のスケール厚を有する鋼板にスプレー水を噴射し、その
スプレー水の排水中に含まれるスケールの厚さを測定
し、測定したスケール厚からスケール除去に必要な最低
限の噴射エネルギEo を求めておき、圧延処理すべき鋼
板の圧延に際しては、噴射エネルギEがEo 〜Eo +30
000 (J/m2 )の範囲になるように噴射圧、ノズル流
量、ノズル噴射幅を決定してスプレー水を噴射する。
(2)スプレー水の噴射をしない鋼板が熱間圧延機入側
に到達したときの熱間圧延機入側のスケール厚を求め、
そのスケール厚YM (μm)が下記式を満足する場合
に、スプレー水の噴射を停止する。 【数8】

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延ラインに
おける鋼板の圧延方法に関する。詳しくは、本発明は、
熱間圧延機の入側で鋼板表面のスケールを効率的に除去
しスケール疵のない表面性状の良好な熱延鋼板を製造す
る鋼板の圧延方法に関する。
【従来の技術】例えば、熱延鋼板は、通常1100〜1
350℃程度に加熱されたスラブに粗圧延、次いで仕上
圧延を施して製造される。その際、スラブ加熱時に生じ
る一次スケールや、この一次スケールを除去した後に生
じる二次スケールが鋼板表面に残存したまま圧延をおこ
なうと、鋼板表面にスケールが噛み込んだいわゆるスケ
ール疵が発生し、製品品質を低下させる。このようなス
ケール疵の発生を防止する目的で、通常、圧延ラインに
は高圧水の噴射によりスケールを除去するデスケーリン
グ装置が配置され、一次スケールや二次スケールを除去
しながら圧延がおこなわれる。しかしながら、特に圧延
温度が高い場合には、スケールの生成速度が大きく、デ
スケーリング装置から圧延機の間、あるいは圧延機間で
生成する二次スケールの量が多くなりこれが原因でスケ
ール疵が発生しやすい。上記スケール疵を防止する方法
として、特開昭57−154301号公報には、圧延直
前に鋼板を冷却し、生成する二次スケールを抑制する方
法が開示されている。しかし、二次スケールの抑制効果
が不十分であるという問題や鋼板冷却により仕上温度が
確保できないという欠点がある。また、特開平07−1
71610号公報には、仕上前段スタンド入側にデスケ
ーリング装置を設け、圧延時のスケールが10μmを超
える場合、鋼板表面に0.15kgf/cm2 以上の高圧水を
噴射した後、1秒以内で圧延する方法が提示されてい
る。しかし、製造条件によっては、スケール除去が不十
分であったり、必要以上に高圧水を噴射する結果、鋼板
の温度低下が大きく仕上温度が確保できないという問題
がある。
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来の問題を解決し、デスケーリングの際の鋼板の大幅
な温度低下を抑制しながらスケール疵のない表面性状の
良好な熱延鋼板を製造する鋼板の圧延方法を提供するこ
とにある。
【課題を解決するための手段】発明者らは、熱間圧延時
に生成する二次スケールに起因して発生するスケール疵
を防止して鋼板の品質向上を図るべく、スケール疵の発
生要因とスケール除去に必要なデスケーリング条件を調
査し、以下の知見を得た。 a.特開平07−171610号公報に開示されたよう
に高圧水の衝突圧を規定する方法では、鋼板速度が速い
場合にはデスケーリング能力が不足しスケール除去が不
十分となり、スケール厚が薄く鋼板速度が遅い場合には
能力過多となり必要以上に鋼板が冷却されるという問題
が生じる。 b.高圧水の噴射によるスケールの剥離性は、衝突圧に
よって決まるのではなく、鋼板単位面積当たりに噴射さ
れた高圧水のエネルギ(吐出圧×流量/噴射面積)によっ
て評価できる。 c.スケール疵は、圧延時のスケール厚と鋼板表面温度
の双方に密接な関係があり、スケール厚が鋼板表面温度
により定まる限界値以下であればスケール疵は発生しな
い。次に、本発明者らは、スケール除去に使用したスプ
レー水の排水を回収し、その排水に含まれるスケール片
を調査し、以下の知見を得た。 d.排水に含まれるスケール片は板状であり、その厚さ
はデスケーリング時において鋼板表面に形成されていた
スケールの厚さと一致する。すなわち、スプレー水の噴
射により、鋼板表面のスケールは鋼板とスケールの界面
で板状に剥離する。 e.したがって、排水中のスケール片の厚さを測定する
ことにより、デスケーリング時のスケール厚を推定する
ことができる。本発明は、上記知見に基づいて完成され
たもので、その要旨は以下の通りである。 (1)スプレー水を噴射して鋼板表面のスケールを除去
するデスケーリング装置を入側に備えた熱間圧延機によ
る鋼板の圧延方法において、予め、圧延処理すべき鋼板
と同等のスケール厚を有する鋼板にスプレー水を噴射
し、噴射したスプレー水の排水中に含まれるスケールの
厚さを測定し、測定したスケール厚からスケール除去に
必要な最低限の鋼板単位面積当たりの噴射エネルギEo
を求めておき、圧延処理すべき鋼板の圧延に際しては、
スプレー水の噴射による鋼板単位面積当たりの噴射エネ
ルギEがEo 〜Eo +30000 (J/m2 )の範囲になる
ように上記デスケーリング装置の噴射圧、ノズル流量、
ノズル噴射幅を決定してスプレー水を噴射して圧延を行
うことを特徴とする鋼板の圧延方法。 (2)スプレー水を噴射して鋼板表面のスケールを除去
するデスケーリング装置を入側に備えた熱間圧延機によ
る鋼板の圧延方法において、予め、圧延処理すべき鋼板
と同等のスケール厚を有する鋼板にスプレー水を噴射
し、噴射したスプレー水の排水中に含まれるスケールの
厚さを測定し、測定したスケール厚からスプレー水を噴
射しない鋼板が熱間圧延機入側に到達したときの熱間圧
延機入側のスケール厚YM を求めておき、圧延処理すべ
き鋼板の圧延に際しては、前記スケール厚YM (μm)
が下記式を満足する場合には、上記デスケーリング装置
によるスプレー水の噴射を停止して圧延を行うことを特
徴とする鋼板の圧延方法。
【数2】
【発明の実施の形態】スプレー水の噴射により鋼板表面
に与えられるエネルギは、鋼帯単位面積当たりの噴射エ
ネルギをE(J/ m2 )とすると、下記(1)式で表
される。なお、以下、Eを単に噴射エネルギともいう。
【数3】 以下、Pを噴射吐出圧、Qをノズル流量、Wをノズル噴
射幅ともいう。本発明者は、スケール厚を5〜30μm
に調整した鋼板表面温度:1000℃の鋼板(C:0.
05質量%、厚:8mm、幅:70mm)を対象に、噴
射吐出圧P:10〜20MPa、ノズル流量Q:20〜
100リットル/分、ノズル噴射幅W:30〜150m
m、鋼板速度:0.7〜2.0m/sの条件でデスケー
リング試験をおこない、スケール剥離が噴射エネルギE
とスケール厚Yとで整理できることを見い出した。図1
は、デスケーリング性に及ぼす噴射エネルギとスケール
厚との関係を示すグラフである。図1に示すように、図
中の線(E=1020Y2 +4360Y)より上の領域ではスケ
ールの剥離が完全におこなわれ、スケール疵の発生が防
止される。上記線より下の領域ではスケール残りが発生
し、スケール疵が発生する。また、発明者らは、スケー
ル厚を2〜16μmに調整した鋼板表面温度:600〜
1100℃の鋼板(C:0.05質量%、厚:8mm、
幅:70mm)を対象に、モデル圧延機を用いて圧下率
35%の圧延をおこない、圧延前スケール厚が鋼板表面
温度で定まる限界値以下では圧延時にスケール疵が発生
しないことを見い出した。図2は、スケール疵の発生に
及ぼす圧延前スケール厚YM と鋼板表面温度との関係を
示すグラフである。同図に示すように、図中の線(YM
=-0.024T+31.03 )より下の領域ではスケール疵が発
生しない。すなわち、デスケーリングは、上記線より上
の領域のスケール厚を有する鋼板に対して行えばよく、
上記線より下の領域のスケール厚を有する鋼板に対して
はデスケーリングの必要が無く、デスケーリングに伴う
鋼板の温度低下を防止し、鋼板温度を高温に維持するこ
とができることが判った。以下、上記検討結果を基に完
成した本発明の方法を説明する。図3は、本発明の方法
を実施するデスケーリング装置を備えた熱間圧延機の模
式図である。同図において、符号1はデスケーリング装
置、1aはデスケーリングヘッダ、1bはデスケーリン
グノズル、2は熱間圧延機、3は鋼板、4は排水回収装
置を示す。図3に示すように、この装置は、熱間圧延機
2と、その熱間圧延機の入側にデスケーリングヘッダ1
aとデスケーリングノズル1bとを有するデスケーリン
グ装置1を備えており、図示していないデスケーリング
ポンプによりデスケーリングノズル1bに供給されたス
プレ水は鋼板3の表面に噴射される。本発明の方法は、
予め、圧延処理すべき鋼板と同等のスケール厚を有する
鋼板を対象としてスプレー水を噴射してデスケーリング
を行い、そのスプレー水の排水中に含まれるスケール片
の厚さを測定し、測定したスケール厚からスケール除去
に必要な最低限の噴射エネルギを求めておき、圧延処理
すべき鋼板の圧延に際しては、その最低限の噴射エネル
ギに基づきデスケーリング装置1の噴射圧、ノズル流
量、ノズル噴射幅を決定してスプレー水を噴射して圧延
をおこなうものである。スケール厚の測定は、例えば、
図3に示すように、デスケーリング装置1の入側に排水
回収装置4を設け、この排水回収装置でスプレー水の排
水を回収し、回収した排水を濾過した後に残留するスケ
ール粉末を乾燥させ、そのスケール粉末を光学顕微鏡や
走査型顕微鏡で測定することにより可能である。また、
スケール粉末を平らな板の上に散布し、その高さをレー
ザ変位計などを用いて測定する方法によってもスケール
厚を測定することができる。次ぎに、スケール除去に必
要な最低限の鋼板単位面積当たりの噴射エネルギEo の
求め方を説明する。図1に示すように、スケール除去に
必要な最低限の鋼板単位面積当たりの噴射エネルギEo
(J/m2 )は、スケール厚Y(μm)の関数fとし
て、以下の(2)式で求めることができる。
【数4】 具体的には、例えばスケール厚が30μm未満の場合に
は、Eo は、以下の(3)式で表される。
【数5】 本発明では、スプレー水の噴射により鋼板に与える鋼板
単位面積当たりの噴射エネルギEがEo 〜Eo +30000
(J/m2 )の範囲になるように、(1)式に基づき、
デスケーリング装置の噴射吐出圧P、ノズル流量Q、ノ
ズル噴射幅Wを決定してスプレー水を噴射する。EがE
o 未満ではスケールの除去が不十分である。EがEo 以
上であればスケールの剥離性に差はないが、Eo +3000
0 (J/m2 )より大きくなると鋼板温度の低下が大き
くなる。従って、EはEo 以上、Eo +30000 (J/m
2 )以下である。好ましくは、EはEo +10000 (J/
2 )以上、Eo +20000 (J/m2 )以下である。な
お、噴射吐出圧Pは、5MPa以上、100MPa以下
とするのが望ましい。本発明の別の方法は、スプレー水
を噴射しない鋼板が熱間圧延機の入側に到達したときの
熱間圧延機入側のスケール厚YM (μm)が下記(4)
式を満足する場合には、スプレー水の噴射を停止するこ
とを特徴とする。
【数6】 ここで、上記スケール厚YM は、以下のようにして予測
される。圧延処理すべき鋼板と同等のスケール厚を有す
る鋼板を対象としてスプレー水を噴射してデスケーリン
グを行い、そのスプレー水の排水中に含まれるスケール
片の測定で得られるスケール厚Yから(5)式でスケー
ル重量WD (g/cm2 )を求める。次いで、デスケー
リング装置でスケールが完全に剥離したと仮定したとき
にデスケーリング位置から熱間圧延機入側の間で形成さ
れるスケールの重量WT (g/cm2 )を(6)式で表
される放物線側から求める。上記WD とWT とから
(7)式で演算されるスケール重量W(g/cm2 )よ
り(8)式でスケール厚YM を予測することができる
【数7】 なお、上記(6)式のΣは、デスケーリング位置から熱
間圧延機入側までの総和を表す。図2に示すように、ス
ケール疵発生の限界線は、熱間圧延機入側のスケール厚
をYM (μm)、熱間圧延機入側の鋼板表面温度をT
(℃)とすると、YM =-0.024T+31.03 で表され、
(8)式で計算されるスケール厚YM が(4)式を満足
する場合は、圧延の際にスケール疵が発生しない。従っ
て、スプレー水の噴射を停止することにより、鋼板の温
度低下を防止し、鋼板温度を高温に維持することができ
る。また、デスケーリングコストを低減することができ
る。
【実施例】(実施例1)図3に示す構成の熱間圧延設備
を用いた。同図において、鋼板を挟んで上下に設けられ
たデスケーリングノズル1bの圧延方向への傾き(θ)
は10°、デスケーリングノズルの先端から鋼板の表面
までの距離は200mmとした。スプレー水が鋼板に衝
突する位置からワークロール中心までの距離は2mであ
る。このようなデスケーリング装置が取り付けられた熱
間圧延機により、厚:30mm、幅:120mmの低炭
素鋼(C:0.05質量%)の鋼板を用い、窒素雰囲気炉中
で980℃に加熱した後、炉外に取り出し5秒後に上記
デスケーリング装置でデスケーリングを行い、次いで、
2秒後に圧下率40%で熱間圧延を実施した。先ず、
P:15MPa、Q:0.0015m3 /s、W:0.
07m、鋼板速度:1m/sとしてデスケーリングを行
い、排水中のスケール片の厚さを測定した。スケール片
の厚さは14μmであった。この測定結果から、スケー
ル除去に必要な最低限の鋼板単位面積当たりの噴射エネ
ルギE0 は(3)式から260960J/m2 となっ
た。次に加熱条件と圧延条件は上記と同様にして、噴射
エネルギEがE0 〜E0 +30000 (J/m2 )の範囲と
なるように噴射圧、ノズル流量、ノズル噴射幅を調整し
てデスケーリングを行った後、圧延を実施した。圧延に
より得られた鋼板表面のスケール疵発生面積を調査して
スケール疵発生面積比(スケール疵発生面積/鋼板表面
総面積×100%)を求め、スケール疵発生の程度を評
価した。熱間圧延機出側およびデスケーリング装置入側
に設けた温度計で鋼板表面温度を測定して鋼板表面温度
差(デスケーリング装置入側鋼板表面温度−熱間圧延機
出側鋼板表面温度)を求め、デスケーリングに伴う鋼板
表面温度低下の程度を評価した。なお、比較のため、噴
射エネルギEが上記範囲外となる条件での試験も実施し
た。表1にデスケーリング条件とともにスケール疵発生
状況ならびに鋼板表面温度低下状況を示す。スケール疵
発生状況は、スケール疵発生面積比が5%以下を○で、
5%超を×で示した。鋼板表面温度低下状況は、鋼板表
面温度差が40℃以下を○、40℃超を×で示した。な
お、総合評価は、スケール疵発生状況と鋼板表面温度低
下状況のいずれも○の場合を合格として○で、その他は
不合格として×で表した。
【表1】 表1に示すように、噴射エネルギEをEo 〜Eo +3000
0 (J/m2 )の範囲としてスプレー水を噴射したN
o.3、5の本発明例では、スケール疵発生面積比が5
%以下で表面性状良好な鋼板が得られ、鋼板表面温度差
も40℃以下で温度低下が少なく良好であった。一方、
No.1、2の比較例では、スケール疵面積比が5%超
で表面性状が不良であった。また、No.4の比較例で
は、スケール疵発生面積比は5%以下で良好であった
が、鋼板表面の温度低下が大きく不良であった。 (実施例2)図3に示す構成の熱間圧延設備を用いた。
同図において、鋼板を挟んで上下に設けられたデスケー
リングノズル1bの圧延方向への傾き(θ)は10°、
デスケーリングノズルの先端から鋼板の表面までの距離
は200mmとした。スプレー水が鋼板に衝突する位置
からワークロール中心までの距離は2mである。このよ
うなデスケーリング装置が取り付けられた熱間圧延機に
より、厚:30mm、幅:120mmの低炭素鋼(C:
0.05質量%)の鋼板を用い、窒素雰囲気炉中で900、
940℃に加熱し、圧下率40%で熱間圧延を実施し
た。なお、鋼板は炉外に取り出し5秒後にデスケーリン
グ装置の入側に到達し、次いで、2秒後に熱間圧延機入
側に到達した。先ず、P:15MPa、Q:0.001
5m3 /s、W:0.07m、鋼板速度:1m/sとし
てスプレー水を噴射してデスケーリングを行い、排水中
のスケール片の厚さを測定した。次に、スプレー水を噴
射しない鋼板が熱間圧延機入側に到達したときの熱間圧
延機入側のスケール厚YM を(8)式で予測し、このス
ケール厚YM が(4)式を満足する場合にデスケーリン
グを行わずに圧延を実施した。実施例1と同様にして、
スケール疵発生面積比を求めスケール疵発生の程度を評
価するとともに、鋼板表面温度差を求め、デスケーリン
グに伴う鋼板表面温度低下の程度を評価した。なお、比
較のため、スケール厚YM が(4)式を満足する条件で
デスケーリングを実施した場合と、スケール厚YM
(4)式を満足しない条件でデスケーリングを実施しな
かった場合とを行った。表2にスケール疵発生状況なら
びに鋼板表面温度低下状況を示す。スケール疵発生状況
は、スケール疵発生面積比が5%以下を○で、5%超を
×で示した。鋼板表面温度低下状況は、鋼板表面温度差
が40℃以下を○、40℃超を×で示した。なお、総合
評価は、スケール疵発生状況と鋼板表面温度低下状況の
いずれも○の場合を合格として○で、その他は不合格と
して×で表した。
【表2】 表2に示すように、No.3の本発明例では、デスケー
リングを停止したのに拘わらずスケール疵発生面積比が
5%以下で表面性状良好な鋼板が得られた。一方、N
o.1、の比較例では、スケール疵面積比が5%超で表
面性状が不良であった。また、No.2の比較例では、
スケール疵発生面積比は5%以下で良好であったが、鋼
板表面の温度低下が大きく不良であった。
【発明の効果】本発明によれば、鋼板の表面温度の大幅
な低下を防止しながらスケールを効果的に除去し、スケ
ール疵のない表面品質に優れた熱延鋼板を製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デスケーリング性に及ぼす噴射エネルギとスケ
ール厚との関係を示すグラフである。
【図2】スケール疵の発生に及ぼす圧延前スケール厚Y
M と鋼板表面温度との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の方法を実施するデスケーリング装置を
備えた熱間圧延機の模式図である。
【符号の説明】
1:デスケーリング装置、 1a:デスケーリングヘッダ、 1b:デスケーリングノズル、 2:熱間圧延機、 3:鋼板、 4:排水回収装置。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月12日(1999.11.
12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 鋼板の圧延方法
【特許請求の範囲】
【数1】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延ラインに
おける鋼板の圧延方法に関する。詳しくは、本発明は、
熱間圧延機の入側で鋼板表面のスケールを効率的に除去
しスケール疵のない表面性状の良好な熱延鋼板を製造す
る鋼板の圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、熱延鋼板は、通常1100〜1
350℃程度に加熱されたスラブに粗圧延、次いで仕上
圧延を施して製造される。その際、スラブ加熱時に生じ
る一次スケールや、この一次スケールを除去した後に生
じる二次スケールが鋼板表面に残存したまま圧延をおこ
なうと、鋼板表面にスケールが噛み込んだいわゆるスケ
ール疵が発生し、製品品質を低下させる。このようなス
ケール疵の発生を防止する目的で、通常、圧延ラインに
は高圧水の噴射によりスケールを除去するデスケーリン
グ装置が配置され、一次スケールや二次スケールを除去
しながら圧延がおこなわれる。しかしながら、特に圧延
温度が高い場合には、スケールの生成速度が大きく、デ
スケーリング装置から圧延機の間、あるいは圧延機間で
生成する二次スケールの量が多くなりこれが原因でスケ
ール疵が発生しやすい。
【0003】上記スケール疵を防止する方法として、特
開昭57−154301号公報には、圧延直前に鋼板を
冷却し、生成する二次スケールを抑制する方法が開示さ
れている。しかし、二次スケールの抑制効果が不十分で
あるという問題や鋼板冷却により仕上温度が確保できな
いという欠点がある。
【0004】また、特開平07−171610号公報に
は、仕上前段スタンド入側にデスケーリング装置を設
け、圧延時のスケールが10μmを超える場合、鋼板表
面に0.15kgf/cm2 以上の高圧水を噴射した後、1秒
以内で圧延する方法が提示されている。しかし、製造条
件によっては、スケール除去が不十分であったり、必要
以上に高圧水を噴射する結果、鋼板の温度低下が大きく
仕上温度が確保できないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来の問題を解決し、デスケーリングの際の鋼板の大幅
な温度低下を抑制しながらスケール疵のない表面性状の
良好な熱延鋼板を製造する鋼板の圧延方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、熱間圧延時
に生成する二次スケールに起因して発生するスケール疵
を防止して鋼板の品質向上を図るべく、スケール疵の発
生要因とスケール除去に必要なデスケーリング条件を調
査し、以下の知見を得た。
【0007】a.特開平07−171610号公報に開
示されたように高圧水の衝突圧を規定する方法では、鋼
板速度が速い場合にはデスケーリング能力が不足しスケ
ール除去が不十分となり、スケール厚が薄く鋼板速度が
遅い場合には能力過多となり必要以上に鋼板が冷却され
るという問題が生じる。
【0008】b.高圧水の噴射によるスケールの剥離性
は、衝突圧によって決まるのではなく、鋼板単位面積当
たりに噴射された高圧水のエネルギ(吐出圧×流量/噴
射面積)によって評価できる。
【0009】c.スケール疵は、圧延時のスケール厚と
鋼板表面温度の双方に密接な関係があり、スケール厚が
鋼板表面温度により定まる限界値以下であればスケール
疵は発生しない。
【0010】次に、本発明者らは、スケール除去に使用
したスプレー水の排水を回収し、その排水に含まれるス
ケール片を調査し、以下の知見を得た。
【0011】d.排水に含まれるスケール片は板状であ
り、その厚さはデスケーリング時において鋼板表面に形
成されていたスケールの厚さと一致する。すなわち、ス
プレー水の噴射により、鋼板表面のスケールは鋼板とス
ケールの界面で板状に剥離する。
【0012】e.したがって、排水中のスケール片の厚
さを測定することにより、デスケーリング時のスケール
厚を推定することができる。
【0013】本発明は、上記知見に基づいて完成された
もので、その要旨は以下の通りである。
【0014】(1)スプレー水を噴射して鋼板表面のス
ケールを除去するデスケーリング装置を入側に備えた熱
間圧延機による鋼板の圧延方法において、予め、圧延処
理すべき鋼板と同等のスケール厚を有する鋼板にスプレ
ー水を噴射し、噴射したスプレー水の排水中に含まれる
スケールの厚さを測定し、測定したスケール厚からスケ
ール除去に必要な最低限の鋼板単位面積当たりの噴射エ
ネルギEo を求めておき、圧延処理すべき鋼板の圧延に
際しては、スプレー水の噴射による鋼板単位面積当たり
の噴射エネルギEがEo 〜Eo +30000 (J/m2 )の
範囲になるように上記デスケーリング装置の噴射圧、ノ
ズル流量、ノズル噴射幅を決定してスプレー水を噴射し
て圧延を行うことを特徴とする鋼板の圧延方法。
【0015】(2)スプレー水を噴射して鋼板表面のス
ケールを除去するデスケーリング装置を入側に備えた熱
間圧延機による鋼板の圧延方法において、予め、圧延処
理すべき鋼板と同等のスケール厚を有する鋼板にスプレ
ー水を噴射し、噴射したスプレー水の排水中に含まれる
スケールの厚さを測定し、測定したスケール厚からスプ
レー水を噴射しない鋼板が熱間圧延機入側に到達したと
きの熱間圧延機入側のスケール厚YM を求めておき、圧
延処理すべき鋼板の圧延に際しては、前記スケール厚Y
M (μm)が下記式を満足する場合には、上記デスケー
リング装置によるスプレー水の噴射を停止して圧延を行
うことを特徴とする鋼板の圧延方法。
【0016】
【数2】
【0017】
【発明の実施の形態】スプレー水の噴射により鋼板表面
に与えられるエネルギは、鋼帯単位面積当たりの噴射エ
ネルギをE(J/ m2 )とすると、下記(1)式で表
される。なお、以下、Eを単に噴射エネルギともいう。
【0018】
【数3】
【0019】以下、Pを噴射吐出圧、Qをノズル流量、
Wをノズル噴射幅ともいう。本発明者は、スケール厚を
5〜30μmに調整した鋼板表面温度:1000℃の鋼
板(C:0.05質量%、厚:8mm、幅:70mm)
を対象に、噴射吐出圧P:10〜20MPa、ノズル流
量Q:20〜100リットル/分、ノズル噴射幅W:3
0〜150mm、鋼板速度:0.7〜2.0m/sの条
件でデスケーリング試験をおこない、スケール剥離が噴
射エネルギEとスケール厚Yとで整理できることを見い
出した。
【0020】図1は、デスケーリング性に及ぼす噴射エ
ネルギとスケール厚との関係を示すグラフである。図1
に示すように、図中の線(E=1020Y2 +4360Y)より
上の領域ではスケールの剥離が完全におこなわれ、スケ
ール疵の発生が防止される。上記線より下の領域ではス
ケール残りが発生し、スケール疵が発生する。
【0021】また、発明者らは、スケール厚を2〜16
μmに調整した鋼板表面温度:600〜1100℃の鋼
板(C:0.05質量%、厚:8mm、幅:70mm)
を対象に、モデル圧延機を用いて圧下率35%の圧延を
おこない、圧延前スケール厚が鋼板表面温度で定まる限
界値以下では圧延時にスケール疵が発生しないことを見
い出した。
【0022】図2は、スケール疵の発生に及ぼす圧延前
スケール厚YM と鋼板表面温度との関係を示すグラフで
ある。同図に示すように、図中の線(YM =-0.024T+
31.03 )より下の領域ではスケール疵が発生しない。す
なわち、デスケーリングは、上記線より上の領域のスケ
ール厚を有する鋼板に対して行えばよく、上記線より下
の領域のスケール厚を有する鋼板に対してはデスケーリ
ングの必要が無く、デスケーリングに伴う鋼板の温度低
下を防止し、鋼板温度を高温に維持することができるこ
とが判った。
【0023】以下、上記検討結果を基に完成した本発明
の方法を説明する。図3は、本発明の方法を実施するデ
スケーリング装置を備えた熱間圧延機の模式図である。
同図において、符号1はデスケーリング装置、1aはデ
スケーリングヘッダ、1bはデスケーリングノズル、2
は熱間圧延機、3は鋼板、4は排水回収装置を示す。
【0024】図3に示すように、この装置は、熱間圧延
機2と、その熱間圧延機の入側にデスケーリングヘッダ
1aとデスケーリングノズル1bとを有するデスケーリ
ング装置1を備えており、図示していないデスケーリン
グポンプによりデスケーリングノズル1bに供給された
スプレ水は鋼板3の表面に噴射される。
【0025】本発明の方法は、予め、圧延処理すべき鋼
板と同等のスケール厚を有する鋼板を対象としてスプレ
ー水を噴射してデスケーリングを行い、そのスプレー水
の排水中に含まれるスケール片の厚さを測定し、測定し
たスケール厚からスケール除去に必要な最低限の噴射エ
ネルギを求めておき、圧延処理すべき鋼板の圧延に際し
ては、その最低限の噴射エネルギに基づきデスケーリン
グ装置1の噴射圧、ノズル流量、ノズル噴射幅を決定し
てスプレー水を噴射して圧延をおこなうものである。
【0026】スケール厚の測定は、例えば、図3に示す
ように、デスケーリング装置1の入側に排水回収装置4
を設け、この排水回収装置でスプレー水の排水を回収
し、回収した排水を濾過した後に残留するスケール粉末
を乾燥させ、そのスケール粉末を光学顕微鏡や走査型顕
微鏡で測定することにより可能である。また、スケール
粉末を平らな板の上に散布し、その高さをレーザ変位計
などを用いて測定する方法によってもスケール厚を測定
することができる。
【0027】次ぎに、スケール除去に必要な最低限の鋼
板単位面積当たりの噴射エネルギEo の求め方を説明す
る。
【0028】図1に示すように、スケール除去に必要な
最低限の鋼板単位面積当たりの噴射エネルギEo (J/
2 )は、スケール厚Y(μm)の関数fとして、以下
の(2)式で求めることができる。
【0029】
【数4】
【0030】具体的には、例えばスケール厚が30μm
未満の場合には、Eo は、以下の(3)式で表される。
【数5】 本発明では、スプレー水の噴射により鋼板に与える鋼板
単位面積当たりの噴射エネルギEがEo 〜Eo +30000
(J/m2 )の範囲になるように、(1)式に基づき、
デスケーリング装置の噴射吐出圧P、ノズル流量Q、ノ
ズル噴射幅Wを決定してスプレー水を噴射する。EがE
o 未満ではスケールの除去が不十分である。EがEo 以
上であればスケールの剥離性に差はないが、Eo +3000
0 (J/m2 )より大きくなると鋼板温度の低下が大き
くなる。従って、EはEo 以上、Eo +30000 (J/m
2 )以下である。好ましくは、EはEo +10000 (J/
2 )以上、Eo +20000 (J/m2 )以下である。な
お、噴射吐出圧Pは、5MPa以上、100MPa以下
とするのが望ましい。
【0031】本発明の別の方法は、スプレー水を噴射し
ない鋼板が熱間圧延機の入側に到達したときの熱間圧延
機入側のスケール厚YM (μm)が下記(4)式を満足
する場合には、スプレー水の噴射を停止することを特徴
とする。
【0032】
【数6】
【0033】ここで、上記スケール厚YM は、以下のよ
うにして予測される。圧延処理すべき鋼板と同等のスケ
ール厚を有する鋼板を対象としてスプレー水を噴射して
デスケーリングを行い、そのスプレー水の排水中に含ま
れるスケール片の測定で得られるスケール厚Yから
(5)式でスケール重量WD (g/cm2 )を求める。
次いで、デスケーリング装置でスケールが完全に剥離し
たと仮定したときにデスケーリング位置から熱間圧延機
入側の間で形成されるスケールの重量WT (g/cm
2 )を(6)式で表される放物線側から求める。上記W
D とWT とから(7)式で演算されるスケール重量W
(g/cm2 )より(8)式でスケール厚YM を予測す
ることができる
【0034】
【数7】
【0035】なお、上記(6)式のΣは、デスケーリン
グ位置から熱間圧延機入側までの総和を表す。
【0036】図2に示すように、スケール疵発生の限界
線は、熱間圧延機入側のスケール厚をYM (μm)、熱
間圧延機入側の鋼板表面温度をT(℃)とすると、YM
=-0.024T+31.03 で表され、(8)式で計算されるス
ケール厚YM が(4)式を満足する場合は、圧延の際に
スケール疵が発生しない。従って、スプレー水の噴射を
停止することにより、鋼板の温度低下を防止し、鋼板温
度を高温に維持することができる。また、デスケーリン
グコストを低減することができる。
【0037】
【実施例】(実施例1)図3に示す構成の熱間圧延設備
を用いた。同図において、鋼板を挟んで上下に設けられ
たデスケーリングノズル1bの圧延方向への傾き(θ)
は10°、デスケーリングノズルの先端から鋼板の表面
までの距離は200mmとした。スプレー水が鋼板に衝
突する位置からワークロール中心までの距離は2mであ
る。
【0038】このようなデスケーリング装置が取り付け
られた熱間圧延機により、厚:30mm、幅:120m
mの低炭素鋼(C:0.05質量%)の鋼板を用い、窒素雰
囲気炉中で980℃に加熱した後、炉外に取り出し5秒
後に上記デスケーリング装置でデスケーリングを行い、
次いで、2秒後に圧下率40%で熱間圧延を実施した。
【0039】先ず、P:15MPa、Q:0.0015
3 /s、W:0.07m、鋼板速度:1m/sとして
デスケーリングを行い、排水中のスケール片の厚さを測
定した。スケール片の厚さは14μmであった。この測
定結果から、スケール除去に必要な最低限の鋼板単位面
積当たりの噴射エネルギE0 は(3)式から26096
0J/m2 となった。
【0040】次に加熱条件と圧延条件は上記と同様にし
て、噴射エネルギEがE0 〜E0 +30000 (J/m2
の範囲となるように噴射圧、ノズル流量、ノズル噴射幅
を調整してデスケーリングを行った後、圧延を実施し
た。圧延により得られた鋼板表面のスケール疵発生面積
を調査してスケール疵発生面積比(スケール疵発生面積
/鋼板表面総面積×100%)を求め、スケール疵発生
の程度を評価した。熱間圧延機出側およびデスケーリン
グ装置入側に設けた温度計で鋼板表面温度を測定して鋼
板表面温度差(デスケーリング装置入側鋼板表面温度−
熱間圧延機出側鋼板表面温度)を求め、デスケーリング
に伴う鋼板表面温度低下の程度を評価した。なお、比較
のため、噴射エネルギEが上記範囲外となる条件での試
験も実施した。
【0041】表1にデスケーリング条件とともにスケー
ル疵発生状況ならびに鋼板表面温度低下状況を示す。ス
ケール疵発生状況は、スケール疵発生面積比が5%以下
を○で、5%超を×で示した。鋼板表面温度低下状況
は、鋼板表面温度差が40℃以下を○、40℃超を×で
示した。なお、総合評価は、スケール疵発生状況と鋼板
表面温度低下状況のいずれも○の場合を合格として○
で、その他は不合格として×で表した。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示すように、噴射エネルギEをEo
〜Eo +30000 (J/m2 )の範囲としてスプレー水を
噴射したNo.3、5の本発明例では、スケール疵発生
面積比が5%以下で表面性状良好な鋼板が得られ、鋼板
表面温度差も40℃以下で温度低下が少なく良好であっ
た。一方、No.1、2の比較例では、スケール疵面積
比が5%超で表面性状が不良であった。また、No.4
の比較例では、スケール疵発生面積比は5%以下で良好
であったが、鋼板表面の温度低下が大きく不良であっ
た。 (実施例2)図3に示す構成の熱間圧延設備を用いた。
同図において、鋼板を挟んで上下に設けられたデスケー
リングノズル1bの圧延方向への傾き(θ)は10°、
デスケーリングノズルの先端から鋼板の表面までの距離
は200mmとした。スプレー水が鋼板に衝突する位置
からワークロール中心までの距離は2mである。
【0044】このようなデスケーリング装置が取り付け
られた熱間圧延機により、厚:30mm、幅:120m
mの低炭素鋼(C:0.05質量%)の鋼板を用い、窒素雰
囲気炉中で900、940℃に加熱し、圧下率40%で
熱間圧延を実施した。なお、鋼板は炉外に取り出し5秒
後にデスケーリング装置の入側に到達し、次いで、2秒
後に熱間圧延機入側に到達した。
【0045】先ず、P:15MPa、Q:0.0015
3 /s、W:0.07m、鋼板速度:1m/sとして
スプレー水を噴射してデスケーリングを行い、排水中の
スケール片の厚さを測定した。次に、スプレー水を噴射
しない鋼板が熱間圧延機入側に到達したときの熱間圧延
機入側のスケール厚YM を(8)式で予測し、このスケ
ール厚YM が(4)式を満足する場合にデスケーリング
を行わずに圧延を実施した。実施例1と同様にして、ス
ケール疵発生面積比を求めスケール疵発生の程度を評価
するとともに、鋼板表面温度差を求め、デスケーリング
に伴う鋼板表面温度低下の程度を評価した。なお、比較
のため、スケール厚YM が(4)式を満足する条件でデ
スケーリングを実施した場合と、スケール厚YM
(4)式を満足しない条件でデスケーリングを実施しな
かった場合とを行った。
【0046】表2にスケール疵発生状況ならびに鋼板表
面温度低下状況を示す。スケール疵発生状況は、スケー
ル疵発生面積比が5%以下を○で、5%超を×で示し
た。鋼板表面温度低下状況は、鋼板表面温度差が40℃
以下を○、40℃超を×で示した。なお、総合評価は、
スケール疵発生状況と鋼板表面温度低下状況のいずれも
○の場合を合格として○で、その他は不合格として×で
表した。
【0047】
【表2】
【0048】表2に示すように、No.3の本発明例で
は、デスケーリングを停止したのに拘わらずスケール疵
発生面積比が5%以下で表面性状良好な鋼板が得られ
た。一方、No.1、の比較例では、スケール疵面積比
が5%超で表面性状が不良であった。また、No.2の
比較例では、スケール疵発生面積比は5%以下で良好で
あったが、鋼板表面の温度低下が大きく不良であった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、鋼板の表面温度の大幅
な低下を防止しながらスケールを効果的に除去し、スケ
ール疵のない表面品質に優れた熱延鋼板を製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デスケーリング性に及ぼす噴射エネルギとスケ
ール厚との関係を示すグラフである。
【図2】スケール疵の発生に及ぼす圧延前スケール厚Y
M と鋼板表面温度との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の方法を実施するデスケーリング装置を
備えた熱間圧延機の模式図である。
【符号の説明】 1:デスケーリング装置、 1a:デスケーリングヘッダ、 1b:デスケーリングノズル、 2:熱間圧延機、 3:鋼板、 4:排水回収装置。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スプレー水を噴射して鋼板表面のスケー
    ルを除去するデスケーリング装置を入側に備えた熱間圧
    延機による鋼板の圧延方法において、予め、圧延処理す
    べき鋼板と同等のスケール厚を有する鋼板にスプレー水
    を噴射し、噴射したスプレー水の排水中に含まれるスケ
    ールの厚さを測定し、測定したスケール厚からスケール
    除去に必要な最低限の鋼板単位面積当たりの噴射エネル
    ギEoを求めておき、圧延処理すべき鋼板の圧延に際し
    ては、スプレー水の噴射による鋼板単位面積当たりの噴
    射エネルギEがEo 〜Eo +30000 (J/m2 )の範囲
    になるように上記デスケーリング装置の噴射圧、ノズル
    流量、ノズル噴射幅を決定してスプレー水を噴射して圧
    延を行うことを特徴とする鋼板の圧延方法。
  2. 【請求項2】 スプレー水を噴射して鋼板表面のスケー
    ルを除去するデスケーリング装置を入側に備えた熱間圧
    延機による鋼板の圧延方法において、予め、圧延処理す
    べき鋼板と同等のスケール厚を有する鋼板にスプレー水
    を噴射し、噴射したスプレー水の排水中に含まれるスケ
    ールの厚さを測定し、測定したスケール厚からスプレー
    水を噴射しない鋼板が熱間圧延機入側に到達したときの
    熱間圧延機入側のスケール厚YM を求めておき、圧延処
    理すべき鋼板の圧延に際しては、前記スケール厚YM
    (μm)が下記式を満足する場合には、上記デスケーリ
    ング装置によるスプレー水の噴射を停止して圧延を行う
    ことを特徴とする鋼板の圧延方法。 【数1】
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CN109622633A (zh) * 2018-12-20 2019-04-16 柳州钢铁股份有限公司 热连轧粗轧和精轧对中匹配控制方法
JP2021053656A (ja) * 2019-09-27 2021-04-08 日本製鉄株式会社 熱間加工システム及び熱間加工方法

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