JP2001120250A

JP2001120250A - たばこフィルター

Info

Publication number: JP2001120250A
Application number: JP30175699A
Authority: JP
Inventors: Kazuo Maeda; 和生前田; Hideo Kaneko; 英夫金子; Yoshinori Iwashima; 良憲岩島; Motoya Mori; 元哉毛利; Hisashi Kanda; 久神田; Shiruyoshi Matsumoto; 鶴義松本
Original assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd; Takeda Chemical Industries Ltd; Japan Filter Technology Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd; Takeda Pharmaceutical Co Ltd; Japan Filter Technology Ltd
Priority date: 1999-10-22
Filing date: 1999-10-22
Publication date: 2001-05-08
Also published as: WO2001030184A1

Abstract

(57)【要約】【課題】たばこ煙中のガス・蒸気相成分を効率よく除
去する低タールたばこフィルター。【解決手段】活性炭と成形用バインダーを有する成形
活性炭１０を備えたたばこフィルターであって、成形活
性炭の外周面にフィルターの長手方向に沿った溝１２が
形成されている。たばこ煙中のガス・蒸気相成分を効率
よく除去することができる。特に、低タール製品となる
トリプル構造フィルターに好適である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、喫煙用のたばこフ
ィルター、さらに詳しくは、ガス、蒸気相成分の低減効
果に優れた低タールたばこ用のたばこフィルターに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年の健康指向にともない、たばこ喫煙
者の嗜好が高タール製品から中タール製品へ、また中タ
ール製品から低タール製品ヘ、さらには超低タール製品
へと移行している。このようなたばこ製品におけるたば
こフィルターとしては、セルロースアセテートの捲縮繊
維束あるいは紙製の繊維質フィルターが多用されてい
る。更に、たばこ煙中のガス・蒸気相成分の除去を効率
的に行うために、繊維質フィルターに粒状の活性炭を分
散担持させたチャコールフィルターが使用されている。
チャコールフィルターは、フィルター製造時にシート状
に開繊した捲縮繊維束あるいは紙に対して上方から活性
炭を添加した後、シート状から円棒状に集束している。
このため、シート状の捲縮繊維束あるいは紙の片面に粒
状活性炭が付着しており、フィルター中における活性炭
の存在状態に偏りが生じやすいため、活性炭に充分接触
しないで通過するたばこ煙が多かった。更に、たばこ煙
のガス・蒸気相成分に対する除去性能を向上させるため
に、活性炭の添加量を増加させると、添加量に対応し
て、フィルターの通気抵抗が増加することから、粒状活
性炭の添加量は制限され、多量のガス・蒸気相成分を除
去する能力にも限度があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従って、従来の技術で
は、たばこ煙中のガス・蒸気相成分を効率よく除去する
ことはなかなか困難である。このような問題点を解決す
るために、例えば実用新案登録第２５３２０４５号に
は、押し出し成形法により成形された成形活性炭を備え
たシガレットフィルターが示されている。このシガレッ
トフィルターは、押し出し成形法により成形され、長手
方向に１０個以上の連通孔を有し、長さ３〜20mm、直径
が５〜10mmの棒状で且つ全体の断面形状が円形をなす成
形活性炭を備えてなることを特徴とするシガレットフィ
ルターである。しかしながら、フィルター外周からベン
チレーション空気を導入して、たばこ煙を希釈している
低タールたばこ、あるいは超低タールたばこに、この成
形活性炭を備えたフィルターを適用する場合、成形活性
炭の断面形状が円形であり、その最外層には成形された
活性炭の壁があるため、チップペーパーに複数の開孔を
設けても、フィルター外周部からのベンチレーション空
気の導入はなかなか困難であった。他方、成形活性炭の
外径がチップペーパーの内径より細い場合には、成形活
性炭とチップペーパーとの空隙によりベンチレーション
空気が導入されるが、成形活性炭の位置が不安定とな
り、また導入されるベンチレーション空気の割合も変動
して、不安定となる。

【０００４】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、たばこ煙中のガス・蒸気相成分を効率よく除
去する低タールたばこフィルターを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本出願人らは、成形活性
炭の外周面に溝を設けることにより、フィルターの外周
からベンチレーション空気を導入してたばこ煙を希釈す
る低タールシガレットにおいても、ベンチレーション空
気は外周面の溝から安定してフィルターへ導入されると
ともに、たばこ煙は成形活性炭の連通孔を通過して、た
ばこ煙中のガス・蒸気相成分を効率よく除去することを
見いだし、本発明を完成した。本発明者らは、少なくと
も活性炭と成形用バインダーとからなる成形活性炭を備
えてなるたばこフィルターであって、該成形活性炭の外
周面にはフィルターの長手方向にのびる溝を有すること
を特徴とするたばこフィルターが、ベンチレーションを
導入した低タールたばこ用フィルターとして、たばこ煙
中のガス・蒸気相成分を効率よく除去することを見いだ
し本発明に達した。本発明は、成形活性炭とその長手方
向の両側に繊維質フィルターとを配したトリプル構造フ
ィルターであり、該たばこフィルターを覆うチップペー
パーには、該成形活性炭の外周部にベンチレーション孔
が形成されたたばこフィルターとして適している。ここ
で、成形活性炭の外周面に形成された溝の幅は、溝の間
隔より狭いことが望ましい。また、溝の幅は、０.０１
ｍｍ〜６ｍｍであることが望ましい。成形活性炭は、そ
の重量が５０〜１０００ｍｇであることが望ましく、ま
た、１０〜９５重量％の活性炭を含有することが望まし
い。さらに、成形活性炭には、長手方向に沿った６個以
上６０個以下で、断面形状が３角形、４角形、６角形、
あるいは丸形である連通孔が形成されていることが望ま
しい。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明は、活性炭と成形用バイン
ダーを有する成形活性炭を備えてなるたばこフィルター
であって、図１に示すように、略円柱状の成形活性炭１
０の外周面に、フィルターの長手方向に沿って延びた溝
である周面溝１２を有することを特徴とするたばこフィ
ルターである。本発明のたばこフィルターは、例えば図
２に示すように、成形活性炭１０と、その長手方向の両
側、即ち、吸口側に設けられた繊維質フィルター１６及
び刻み側に設けられた繊維質フィルター１８とを配した
トリプル構造フィルターであって、該たばこフィルター
を覆うチップペーパーには、該成形活性炭１０の外周部
にベンチレーション孔２２を設けたものにも好適なもの
である。

【０００７】活性炭としては、通常チャコールフィルタ
ーに使用されているたばこフィルター用活性炭を使用す
ることができる。また、活性炭を成形するため、フィル
ターから脱落する懸念がなく、通常のチャコールフィル
ターでは使用できない粒度のより小さな活性炭を使用す
ることが可能である。活性炭の望ましい粒度としては、
平均粒子径で１μｍ以上５０μｍ以下、好ましくは３〜
２０μｍである。本発明において活性炭を成形する場合
には、成形性の向上と成形品の強度向上のため、成形用
バインダーを添加する。成形用バインダーとしては、有
機系バインダーおよび／または無機系バインダーが用い
られる。これらは、単独、あるいは２種類以上を用いて
も良い。成形用バインダーの添加量の合計は、活性炭本
来の吸着性能を発揮するためには、成形活性炭中の活性
炭含有量が１０重量％以上９５重量％以下となる量であ
ることが望ましい。また、有機系バインダーと無機系バ
インダーとを併用する場合には、有機系バインダーと無
機系バインダーとの重量比が１：１００〜１００：１と
なる範囲で用いるのが好ましい。無機系バインダーとし
ては、特に限定されるものではないが、例えば木節粘
土、蛙目粘土などの天然粘土、カオリン、ベントナイ
ト、セピオライト等の粘土鉱物、アルミナ、水酸化アル
ミナ、シリカ、チタニア等の無機酸化物あるいは無機含
水酸化物等があげられる。天然粘土は成形性が良く、有
機系バインダーの添加量を減らすことができる。また、
多孔質の無機系バインダーを用いると、活性炭と共にた
ばこ煙中の有害成分を吸着除去する効果もある。無機系
バインダーの使用量は、５重量％以上９０重量％以下、
より好ましくは、５〜８０重量％である。有機系バイン
ダーとしては、セラミックの成形に一般的に使われる公
知のものが使用できる。例えばカードラン、プルランな
どの多糖類、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセル
ロースなどのセルロース系化合物、グリセリン、エチレ
ングリコールなどの多価ヒドロキシ化合物等が挙げられ
る。成形用バインダーとして有機系バインダーを使用す
る場合、成形活性炭の吸着性能を低下させるため有機系
バインダーの添加量の合計は、成形活性炭中の０.０１
重量％以上、２０重量％以下、より好ましくは０.０５
〜１０重量％である。本発明において、成形活性炭の製
造方法は特に限定されない。成形活性炭原料に、水やア
ルコールなどの溶剤を必要量加え、混合し、押し出し成
形法などで目的の形に成形した後、乾燥し、必要により
熱処理を行う。

【０００８】本発明においては、フィルターとたばこ巻
きの接続には、チップペーパーを用いることができる。
低タールたばこでは、チップペーパーに開孔を設けるこ
とにより、たばこ煙を希釈するベンチレーション空気を
フィルター内へと導入している。本発明のフィルターを
低タールたばこ用フィルターとして使用する際には、ベ
ンチレーション率は、２０〜８０％が望ましく、更に好
ましくは５０〜８０％である。その際に、フィルターの
巻取紙の通気度は１０００〜３００００ＣＵであり、チ
ップペーパーの通気度は５００〜３０００ＣＵであるこ
とが望ましい。本発明において、ベンチレーションの開
孔を設ける場合、そのフィルター長手方向の開孔を設け
る位置は、成形活性炭の外周部が望ましい。開孔の位置
が成形活性炭より刻み側にあれば、導入されるベンチレ
ーションの割合が減少するとともに、ベンチレーション
空気と混合希釈された主流煙が成形活性炭の連通孔１４
を通過することとなり、活性炭の吸着性能が有効に発揮
できない。また、開孔の位置が成形活性炭より吸口側に
あれば、喫煙の際に喫煙者の口中に開孔部が入り、覆わ
れる可能性があり好ましくない。

【０００９】成形活性炭の長手方向の両側に配する繊維
質フィルターとしては、セルロースアセテートの捲縮繊
維束あるいは紙からなるフィルターが用いられる。成形
活性炭の重量は、５０ｍｇ以上１０００ｍｇ以下である
ことが望ましく、さらに、１００〜１０００ｍｇがより
好ましい。成形活性炭の重量が５０ｍｇ未満である場合
は、たばこ煙に対する吸着除去性能が減少して好ましく
ない。また１０００ｍｇを越えると、たばこ煙中の香喫
成分までも吸着して喫煙の満足が低下するため、好まし
くない。従来、繊維質フィルターに粒状の活性炭を分散
担持させたチャコールフィルターでは、３０〜５０ｍｇ
の粒状活性炭を使用しているが、この粒状活性炭の添加
量を増加させると、繊維質フィルターの通気抵抗が増加
するという問題があった。しかし、本発明の成形活性炭
では、連通孔を形成しておくことにより、たばこ煙は主
に連通孔を通過するため、通気抵抗の増加を招くことな
く、活性炭の重量を増加させることが可能である。成形
活性炭は、１０重量％以上９５重量％以下の活性炭を含
有していることが好ましく、より好ましくは２０〜９５
重量％、最も好ましくは３０〜９０重量％である。活性
炭の含有量が１０重量％より少ない場合には、成形活性
炭の細孔表面積が減少して吸着性能が損なわれる。ま
た、９５重量％を越えると成形活性炭を成形する際の成
形性が損なわれる。また、成形活性炭のアセトン吸着性
能としては、３％以上３０％以下が好ましく、より好ま
しくは６〜３０％であり、最も好ましくは９〜２８％で
ある。また、細孔表面積としては、１００ｍ²／ｇ以上
２０００ｍ²／ｇ以下が好ましく、より好ましくは２０
０〜２０００ｍ²／ｇ、最も好ましくは３００〜１９０
０ｍ²／ｇである。

【００１０】本発明においては、例えば図１に示すよう
に、成形活性炭１０の外周面に、その長手方向に沿った
周面溝１２が形成されていることを特徴とする。周面溝
１２としては、図３に示すように、周面溝１２の幅Ｗａ
が周面溝１２の間隔Ｗｂより狭いことが好ましい。周面
溝の幅がその間隔と等しいか、あるいはより大きい場合
（図４に示すような場合）には、フィルター製造工程に
おいて複数個の成形活性炭をまとめて取り扱う際に、隣
接する成形活性炭の周面溝同士がかみ合い、ブリッジ現
象を発生して、成形活性炭の円滑な取り扱いが損なわれ
るため好ましくない。周面溝１２の形は特に限定されな
いが、周面溝１２の断面形状としては半円形、Ｕ字形、
あるいは三角形、四角形、五角形などの多角形等が挙げ
られる。周面溝１２の幅としては、０.０１ｍｍ以上６
ｍｍ以下が好ましく、より好ましくは、０.１〜２ｍｍ
である。周面溝１２の幅が０.０１ｍｍより小さい場合
には、導入されるベンチレーションの割合が減少する。
６ｍｍを越えると、チップペーパーが変形するため好ま
しくない。周面溝の深さとしては、０.０１ｍｍ以上４
ｍｍ以下が好ましく、より好ましくは、０.１〜２ｍｍ
である。周面溝の深さが０.０１ｍｍより小さい場合に
は、導入されるベンチレーションの割合が減少する。４
ｍｍを越えると、成形活性炭の強度が低下するため好ま
しくない。また、周面溝の大きさが成形活性炭の長手方
向で変化しても良い。周面溝の数は、特に限定されない
が、２個以上２００個以下であることが好ましい。より
好ましくは、４〜５０個であり、最も好ましくは、１０
〜４０個である。

【００１１】成形活性炭には、図１、３に示すように、
これを長手方向に貫通する連通孔１４が形成されている
ことが望ましい。連通孔１４としては、６個以上６０個
以下、より好ましくは、１０〜５０個が望ましい。連通
孔の孔数が６個未満であると、たばこ煙が連通孔の中を
通過する際に、ガス・蒸気相成分を吸着する面積が減少
するため好ましくない。６０よりも多いと、成型時に連
通孔の形状が崩れ易くなり、また、連通孔を仕切る成形
活性炭の壁の厚さが減少して、成形活性炭の強度が低下
するため好ましくない。連通孔の断面形状は、円形や楕
円形の丸形、あるいは、３角形、４角形、６角形などの
多角形とすることが好ましい。連通孔のセル数は、２０
セル／ｉｎｃｈ²以上、１０００セル／ｉｎｃｈ²以下が
好ましく、より好ましくは１００〜１０００セル／ｉｎ
ｃｈ²である。本発明のフィルターの通気抵抗として
は、５０〜１７０ｍｍＨ₂Ｏとすることが好適である。
５０ｍｍＨ₂Ｏ未満であると、たばことして喫煙する際
に吸引抵抗が低く、喫煙の満足感が得られにくい。ま
た。１７０ｍｍＨ₂Ｏを越えると逆に吸引抵抗が高く、
たばこ煙の吸い込みが困難となる。

【００１２】

【実施例】以下実施例により、本発明を更に詳細に説明
する。尚、実施例に於ける各測定項目は次の方法に依っ
た。＜アセトン吸着性能＞活性炭試験法ＪＩＳＫ１４７４に
規定されている溶剤蒸気の吸着性能に準じて測定を行っ
た。溶剤にアセトンを使用して、吸着槽の温度は２５.
０℃、蒸気希釈比ｎ＝１７.５（３７.５ｇ／ｍ³）の蒸
気濃度で測定した。＜細孔表面積＞液体窒素沸点温度（−１９６℃）におけ
る窒素吸着量を測定し、ＢＥＴ法により細孔表面積を求
めた。＜細孔容積＞液体窒素沸点温度（−１９６℃）におけ
る、細孔直径３０ｎｍに対応する窒素ガスの相対圧０.
９３１の窒素吸着量を測定して、細孔容積を求めた。＜平均細孔直径＞細孔表面積および細孔容積から、下式
にて平均細孔直径を計算した。平均細孔直径(Å)＝４×細孔容積(ml/g)／細孔表面積(m
²/g)×１０⁴ ＜通気抵抗＞フィルターの通気抵抗は、コレスタ法に記
載する方法により、加藤工業製「ＯＴＩＣ式吸引抵抗測
定器」を用いて測定した。＜ベンチレーション＞フィルターのベンチレーション
は、コレスタ法に記載される方法により、フィルトロー
ナ製ベンチレーションテスターを用いて測定した。＜タール、ニコチンの測定＞コレスタ法に記載される方
法により、ボルグワルト社製「回転形喫煙器ＲＭ２０／
ＣＳ」を用いて喫煙試験を実施して、ケンブリッジフィ
ルターにて捕捉した煙成分をガスクロマトグラフで定量
した。＜ガス・蒸気相成分の測定＞ボルグワルト社製「回転形
喫煙器ＲＭ２０／ＣＳ」を用いコレスタ法に基づき喫煙
試験を行い、ガス・蒸気相成分は捕集用パッグに集め
て、それをガスクロマトグラフにて測定した。＜たばこ煙中の活性種の濃度の測定＞ボルグワルト社製
「回転形喫煙器ＲＭ２０／ＣＳ」を用いて、喫煙したた
ばこ煙をＮ−ｔｅｒｔ−ブチル−α−フェニルニトロン
のベンゼン溶液を通過させ、日本電子製電子スピン共鳴
の分光器「ＪＥＳ−ＴＥ２００」にて、このベンゼン溶
液中の電子スピン濃度を測定した。なお、既知濃度の試
料としては、４−ヒロドキシ２,２,６,６−テトラメチ
ルピペリジン−１−オキシルのベンゼン溶液を用いた。

【００１３】［実施例１］捲縮アセテートトウとして、
単糸繊度１.７デシテックス、単糸断面形状Ｙ形、総繊
度４９０００デシテックスのトウを用いて、プラグ巻き
上げ機（「ＫＤＦ−III／ＡＦ−III」ハウニー社製）に
より、６００ｍ／分の巻き上げ速度にて円周２４.２ｍ
ｍ、長さ１２０ｍｍのフィルタープラグを製造した。こ
のフィルタープラグを長さ７.５ｍｍに切断して、プレ
ーンフィルターを作成した。別途、武田薬品工業製の粉
末活性炭に、無機系バインダーおよび有機系バインダー
を添加し、水を加え混合し、押し出し成形法により所定
の寸法に成形した後、乾燥して成形活性炭を作成した。
成形活性炭は、長さ１０mm、直径が７.７ｍｍであり、
その外周面には、幅Ｗａが０.６ｍｍ、間隔Ｗｂが１.０
ｍｍである１５個の周面溝が形成されている。成形活性
炭の仕様を表１に示した（成形活性炭（１））。上記の
プレーンフィルター２個の間に成形活性炭（１）を挟ん
で、トリプル構造のフィルターを試製した。得られたた
ばこフィルターの構成を表２に示す。さらに、このたば
こフィルターとたばこの巻部とを次のように接続した。
たばこの巻部として、市販のたばこ（フィリップモリス
社製の商品名「Ｍａｒｌｂｏｒｏ」）からフィルター部
分を切断して、たばこ巻部を取り出した。たばこフィル
ターとたばこ巻部との接続方法としては、フィルター部
分がたばこの巻部に接するように配置し、その外周をチ
ップペーパーで巻いた。得られたたばこについて喫煙試
験を行った。タール及びニコチン喫煙量は表３に示し
た。ガス・蒸気相の喫煙量については、喫煙試験におけ
る喫煙回数のうち、第１パフから第４パフまでの４回の
たばこ煙を捕集して、ガス・蒸気相成分を測定した結果
を表４に示す。また、第５パフ以降のたばこ煙について
測定したガス・蒸気相成分の測定結果を表５に示した。
測定結果は、各成分の喫煙量を喫煙回数で除した平均喫
煙量、及び、プレーンフィルターにおける喫煙量と比較
した各成分の減少率として示した。また、たばこ煙中の
活性種の濃度を電子スピン共鳴法により測定した結果を
表６に示した。

【００１４】［実施例２］実施例１と同様な方法にてた
ばこフィルターを試製した。ただし、フィルター巻取紙
は、１００００ＣＵの高通気性巻取紙を用いて、たばこ
フィルターの構成としては、表７に示すものとした。こ
のたばこフィルターとたばこの巻部とを次のように接続
した。たばこの巻部としては、市販のたばこ（フィリッ
プモリス社製の商品名「Ｍａｒｌｂｏｒｏ」）からフィ
ルター部分を切断して、たばこ巻部を取り出して用い
た。たばこフィルターとたばこ巻部との接続方法として
は、フィルター部分がたばこの巻部に接するように配置
し、その外周を通気孔を設けたチップペーパーで巻い
た。この際、通気孔を設けた紙の領域には糊付けしない
ようにした。チップペーパーの通気孔を設けた部分は、
フィルター吸口端面から１２.５ｍｍの位置とした。外
周面に１５本の周面溝を有する成形活性炭（１）を用い
た場合、チップベンチレーションは５７％となった。得
られたたばこの喫煙試験を行った。タール及びニコチン
喫煙量は表８に示す。ガス・蒸気相の喫煙量について
は、喫煙試験における喫煙回数のうち、第１パフから第
４パフまでの４回のたばこ煙を捕集して、ガス・蒸気相
成分を測定した結果を表９に示す。また、第５パフ以降
のたばこ煙について測定したガス・蒸気相成分の測定結
果を表１０に示した。

【００１５】［比較例１］実施例と比較する目的で、プ
レーンフィルターとチャコールフィルターとからなるデ
ュアル構造フィルターを試製した。プレーンフィルター
は、捲縮アセテートトウとして、単糸繊度２.４デシテ
ックス、単糸断面形状Ｙ形、総繊度４４０００デシテッ
クスのトウを用いて、円周２４.２ｍｍ、長さ１２０ｍ
ｍのフィルタープラグを製造した。チャコールフィルタ
ーは、単糸繊度３.３デシテックス、単糸断面形状Ｙ
形、総繊度４００００デシテックスのトウに粒状活性炭
を分散担持させて、円周２４.２ｍｍ、長さ１２０ｍｍ
のフィルタープラグを製造した。上記のフィルタープラ
グから、長さ１５ｍｍのチャコールフィルターと長さ１
０ｍｍのプレーンフィルターとからなるデュアル構造フ
ィルターを得た。チャコールフィルター中の活性炭含有
量は、５０ｍｇである。このフィルター構成を表２に示
す。このフィルターとたばこの巻部とを実施例１と同様
に接続することにより得られたたばこの評価結果を表３
〜５に示した。また、たばこ煙中の活性種の濃度を電子
スピン共鳴法により測定した結果を表６に示した。

【００１６】［比較例２］実施例と比較する目的で、通
常のプレーンフィルターを試製した。捲縮アセテートト
ウとして、単糸繊度３.３デシテックス、単糸断面形状
Ｙ形、総繊度４９０００デシテックスのトウを用いて、
円周２４.２ｍｍ、長さ１２０ｍｍのフィルタープラグ
を製造した。このフィルタープラグを長さ２５ｍｍに切
断して、プレーンフィルターとした。このプレーンフィ
ルターを実施例１と同様にたばこ部を接続して評価し
た。このフィルターの構成を表２に、また、たばこの評
価結果を表３〜５に示した。また、たばこ煙中の活性種
の濃度を電子スピン共鳴法により測定した結果を表６に
示した。

【００１７】［比較例３］実施例と比較する目的で、外
周面に周面溝を持たない長さ１０ｍｍ、直径７.７ｍｍ
の円形の成形活性炭（２）を用いる以外は、実施例１と
同様にしてフィルターを作成した。この際、巻き取り紙
は、１００００ＣＵの高通気性巻き取り紙を用いた。成
形活性炭の仕様を表１に示す。また、このフィルター構
成を表７に示す。断面形状が円形である成形活性炭
（２）を用いて、その外周部に開孔を設けた場合、チッ
プベンチレーションは２３％となり、フィルター外周部
から導入される空気の割合は実施例２に比べて減少し
た。このたばこフィルターとたばこの巻部とを実施例２
と同様に接続して得られたたばこの評価結果を表８〜１
０に示す。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【表２】

【００２０】

【表３】

【００２１】

【表４】

【００２２】

【表５】

【００２３】

【表６】

【００２４】

【表７】

【００２５】

【表８】

【００２６】

【表９】

【００２７】

【表１０】

【００２８】

【発明の効果】本発明のたばこフィルターは、たばこ煙
中のガス・蒸気相成分を効率よく除去することができ
る。特に、低タール製品となるトリプル構造フィルター
に好適である。また、成形活性炭の外周面に形成された
溝の幅を溝の間隔より狭くすることで、製造工程が円滑
化する。さらに、溝の幅を０.０１ｍｍ〜６ｍｍとする
ことで、チップペーパーの変形を伴うことなく、ベンチ
レーションの導入割合を増加することができる。成形活
性炭の重量を５０〜１０００ｍｇとすることで、たばこ
煙中の香喫成分を適度に維持しつつ、たばこ煙に対する
吸着除去性能を高めることができる。また、成形活性炭
が１０〜９５重量％の活性炭を含有することで、その吸
着性能と成形性を両立できる。さらに、成形活性炭が連
通孔を有することで、たばこ煙は主に連通孔を通過する
ため、通気抵抗の増加を招くことなく、活性炭の重量を
増加させることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】成形活性炭の斜視図である。

【図２】たばこフィルターの一例を示す斜視図であ
る。

【図３】成形活性炭の一例を示す横断面図である。

【図４】成形活性炭の一例を示す横断面図である。

【符号の説明】

１０成形活性炭１２周面溝１４連通孔１６繊維質フィルター１８繊維質フィルター２０刻み２２ベンチレーション開孔部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者前田和生東京都港区虎ノ門三丁目８番21号日本フィルター工業株式会社内 (72)発明者金子英夫埼玉県朝霞市栄町三丁目２番34号日本フィルター工業株式会社内 (72)発明者岩島良憲大阪府吹田市五月が丘北16番２号 (72)発明者毛利元哉大阪府吹田市山田南50番Ｂ−101号 (72)発明者神田久富山県富山市海岸通３番地三菱レイヨン株式会社富山事業所内 (72)発明者松本鶴義富山県富山市海岸通３番地三菱レイヨン株式会社富山事業所内Ｆターム(参考） 4B045 AA46 AB17 BC08

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】活性炭と成形用バインダーを有する成形
活性炭を備えたたばこフィルターであって、該成形活性
炭の外周面にフィルターの長手方向に沿った溝が形成さ
れていることを特徴とするたばこフィルター。
【請求項２】たばこフィルターが、成形活性炭とその
長手方向の両側に繊維質フィルターとを配したトリプル
構造フィルターであり、該たばこフィルターを覆うチッ
プペーパーには、該成形活性炭の外周部にベンチレーシ
ョン孔が形成されていることを特徴とする請求項１に記
載のたばこフィルター。
【請求項３】前記成形活性炭の外周面に形成された溝
の幅が、溝の間隔より狭いことを特徴とする請求項１又
は２に記載のたばこフィルター。
【請求項４】溝の幅が、０.０１ｍｍ〜６ｍｍである
ことを特徴とする請求項１〜３いずれか１項に記載のた
ばこフィルター。
【請求項５】成形活性炭の重量が５０〜１０００ｍｇ
であることを特徴とする請求項１〜４いずれか１項に記
載のたばこフィルター。
【請求項６】成形活性炭が１０〜９５重量％の活性炭
を含有することを特徴とする請求項１〜５いずれか１項
に記載のたばこフィルター。
【請求項７】前記成形活性炭に、その長手方向に沿っ
て貫通する連通孔が形成されていることを特徴とする請
求項１〜６いずれか１項に記載のたばこフィルター。
【請求項８】前記成形活性炭は、連通孔を６個以上６
０個以下有し、該連通孔の断面形状が３角形、４角形、
６角形、あるいは丸形であることを特徴とする請求項７
記載のたばこフィルター。