JP2001116886A - 放射線作業従事者用の作業衣 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各管理区域における作業に従事する作業員が
着用すれば、一着の着衣だけで従来の上記基準装備であ
る「下着」，「チョッキ」，「カバオ−ル」の機能を発
揮できる多機能作業衣を提供すること。 【解決手段】 上半身部１，下半身部２を有するつなぎ
服形状をなし、その上半身部と下半身部を異なる素材に
より形成したことを特徴とするものであり、その下半身
部２は伸縮性のない放射線防護性の一般生地Ｔにより形
成し、上半身部１はその全部又は大部分を、伸縮性を有
し吸水性及び吸水した水分を拡散，発散する機能と放射
線防護性を具えた生地Ｔにより形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所等の
放射線環境において種々の作業に従事する作業員が着用
して有用な作業衣に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】原子力発電所等の放射線環境において
は、放射線管理区域としていくつかの区域に分けられて
いる。

【０００３】上記の各管理区域における作業に従事する
作業員は、それぞれの区域に適合した各区域専用の作業
衣を着用しているが、各区域に専用の作業衣（カバオー
ル）は、夫々の作業衣の下に下着とチョッキを着用して
いるため、このような下着，チョッキ，作業衣の着装形
態では、管理区域ごとに作業員が着替えを行う必要があ
って煩わしいばかりでなく、この着替えには時間を要す
るため、各区域における所定の作業を行うための入退域
の時間が長くなって、作業能率上好ましくない。

【０００４】また、上記の作業衣は、下着，チョッキ，
カバオ−ル（作業衣）と、夫々に独立した着衣として三
種類があるため、夫々の在庫管理が面倒である上に、１
回の使用毎に洗濯しなければならないので、洗濯に要す
る費用が膨大な額になるという問題もある。上記作業衣
において重要なことは、着用性，作業性，吸汗性が良い
ことは勿論であるが、下着，チョッキ，カバオールの性
能を併有した着衣を開発することにより総洗濯数量をい
かにして減じるかである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、上述のような従来作業衣の事情に
鑑み、各管理区域における作業に従事する作業員が着用
すれば、一着の着衣だけで従来の基準装備である「下
着」，「チョッキ」，「カバオ−ル」の機能を発揮でき
る多機能作業衣を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本発明放射線作業従事者用の業衣
の構成は、上半身部，下半身部を有するつなぎ服形状を
なし、その上半身部と下半身部を異なる素材により形成
したことを特徴とするものであり、その下半身部は伸縮
性のない放射線防護性の一般生地により形成し、上半身
部はその全部又は大部分を、伸縮性を有し吸水性及び吸
水した水分を拡散，発散する機能と放射線防護性を具え
た生地により形成したことを特徴とするものである。

【０００７】即ち、本発明は、上記課題を解決できる作
業衣として、「下着＋チョッキ＋管理区域用の作業衣
（カバオ−ルと呼ばれるつなぎの作業衣）」の各機能
を、一着の作業衣で果せるようにした作業衣を開発する
ことにより、各管理区域において本発明作業衣を着用す
るだけで作業に従事でき、また、総洗濯数量の大幅な減
量化を図ることができるようにしたのである。

【０００８】また、本発明の発明者等は、従来の「下着
＋チョッキ＋カバオ−ル」の機能をすべて具えた多機能
の作業衣であっても、着用者の作業時における着心地や
着用者の発汗状況などについて鋭意研究の結果、つなぎ
服形の作業衣の場合、その着用者が作業時に発汗するの
は主として胸部と背中部であること、従って、作業衣の
上半身部の全部又は大部分を、吸水機能が高く、また、
吸水した水分を効率よく拡散，発散する機能を具えた生
地により形成すれば着心地が良く汗の吸収も良好な作業
衣が形成できることを知得し、本発明を完成したのであ
る。

【０００９】而して、作業衣の上半身部を形成する生地
には、異なったレベルの毛細管作用を示す複数の非吸湿
性繊維を多層構造体に形成したものを用い、前記非吸湿
性繊維の多層構造体は、吸水層，導水層及び拡散層を具
備するように形成することにより、吸汗・乾燥効果は極
めて顕著なものとなる。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態例を図
により説明する。図１は本発明作業衣の一例の正面図、
図２は図１の作業衣の上半身部の全部又は大部分を形成
する生地の機能を示す説明図である。

【００１１】図１において、Ｗは、上半身部１と下半身
部２とフード３を一体に形成した所謂つなぎ服状をなす
本発明の一例の作業衣で、下半身部２と上半身部１の一
部及びフード３は、一例として一般衣料にも多用されて
いるポリエステルと綿の二層構造からなる生地をＴ使用
し、上半身部１の大半は、毛細管作用の異なる非吸湿性
繊維例えばポリエステル繊維を複数層の多層構造体によ
る糸とファブリック構造を組合わせた特殊な機構を有す
る生地Ｓを使用して形成してある。

【００１２】即ち、この例で使用する前記生地Ｓは、図
２に例示したように、吸水層S1，導水槽S2及び拡散層S3
から成る三層構造に形成したもので、着用者が発汗した
場合、着用者の肌に最も近い吸水層S1が汗の水分bwを毛
細管作用により吸い上げ、吸い上げられた水分は導水層
S2の毛細管作用により更に吸い上げられて拡散層S3に移
動し、該層S3の毛細管作用により大気中（作業衣Ｗの
外）に拡散されて乾燥する吸汗・速乾機能に優れたもの
である。従って、本発明作業衣Ｗは、その上半身部１に
前記生地Ｓを使用することにより、従来は、夫々に独立
した着衣であった「下着」，「チョッキ」，「カバオ−
ル」の夫々の機能を一着の作業衣Ｗで発揮するものであ
る。

【００１３】なお、図１において、11は上半身部１の襟
部、12は前見頃のファスナｆによる合わせ部のカバ−、
13は下半身部２とのつなぎ部、14は胸ポケット、15はそ
の蓋であり、また、４は上半身部１の袖、５は下半身部
２の脚である。本発明作業衣Ｗには、フード３を具備し
たものと、フード３が設けられないものとがある。

【００１４】而して、図１に示した本発明作業衣Ｗの例
における上記三層構造の生地Ｓは、人の身体において最
も発汗の多い上半身部１おける胸部と背中部及び袖４の
内側41に使用してあり、袖４の外側42，襟部11，ファス
ナーｆのカバ−12，上下のつなぎ部13及び胸ポケット14
の蓋15には、下半身部２に使用した生地Ｔと同じ生地Ｔ
を使用している。これは、上半身部１に主として使用す
る生地Ｓが下半身部に使用する生地Ｔより柔軟で腰が弱
いので、服全体としての堅牢性を持たせると共に着用時
における着心地を良好にするためである。

【００１５】なお、図示した本発明作業衣Ｗにおける袖
４及び脚部５の先端部には、メリヤス地のような伸縮性
のある生地Ｕを取付けて、着用時に手首，足首を適度に
締め付けるように形成されているが、本発明作業衣Ｗで
は、袖４，脚部５の先端部の構成は任意の態様をするこ
とができる。

【００１６】上記のように構成される本発明作業衣Ｗ
は、従来の夫々に独立した「下着」，「チョッキ」，
「カバオ−ル」の機能を一着で備えたものであるから、
各管理区域における作業員が着用する作業衣として、き
わめて好適である。

【００１７】

【発明の効果】本発明は上述のとおりであって、上半身
部，下半身部及び頭巾から成るつなぎ服形状をなし、下
半身部を放射線防護性の通常生地により形成する一方、
上半身部はその全部又は大部分を吸水性及び吸水した水
分を拡散，発散する機能を放射線防護性とともに具えた
生地により形成したものであるから、従来個々に独立し
ていた下着，チョッキ，Ｂカバオ−ルの機能を、一着の
作業衣に一体化できるので、例えば管理区域内作業に移
行するに際しては着替えを要せず、異なる管理区域から
の移行では、本発明作業衣の上から従来の衣服を重ねて
着用するという一種類の着替えで済むため、着替えの煩
わしさがほぼ全面的に解消されるばかりでなく、着替え
の時間も大幅に短縮され、作業の効率化を図ることがで
きるし、更に、作業衣の種類を従来より大巾に減じるこ
とができるので、その在庫管理が容易になる上に、下
着，チョッキの洗濯がなくなるので、従来、膨大な額に
上っていた洗濯費を著しく減することができる。

【００１８】加えて、本発明作業衣は、つなぎ服であり
乍ら下着及びチョッキの機能を備えているから、管理区
域での従来衣服の下着として使用でき、従って、この区
域内における作業終了後、他の区域における放射線汚染
物を扱わない作業やパトロ−ル等の簡易な作業にそのま
ま使用でき、作業能率の大幅な向上を期することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明作業衣の一例の正面図。

【図２】図１の作業衣の上半身部の全部又は大部分を形
成する生地の機能を説明するための概略図。

【符号の説明】

Ｗ 本発明作業衣 １ 作業衣の上半身部 ２ 作業衣の下半身部 ３ フード ４ 袖 ５ 脚 Ｓ 上半身部を形成する生地 S1 吸水層 S2 導水層 S3 拡散層 Ｔ 下半身部を形成する生地

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉澤 勇二 福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原22 東 京電力株式会社福島第一原子力発電所内 (72)発明者 永山 誠司 福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原22 東 京電力株式会社福島第一原子力発電所内 (72)発明者 馬目 正教 福島県双葉郡富岡町大字小浜字大膳町105 −２ 株式会社千代田テクノル福島営業所 内 (72)発明者 宮古 勝喜 福島県双葉郡富岡町大字小浜字大膳町105 −２ 株式会社千代田テクノル福島営業所 内 (72)発明者 瀬倉 統男 東京都杉並区和田３−53−14 東洋物産株 式会社内 Ｆターム(参考） 3B011 AA02 AB01 AC17 AC25

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上半身部，下半身部を有するつなぎ服形
   状をなし、その上半身部と下半身部を異なる素材により
   形成したことを特徴とする放射線作業従事者用の作業
   衣。
2. 【請求項２】 下半身部は放射線防護性の一般生地によ
   り形成し、上半身部はその全部又は大部分を、伸縮性を
   有し吸水性及び吸水した水分を拡散，発散する機能と放
   射線防護性を具えた生地により形成した請求項１の放射
   線作業従事者用の作業衣。
3. 【請求項３】 上半身部の全部又は大部分を形成する生
   地は、異なったレベルの毛細管作用を示す複数の非吸湿
   性繊維を多層構造体に形成したものである請求項１又は
   ２に記載の作業衣。
4. 【請求項４】 非吸湿性繊維の多層構造体は、下から順
   に吸水層，導水層及び拡散層から成る請求項３に記載の
   作業衣。