JP2001112506A - スパイク靴 - Google Patents

スパイク靴

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JP2001112506A
JP2001112506A JP29240399A JP29240399A JP2001112506A JP 2001112506 A JP2001112506 A JP 2001112506A JP 29240399 A JP29240399 A JP 29240399A JP 29240399 A JP29240399 A JP 29240399A JP 2001112506 A JP2001112506 A JP 2001112506A
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Seiichi Goto
誠一 後藤
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Mizuno Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、滑り止め突起を有するスパイク靴
に関する技術分野に属するものであり、天然芝や人工芝
舗装、アンツーカー等、各種サーフェスに渡って優れた
防滑性を発揮することができるスパイク靴を提供するこ
とを課題とする。 【解決手段】 靴底の前足部領域に配置する滑り止め突
起を、引張り強さ300〜1500Mpaの素材からな
る硬質突起と、引張り強さ10〜35Mpaの素材から
なる軟質突起の2種類の突起で構成し、硬質突起の高さ
が軟質突起の高さ以上に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、滑り止め突起を有
するスパイク靴に関する技術分野に属するものであり、
天然芝や人工芝舗装、アンツーカー等、各種サーフェス
に渡って優れた防滑性を発揮することができるスパイク
靴を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、野球競技のように、試合中、アン
ツーカーと人工芝または天然芝といった異なるサーフェ
スに渡って試合が行われる場合には、動作が行われる主
局面に合わせた靴、たとえば、バッティング時にはアン
ツーカー、天然芝に合わせて金具付きスパイク靴を、外
野守備時には人工芝舗装に合わせてラバー突起付きスパ
イク靴等を履き替えて使用するのが一般的であった。も
しくは、いずれかのサーフェスのみに合わせて、十分な
防滑性を得られない靴を異なるサーフェスに渡って履
き、使用することも行われていた。
【0003】具体的に従来技術を挙げれば、異なるサー
フェスで使用することを目的とした靴においては、たと
えば、特開平9−56410号には、硬度が異なる素材
からなる複数種類の突起を突設することで、防滑性と疲
れ難さを確保することを特徴とする鋲付き靴底が開示さ
れている。
【0004】また、特開平10−127304号には、
鋲と周囲の複数個のラバーポイントで構成される鋲ユニ
ットを、圧力が高く作用する区域において配置すること
で、クッション性のある歩行ができることを特徴とする
ゴルフシューズが開示されている。
【0005】また、実公平6−33844号には、爪先
側には金属スパイクを装着し、踵側には弾性に優れた非
金属製の凸部を突設したプレートを装着することで、骨
折等の傷害を防止し、緩衝効果を得ることを特徴とする
野球用靴底が開示されている。
【0006】更に、特開平10−66605号には、前
足部領域もしくは踵部領域の何れかのスパイク部を交換
自在とし、高さまたは形状の異なる突起を交換可能にす
ることで、衝撃吸収能を維持することを特徴とするスパ
イク靴用ソールが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
においては、以下に示す技術的課題があった。すなわ
ち、前記特開平9−56410号に記載された靴底は、
防滑性と疲れ難さを確保することを特徴とする鋲付き靴
底であって、疲れ難い機能を実現するために、硬度の低
い柔かい鋲の高さを、硬度の高い硬い鋲のそれより高く
設定しており、本来、サーフェスに突き刺さることで防
滑性を発揮し得る硬い鋲が有効に活用されず、土や芝等
の柔かいサーフェスでは十分な防滑性を得ることができ
なかった。
【0008】また、前記特開平10−127304号に
記載されたゴルフシューズは、鋲の周囲に複数個のラバ
ーポイントを配して構成される鋲ユニットを用いたゴル
フシューズであって、硬いサーフェスにおいてクッショ
ン性を実現するために、鋲の周囲に配されたラバーポイ
ントが、前記鋲がサーフェスに突き刺さることを制限す
るように作用し、やはり、柔かいサーフェスにでは十分
な防滑性を得ることができなかった。
【0009】また、実公平6−33844号に記載され
た、爪先側には金属スパイクを装着し、踵側には弾性に
優れた非金属製の凸部の突設したプレートを装着した野
球用靴底は、踵踏付け部の突起がサーフェスへ深く突き
刺さることを防止し、傷害を予防することを目的とした
もので、異なるサーフェスに渡って防滑性を確保するも
のではない。また、動作の始動局面等で最も防滑性が要
求される前足部領域においては、防滑性を高める効果は
示されていない。
【0010】更に、特開平10−66605号に記載さ
れた、前足部領域もしくは踵部領域の何れかのスパイク
部を交換自在とし、高さまたは形状の異なる突起を交換
可能とすることを特徴とするスパイク靴用ソールは、突
起高さまたは形状等の異なった突起の取替えにより衝撃
吸収能を維持すること、ポジションやグランド等の条件
への対応について言及しているが、異なるサーフェスに
渡る動作を伴う野球などのスポーツに対応するものでは
ない。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
し、異なるサーフェスに渡って優れた防滑性を発揮し、
それら複数種のサーフェスに跨る動作を伴う野球やソフ
トボールといったスポーツについても、サーフェスごと
に履き替えることなく一足の靴で対応できるスパイク靴
に関する発明をするに至った。
【0012】本発明に係るスパイク靴は、靴底の前足部
領域に配置する滑り止め突起を、引張り強さ300〜1
500Mpaの素材からなる硬質突起と、引張り強さ1
0〜35Mpaの素材からなる軟質突起の2種類の突起
で構成し、硬質突起の高さが軟質突起の高さ以上に形成
されたことにより、人工芝舗装等硬いサーフェスにおい
ては、前記硬質突起が深くサーフェスに突き刺さらずと
も、比べて引張り強さが小さい素材からなり可撓性を有
する前記軟質突起がサーフェスに接触し、撓むことでサ
ーフェスとの接触面積を増やし、その結果、摩擦抵抗を
増大させ、優れた防滑性を発揮する。また、アンツーカ
ーや天然芝等柔かいサーフェスにおいては、前記硬質突
起、軟質突起ともサーフェスに突き刺さり、エッジ効果
により優れた防滑性を発揮する。加えて、引張り強さが
大きい素材からなる硬質突起の高さを、引張り強さが小
さい素材からなる軟質突起の高さより同等もしくは高く
設定したことにより、硬質突起がサーフェスに十分深く
突き刺さり、より優れた防滑性を発揮する。
【0013】また、各サーフェスで主となる運動形態が
あるとき、たとえば、野球競技において、主にアンツー
カー上ではピッチング動作やバッティング動作が行わ
れ、一方、人工芝上ではランニング動作が行われるが、
その主となる運動形態に対してより高い防滑性を発揮す
るよう、前記硬質突起及び軟質突起を、それぞれ最も効
果が得られる領域に配置することができる。すなわち、
各サーフェスでの主となる運動形態における、靴底に作
用する剪断応力の方向と作用領域を、足圧分布履歴計測
手段と荷重ベクトル履歴計測手段で得られたデータを元
に剪断応力分布図決定手段によって剪断応力分布図を決
定する。 得られた剪断応力分布図には、各運動形態に
おいて最も中心的な動作を行う際に靴底とサーフェスと
の関係で、滑りを生じないために必要とされる剪断応力
の向きとが表される。上記方法によって得られた各サー
フェス上で主となる運動形態での剪断応力分布図に合致
させて、各サーフェスにおいて効果的に防滑性を発揮す
る引張り強さの素材からなる突起を、再配置することで
優れた防滑性を発揮することができる。
【0014】その結果、野球その他各種スポーツに用い
られる本発明に関わるスパイク靴において、前記軟質突
起は、靴底のソール中心線に対して、内側と比べて外側
に多く配置することにより、卓効を得られることが判明
した。
【0015】更に、解剖学的見地から足部骨格図と前記
剪断応力分布図とを用いて、本発明に係るスパイク靴の
各突起の取り付け領域を具体的に特定すれば以下のよう
になる。すなわち、本発明に係るスパイク靴は、第一指
末節骨先端と第三指末節骨先端との間の領域、第一中足
骨頭と第二指中足骨頭との間の領域、および第四指中足
骨頭と第五指中足骨頭との間の領域に前記硬質突起を、
第三指基節骨体と第五指基節骨体との間の領域、第一指
末節骨体と第一指基節骨体との間の領域及び第三指末節
骨体と第五指末節骨体との間の領域に前記軟質突起を配
置したことを特徴とする。
【0016】このように、前記方法によって得られた各
サーフェス上で主となる運動形態における剪断応力分布
図と足部骨格図を比較検討し、上記領域1〜3に前記硬
質突起を、また、上記領域4〜5に前記軟質突起を配置
することにより、各サーフェスにおいて、最も効果的に
防滑性を発揮する引張り強さの素材からなる突起を配置
することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以
下に説明する。本発明は、主に野球やソフトボールとい
った競技に使用されるスパイク靴であって、爪先から土
踏まず部前方に至る、靴底の前足部領域に配置する滑り
止め突起に関するものである。本発明に係るスパイク靴
は、引張り強さの異なる素材からなる複数の突起を有
し、引張り強さの大きい素材からなる硬質突起は、たと
えば、アルミニウム合金、チタニウム合金や炭素鋼材等
の比較的軽量で耐摩耗性に優れ、高い靭性を有する金属
素材、あるいはポリカーボネイト樹脂やポリイミド樹脂
からなるエンジニアリングプラスチック素材であって、
引張り強さが300〜1500Mpaの素材の中から適
宜選択して用いられる。一方、引張り強さの小さい素材
からなる軟質突起は、たとえば、ゴム素材や低硬度のポ
リウレタン等の各種エラストマー素材であって、引張り
強さが10〜35Mpaの素材等の中から適宜選択して
用いられる。
【0018】これら素材から形成される各突起におい
て、引張り強さが大きい素材からなる硬質突起の高さ
は、引張り強さが小さい素材からなる軟質突起の高さよ
り同等もしくは高く設定する。このように構成すること
により、引張り強さが大きい素材からなる硬質突起の突
き刺さり量を十分多くとることができ、より優れた防滑
性を発揮する。具体的には、これら硬質突起と軟質突起
の高さの差は、0〜6mm程度が好適である。このと
き、軟質突起の高さが硬質突起の高さより高くなってし
まうと、硬質突起が十分サーフェスに突き刺さらず、激
しい運動局面において十分な防滑性を得ることができな
い。一方、硬質突起の高さが6mmを超えてあまり高す
ぎると、柔かいサーフェスでは該突起が十分にサーフェ
スに突き刺さり防滑性を発揮するため都合が良いが、硬
いサーフェスにおいては、前記軟質突起の接地が少なく
なるため十分な防滑性を発揮できなくなる。従って、こ
れら硬質突起と軟質突起の高さの差は、0〜6mm程度
が好適である。
【0019】次に各突起の設置部位は、図4に示すよう
な足部骨格図と前記剪断応力分布図とを用いて、特定さ
れる。すなわち、スパイク靴が使用されるサーフェス及
びそのサーフェスで主となる運動形態が明らかなとき
に、その主となる運動形態に対してより高い防滑性を発
揮するよう、異なる引張り強さの素材からなる硬質突起
と軟質突起を、より効果が得られる領域に配置すること
ができる。具体的には、各サーフェスでの主となる運動
形態における、靴底に作用する剪断応力の方向と作用領
域を、足圧分布履歴計測手段と荷重ベクトル履歴計測手
段で得られたデータを元に、剪断応力分布図決定手段に
よって剪断応力分布図を得て、同分布図をもとに硬質突
起と軟質突起の配置を行う。これら、足圧分布履歴計測
手段及び荷重ベクトル履歴計測手段、剪断応力分布図決
定手段については、同出願人の特開平9−173104
号に提案されている。
【0020】上記方法によって得られた各サーフェス上
で主となる運動形態での剪断応力分布図に合致させて、
各サーフェスにおいて効果的に防滑性を発揮する引張り
強さの素材からなる突起を、剪断応力の大きさが大きい
領域に配置することで優れた防滑性を発揮することがで
きる。この方法により、複数の異なるサーフェスに跨る
動作を伴うスポーツにおいても、各サーフェスにおいて
主となる運動形態が異なる性質を示せば、その異なる運
動形態に合わせて突起1と突起2を配置することで、そ
れぞれのサーフェス上で優れた防滑性を発揮する、一足
で異なるいくつかのサーフェスに対応できるスパイク靴
を得ることができる。
【0021】具体的には、野球競技において、バッティ
ング動作時に打者は投手に対して斜体に構えるため、足
裏の内側に体重をかけて踏ん張る必要があるが、バッタ
ーボックスは柔かいアンツーカーである場合が多く、そ
のため前記各突起の配置としては、硬質突起が靴底のソ
ール中心線に対して、外側と比べて内側により多く配置
されいることが好ましく、一方、硬い人工芝上を走塁し
たり、守備に就いたりするときは、体重移動経路に沿っ
て前記軟質突起が設けられていることが望ましい。従っ
て、特に野球競技においては、前記軟質突起が、靴底の
ソール中心線に対して、内側と比べて外側により多く配
置され、内側には硬質突起が相対的に多く配置されるこ
とが好ましい。
【0022】本発明に係るスパイク靴の前記各突起の配
置位置は、前記足部骨格図と前記剪断応力分布図とを用
いて、特定される。具体的には、特定の競技種目におけ
る代表的な動作時におけ剪断応力分布図を求め、該剪断
応力分布図に示される足圧分布と足部骨格図とを重ねあ
わせて検討し、足圧の集中する領域と足部骨格とを関連
付けて、各突起の配置位置を特定する。すなわち、本発
明に係るスパイク靴は、第一指末節骨先端と第三指末節
骨先端との間の領域、第一指中足骨頭と第二指中足骨頭
との間の領域、及び第四指中足骨頭と第5指中足骨頭と
の間の領域に前記硬質突起を、第三指基節骨体と第五指
基節骨体との間の領域、第一指末節骨体と第一指基節骨
体との間の領域及び第三指末節骨体と第五指末節骨体と
の間の領域に前記軟質突起を配置することができる。
【0023】この際、各突起の形状及び向きは、特に限
定されるものではないが、前記該剪断応力分布図に表さ
れる剪断応力の向きを参考に決定される。各突起の形状
は、円柱形状、円錐台形状、楔形状、ブロック形状等そ
の他従来用いられた形状から適宜選択される。また、各
突起の向きは、前記剪断応力の向きに対して最も有効な
向きが選択できる。たとえばブロック形状の突起であっ
た場合、該ブロック形状の突起の側壁部が、前記剪断応
力の向きに対して垂直となるように設置されることが好
ましい。
【0024】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づき説明する。図
1は本発明を野球用スパイク靴に応用した一実施例の靴
底の平面図である。図2は図1で示した実施例の靴底の
側面図である。図3は本発明に係る各突起の位置と、人
体の足部の骨格との対応を示す該略図である。図4は右
打者のバッティング動作中の足圧分布と荷重ベクトルか
ら得られた剪断応力分布図である。図5は右方向へダッ
シュする場合の足圧分布と荷重ベクトルから得られた剪
断応力分布図である。図6は人体の足部の骨格形状を説
明する該略図である。
【0025】図1は、本発明に係る野球用スパイク靴に
応用した一実施例の靴底の平面図である。該靴底本体1
の底面は、前足部A、土踏まず部B及び踵部Cに分けら
れるが、該前足部Aには、図3及び図6に示すように、
第一指末節骨先端aと第三指末節骨先端bとの間の領
域、第一指中足骨頭cと第二指中足骨頭dとの間の領
域、第四指中足骨頭eと第5指中足骨頭fとの間の領域
に、引張り強さ300〜1500Mpaの素材からなる
硬質突起2を、第三指基節骨体gと第五指基節骨体hと
の間の領域、第一指末節骨体iと第一指基節骨体jとの
間の領域及び第三指末節骨体kと第五指末節骨体lとの
間の領域に、引張り強さ10〜35Mpaの素材からな
る軟質突起3を配置されている。第一指末節骨先端aと
第三指末節骨先端bとの間の領域には硬質突起2を2
つ、角度を変えて配置されている。なお、本実施例にお
いては、土踏まず部B、及び踵部Cに配される突起につ
いて特に限定されるものではない。
【0026】これら硬質突起2と軟質突起3の配置位置
及び角度については、図4乃至図5に示す剪断応力分布
図に基づいて決定されたものである。それぞれ図中の等
高線は靴底の各部位に作用する剪断応力の大きさを示し
ており、矢印は剪断応力の向きを示している。図4は右
打者のバッティング動作中の剪断応力分布図である。バ
ッティング動作はアンツーカー様の柔かいサーフェス上
で行われることから、柔かいサーフェス上でエッジ効果
により大きな防滑性を得られる、引張り強さ300〜1
500Mpaの素材からなる硬質突起2の配置を、図4
に示す剪断応力分布図に基づいて行う。一方、図5は右
方向へダッシュする場合の剪断応力分布図である。人工
芝舗装球場でも各塁の周囲はアンツーカー様の柔かいサ
ーフェスで構成され、出塁者が盗塁等で先の塁を伺うと
きには、左足がアンツーカー様の柔かいサーフェス、右
足が人工芝舗装の硬いサーフェスに架かるという状況に
面する。左足がアンツーカー様の柔かいサーフェスで優
れた防滑性を得るために、図5に示す剪断応力分布図の
左足に作用する剪断応力の大きさ、剪断応力の向きのに
基づいて、引張り強さ300〜1500Mpaの素材か
らなる硬質突起2の配置を行ない、右足が人工芝舗装の
硬いサーフェスで優れた防滑性を得るために、同図5示
す剪断応力分布図の右足に作用する剪断応力の大きさ、
剪断応力の向きのに基づいて、引張り強さ10〜35M
paの素材からなる軟質突起3を配置する。
【0027】前述のように配置する硬質突起2と軟質突
起3は、アンツーカー様の柔かいサーフェス上で、引張
り強さが大きい素材からなる硬質突起2のエッジ効果に
より優れた防滑性を発揮するために、硬質突起2の高さ
Hが比べて引張り強さが小さい軟質突起3の高さhより
高くなるよう設定する。人工芝舗装の硬いサーフェス上
でも同時に優れた防滑性を得るために、引張り強さが大
きい素材からなる硬質突起2の人工芝舗装への突き刺さ
り量を考慮して、引張り強さが大きい素材からなる硬質
突起2の高さより引張り強さが小さい素材からなる軟質
突起3の高さを6mmの範囲で低く設定する。
【0028】このように設定することにより、人工芝舗
装といった硬いサーフェスにおける作用を見ると、たと
えば表層から8〜13mm厚程度の人工芝、10〜15
mm厚程度のアンダーマット、60〜80mm厚程度の
アスファルトコンクリートからなる構造を有する場合、
概ね12〜16mmの高さ程度に設定される引張り強さ
が大きい素材からなる硬質突起2は、アンダーマットと
の接触から突き刺さる量が2mm程度、加えて人工芝の
厚みの内、芝の繊維の密度から突起の突き刺さりから得
られるエッジ効果が期待できる人工芝底から4mm厚程
度と合わせて、硬質突起2の突き刺さり量合計6mm程
度分の防滑性を得る。これを補助する滑り止め突起とし
て、前記の引張り強さが小さい素材からなる軟質突起3
を配置し、前記硬質突起2と比較して高さを6mmまで
の範囲で低くすることにより、硬質突起2の突き刺さり
から得られるエッジ効果に加え、軟質突起3がサーフェ
スに接触し、撓むことで接触面積を増やし、摩擦抵抗を
増大させる。一方、アンツーカーや天然芝等といった柔
かいサーフェスにおいては、硬質突起、軟質突起ともサ
ーフェスに突き刺さり、エッジ効果により防滑性を発揮
する。
【0029】
【発明の効果】本発明は、次ぎのような効果を奏する。
本発明によるスパイク靴は、柔かいサーフェスから硬い
サーフェスまで、異なるサーフェスに渡って優れた防滑
性を発揮し、それら多サーフェスに跨る動作を伴うスポ
ーツについても一足の靴で対応することを可能にする。
本発明によるスパイク靴は、試合等が行われる様々なサ
ーフェスの多くについて、一足の靴で対応できることか
ら、経済的であるだけでなく、多サーフェスに跨る動作
を伴うスポーツの試合中にも、サーフェスに合わせてス
パイク靴を履き替える必要がないので、試合の中断がな
く、選手が試合に集中することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を野球用スパイク靴に応用した一
実施例の靴底の平面図である。
【図2】図2は図1で示した実施例の靴底の側面図であ
る。
【図3】図3は本発明に係る各突起の位置と、人体の足
部の骨格との対応を示す該略図である。
【図4】図4は右打者のバッティング動作中の足圧分布
と加重ベクトルから得られた剪断応力分布図である。
【図5】図5は右方向へダッシュする場合の足圧分布と
加重ベクトルから得られた剪断応力分布図である。
【図6】図6は人体の足部の骨格形状を説明する該略図
である。
【符号の説明】
1 靴底本体 2 硬質突起 3 軟質突起

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 靴底の前足部領域に配置する滑り止め突
    起を、引張り強さ300〜1500Mpaの素材からな
    る硬質突起と、引張り強さ10〜35Mpaの素材から
    なる軟質突起の2種類の突起で構成し、硬質突起の高さ
    が軟質突起の高さ以上に形成されたことを特徴とするス
    パイク靴。
  2. 【請求項2】 前記軟質突起は、靴底のソール中心線に
    対して、内側と比べて外側に多く配置されたことを特徴
    とする請求項1記載のスパイク靴。
  3. 【請求項3】 第一指末節骨先端と第三指末節骨先端と
    の間の領域、第一指中足骨頭と第二指中足骨頭との間の
    領域、及び第四指中足骨頭と第5指中足骨頭との間の領
    域に前記硬質突起を、第三指基節骨体と第五指基節骨体
    との間の領域、第一指末節骨体と第一指基節骨体との間
    の領域及び第三指末節骨体と第五指末節骨体との間の領
    域に前記軟質突起を配置したことを特徴とする請求項1
    又は2に記載のスパイク靴。
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