JP2001111328A - マイクロストリップアンテナ及びその設計方法 - Google Patents

マイクロストリップアンテナ及びその設計方法

Info

Publication number
JP2001111328A
JP2001111328A JP28580199A JP28580199A JP2001111328A JP 2001111328 A JP2001111328 A JP 2001111328A JP 28580199 A JP28580199 A JP 28580199A JP 28580199 A JP28580199 A JP 28580199A JP 2001111328 A JP2001111328 A JP 2001111328A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
operating frequency
microstrip antenna
patch
ground conductor
equation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP28580199A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Takahashi
徹 高橋
Isamu Chiba
勇 千葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP28580199A priority Critical patent/JP2001111328A/ja
Publication of JP2001111328A publication Critical patent/JP2001111328A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Waveguide Aerials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地導体や放射素子であるパッチにメッシュ構
造を設けると、メッシュ構造を設けない場合と比較して
共振周波数が低下し、所望の動作周波数で動作させるこ
とが困難となる課題があった。 【解決手段】 所望の動作周波数に下記式(1)に基づ
いて算出した動作周波数fが一致するように、下記式
(1)の構成要素の値を設定する。 f=fO・Wt/[WtMΣm=1{μ・r0 3・|H
0(xm,ym)|2/3−ε・r0 3・|E0(xm,ym
2/6] ・・・(1)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は地導体やパッチを
メッシュ状としたマイクロストリップアンテナに係り、
特に所望の周波数で動作するようにメッシュ構造を最適
に設計することができるマイクロストリップアンテナ及
びその設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15は従来のメッシュ構造を有したマ
イクロストリップアンテナを示す図であり、(a)は上
面図、(b)は側面図、(c)はパッチ及び地導体に形
成されたメッシュの開口部を示す斜視図である。図にお
いて、100は金属導体からなる放射素子としてのパッ
チ、110は誘電体基板、110a,110bは誘電体
基板110を挟んでプラスティックネジ130によって
固定される誘電体板であり、120は金属導体の地導体
である。パッチ100は誘電体基板110上に形成さ
れ、また、地導体120は誘電体基板110のパッチ1
00との対向面に形成される。このパッチ100と地導
体120とを設けた誘電体基板110を誘電体板110
a,110bで挟み込み、これらをプラスティックネジ
130で固定してマイクロストリップアンテナが構成さ
れる。パッチ100及び地導体120にはニッケル鍍金
された銅線から作成される(c)のようなメッシュ構造
が設けられている。140はこのマイクロストリップア
ンテナに給電する給電点である。
【0003】次に概要について説明する。均一な平面状
の地導体やパッチを有するマイクロストリップアンテナ
において、その地導体やパッチを構成する金属薄膜の安
定性に問題があった。この金属薄膜の不安定化の主な要
因としては、金属薄膜の形成時に膜内の密度の偏りなど
から膜内部に残る残留応力がある。この膜内の残留応力
はアンテナの置かれる環境の変化、例えば温度変化など
によって膜の剥離やアンテナ自体の反り返りの原因とな
る。これに対しては上記のようにパッチ100や地導体
120にメッシュ構造を設けたものが有効である。パッ
チ100や地導体120にメッシュ構造を設けると、こ
のメッシュの開口部によって上記応力を緩和させること
ができ、上記応力による影響を抑えることができるから
である。また、メッシュ構造を設けることは、マイクロ
ストリップアンテナ自体の重量を軽量化することができ
るという別の効果も提供する。
【0004】しかし、マイクロストリップアンテナのメ
ッシュ構造における開口部の大きさや形成位置を最適に
設計してやらないとパッチ100や地導体120に均一
な平面上導体を使用した場合と比較して共振周波数が大
きく低下してしまうという問題があった。
【0005】これに対して、従来は上記のようなメッシ
ュ構造に対して確立した設計方法がなかった。このた
め、例えばFDTD法( Finite Difference Time Doma
in Method )などの数値解析が用いられていた。このF
DTD法とは、マクスウェル方程式を時間的・空間的に
差分化し、解析空間の電磁界を時間的に更新して着目し
た出力点における時間応答を解析するもので、解析精度
を上げるには解析するセルのサイズの決定や複雑な構造
を有する着目点のモデル化などを実際のアンテナの構造
に適切に対応させる必要がある。このため、メッシュ構
造を有するマイクロストリップアンテナの場合は上記着
目点として、メッシュの開口部や給電点及びそれ以外の
全ての構造を考慮しなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のマイクロストリ
ップアンテナ及びその設計方法は以上のように構成され
ているので、地導体や放射素子であるパッチにメッシュ
構造を設けると、メッシュ構造を設けない場合と比較し
て共振周波数が低下し、所望の動作周波数で動作させる
ことが困難となる課題があった。
【0007】また、メッシュ構造を最適に設計すること
ができる設計方法が確立されていなかったので、上記の
ようなFDTD法などを設計に使用していた。FDTD
法は所望の動作周波数を得るために計算精度を上げよう
とすると複雑なメッシュ構造を全て考慮した数値解析を
行わなければならなかった。このため、莫大な計算時間
が必要であったり、その計算により得られる多量のデー
タを記憶する大容量のメモリなどが必要であり、高価で
高性能の計算機資源が不可欠であるという課題があっ
た。
【0008】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、メッシュ構造を設けた地導体やパ
ッチを有し、且つ所望の周波数で動作するマイクロスト
リップアンテナを得ることを目的とする。
【0009】また、この発明は地導体やパッチメッシュ
構造を設けることで発生する共振周波数の低下を抑制し
たマイクロストリップアンテナを得ることを目的とす
る。
【0010】さらに、この発明は設計に莫大な計算時間
や高価で高性能の計算機資源を必要とすることなく、メ
ッシュ状の地導体やパッチを有するマイクロストリップ
アンテナが所望の周波数で動作するように設計すること
ができるマイクロストリップアンテナの設計方法を得る
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明に係るマイクロ
ストリップアンテナは、所望の動作周波数に下記式
(1)に基づいて算出した動作周波数fが一致するよう
に、下記式(1)の構成要素の値を設定したことを特徴
とするものである。 f=f0 ・Wt /[Wt MΣm=1{μ・r0 3・|H0 (xm ,ym )|2 /3 −ε・r0 ・|E0 (xm ,ym )|2 /6] ・・・(1) r0 はメッシュの複数の開口部を全て同一の円形と仮定
した場合における開口部の半径、f0 は平面状のパッチ
及び地導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定
して算出した動作周波数、Wt は平面状のパッチ及び地
導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定して算
出したマイクロストリップアンテナ内部に蓄えられるエ
ネルギー、Mは開口部の個数、(xm ,ym )は開口部
の中心位置の座標、H0 (xm ,ym )は開口部の中心
位置の座標(xm ,ym )における磁界、E0 (xm
m )は開口部の中心位置の座標(xm ,ym )におけ
る電界、μ及びεはそれぞれ平面状のパッチ及び地導体
を備えたマイクロストリップアンテナを仮定して算出し
たマイクロストリップアンテナ内部の透磁率、誘電率で
ある。
【0012】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナは、所望の動作周波数と、式(1)に基づいて算出し
た動作周波数とが一致するように、メッシュの開口部の
半径r0 、若しくは形成位置の少なくとも一方を適宜変
更するものである。
【0013】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナは、誘電体基板の厚さを厚くして、平面状のパッチ及
び地導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定し
て算出した動作周波数f0 と、式(1)に基づいて算出
した動作周波数との値の差が小さくなるようにするもの
である。
【0014】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナは、所望の動作周波数に下記式(2)に基づいて算出
した動作周波数fが一致するように、下記式(2)の構
成要素の値を設定したことを特徴とするものである。 f=f0 −j・PL /(2・Wt ) ・・・(2) f0 は平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロスト
リップアンテナを仮定して算出した動作周波数、Wt
平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリップ
アンテナを仮定して算出したマイクロストリップアンテ
ナ内部に蓄えられるエネルギー、PL は全ての開口部か
らの放射損である。
【0015】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナは、所望の動作周波数と、式(2)に基づいて算出し
た動作周波数とが一致するように、メッシュの開口部の
形状、大きさ 、及び形成位置の少なくとも一つを適宜
変更するものである。
【0016】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナは、誘電体基板の厚さを厚くして、平面状のパッチ及
び地導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定し
て算出した動作周波数f0 と、式(2)に基づいて算出
した動作周波数との値の差が小さくなるようにするもの
である。
【0017】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナは、平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロスト
リップアンテナを仮定し、その給電点の位置から一義的
に決定される磁界強度が最大となる位置に、メッシュの
開口部の形成位置が重ならないようにするものである。
【0018】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナは、全ての開口部からの放射損P L を実験的に求める
ものである。
【0019】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナの設計方法は、平面状のパッチ及び地導体を備えたマ
イクロストリップアンテナの動作周波数f0 を算出する
ステップと、平面状のパッチ及び地導体を備えたマイク
ロストリップアンテナの内部に蓄えられるエネルギーW
t を算出するステップと、請求項1記載の式(1)に基
づいて動作周波数を算出するステップと、式(1)に基
づいて算出された動作周波数と所望の動作周波数とを比
較するステップと、式(1)に基づいて算出された動作
周波数と所望の動作周波数とが一致しない場合、両者の
値が一致するように開口部の半径r0 、若しくは形成位
置の少なくとも一方を適宜変更するステップとを備える
ものである。
【0020】この発明に係るマイクロストリップアンテ
ナの設計方法は、平面状のパッチ及び地導体を備えたマ
イクロストリップアンテナの動作周波数f0 を算出する
ステップと、平面状のパッチ及び地導体を備えたマイク
ロストリップアンテナの内部に蓄えられるエネルギーW
t を算出するステップと、全ての開口部からの放射損P
L を算出するステップと、請求項5記載の式(2)に基
づいて動作周波数を算出するステップと、式(2)に基
づいて算出された動作周波数と所望の動作周波数とを比
較するステップと、式(2)に基づいて算出された動作
周波数と所望の動作周波数とが一致しない場合、両者の
値が一致するように開口部の形状、大きさ、及び形成位
置の少なくとも一つを適宜変更するステップとを備える
ものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1によるマ
イクロストリップアンテナを示す図であり、(a)は斜
視図、(b)はマイクロストリップアンテナの下面に形
成された地導体の一部を拡大した図である。図におい
て、1は金属導体の薄膜から構成されるパッチであり、
図示の例では半径aの円形パッチとする。2は厚さh、
誘電率εγの誘電体基板、3は誘電体基板2に下面に形
成された地導体(メッシュ状地導体)で、(b)に示す
ようなメッシュ構造を有している。4は地導体3に形成
されたメッシュの開口部であり、図示の例では半径r0
の円形とみなしている。上記円形のパッチ1とメッシュ
状の地導体との間に誘電体基板2を介装してマイクロス
トリップアンテナが構成される。
【0022】次に概要について説明する。本願発明の目
的は所望の周波数で動作するメッシュ構造を有するマイ
クロストリップアンテナを得ることにある。そこで、こ
こでは所望の動作周波数を有するようにメッシュ構造を
有するマイクロストリップアンテナを設計する手順につ
いて説明する。この実施の形態1によるマイクロストリ
ップアンテナではFDTD法などの数値解析を行わずに
以下に示す式(1)に基づいてメッシュ構造の設計を行
い、マイクロストリップアンテナの動作周波数を決定す
る。ここで、式(1)はメッシュ構造を有するマイクロ
ストリップアンテナを所望の周波数で動作させるために
導かれたものである。具体的には本願発明者が研究解析
を行った結果、メッシュ構造を有するマイクロストリッ
プアンテナの動作周波数fが、平面状のパッチ及び地導
体を備えたマイクロストリップアンテナの動作周波数f
0 、その内部に蓄えられるエネルギーWt 、及びメッシ
ュ構造の開口部の形成位置における電磁界分布を考慮し
た補正項(MΣm=1{μ・r0 3・|H0(xm ,ym )|
2 /3−ε・r0 3・|E0 (xm ,ym )|2 /6)を
用いて近似することができることを見出し導出されたも
のである。
【0023】 f=f0 ・Wt /[Wt MΣm=1{μ・r0 3・|H0 (xm ,ym )|2 /3 −ε・r0 3・|E0 (xm ,ym )|2 /6] ・・・(1) r0 はメッシュの複数の開口部を全て同一の円形と仮定
した場合における開口部の半径、f0 は平面状のパッチ
及び地導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定
して算出した動作周波数、Wt は平面状のパッチ及び地
導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定して算
出したマイクロストリップアンテナ内部に蓄えられるエ
ネルギー、Mは開口部の個数、(xm ,ym )は開口部
の中心位置の座標、H0 (xm ,ym )は開口部の中心
位置の座標(xm ,ym )における磁界、E0 (xm
m )は開口部の中心位置の座標(xm ,ym )におけ
る電界、μ及びεはそれぞれ平面状のパッチ及び地導体
を備えたマイクロストリップアンテナを仮定して算出し
たマイクロストリップアンテナ内部の透磁率、誘電率で
ある。なお、上記式(1)中の記号MΣm=1は、添え字m
を有する要素のm=1〜Mにおける和を表すものであ
り、該記号は電子出願にて使用することができないため
に通常の記載と異なっている。
【0024】ここで、上記マイクロストリップアンテナ
の動作周波数を決定する動作を説明する前に動作周波数
の解析に使用するキャビティモデルについて説明する。
図2は円形パッチを有するマイクロストリップアンテナ
の解析モデルを示す斜視図である。図において、円形パ
ッチの半径をa、厚さhで誘電率εγである誘電体基
板、及び均一な平面状の地導体を備えたマイクロストリ
ップアンテナを仮定している。また、円形パッチの中心
を原点として直交座標系のxyz軸及び極座標系のP
(R,θ,φ)を示し、直交座標のx軸上には給電点F
(同軸線などにより給電する)が設けられている。
【0025】誘電体基板の厚さhと伝搬波長λとがh<
<λなる関係にあるとき、このマイクロストリップアン
テナにはTM波が励振される。ここで、円柱座標系
(ρ,φ,z)における波動方程式は下記式のようにな
る。 (1/ρ)・∂(ρ・∂Ez /∂ρ)/∂ρ+(1/ρ2 )・∂2 z /∂ φ2 +kc 2・Ez =0 ・・・(4) kc 2=(k2 +γ2 )={ω2 ・ε・μ−(2π/λg 2 } 電界のEz 成分をEz =R(ρ)Φ(φ)と変数分離し
て、これを式(4)に代入すると下記の式を与える。 (ρ2 /R)・(d2 R/dρ2 )+(ρ/R)・(dR/dρ)+ρ2 ・ kc 2+(1/Φ)・(d2 Φ/dΦ2 )=0 ・・・(5) nを定数として式(5)を下記のように変数分離する。 (ρ2 /R)・(d2 R/dρ2 )+(ρ/R)・(dR/dρ)+ρ2 ・kc 2 =n2 ・・・(6) (1/Φ)・(d2 Φ/dΦ2 )=−n2 ・・・(7)
【0026】式(6)を変形すると下記式が得られる。 d2 R/dρ2 +(1/ρ)・(dR/dρ)+R・(kc 2−n2 /ρ2 )= 0 ・・・(8) ベッセルの微分方程式である式(8)の解は、A1 ,A
2 を定数とすると下記式のようになる。 R=A1 ・Jn (kc ・ρ)+A2 ・Nn (kc ・ρ) ・・・(9) 第2項のノイマン関数Nn (kc ・ρ)は、ρ→0でN
n (0)→−∞となるので、Rの有意な解は下記式で表
される。 R=A・Jn (kc ・ρ) ・・・(10) Aは任意定数である。式(7)は単振動を表す式である
ので、B1 ,B2 及びBを任意定数とすると下記式のよ
うに表される。 Φ=B1 ・cos(nφ)+B2 sin(nφ)=B・cosn(φ−φ0 ) ・・・(11)
【0027】φの基準値に対応する値φ0 を給電点Fの
位置、即ち、x軸上にとるとφ0 を零とすることができ
る。これにより、Φ=Bcos(nφ)となる。以上よ
り、波動方程式(4)の解はE0 を定数とすれば下記式
で表される。 Ez =E0 ・Jn (kc ・ρ)・cos(nφ) ・・・(12) 次に境界条件について述べると、通常、円形マイクロス
トリップアンテナの開放境界(ρ=a)においては磁気
壁が仮定される。これにより境界条件は、 (∂Ez /∂ρ)|ρ=a=0 ・・・(13) となる。この式(13)と式(12)とから下記式が得
られる。 Jn’(kc・a)=0 ・・・(14) Jn’(kc・a)のm番目の根をρmn’とすると式(1
4)は次式で表示される。 (kc・a)=ρmn’ ・・・(15) 通常のマイクロストリップアンテナにおいて、誘電体基
板の厚さhと伝搬波長λとは、h<<λの関係があり、
γが零に近づくことから、kc =k=k0 √ε
γ(k0 :自由空間の波数)とみなせる。
【0028】次にマクスウェル方程式から他の内部電磁
界は下記式のように求まる。 Hρ=−{j/(ω・μ)}・(1/ρ)・∂Ez /∂φ ・・・(16 ) Hφ=−{j/(ω・μ)}・∂Ez /∂ρ ・・・(17) 上記式(12)、式(16)、及び式(17)に示す内
部電磁界をまとめて示すと、 Ez =E0 ・Jn (k・ρ)・cos(nφ) ・・・(18) Hρ=−{j・n/(ω・μ・ρ)}・E0 ・Jn (k・ρ)・sin(nφ ) ・・・(19) Hφ=−{j・k/(ω・μ)}・E0 ・Jn’(k・ρ)・cos(nφ) ・・・(20) 本願発明のキャビティモデルは、上記式(18)から式
(20)に示すモード関数に規定されるマイクロストリ
ップアンテナの解析モデルを用いている。
【0029】ここで、最低次モード(主モード)である
TM110 波における内部電磁界を上記式(18)から式
(20)より求めると下記のようになる。 Ez =E0 ・J1 (k・ρ)・cosφ ・・・(21) Hρ=−j/(ω・μ・ρ)・E0 ・J1 (k・ρ)・sinφ ・・・(22) Hφ=−{j・k/(ω・μ)}・E0 ・J1’(k・ρ)・cosφ ・・・(23) Eρ=Eφ=Hz =0 ・・・(24) 図3は上記式(21)〜式(24)で表されるTM110
モードの電磁界分布を示す図で、上方は円形パッチの上
面図、その下方は縦断面図である。図において、Fは給
電点であり、実線で示したものが電気力線、破線が磁力
線である。また、○内に×をつけた符号は紙面方向に向
かっている電気力線若しくは磁力線を示し、○内に●を
つけた符号はその逆方向に向かっている電気力線若しく
は磁力線を示している。図のように給電点Fの位置を決
定することで(図示の例ではx軸上)、マイクロストリ
ップアンテナの内部に発生する磁力線がy軸に周辺で最
も密になり、y軸から離れるにつれて疎になっている。
このようにキャビティモデルにおいて給電点の位置を決
定することで、マイクロストリップアンテナの内部に発
生する磁界の大小位置は一義的に決定される。また、動
作周波数f0 は式(15)から求まり、光速をCとして
下記式で表される。 f0 =ρmn’・C/(2π・a・√εγ) ・・・(25) この式(25)による動作周波数において、フリンジン
グ効果を考慮する場合はパッチ半径aに関する補正式に
て補正を行う。また、内部に蓄積されるエネルギーWt
は、電気的蓄積エネルギーWe と磁気的蓄積エネルギー
m とからなる。電気的蓄積エネルギーWe 及び磁気的
蓄積エネルギーWm は上記キャビティモデルの内部電磁
界から算出することができる。これより、内部に蓄積さ
れるエネルギーWt は、キャビティモデルの上記式(2
1)〜式(24)で求められる内部電磁界を代入するこ
とで容易に算出することができる。
【0030】図4はこの実施の形態1によるマイクロス
トリップアンテナの動作周波数を決定する手順を示すフ
ローチャートである。この図4に沿って説明すると、先
ず、上記キャビティモデルから求められた上記式(2
5)から、動作周波数f0 を算出する。このとき、上記
動作周波数f0 が所望の動作周波数より高くなるように
パッチの半径aなどのパラメータの値を固定する。この
動作周波数f0 は、内部に蓄積されるエネルギーWt
メッシュ構造の開口部の形成位置における電磁界分布を
考慮した補正項とによって所望の動作周波数に一致させ
ることができる範囲内の値に設定される(ステップST
1)。上記範囲は実際にマイクロストリップアンテナを
作成する過程において、例えば変更して設定した開口部
4の大きさが作成可能な範囲内で一致するように設定す
る。
【0031】次にステップST1と同様に、キャビティ
モデルから導かれた内部電磁界の関係式(21)〜(2
4)を用いて、その内部に蓄えられるエネルギーWt
算出する(ステップST2)。この後、上記のようにし
て算出された動作周波数f0と内部に蓄積されるエネル
ギーWt とを式(1)に代入してメッシュ構造を有する
マイクロストリップアンテナの動作周波数を算出する
(ステップST3)。
【0032】ステップST4にて式(1)から求められ
た動作周波数と所望の動作周波数との比較を行い、両者
が一致した場合は決定作業を終了し現条件にてメッシュ
構造を設計してマイクロストリップアンテナを作成す
る。また、両者が一致していなかった場合はステップS
T5に進み、メッシュの開口部4の形成位置を変更す
る。この変更は式(1)から求めた動作周波数が所望の
動作周波数より高いときには、例えばマイクロストリッ
プアンテナ内部に形成される磁界が大きい位置と開口部
4とが重なるように配置する。これにより、メッシュ構
造の開口部の形成位置における電磁界分布を考慮した補
正項(MΣm=1{μ・r0 3・|H0(xm,ym)|2/3−
ε・r0 3・|E0(xm,ym)|2/6)における|H0
(xm,ym)|の値が大きくなり、式(1)から求める
動作周波数の値が減少する。反対に式(1)から求めた
動作周波数が所望の動作周波数より低いときには、磁界
が小さい位置と開口部4とが重なるように配置する。
【0033】このステップST5の動作は、式(1)か
ら求めた動作周波数が所望の動作周波数と一致するまで
繰り返し行う。このようにして共振周波数の低下を抑制
しながら、所望の周波数で動作するようにメッシュ構造
を設計することができる。図5は開口部の位置を変化さ
せた場合の動作周波数を式(1)により計算した値を示
すグラフ図である。図において、計算値は開口部4の半
径をr0 固定とし、開口部4間のピッチ、即ち図1
(b)のdxを徐々に変化させていったときの動作周波
数を示しており、比較のために従来使用されていたFD
TD法による結果もプロットしている。図5から式
(1)による値とFDTD法による値とは、同様な傾向
で変化し最大で3.8%程度の誤差はあったが、ほぼ一
致した値を示している。この図5における式(1)の値
は、単に開口部4のピッチdxを変化させただけのもの
であるが、上記したように開口部4を磁界の大小位置に
対してもっと厳密に配置してやれば、当然上記誤差は減
少し、FDTD法による値とより良い一致を示すことは
いうまでもない。このように式(1)はマイクロストリ
ップアンテナの動作周波数の決定に有効な関係式である
ことがわかる。
【0034】次に実施の形態1によるマイクロストリッ
プアンテナの動作周波数を決定する他の手順について説
明する。図6はこの発明の実施の形態1によるマイクロ
ストリップアンテナの動作周波数を決定する他の手順を
示すフローチャートである。図において、上記キャビテ
ィモデルから動作周波数f0 及び内部に蓄積されるエネ
ルギーWt を算出する過程(ステップST1、ステップ
ST2)、これら動作周波数f0 と内部に蓄積されるエ
ネルギーWt とから式(1)に従ってメッシュ構造を有
するマイクロストリップアンテナの動作周波数を算出す
る過程(ステップST3)、及び式(1)から算出され
た動作周波数fと所望の動作周波数とが一致するかどう
か比較する過程(ステップST4)は、上記したものと
同様であるので重複する説明を省略する。
【0035】ステップST4において、式(1)から算
出された動作周波数fと所望の動作周波数とが一致して
いないと判断された場合は、ステップST6に進む。こ
のステップST6では、式(1)から算出された動作周
波数fが所望の動作周波数より高いときには、メッシュ
の開口部の半径r0 を大きくする。これにより、電磁界
分布に関する補正項の値が大きくなるので、動作周波数
0 にかけられる内部に蓄積されるエネルギーWt と補
正項からなる係数の値が小さくなり、式(1)から算出
される動作周波数fが小さくなって所望の動作周波数に
近づくようになる。また、これとは反対の理由で、式
(1)から算出された動作周波数fが所望の動作周波数
より低いときにはメッシュの開口部の半径r0 を小さく
して、動作周波数fを所望の周波数に近づける。これら
ステップST3〜ステップST6の動作は動作周波数f
が所望の動作周波数と一致するまで繰り返し行われる。
これにより、メッシュ構造を有するマイクロストリップ
アンテナを所望の周波数で動作させることができる。
【0036】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、所望の動作周波数に式(1)に基づいて算出した動
作周波数fが一致するように式(1)の構成要素の値
を、メッシュ状地導体3の開口部4の半径r0 、若しく
は形成位置の少なくとも一方を適宜変更して設定するの
で、メッシュ状の地導体3を形成しても共振周波数の低
下が抑制されて所望の周波数で動作するマイクロストリ
ップアンテナを得ることができる。また、平板状のパッ
チ及び地導体を有するマイクロストリップアンテナを仮
定した単純な構造のキャビティモデルを使用し、さらに
式(1)は誘電体基板2の厚さhや開口部4の形成位置
などをパラメータとして有する代数的に簡潔な式である
ので、計算によって得られるデータ量も従来のFDTD
法と比較して少なく、且つ、複雑な構造を考慮する必要
もないので容易に設計することができる。これにより、
数値解析に莫大な計算時間や高価で高性能の計算機資源
を必要とすることがなく、一般的なパソコンなどで解析
することが可能であるので、従来と比較してマイクロス
トリップアンテナの設計にかかるコストを低減すること
もできる。
【0037】なお、上記実施の形態では地導体にメッシ
ュ構造を設けたものについて示したが、パッチにメッシ
ュ構造を設けても上記と同様の効果を奏するので以下に
説明する。
【0038】図7はこの発明の実施の形態1によるマイ
クロストリップアンテナにメッシュ状パッチを設けた例
を示す斜視図である。図において、5は金属導体からな
る半径aの円形パッチ(メッシュ状パッチ)であり、メ
ッシュ構造が設けられている。6は金属導体からなる平
面状の地導体である。なお、図1(a)と同一構成要素
には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0039】次に概要について説明する。図7に示すよ
うに、円形パッチにメッシュ構造を設けたマイクロスト
リップアンテナも式(1)を用いることができる。これ
は、マイクロストリップアンテナの動作周波数を決定に
おいてモデル化されるのは、パッチ5と地導体6とに挟
まれた誘電体基板によって構成される部分(図示の例で
は円形パッチ5と地導体6とを上底面として定義される
円柱部分)である。この円柱部分は、単に誘電体基板が
2つの金属導体に挟まれた構造であり、メッシュ構造を
パッチか地導体のどちらに設けるかということによって
有意な差を与えるものではない。これにより、パッチ5
にメッシュ構造を設けた場合においても式(1)を使用
することができる。具体的には、式(1)に基づいてマ
イクロストリップアンテナの動作周波数を決定する手順
において、パッチ5に設けたメッシュの開口部の諸元を
変更する以外は、上記実施の形態と同様の手順で行うこ
とができる。これにより、上記と同様の効果を奏すると
共に、メッシュ状のパッチ5を形成しても共振周波数の
低下が抑制されて所望の周波数で動作するマイクロスト
リップアンテナを得ることができる。
【0040】実施の形態2.上記実施の形態1ではメッ
シュ構造を有するマイクロストリップアンテナの動作周
波数を決定するのに上記式(1)を用いたが、この実施
の形態2は下記式(2)を用いたものである。
【0041】 f=f0 −j・PL /(2・Wt ) ・・・(2) f0 は平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロスト
リップアンテナを仮定して算出した動作周波数、W
平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリップ
アンテナを仮定して算出したマイクロストリップアンテ
ナ内部に蓄えられるエネルギー、PL はメッシュ状地導
体3の全ての開口部4からの放射損である。
【0042】上記式(2)自体は、空洞共振器などの動
作周波数の決定に使用されていた公知の関係式である
が、右辺第2項における分子の値がメッシュの開口部か
らの放射損PL ではなく、空洞共振器の管壁が完全導体
でないことによる通常の銅損による寄与を考慮するもの
であった。そこで、本願発明者はメッシュ構造を有する
マイクロストリップアンテナを所望の動作周波数で動作
させるため研究解析した結果、式(2)にメッシュの開
口部4からの放射損PL を考慮することで、マイクロス
トリップアンテナの動作周波数を決定できることを見出
すに至った。以下に式(2)を使った動作周波数の決定
について説明する。
【0043】図8はこの発明の実施の形態2によるマイ
クロストリップアンテナの動作周波数を決定する手順を
示すフローチャートである。図において、ステップST
1,ステップST2は、実施の形態1で示したキャビテ
ィモデルから動作周波数f及び内部に蓄積されるエネ
ルギーWt を算出する過程である。これらステップST
1及びステップST2については上記実施の形態1と同
様であるので説明を省略する。
【0044】次に下記の計算を施して放射損PL を算出
する(ステップST7,ステップST8)。先ず、放射
損PL は、メッシュ状地導体全体にわたり磁界H0 (x
m ,ym )が入射したとき、中心座標(xm ,ym )の
メッシュの各開口部4からの放射損pm を全て等価波と
して求める。具体的には各開口部4からの放射損pm
和として下記式(3)に示す関係式から算出する。 PL MΣm=1m ・・・(3) これより、周期構造のメッシュは無限周期アレーとみな
すことができるため、この系に対してフロケの原理を適
用することができる。フロケの原理とは、ある事象が周
期的に無限に存在する場合においてある周期構造中の事
象は他の周期に存在する事象と同じ性質を持っていると
する周期構造の基本的性質を表すものである。このフロ
ケの原理を適用することにより、放射損pm を求めるべ
き一つの開口部4のみについて解析し、これらの単純な
和をとることでメッシュ状地導体3における全ての開口
部4の放射損PL を算出することができる。具体的に
は、例えば開口部4において磁界分布を未知数とし、開
口の表面と裏面との磁界連続条件から得られる積分方程
式をたてる。この積分方程式を定常周期解の高次の調和
まで求めることができるガラーキン法などを用いて開口
部4の磁界分布を求める。この磁界分布から開口の裏面
への放射損pm を求め、これを全ての開口部4に対して
繰り返すことで得られた値を式(3)に代入して放射損
L を求める。
【0045】次にキャビティモデルから求めた動作周波
数f0 と内部に蓄積されるエネルギーWt 、及び放射損
L を上記式(2)に代入して動作周波数fを算出する
(ステップST9)。この後、ステップST4に進み、
式(2)を用いて求めた動作周波数fと所望の動作周波
数とを比較する。このとき、両者が一致した場合は決定
作業を終了し現条件にてメッシュ構造を設計してマイク
ロストリップアンテナを作成する。また、両者が一致し
ていなかった場合はステップST10に進み、実施の形
態1と同様にメッシュの開口部4の形成位置を変更する
か、若しくは開口部4の形状や大きさのうち、少なくと
も一つを変更して式(2)を用いて求めた動作周波数f
と所望の動作周波数とが一致するまでステップST7か
らステップST4までの処理を繰り返し行う。
【0046】図9は開口部の位置を変化させた場合の動
作周波数を式(2)により計算した値を示すグラフ図で
ある。図において、計算値は開口部4の半径をr0 固定
とし、図5と同様に開口部4間のピッチdxを徐々に変
化させていったときの動作周波数を示しており、比較の
ために従来使用されていたFDTD法による結果もプロ
ットしている。図9から式(2)による値とFDTD法
による値とは、同様な傾向で変化しほぼ一致した値を示
している。この図9における式(2)の値は、単に開口
部4のピッチdxを変化させただけのものであるが、上
記したように開口部4を磁界の大小位置に関してもっと
厳密に配置してやれば、当然両者の値の誤差は減少し、
FDTD法による値とより良い一致を示すように調整す
ることができることは図5と同様である。このようにメ
ッシュ構造の開口部からの放射損Pを考慮することに
よって、式(2)はメッシュ状の地導体を有するマイク
ロストリップアンテナの動作周波数を決定するのに有効
な関係式となることがわかる。
【0047】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、所望の動作周波数に式(2)に基づいて算出した動
作周波数fが一致するように、下記式(2)の構成要素
の値を、メッシュ状地導体3の開口部4の形状、大き
さ、及び形成位置の少なくとも一つを適宜変更して設定
するので、メッシュ状の地導体3を形成しても共振周波
数の低下が抑制されて所望の周波数で動作するマイクロ
ストリップアンテナを得ることができる。また、均一な
平板上のパッチ及び地導体を有するマイクロストリップ
アンテナを仮定したキャビティモデルを使用し、さらに
式(2)はメッシュ状地導体3の開口部4の周期性を利
用して簡略化して求めた放射損PL を使用するので、計
算によって得られるデータ量も従来のFDTD法と比較
して少なく、且つ、複雑な構造を考慮する必要もないの
で容易に設計することができる。これにより数値解析に
莫大な計算時間や高価で高性能の計算機資源を必要とす
ることがなく、一般的なパソコンなどで解析することが
可能であるので、従来と比較してマイクロストリップア
ンテナの設計にかかるコストを低減することもできる。
【0048】なお、上記実施の形態では地導体にメッシ
ュ構造を設けたものについて示したが、金属導体のパッ
チにメッシュ構造を設けてもよい。これは、上記実施の
形態1で説明したようにマイクロストリップアンテナの
動作周波数を決定においてモデル化されるのは、パッチ
と地導体とに挟まれた誘電体基板によって構成される部
分であり、メッシュ構造をパッチか地導体のどちらに設
けるかということによって有意な差を与えるものではな
い。これにより、パッチにメッシュ構造を設けた場合に
おいても式(2)を使用することができる。具体的に
は、式(2)に基づいてマイクロストリップアンテナの
動作周波数を決定する手順において、パッチに設けたメ
ッシュの開口部の諸元を変更する以外は、上記実施の形
態と同様の手順で行うことができる。これにより、上記
と同様の効果を奏すると共に、メッシュ状のパッチを形
成しても共振周波数の低下が抑制されて所望の周波数で
動作するマイクロストリップアンテナを得ることができ
る。
【0049】また、上記実施の形態では放射損PL を、
メッシュの開口部の構造を簡略化してフロケの原理やガ
ラーキン法などにより算出したが、本願発明はこれに限
らずメッシュの開口部の構造を簡略化することができる
他の近似法や原理を用いてもよい。
【0050】実施の形態3.上記実施の形態2では式
(2)からマイクロストリップアンテナの動作周波数を
算出するのにフロケの原理を仮定して計算により放射損
L を求めたが、この実施の形態3は式(2)に代入す
る放射損PL を実験的に求めるものである。
【0051】図10はこの発明の実施の形態3によるマ
イクロストリップアンテナの放射損PL を実験的に求め
る測定方法の一例を示す模式図である。図において、3
はメッシュ状地導体、aは送信アンテナ、bは受信アン
テナで、両アンテナa,bを対向させて、その間にメッ
シュ状地導体3を配置している。NAはネットワークア
ナライザである。
【0052】上記測定の概要を説明する。ネットワーク
アナライザNAによって、メッシュ状地導体3を挟んで
両アンテナa,b間の散乱行列要素の透過係数Sbaを測
定する。これより、両アンテナa,b間の伝送量から放
射損PL を算出する。このようにして実験的に求めた放
射損PL を式(2)に代入して動作周波数を決定する。
【0053】以上のように、この実施の形態3では、全
ての開口部からの放射損PL を実験的に求めるので、上
記実施の形態2と同様に、メッシュ状の地導体3を形成
しても共振周波数の低下が抑制されて所望の周波数で動
作するマイクロストリップアンテナを得ることができ
る。
【0054】なお、上記実施の形態2と同様の理由から
メッシュ状パッチの開口部からの放射損PL を実験的に
求めるようにしてもよい。これにより、メッシュ状のパ
ッチを形成しても共振周波数の低下が抑制されて所望の
周波数で動作するマイクロストリップアンテナを得るこ
とができる。
【0055】実施の形態4.この実施の形態4ではメッ
シュ構造を地導体に設けたマイクロストリップアンテナ
において、その内部に形成される磁界が最大となる位置
にメッシュの開口部の形成位置が重ならないように配置
するものである。
【0056】図11はこの発明の実施の形態5によるマ
イクロストリップアンテナを示す図であり、(a)は斜
視図、(b)は上面からのパッチの拡大図、(c)は下
面に形成された地導体の一部を拡大した図である。図に
おいて、7は金属導体からなるパッチで、図示の例では
矩形パッチである。8はこのマイクロストリップアンテ
ナに給電を行う給電点、9は給電点8において給電を行
ったときにマイクロストリップアンテナ内部に形成され
る磁界が最大となる位置を示している。なお、図1と同
一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0057】次に概要について説明する。この実施の形
態5によるマイクロストリップアンテナも、上記実施の
形態1と同様にFDTD法などの数値解析を行わずに上
記式(1)に基づいてメッシュ構造の設計を行い、マイ
クロストリップアンテナの動作周波数を決定する。この
とき、マイクロストリップアンテナの内部に形成される
磁界が最大となる位置9にメッシュ状地導体3の開口部
4の形成位置が重ならないように配置する。
【0058】この磁界が最大となる位置9はキャビティ
モデルから求められる。実施の形態5によるマイクロス
トリップアンテナは、図11に示すように矩形のパッチ
7である。そこで、このような矩形パッチからなるキャ
ビティモデルを考慮する必要がある。図12は矩形パッ
チを有するマイクロストリップアンテナの解析モデルを
示す斜視図である。図において、パッチ及び地導体は均
一な平面状の導体からなり、矩形パッチの辺の長さをそ
れぞれa,bとし、誘電体基板が厚さh,誘電率εγ
あるマイクロストリップアンテナを仮定している。ま
た、矩形パッチの中心を原点として直交座標系のxyz
軸を示し、x軸上に給電点F(同軸線などにより給電す
る)を設けている。
【0059】誘電体基板の厚さhと伝搬波長λとがh<
<λなる関係にあるとき、このマイクロストリップアン
テナにはTMmn0 波が励振される。このTMmn0 の電磁
界は下記の波動方程式により求める。 (∇2 +k2 )・Ez =0(内部領域) ・・・(26) ∂Ez /∂n=0(開放境界) ・・・(27) nは開放境界における単位法線ベクトル、∇2 =(∂2
/∂x2 +∂2 /∂y 2 )である。式(26)を境界条
件の式(27)を考慮して解くと、TMmn0 モードのE
成分は次のように求まる。 Ez =E0・cos{(mπ/a)・x+(mπ/2)}・cos{(nπ /b)・y+(nπ/2)} ・・・(28) k2 =(kx 2+ky 2)={(mπ/a)2 +(nπ/b)2 } ・・・(29 ) E0 は任意定数、k=ω・√(ε・μ)、mとnとは整
数であり、V0 をマイクロストリップアンテナ端部のピ
ーク電圧とすると、V0 =h・E0 となる。
【0060】式(28)によるEz をマクスウェル方程
式に代入するとTM波の条件(Hz=0)から、他の電
磁界成分は下記のように表される。 Ez =E0・cos{(mπ/a)・x+(mπ/2)}・cos{(nπ/ b)・y+(nπ/2)} ・・・(30) Hx =−{(j・ω・ε)/k2 }・(nπ/b)・E0 ・cos{(mπ/ a)・x+(mπ/2)}・sin{(nπ/b)・y+(nπ/2)} ・・・(31) Hy =−{(j・ω・ε)/k2 }・(mπ/a)・E0 ・sin{(mπ/ a)・x+(mπ/2)}・cos{(nπ/b)・y+(nπ/2)} ・・・(32) Ex =Ey =Hz =0 ・・・(33)
【0061】ここで、最低次モード(基本モード)であ
るTM100 波又はTM010 波で取り扱うと、TM100
ードの内部電磁界は下記のようになる。 Ez =−E0 ・sin{(π/a)・x} ・・・(34) Hy ={(j・ω・ε)/k2 }・(π/a)・E0 ・cos{(π/a)・ x} ・・・(35) Ex =Ey =Hx =Hz =0 ・・・(36) 図13は上記式(34)〜式(36)で表されるTM
100 モードの電磁界分布の示す図で、上方は矩形パッチ
の上面図、その下方は縦断面図である。図において、F
は給電点であり、実線で示したものが電気力線、破線が
磁力線である。また、○内に×をつけた符号は紙面方向
に向かっている電気力線若しくは磁力線を示し、○内に
●をつけた符号はその逆方向に向かっている電気力線若
しくは磁力線を示している。図のように給電点Fの位置
を決定することで(図示の例ではx軸上)、マイクロス
トリップアンテナの内部に発生する磁力線がy軸に周辺
で最も密になり、y軸から離れるにつれて疎になってい
る。上記式(35)から、TM100 モードではx=0と
なるy軸上の領域で、マイクロストリップアンテナ内部
に発生する磁界は最大値Hy ={(j・ω・ε)/
2 }・(π/a)・E0を示すことがわかる。これが
図11における磁界が最大となる位置9である。ちなみ
にx=a/2又は−a/2となる矩形パッチの長さaを
有する方向の両端において磁界Hy は零となる。このよ
うにキャビティモデルにおいて給電点の位置を決定する
ことで、マイクロストリップアンテナの内部に発生する
磁界が最大となる位置は一義的に決定される。また、動
作周波数f0 は式(29)から求まり、光速をCとして
下記式で表される。 f0 =C/(2・a・√εγ) ・・・(37) この式(24)による動作周波数において、フリンジン
グ効果(端効果)を考慮する場合はパッチのx軸に沿っ
た方向の辺の長さaに関する補正式と、誘電体基板の実
効誘電率に関する補正式とから補正を行う。また、内部
に蓄積されるエネルギーWt は、電気的蓄積エネルギー
e と磁気的蓄積エネルギーWm とからなる。これら電
気的蓄積エネルギーW及び磁気的蓄積エネルギーWm
は上記キャビティモデルの内部電磁界から算出すること
ができる。これより、内部に蓄積されるエネルギーWt
は、キャビティモデルの上記式(34)〜式(36)で
求められる内部電磁界を代入することで容易に算出する
ことができる。
【0062】上記のように決定される内部に発生する磁
界が最大となる位置9とメッシュの開口部4の位置とを
重ねると、式(1)から算出される動作周波数fの値は
上記キャビティモデル(均一な平面状の導体からなるパ
ッチ及び地導体を有するマイクロストリップアンテナ)
から算出する動作周波数f0 の値から大きくずれてしま
う。つまり、磁界が最大となる位置9とメッシュの開口
部4の位置とを重ねると式(1)の電磁界成分を考慮し
た補正項MΣm=1{μ・r0 3・|H0(xm ,ym )|2
3−ε・r0 3・|E0(xm ,ym )|2 /6における
|H0 (xm ,ym )|2 の値が大きくなるので、結果
的に式(1)より求まる動作周波数fの値は動作周波数
0 と比較して大きく低下する。従って、この実施の形
態4によるマイクロストリップアンテナのように、磁界
が最大となる位置9とメッシュの開口部4の形成位置と
が重ならないようにすることで、式(1)より求まる動
作周波数fと動作周波数f0 の値とが大きくずれないよ
うにする。
【0063】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、給電点8の位置から一義的に決定される磁界強度が
最大となる位置9とメッシュの開口部4の位置とが重な
らないようにしたので、平面状の導体からなるパッチ及
び地導体を有するマイクロストリップアンテナを仮定し
て算出した動作周波数f0 と、式(1)から算出した動
作周波数fの値とが大きくずれることがなく、マイクロ
ストリップアンテナの動作周波数の決定時間を短縮化す
ることができる。
【0064】なお、上記実施の形態4では動作周波数の
決定に式(1)を使用する例について述べたが、実施の
形態2で示した式(2)を使用した場合においても、磁
界が最大となる位置9とメッシュの開口部4の位置とが
重ならないようにすることで、上記実施の形態4と同様
の効果を奏する。
【0065】また、図14はこの発明の実施の形態4に
よるマイクロストリップアンテナにメッシュ状パッチを
設けた例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上
面からのパッチの拡大図である。図において、6は均一
な平面状の金属導体からなる地導体、10はメッシュ構
造を設けたパッチ(メッシュ状パッチ)である。なお、
図11と同一構成要素には同一符号を付し重複する説明
を省略する。実施の形態1及び実施の形態2に示したよ
うに式(1)若しくは式(2)はメッシュ構造をパッチ
か地導体のどちらに設けるかということによって有意な
差を与えるものではない。これにより、図14のように
パッチ10をメッシュ構造としても、磁界が最大となる
位置9とメッシュの開口部4の位置とが重ならないよう
にすることで上記と同様の効果を奏する。
【0066】実施の形態5.この実施の形態5では誘電
体基板の厚さを厚くして、キャビティモデルから算出し
た動作周波数f0 と上記式(1)又は式(2)から算出
される動作周波数fとの値の差が小さくなるようにした
ものである。
【0067】マイクロストリップアンテナの内部に蓄え
られるエネルギーWt は、上記実施の形態で示したよう
に電気的蓄積エネルギーWe と磁気的蓄積エネルギーW
m とから構成される。この電気的蓄積エネルギーWe
図2や図13で示したz軸方向の電界Ez の強度に比例
する。ここで、誘電体基板の厚さを厚くするということ
は導体パッチと地導体との間隔を大きくすることに相当
する。誘電体を挟んだ2つの導体間に発生した電界Eに
よって蓄えられるエネルギーWは、誘電体の誘電率を
ε、電束密度D=ε・E、誘電体の厚さをhとすると一
般的に下記のように表される。 W=(E・D・h)/2 即ち、電界Eによって蓄えられるエネルギーWは誘電体
の厚さhに比例する。これは上記の導体パッチ及び地導
体間におけるz軸方向の電界Ez のエネルギーである電
気的蓄積エネルギーWe においても同様であり、誘電体
基板の厚さを厚くすることによってその値は大きくな
り、マイクロストリップアンテナの内部に蓄えられるエ
ネルギーWも同様に大きくなる。
【0068】誘電体基板の厚さを厚くするのに伴って、
式(1)におけるキャビティモデルから算出した動作周
波数f0 のWt に関する係数のWt 値が電磁界成分の補
正項 MΣm=1{μ・r0 3・|H0(xm ,ym )|2 /3
−ε・r0 3・|E0(xm ,y m )|2 /6と比較して
充分に大きくなる。これにより、この係数の値が充分に
小さくなるので、式(1)から算出する動作周波数とキ
ャビティモデルから算出した動作周波数f0 との値が大
きくずれることがなくなる。
【0069】また、式(2)においても誘電体基板の厚
さを厚くするに伴って、右辺第2項の放射損PL に関す
る項においてWt 値が充分に大きくなる。これにより、
式(2)の右辺第2項{−(j・PL )/Wt }の値が
充分に小さくなるので、式(2)から算出する動作周波
数とキャビティモデルから算出した動作周波数f0 との
値が大きくずれることがなくなる。
【0070】以上のように、この実施の形態5によれ
ば、誘電体基板の厚さを厚くして、平面状のパッチ及び
地導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定して
算出した動作周波数f0 と、式(1)若しくは式(2)
から算出した動作周波数との値の差が小さくなるように
するので、上記実施の形態5と同様に平面状の導体から
なるパッチ及び地導体を有するマイクロストリップアン
テナのキャビティモデルから算出した動作周波数f
0 と、式(1)若しくは式(2)から算出した動作周波
数fの値とが大きくずれることがなく、マイクロストリ
ップアンテナの動作周波数の決定時間を短縮化すること
ができる。
【0071】なお、実施の形態1及び実施の形態2に示
したように式(1)若しくは式(2)は、メッシュ構造
をパッチか地導体のどちらに設けるかということによっ
て有意な差を与えるものではないので、メッシュ状パッ
チを有するマイクロストリップアンテナに上記実施の形
態5による構成を適用しても上記と同様の効果を奏す
る。
【0072】また、上記実施の形態1〜実施の形態5に
おいて、キャビティモデルとして円形パッチ及び矩形パ
ッチを有するものについて示したが、本願発明はこれに
限らず実用されている様々な形状のパッチについてのキ
ャビティモデルにも適用できる。
【0073】なお、上記実施の形態では地導体若しくは
パッチにメッシュ構造を設けたマイクロストリップアン
テナの動作周波数を決定するのに、式(1)若しくは式
(2)から算出した動作周波数fと所望の動作周波数と
が一致するようにメッシュの開口部の大きさや形成位置
を適宜変更することについて説明したが、本願発明はこ
れに限らず、キャビティモデルにおける他のパラメータ
や使用する材質の特性の違いなどのデータも考慮して解
析することにより、さらに精度良く所望の周波数にて動
作するように設計することができる。
【0074】また、上記実施の形態ではメッシュの開口
部を半径の円形r0 に仮定したが、開口部が理想的な
円形でない場合は、同一形状の開口部が周期的に存在す
るとみなせるならば、各開口部に円形との違いに対する
補正を行って式(1)に基づいて解析するようにしても
よい。
【0075】
【発明の効果】以上のように、この発明のマイクロスト
リップアンテナによれば、所望の動作周波数に式(1)
に基づいて算出した動作周波数fが一致するように、式
(1)の構成要素の値を、メッシュの開口部の半径
0 、若しくは形成位置の少なくとも一方を適宜変更し
て設定するので、メッシュ状の地導体若しくはパッチを
形成しても共振周波数の低下が抑制されて所望の周波数
で動作するマイクロストリップアンテナを得ることがで
きる効果がある。また、均一な平板上のパッチ及び地導
体を有するマイクロストリップアンテナを仮定した単純
な構造のキャビティモデルを使用し、さらに式(1)は
誘電体基板の厚さや開口部の形成位置などをパラメータ
として有する代数的に簡潔な式であるので、計算によっ
て得られるデータ量も従来のFDTD法と比較して少な
く、且つ、複雑な構造を考慮する必要もないので容易に
設計することができる効果がある。
【0076】従って、数値解析に莫大な計算時間や高価
で高性能の計算機資源を必要とすることがなく、一般的
なパソコンなどで解析することが可能であるので、従来
と比較してマイクロストリップアンテナの設計にかかる
コストを低減することもできる効果がある。
【0077】この発明のマイクロストリップアンテナに
よれば、所望の動作周波数に式(2)に基づいて算出し
た動作周波数fが一致するように、式(2)の構成要素
の値を、メッシュの開口部の形状、大きさ、及び形成位
置の少なくとも一つを適宜変更して設定するので、メッ
シュ状の地導体若しくはパッチを形成しても共振周波数
の低下が抑制されて所望の周波数で動作するマイクロス
トリップアンテナを得ることができる効果がある。ま
た、均一な平板上のパッチ及び地導体を有するマイクロ
ストリップアンテナを仮定したキャビティモデルを使用
し、さらに式(2)はメッシュ状地導体の開口部の構造
を簡略化する近似を行って求めた放射損P L を使用する
ので、計算によって得られるデータ量も従来のFDTD
法と比較して少なく、且つ、複雑な構造を考慮する必要
もないので容易に設計することができる効果がある。
【0078】従って、数値解析に莫大な計算時間や高価
で高性能の計算機資源を必要とすることがなく、一般的
なパソコンなどで解析することが可能であるので、従来
と比較してマイクロストリップアンテナの設計にかかる
コストを低減することもできる効果がある。
【0079】この発明のマイクロストリップアンテナに
よれば、誘電体基板の厚さを厚くして、平面状のパッチ
及び地導体を備えたマイクロストリップアンテナを仮定
して算出した動作周波数f0 と、式(1)若しくは式
(2)に基づいて算出した動作周波数との値の差が小さ
くなるようにするので、平面状の導体からなるパッチ及
び地導体を有するマイクロストリップアンテナを仮定し
て算出した動作周波数f 0 と、式(1)若しくは式
(2)から算出した動作周波数fの値とが大きくずれる
ことがなく、マイクロストリップアンテナの動作周波数
の決定時間を短縮化することができる効果がある。
【0080】この発明のマイクロストリップアンテナに
よれば、平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロス
トリップアンテナを仮定し、その給電点の位置から一義
的に決定される磁界強度が最大となる位置に、メッシュ
の開口部の形成位置が重ならないようにするので、平面
状の導体からなるパッチ及び地導体を有するマイクロス
トリップアンテナを仮定して算出した動作周波数f
0 と、式(1)若しくは式(2)から算出した動作周波
数fの値とが大きくずれることがなく、マイクロストリ
ップアンテナの動作周波数の決定時間を短縮化すること
ができる効果がある。
【0081】この発明のマイクロストリップアンテナに
よれば、全ての開口部からの放射損PL を実験的に求め
るので、段落0077と同様にメッシュ状の地導体若し
くはパッチを形成しても共振周波数の低下が抑制されて
所望の周波数で動作するマイクロストリップアンテナを
得ることができる効果がある。
【0082】この発明のマイクロストリップアンテナの
設計方法によれば、平面状のパッチ及び地導体を備えた
マイクロストリップアンテナの動作周波数f0 を算出す
るステップと、平面状のパッチ及び地導体を備えたマイ
クロストリップアンテナの内部に蓄えられるエネルギー
t を算出するステップと、式(1)に基づいて動作周
波数を算出するステップと、式(1)に基づいて算出さ
れた動作周波数と所望の動作周波数とを比較するステッ
プと、式(1)に基づいて算出された動作周波数と所望
の動作周波数とが一致しない場合、両者の値が一致する
ように開口部の半径r0 、若しくは形成位置の少なくと
も一方を適宜変更するステップとを備えるので、また、
平板状のパッチ及び地導体を有するマイクロストリップ
アンテナを仮定した単純な構造のキャビティモデルを使
用し、さらに式(1)は誘電体基板の厚さや開口部の形
成位置などをパラメータとして有する代数的に簡潔な式
であるので、計算によって得られるデータ量も従来のF
DTD法と比較して少なく、且つ、複雑な構造を考慮す
る必要もないので容易に設計することができる効果があ
る。
【0083】従って、数値解析に莫大な計算時間や高価
で高性能の計算機資源を必要とすることがなく、一般的
なパソコンなどで解析することが可能であるので、従来
と比較してマイクロストリップアンテナの設計にかかる
コストを低減することもできる効果がある。
【0084】この発明のマイクロストリップアンテナの
設計方法によれば、平面状のパッチ及び地導体を備えた
マイクロストリップアンテナの動作周波数f0 を算出す
るステップと、平面状のパッチ及び地導体を備えたマイ
クロストリップアンテナの内部に蓄えられるエネルギー
t を算出するステップと、全ての開口部からの放射損
L を算出するステップと、式(2)に基づいて動作周
波数を算出するステップと、式(2)に基づいて算出さ
れた動作周波数と所望の動作周波数とを比較するステッ
プと、式(2)に基づいて算出された動作周波数と所望
の動作周波数とが一致しない場合、両者の値が一致する
ように開口部の形状、大きさ、及び形成位置の少なくと
も一つを適宜変更するステップとを備えるので、また、
平板状のパッチ及び地導体を有するマイクロストリップ
アンテナを仮定した単純な構造のキャビティモデルを使
用し、さらに式(2)はメッシュ状地導体の開口部の構
造を簡略化する近似を行って求めた放射損PL を使用す
ることで、計算によって得られるデータ量も従来のFD
TD法と比較して少なく、且つ、複雑な構造を考慮する
必要もないので容易に設計することができる効果があ
る。
【0085】従って、数値解析に莫大な計算時間や高価
で高性能の計算機資源を必要とすることがなく、一般的
なパソコンなどで解析することが可能であるので、従来
と比較してマイクロストリップアンテナの設計にかかる
コストを低減することもできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるマイクロスト
リップアンテナを示す図であり、(a)は斜視図、
(b)はマイクロストリップアンテナの下面に形成され
た地導体の一部を拡大した図である。
【図2】 円形パッチを有するマイクロストリップアン
テナの解析モデルを示す斜視図である。
【図3】 式(21)〜式(24)で表されるTM110
モードの電磁界分布を示す図で、上方は円形パッチの上
面図、その下方は縦断面図である。
【図4】 この実施の形態1によるマイクロストリップ
アンテナの動作周波数を決定する手順を示すフローチャ
ートである。
【図5】 開口部の位置を変化させた場合の動作周波数
を式(1)により計算した値を示すグラフ図である。
【図6】 この発明の実施の形態1によるマイクロスト
リップアンテナの動作周波数を決定する他の手順を示す
フローチャートである。
【図7】 この発明の実施の形態1によるマイクロスト
リップアンテナにメッシュ状パッチを設けた例を示す斜
視図である。
【図8】 この発明の実施の形態2によるマイクロスト
リップアンテナの動作周波数を決定する手順を示すフロ
ーチャートである。
【図9】 開口部の位置を変化させた場合の動作周波数
を式(2)により計算した値を示すグラフ図である。
【図10】 この発明の実施の形態3によるマイクロス
トリップアンテナの放射損PL を実験的に求める測定方
法の一例を示す模式図である。
【図11】 この発明の実施の形態4によるマイクロス
トリップアンテナを示す図であり、(a)は斜視図、
(b)は上面からのパッチの拡大図、(c)は下面に形
成された地導体の一部を拡大した図である。
【図12】 矩形パッチを有するマイクロストリップア
ンテナの解析モデルを示す斜視図である。
【図13】 式(34)〜式(36)で表されるTM
100 モードの電磁界分布の示す図で、上方は矩形パッチ
の上面図、その下方は縦断面図である。
【図14】 この発明の実施の形態4によるマイクロス
トリップアンテナにメッシュ状パッチを設けた例を示す
図であり、(a)は斜視図、(b)は上面からのパッチ
の拡大図である。
【図15】 従来のメッシュ構造を有したマイクロスト
リップアンテナを示す図であり、(a)は上面図、
(b)は側面図、(c)はパッチ及び地導体に形成され
たメッシュの開口部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 均一な平面状の円形パッチ(パッチ)、2 誘電体
基板、3 メッシュ状の地導体(メッシュ状地導体)、
4 開口部、5 メッシュ状の円形パッチ(メッシュ状
パッチ)、6は均一な平面状の地導体(平面状地導
体)、7 均一な平面状の矩形パッチ、8,F 給電
点、9 マイクロストリップアンテナ内部に形成される
磁界が最大となる位置、10 メッシュ状の矩形パッチ
(メッシュ状パッチ)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体のパッチと、地導体と、上記パッチ
    及び上記地導体との間に設けた誘電体基板とを備え、上
    記パッチ若しくは地導体に複数の開口部を有するメッシ
    ュを設けたマイクロストリップアンテナにおいて、 所望の動作周波数に下記式(1)に基づいて算出した動
    作周波数fが一致するように、下記式(1)の構成要素
    の値を設定したことを特徴とするマイクロストリップア
    ンテナ: f=f0 ・Wt /[Wt MΣm=1{μ・r0 3・|H0 (xm,ym)|2 /3− ε・r0 ・|E0 (xm ,ym )|2 /6] ・・・(1) r0 は上記メッシュの複数の開口部を全て同一の円形と
    仮定した場合における上記開口部の半径、f0 は平面状
    のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリップアンテ
    ナを仮定して算出した動作周波数、Wt は上記平面状の
    パッチ及び地導体を備えたマイクロストリップアンテナ
    を仮定して算出したマイクロストリップアンテナ内部に
    蓄えられるエネルギー、Mは上記開口部の個数、
    (xm ,ym )は上記開口部の中心位置の座標、H
    0 (xm ,ym )は上記開口部の中心位置の座標
    (xm ,ym )における磁界、E0 (xm ,ym )は上
    記開口部の中心位置の座標(xm ,ym )における電
    界、μ及びεはそれぞれ上記平面状のパッチ及び地導体
    を備えたマイクロストリップアンテナを仮定して算出し
    たマイクロストリップアンテナ内部の透磁率、誘電率で
    ある。
  2. 【請求項2】 所望の動作周波数と、式(1)に基づい
    て算出した動作周波数fとが一致するように、メッシュ
    の開口部の半径r0 、若しくは形成位置の少なくとも一
    方を適宜変更することを特徴とする請求項1記載のマイ
    クロストリップアンテナ。
  3. 【請求項3】 誘電体基板の厚さを厚くして、平面状の
    パッチ及び地導体を備えたマイクロストリップアンテナ
    を仮定して算出した動作周波数f0 と、式(1)に基づ
    いて算出した動作周波数との値の差が小さくなるように
    したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のマイ
    クロストリップアンテナ。
  4. 【請求項4】 導体のパッチと、地導体と、上記パッチ
    及び上記地導体との間に設けた誘電体基板とを備え、上
    記パッチ若しくは地導体に複数の開口部を有するメッシ
    ュを設けたマイクロストリップアンテナにおいて、 所望の動作周波数に下記式(2)に基づいて算出した動
    作周波数fが一致するように、下記式(2)の構成要素
    の値を設定したことを特徴とするマイクロストリップア
    ンテナ: f=f0 −j・PL /(2・Wt ) ・・・(2) f0 は平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロスト
    リップアンテナを仮定して算出した動作周波数、Wt
    上記平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリ
    ップアンテナを仮定して算出したマイクロストリップア
    ンテナ内部に蓄えられるエネルギー、PL は全ての開口
    部からの放射損、jは虚数√(−1)である。
  5. 【請求項5】 所望の動作周波数と、式(2)に基づい
    て算出した動作周波数とが一致するように、メッシュの
    開口部の形状、大きさ 、及び形成位置の少なくとも一
    つを適宜変更することを特徴とする請求項4記載のマイ
    クロストリップアンテナ。
  6. 【請求項6】 誘電体基板の厚さを厚くして、平面状の
    パッチ及び地導体を備えたマイクロストリップアンテナ
    を仮定して算出した動作周波数f0 と、式(2)に基づ
    いて算出した動作周波数との値の差が小さくなるように
    したことを特徴とする請求項4又は請求項5記載のマイ
    クロストリップアンテナ。
  7. 【請求項7】 平面状のパッチ及び地導体を備えたマイ
    クロストリップアンテナを仮定し、その給電点の位置か
    ら一義的に決定される磁界強度が最大となる位置に、メ
    ッシュの開口部の形成位置が重ならないようにすること
    を特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか1項
    記載のマイクロストリップアンテナ。
  8. 【請求項8】 全ての開口部からの放射損PL は、実験
    的に求められることを特徴とする請求項4記載のマイク
    ロストリップアンテナ。
  9. 【請求項9】 導体のパッチと、地導体と、上記パッチ
    及び上記地導体との間に設けた誘電体基板とを備え、上
    記パッチ若しくは地導体に複数の開口部を有するメッシ
    ュを設けたマイクロストリップアンテナの設計方法にお
    いて、 平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリップ
    アンテナの動作周波数f0 を算出するステップと、 上記平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリ
    ップアンテナの内部に蓄えられるエネルギーWt を算出
    するステップと、 請求項1記載の式(1)に基づいて動作周波数を算出す
    るステップと、 上記式(1)に基づいて算出された動作周波数と所望の
    動作周波数とを比較するステップと、 上記式(1)に基づいて算出された動作周波数と上記所
    望の動作周波数とが一致しない場合、上記両者の値が一
    致するように上記開口部の半径r0 、若しくは形成位置
    の少なくとも一方を適宜変更するステップとを備えたこ
    とを特徴とするマイクロストリップアンテナの設計方
    法。
  10. 【請求項10】 導体のパッチと、地導体と、上記パッ
    チ及び上記地導体との間に設けた誘電体基板とを備え、
    上記パッチ若しくは地導体に複数の開口部を有するメッ
    シュを設けたマイクロストリップアンテナの設計方法に
    おいて、 平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリップ
    アンテナの動作周波数f0 を算出するステップと、 上記平面状のパッチ及び地導体を備えたマイクロストリ
    ップアンテナの内部に蓄えられるエネルギーWt を算出
    するステップと、 全ての開口部からの放射損PL を算出するステップと、 請求項4記載の式(2)に基づいて動作周波数を算出す
    るステップと、 上記式(2)に基づいて算出された動作周波数と所望の
    動作周波数とを比較するステップと、 上記式(2)に基づいて算出された動作周波数と上記所
    望の動作周波数とが一致しない場合、上記両者の値が一
    致するように上記開口部の形状、大きさ 、及び形成位
    置の少なくとも一つを適宜変更するステップとを備えた
    ことを特徴とするマイクロストリップアンテナの設計方
    法。
JP28580199A 1999-10-06 1999-10-06 マイクロストリップアンテナ及びその設計方法 Abandoned JP2001111328A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28580199A JP2001111328A (ja) 1999-10-06 1999-10-06 マイクロストリップアンテナ及びその設計方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28580199A JP2001111328A (ja) 1999-10-06 1999-10-06 マイクロストリップアンテナ及びその設計方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001111328A true JP2001111328A (ja) 2001-04-20

Family

ID=17696265

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28580199A Abandoned JP2001111328A (ja) 1999-10-06 1999-10-06 マイクロストリップアンテナ及びその設計方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001111328A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004159341A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Ma Com Inc アンテナユニット及び複数マイクロストリップアンテナアレー間の絶縁改良方法
JP2009206262A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Rohm Co Ltd 半導体集積回路
JP2011510526A (ja) * 2007-12-06 2011-03-31 テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) 機能拡張されたディスプレイ構成
WO2014002437A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 東洋製罐グループホールディングス株式会社 Rfタグ
JP2014007655A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Toyo Seikan Kaisha Ltd Rfタグ
JP2020005233A (ja) * 2018-07-02 2020-01-09 日本電信電話株式会社 フェーズドアレーアンテナシステム
WO2020090583A1 (ja) * 2018-11-02 2020-05-07 京セラ株式会社 配線基板

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004159341A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Ma Com Inc アンテナユニット及び複数マイクロストリップアンテナアレー間の絶縁改良方法
JP2011510526A (ja) * 2007-12-06 2011-03-31 テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) 機能拡張されたディスプレイ構成
JP2009206262A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Rohm Co Ltd 半導体集積回路
WO2014002437A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 東洋製罐グループホールディングス株式会社 Rfタグ
JP2014007655A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Toyo Seikan Kaisha Ltd Rfタグ
US9547817B2 (en) 2012-06-26 2017-01-17 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. RF tag
JP2020005233A (ja) * 2018-07-02 2020-01-09 日本電信電話株式会社 フェーズドアレーアンテナシステム
WO2020090583A1 (ja) * 2018-11-02 2020-05-07 京セラ株式会社 配線基板
JP2020072235A (ja) * 2018-11-02 2020-05-07 京セラ株式会社 配線基板
JP7237532B2 (ja) 2018-11-02 2023-03-13 京セラ株式会社 配線基板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hassan et al. Topology optimization of metallic antennas
Guha et al. Microstrip and printed antennas: new trends, techniques and applications
Li et al. Locally resonant cavity cell model for electromagnetic band gap structures
Komanduri et al. A general method for designing reduced surface wave microstrip antennas
Barbuto et al. Characteristic impedance of a microstrip line with a dielectric overlay
Alkurt et al. Octagonal shaped metamaterial absorber based energy harvester
Guo et al. Broadband omnidirectional patch antenna with horizontal gain enhanced by near‐zero‐index metamaterial cover
JP2001111328A (ja) マイクロストリップアンテナ及びその設計方法
Dorbin et al. Analytical estimation of the efficiency of surface-wave-excited plasma monopole antennas
Wang et al. A three-dimensional angle-optimized finite-difference time-domain algorithm
Imani et al. Planar near-field plates
De Aza et al. Radiation pattern computation of cavity-backed and probe-fed stacked microstrip patch arrays
Koziel et al. Simulation-driven design in microwave engineering: application case studies
Shim et al. Optimal design of frequency selective surface by genetic algorithm
Uchida et al. Simultaneous shape and topology optimization for the design of patch antennas
Dogan et al. On the electromagnetic fields excited in a finite-length circular cylindrical cavity by plane wave incidence on a longitudinal aperture
He et al. Accurate analysis of arbitrarily shaped wire antenna-dielectric radome structures
Alù et al. Method of lines numerical analysis of conformal antennas
Li et al. A moment-based study on the impedance effect of mutual coupling for VLF umbrella antenna arrays
Asakawa Investigation of a slot nanoantenna in optical frequency range
Günel Continuous hybrid approach to the modified resonant frequency calculation for circular microstrip antennas with and without air gaps
Diebold et al. Patch reflectarray design using a discrete dipole framework
Sathi et al. Optimization of circular ring microstrip antenna using genetic algorithm
Ates et al. Design and Modeling of a Microstrip Patch Antenna by Using Finite Difference Time Domain (FDTD) Method and Computer Aided Simulations
Ludvig-Osipov et al. Evaluation of the electric polarizability for planar frequency-selective arrays

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20050112

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20050118

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A762 Written abandonment of application

Effective date: 20050301

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762