JP2001102105A - 超電導線材の超電導接続方法および超電導接続構造 - Google Patents
超電導線材の超電導接続方法および超電導接続構造Info
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Abstract
流せ、酸化物系超電導マグネットの永久電流モードで運
転が可能な超電導線材の超電導接続方法、接続構造超電
導マグネット。 【解決手段】 一次融液としてAgとの合金の融点が5
00℃以下のPb以外の金属若しくは合金、又はPb含
有量が20質量%未満で且つAgとの合金の融点が50
0℃以下のPb合金を加熱した融液を用い、一次融液に
被接続線材の端部を浸漬して端部のAg又はAg合金か
ら成るシース材を溶融して酸化物超電導フィラメント群
から分離し、次いで、二次融液としてPb含有量が20
質量%以上で且つ一次融液を構成する金属若しくは合金
又はPb合金と合金の形成時の融点が500℃以下であ
り、その融液を凝固時に超電導特性を示すPb合金又は
Pbを加熱した融液を用い、一次融液に浸漬した被接続
線材の端部を二次融液に浸漬した後、二次融液を固化・
凝固させ被接続線材を超電導接続する。
Description
材と金属系超電導線材、または酸化物系超電導線材同士
を超電導接続する方法、および超電導接続構造、並びに
その超電導接続構造を構成要素として含む超電導マグネ
ット等に関するものであり、特に高分解能核磁気共鳴
(NMR)分析装置に用いられる超電導マグネットの素
材として、酸化物系超電導線材を適用する際に有用な超
電導接続方法および超電導接続構造並びにその超電導接
続構造を有する超電導マグネット等に関するものであ
る。
とができる超電導線材を用いることで、大電流送電や強
磁場発生装置等の利用が広がりつつある。特に高分解能
NMR分析装置に用いられる超電導マグネットは、大電
流通電による強磁場発生と抵抗ゼロを利用して電源を用
いない永久電流モードの運転を行うものであり、超電導
現象を利用することで初めて実現可能な応用の典型であ
る。
導線材としては、NbTi、Nb3Sn、Nb3Al等の
金属系超電導線材が用いられており、これらの金属系超
電導線材は、磁気共鳴イメージング医療診断装置、高分
解能NMR装置等のように、極度に時間的に安定な磁場
が要求される各種機器に応用されてきた。これらの場
合、前述の特徴を有効に活用するには、装置に用いられ
る超電導線材同士を超電導状態を維持しつつ接続するこ
とによって、ループ状に永久的に電流が流れ続ける、い
わゆる永久電流モードで動作するように回路が構成され
ている。
温度(4.2K)では金属系超電導体に比べて非常に高
い上部臨界磁場を形成するので、これを線材化して超電
導マグネットに適用することで、金属系超電導線材では
発生させることが困難な23T以上の強磁場を発生する
超電導マグネットの実現が期待されている。このように
強い磁場を発生させることにより、例えば高分子タンパ
ク質の複雑な分子構造を決定するために非常に重要な役
割を担っている高分解能NMR分析装置では、分析情報
量が増加し、より詳細な分子構造の決定が可能となり、
測定に要する時間も短縮される。
いてマグネットを構成することも試みられている。この
酸化物系超電導マグネットを永久電流モードで動作させ
るためには、酸化物系超電導線材同士または酸化物系超
電導線材と金属系超電導線材を超電導状態を維持しなが
ら接続することが必要である。また、熱または磁場によ
り一時的に超電導状態をON/OFFする永久電流スイ
ッチが必要となる。
法および永久電流スイッチが技術的に確立されており、
既に実用化されている。例えば、NbTi多芯線材で
は、線材端部を酸の中に浸漬し、線材を構成する安定化
Cuをエッチングによって除去し、NbTiフィラメン
トを露出させてからフィラメント同士を超電導接続する
方法が知られている(例えば、特開昭62−27250
2号、特開昭63−62110号等)。
は、こうした方法は適用できない。即ち、酸化物系超電
導線材ではAgまたはAg合金からなるシース材(金属
系超電導線材の安定化Cuに相当するもの、以下「Ag
シース材」で代表することがある)が用いられている
が、こうしたAgシースを酸によりエッチングすると、
その内部に埋設された酸化物系超電導フィラメントまで
エッチングされてダメージを受けてしまうことになる。
例えば特開平9−134747号には、酸化物系超電導
線材フィラメント群の外周側フィラメントの全部または
一部が短くなるように山型に成形し、エッチングするこ
となくフィラメントを露出させる方法が提案されてい
る。しかしながらこうした技術では、フィラメントが露
出した部分しか超電導接続に寄与せず、充分な超電導電
流を流すことができないという問題があった。
は研究を進めており、その研究の一環として、酸を用い
ずフィラメントを露出させ、しかもフィラメント同士が
接触する面積を充分に確保できる技術として、特開平9
−283253号の技術を提案している。この技術で
は、超電導特性を示し且つAgとの合金の融点が500
℃以下となる金属または合金を加熱して融液とし、その
融液に被接続線材の端部を浸漬して該端部のAgまたは
Ag合金から成るシース材を溶融して酸化物系超電導フ
ィラメント群から分離し、その後その融液を固化・凝固
させることによって、超電導線材のフィラメント間を超
電導状態を維持した状態で接続する中間材を形成して超
電導接続するものである。こうした方法によって、酸化
物系超電導線材と金属系超電導線材、または酸化物系超
電導体同士の超電導接続が可能となり、ゼロ磁場中では
実用レベルの超電導電流を流すことができたのである。
に酸化物系超電導フィラメント群から分離したAgが溶
け込むため、その後その融液を固化・凝固させることに
よって得られる中間材はAgを含んだ合金となり、超電
導状態が壊れる磁場である上部臨界磁場が低下するとい
う問題があった。
造の制約から磁場が1T弱である位置に置かれることが
多い。従って、中間材の上部臨界磁場は、1T以上でな
ければならない。しかしながら、Agを含有した中間材
の上部臨界磁場は0.01T程度までに低下するため
に、通常の位置ではほとんど超電導電流を流すことがで
きないという問題があった。
の下になされたものであって、その目的は、0.5T程
度の磁場中でも実用レベルの超電導電流を流すことがで
きると共に、酸化物系超電導マグネットの永久電流モー
ドでの運転を可能にすることのできる様な超電導線材の
超電導接続方法、および超電導接続構造並びにその超電
導接続構造を有する超電導マグネット等を提供すること
にある。
発明の超電導接続方法とは、酸化物系超電導線材と金属
系超電導線材、または酸化物系超電導線材同士を超電導
接続するに当たり、一次融液としてAgとの合金の融点
が500℃以下であるPb以外の金属若しくは合金、ま
たはPb含有量が20質量%未満で且つAgとの合金の
融点が500℃以下となるPb合金を加熱した融液を用
い、該一次融液に被接続線材の端部を浸漬して該端部の
AgまたはAg合金から成るシース材を溶融して酸化物
超電導フィラメント群から分離し、次いで、二次融液と
してPb含有量が20質量%以上で且つ前記一次融液を
構成する金属若しくは合金またはPb合金と合金を形成
したときの融点が500℃以下であり、その融液を凝固
した場合に超電導特性を示すPb合金またはPbを加熱
した融液を用い、前記一次融液に浸漬した被接続線材の
端部を前記二次融液に浸漬した後、該二次融液を固化・
凝固させることによって被接続線材を超電導接続する点
に要旨を有するものである。
程を2回以上実施することが好ましい。また前記一次融
液を構成するPb以外の金属または合金としては、H
g、In、Sn、BiおよびGaよりなる群から選択さ
れる1種または2種以上の元素を含む金属または合金が
挙げられ、前記二次融液を構成するPb合金としては、
Hg、In、Sn、BiおよびGaよりなる群から選択
される1種または2種以上の元素を含むものが挙げられ
る。
発明の超電導接続構造とは、超電導接続された部分が、
Agの含有量が0.1質量%以下のPb合金からなるも
のである点に要旨を有するものである。また、この様な
超電導接続構造とそれに接続される超電導コイルを構成
要素として含むことによって、上記の様な磁場条件中に
おいて永久電流モードで運転可能な超電導マグネットが
実現できる。
る為に様々な角度から検討した。その結果、上記構成を
採用すれば上記目的が見事に達成されることを見出し、
本発明を完成した。以下、本発明方法における各工程を
説明しつつ、本発明の作用について説明する。
との合金の融点が500℃以下であるPb以外の金属若
しくは合金、またはPb含有量が20質量%未満で且つ
Agとの合金の融点が500℃以下となるPb合金を加
熱した融液を用い、該一次融液に被接続線材の端部を浸
漬して該端部のAgまたはAg合金から成るシース材を
溶融して酸化物超電導フィラメント群から分離するもの
である。この浸漬工程によって、酸化物超電導フィラメ
ントにダメージを与えずに、被接続線材端部のAgまた
はAg合金から成るシース材を溶融することができるの
である。
被接続線材の端部を浸漬したときにシース材中に含まれ
るAgと反応して融液中にPb−Ag−Oが生成し、こ
のPb−Ag−Oは非超電導体であるので、この物質の
生成を抑制しない限り、良好な超電導接続の形成は望め
ない。従って、一次融液としてはPbを含有していない
ものを基本的に用いるが、本発明者らが検討したところ
によれば、一次融液中のPb含有量が20質量%未満で
あれば、上記酸化物の生成を抑制することができること
も見出した。こうしたことから、本発明で用いる一次融
液としては、Agとの合金の融点が500℃以下である
Pb以外の金属若しくは合金、またはPb含有量が20
質量%未満で且つAgとの合金の融点が500℃以下と
なるPb合金のいずれでも良い。
属または合金としては、Hg、In、Sn、Biおよび
Gaよりなる群から選択される1種または2種以上の元
素を含む金属または合金が挙げられる。
の際の融液にはシース材を構成していたAgが溶け込ん
でおり、このまま該融液を固化・凝固させてもその上部
臨界磁場は0.2T程度の低い値に留まる。しかし、P
b濃度が20質量%以上で且つ一次融液を構成する金属
若しくは合金またはPb合金と合金を形成したときの融
点が500℃以下であり、その融液が凝固した場合に超
電導特性を示す別のPb合金またはPbを加熱して二次
融液とし、その二次融液に酸化物系超電導線材の端部
(前記一次融液に浸漬した端部)を浸漬すれば、二次融
液中のPbが酸化物超電導フィラメントの表面に選択的
に捕獲され、且つPbが二次融液中の他の元素と合金化
することにより、フィラメント近傍にAgが接近するこ
とが抑制されるのである。
中間材)のAg含有量をほとんどゼロ(実質的にAgを
含まない)にすることができる。但し、中間材中のAg
含有量をほとんどゼロにできても、中間材が純粋なPb
では上部臨界磁場が低く、0.5T程度の磁場中では使
用できない。この点本発明では、後記実施例2に示す様
に、二次融液の組成としてPb含有量が100質量%の
ものを用いても、一次融液中に含まれる微量の構成元素
とPb合金を形成することによって、こうした不都合も
回避される。こうしたことから、本発明で用いる二次融
液の組成としてPb含有量が20質量%以上のPb合金
またはPbとした。そして、こうした組成の二次融液を
用いることによって、中間材としてAgの含有量が0.
1質量%以下のPb合金が生成され、この合金は高い上
部臨界磁場を有するため、0.5T程度の磁場中でも実
用レベルの大きさの超電導電流を流すことが可能な超電
導接続構造が実現できたである。
ては、Hg、In、Sn、BiおよびGaよりなる群か
ら選択される1種または2種以上の元素を含むものが挙
げられる。
つ行なうことによって、本発明の効果が発揮されるもの
であるが、好ましくは各工程を2回以上実施するのが良
く、これによって中間材中へのAgの微量混入が抑制さ
れ、超電導接続性能をより一層高いものとすることがで
きる。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後期の趣旨に徴して設計変形することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
図である。まず、Bi−2212型と呼ばれる酸化物超
電導体(Bi2Sr2CaCu2Ox)の多芯丸線材を作製
し、純酸素1atm中で熱処理を行った。このときの図
1(a),(b)に示す様に、この酸化物系超電導多芯
線材と安定化Cuを除去したNbTi多芯線材の各端部
を、約350℃に加熱した鉛系ハンダ融液(10質量%
Pb−90質量%Ga)に浸漬し、それを2回繰り返し
た。その後、この鉛系ハンダ融液を冷却して固化・凝固
させて中間材(超電導接続された部分)とし、超電導接
続構造を形成した[図1(c)]。このとき、その中間
材の表面を絶縁テープ(保護材)で被覆した。
ム温度(4.2K)における電流−電圧特性を測定し、
0.1μV/cm基準における臨界電流(Ic)の磁場
依存性を調べたところ、図2の破線で示す結果が得られ
た。
180Aという実用レベルのIcが得られているが、N
MR用マグネット等で接続部分が通常置かれる0.5T
では超電導電流は流れないことが分かる。
し、酸化物系超電導線材とNbTi線材を超電導状態を
維持した状態で接続する中間材である鉛系ハンダの組成
を分析したところ、2.5質量%の残留Agが検出され
た[図1(c)]。この残留Agが、鉛系ハンダの上部
臨界磁場を低下させると共に、超電導電流のパスを阻害
していると考えられる。
縁を施した後、ソレノイド巻きにして外径100mm、
内径70mm、高さ80mmのコイルを作製し、上記手
順に従って永久電流スイッチ付きNbTi多芯線材と超
電導接続を形成して、図3に示す様な液体ヘリウム温度
(4.2K)における永久電流モード動作用の回路を作
製した。尚、図3中、1はコイル用電源、2a,2bは
超電導接続部分、3a,3bは酸化物系超電導線材、4
a,4bはNiTi多芯線材、5は酸化物系超電導ソレ
ノイドコイル、6は永久電流スイッチ、7は永久電流ス
イッチ用電源の夫々を示す。そして超電導接続部分は、
磁場が0.5Tである位置に設置して、超電導マグネッ
トを構成した。
モードの運転に移行してからの中心磁場強度の時間依存
性を図4の破線に示す。この結果から明らかな様に、
0.5T中では接続部分は常電導状態となり電気抵抗を
有するため、コイルに捕獲される磁場強度は急激に減衰
し、瞬時に0Tとなっていることが分かる。
b−(100−X)質量%Ga(X≧20)を用いた場
合には、その融液に酸化物系超電導線材を浸漬したとき
にAgが溶け始めると同時に非超電導体であるPb−A
g−Oが生成した。これらの場合に得られた試料の接続
部分を絶縁テープで保護した後、液体ヘリウム温度
(4.2K)における電流−電圧特性を測定したが、磁
場0Tの条件でも超電導電流を流すことができなかっ
た。
明図である。図5に示す様に、比較例で作製した酸化物
系超電導多芯線材と安定化Cuを除去したNbTi多芯
線材の各端部を約350℃に加熱した10質量%Pb−
90質量%Gaの一次融液に浸漬し[図5(a),
(b)]、その後やはり約350℃に加熱した90質量
%Pb−10質量%Hg(Agを含まない)の二次融液
に浸漬して[図5(c)]、この二次融液を固化・凝固
させて超電導接続構造を形成した後に、接続部分を絶縁
テープ(保護材)で被覆した[図5(d)]。
おける電流−電圧特性を測定し、0.1μV/cm基準
における臨界電流Icの磁場依存性を調べたところ、前
記図2の実線で示す結果が得られた。
例の破線に比べて本発明の実線がより上方に位置し、大
きく特性が向上していることがわかる。例えば、磁場
0.5Tで比較すると、破線の比較例では臨界電流が流
れなかったのに対し、実線の実施例1では臨界電流(I
c)が実用レベルの180Aに達しており、また上部臨
界磁場は、0.8T以上に向上している。
し、接続部分の中間材を構成していた鉛系ハンダの組成
を分析したところ、Agの含有量は0.1質量%以下で
あった。このように、中間材中のAgの残留量を低く抑
えることにより、鉛系ハンダの上部臨界磁場を低下させ
ずに、超電導電流のパスを阻害しない中間材が形成でき
たのである。
れていることを実証するために、上記本発明方法によっ
て形成される超電導接続構造法を含んで前記図3に示し
た様な回路を作製した。このとき、永久電流スイッチ6
のNbTi多芯線材4a,4bと、酸化物系超電導スレ
ノイドコイル5を形成する酸化物超電導線材3a,3b
との超電導接続部分2a,2bに本発明を適用して、超
電導マグネットを構成した。
における永久電流モードの運転に移行してからの中心磁
場強度の時間依存性を図4の実線に示す。図4の破線で
示した比較例では、酸化物系超電導コイルに捕獲された
磁場の強度は急激に減少したのであるが、実線の実施例
では1T以上の磁場を6000分(100時間)以上に
亘って捕獲することができおり、優れた特性の永久電流
モード動作が実現できた。
で、三次融液、四次融液と順次組成の異なる融液に浸漬
しても、最終的な融液のPb含有量が20質量%以上で
且つその前の融液を構成する純金属または合金との融点
が500℃以下であり、その融液を凝固した場合に超電
導特性を示す場合は、本発明に包含されるものである。
Pb含有量をパラメータとして、異なる二次融液を用意
した。その二次融液を用いて、実施例1と同様にして酸
化物系超電導多芯線材とNbTi多芯線材の超電導接続
構造を形成し、得られた接続部分の温度が4.2Kでの
磁場0.5Tにおける電流−電圧特性を測定して、0.
1μV/cm基準における臨界電流(Ic)の二次融液
のPb含有量依存性を調べた。その結果を図6に示す
が、二次融液中のPb含有量が20質量%以上になる
と、接続部分の臨界電流が急峻に立ち上がり、最高で1
85Aの臨界電流値が得られていることが分かる。
Ti多芯線材を浸漬して固化・凝固した純金属または合
金の量は、二次融液の量に比較して極端に少ないため、
中間材の組成は基本的には二次融液の組成と同一にな
る。しかし、中間材には一次融液の構成元素が微量に含
まれることもあり得る。
が100質量%の場合にも高い臨界電流(Ic)が得ら
れているのは、一次融液に浸漬した両線材を二次融液に
浸漬した際、一次融液の構成元素であるGaが二次融液
中に微量(1質量%以下)溶け込み、Pbを合金化する
ために、それを凝固して得られる中間材の上部臨界磁場
が向上するものと考えられる。
NbTi線材を用いたが、金属系超電導線材としてその
他のNb3Sn線材やNb3Al線材等を用いた場合で
も、同様な作用により良好な超電導接続が形成される。
線材と安定化Cuを除去したNbTi多芯線材の各端部
を浸漬した後、同一組成の新しい一次融液にもう一度浸
漬した。その後、実施例1と同様にして二次融液に両線
材の端部を浸漬した後、同一組成の新しい二次融液にも
う一度浸漬して凝固させた。即ち、実施例1と比べて、
一次融液および二次融液共に浸漬回数を1回ずつ増加し
た。その結果、中間材中のAgの残留濃度は0.01質
量%以下と実施例1よりも1桁低減することができ、温
度が4.2Kにおkる磁場0.5T中の臨界電流も21
0Aに達して実施例1の180Aを上回っていた。
ス材を溶融させる一次融液の合金として10質量%Pb
−90質量%Ga、二次融液として90質量%Pb−1
0質量%Hgを用いる場合について示した。しかしなが
ら、本発明で用いる一次融液の組成としては、上記の1
0質量%Pb−90質量%Gaに限らず、Agとの合金
の融点が500℃以下でPb含有量が20質量%未満の
ものであれば、Pb−Ag−Oの生成を抑制することが
でき、酸化物系超電導フィラメントにダメージを与える
ことなく、Agシース材を除去することができる。この
ようなAg合金シースを溶融させる一次融液の金属また
は合金としては、前述の如くHg、In、Sn、Bi、
GaおよびPbよりなる群から選択される1種または2
種以上の元素を含む金属または合金が挙げられる。
は、Pb−Hgに限らず一次融液の純金属または合金と
合金を形成したときの融点が500℃以下であり、その
融液を固化・凝固させたときに生成するPb合金中間材
が超電導特性を示すような二次融液(但し、Pb含有量
が20質量%以上)であれば、酸化物系超電導フィラメ
ントの結晶性を損なわずに超電導接続を行うことができ
る。このようなPb合金を形成するPb以外の金属とし
ては、超電導接続の部分の性能の良否はあるものの、前
述の如くHg、In、Sn、Bi、Gaよりなる群から
選択される1種または2種以上の元素を含む金属または
合金が挙げられる。
化物系超電導線材ならば、Bi−2212型以外の酸化
物系超電導線材、例えばBi−2223型と呼ばれる酸
化物超電導体[(Pb,Bi)2Sr2Ca2Cu3Oy]
の多芯線材にも適用が可能である。
スBi−2223テープ多芯線材を作製し、この酸化物
系超電導多芯線材と安定化Cuを除去したNbTi多芯
線材の各端部を実施例1と同様にして、一次融液(10
質量%Pb−90質量%Ga)、二次融液(90質量%
Pb−10質量%Hg)に浸漬して固化・凝固させ、超
電導接続構造を形成した。
プで保護した後に、接続部分の4.2Kにおける電流−
電圧特性を測定し、0.1μV/cm基準における臨界
電流(Ic)の磁場依存性を調べたところ、図7の実線
で示す結果が得られた。図7の実線の結果を見ると、図
2の比較例の破線に比べてより上方に位置し、大きく特
性が向上していることがわかる。また磁場0.5Tで比
較すると、比較例では臨界電流が流れなかったのに対
し、この実施例では臨界電流(Ic)が実用レベルの1
70Aに達していることが分かる。
系超電導線材同士でも超電導接続を行うことが可能であ
る。前記比較例で作製した酸化物系超電導多芯線材を2
本用意し、実施例1と同様にして、両線材の各端部を一
次融液(10質量%Pb−90質量%Ga)、二次融液
(90質量%Pb−10質量%Hg)に浸漬して固化・
凝固させ、超電導接続構造を形成した。
プで保護した後に、接続部分の4.2Kにおける電流−
電圧特性を測定し、0.1μV/cm基準における臨界
電流Icの磁場依存性を調べたところ、図7の一点鎖線
で示す結果が得られた。図7の結果を見ると、図2の比
較例の破線に比べてより上方に位置し、大きく特性が向
上していることがわかる。磁場0.5Tで比較すると、
前記比較例では臨界電流が流れなかったのに対し、この
実施例では臨界電流Icが実用レベルの180Aに達し
ていることが分かる。
化物系超電導線材と金属系超電導線材または酸化物系超
電導線材同士を超電導状態を維持した状態で接続する際
に、非超電導体であるPb−Ag−Oの生成を抑制し、
且つ中間材中のAg含有量を抑制することが可能とな
り、0.5T程度の磁場中でも実用レベルの超電導電流
を流すことが可能となる。また本発明を適用することに
よって、NMR分析用の超電導マグネットに代表される
ような強磁場で永久電流モード動作が要求される高性能
超電導マグネットにおいて、従来の金属系超電導マグネ
ットよりも更に優れた酸化物超電導マグネットの製作が
期待でき、その他の永久電流モードを必要とする超電導
マグネット応用においても極めて有利となる。
図である。
分の臨界電流の磁場依存性を示すグラフである。
動作評価用回路の説明図である。
の永久電流モード動作評価結果を示すグラフである。
明図である。
と二次融液中のPb含有量との関係を示すグラフであ
る。
部分の臨界電流の磁場依存性を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 酸化物系超電導線材と金属系超電導線
材、または酸化物系超電導線材同士を超電導接続するに
当たり、一次融液としてAgとの合金の融点が500℃
以下であるPb以外の金属若しくは合金、またはPb含
有量が20質量%未満で且つAgとの合金の融点が50
0℃以下となるPb合金を加熱した融液を用い、該一次
融液に被接続線材の端部を浸漬して該端部のAgまたは
Ag合金から成るシース材を溶融して酸化物超電導フィ
ラメント群から分離し、次いで、二次融液としてPb含
有量が20質量%以上で且つ前記一次融液を構成する金
属若しくは合金またはPb合金と合金を形成したときの
融点が500℃以下であり、その融液を凝固した場合に
超電導特性を示すPb合金またはPbを加熱した融液を
用い、前記一次融液に浸漬した被接続線材の端部を前記
二次融液に浸漬した後、該二次融液を固化・凝固させる
ことによって被接続線材を超電導接続することを特徴と
する超電導接続方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の各浸漬工程を2回以上
実施する請求項1に記載の超電導接続方法。 - 【請求項3】 前記一次融液を構成するPb以外の金属
または合金が、Hg、In、Sn、BiおよびGaより
なる群から選択される1種または2種以上の元素を含む
金属または合金である請求項1または2に記載の超電導
接続方法。 - 【請求項4】 前記二次融液を構成するPb合金が、H
g、In、Sn、BiおよびGaよりなる群から選択さ
れる1種または2種以上の元素を含むものである請求項
1〜3のいずれかに記載の超電導接続方法。 - 【請求項5】 超電導接続された部分が、Agの含有量
が0.1質量%以下のPb合金からなるものであること
を特徴とする超電導接続構造。 - 【請求項6】 請求項5の超電導接続構造とそれに接続
される超電導コイルを構成要素として含む超電導マグネ
ット。
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