JP2001095596A - 有害物質の検出方法 - Google Patents

有害物質の検出方法

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JP2001095596A
JP2001095596A JP27710199A JP27710199A JP2001095596A JP 2001095596 A JP2001095596 A JP 2001095596A JP 27710199 A JP27710199 A JP 27710199A JP 27710199 A JP27710199 A JP 27710199A JP 2001095596 A JP2001095596 A JP 2001095596A
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Akifumi Iwama
明文 岩間
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物を利用した有害物質の検出方法におい
て、検出可能な有害物質の範囲を広げるため、微生物の
化学感覚を利用する方法を提供する。 【解決手段】 試験サンプル中に有害物質が存在するか
否かを判定する有害物質の検出方法であって、下記の工
程を含む方法:a.特定条件の人工培地において増殖可
能な微生物を一定濃度で得る工程;b.同一の培地条件
で試験サンプルを一定量添加した試験培地と、添加しな
い対照培地とを作成し、それぞれに一定量の微生物を培
地の中心に接種する工程;c.前記微生物のコロニーが
対照培地において観察されるまで、対照培地と試験培地
とを同一の培養条件で培養する工程;d.試験培地にお
いて形成されたコロニーと、対照培地において形成され
たコロニーとの形態的特徴を比較し、差異を測定する工
程;e.測定された差異に基づいて、試験サンプル中に
有害物質が存在するか否かを判定する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試験サンプル中に
有害物質が含まれているか否かを生物検定法を用いて判
定する有害物質の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有害物質を取り扱う製造工程の労働者
や、それを含む製品を利用する消費者の保護のため、ま
た、一般の人々が意図的に散布された有害物質(農薬な
ど)又は非意図的に漏洩した有害物質などに接触するこ
とを避けるため、事業所などにおける有害物質漏洩モニ
ターや、環境中の有害物質のモニターが行われている。
【0003】その一つの方法として、対象となる水、空
気、土などからサンプルを採取し、その中に有害物質が
含まれるか否かを測定することが行われている。具体的
には、ガス又は液体クロマトグラフ、マススペクトルな
どの物理化学的分析法と、生物の活動又は活性の変化を
評価する生物検定法とが用いられている。
【0004】物理化学的分析法は、有害物質を種類ごと
に正確に定量できる現在唯一の方法である。しかし、充
分な感度を得るためには、通常、測定対象に応じて適正
な前処理を試験サンプルに施す必要がある。
【0005】また、この方法は毒性又は有害性そのもの
を測定するわけではないので、有害性の判定は測定結果
を既知の有害物質データベースと照らし合わすことで行
われる。
【0006】従って、この方法は、特定の物質の漏洩の
有無や、特定の物質の濃度が基準値以下であることなど
を確認するためのモニターとしては最適であるが、有害
性の不明な物質の評価や、物質の種類をあらかじめ特定
できない一般環境のモニターとしてはあまり適さない。
【0007】一方、生物検定法は、試験サンプルを生物
に投与し、その影響を測定する方法である。従って、サ
ンプル中の有害物質の種類や、量を正確に測定すること
はできないが、そのサンプル中に有害物質があることは
直ちに判定できる。
【0008】このため、有害性の評価が定まっていない
化学物質(例えば、新薬など)の有害性の判定・評価の
一方法として利用されている。そして、一般環境中に有
害物質があるか否かを判定するためのモニター法として
も有用と考えられ、適用が進められている。
【0009】ただし、有害物質が発見された場合、その
対策のために有害物質の種類、量のデータが必要なの
で、実際的には物理化学的分析法の前段階に行うプレス
クリーニング法として利用される機会が多い。
【0010】生物検定法を用いた個々の化学物質の有害
性評価においては、様々な角度から物質の有害性を評価
する必要があるので、動(植)物個体、単離又は培養し
た器官・組織・細胞、微生物を用いる方法など実に多く
の方法が確立されている。
【0011】一方、環境モニター用としての生物検定法
については、確立された常法はないのが現状である。測
定対象によって様々な生物や、測定パラメータが選ばれ
ているが、多数の試験サンプルを簡便、迅速、安価に判
定することを考えると比較的単純で、増殖が早く、か
つ、多様性のある微生物を用いるのが有利である。
【0012】現在までに、有害物質が微生物の主要な代
謝経路の酵素を阻害することで起こる代謝活性の低下を
検出するタイプ、有害物質が微生物DNAに作用するこ
とにより起こる変異出現率を検出するタイプ、微生物の
化学感覚を基にした行動(走化性)を検出するタイプの
有害物質検出方法又は化学物質の毒性評価方法が開発さ
れている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】一般環境での有害物質
モニターに使うことを考慮すると、どのような有害物質
が存在するのかをあらかじめ想定できないので、どれだ
け多くの物質を幅広く高感度で測定できるかということ
が最大の課題となる。
【0014】走化性を用いた方法以外の従来法は、主に
微生物の細胞内での影響を検出するので鋭敏な測定は細
胞膜を通過しやすい物質に限られること、有害性の本質
が酵素や、DNAへの作用ではない物質についてはほとん
ど検出できないことから、高感度で検出可能な化学物質
の範囲が限定されていた。つまり、環境モニターとして
利用した場合、多くの有害物質の存在を見落としてしま
うおそれがあった。
【0015】一方で、微生物は化学感覚を用いて自分自
身の環境をモニターして、必要な栄養分を摂取し、自分
にとって有害な物質を避けている。多様な微生物の存在
は、異なる環境に生育する微生物群は鋭敏に感じること
ができる化学物質の範囲も異なっていることを示唆して
いる。
【0016】従って、微生物の種類、変異株を適切に選
択してそれぞれに特有な化学感覚を組み合わせて利用す
れば、対応できる化学物質の範囲を大幅に拡大できる可
能性がある。
【0017】ところが、従来より用いられている走化性
を用いた試験のみでは、利用できる微生物の種類や、培
地条件が限定されており、化学感覚を利用するメリット
が充分活かしきれないという問題があった。
【0018】本発明は、前記課題に鑑みなされたもので
あり、多様な物質を高感度で検出することを可能とする
ために従来より測定に利用されてきた微生物の代謝・増
殖活性に加えて、微生物自身が持つ化学感覚の機能を利
用した有害物質の検出方法を提供することを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明においては、個々の微生物の化学感覚に基づ
いた行動がコロニーの形成過程の中に反映されているこ
とに着目し、これを利用した。すなわち、同じ種類の微
生物でも、栄養濃度、有害物質濃度などに対応して様々
な形態のコロニーを形成するので、試験サンプルを入れ
た培地で形成されたコロニーの形態や、形成過程を測定
し、試験サンプルを入れない培地で形成されたコロニー
と比較することで、試験サンプル中に有害物質が存在す
るか否かを判定することができる。これを実現するため
の具体的方法として、以下に示すaからeまでの工程か
らなり、 a.特定条件の人工培地において増殖可能な微生物を一
定濃度で得る工程; b.同一の培地条件で試験サンプルを一定量添加した試
験培地と、添加しない対照培地とを作成し、それぞれに
一定量の微生物を培地の中心に接種する工程; c.前記微生物のコロニーが対照培地において観察され
るまで、対照培地と試験培地とを同一の培養条件で培養
する工程; d.試験培地において形成されたコロニーと、対照培地
において形成されたコロニーとの形態的特徴を比較し、
差異を測定する工程;及び e.測定された差異に基づいて、試験サンプル中に有害
物質が存在する可能性を評価する工程。
【0020】前記有害物質の検出方法において、工程d
を連続的、又は、断続的に繰り返し行うことで、コロニ
ーの形態的特徴の推移をその時間変化パターンとして、
表現できるようになる。こうして得た時間変化パターン
を比較パラメーターに用いることで、試験サンプル中に
有害物質が存在するか否かを判定することが可能であ
る。
【0021】更に、前記有害物質の検出方法において、
培地条件を特定の範囲で変化させて、複数の試験培地と
対照培地の対を用いると更に詳細な測定が可能となる。
それぞれの培地条件での試験培地において形成されたコ
ロニーと、対照培地において形成されたコロニーの形態
的特徴を比較し、それらの差異を総合的に検討すること
で試験サンプル中に有害物質が存在するか否かを判定す
ることが可能である。
【0022】また、前記有害物質の検出方法において、
培地条件と測定したコロニーの形態的特徴との関係を表
わす相図を作成し、これを前記のコロニーの比較に用い
ることで試験サンプル中に有害物質が存在するか否かを
判定することが可能である。
【0023】前記有害物質の検出方法において、培地条
件とコロニーの形態的特徴の時間変化パターンとの関係
を表わす相図を作成し、前記コロニーの比較用いること
で試験サンプル中に有害物質が存在するか否かを判定す
ることが可能である。
【0024】また、前記有害物質の検出方法において、
複数の異なる種又は株の微生物を、それぞれ単独で、又
は特定の割合で混合して、単一又は複数の培地条件にお
いて培養し、それぞれの対照培地と試験培地とにおいて
形成されたコロニーの形態的特徴、その時間変化パター
ン、培地条件との関係を表わす相図のいずれか、又は、
すべてを比較し、それらの差異に基づいて試験サンプル
中に有害物質が存在するか否かを判定することが可能で
ある。
【0025】前記有害物質の検出方法において、それぞ
れの種、株、又は、混合微生物群について、対照培地に
て形成されるコロニーの形態的特徴、その時間変化パタ
ーン、それらの相図、及び、それらの誤差範囲をあらか
じめ測定しておくことにより、試験ごとの対照培地作成
を省略しても、試験サンプル中に有害物質が存在するか
否かを判定することが可能である。
【0026】前記有害物質の検出方法において、対照培
地における各比較パラメータと誤差範囲の測定方法とし
て以下のaからeの工程からなり、 a.それぞれの微生物又は微生物群を一定濃度で得る工
程; b.特定の範囲において、培地条件を段階的に変えた人
工培地を複数作成し、それぞれに一定量の特定の微生物
又は微生物群を培地の中心に接種する工程; c.それぞれの培地において、接種した微生物又は微生
物群のコロニーが観察されるまで、同一の培養条件で培
養する工程; d.前記bからcを統計的取り扱いが可能な回数繰り返
すことで、それぞれの培地条件における平均的なコロニ
ーの形態的特徴及びその誤差範囲を測定する工程;及び e.異なる複数の微生物、又は、微生物群について、前
記bからdの工程を繰り返すことで、それぞれの平均的
なコロニーの形態的特徴及びその誤差範囲を得て、デー
タベース化する工程。
【0027】前記有害物質の検出方法において、用いる
ことのできる微生物は、大腸菌(Escherichia coli)、
枯草菌(Bacillus subtilis)の各種変異株をはじめと
して、サルモネラ属(Salmonella)、プロテウス属(Pr
oteus)、セラチア属(Serratia)、ミクソバクテリア
Myxococcus)の各種変異株、及び、それらの混合微生
物群からなる群から選ぶことができる。
【0028】前記有害物質の検出方法で測定可能な前記
試験サンプルは、医薬品、農芸化学的製品、化学物質、
農薬、食品、それらの中間生成物、工場排出物、汚染物
質、ゴミ、廃液、上下水道水、一般河川・湖沼・海の
水、地下水、一般土壌からの水又は溶媒抽出物、雨水、
及び、それらの組み合わせ物からなる群から選ばれる。
【0029】
【発明の実施の形態】化学感覚に基づく行動が異なり、
その違いが異なる様式のコロニー形成過程として反映さ
れている2種類の微生物を用いた例について、以下に説
明する。 実施例1:半流動性培地において運動性を持つ微生物の
利用例 [微生物と運動性の確認]最初の例では、半流動性培地に
おいて運動性を持つ微生物を用いて、一点に接種された
微生物集団が運動と増殖を繰り返して、形成する放射状
のコロニーパターン(E. O. Budrene and H. C. Berg,
Complex patterns formed by motile cells of Escheri
chia coli, Nature, vol.349, p.630-633, 1991, に詳
しく記載されている)を利用した。ここでは、微生物と
して大腸菌(Escherichia coli)の3種類の株(K2
株、BL21株、JM109株)を用いた。運動性と化
学走性を示す微生物(例えば、サルモネラ菌、プロテウ
ス菌、枯草菌など)であればいずれも同様に用いること
ができる。
【0030】但し、新規な微生物を用いる場合は、その
微生物の運動性と、培地条件とコロニーのでき方のパタ
ーンをある程度、あらかじめ把握しておくことが望まし
い。微生物が運動性を持つことは、スライドグラスに微
生物の入った培養液を一滴摘下し、顕微鏡観察で簡単に
視認できる。コロニーパターンの観察は、以下に記す対
照培地での培養と同様な方法を用いればよい。 [培養と試験の方法]発明の最初の工程は、微生物を一定
濃度で培養する工程である。試験においては大腸菌を人
工培地に接種し、その後のコロニー形成過程を観察す
る。このとき、最初の微生物数が一定でないとコロニー
形成に必要な時間や、条件によってはコロニー形態自体
にも、違いが現れてくることもある。
【0031】このため、あらかじめ、一定濃度になるよ
うに微生物を液体培地中で増殖させておいて、それを一
定量採ることで一定数の微生物を試験で用いるようにす
る。濃度を一定にするためには、培養液中で飽和するま
で、培養してやるのが便利である。
【0032】培地条件は、ここでは、M9最小培地に炭
素源を一種類混合して作成した液体培地を用いた。炭素
源は、クエン酸回路中の物質(コハク酸など)から選ん
だ。以上の培地条件は、物質の種類、量ともに変更して
もよいが、用いる微生物に適当であるかどうかをあらか
じめ予備試験を行って決めておく必要がある。
【0033】なお、逐一述べないが、培地作成、及び、
微生物の取り扱い時には、滅菌操作も含めて通常の微生
物学的技術、ノウハウを用いる必要がある。
【0034】作成した培養液2mlに試験に用いる微生
物を白金耳を用いて少量入れて、ミックスした後、37
℃、120サイクル/分で24時間、振騰培養した。こ
の培養により、およそ10の9乗から10乗個/ml程
度の濃度に微生物濃度が上昇し、飽和した状態になる。
この培養条件は、通常よく用いられている条件であり、
一定の濃度にできればここに示した条件、方法に限定さ
れるものではない。
【0035】濃度を調べるためには、培養液中の微生物
を直接、顕微鏡観察でカウントしてもよいし、また分光
光度計などを用いて、光の吸収率を測定して算定しても
よいし、更に希釈して標準培地で培養し、作成されるコ
ロニー数をカウントしてもよい。いずれも、微生物学の
定法として確立されている方法であり、その手法に限定
されるものではない。
【0036】一方、前記培養と平行して、培地を作成し
た。ここでは、寒天(濃度:0.25%)、M9塩類、
4種類のアミノ酸(L−メチオニン、L−スレオニン、
L−ロイシン、L−ヒスチジン)、炭素源(コハク酸)
とからなる培養液を作成した。この培養液を直径9cm
のプラスチックシャーレに10mlずつ入れ、シャーレ
を2群に分けた。寒天が固まる前に、一群のシャーレに
は対照溶液としてエタノールをそれぞれ0.1mlずつ
入れて攪拌し、もう一群のシャーレには試験サンプル溶
液(ノニルフェノール−内分泌撹乱物質として疑われて
いる物質−をあらかじめ溶かしてあるエタノール)をそ
れぞれ0.1mlずつ入れて攪拌した。シャーレを室温
に放置して、寒天を固まらせて、対照用と試験用の半流
動性培地を作成した。
【0037】作成した対照培地と試験培地とに、それぞ
れ、前記で作成した微生物培養液10マイクロリットル
(微生物数にして約10の7〜8乗個)をシャーレの中
央付近に点接種した。接種したシャーレは、25℃のイ
ンキュベーターに入れて、24時間から72時間、静置
して培養した。ここで用いた大腸菌では、対照培地にお
いては、72時間までには微生物が集まった小スポット
が広く分布することが観察された。
【0038】スポット状に形成されたコロニーパターン
を対照培地と試験培地との間で比較すると、そのスポッ
トの数、サイズ、規則性などに明確な違いが見られた。
この違いは、試験培地に入れた試験サンプル(この場合
はノニルフェノール)が与えた影響である。
【0039】もし、環境から採取したサンプルなどを用
いた場合に、こうした、差異が現れたならば、そのサン
プル中になんらかの有害物質が含まれている可能性を示
すことになる。定量的な比較のためには、写真撮影、ビ
デオ撮影を行い、コンピュータに取り込み、画像解析を
行い、計測することが可能である。ここに現れた差異の
みから、中に入っている有害物質の種類や、量などを推
定することは、現状ではできないが、種々の物質、濃度
で前記と同様な試験を行いコロニー形成の差異と物質と
の関係をデータベース化していけば、将来的に可能とな
ると考えられる。
【0040】更に、これを種々の微生物についてのデー
タベースを作成しておき、同一の試験サンプルの影響を
複数の微生物を用いて調べ、データベースと照合するこ
とで、詳しい評価が可能になる。 実施例2:固形培地において紐状に増殖する微生物の利
用例 [微生物と移動性の確認]この例では、固形培地において
移動性を持つ微生物を用いて、一点に接種された微生物
が紐状に連なったまま増殖を繰り返し、それにより広い
面積をコロニーで占有できる微生物を利用した。ここで
は、微生物として枯草菌(Bacillus subtilis)の1種
類の株(I2株)を用いた。固形培地上で広い範囲にわ
たってコロニーを増殖できるならばここで示した微生物
以外でも同様に用いることができる。
【0041】但し、新規な微生物を用いる場合は、その
微生物の培地条件とコロニーのでき方の様式をある程
度、あらかじめ把握しておくことが望ましい。コロニー
パターンの観察は、以下に記す対照培地での培養と同様
な方法を用いればよい。 [培養と試験の方法]発明の最初の工程は、微生物を一定
濃度で培養する工程である。試験においては枯草菌を人
工培地に接種し、その後のコロニー形成過程を観察す
る。このとき、微生物数が一定でないとコロニー形成に
必要な時間、条件によってはコロニー形態自体にも、違
いが現れてくる。
【0042】このため、あらかじめ一定濃度になるよう
に微生物を液体培地中で増殖させておいて、それを一定
量採ることで一定数の微生物を試験で用いることができ
るようにする。なお、濃度を一定にするために培養液中
で飽和するまで、培養してやるのが便利である。
【0043】培地条件は、ここでは、ニュートリエント
ブロス(栄研)の10%溶液を用いた。この培地条件
は、物質の種類、量ともに変更してもよいが、用いる微
生物に適当であるかどうかをあらかじめ予備試験で決め
ておく必要がある。
【0044】作成した培養液2mlに試験に用いる微生
物を白金耳を用いて少量入れて、ミックスした後、37
℃、120サイクル/分で24時間、振騰培養した。こ
の培養により、およそ10の9乗から10乗個/ml程
度の濃度に微生物濃度が上昇し、飽和した状態になって
いる。この培養条件は、通常よく用いられている条件で
あり、一定の濃度にできればここに示した条件に限定さ
れるものではない。濃度を調べるためには、前記した微
生物学の定法として確立されている方法を用いる。
【0045】一方、前記培養と平行して、培地を作成し
た。ここでは、寒天(0.5%)、ニュートリエントブ
ロス(10%)からなる培養液を作成した。この培養液
を直径9cmのプラスチックシャーレに10mlずつ入
れ、シャーレを2群に分けた。寒天が固まる前に、一群
のシャーレには対照溶液としてエタノールをそれぞれ
0.1mlずつ入れて攪拌し、もう一群のシャーレには
試験サンプル溶液(ノニルフェノール−内分泌撹乱物質
として疑われている物質−をあらかじめ溶かしてあるエ
タノール)をそれぞれ0.1mlずつ入れて攪拌した。
シャーレを室温に放置して、寒天を固まらせて、対照培
地と試験培地とを作成した。
【0046】作成した対照培地と試験培地とに、それぞ
れ、前記で作成した微生物培養液10マイクロリットル
(微生物数にして約10の7〜8乗個)をシャーレの中
央付近に点接種した。接種したシャーレは、25℃のイ
ンキュベーターに入れて、24時間から72時間、静置
して培養した。ここで用いた枯草菌では、対照培地にお
いては、およそ24時間程度で直径3〜5センチメート
ル程度のコロニーが観察された。
【0047】形成されたコロニーのパターンを対照培地
と試験培地との間で比較した。マクロなコロニー形態に
ついては、定性的にはあまり大きな差異は見られなかっ
た。
【0048】しかし、コロニーを形成する要素を顕微鏡
で観察すると対照培地のコロニーは紐状につながった細
胞で形成されていたが、試験培地のコロニーにおいては
紐状につながった細胞も観察されたが、それに加えて細
胞数にして数個程度の短い紐や、単一の細胞に分かれた
ものなどが観察された。定量的な比較のために、写真撮
影を行い、コンピュータに取り込み、コロニーの直径、
コロニーの面積、紐状部分の長さ、切断端の数、コロニ
ー形態のフラクタル次元などを計測した。
【0049】いずれのパラメータについても対照培地と
試験培地のコロニーの間に違いが見られた。この違い
は、試験培地に入れたサンプル(この場合はノニルフェ
ノール)が与えた影響である。もし、環境から採取した
サンプルなどを用いた場合に、こうした、差異が現れた
ならば、そのサンプル中になんらかの有害物質が含まれ
ている可能性を示すことになる。現状では、ここに現れ
た差異のみから、中に入っている有害物質の種類や、量
などは推定できないが、種々の物質、濃度で前記と同様
な試験を行い差異と物質との関係をデータベース化して
いけば将来的に可能になる。更に、これを種々の微生物
についてのデータベースを作成しておき、同一の試験サ
ンプルの影響を複数の微生物について調べ、データベー
スと照合することで、詳しい評価が可能になる。
【0050】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、微生物の持つ増殖能力に加えて化学感覚も利
用しているので、酵素活性のみの検出に比べて、感度よ
く測定ができる。また、物質の感受性の異なる性質を持
つ微生物を組み合わせて用いることで多様な化学物質へ
の対応が可能となる。
【0051】このため、一般環境の有害物質のモニター
として、試験サンプルに有害物質が存在するのか否かを
低コストで、簡便、迅速に評価することができる。物理
化学的な分析の前段階の試験法としての利用などのよう
に様々な場面において有効利用が可能である。また、単
独でも化学物質の毒性又は有害性の評価方法として利用
が可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/24 C12Q 1/24 //(C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:19) C12R 1:19) (C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:125) C12R 1:125) (C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:42) C12R 1:42) (C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:425) C12R 1:425) (C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:01) C12R 1:01)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試験サンプル中に有害物質が存在する
    か否かを判定する有害物質の検出方法であって、下記の
    工程を含む方法: a.特定条件の人工培地において増殖可能な微生物を一
    定濃度で得る工程; b.同一の培地条件で試験サンプルを一定量添加した試
    験培地と、添加しない対照培地とを作成し、それぞれに
    一定量の微生物を培地の中心に接種する工程; c.前記微生物のコロニーが対照培地において観察され
    るまで、対照培地と試験培地とを同一の培養条件で培養
    する工程; d.試験培地において形成されたコロニーと、対照培地
    において形成されたコロニーとの形態的特徴を比較し、
    差異を測定する工程;及び e.測定された差異に基づいて、試験サンプル中に有害
    物質が存在するか否かを判定する工程。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の有害物質の検出方法に
    おいて、工程dを連続的、又は、断続的に繰り返し行う
    ことで、コロニーの形態的特徴の時間変化パターンを前
    記比較に用いることを特徴とする有害物質の検出方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の有害物質
    の検出方法において、培地条件を特定の範囲で変化させ
    た試験培地と対照培地の対を複数用いて、それぞれの培
    地条件において、試験培地にて形成されたコロニーと、
    対照培地にて形成されたコロニーの形態的特徴を比較
    し、それらの差異に基づいて試験サンプル中に有害物質
    が存在するか否かを判定することを特徴とする有害物質
    の検出方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記
    載の有害物質の検出方法において、前記コロニーの比較
    に、培地条件とコロニーの形態的特徴との関係を表わす
    相図を用いることを特徴とする有害物質の検出方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記
    載の有害物質の検出方法において、前記コロニーの比較
    に、培地条件とコロニーの形態的特徴の時間変化パター
    ンとの関係を表わす相図を用いることを特徴とする有害
    物質の検出方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記
    載の有害物質の検出方法において、複数の異なる種又は
    株の微生物を、それぞれ単独で、又は特定の割合で混合
    して、単一又は複数の培地条件において培養し、それぞ
    れの対照培地と試験培地とにおいて形成されたコロニー
    の形態的特徴、その時間変化パターン、培地条件との関
    係を表わす相図のすべて、又は、いずれかを比較し、そ
    れらの差異に基づいて試験サンプル中に有害物質が存在
    するか否かを判定することを特徴とする有害物質の検出
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記
    載の有害物質の検出方法において、それぞれの微生物
    種、株、又は、混合微生物群について、対照培地におい
    て形成されるコロニーの形態的特徴、その時間変化パタ
    ーン、それらの相図、及び、それらの誤差範囲をあらか
    じめ測定しておくことにより、試験ごとの対照培地作成
    を省略することを特徴とする有害物質の検出方法。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項7のいずれかに記
    載の有害物質の検出方法において、対照培地における前
    記比較に用いるパラメータとその誤差範囲の測定方法と
    して以下の工程を含むことを特徴とする有害物質の検出
    方法: a.それぞれの微生物又は微生物群を一定濃度で得る工
    程; b.特定の範囲において、培地条件を段階的に変えた人
    工培地を複数作成し、それぞれに一定量の特定の微生物
    又は微生物群を培地の中心に接種する工程; c.それぞれの培地において、接種した微生物又は微生
    物群のコロニーが観察されるまで、同一の培養条件で培
    養する工程; d.前記bからcを統計的取り扱いが可能な回数繰り返
    すことで、それぞれの培地条件における平均的なコロニ
    ーの形態的特徴及びその誤差範囲を測定する工程;及び e.異なる複数の微生物又は微生物群について、前記b
    からdの工程を繰り返すことで、それぞれの平均的なコ
    ロニーの形態的特徴及びその誤差範囲を得て、データベ
    ース化する工程。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8のいずれかに記
    載の有害物質の検出方法において、前記微生物が、大腸
    菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtili
    s)、サルモネラ属(Salmonella)、プロテウス属(Pro
    teus)、セラチア属(Serratia)、ミクソバクテリア
    Myxococcus)の各種変異株、及び、それらの混合微生
    物群からなる群から選ばれたものであることを特徴とす
    る有害物質の検出方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項9のいずれかに
    記載の有害物質の検出方法において、前記試験サンプル
    が、医薬品、農芸化学的製品、化学物質、農薬、食品、
    それらの中間生成物、工場排出物、汚染物質、ゴミ、廃
    液、上下水道水、一般河川・湖沼・海の水、地下水、一
    般土壌からの水又は溶媒抽出物、雨水、及び、それらの
    組み合わせ物からなる群から選ばれたものであることを
    特徴とする有害物質の検出方法。
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