JP2001090554A - ガスタービンの異常診断方法 - Google Patents

ガスタービンの異常診断方法

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JP2001090554A JP26913199A JP26913199A JP2001090554A JP 2001090554 A JP2001090554 A JP 2001090554A JP 26913199 A JP26913199 A JP 26913199A JP 26913199 A JP26913199 A JP 26913199A JP 2001090554 A JP2001090554 A JP 2001090554A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異常を検出する性能係数の数(N)よりも少
ない数(r)のセンサパラメータから、実際に運転中の
ガスタービンの性能係数をリアルタイムに監視し、その
異常を早期に検知してガスタービン機器の異常を早期に
特定することができるガスタービンの異常診断方法を提
供する。 【解決手段】(A)ガスタービンの運転条件と前記n個
の性能係数から前記r個のセンサパラメータを求めるモ
デル関数Fを予め作成し、(B)(n−r)個の性能係
数を正常時の一定値に固定し、ガスタービンの運転条件
とそのr個のセンサパラメータから残りのr個の性能係
数を前記モデル関数Fから求め、(C)前記Bをn個か
らr個を選択するnr通りのすべての組合せについて順
次行い、(D)前記Bで得られたr個の性能係数がすべ
て大きく変動する組合せを特定し、(E)特定したすべ
ての組合せで固定した性能係数を異常と診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転中のガスター
ビンの性能係数をリアルタイムに監視し、機器の異常を
早期に特定するガスタービンの異常診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、ガスタービンのモデル図であ
る。ガスタービンは、減速機1、インテーク2、圧縮機
3、燃焼器4、タービン5、等からなる。また、ガスタ
ービンの性能は、圧縮機3の流量係数Wcと効率係数η
c、燃料器4の効率係数ηb、及びタービンの流量係数
Wtと効率係数ηtの5個の性能係数で評価することが
できる。すなわち、ガスタービンの運転条件(GT出
力、入口温度、入口圧力、回転数)と上記5個の性能係
数から、エンジンモデルを用いて圧縮機出口圧力、燃料
流量、タービン出口温度の3個のセンサ出力値(以下、
センサパラメータという)をシミュレーションすること
ができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】実際のガスタービンの
運転中に、ガスタービンを構成する圧縮機、燃料器及び
タービンが何らかの不具合を生じると、5個の性能係数
のうち1個又は2個以上が異常となる。従って、ガスタ
ービンの運転中に5個の性能係数を監視し、その異常を
早期に検知できれば、ガスタービンの異常を早期に発見
することができる。
【0004】しかし、ガスタービンの各性能係数は、直
接的には運転中には計測できない。すなわち、ガスター
ビンの運転中に計測できるのは、上述した3個のセンサ
パラメータ(圧縮機出口圧力、燃料流量、タービン出口
温度)にすぎない。また、この3個のセンサパラメータ
は、ガスタービンの運転条件と5個の性能係数の影響を
受けるため、3個のセンサパラメータから直接的に性能
係数を求めることはできない。
【0005】更に、ガスタービンの性能係数は5個であ
るのに対してセンサパラメータは3個しかないため、解
析的にはセンサパラメータが2個不足し、5個の性能係
数を求められない。すなわち、従来技術では、Sn=f
n(I1,I2,...In),Sn:センサnの計測
値、fn:エンジンモデル(関数)、In:要素nの特
性、のn元連立方程式を解いて要素nの異常を診断する
ので、n個の要素の異常を診断するにはn個のセンサが
必要となる。従って、r個のセンサが付いているガスタ
ービンで、r個以上の要素の異常を診断しようとする
と、不足分のセンサの追加が不可欠であり、ガスタービ
ンの改造等に多くの費用がかかる問題点があった。
【0006】そのため、従来は、ガスタービンの運転中
に3個のセンサパラメータ(圧縮機出口圧力、燃料流
量、タービン出口温度)はリアルタイムに計測できるも
のの、ガスタービン機器に何らかの異常があっても、ど
の機器の性能係数の異常か、言い換えればどの機器が異
常を生じているかをリアルタイムには特定できなかっ
た。
【0007】本発明は、かかる問題点を解決するために
創案されたものである。すなわち、異常を検出する性能
係数の数(N)よりも少ない数(r)のセンサパラメー
タから、実際に運転中のガスタービンの性能係数をリア
ルタイムに監視し、その異常を早期に検知してガスター
ビン機器の異常を早期に特定することができるガスター
ビンの異常診断方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ガスタ
ービンの運転条件とそのr個のセンサパラメータからガ
スタービンを構成する機器のrより大きいn個の性能係
数の異常を検出するガスタービンの異常診断方法であっ
て、(A)ガスタービンの運転条件と前記n個の性能係
数から前記r個のセンサパラメータを求めるモデル関数
Fを予め作成し、(B)(n−r)個の性能係数を正常
時の一定値に固定し、ガスタービンの運転条件とそのr
個のセンサパラメータから残りのr個の性能係数を前記
モデル関数Fから求め、(C)前記Bをn個からr個を
選択するnr通りのすべての組合せについて順次行い、
(D)前記Bで得られたr個の性能係数がすべて大きく
変動する組合せを特定し、(E)特定したすべての組合
せで固定した性能係数を異常と診断する、ことを特徴と
するガスタービンの異常診断方法が提供される。
【0009】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
n個の性能係数は、圧縮機の流量係数Wcと効率係数η
c、燃料器の効率係数ηb、及びタービンの流量係数W
tと効率係数ηtの5個であり、前記r個のセンサパラ
メータは、圧縮機出口圧力、燃料流量、タービン出口温
度の3個である。また、前記ガスタービンの運転条件
は、GT出力、入口温度、入口圧力、及び回転数であ
る。
【0010】r個(例えば3個)のセンサパラメータ
は、ガスタービンの運転条件とn個(例えは5個)の性
能係数の影響を常に受ける。従って、性能係数のいずれ
かが異常になっていると、その影響を受けてすべてのセ
ンサパラメータが正常値から外れている。この状態で、
本発明の方法によれば、実際のガスタービンの運転中
に、ガスタービンの運転条件と正常値から外れたr個の
センサパラメータから、(n−r)個の性能係数を正常
時の一定値に固定して、ガスタービンの運転条件とその
r個のセンサパラメータから残りのr個の性能係数をモ
デル関数Fから求める。この演算は、r個のセンサでr
個の要素を診断することに相当し、解を求めることがで
きる。
【0011】しかし得られた解は、(n−r)個の性能
係数を固定しているので、その影響を受けている。この
影響は、正常な性能係数を固定した場合には、変動量は
比較的少ないが、異常な性能係数を固定した場合には、
残りのすべての性能係数が正常値から大きく変動するこ
とになる。従って、本発明の方法により、n個からr個
を選択するnr通りのすべての組合せについて順次行
い、得られた結果からr個の性能係数がすべて大きく変
動する組合せを特定し、この特定したすべての組合せで
固定した性能係数を異常と診断することで、異常の性能
係数を特定することができる。
【0012】言い換えれば、r個のセンサしかなけれ
ば、計算できる要素の数はr個であるが、ここでn個
(n>r)の要素の異常を診断したい場合、n個の要素
から(n−r)個の要素はノミナル値を定数として計算
することで、残りのr個の要素を診断できる。n個の要
素から(n−r)個を定数とする組合せは、nr通りあ
る。本発明では、このnr通りのすべての組合せで計算
を行う。
【0013】ガスタービンが正常に動作している場合
は、どの計算結果にも要素特性の変化は顕れない。従っ
てこのときの各性能係数を正常値として記憶しておく。
次いで、ガスタービンの運転中に、定数とした要素に異
常があった場合は、定数としていない要素の全てが変化
することになる。よって、逆にnr通りの組合せの計算
結果で、定数としていない要素のいずれかに変化しない
要素がある組合せを見つけ、その全ての組合せで定数と
なっていない要素に異常があることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を具体的に説明する。図1に示したガスタービンモデル
において、ガスタービンの運転条件は、GT出力、入口
温度、入口圧力、及び回転数であり、これらは実際のガ
スタービンの運転中、リアルタイムに検出し、解析用コ
ンピュータの記憶装置に記録される。また、ガスタービ
ンの性能係数は、圧縮機の流量係数Wcと効率係数η
c、燃料器4の効率係数ηb、及びタービンの流量係数
Wtと効率係数ηtの5個であり、これらは設計時又は
試運転時に予め決まっている。更に、ガスタービンのセ
ンサ出力値(センサパラメータ)は、通常、圧縮機出口
圧力、燃料流量、タービン出口温度の3個であり、この
値も実際のガスタービンの運転中、リアルタイムに検出
し、解析用コンピュータの記憶装置に記録される。
【0015】上述したガスタービンの運転条件(GT出
力、入口温度、入口圧力、及び回転数)と5個の性能係
数から3個のセンサパラメータを求めるシミュレーショ
ンモデルは、従来からガスタービンの性能をシミュレー
トするために開発されている。このシミュレーションモ
デルの詳細は、ここでは省略し、これをモデル関数Fと
する。
【0016】図2は、本発明のガスタービンの異常診断
方法のブロック図である。この図に示すように、本発明
の異常診断方法は、モデル関数作成ステップS1、性能
係数演算ステップS2、異常診断ステップS3の3つの
ステップからなる。
【0017】モデル関数作成ステップS1では、(A)
ガスタービンの運転条件とn個(この例では5個)の性
能係数からr個(この例では3個)のセンサパラメータ
を求めるモデル関数Fを予め作成する。このモデル関数
は、ガスタービンの性能をシミュレートするシミュレー
ションモデルである。このモデル関数は、コンピュータ
を用いて短時間で解析できる限りで形式は自由であり、
各センサパラメータYを運転条件と性能係数の関数で顕
してもよく、或いはn次の連立方程式を解いてもよく、
或いは収束計算を繰り返すものでもよい。
【0018】性能係数演算ステップS2では、(B)
(n−r)個(この例では2個)の性能係数を正常時の
一定値に固定し、ガスタービンの運転条件とそのr個
(この例では3個)のセンサパラメータから残りのr個
(3個)の性能係数をモデル関数Fから求める。この演
算には、例えば、Newton−Raphson法を適
用することができる。また、(B)の演算を、(C)n
個からr個を選択するnr通りのすべての組合せについ
て順次行う。(表1)は、5個の性能係数から3個を選
択する5C3通りの組合せの具体例である。
【0019】
【表1】
【0020】図3は、実際のガスタービンに本発明の方
法を適用した場合の、具体例である。この例では、総運
転時間4600時間前後で、圧縮機流量係数、タービン
効率係数、タービン流量係数の3個の性能係数がすべて
大きく変動している。なお、性能係数演算ステップS2
では、このような性能特性が、ガスタービンの運転条件
とセンサパラメータの変化に応じてリアルタイムに常に
53通り(10通り)得られる。
【0021】異常診断ステップS3では、(D)前記B
で得られたr個の性能係数がすべて大きく変動する組合
せを特定し、(E)特定したすべての組合せで固定した
性能係数を異常と診断する。
【0022】(表2)は、上述した実際のガスタービン
に適用した場合の、固定した効率係数と総運転時間46
00時間前後で変動が大きい効率係数を示している。
【0023】
【表2】 この表から、総運転時間4600時間前後で3個の性能
係数がすべて大きく変動する組合せはケース2と3であ
り、この2つのケースの両方で固定した性能係数は、燃
料器効率係数である。従って、燃料器効率係数が異常で
あると診断することができる。なお、この燃料器効率係
数の異常は、その後の検査で、燃料器に燃料を供給する
燃料流量計の故障(特性変化)であることが確認され
た。
【0024】上述したように、本発明の方法によれば、
実際のガスタービンの運転中に、ガスタービンの運転条
件と正常値から外れたr個のセンサパラメータから、
(n−r)個の性能係数を正常時の一定値に固定して、
ガスタービンの運転条件とそのr個のセンサパラメータ
から残りのr個の性能係数をモデル関数Fから求める。
求めた解は、(n−r)個の性能係数を固定しているの
で、その影響を受けているが、その影響は、正常な性能
係数を固定した場合には、変動量は比較的少なく、異常
な性能係数を固定した場合には、残りのすべての性能係
数が正常値から大きく変動する。
【0025】従って、本発明の方法により、n個からr
個を選択するnr通りのすべての組合せについて順次行
い、得られた結果かからr個の性能係数がすべて大きく
変動する組合せを特定し、この特定したすべての組合せ
で固定した性能係数を異常と診断することで、異常の性
能係数を特定することができる。
【0026】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる
ことは勿論である。
【0027】
【発明の効果】上述したように、本発明のガスタービン
の異常診断方法によれば、異常を検出する性能係数の数
(N)よりも少ない数(r)のセンサパラメータから、
実際に運転中のガスタービンの性能係数をリアルタイム
に監視し、その異常を早期に検知してガスタービン機器
の異常を早期に特定することができる、等の優れた効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスタービンのモデル図である。
【図2】本発明のガスタービンの異常診断方法のブロッ
ク図である。
【図3】3個の性能係数がすべて大きく変動する組合せ
の具体例である。
【符号の説明】
1 減速機 2 インテーク 3 圧縮機 4 燃焼器 5 タービン Wc 圧縮機の流量係数 ηc 圧縮機の効率係数 ηb 燃料器の効率係数 Wt タービンの流量係数 ηt タービンの効率係数

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスタービンの運転条件とそのr個のセ
    ンサパラメータからガスタービンを構成する機器のrよ
    り大きいn個の性能係数の異常を検出するガスタービン
    の異常診断方法であって、 (A)ガスタービンの運転条件と前記n個の性能係数か
    ら前記r個のセンサパラメータを求めるモデル関数Fを
    予め作成し、(B)(n−r)個の性能係数を正常時の
    一定値に固定し、ガスタービンの運 転条件とそのr個のセンサパラメータから残りのr個の
    性能係数を前記モデル関数Fから求め、 (C)前記Bをn個からr個を選択するnr通りのすべ
    ての組合せについて順次行い、 (D)前記Bで得られたr個の性能係数がすべて大きく
    変動する組合せを特定し、 (E)特定したすべての組合せで固定した性能係数を異
    常と診断する、ことを特徴とするガスタービンの異常診
    断方法。
  2. 【請求項2】 前記n個の性能係数は、圧縮機の流量係
    数Wcと効率係数ηc、燃料器の効率係数ηb、及びタ
    ービンの流量係数Wtと効率係数ηtの5個であり、 前記r個のセンサパラメータは、圧縮機出口圧力、燃料
    流量、タービン出口温度の3個である、ことを特徴とす
    る請求項1に記載のガスタービンの異常診断方法。
  3. 【請求項3】 前記ガスタービンの運転条件は、GT出
    力、入口温度、入口圧力、及び回転数である、ことを特
    徴とする請求項1に記載のガスタービンの異常診断方
    法。
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