JP2001087832A - ネック部を有する壷状金属製品の成形方法およびその装置ならびに該成形方法に使用する中間成形体 - Google Patents

ネック部を有する壷状金属製品の成形方法およびその装置ならびに該成形方法に使用する中間成形体

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JP2001087832A
JP2001087832A JP26971799A JP26971799A JP2001087832A JP 2001087832 A JP2001087832 A JP 2001087832A JP 26971799 A JP26971799 A JP 26971799A JP 26971799 A JP26971799 A JP 26971799A JP 2001087832 A JP2001087832 A JP 2001087832A
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pot
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forming
shaped metal
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Makoto Nishimura
誠 西村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特殊形状の中間成形体を使用することによ
り、液圧成形技術によってパンクや肌荒れを生じること
なくネック部を有する壷状金属製品を能率よく製造す
る。 【解決手段】 第1工程で、深絞りプレス成形機によっ
てアルミニウムの薄板10からカップ状素缶13を形成
する。第2工程で、ネッキング用プレス型17と雌型1
6を使用してカップ状素缶13から中間成形体18を成
形する。第3工程で、液圧成形機によって中間成形体1
8から壷状金属製品24を成形する。この際、中間成形
体18のネック部2は上型19に設けられた凹孔25内
に緩挿されているので、加圧液体導入路21から中間成
形体18内に圧入された加圧液体によって、中間成形体
18が膨大化する際に下方に引き込まれ、ネック部2の
材料が膨大化する肩部や胴部に供給されるので、その部
分が薄くなるのを防止して胴部のパンクや肌荒れを防止
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ネック部を有する壷状
金属製品の成形方法およびその装置ならびにその成形方
法に使用する中間成形体に関し、特に、液圧成形手段を
使用して成形するネック部を有する壷状金属製品の成形
方法およびその装置ならびにその成形方法に使用する中
間成形体の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ネック部を有する壷状金属製品として
は、ヤカン、急須、花瓶、水筒、タイの米櫃、シチュー
用の鍋、ビール瓶状の缶、中国の湯沸かし等を例示する
ことができる。これらの製品は一般に、金属アルミニウ
ム、アルミニウム合金、金属銅またはステンレスチール
等の素材を塑性加工して製造されている。
【0003】例えば、アルミニウム製のヤカンを例にし
て述べれば、アルミニウム製の丸形の薄板を深絞りプレ
スして、最終製品のヤカンの最大径とほぼ同じ直径を有
するカップ状の素缶(ボビン)を形成し、次に、上方の
開口部の部分をスピニングマシン(へら加工機)で絞り
込んでヤカンの形に成形し、次に、口金をろう付けし、
表面処理して、最後に把手を取り付けて完成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来の方法によれ
ば、素缶からヤカン形に成形するまでに、1個当たり6
0〜120秒かかり製造能率が悪く、しかも、首の部分
をへらで絞りこむので、この部分の厚みが薄くなり、変
形しやすくなるという欠点があった。
【0005】そこで、製造能率を上げるためプレス成形
のみでヤカンを製造するという提案がなされた。この提
案によれば、図6に示すように、第1工程aにおいてア
ルミニウムの薄板を深絞りプレスによって、カップ状素
缶51を形成し、第2工程bにおいてプレスによって開
口部を内側に曲げ、中間成形体52を成形する。第3工
程cにおいて中間成形体52内に割型の中子をセット
し、プレスで開口部を押し込み、段部55を形成すると
同時に抜き型によって開口部54を円形に切り抜く。第
4工程dで、注ぎ口56、把手57を取り付け、蓋58
を被せて完成品60が得られる。
【0006】この方法で作成されたヤカンは、プレス加
工の制約上、開口部を小さく絞りきれないので、比較的
大きな開口部54を持つようになる。そのため、お湯を
注ぐ時に、上の開口部54から湯がこぼれるという欠陥
がある。また、段部55が内側にへこんでいるので、ヤ
カンを洗って裏返しにして乾かす時に空間59に水が残
り、完全に乾燥できないという欠点もある。
【0007】さらに、開口部54の切り口はプレスで打
ち抜いたままになっているので、その切り口がシャープ
で手を怪我をするという危険性がある。その切り口を丸
くするには、さらに糸面取りの工程を追加しなければな
らず、また、成形に際し中子の使用は手間がかかり、全
体として必ずしも製造能率が高くなるとはいえない。
【0008】しかも、この方法ではプレス成形のみを使
用しているので開口部を普通のヤカンのように上に立ち
上げてネック部を構成することはできない。そこで、プ
レス成形またはセイジング加工によってヤカンの開口部
の径と同じ直径を持つ素缶を作り、この素缶を使って液
圧成形によって胴部を膨らませてヤカン状に成形しよう
とする試みもあった。ところが、ヤカンのように首の部
分がくびれた製品の場合は、首の部分で座屈するか、胴
の部分が薄くなり過ぎて破裂したり、肌荒れを起こし
て、満足な製品を製造することはできなかった。
【0009】本発明は、上記の欠点を改良し、ネック部
を有する壷状金属製品を、液圧成形技術によって能率よ
く、歩留まりが高く、安価に製造するための成形方法を
提供することを第1の目的とする。
【0010】また、本発明は、ネック部を有する壷状金
属製品を、液圧成形技術によって、能率よく、歩留まり
が高く、安価に製造するための成形装置を提供すること
を第2の目的とする。
【0011】さらに、本発明は、ネック部を有する壷状
金属製品を、液圧成形技術によって、能率よく、歩留ま
りが高く、安価に製造するための中間成形体を提供する
ことを第3の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明において対象とし
ているネック部を有する壷状金属製品とは、膨張した有
底胴部の上にこの胴部よりも径の小さいネック部を介し
て上方に開口端を有する金属製品で、その代表的なもの
として、図1に示すようなケットル(ヤカン、急須)
a、シチュー用鍋b、タイ国の米櫃c、中国の湯沸かし
(焼水壷)d、水筒e、ビール瓶状の缶f、花瓶gを例
示することができる。
【0013】本発明のネック部を有する壷状金属製品の
成形方法は、金属材料を用いて塑性加工手段によってカ
ップ状素缶を形成する第1工程、該カップ状素缶を塑性
加工手段によって、上部に開口端を有するほぼ円筒状の
ネック部、該ネック部に続いてラッパ状に下方に拡大す
るテーパー部、該テーパー部に続いて下方に延びる胴部
および該胴部に続く皿状底部よりなる中間成形体を形成
する第2工程、および該中間成形体を成形金型内に静置
し、このネック部を成形金型に対して該ネック部の軸方
向に滑動自在に保持した状態で上記開口端から加圧液体
を圧入する液圧成形手段によってネック部を有する壷状
金属製品を形成する第3工程を含むことを特徴とする。
【0014】上記の第1工程でカップ状素缶を製造する
ために用いられる金属材料としては、延性が高く、熱伝
導率の高い金属が好ましく、具体的には、金属アルミニ
ウム、アルミニウム合金、金属銅およびステンレススチ
ールを例示することができる。
【0015】この工程においては、カップ状素缶の直径
を、ネック部を有する壷状金属製品のワークの最大径よ
り小さく、中間成形体のネック部の直径よりも大きくす
ることが必要である。
【0016】中間成形体の胴部の直径は液圧成形用の型
に挿入する都合上当然壷状金属製品のワークの最大径よ
り小さくしなければならず、したがって、上記カップ状
素缶の直径を、ネック部を有する壷状金属製品のワーク
の最大径より大きくすると、中間成形体を成形する際、
縮径するための余分な工程を経なければならないためで
ある。
【0017】また、カップ状素缶の直径が中間成形体の
ネック部の直径よりも小さいと、通常のプレス成形やセ
イジングでは中間成形体の形状に加工するのが困難なた
めである。
【0018】さらに、第1工程のカップ状素缶を形成す
る塑性加工手段としては特に限定はないが、例示とし
て、金属材料が薄板の場合は、深絞りプレス成形法やセ
イジング加工処理法を挙げることができる。また、金属
材料がペレットの場合は衝撃押出成形法を用いることが
できる。
【0019】第2工程において使用する中間成形体の形
状は特に重要であって、このような形状の中間成形体を
使用しなければ、次工程の液圧成形工程においてパン
ク、座屈、肌荒れ等を起し満足な製品を製造することは
できない。
【0020】そこで、まず、中間成形体の形状について
図5によって、具体的に説明する。中間成形体18は、
上部に開口端1を有するほぼ円筒状のネック部2、該ネ
ック部2に続いてラッパ状に下方に拡大するテーパー部
3、該テーパー部3に続いて下方に延びる胴部4および
該胴部4に続く皿状底部5よりなる。
【0021】ネック部2、テーパー部3、胴部4および
皿状底部5の横断面はいずれも円形が基本形であるが、
一部のまたは全部の横断面が楕円形、繭形、そら豆形、
折れ線のない(角がアールになっている)多角形等で形
成される壷状の容器も含まれる。
【0022】胴部4は図示のようにその断面が曲線で構
成されるのが好ましいが、最終製品の形状によっては直
線で構成してもよい。皿状底部5も同様にその側壁の断
面は図示のように曲線で構成されるのが好ましいが、最
終製品の形状によっては直線で構成してもよい。しか
し、皿状底部5の底辺とその側壁の境目にはアールを付
けることを推奨する。
【0023】また、各部の継目、すなわち、ネック部2
とテーパー部3の継目、テーパー部3と胴部4の継目、
胴部4と底部5の継目は極力折れ線が生じないようにア
ールを持たせることが好ましい。はっきりした折れ線に
すると、最終製品にその折れ線が残り、製品の品質を低
下させる恐れがある。
【0024】さらに、この中間成形体の形状中、重要な
条件は、テーパー部の傾斜角度αをネック部の垂直壁面
に対して5度〜45度の範囲に設定することである。上
記テーパー部の傾斜角度は、後続の液圧成形手段によっ
てネック部を有する壷状金属製品を成形する際に、パン
クや肌荒れを起すことなく、成形するために重要な要素
である。
【0025】しかしながら、最終製品のネック部の直径
に対する胴部の直径の比、最終製品のネック部に続く肩
部の形状、素材の柔軟度等に左右されるので、最終製品
の形状、材質、熱処理の条件等によって経験的に設定す
る必要がある。
【0026】ただし、傾斜角度αが5度よりも小さい
と、液圧成形の際にネック部が金型内方に引き込まれな
いので、パンクや肌荒れを起す原因になる。45度より
も大きいとその折れ線部分に段が付き、製品の品質を低
下させる恐れがある。
【0027】図1には、各最終製品に応じた好ましい中
間成形体の形状が図示されている。ただし、ネック部の
直径は最終製品の直径とほぼ同じであるが、説明の都合
上図上では全体をやや小さめに記載してある。また、テ
ーパー部の傾斜角度は、図1aの薬罐、図1cのタイの
米櫃の場合はいずれも20度〜30度、図1eのビール
瓶の場合は25度〜35度程度がそれぞれ好ましい。
【0028】第2工程の中間成形体を製造する塑性加工
手段としては、多段プレス成形法が好ましく用いられ
る。多段プレス成形法とは、逆ロート状をした特殊のプ
レス型を用いてカップ状素缶を低速プレスで数段に分け
て絞り、最終の型で目的とする中間成形体の形状に仕上
げる。なお、中子を用いたセイジング加工処理法によっ
ても中間成形体の成形は可能であるが、処理時間の点で
上記多段プレス成形法に劣る。
【0029】また、第3工程の液圧成形工程では、成形
金型内に静置した中間成形体のネック部を成形金型に対
して該ネック部の軸方向に滑動自在に保持しながら上記
開口端から加圧液体を圧入することが重要な条件であ
る。
【0030】すなわち、ネック部を成形金型に対して固
定した状態で、加圧液体を圧入して、中間成形体を膨ら
ませると、特に膨大化率の高い肩部や胴部の肉厚が薄く
なり、その部分がパンクする可能性が高くなり、また、
パンクしなくても製品の肉厚が不均等で製品の品質を低
下させたり、肌荒れを起す原因になる。
【0031】そこで、中間成形体を成形金型内に静置
し、中間成形体のネック部を成形金型に対して該ネック
部の軸方向に滑動自在に保持しながら上記開口端から加
圧液体を圧入すると、ネック部の一部が金型内に引き込
まれ、その材料が肩部や胴部の膨大化率の高い部分に供
給されるので、ほぼ均一な肉厚の製品が得られる。
【0032】中間成形体のネック部を成形金型に対して
該ネック部の軸方向に滑動自在に保持しながら液圧成形
する具体的な手段は、後続の成形装置の説明に関連して
説明する。
【0033】本発明では、液圧成形に先立ち中間成形体
を熱処理することは、製品の歩留まりを高める上で極め
て重要である。すなわち、焼鈍したアルミニウム材を第
1工程および第2工程で塑性加工すると加工硬化を起
し、このままの状態で液圧成形を行なうと加工硬化を起
した部分の表面に肌荒れが生じ、製品の品質を著しく低
下させる。
【0034】肌荒れを防ぐために、通常の焼き鈍しや半
焼き鈍し(例えば、320〜350℃、1〜3時間)処
理を行なった後、液圧成形を行なったところ、再結晶に
よって結晶組織が大きくなり、柔らかくなりすぎている
ので、その部分で破裂を起すことが分かった。
【0035】そこで、極短時間の焼鈍処理すなわちフラ
シュアニールを施して液圧成形したところ、肌荒れも生
ぜずまた破裂も起さずに製品を得ることが出来た。フラ
シュアニールとは、還元雰囲気中で320℃〜350℃
で1〜10分程度の短時間焼鈍処理を行うことで、この
処理によって材料の表面のみが再結晶を起し、第1工程
および第2工程の塑性加工において加工硬化を起した部
分、特に、ネック部やテーパー部が素材の性質に戻る
(回復現象)ものと思われる。
【0036】しかし、中間成形体の全面に対してフラシ
ュアニールを施すと、加工硬化を起していない部分、す
なわち、底までも焼鈍処理が施されO材になり、液圧成
形によって皺が生じやすくなるので、加工硬化が生じた
部分、すなわち、ネック部やテーパー部のみにフラシュ
アニールを施すことが重要である。
【0037】上記第3工程で得られたネック部を有する
壷状金属製品は、必要に応じて、開口部のカーリング仕
上げ、拡張プレス加工、面取り加工、研磨加工、光沢だ
し加工や、必要に応じて口や把手を付ける等の加工を伴
う最終仕上げ工程を経て、最終仕上げ製品であるネック
部を有する壷状金属製品が製造される。
【0038】本発明のネック部を有する壷状金属製品の
製造装置は、中間成形体をその内部に収容する雌形成形
金型、中間成形体のネック部を上記雌形成形金型に対し
て上記ネック部の軸方向に滑動自在に保持する手段、お
よび中間成形体の開口端から加圧液体を圧入する手段を
備えたことを特徴とする。
【0039】中間成形体のネック部を上記雌形成形金型
に対して上記ネック部の軸方向に滑動自在に保持する手
段としては、成形金型を上下に分割し、上型にネック部
が滑動自在に緩挿できる凹孔を設け、その凹孔にネック
部を挿入して保持する方法を挙げることができる。
【0040】このネック部の移動をより積極的に行なう
方法としては、ネック部を密閉保持する密閉保持部材を
成形金型に対して滑動自在に構成し、この密閉保持部材
を加圧液体の圧入に同期して機械的に金型内方向に押し
込む方法を挙げることができる。密閉保持部材を機械的
に金型内方向に押し込む手段としては、流体圧ピストン
や、カムや歯車を使用した加圧装置等が用いられる。こ
の方法を採用する場合は、ネック部の押し込み速度を液
圧成形による胴部の膨大化する速度に従って制御する制
御装置が必要になる。
【0041】中間成形体の開口端から加圧液体を圧入す
る手段としては、上型にネック部が滑動自在に緩挿でき
る凹孔を設けた場合は、この上型を貫通して加圧液体導
入路を設け、この導入路を外部に設けた液体供給槽に液
体圧送ポンプを介して連通させる。
【0042】上記の密閉保持部材を使用する場合は、こ
の密閉保持部材を貫通して加圧液体導入路を設け、この
導入路を外部に設けた液体供給槽に液体圧送ポンプを介
して連通させる。いずれの場合でも、加圧液体導入路か
ら型内に圧入された加圧液体は型内に静置された中間成
形体の開口端から中間成形体の内部に導入される。
【0043】雌形成形金型は、製品の取出しを容易にす
るために、割り型を使用する。通常上下に2分割した割
り型を使用するのが好ましい。さらに、上型は金型の製
作上、リング状の金型とそのリングの穴に挿入できる栓
状の金型の2つに分割することができる。この組合せに
より中間成形体のネック部を嵌入できる凹孔を形成でき
る。
【0044】また、胴部に模様を刻設する場合は、その
部分の金型を縦に3分割または4分割する必要がある。
さらに、底部の型を下型とは独立して下型に摺動自在に
嵌め込むように構成すれば、成形品を底部の型ごと押し
出し、製品を取り出すのに便利になる。雌形成形金型を
割り型として構成した場合には、型全体を締め付け固定
する緊定装置が必要である。
【0045】なお、本明細書中では、縦型に設置した液
圧成形装置(成形品の口が上方を向いてセットされる)
を前提として成形金型を2分割した場合、上型、下型な
る表現を使用したが、横型に設置した液圧成形装置(成
形品の口が横を向いてセットされる)を使用することも
可能である。この場合は、成形品の口の有る方を上型、
底部の方を下型と呼称することとする。
【0046】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。ま
ず、成形工程を図2によって説明する。第1工程(図2
a)では、素材として円形に切断したアルミニウムの薄
板10を使用し、通常の深絞りプレス成形機によって雄
型11と雌型12を使用してカップ状素缶13を形成す
る。この際、このカップ状素缶13の直径は目的とする
ネック部を有する壷状金属製品24の最大径より小さ
く、中間成形体18のネック部の直径よりも大きくする
必要がある。
【0047】第2工程(図2b)では、円筒状部14と
その下にラッパ状に下方に拡大するスカート部15を有
するネッキング用プレス型17と雌型16とを使用し
て、カップ状素缶13をプレス成形して中間成形体18
を形成する。
【0048】このネッキング用プレス加工は、円筒状部
14でカップ状素缶13の上部を延伸しながら径を絞
り、スカート部15で中間成形体18のテーパー部を成
形する。このプレス加工は、数段に分けて順次、低速で
ネック部の外径を絞り、テーパー部の角度を大きくして
ゆき、最終の型によって、目的とする中間成形体18を
成形する。
【0049】この際、上記中間成形体18のネック部2
(図5参照)の直径は、目的とするネック部を有する壷
状金属製品24の開口部の直径と同じにし、上記テーパ
ー部3の傾斜角度αはネック部2の垂直壁面に対して5
〜45度とする必要がある。
【0050】第3工程(図2c)では、上記中間成形体
18を使用し、液圧成形機によって、目的とするネック
部を有する壷状金属製品のワーク24を成形する。この
際、液圧だけで、胴部を膨張させ、板の伸びが18%以
上になると、破裂したり、座屈を起したりする。また、
時には、製品の板厚が薄くなり、表面の肌は梨地状にざ
らざらになり、製品にはならなくなる。
【0051】そこで、液圧成形金型を上型19と下型2
0に分割し、上型19にネック部を緩挿できる凹孔25
を設けた。そして、下型20内に中間成形体18を静置
し、上型19に設けた凹孔25内に中間成形体のネック
部2を挿入し、上型19を貫通して設けた加圧液体導入
路21より加圧液体を圧入すれば、まず、ネック部2は
直径方向に膨張してネック部用金型の凹孔25の内面と
密接に接触してセルフシーリング作用によって、加圧液
体の漏洩が防止される。
【0052】しかし、この接触抵抗は加圧液体の圧入に
よる胴部の膨大化に伴う引っ張り力には及ばず、液の圧
入と共にネック部2は金型内部に引き込まれ、上型の凹
孔25内を滑動して下方に移動し、その分だけ胴部の膨
大化のための材料として供給される。
【0053】この装置の詳細をさらに図3によって説明
する。図3aに示すように成形金型は上型19と下型2
0に分割されている。上型19はさらに、リング状の型
26とそのリングの穴に半分ほど嵌入できる栓状の型2
7に分割される。そして、リング状の型26に栓状の型
27を嵌入するとネック部2を挿入できる凹孔25が形
成される。
【0054】栓状の型27には加圧液体を圧入するため
の加圧液体導入路21が貫通形成されている。この加圧
液体導入路21はポンプ36を経て液体供給槽37に連
通している。上型19、下型20は保持枠28内に保持
され、栓状の型27の上から加圧装置29によって加圧
して金型全体を固定する。
【0055】この状態で、加圧液体を加圧液体導入路2
1から中間成形体18内に圧入すれば、図3bに示すよ
うに、中間成形体のテーパー部や胴部が金型にそって膨
大化する。その際、ネック部2の一部は図示のように型
内に引き込まれ、その材料は主として壷状製品の肩部に
供給される。
【0056】下型20は、縦割りの2個乃至は4個の分
割型を用いる。下型に模様または凹みを設けると、製品
の成形と同時に表面の模様や、底部の凹みを形成するこ
とができる。模様を付けた場合は、型離れを良くするた
めに、下型は3個以上の縦の割り型にするのが好まし
い。なお、製品の形状によっては横割りの下型を使用す
ることもできる。
【0057】図中22は、底部だけを独立して形成した
割型で、下型20に摺動自在に嵌装されている。液圧成
形が終了すれば、ロッド23によって割型22を突き上
げ、上型19ごと製品を取出すために使用する。
【0058】第3工程で得られたネック部を有する壷状
金属製品のワーク24は、ネック部のカーリング加工、
表面のバフかけ等の表面研磨、さらに、必要に応じて口
や把手を付ける等の最終加工を経て、最終製品であるネ
ック部を有する壷状金属製品が得られる。
【0059】図4は他の実施例として可動式液圧成形機
を使用する例を示すものである。可動式液圧成形機30
は、成形金型を上型31と下型32に分割し、上型31
にネック部を密封保持する密封保持部材33を摺動自在
に嵌装し、この密封保持部材33を押圧機構によって機
械的に移動させるようにしたものである。押圧機構には
流体圧ピストン38を用い、そのロッド39は押圧部材
35を介して密封保持部材33に連結されている。な
お、密封保持部材33を貫通して設けられた加圧液体導
入路34は、液体ポンプ36を経て液体供給槽37に連
通している。
【0060】この装置を用いる場合は、加圧液体を密封
保持部材33を貫通して設けられた加圧液体導入路34
より中間成形体18内に注入しながら流体圧ピストン3
8によって密封保持部材33を下方に押し下げてゆく。
このようにして、中間成形体のネック部を下型内に押し
込んで膨大化する肩部や胴部に材料を補給しながら成形
し、肩部や胴部が薄くなるのを防止する。
【0061】(製造例1)板厚0.8mm、直径220
mmの金属アルミニウムの円形薄板を深絞りの金型を用
い、プレス加工で、直径105mm、深さ100mmの
カップ形状の素缶を成形する。
【0062】この素缶を図2bの形状をした金型17を
用い低速プレスで、数段に分けて、素缶のカップの上部
をネック部の直径が88mmになる迄順次絞り込み、直
径88mm、高さ30mmのネック部;高さ36mm、
傾斜角度α23度のテーパーを持つテーパー部;直径1
05mm、高さ10mmの胴部;高さ43mm、底の平
坦部の直径75mm、底のアール50mmの皿状底部よ
りなる図5の中間成形体を成形する。
【0063】液圧成形に先立ち、中間成形体のネック部
およびテーパー部に350℃で2分間フラッシュアニー
ルを施す。そして、最終製品の形状をした雌型内に、上
記の中間成形体を静置し、中間成形体のネック部をネッ
ク部用金型の凹孔25内に挿入し、開口端より中間成形
体内に水を600kg/平方cmで圧入する。ネック部
は、直径方向に膨張してネック部用金型の凹孔25内に
気密に接触させられるが、テーパー部および胴部の膨大
化に伴って、液の圧入と共に下方に引っ張られ、ネック
部用金型の凹孔内を滑動して下方に10mm程度移動し
その分だけテーパー部および胴部の膨大化のための材料
として補給される。
【0064】この成形に要する時間は、セットに2秒、
成形に1秒、製品取出しに3秒合計6秒であった。製品
の厚みは、胴部中央0.8mm、底部0.8mm、底の
アールの部分0.75mm、ネック部の付け根1.1m
m、ネック部1.0mmで、ほぼ均一な厚みを有し、し
かも、地肌の滑らかな製品が得られた。なお、模様を付
けた雌型を用いた場合は、胴部に繊細でシャープな押し
型の模様が形成された。
【0065】
【発明の効果】(1)本発明の中間成形体は特殊の形状
をしているので、ネック部を有する壷状金属製品を液圧
成形する際に使用すれば、座屈、破裂または肌荒れを起
こすことなく、均一な厚みの製品を能率よく、歩留まり
よく、しかも安価に製造することができる。
【0066】(2)本発明のネック部を有する壷状金属
製品の成形方法によれば、特殊な形状をした中間成形体
を用い、特殊な液圧成形手段を使用するので、高い品質
を持つネック部を有する壷状金属製品を、座屈、破裂ま
たは肌荒れを起こすことなく、能率よく、歩留まりよ
く、しかも安価に製造することができる。
【0067】(3)本発明では、ネック部を有する壷状
金属製品の成形に特殊な形状をした中間成形体を用い、
特殊な液圧成形手段を使用するので、極めて短時間に品
質の良いネック部を有する壷状金属製品を製造すること
ができる。ちなみに従来のスピニング技術では、素缶か
ら壷状金属製品のワークを製造するのに60〜120秒
かかったが、本発明の方法によれば、素缶から中間成形
体までが約20秒、中間成形体から壷状金属製品のワー
クを製造するのに6〜15秒ですむ。
【0068】(4)本発明のネック部を有する壷状金属
製品の成形方法および装置によれば、全工程一切中子を
使用しないで成形できるので、製造能率を向上すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のネック部を有する壷状金属製品の具体
例を示す説明図。
【図2】本発明のネック部を有する壷状金属製品の成形
方法を示す説明図。
【図3】本発明のネック部を有する壷状金属製品の成形
装置を示す断面図。
【図4】成形装置の他の実施例を示す断面図。
【図5】本発明のネック部を有する壷状金属製品の中間
成形体を示す断面図。
【図6】従来技術によるやかんの製造方法を示す説明
図。
【符号の説明】
2 ネック部 3 テーパー部 4 胴部 5 皿状底部 10 薄板 11 雄型 12 雌型 13 素缶 16 雌型 17 ネッキング用プレス型 18 中間成形体 19 上型 20 下型 21 加圧液体導入路 24 ネック部を有する壷状金属製品のワーク 25 凹孔

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料を用いて塑性加工手段によって
    カップ状素缶を形成する第1工程、該カップ状素缶を塑
    性加工手段によって、上部に開口端を有するほぼ円筒状
    のネック部、該ネック部に続いてラッパ状に下方に拡大
    するテーパー部、該テーパー部に続いて下方に延びる胴
    部および該胴部に続く皿状底部よりなる中間成形体を形
    成する第2工程、および該中間成形体を成形金型内に静
    置し、そのネック部を成形金型に対して該ネック部の軸
    方向に滑動自在に保持した状態で、上記開口端から加圧
    液体を圧入する液圧成形手段によってネック部を有する
    壷状金属製品を形成する第3工程を含むことを特徴とす
    るネック部を有する壷状金属製品の成形方法。
  2. 【請求項2】 上記の金属材料として、金属アルミニウ
    ム、アルミニウム合金、金属銅およびステンレススチー
    ルよりなる群より選ばれたいずれか1種の金属材料を使
    用することを特徴とする請求項1記載のネック部を有す
    る壷状金属製品の成形方法。
  3. 【請求項3】 上記第3工程において、液圧成形を行な
    う前に上記中間成形体にフラッシュ・アニーリングを施
    すことを特徴とする請求項1または請求項2記載のネッ
    ク部を有する壷状金属製品の成形方法。
  4. 【請求項4】 上記中間成形体のネック部の直径を、上
    記ネック部を有する壷状金属製品のネック部の直径とほ
    ぼ同じにし、上記テーパー部の傾斜角度を上記ネック部
    の垂直壁面に対して5〜45度としたことを特徴とする
    請求項1、請求項2あるいは請求項3のいずれかに記載
    のネック部を有する壷状金属製品の成形方法。
  5. 【請求項5】 中間成形体をその内部に収容する雌形成
    形金型、中間成形体のネック部を上記雌形成形金型に対
    して上記ネック部の軸方向に滑動自在に保持する手段、
    および中間成形体の開口端から加圧液体を圧入する手段
    を備えたことを特徴とするネック部を有する壷状金属製
    品の成形装置。
  6. 【請求項6】 上記中間成形体のネック部を上記雌形成
    形金型に対して上記ネック部の軸方向に滑動自在に保持
    する手段として、上記雌形成形金型の内面に上記中間成
    形体のネック部が滑動自在に緩挿できる凹孔を設けたこ
    とを特徴とする請求項5記載のネック部を有する壷状金
    属製品の成形装置。
  7. 【請求項7】 上記中間成形体のネック部を上記雌形成
    形金型に対して上記ネック部の軸方向に滑動自在に保持
    する手段として、中間成形体のネック部を密閉保持する
    と共に上記雌形成形金型に滑動自在に嵌挿された密封保
    持部材を設け、該密閉保持部材を上記ネック部の軸方向
    に機械的に移動させる押圧機構を設けたことを特徴とす
    る請求項5記載のネック部を有する壷状金属製品の成形
    装置。
  8. 【請求項8】 上部に開口端を有するほぼ円筒状のネッ
    ク部、該ネック部に続いてラッパ状に下方に拡大するテ
    ーパー部、該テーパー部に続いて下方に延びる胴部およ
    び該胴部に続く皿状底部よりなる中間成形体において、
    上記テーパー部の傾斜角度を上記ネック部の垂直壁面に
    対して5〜45度としたことを特徴とするネック部を有
    する壷状金属製品を液圧成形する際の中間成形体。
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