JP2001074724A - 分子拡散を用いた反応法およびその装置 - Google Patents
分子拡散を用いた反応法およびその装置Info
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Abstract
で行い、この反応により生じた反応物質の検出を別のp
H値(B)で行う反応系では、反応後にpH調整の操作が
不可欠であるため、リアルタイムの測定が困難である。 【解決手段】 前記反応系に対し、Y字をなすマイクロ
流路を用いて溶液と試薬とを合流させ、合流後に分子拡
散によって両液を次第に混合するようにしたので、pH
調整を行うことなく、上記の反応および反応後の検出が
可能となる。
Description
反応法に関し、特に反応後のpH調整を省くことのでき
る反応法に関する。
するためには、 特定ガスをガス吸収溶液に吸収させる気液吸収部、 ガス吸収溶液に吸収された特定ガスを、後記の検出部
で検出可能な物質に変化させる化学反応部、 その反応物質の濃度を大気中の特定ガス濃度として測
定する検出部、が必要となる。
を、μTAS(Micro/MiniaturizedTotal Analysis Syst
em)の技術を適用して小型化、マイクロ化する研究を行
っている。その一環として、上記の気液吸収部の構成を
マイクロ化した「ガス検出センサ」なるものを先に提案
しており、ここに引用してその構成を簡単に述べる。
は樹脂性のベース部10の上面に、液体は通さないが気
体は自由に透過させる性質を持つ多孔質ガラス板20が
貼り付けられている。ベース10部のサイズは例えば縦
横それぞれ36mmで高さは1mmである。そのベース部1
0の上面には、ほぼ6角形状をなし、深さ150μmで
底面が平坦な凹部の形状をなすガス吸収室11が形成さ
れる。そのガス吸収室11に幅および高さが150μm
の短冊状の島12を150μmの間隔で複数個配列して
いる。
頂点11a、11bから当該ベース10の端面に至る通
路11c、11dが形成されている。図示されるよう
に、ガス吸収室11は一方側にずれた位置にあり、長い
方の通路11dにおいては途中で直交方向に分岐した通
路11eが形成されている。これらの通路径はいずれも
100μmである。これらの通路11c、11d、11
eのベース端面部がそれぞれガス吸収溶液注入口13、
溶液取出口14、試薬注入口15となる。
液は、ガス吸収室11を通過する間に多孔質ガラス板2
0通じて大気中のガスが吸収され、そのガス吸収溶液中
のガスは、試薬注入口15よりの試薬と反応して検出可
能な物質に化学変化する。
2濃度を検出するには試薬として 2,3-Diaminonaphthale
ne が用いられる。(株) 同仁化学の試薬データによれ
ば、次の化学式に示すように、ガス吸収溶液に吸収され
たNO2の亜硝酸イオン(NO2 -)と反応してナフタレン
トリアゾールの蛍光性付加体を形成することが記されて
いる。
onaphthalene とNO2 -の反応条件について詳細に検討
されており、反応はpH=2以下で最も速く、室温で5
分と短時間であり、生成した付加体は、pH=10以上
で最も効率よく蛍光を発する。検出限界は旧来の Gries
s 法では数μMであるが 2,3-Diaminonaphthalene では
数十nMと50〜100倍高感度である。
下でないと反応しないため、ガス吸収溶液に試薬を混合
した時にpH3以下となるようにその試薬を調整する必
要があり、しかも、この反応で生じた付加体はアルカリ
性もしくは中性溶液下でないと蛍光を発しないため、前
記反応の終了後にpH6以上になるようにアルカリ溶液
(NaOH)を滴下する操作が必要となる。これらの一連
の作業を図2に示す。
反応後の測定時にpH調整の作業が必要となるものにあ
っては、Y字流路にさらにもう一流路加える必要があ
り、さらに強アルカリの添加は材質上好ましくない。
とを目的とする。
た反応法は、検出対象の溶液と試薬との反応に適したp
H値(A)があり、前記反応により生じた反応物質の測定
時に別のpH値(B)が要求される一連の反応を行なうた
めの反応法において、検出対象の溶液と試薬を混合した
ときに最終的にpHがBとなるように前記2液のpHを
それぞれ調節しておき、前記2液を所定内径を有するY
字流路を用いて合流させ、合流した2液が直線状の流路
を流れる間に分子拡散によって2液が次第に混合し、そ
の混合過程で生じる適したpH値下で2液を反応させる
ことを特徴とする。
5)と酸性の試薬(pH=1)を所定内径を有するY字流
路を用いて合流させるとき、そのY字流路におけるV字
形状をなす入力流路間の角度を0〜180°(好ましく
は以下の実施例にあるように90°前後)以下にしてお
けば、2液の界面が形成され、流路を流れる過程で分子
拡散によって次第に2液が混合していくものと思われ
る。
てゆく。そのpH値がこの試薬の反応に適したpH値A
に近づけば、試薬は溶液と反応するようになる。ここで
試薬および溶液の流量をうまく設定しておくことによ
り、pHAの前後で試薬と溶液とを100%反応させる
ことができる。この後も前記分子拡散により2液は互い
に混合し、最終的にpH値が、前記反応で生じた生成物
の検出に適したBとなる。上記のpH値の10.5およ
び1は、2液が完全に混合したときにpH値がBとなる
ように選定したものである。
例において検証する。
は、2枚の透明樹脂板21a(一部破断して描く)、21
bが貼り合わされたものである。それぞれの樹脂板に溝
Qを形成することで図示したようなY字形状の流路をな
し、幅200μm、深さ20μmのマイクロ流路21c
を形成している。22はガス検出センサ1にポンプP1
を通じてガス吸収溶液を供給するためのタンクである。
含む3% triehtanolamine 溶液(pH=10.5)を蓄え
るタンクであり、ポンプP1を通じてY字流路21cの
一方の頂部に供給される。23は、蛍光試薬(2,3-Diami
nonaphthalene)の塩酸溶液(pH=1.0)を蓄えるタン
クであり、ポンプP2を通じてY字流路21cの他方の
頂部に供給される。そのY字流路におけるV字形状をな
す入力流路間の角度は90度前後とした。
状流路の下流部に対して励起光を照射する紫外発光LD
である。25は、励起光の照射により発する蛍光を検出
するための光電子増倍管である。26は前記紫外光LD
を点灯制御すると共に、光電子増倍管25で検出された
蛍光強度を検出する検出器である。27はこの反応装置
22を通過した測定済み溶液を受けとめるためのタンク
である。
in〜0.4ml/minとした。この流量に従って両タンクか
らの溶液を混合したときの最終pH値が7となるよう
に、各溶液のpH値を前記のごとく定めた。前記励起光
の波長は370nmとし、光電子増倍管25で波長425
nmの蛍光を測定したときの亜硝酸イオン濃度に対する蛍
光強度のデータを図4に示す。
る溝Qの断面形状を幅100μm、深さ100μmとし、
その他の条件を実施例1の場合と同じにして行ったとき
の亜硝酸イオン濃度に対する蛍光強度のデータを図5に
示す。
を500μmとし、その他の条件を実施例1の場合と同
じにして行ったときの亜硝酸イオン濃度に対する蛍光強
度のデータを図6に示す。
を75μmとし、その他の条件を実施例1の場合と同じ
にして行ったときの亜硝酸イオン濃度に対する蛍光強度
のデータを図7に示す。
硝酸イオン濃度と蛍光強度とは共に正の相関関係が確認
され、蛍光強度の測定値からタンク22内の塩酸溶液に
含まれる亜硝酸イオン濃度を知ることができる。
法に倣って、ビーカー内で混合したときにpH2となる
ように調整した2,3-Diaminonaphthaleneの塩酸溶液4m
lと、0〜1.0×10-6亜硝酸イオンを含む3% trie
htanolamine溶液4mlとを混合し、10分間反応させ
てからNaOHを添加してpH7に調整して蛍光測定し
た。このときのデータを図8に示す。この場合も亜硝酸
イオン濃度と蛍光強度とは当然ながら正の相関関係があ
った。
のマイクロ流路を持つ反応装置によれば、試薬との反応
が行われ、かつ、反応後のアルカリ添加を行うことな
く、前記反応で生じた生成物を検出できることが判明し
た。
加を行わなかったときのデータを図9に示す。 ・図中のA:混合したときにpH2となるように調整し
た2,3-Diaminonaphthaleneの塩酸溶液4mlと、0〜
1.0×10-6亜硝酸イオンを含む3% triehtanolamin
e溶液4mlとを混合し、10分間反応させてからNa
OHを添加せずに蛍光測定したときのデータ。 ・図中のB:混合したときにpH3となるように調整し
た2,3-Diaminonaphthalenetの塩酸溶液4mlと、0〜
1.0×10-6亜硝酸イオンを含む3% triehtanolamin
e溶液4mlとを混合し、10分間反応させてからNa
OHを添加せずに蛍光測定したときのデータ。 ・図中のC:混合したときにpH6となるように調整し
た2,3-Diaminonaphthaleneの塩酸溶液4mlと、0〜
1.0×10-6亜硝酸イオンを含む3% triehtanolamin
e溶液4mlとを混合し、10分間反応させてからNa
OHを添加せずに蛍光測定したときのデータ。このよう
にバッチ法において従来技術ではアルカリ添加なしの場
合はいずれも蛍光測定はできなかった。
を用いたガス計測装置の1実施形態を実施例4として図
9に示す。 (実施例5)1は上述したガス検出センサであり、ポンプ
P3を通じてタンク31からガス吸収溶液が供給され
る。本ガス検出装置でNO2濃度を検出する場合には、
上記実施例の場合と同様に3% triehtanolamine 溶液
(pH=10.5)を用いるがこの溶液には亜硝酸イオン
は添加しない。尚、本実施形態では、Y字流路21cの
溝Qとして幅200μm、深さ200μmの形状とした
が管状であってもよい。
riehtanolamine 溶液を供給する。供給流量は実施例1
の場合と同じである。3% triehtanolamine 溶液がガ
ス検出センサ1を通過する間に、大気中のNO2ガスが
吸収され亜硝酸イオンの形で溶け込む。その亜硝酸イオ
ンを含む3% triehtanolamine 溶液が反応装置21の
Y字流路21cの一方に供給され、他方にはタンク23
からも2,3-Diaminonaphthalenetの塩酸溶液が供給され
る。この反応装置21における作用は実施例で述べたも
のと同じであるため、検出器26で測定された蛍光強度
から大気中のNO2濃度を知ることができる。
かりやすくするために、ガス検出センサ1と反応装置2
1とを個別のものとしたが、実際の製作にあたってはポ
ンプ等も含めて一つのチップに組み込んでμTAS化を
図る。
試薬との反応をpH値(A)で行い、この反応により生じ
た反応物質の検出を別のpH値(B)で行う反応系では、
従来、反応後にpH調整の操作が必要であったが、本発
明では、Y字をなすマイクロ流路を用いて溶液と試薬と
を合流させ、合流後に分子拡散によって両液を次第に混
合するようにしたので、pH調整を行うことなく、上記
の反応および反応後の検出が可能となり、リアルタイム
の測定および装置のマイクロTAS化が可能となる。
態を示した図
に対する蛍光強度との関係を示したグラフ図
に対する蛍光強度との関係を示したグラフ図
に対する蛍光強度との関係を示したグラフ図
に対する蛍光強度との関係を示したグラフ図
度に対する蛍光強度との関係を示したグラフ図
時の亜硝酸イオン濃度に対する蛍光強度との関係を示し
たグラフ図
の気体センサを組み合わせたガス濃度検出装置を示した
図
Claims (7)
- 【請求項1】 検出対象の溶液と試薬とをpH値(A)で
反応させてからこの反応により生じた反応物質の検出を
別のpH値(B)で行う必要のある場合の反応法におい
て、 検出対象の溶液と試薬を混合したときに最終的にpHが
Bとなるように前記2液のpHをそれぞれ調節してお
き、前記2液を所定内径を有するY字流路を用いて合流
させ、合流した2液が直線状の流路を流れる間に分子拡
散によって2液が次第に混合し、その混合過程で生じる
適したpH値下で2液を反応させることを特徴とする分
子拡散を用いた反応法。 - 【請求項2】 検出対象の溶液と試薬とをpH値(A)で
反応させてからこの反応により生じた反応物質の検出を
別のpH値(B)で行う必要のある場合の反応装置におい
て、 所定の内径もしくはこれと同等の断面積を有する流路を
Y字状に形成し、このY字流路で2液を合流させること
で上記の反応および反応物質の測定を可能にしたことを
特徴とする分子拡散を用いた反応装置。 - 【請求項3】 上記Y字流路におけるV部のなす角度が
0°〜180°である請求項2記載の反応装置。 - 【請求項4】 上記所定の内径(r)は10μm<r<〜
5mである請求項2もしくは3に記載の反応装置。 - 【請求項5】 上記2液をY字流路に対し0.01μl/m
in〜1l/minの流量で供給する請求項2〜4のいずれか
に記載の反応装置。 - 【請求項6】 上記検出対象の溶液に、0.01% 〜
10% dtriehtanolamine 溶液を用い、上記試薬に、
蛍光試薬(2,3-Diaminonaphthalene)の酸溶液を用い、両
液を混合したときの最終的なpHが6〜10となるよう
に前記両液のpHを調整しておき、前記試薬との反応に
より発生する蛍光の強度から前記 triehtanolamine 溶
液に含まれていた亜硝酸イオンの濃度を判定する請求項
2〜5のいずれかに記載の反応装置。 - 【請求項7】 気体のみ透過させる多孔質材下に形成し
た溝にガス吸収溶液を通じることで大気中のガスを前記
溶液に吸収させる気体検出センサと、 所定の内径もしくはこれと同等の断面積を有する流路を
Y字状に形成し、このY字流路で2液を合流させること
で上記の反応および反応物質の測定を可能にした分子拡
散を用いた反応装置とを組み合わせてなることを特徴と
するガス濃度検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25150499A JP4033589B2 (ja) | 1999-09-06 | 1999-09-06 | 分子拡散を用いた反応法およびその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25150499A JP4033589B2 (ja) | 1999-09-06 | 1999-09-06 | 分子拡散を用いた反応法およびその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001074724A true JP2001074724A (ja) | 2001-03-23 |
JP4033589B2 JP4033589B2 (ja) | 2008-01-16 |
Family
ID=17223803
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25150499A Expired - Lifetime JP4033589B2 (ja) | 1999-09-06 | 1999-09-06 | 分子拡散を用いた反応法およびその装置 |
Country Status (1)
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---|---|
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Cited By (6)
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WO2004057312A1 (en) * | 2002-12-20 | 2004-07-08 | Research Institute Of Industrial Science & Technology | Method and apparatus for analysing oxidation number 3 and 6 of chromium simultaneously |
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WO2020067024A1 (ja) | 2018-09-25 | 2020-04-02 | 京セラ株式会社 | 検体処理デバイスへの検体導入方法 |
WO2020090582A1 (ja) | 2018-10-29 | 2020-05-07 | 京セラ株式会社 | 計測装置 |
-
1999
- 1999-09-06 JP JP25150499A patent/JP4033589B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US11921027B2 (en) | 2018-09-25 | 2024-03-05 | Kyocera Corporation | Method for introducing liquid samples into sample processing device |
WO2020090582A1 (ja) | 2018-10-29 | 2020-05-07 | 京セラ株式会社 | 計測装置 |
US11802826B2 (en) | 2018-10-29 | 2023-10-31 | Kyocera Corporation | Measurement apparatus |
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