JP2001073205A - 清涼ズボン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】内部の蒸れを防ぎ、見た目にも涼しい清涼ズボ
ン。 【解決手段】後ろポケット部の袋布１にメッシュ地とト
リコット地とが連続して編成された編地を用い、袋布の
物品収納部分上部３ａと底部３ｂとを主としてメッシュ
地により、上部と底部との中間部分４を主としてトリコ
ット地により縫製する。ポケットを通してズボン内の蒸
れを外部に逃散させる。向う布９の全部又は一部を切除
してポケット口に対向するメッシュ地をむき出しにし
て、垣間見ることができるようにすると、さらに涼感を
増すことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、清涼なズボン（ス
ラックス、パンツともいう）に関するものであって、男
性ズボン、女性ズボン、子供ズボン、学生ズボン等、あ
るいは日常用、ビジネス用、作業用、スポーツ用等を問
わない。

【０００２】

【従来の技術】ズボンの内側は、人体が発散する熱と水
蒸気により蒸れて不快感を催しやすく、従来から蒸れな
い清涼なズボンを得るためにあらゆる試みがなされてき
た。機能的には、たとえば、繊維素材面から生地に天然
繊維を用いたり、合成繊維には麻などの天然繊維を混紡
したりその割合を増やしたりする一方で、吸水性合成繊
維の開発や、太陽熱を吸収し難い素材、生地等の研究も
盛んに行われている。また、通気性のある生地や冷たい
感触の生地を織・編成することも行われている。さら
に、心理的な面からの清涼感を得るために、ズボンの染
色の工夫や、シャリ感、スケ感を付与することも行われ
てきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記のズボンを清涼化
する手段は単独で、あるいは組み合わせて利用されて一
部ではそれなりの成果が得られている。しかし、これら
の多様な手段が提供されているにもかかわらず、ズボン
の蒸れ感はなかなか解消しないのが実状である。本発明
は、ズボン内の蒸れを防ぎ、不快感を和らげることを課
題に、研究、試行錯誤の結果、完成したものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するために、ポケット部の袋布にメッシュ地とトリ
コット地とが連続して編成された編地が用いられ、袋布
の物品収納部分上部と底部とが主としてメッシュ地によ
り、上部と底部との中間部分が主としてトリコット地に
より縫製されたポケットを有することを特徴とする清涼
ズボンを提供する。また、ポケット部の袋布にメッシュ
地とトリコット地とが連続して編成された編地が用いら
れ、袋布の物品収納部分上部見頃側の少なくとも、通
常、向う布に覆われる部分及び底部をメッシュ地によ
り、上部と底部との中間部分を主としてトリコット地に
より、かつ、向う布の全部又は一部を切除してポケット
口に対向するメッシュ地を直接露出させて縫製したポケ
ットを有することを特徴とする清涼ズボンを提供する。
さらに、ポケット部の袋布にメッシュ地とトリコット地
とが連続して編成された編地が用いられ、袋布の物品収
納部分上部側が主としてメッシュ地により、底部側が主
としてトリコット地により縫製されたポケットを有する
ことを特徴とする清涼ズボンを提供する。そして、ポケ
ット部の袋布にメッシュ地、またはメッシュ地とトリコ
ット地とが連続して編成された編地が用いられ、袋布の
少なくとも物品収納部分がメッシュ地によりにより縫製
されたポケットを有することを特徴とする清涼ズボンを
提供する。

【０００５】前記のポケットは、本発明清涼ズボンの任
意のポケットに採用することができポケットの形状も問
わないが、後ろポケットに採用したときの効果が大き
い。しかし、脇ポケットとして採用した場合の効果も無
視できない。必要によりポケットにフラップを取り付け
てもよい。加えて、ウエストベルト部分の腰裏、あるい
は膝部裏当て布にメッシュ地を用いることにより、その
効果を高めることができる。

【０００６】

【発明の実施の形態】ズボン内の蒸れは、人体の下半身
に発生した熱気や水蒸気が原因である。すなわち、ズボ
ンの上端、ウエストベルト部分は、通常、強く締め付け
られて人体に密着しており、上部が密閉状態のズボン内
を上昇した蒸れは、ウエストベルト部分に到って逃げ場
がなく、次第にズボン内に充満して着用者に不快な状態
を醸し出す。これを防ぐために前記のような通気性の生
地を用いる等の手段が用いられているが十分ではなかっ
た。本発明では、ズボン内を上昇する熱気や水蒸気がズ
ボン上部に閉じこめられるのを防ぐために、積極的に逃
散路をズボン上部に設けてズボンの内側を外部と連通さ
せ、あるいは煙突効果を付与して、蒸れをズボン外に排
出し、さらに、ズボンに清涼感を与えて感覚的にも蒸れ
感をなくそうとするものである。

【０００７】本発明の清涼ズボンを、図面を参照してさ
らに詳しく具体的に説明する。本発明の清涼ズボンで
は、蒸れをズボンの内側から外部に逃がすのにポケット
部分を利用し、ポケットの袋布用生地にメッシュ地とト
リコット地とを連続して編成した編地を用いる。図１、
図２は、後ろポケットにおける本発明実施形態を例示す
ものであり、図１はズボンの内側から見た後ろポケット
の袋布１縫着部分概略図、図２は上記後ろポケット袋布
内面見頃側の概略図である。従って、図１と図２とは、
ともに袋布の身頃側であって表裏の関係になる。なお、
これらの図面では理解しやすくするためウエストベルト
部分を省略して示した。図３は、本発明清涼ズボンの他
の実施形態を示す、両側の後ろポケット周辺外観図であ
る。左脚側後ろポケット周辺の表布と袋布の表布側とを
切り欠いて、ズボンの内側を示した。さらに、図４はズ
ボンの内側から見た後ろポケット及び脇ポケット袋布縫
着部分の実施形態例を示す概略図である。しかし、衣類
の形状や縫製は多種多様であり、前記図面に示したもの
はその一例にすぎない。

【０００８】本発明清涼ズボンのポケット袋布には、ト
リコット編機を用い、メッシュ地とトリコット地とが交
互、縞状に連続編成された編み地を使用する。メッシュ
地は、適度な目開きを有し、袋布に必要な強度とすぐれ
た通気性を賦与できればよく、使用する素材等に特別な
制限はない。

【０００９】メッシュ地とトリコット地とは連続編成さ
れていることが重要であって、裁断、縫製に好適であ
り、強度等の観点からもとくに好ましい。メッシュ地と
トリコット地とを別々に編成して両者をつなぎ合わせる
のは実用上好ましくない。つなぎ合わせた部分がほつれ
たり、ポケット内の収納物が引っかかりやすくなり、ま
たコスト的にも不利だからである。

【００１０】さて、図１と図２とを参照して本発明清涼
ズボンの後ろポケットを例に説明する。後ろポケット袋
布１は、物品を収納する部分５の上部３ａ、すなわち、
ポケット口６の近傍（とくにポケット口の下側につなが
る部分）及びポケット口６に対向する身頃側を含め主に
前記編地のメッシュ地を配する。さらに、好ましくは袋
布の底の部分３ｂにもメッシュ地を配して縫製する。底
の部分３ｂをメッシュ地によって縫製することにより、
メッシュ地とポケット口６とを通る蒸れの逃散経路が大
きくなるのみならず、ポケット内の収納物によって生じ
るポケット内空間が煙突効果をもたらし、ズボン内の蒸
れを外部に導出することを助ける。蒸れの逃散に直接関
与しないが、ポケット内にちりがたまるのを防ぐ効果を
も奏する。前記両メッシュ地部分３ａ、３ｂに挟まれる
中間部分４にはトリコット地を配する。袋布１を補強
し、また底部３ｂから袋布内に導入された蒸れがズボン
内に逆流することを防止する効果がある。

【００１１】しかし、仕様によっては底の部分３ｂにト
リコット地を配してもよい。蒸れは、袋布上部３ａに配
したメッシュ地を通りポケット口６から排出させること
ができる。袋布の底部３ｂにはトリコット地を配してい
るのでポケット内の収納物が通り抜けて落ちることがな
く丈夫でもあり、安心して物品を収納することができる
利点がある。男性用ズボンの標準的な後ろポケットの場
合、上部３ａのメッシュ部分長さを８〜１２ｃｍ、中間
４のトリコット部分を３〜７ｃｍ、底３ｂのメッシュ部
分を３〜７ｃｍにするとよい。

【００１２】清涼ズボンの使用目的によっては、ポケッ
ト部の袋布にメッシュ地、またはメッシュ地とトリコッ
ト地とが連続して編成された編地を用い、袋布の少なく
とも物品収納部分をメッシュ地により縫製してもよい。

【００１３】袋布１には縫製やデザイン等の都合上、ミ
シン縫い等によって内部がポケット口６と遮断されてい
る部分（例えば７）の存在することがあるが、この部分
はメッシュ地を配しても蒸れを逃散させる作用が小さい
ので、編地に特段の制限はない。「主として」の意は、
例えば縫製上、袋布１上部のミシン縫部分等にトリコッ
ト地を配することもあるからである。８は表布にとった
タックであり、９は向う布である。

【００１４】本発明清涼ズボンにおいては、単にズボン
内の蒸れを逃散しやすくするのみではなく、さらにズボ
ンに清涼感を与えて感覚的にも蒸れをなくすることがで
きる。たとえば、後ろポケットでは、通常、ポケット口
６から直接裏地の袋布１が見えないように、表布と同じ
生地又は表布と類似の生地を用いた向う布９がポケット
口６に対して袋布１の身頃側に縫い付けられている。そ
こで、向う布９を適宜に裁断除去してメッシュ地をむき
出しにすることにより、蒸れを排出し易くするととも
に、ポケット口６から垣間見る袋布上部３ａのメッシュ
地の一部が、清涼ズボンに外観上の涼感を与えることが
できる。この本発明清涼ズボンの後ろポケット部分実施
形態例を図３に示す。

【００１５】図３において、右脚側２１には片玉縁に縫
製された後ろポケット口２３の外観を、左脚側２２には
後ろポケット部分の表布２４の一部及び袋布表布側を切
り欠いて袋布２５の身頃側を示した。後ろポケット袋布
２５にメッシュ地とトリコット地とが連続して編成され
た編地を用い、物品収納部分の上部２６ａ、少なくと
も、通常、向う布２８に覆われる部分にメッシュ地を配
する。好ましくは、物品収納部分の底部２６ｂにもメッ
シュ地を配する。前記のように中間部２８にはトリコッ
ト地を配する。そして、図３に例示した本発明清涼ズボ
ンでは、向う布２７の一部を切除してメッシュ地をむき
出しにした部分２９があるので、ズボン内の蒸れの逃散
路が増加し、蒸れがポケット口２３を通してズボンの外
に逃散しやすくなっている。しかも、切除した向う布に
代わって見えるようになったメッシュ地は見る者に清涼
感を与える。３０はウエストベルトである。

【００１６】前記のポケットは、本発明清涼ズボンの任
意のポケットに、例えば左右の脇ポケットに効果的に採
用することもできる。図４は、本発明実施形態の一例を
示す清涼ズボンの内側から見た、後ろポケット３１及び
脇ポケット３２の袋布３３、３４縫着部分概略図であ
る。脇ポケットの場合、ポケット口３５は縦方向になっ
ているが、メッシュ地とトリコット地の配置は、後ろポ
ケットに準ずる。男性用ズボンの標準的な脇ポケットの
場合、全長が後ろポケットに較べてやや長いので、上部
３６ａのメッシュ部長さを８〜１２ｃｍ、中間部３７の
トリコット部長さを７〜１６ｃｍ、底部３６ｂのメッシ
ュ長さを３〜７ｃｍにするとよい。

【００１７】本発明清涼ズボンのポケットにはフラップ
を縫いつけてもよい。また、ウエストベルト部分３８の
腰裏にもメッシュ地を用い、清涼効果を高めることがで
きる。さらに、膝部裏当て布にメッシュ地を用い、涼し
い触感を付与して蒸れ感をより以上に和らげることがで
きる。このほか、本発明清涼ズボンに、従来提案されて
いる清涼化手段を適宜に併用することも可能である。

【００１８】

【発明の効果】本発明の清涼ズボンは、ポケットのメッ
シュ地部分からズボン内の高温高湿度の空気を外部に容
易に逃散させることができるので、ズボンの蒸れを防
ぎ、不快感を和らげることができる。さらにメッシュは
視覚的にも涼感を与えるので、着用者のみならず、これ
を見た第３者に対しても心理的に清涼感を抱かせること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 ズボンの内側から見た後ろポケットの袋布縫
着部分概略図

【図２】 上記後ろポケット袋布内面見頃側の概略図

【図３】 ズボンの内側から見た後ろポケット袋布縫着
部分の他の実施形態例概略図

【図４】 ズボンの内側から見た後ろポケット袋布及び
脇ポケット袋布縫着部分の概略図

【符号の説明】

１：後ろポケット袋布 ２：表布（裏面）
３ａ：袋布上部 ３ｂ：袋布底部 ４：袋布中間部
５：物品収納部分 ６：ポケット口 ７：ポケット口６と遮断さ
れている部分 ８：タック ９：向う布 ２１：右脚側 ２２：左脚側
２３：ポケット口 ２４：表布 ２５：後ろポケット袋布 ２６ａ：袋布上部 ２６ｂ：袋布底部
２７：袋布中間部 ２８：向う布 ２９：向う布切除部分 ３０：ウエストベルト ３１：後ろポケット ３２：脇ポケット ３３：後ろポケット袋布 ３４：脇ポケット袋布
３５：脇ポケット口 ３６ａ：脇ポケット袋布上部 ３６ｂ：脇ポケ
ット袋布底部 ３７：脇ポケット袋布中間部

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ポケット部の袋布にメッシュ地とトリコッ
   ト地とが連続して編成された編地が用いられ、袋布の物
   品収納部分上部と底部とが主としてメッシュ地により、
   上部と底部との中間部分が主としてトリコット地により
   縫製されたポケットを有することを特徴とする清涼ズボ
   ン。
2. 【請求項２】ポケット部の袋布にメッシュ地とトリコッ
   ト地とが連続して編成された編地が用いられ、袋布の物
   品収納部分上部見頃側の少なくとも、通常、向う布に覆
   われる部分及び底部をメッシュ地により、上部と底部と
   の中間部分を主としてトリコット地により、かつ、向う
   布の全部又は一部を切除してポケット口に対向するメッ
   シュ地を直接露出させて縫製したポケットを有すること
   を特徴とする清涼ズボン。
3. 【請求項３】ポケット部の袋布にメッシュ地とトリコッ
   ト地とが連続して編成された編地が用いられ、袋布の物
   品収納部分上部側が主としてメッシュ地により、底部側
   が主としてトリコット地により縫製されたポケットを有
   することを特徴とする清涼ズボン。
4. 【請求項４】ポケット部の袋布にメッシュ地、またはメ
   ッシュ地とトリコット地とが連続して編成された編地が
   用いられ、袋布の少なくとも物品収納部分がメッシュ地
   により縫製されたポケットを有することを特徴とする清
   涼ズボン。
5. 【請求項５】ポケットが後ろポケットであることを特徴
   とする請求項１ないし４のいずれかに記載の清涼ズボ
   ン。
6. 【請求項６】ポケットが脇ポケットであることを特徴と
   する請求項１ないし５のいずれかに記載の清涼ズボン。
7. 【請求項７】ポケットがフラップ付きポケットであるこ
   とを特徴とする請求項１ないし６のいずれかに記載の清
   涼ズボン。
8. 【請求項８】ウエストベルト部分の腰裏にメッシュ地を
   用いたことを特徴とする請求項１ないし７のいずれかに
   記載の清涼ズボン。
9. 【請求項９】膝部裏当て布にメッシュ地を用いたことを
   特徴とする請求項１ないし８のいずれかに記載の清涼ズ
   ボン。