JP2001021522A - 生体触媒の固定化方法 - Google Patents

生体触媒の固定化方法

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JP2001021522A
JP2001021522A JP11189314A JP18931499A JP2001021522A JP 2001021522 A JP2001021522 A JP 2001021522A JP 11189314 A JP11189314 A JP 11189314A JP 18931499 A JP18931499 A JP 18931499A JP 2001021522 A JP2001021522 A JP 2001021522A
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biocatalyst
fixing
working electrode
immobilized
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JP11189314A
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Takashi Morita
高志 森田
Kiyoko Yano
清子 矢野
Akira Yoshida
明 吉田
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Akebono Research and Development Centre Ltd
International Center for Environmental Technology Transfer
Original Assignee
Akebono Research and Development Centre Ltd
International Center for Environmental Technology Transfer
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作用極、対極、参照極等を同一平面上に有す
る生体触媒電極における生体触媒の固定化を簡便に行う
ことが可能な生体触媒の固定化方法を提供する。 【解決手段】 作用極と作用極以外の電極を同一平面上
に有する平板状の生体触媒電極における生体触媒の固定
化方法であって、前記平面上の全ての電極を含む範囲に
生体触媒を1回の固定化処理で固定化する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体触媒電極にお
ける生体触媒の固定化方法に関し、詳しくは、生体触媒
電極における生体触媒の固定化を容易かつ迅速に行うこ
とが可能な生体触媒の固定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バイオセンサーに用いる生体触媒固定化
電極において、酵素や微生物などの生体触媒を固定化す
る際、生体触媒は作用極上に直接接触するように固定化
される。生体触媒を作用極上に固定化する方法として
は、生体触媒を吸着させたフィルターを作用極面に接触
するように設置する方法、高分子ゲルと生体触媒を混合
したものを作用極表面に滴下し保持する方法、ペースト
状の電極材料中に生体触媒を混合して作用極を形成する
方法、または作用極表面を化学的に修飾して生体触媒を
直接結合させる方法などが報告されている。ここで、生
体触媒を固定化する電極を作用極に限定しているのは、
原理的に反応を検知する電極が作用極であり、他の対極
や参照極に固定化しても意味がないばかりか、場合によ
っては反応を阻害する可能性もあると考えられているか
らである。
【0003】この様な生体触媒固定化電極のうちでも、
同一平面上に複数の電極(作用極、対極および参照極、
あるいは、作用極および対極等)が配置された構成の生
体触媒固定化電極については、作用極上にのみ生体触媒
を固定化するために次のような方法が採られている。作
用極以外をマスクした上で、作用極上に、例えば、高分
子ゲルと生体触媒を混合したものを滴下・付着させた
後、マスクを取り除く方法、作用極のサイズに合わせて
フィルター等別の担体に生体触媒を吸着させた後に、こ
れを作用極上のみに設置する方法等である。
【0004】一方、近年バイオセンサーの小型化や測定
対象の微細化により、微小電極の作製が望まれるように
なり、それとともに固定化生体触媒の電極上への定量的
な固定化がより一層必要となっている。前記微小電極に
おいては、通常、作用極、対極、参照極が同一平面上に
形成されており、反応の検出感度を向上させるためにそ
れらがお互いに近接して配置されことが多く、この様な
微小電極の作用極上のみに生体触媒を定量的に固定化す
るには、固定化面積が微小であるために、高度な技術が
要求されているのが現状である。
【0005】そのため、作用極、対極、参照極等が同一
平面上にない、つまり、作用極のみが他極と分離または
分割された電極構成をもつ生体触媒固定化電極も使用さ
れている。しかしながら、この様な生体触媒固定化電極
においては、生体触媒を作用極上のみに固定化するとい
う固定化の作業自体は容易になるが、センサー素子とし
ての機能面や操作性が低下するという欠点がある。
【0006】そこで、機能面や操作性に優れる、作用
極、対極、参照極等を同一平面上に有する生体触媒固定
化電極において、生体触媒の固定化を簡便化する方法の
開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、作用極、対極、参照極等を同一平
面上に有する生体触媒電極における生体触媒の固定化を
簡便に行うことが可能な生体触媒の固定化方法を提供す
ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために同一平面上に複数の電極を有する生体
触媒電極における生体触媒の固定化方法に関して鋭意研
究を重ねた結果、従来の作用極上のみへの生体触媒の固
定化にこだわらず全ての電極面に同時に生体触媒を固定
化することで、得られる生体触媒電極の検出感度を損な
うことなく、生体触媒の固定化を簡便に行うことができ
ることを見出し本発明を完成させた。
【0009】すなわち本発明は、作用極と作用極以外の
電極を同一平面上に有する平板状の生体触媒電極におけ
る生体触媒の固定化方法であって、前記平面上の全ての
電極を含む範囲に生体触媒を1回の固定化処理で固定化
する方法を提供するものである。
【0010】また、本発明は上記固定化方法において、
少なくとも前記平面上の全ての電極を臨める大きさの開
口部を有するフレーム状のスペーサーまたはセルを、開
口部から全ての電極を臨ませるように前記平面上に固定
した後、開口部に対応する全ての電極を含む平面上に生
体触媒を固定化する方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の生体触媒の固定化方法は、作用極と作用極以外
の電極を同一平面上に有する平板状の生体触媒電極に適
用されるものである。作用極以外の電極としては、対
極、参照極等が挙げられる。また、本発明の生体触媒の
固定化方法が適用される生体触媒電極として、具体的に
は、同一平面上に作用極および対極を有する生体触媒電
極、作用極、対極および参照極を有する生体触媒電極等
が挙げられる。生体触媒電極同一平面上の作用極の数は
一般的には1個であるが、必要に応じて複数個とするこ
とも可能である。それ以外の電極、具体的には、対極、
参照極等についても、数は1個でも複数個であってもよ
い。
【0012】ここで、本明細書において、作用極とは生
体触媒電極を用いて試料中の測定対象物質を定性的、定
量的に測定する際に電圧が印加されて測定試料中の生体
触媒反応による変化を電気的に検知する電極をいい、対
極は作用極との間に電流を起こさせるために設けられる
電極をいい、参照電極は作用極の電位設定の基準となる
電極をいう。したがって、生体触媒固定化後、生体触媒
電極として用いる際に各電極は異なる役割を担うことに
なるが、生体触媒が固定化される前の電極としての構成
は、導体と言う点で同様であるといえる。
【0013】つまり、本発明の固定化方法には、本発明
の方法により生体触媒が固定化されることにより上記構
成の生体触媒電極となるような、同一平面上に複数の導
体、具体的には、上記作用極、対極、参照極の合計の数
の導体が、形成された電極基板が用いられることにな
る。
【0014】本発明の固定化方法に用いる電極基板は、
通常、導体と導体を固定する絶縁基板からなる。前記導
体としては、安定であり、かつ、導電性が大きく、生体
触媒に対して実質的に無害な導体、例えば、白金、金、
銀等の金属、またはグラファイト、カーボン等の炭素素
材が挙げられる。絶縁基板は、生体触媒電極が使用に耐
えうる強度を有するように電極全体を支持できる素材、
形状のものであれば特に制限されず、素材としては、例
えば、ポリエステル、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂、ガ
ラス、試料溶液が浸透しない様に表面処理された紙等を
挙げることができる。用いる導体、絶縁基板の素材や形
状にもよるが、導体は通常絶縁基板上に、例えば、メッ
キ(電解または無電解)、蒸着、スパッタ、スクリーン
印刷等の方法で固定される。
【0015】また、本発明の固定化方法が適用可能な生
体触媒としては、通常のバイオセンサーに用いられる生
体触媒が特に制限なく挙げられ、具体的には、グルコー
スオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、ガラクトースオキ
シダーゼ、アルコールオキシダーゼ、チロシナーゼ、カ
テコール1,2−オキシダーゼ、ピルビン酸オキシダー
ゼ、ウリカーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、グルタミナー
ゼ、グルタメートデヒドロゲナーゼ、アスパラキナー
ゼ、アミンオキシダーゼ、コレステロールエステラー
ゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、カタラーゼ、クレアチ
ナーゼ、ホスファターゼ、ウレアーゼ等の酵素;大腸
菌、バチルス属、アシネトバクター属、グルコノバクタ
ー属、シュードモナス属、メチロモナス属、ハンセヌラ
属、カンジダ属、デスルフォビブリオ属、チオバチルス
属、クロストリジウム属、メチロコッカス属、アーソロ
バクター属、マイコバクテリウム属、ラクトバチルス属
あるいはブレビバクテリウム属に属する細菌、放線菌な
どの原核微生物や、トリコスポロン属に属する酵母等の
真核微生物等の微生物;オルガネラ;抗原;抗体等が挙
げられる。
【0016】本発明の生体触媒の固定化方法は、この様
な生体触媒を上記同一平面上に複数の導体(電極)を有
する電極基板に固定化する方法であり、前記平面上の全
ての導体(電極)を含む範囲に生体触媒を1回の固定化
処理で固定化することを特徴とする。
【0017】上述の様に、電極基板上の導体は、生体触
媒固定化後、生体触媒電極として使用される際に、作用
極として作用する導体と作用極以外の電極、例えば、対
極、参照極として作用する導体に分類される。従来の生
体触媒固定化方法では、同一平面上に作用極となる導体
を含む複数の導体が配置された電極基板については、作
用極以外の電極上に生体触媒を固定化することは検出感
度の低下を招く可能性があるとして、作用極となる導体
上にのみ生体触媒を固定化していたのに対して、本発明
においては、作用極となる導体に加えて作用極以外の電
極として用いられる導体も含めて、電極基板の同一平面
上にある全ての導体上に同時に生体触媒を固定化するこ
ととしたことに特徴がある。なお、本発明の固定化方法
により得られる生体触媒電極において、従来法で得られ
る生体触媒電極に比べて、反応の検出感度が劣る様なこ
とはなく、このことは、後述の実施例によっても証明さ
れている。
【0018】生体触媒の固定化方法を上記の様にするこ
とで本発明においては、従来の固定化方法で必要とされ
た作用電極以外の電極のマスキング等の工程を排除する
ことができ、生体触媒の電極基板への固定化を、検出感
度の低下を招くことなく、容易且つ迅速としたものであ
り、大量の生体触媒固定化電極を短時間に作製すること
を可能とするものである。
【0019】本発明の固定化方法における生体触媒の固
定化処理については、通常のバイオセンサー作製時に生
体触媒固定化に用いる固定化手段と同様の手段を特に制
限なく用いることができる。具体的には、生体触媒を、
アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、アガロースゲル、
カードランゲル、キトサンゲル等のゲルマトリックス中
に封入して固定化する方法や光架橋性ポリビニルアルコ
ールなどの光硬化性樹脂、ポリアクリルアミド等の三次
元架橋構造体中に組み込んで固定化する方法等が挙げら
れる。また、生体触媒電極を構成する基板表面に電極と
しての導体と電気的に接続されるかたちに、グルタルア
ルデヒド等を用いて生体触媒に固定化したものでもよ
い。更に、これらの方法を組み合わせて生体触媒を固定
することも可能である。
【0020】上記各種高分子構造中に生体触媒を含有さ
せるかたちで生体触媒を電極基板に固定化するには、上
記各高分子原料液に、上記生体触媒を、好ましくは、懸
濁液として配合したものを、電極基板平面上の全ての導
体を含む範囲に適当な方法で適当な厚さに塗布した後、
各高分子に適する方法でこれを固化・硬化させればよ
い。
【0021】また、グルタルアルデヒドによる固定は、
生体触媒含有の懸濁液を電極基板平面上の全ての導体を
含む範囲に適当な方法で塗布した後、これを、適当な濃
度のグルタルアルデヒド水溶液の蒸気に曝すことで生体
触媒を固定化することができる。
【0022】この様にして、電極基板の同一平面上の全
ての導体を含む範囲に1回の固定化処理で生体触媒を固
定化することができる。本発明の固定化方法における生
体触媒固定化の範囲であるが、少なくとも全ての導体を
含む範囲であれば、特に制限されない。前記範囲は、特
に用いる生体触媒が高価な場合には、必要量以上の生体
触媒を固定化しないために、全ての導体を含む範囲で最
小の面積となる範囲とすることが経済的には好ましい。
しかし、そうすることにより固定化の範囲が微小となる
と作業性の点で、本発明の固定化方法における容易且つ
迅速という効果が損なわれることも考えられる。
【0023】したがって、用いる電極基板のサイズや、
生体触媒の種類に合わせて、作業性と経済性を勘案し
て、同一平面上の全ての導体を含む固定化の範囲を決定
することが好ましい。
【0024】この様なことから、本発明の生体触媒の固
定化方法の効果がより発揮される生体触媒電極として、
微小なサイズの電極基板の同一平面上に作用極となる導
体を含む複数の導体が近接して形成された生体触媒電極
が挙げられる。具体的には、3〜10cm2程度の面積
の微小サイズの電極基板の同一平面上に、近接して1〜
10mm2程度の面積の導体が複数形成された構成の電
極基板に生体触媒を固定化する様な場合に、本発明の生
体触媒の固定化方法が特に効果を発揮するものである。
【0025】なお、電極基板上には通常、各導体が測定
時に測定機器に接続されるための導線が設けられている
が、上記固定化の範囲は、これを妨げる範囲とならない
様に留意することも必要である。
【0026】また、本発明の固定化方法において、上記
生体触媒を固定化する範囲をより適切な面積範囲とする
ために、開口部を有するフレーム状のスペーサーやセル
を用いることも可能である。前記開口部の大きさは、少
なくとも上記電極平面上の全ての電極を臨める大きさで
あればよいが、以下に説明するように、この開口部の大
きさが生体触媒を固定化する面積を決定するので、開口
部の大きさは、上記同様、作業性と経済性を勘案して適
宜選択されるものである。
【0027】本発明の固定化方法において、上記開口部
を有するフレーム状のスペーサーやセルを用いる場合に
は、まず、スペーサーやセルを開口部から全ての電極を
臨ませるようにして、前記電極基板の平面上に適当な方
法で固定し、次いで開口部に対応する全ての電極を含む
平面上に生体触媒を固定化するものである。
【0028】ここで、本明細書においてスペーサーと
は、生体触媒を固定化する際に用いる生体触媒と上記の
様な固定化高分子原料を含む液体やグルタルアルデヒド
固定の場合に用いられる生体触媒懸濁液等(以下、「生
体触媒固定化原料等」ということがある。)が、スペー
サーの開口部を構成する内壁(以下、「開口部内壁」と
いうこともある。)により、開口部に対応する電極基板
上以外の部分に流出するのを防ぐために設けられるもの
をいう。
【0029】したがって、前記スペーサーを用いて生体
触媒の固定化を行う場合には、上記生体触媒固定化原料
等は開口部に対応する電極基板上にスペーサーの開口部
内壁の途中まで供給されてもよく、あるいは内壁上端ま
でいっぱいに供給されてもよい。その後、供給された生
体触媒固定化原料等は、それぞれの原料に対応する方法
で固化・硬化され、生体触媒の固定化が完了する。
【0030】また、セルとは、上記スペーサーの開口部
に対応する電極基板上以外の部分に生体触媒固定化原料
等が流出するのを防ぐ役割とともに、生体触媒固定化
後、このセルの開口部内壁と生体触媒固定化面から形成
されるスペースに測定試料を供給し、このスペース内で
生体触媒反応を起させて、これを作用電極に検知させる
という役割をも有するものをいう。したがって、前記セ
ルを用いて生体触媒の固定化を行う場合には、上記反応
スペースとなる部分を確保するために、上記生体触媒固
定化原料等は、開口部に対応する電極基板上にセル開口
部内壁の途中まで供給されることになる。その後、供給
された生体触媒固定化原料等は、上記同様にそれぞれの
原料に対応する方法で固化・硬化され、生体触媒の固定
化が完了する。
【0031】なお、生体触媒固定化後、スペーサーは、
必要に応じて電極基板上から取り除かれてもよいが、セ
ルはそのまま電極基板上に残されて用いられる。そのた
め、電極基板上へのスペーサーおよびセルの固定化方法
は、最終的にこれらが電極基板上から取り外されるか否
かによって適宜選択される。
【0032】スペーサーとセルは上記違いを有すること
から、スペーサーはセルに比べて薄い場合が多いが、そ
れを除けば、材質や形状等はほぼ同様の構成のものとす
ることができる。スペーサーの厚さとしては、生体触媒
の種類や固定化材料の種類、電極基板のサイズ等にもよ
るが、具体的には、0.05〜0.5mm程度の厚さを
挙げることができる。また、セルの厚さとしては、上記
同様生体触媒の種類や固定化材料の種類、電極基板のサ
イズ等にもよるが、具体的には、0.5〜5mm程度の
厚さを挙げることができる。
【0033】スペーサーやセルの材質は、スペーサーに
ついては最終的に電極基板からこれを取り外す場合に
は、生体触媒に対して実質的に無害であり、生体触媒の
固定化に用いる各種化合物に対して安定であれば、特に
限定されない。また、スペーサーをそのまま電極基板上
に残す場合のスペーサーやセルの材質は、上記性質に加
えて、電極基板との接着性がよく、それ自身も絶縁性で
ある材質、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等のプラ
スチックやガラス等で構成されることが好ましい。
【0034】この様に本発明の固定化方法に、開口部を
有するフレーム状のスペーサーやセルを用いる場合に
は、スペーサーまたはセルの電極基板への固定後、生体
触媒はスペーサーまたはセルの開口部に対応する全ての
電極を含む平面上に固定化される。この際の生体触媒固
定化処理の方法は上記これらを用いない場合と全く同様
とすることができる。
【0035】本発明の生体触媒の固定化方法により得ら
れる生体触媒電極は、従来の方法で得られる生体触媒電
極と異なり、作用極上ばかりでなく、対極上あるいは参
照極上にも作用極上と同様に生体触媒が固定化されたも
のであるが、使用に際しては従来の方法で得られる生体
触媒電極と同様にして、生体触媒電極を試料に浸漬す
る、あるいは、試料を生体触媒電極に滴下する等して使
用することができる。また、本発明の方法により得られ
る生体触媒電極の検出感度についても、従来の方法で得
られる生体触媒電極と同等であるといえる。
【0036】ここで、本発明の生体触媒の固定化方法に
おいてセルを用いた場合を、図1、図2に基づいてより
具体的に説明する。図1は、本発明の固定化方法の一例
に用いるセルが固定化された電極基板の正面図を示す図
であり、図2はその斜視図を示すものである。
【0037】図1および図2に示す様に、本例で用いる
電極基板10は、絶縁基板5の同一平面上にカーボン材
料等の導体からなる作用極2、対極1および参照極3が
形成されたものである。セル4は、電極基板の作用極
2、対極1および参照極3の全体を包含する大きさの開
口部6を有し、開口部6から前記3極全てを臨むように
して絶縁基板5に固定されている。セル4は、液体不透
過性の絶縁材料、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート
等のプラスチックやガラス等で形成されている。
【0038】生体触媒は、セルの開口部に対応する電極
基板上に固定される。具体的には、まず、生体触媒固定
化原料等をセル開口部内壁と電極基板表面とで囲まれる
スペースに供給し、セルの開口部に対応する電極基板上
全体、つまり上記作用極、対極および参照極の全てを含
む範囲全体に行き渡らせる。この際、用いる生体触媒固
定化原料等の量は、前記セル開口部内壁と開口部に対応
する電極基板表面とで囲まれるスペースの開口部に対応
する電極基板上にセル開口部内壁の途中まで供給される
量とすることができるが、具体的な量については、用い
る生体触媒の種類、固定化に用いる材料、得られる生体
触媒固定化電極の測定対象の種類等により適宜選択され
る。その後、供給された生体触媒固定化原料等は、それ
ぞれの原料に対応する方法で固化・硬化され、生体触媒
の固定化が完了する。
【0039】例えば、アルギン酸カルシウムゲルを用い
て生体触媒を固定化する場合には、1〜3%程度のアル
ギン酸ナトリウム水溶液に、所要量の生体触媒を含有す
る懸濁液等を加えてよく撹拌し、均一な混合液を作製
し、この混合液の適当量を上記セル開口部に対応する電
極基板上に供給する。また、上記アルギン酸ナトリウム
水溶液は、アルギン酸ナトリウムの他に、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウムなどの塩類や緩衝液等を含有してもよ
い。さらに、生体触媒懸濁液等については、生体触媒以
外に、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類や緩衝
液等を含有してもよい。
【0040】供給された上記混合液をセルの開口部に対
応する電極基板上全体、つまり上記作用極、対極および
参照極の全てを含む範囲に行き渡らせた後、この電極基
板全体を適当な濃度のカルシウム塩溶液に浸漬すること
で、前記混合液を生体触媒を含有するアルギン酸カルシ
ウムゲルとして固定化する。
【0041】本例で得られる生体触媒電極の使用に際し
ては、セル開口部内壁と生体触媒固定化面に囲まれるス
ペースに測定対象物質を含む測定試料が供給される。そ
して、このスペースで測定対象物質に対して行われる生
体触媒反応を電圧が印加された作用極が検知し、それに
より作用極と対極間に流れる電流を測定することで、対
象物質濃度等の測定が行われるものである。
【0042】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0043】(1)微生物固定化電極の作製 図1および図2に示されるのと同様に、カーボン材料か
らなる作用極、対極および参照極(各電極サイズは、い
ずれも2×5mm)がガラスエポキシ樹脂製絶縁基板
(15mm×30mm×0.8mmtの同一平面上に形
成されている電極基板に、開口部から全ての電極(作用
極、対極、参照極)を臨ませるようにして、生体触媒固
定化後、反応溶液を保持することが可能なセルを両面接
着テープにより固定した。なお、前記セルの材質はポリ
エチレンテレフタレートで、全体のサイズは15mm×
15mm×2mmtであり、開口部のサイズは10mm
×7mmであった。この電極基板のセル開口部に対応す
る電極基板上に、以下の方法により前記3極全てを覆う
ように微生物(シュードモナス・フルオレセンス(Pseu
domonas Fluorescens))を固定化した。
【0044】3%アルギン酸ナトリウム水溶液に同容量
の微生物(シュードモナス・フルオレセンス)懸濁液
(OD(Optical Density(濁度))=30、懸濁媒;
0.1M塩化ナトリウム水溶液)を加え、均一に混合し
て微生物固定化用混合液を調製した。この混合液を、前
記セル開口部内壁と開口部に対応する電極基板表面とで
囲まれるスペースの開口部に対応する電極基板上に21
μl滴下し、セルの開口部に対応する電極基板上全体、
つまり上記作用極、対極および参照極の全てを含む範囲
に行き渡らせた後、この電極基板全体を2%塩化カルシ
ウム溶液に30分間浸漬することで、前記混合液をゲル
化させた。
【0045】(2)微生物固定化電極の評価 上記で得られた微生物固定化電極を定電位回路に接続
し、以下の方法によりグルコース溶液の濃度を測定し
て、その検出感度を評価した。
【0046】評価に用いた反応液は、0.1Mリン酸緩
衝液、0.1M塩化ナトリウムおよび40mMフェリシ
アン化カリウムを含み、基質として各種濃度となるよう
にグルコースが添加された試料溶液であった。
【0047】この様にして得られた反応液の一つを、定
電位回路に接続された微生物固定化電極のセル開口部内
壁と生体触媒固定化面に囲まれるスペースに供給し、作
用極に+400mVの電位を印加して、20分後に作用
極と対極間に流れる電流値を読み取った。同様にして別
の濃度の反応液についても作用極に電圧を印加した際の
電流値を測定した。なお、微生物固定化電極は、使い捨
てとし、測定1回毎に取り替えられた。結果を図3に■
で示す。
【0048】一方、対照として、上記同様に、カーボン
材料からなる作用極、対極および参照極が同一基板上に
形成されている電極基板に、開口部から全ての電極(作
用極、対極、参照極)を臨ませるようにして、生体触媒
固定化後、反応溶液を保持することが可能なセルを固定
した電極基板の作用極上のみに微生物を固定化した微生
物電極を作製した。固定化の方法としては、セル開口部
内壁に囲まれた電極基板上の、作用極を含まないが対極
と参照極の全体を含む部分に両面接着テープによってマ
スクを施した後、作用極上に、3%アルギン酸ナトリウ
ム水溶液に同容量の微生物(シュードモナス・フルオレ
センス)懸濁液(OD=30、懸濁媒;0.1M塩化ナ
トリウム水溶液)を加え、均一に混合した微生物固定化
用混合液を7μl滴下した。その後、上記(1)と同様
の方法で混合液をゲル化させ、さらに前記マスクを取り
外して微生物固定化電極を作製した。
【0049】得られた対照の微生物電極を用いて、上記
同様にしてグルコース溶液の濃度を測定する試験を行っ
た。結果を図3に○で示す。図3のグラフから、微生物
固定化位置が作用極のみの従来の固定化方法で得られた
微生物電極と、全電極に微生物が固定化された本発明の
固定化方法による微生物電極では、応答値に差異が認め
られないことが明らかであり、本発明の固定化方法によ
り検出感度が低下しないことがわかった。
【0050】
【発明の効果】本発明の生体触媒の固定化方法によれ
ば、得られる生体触媒電極の検出感度を損なうことな
く、生体触媒の固定化を容易且つ迅速に行うことが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の固定化方法の一例に用いるセルが固
定化された電極基板の正面図を示す図である。
【図2】 本発明の固定化方法の一例に用いるセルが固
定化された電極基板の斜視図を示す図である。
【図3】 実施例で得られた微生物電極の検出感度を従
来の方法で得られた微生物電極と比較したグラフであ
る。
【符号の説明】
1. 対極 2. 作用極 3. 参照極 4. セル 5. 絶縁基板 6. セル開口部 10. 電極基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 清子 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内 (72)発明者 吉田 明 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作用極と作用極以外の電極を同一平面上
    に有する平板状の生体触媒電極における生体触媒の固定
    化方法であって、前記平面上の全ての電極を含む範囲に
    生体触媒を1回の固定化処理で固定化する方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記平面上の全ての電極を臨
    める大きさの開口部を有するフレーム状のスペーサーま
    たはセルを、開口部から全ての電極を臨ませるように前
    記平面上に固定した後、開口部に対応する全ての電極を
    含む平面上に生体触媒を固定化する請求項1記載の方
    法。
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