JP2001020056A - 炭化チタン/硼化タングステンコーティング - Google Patents

炭化チタン/硼化タングステンコーティング

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JP2001020056A
JP2001020056A JP11191521A JP19152199A JP2001020056A JP 2001020056 A JP2001020056 A JP 2001020056A JP 11191521 A JP11191521 A JP 11191521A JP 19152199 A JP19152199 A JP 19152199A JP 2001020056 A JP2001020056 A JP 2001020056A
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Jiinjen A Sue
ジインジェン・アルバート・スー
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた耐腐蝕及び耐摩耗性を有する炭化チタ
ン/硼化タングステンコーティング。 【解決手段】 金属マトリックス中に硬い超微細な炭化
チタン粒子及び硼化タングステン沈殿が分散されて成
る、基材上の耐摩耗性且つ耐腐食性のコーティングであ
って、前記の2つの相がコーティングの約30〜80容
量%を占め、残りが金属マトリックスである、前記コー
ティング。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐腐蝕及び
耐摩耗性を有する炭化チタン/硼化タングステンコーテ
ィング並びにかかるコーティングの製造方法に関する。
より特定的には、本発明は、金属マトリックス中に分散
された超微細な炭化チタンの粒子及び硼化タングステン
沈殿を含有する、硬く、稠密で、低気孔率で、耐腐蝕性
且つ耐摩耗性のコーティングに関する。本発明はまた、
溶射(thermal spray)及び拡散反応技術によって現場で
かかるコーティングを製造するための方法にも関する。
【0002】本明細書を通じて、コーティングを付着さ
せるためにはプラズマアークスプレー及びデトネーショ
ンガン(D−ガン)技術を例にとって説明を行なう。典
型的なデトネーションガン技術は、米国特許第2714
563号及び同第2950867号明細書に開示されて
いる。プラズマアークスプレー技術は、米国特許第28
58411号及び同第3016447号明細書に開示さ
れている。その他の溶射技術もまた周知であり、例えば
いわゆる「高速」プラズマ及び「極超音速」燃焼スプレ
ー法、並びに様々なフレーム溶射(flame spray)法が
知られている。コーティングは熱処理が必要であり、こ
の熱処理は、付着させた後に、真空若しくは不活性ガス
炉中で又は電子ビーム、レーザービーム、誘導加熱、移
行式プラズマアーク若しくはその他の技術によって行な
うことができる。また、スラリー、充填済織物又は電気
泳動のような別の付着技術の後に熱処理を行なうことも
知られている。さらにその他の方法には、プラズマ移行
アークを利用する同時的な付着及び溶融、レーザー又は
電子ビーム表面溶融(付着後の熱処理ありで又はなし
で)が包含される。
【0003】
【従来の技術】切削工具は通常炭化タングステン−コバ
ルト合金から作られる。これらの合金は極めて硬く、強
く且つ強靱であり、殆どの使用条件下で優れた摩耗特性
を示す。しかしながら、これらの合金についての問題点
は、炭化タングステンが約540℃を越える温度におい
て酸化に付されるということである。これらの高温にお
いて任意の継続期間の間操作した場合、これらの合金か
ら作られた切削工具はそれらの摩耗特性を失い、亀裂を
生じたり破砕したり削られたりすることがたびたびあ
る。
【0004】炭化タングステン−コバルト切削工具の摩
耗特性及び耐酸化性を改善するために、化学蒸着技術を
用いて部品の表面に二硼化チタン(TiB2)の薄層を
付着させるということが行なわれてきた。高温において
TiB2とWC/Coとが相互に作用するため、CoW
B及びTiC化合物を含有する厚さ約30μ未満の薄フ
ィルムが切削工具の表面に形成される。炭化チタンは炭
化タングステンより耐酸化性が大きく、より安定であ
る。従って、これらの化合物を含有するフィルムが形成
されることによって切削工具の耐摩耗性が増大する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、CoW
B及びTiCを含有する蒸着フィルムは数種の基材の
み、特に炭化タングステン−コバルト合金のみについて
の使用に限定される。従って、様々な基材材料に適用す
ることができるTiC/WCoBコーティングを開発す
るのが有利である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、優れた
耐研磨摩耗性及び耐腐蝕摩耗性を有し且つ様々な基材材
料と適合性である新規の類の炭化チタン/硼化タングス
テンコーティングが提供される。これらのコーティング
は、金属マトリックス中に硬質の超微細炭化チタン粒子
及び硼化タングステン沈殿が分散されて成り、これら2
つの相はコーティングの約30〜約90容量%を占め
る。このコーティングは、約700〜1200DPH
300(HV.3)の硬度を有し、約800℃までの温度
に耐えることができる。
【0007】本発明のコーティングは、少なくとも炭化
タングステンを含有する第一の成分並びに硼素とニッケ
ル、コバルト及び鉄より成る群から選択される少なくと
も1種の金属とを含有する第二の成分を包含する複数の
別々の成分から成る機械的にブレンドされた粉末混合物
を基材上に付着させ、次いでこの付着させたままのコー
ティングを熱処理することを含む方法によって製造する
ことができる。前記粉末混合物は第一の若しくは第二の
成分中に又は別個の第三の成分中にチタンを含み、これ
らの第一、第二又は第三成分の内の少なくとも一つは約
1200℃より低い融点を有する。前記の熱処理は、付
着させた元素間の拡散反応をもたらし、その結果金属マ
トリックス中に分散された炭化チタン及び硼化タングス
テンの超微粒子の生成をもたらす。コーティングは、前
記の任意の既知の付着技術又は類似の技術を用いて基材
上に付着させることができる。
【0008】本発明の好ましい実施態様において、炭化
チタン及び硼化タングステン沈殿を含有するコーティン
グは、様々な基材材料に適用される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のコーティングは、溶射法
を用いて基材上に適用するのが好ましい。かかる方法の
一つ、即ちプラズマ溶射においては、一つの非消耗性電
極とそれから間隔をあけて設置された第二の非消耗性電
極との間に電気アークが確立される。気体が通されて非
消耗性電極と接触せしめられ、電気アークを含有するよ
うになる。アーク含有ガスはノズルによって圧縮され、
高い熱含有量の流出液をもたらす。この高熱含有量流出
液中に粉末状コーティング材料が射出され、コーティン
グされるべき表面上に付着せしめられる。この方法及び
そこで用いられるプラズマアークトーチは、米国特許第
2858411号明細書に記載されている。プラズマ溶
射法は、堅固で、稠密で、基材に対する付着力がある付
着したコーティングを作る。付着したコーティングは、
不規則な形状の顕微鏡サイズの縦長平板状物(splats)
又は葉状物が互いに且つ基材に対して絡み合い且つ機械
的に結合されて成る。
【0010】基材にコーティングを適用する別の方法
は、デトネーションガン(D−ガン)付着によるもので
ある。典型的なD−ガンは、長さ数フィート、内径約1
インチの水冷式バレルから本質的に成る。操作に当たっ
ては、酸素と燃料ガス(例えばアセチレン)との特定の
比率(通常は約1:1)の混合物が、コーティングされ
るべき粉末の装填物と共にバレル中に供給される。次い
でこのガスが点火され、デトネーション波が粉末を約2
400フィート/秒(730m/秒)に加速しながら、
粉末をその融点付近又はそれ以上に加熱する。粉末がバ
レルを出た後に、窒素のパルスがバレルをパージし、シ
ステムに次のデトネーションの用意をさせる。次いでこ
のサイクルを何回も繰り返す。
【0011】D−ガンはそれぞれのデトネーションにつ
いて1つのコーティングの環(circle)を基材上に付着
させる。コーティングの環は、直径約1インチ(25m
m)、厚さ1万分の数インチ(即ち数μ)である。それ
ぞれの環状コーティングは、個々の粉末粒子に対応する
顕微鏡サイズのたくさんの縦長平板状物が部分的に重な
り合って成る(以下、部分的に重なり合うことを単に重
なり合うと言う)。これらの重なり合った縦長平板状物
は、それらの界面において実質的に合金を作ることな
く、互いに且つ基材に対して絡み合い且つ結合する。均
一な厚さの平滑なコーティングを堆積させ且つ基材の加
熱及び適用されたコーティング中における残留応力を最
小限にするためには、コーティング付着物中の環群の配
置が緊密になるように調節する。
【0012】原則として、溶射法において用いられる粉
末状のコーティング材料は、適用されたコーティング自
体と本質的に同じ組成を有するだろう。しかし、ある種
の溶射装置を用いた場合には、組成の変化が予測される
ことがある。かかる場合には、所望のコーティング組成
を達成するように粉末の組成を調節する。
【0013】以下においては特にプラズマアークスプレ
ー法によって製造されるコーティングを参照して本発明
を説明するが、上で挙げた任意の既知の付着技術又は類
似の技術を用いることもできるということを理解された
い。
【0014】本発明に従えば、金属基材に耐摩耗・耐腐
蝕性コーティングが次のようにして適用される。まず、
炭化タングステンを含有する第一の成分並びに硼素とニ
ッケル、コバルト及び鉄より成る群から選択される少な
くとも1種の金属とを含有する第二の成分を含む複数の
別々の成分を含有する機械的にブレンドされた粉末混合
物をプラズマ溶射する。この粉末混合物は、第一若しく
は第二成分中に又は別の第三成分中にチタンをも含有す
る。これらの第一、第二又は第三成分(好ましくは第二
の硼素含有成分)は約1200℃より低い融点を有する
べきである。この付着させたままのコーティングを次い
で、粉末混合物中のこの成分を溶融させるのに充分な高
温において熱処理する。これらの温度において、溶射プ
ロセスによって付着された薄い重なり合った縦長平板状
物(それらの一部は炭化タングステン成分をチタンと共
に又はチタン無しで含有し、別の一部は硼素含有合金成
分をチタンと共に又はチタン無しで含有し、最初に挙げ
たいずれ成分中にもチタンを用いない場合にはさらにそ
の他の部分がチタンを含有する)の間で拡散及び化学反
応が起こる。炭素のチタンに対する親和力はタングステ
ンに対する親和力より大きいので、これらの拡散及び化
学反応は、炭化物相中のタングステンのチタンによる置
換をもたらし、タングステンと硼素との間の反応をもた
らして硼化物の沈殿を形成させる。炭化チタン粒子及び
硼化タングステン沈殿は金属マトリックス中に分散され
る。付着の際には粉末粒子の間で本質的に何ら反応は起
こらず、熱処理の前は縦長平板状物はそれらの初期粉末
組成を維持する。
【0015】本発明のコーティングは、2成分系、即ち
第一の炭化タングステン成分及び第二の硼素含有合金成
分を用いて(第一成分若しくは第二成分のいずれか又は
両方がチタンを含有する)製造することができ、また、
多成分系を用いることもできる。多成分系は、最初の2
つの成分のいずれか一方にチタンを用いない場合に用い
られる。この多成分系にまた、金属マトリックス中に追
加の元素を含ませることが望まれる場合にも用いること
ができる。
【0016】炭化チタン及び硼化タングステンを含有す
るコーティングの形成は、次の式の内の一つに従って進
行することができる:
【化1】 (ここで、M1及びM2はニッケル、コバルト及び鉄より
成る群から選択される少なくとも1種の金属並びに随意
としてのその他の任意の金属又は金属合金であり、Bは
硼素であり、M1=M1’+M1”である)。
【0017】前記の元素に加えて、M1及びM2は炭素、
酸素及び窒素のようなその他の元素を少量含有すること
もまたできる。
【0018】粉末混合物中に用いられるチタン、タング
ステン、炭化物及び硼素の割合は、金属マトリックス中
に沈殿する炭化チタン及び硼化タングステンの両方の体
積分率を決定する。一般的に、タングステン対硼素の比
は約0.4〜約2.0の範囲に保つべきである。チタン
対炭素の比は約1.0である。
【0019】最適な摩耗及び腐蝕特性のためには、コー
ティング中の炭化チタン及び硼化タングステン沈殿の体
積分率を約30〜約80容量%の範囲に保つべきであ
る。典型的には、炭化チタン粒子の体積分率は約15〜
30容量%であり、硼化タングステン沈殿の体積分率は
約30〜50容量%である。
【0020】硼素含有合金中の元素が次の割合: 約3〜約20重量% 硼素 0〜約10重量% モリブデン 0〜約20重量% クロム 0〜約5重量% マンガン 0〜約5重量% アルミニウム 0〜約1重量% 炭素 0〜約5重量% 珪素 0〜約5重量% 燐 0〜約5重量% 銅 0〜約5重量% 鉄 残り ニッケル、コバルト若しくは鉄又
はそれらの組合せ物の内に保たれれば、前記の範囲の硼
化タングステンの体積分率を有するコーティングを製造
することができるということがわかった。
【0021】硼素含有合金としては、拡散反応の要件を
満足するものでありさえすれば、殆どの任意の硼素含有
合金を本発明に従うコーティングの製造に用いることが
できる。本発明に従うコーティングの製造に用いるのに
特に適した合金を、以下の表Iに与える。
【0022】
【表1】
【0023】もちろん、チタン含有合金又は化合物が硼
素を含有する場合、例えばTiB2の場合には、硼素含
有合金が必要とはされなくすることが実現されるだろ
う。
【0024】本発明の実施に当たっては、付着させたま
まのコーティングを、硼素含有合金が拡散反応を促進す
るのに充分流動性であるのに充分高い温度(典型的には
約1000℃)において熱処理することが重要である。
この熱処理温度は、所望ならば1000℃よりもかなり
高くすることができ、例えば約1200℃にすることが
できるが、しかしこの温度は、基材に有害作用を及ぼす
ほど高くすべきではない。付着させたままのコーティン
グを、コーティングの成分の間の反応及び(又は)拡散
を促進するのに充分な時間、熱処理温度に保つべきであ
る。また、基材についても、制限された量ではあるが重
大な量の拡散反応が起こる。
【0025】コーティングの熱処理は、真空又は不活性
ガス炉中で実施するのが一般的である。また、高温にお
ける時間が充分短く又はコーティングの有意の酸化が何
ら起こらないような保護性雰囲気がもたらされる限り、
電子ビーム、レーザービーム、移行式プラズマアーク、
誘導加熱又はその他の技術のような表面融解プロセスに
よって熱処理を達成することもできる。
【0026】本発明の利点は、前記の既知の付着技術又
は類似の技術を用いて、多くの様々なタイプの基材にう
まくコーティングを適用することができるということで
ある。しかしながら、基材は熱処理の影響に何ら有害な
結果なしに耐えることができなければならない。本発明
に従ってコーティングすることができる好適な基材材料
には、例えば鋼、ステンレス鋼、鉄ベース合金(鉄を基
とする合金。以下、・・・ベース合金とはすべて・・・
を基とする合金を意味する)、ニッケル、ニッケルベー
ス合金、コバルト、コバルトベース合金、クロム、クロ
ムベース合金、チタン、チタンベース合金、耐火性金属
及び耐火性金属ベース合金が包含される。
【0027】本発明のコーティングは、炭素鋼、ステン
レス鋼、並びに超合金{例えば鉄、ニッケル及び(又
は)コバルトベース合金}の基材に適用するのに特に有
利である。
【0028】本発明に従って製造されるコーティングの
厚さは、一般的に約0.005〜約0.040インチ
(1.3×102〜1.0×103μm)の範囲である。
【0029】本発明のコーティングの微細構造は多少複
雑であり、充分に理解されていない。しかし、これまで
実施された研究から、コーティングが、金属マトリック
ス中に分散された超微細な炭化チタン粒子及び硼化タン
グステン沈殿を含む2つの別個の硬質相を本質的に含有
するということがわかっている。金属マトリックスは本
質的に結晶質であり、比較的稠密であり、いずれの硬質
相よりも柔らかく、低い透過性を有する。
【0030】炭化チタン粒子及び硼化タングステン沈殿
の寸法は、熱処理温度及び時間を含むいくつかの要因に
応じて変化する。しかしながら、平均粒子寸法は一般的
にμ以下、典型的には約0.5〜約3.0μとなるだろ
う。
【0031】一般的に言えば、コーティングの硬度は硬
質相の体積分率に直接比例して変化する。例えば、粉末
混合物中のタングステン対硼素の原子比を変えることに
よって硬度を特定範囲の値に仕立てることができる。コ
ーティングの硬度は典型的には約800DPH300(H
V.3)である。
【0032】本発明の重大な利点は、タングステンと硼
素含有合金との間の拡散反応が比較的低い熱処理温度、
例えば約1000℃において起こるということである。
この現象の正確な理由はわかっていないが、溶射によっ
て基材上に付着される層状の縦長平板状物又は葉状物の
内部における高い内部応力の蓄積及び転位によるものと
思われる。対照的に、慣用の注型又はホットプレス法で
は、有意に高い温度、即ち約1300℃を超える温度に
おいて金属硼化物及び炭化物が生成されるのが一般的で
ある。これらの高い温度は通常は殆どの鋼にとって有害
である。本発明のコーティング方法には低い熱処理温度
が必要とされるだけなので、何の悪影響もなく基材をコ
ーティングすることができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例によって本願発明の実施をさら
に例示する。
【0034】例I 炭化タングステン−コバルト合金と二硼化チタン(Ti
2)と合金No.2との粉末混合物を、3/4×1/2×(2+3/
4)インチ(19×13×70mm)の寸法にしたAISI 1
018鋼試験片上に約0.020インチ(0.5mm)の
厚さでプラズマ溶射することによって、一連のTiC/
2CoB2コーティングを製造した。{AISI 1018は低
炭素鋼(約0.18C、残りがFe)である。}混合配
合物は次の通りである:50重量%(WC−10Co)
+10重量%TiB2+40重量%合金No.2。W対Bの
原子比は約1だった。付着させたままのコーティングの
磨かれた横断面を図1に示す。コーティングは、このコ
ーティングは、不規則形状の縦長平板状物が互いに且つ
鋼基材に対してしっかり接着して成る層状構造を有して
いる。これらの縦長平板状物は、溶融状態又は半溶融状
態のWC−Co、TiB2及び合金No.2粉末を基材上に
衝突させることによって形成された。この付着させたま
まのコーティングを次いで真空又はアルゴン中で約10
00〜1075℃の温度において1時間熱処理した。図
2に、熱処理後のコーティングの構造を示す。示された
通り、このコーティングは、最初のコーティング、並び
にコーティング材料と基材との間の拡散反応によって形
成された相互拡散帯域から成る。相互拡散帯域は幅約5
0〜60μmであり、拡散帯域/基材の界面に沿って指
様の鉄−硼化物相が散乱していた。最初のコーティング
は、Ni−Cr−Si−Feマトリックス中に均一に分
布された非常の多数の微粒子を含有していた。X線回折
及びEDX分析によって、これらの粒子はTiC及びW
2CoB2と同定された。TiC及びW2CoB2相は、T
i対Cの親和力がW対Cの親和力より大きいために、炭
化物中のWがTiに置き換わり、拡散の間にW及びCo
がBと反応し、WC−CoとTiB2との間で化学反応
が起こることによって形成された。図3において、走査
型電子顕微鏡が粒子寸法が1μmより小さいTiC及び
2CoB2相を示す。W2CoB2相は特徴的な明るいコ
ントラストを示し、他方TiC相はマトリックス中に分
散された黒っぽいコントラストを示す。
【0035】コーティングの金属組織検査は、0.5〜
0.75%の範囲の見掛気孔率及び約700〜1100
DPH300(HV.3)の範囲の硬度を示した。
【0036】上で製造されたTiC/W2CoB2コーテ
ィングの研磨摩耗特性を、ASTM規格G65−80
(手順A)に記載されている標準乾燥砂/ゴム車輪研磨
試験を用いて測定した。この試験においては、コーティ
ングされた試験片に、レバーアーム手段によって、車輪
のまわりにクロロブチルゴムリムを有する回転車輪に対
して荷重をかけた。研摩材(50〜70メッシュのオタ
ワシリカサンド)をコーティングとゴム車輪との間に導
入した。この車輪を研摩材の流れの方向に回転させた。
この試験片を試験の前後で計量し、その重量損失を記録
した。試験した様々な材料の密度は大きく異なるので、
その質量損失を材料の容量損失に標準的に変換して、そ
の材料の相対的ランキングを評価した。これらのコーテ
ィングについての平均容量損失は約1.4mm3/10
00回転だった。
【0037】また、これらのTiC/W2CoB2コーテ
ィングを侵食試験にも付した。これらの試験は、公称寸
法27μのアルミナ粒子を用い、粒子速度を約91m/
秒とし、衝突角度を90°及び30°にして、標準的手
順に従って実施した。侵食速度はそれぞれ約128μm
/g及び約26μm/gであることがわかった。
【0038】これらのコーティングの耐研磨及び耐侵食
性は他の慣用のコーティングと比較して優れていると認
められた。
【0039】別の一連の試験において、組成が異なる2
つのTiC/W2CoB2コーティングについて酸化測定
を行ない、慣用の炭化タングステンベースコーティング
と比較した。各サンプルコーティングの酸化の量を、重
量増加(μg/cm2)及び酸化性環境にさらした時間
を測定することによって決定した。試験の結果を図4に
示す。例えば、慣用のWCコーティングは曲線Aによっ
て示されるように650℃の温度に加熱された時にかな
りの重量増加を示したということがわかる。50重量%
(WC−10Co)+8重量%TiB2+42重量%合
金No.2を含む粉末混合配合物P1から作られたTiC/
2CoB2は、曲線Bによって示されるように、多少低
い重量増加を示した。しかし、50重量%(WC−10
Co)+10重量%TiB2+40重量%合金No.2を含
む粉末混合配合物P2から作られたTiC/W2CoB2
コーティングは、曲線Cによって示されるように、殆ど
重量増加を示さなかった。後者のコーティングは、約9
00℃を越える温度にさらされるまで、重量損失を殆ど
示さなかった。
【0040】例II 炭化タングステン−コバルト合金と二硼化チタン(Ti
2)とコバルトと合金No.2との粉末混合物を、3/4×1/
2×(2+3/4)インチ(19×13×70mm)の寸法に
したAISI 1018鋼試験片上に約0.020インチ(0.
5mm)の厚さでプラズマ溶射することによって、一連
のTiC/WCoBコーティングを製造した。例Iにお
けるようなW2CoB2よりもWCoBが生成するように
するために、追加のコバルトを粉末混合物中に用いた。
この混合物の配合は次の通りだった:50重量%(WC
−10Co)+10重量%TiB2+20重量%合金No.
2+20重量%Co。W対Bの原子比は約1だった。こ
の付着させたままのコーティングを真空又はアルゴン中
で約1050〜1075℃の温度において1時間熱処理
した。熱処理後に、コーティングを冷却し、検査した。
これらのコーティングは、Ni−Cr−Si−Feマト
リックス中に分散されたTiC及びWCoB沈殿を含有
する縦長平板状物の層状構造を有していた。沈殿の寸法
は約1μ未満だった。
【0041】これらのTiC/WCoBコーティングの
硬度は700〜1100DPH3000(HV.3)の範囲
だった。
【0042】これらのコーティングの研磨摩耗及び侵食
特性を、例Iに記載したのと同じ試験手順を用いて測定
した。これらのコーティングの砂研磨摩耗率は、約1.
9mm3/1000回転だった。30°及び90°の衝
突角度におけるアルミナ粒子に対する侵食摩耗率は、そ
れぞれ約30μm/g及び130μm/gであることが
わかった。これらのコーティングの研磨及び侵食特性
は、良好乃至優秀であると認められた。
【0043】例III タングステン−炭化チタン−ニッケル合金と合金No.5と
の粉末混合物を、3/4×1/2×(2+3/4)インチ(19×
13×70mm)の寸法にしたAISI 1018鋼試験片上に
約0.020インチ(0.5mm)の厚さでプラズマ溶
射することによって、一連のTiCに富んだTiC/W
2NiB2/WC/WC2コーティングを製造した。この
混合物の配合は次の通りだった:60重量%(W,T
i)C−Ni+40重量%合金No.5。これらの付着させ
たままのコーティングを真空又はアルゴン中で約104
5℃の温度において1時間熱処理し、次いで冷却した。
これらのコーティングは、Ni−Cr−Si−Feマト
リックス中にWC又はWC2粒子の間にTiC及びW2
iB2の微細沈殿が分散された層状構造を有していた。
【0044】これらのコーティングの硬度は、約900
DPH300(HV.3)だった。
【0045】また、これらのコーティングの研磨摩耗特
性も、例Iに記載した標準乾燥砂/ゴム車輪試験を用い
て測定した。平均摩耗率は1.3mm3/1000回転
であることがわかった。30°及び90°におけるアル
ミナ粒子に対する侵食摩耗率(供給速度1.2g/分、
速度=91m/秒)は、30μm/g及び126μm/
gだった。このコーティングの侵食特性も非常に良好乃
至優秀であると認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う典型的な付着させたままのコーテ
ィングを示す、220倍の倍率で撮られた顕微鏡写真で
ある。
【図2】本発明に従う熱処理されたコーティングを示
す、440倍の倍率で撮られた顕微鏡写真である。
【図3】本発明に従う典型的なコーティングの微細構造
を拡大して詳細に示す、3500倍の倍率で撮られた顕
微鏡写真である。
【図4】酸化性環境にさらされたときの本発明に従って
製造されたコーティング及び慣用のコーティングの重量
増加を比較するグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属マトリックス中に硬い超微細な炭化
    チタン粒子及び硼化タングステン沈殿が分散されて成
    る、基材上の耐摩耗性且つ耐腐蝕性のコーティングであ
    って、 前記の2つの相がコーティングの約30〜約80容量%
    を占め、残りが金属マトリックスである、前記コーティ
    ング。
  2. 【請求項2】 炭化チタン粒子がコーティングの約15
    〜30容量%を占め、硼化タングステン沈殿がコーティ
    ングの約30〜50容量%を占め、コーティング中のタ
    ングステン対硼素の原子比が約0.4〜2.0の範囲で
    あり、チタン対炭素の原子比が約1.0であり、炭化チ
    タン粒子及び硼化タングステン沈殿の平均寸法が約0.
    5〜約3.0μの範囲であり、且つ、コーティングが約
    700〜1200DPH300(HV.3)の硬度を有す
    る、請求項1記載のコーティング。
  3. 【請求項3】 金属マトリックスがニッケル、コバルト
    及び鉄より成る群から選択される少なくとも1種の金属
    から成り、且つ、基材が鋼、ステンレス鋼、鉄ベース合
    金、ニッケル、ニッケルベース合金、コバルト、コバル
    トベース合金、クロム、クロムベース合金、チタン、チ
    タンベース合金、耐火性金属及び耐火性金属ベース合金
    より成る群から選択される材料である、請求項1記載の
    コーティング。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008146891A1 (ja) * 2007-05-24 2008-12-04 Jfe Steel Corporation 熱間スラブの表層部手入れ方法及び熱延鋼材の製造方法
JP2010024529A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Sumitomo Heavy Ind Ltd 溶射合金、表面層を備えた部材およびその製造方法
CN103031509A (zh) * 2011-10-08 2013-04-10 中国农业机械化科学研究院 一种强化钛合金表面的方法
JP2015506317A (ja) * 2012-02-15 2015-03-02 ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッドBritish Americantobacco (Investments) Limited パッケージ

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