JP2001019605A - 歯科インプラント用接着剤 - Google Patents

歯科インプラント用接着剤

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JP2001019605A
JP2001019605A JP11195179A JP19517999A JP2001019605A JP 2001019605 A JP2001019605 A JP 2001019605A JP 11195179 A JP11195179 A JP 11195179A JP 19517999 A JP19517999 A JP 19517999A JP 2001019605 A JP2001019605 A JP 2001019605A
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dental implant
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Hideaki Yamada
秀明 山田
Toshihide Nakajima
俊秀 中島
Kenichi Hino
憲一 日野
Tansei Nishimura
丹成 西村
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インプラント体を歯槽骨に強固に固定するこ
とができ、毒性がなく、かつ操作性に優れた歯科インプ
ラント用接着剤を提供する。 【解決手段】 リン酸カルシウム系無機粉末、重合性モ
ノマー混合物及び重合開始剤を含有するペースト(A)
と、リン酸カルシウム系無機粉末、重合性モノマー混合
物及び重合促進剤を含有するペースト(B)とからな
り、上記重合性モノマー混合物は、一般式(I): 【化1】 (式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は
メチル基を示し、pは1〜4の整数である)で表される
モノマー及び一般式(II): 【化2】 (式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は
メチル基を示し、m及びnは1〜5の整数であって、m
+n=2〜6である)で表されるモノマーを含有する歯
科インプラント用接着剤により上記目的が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科インプラント
用接着剤に関する。さらに詳しくは、リン酸カルシウム
系無機粉末、重合性モノマー混合物及び重合開始剤を含
有するペースト(A)と、リン酸カルシウム系無機粉
末、重合性モノマー混合物及び重合促進剤を含有するペ
ースト(B)とからなり、歯科インプラント体を歯槽骨
に埋植する際に、インプラント体と歯槽骨の間の結合を
強化するために用いられる接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、齲蝕や歯周病で失われた歯や歯列
の補綴法としては、部分床義歯、総義歯などのいわゆる
入れ歯が広く用いられてきた。しかし、装着時の違和
感、咀嚼機能の低下、審美性の低さ、清潔性の維持が面
倒、発音への影響などの問題点があり、より良い補綴法
が望まれてきた。近年、失われた歯の部分の歯槽骨にイ
ンプラント体を埋入し、その上部に義歯を装着する補綴
法が提案され、臨床での応用例が多数報告されている。
【0003】このインプラントを用いる補綴法を成功さ
せるためには、歯槽骨にインプラントを強固に固定化す
ることが不可欠であるが、従来のインプラント体は十分
な強度で歯槽骨に固定することができないケースが多
く、手術後に脱落する例が多数報告されている。特に歯
周病による歯槽骨の吸収が起こっている場合には、歯槽
骨自身の強度が低下していることから、埋入したインプ
ラント体をささえることができないという問題があっ
た。
【0004】この問題を解決するために、インプラント
埋入部分(フィクスチャー)にネジ山を設けたスクリュ
ータイプや、ヒドロキシアパタイトを焼結付着して粗面
化したタイプなどが開発されているが、歯槽骨部分の強
度が十分でない場合には、脱落の危険性が高いという問
題は解消されていない。
【0005】ブローネマルクらは、フィクスチャー部分
を歯槽骨に十分に固定するために、フィクスチャーを骨
内に一定期間埋入させて、フィクスチャー表面と骨面の
界面に骨結合を形成させた後、アバットメント及び上部
構造を装着するという2回法を提唱し、インプラント治
療の成功率が向上したという報告をしている[テイッシ
ュー インテグレイテッド プロスセシーズ:オセオイ
ンテグレーション イン クリニカル デンテイストリ
ー:クインテッセンス パブリシング カンパニイ イ
ンコーポレーテッド シカゴ イリノイ(Tissue-integr
ated prostheses:Osseointegration in clinical d
entistry:Quintessense Publishing Co.Inc.Chicago,
Illinois,1-350,1985)]。しかしながら、かかる方法で
は、フィクスチャー埋入時と上部構造体装着時の2回に
わたり大がかりな外科手術を必要とするため、患者に大
きな負担をかけるという問題は残されている。
【0006】一方、医科用修復材料として各種の埋入材
が開発されており、例えば、特開昭59−217666
号公報に、水酸化アパタイトと二官能性(メタ)アクリ
レートからなる歯科用埋入材が開示され、特開昭61−
284253号公報に、金属基材の表面にヒドロキシア
パタイトと熱硬化性樹脂からなる組成物の層を形成させ
たインプラント材料が開示され、特表昭62−5031
48号公報に、無機充填剤粒子とジメタクリレート系モ
ノマーからなる骨セメントが開示されている。しかしな
がら、これらはいずれもすでに固形物として形成した部
材を歯槽骨に埋入するものであるので、前記した問題は
依然として解消されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】歯槽骨にインプラント
体を埋入した後、接着剤で接着する方法によれば、歯槽
骨にインプラント体を強固に固定化できると考えられ
る。かかる目的に使用可能な接着剤としては、歯槽骨と
インプラント体の両方に強固な接着性を示し、かつ毒性
のないことが要求される。特開昭63−240869号
公報に、リン酸カルシウム系セラミックスフィラーと二
官能性メタクリレート及び4−メタクリロキシエチルト
リメリット酸からなるチタンとヒドロキシアパタイトと
の接着性に優れる歯科インプラント用製造用の接着剤が
開示されている。この接着剤は、歯槽骨とインプラント
体の両方に強固に接着することが期待されるが、重合時
に高温となるため、口腔内での使用には適さない。した
がって、本発明の目的は、歯槽骨とインプラント体の両
方に強固な接着性を示し、毒性がなく、かつ口腔内での
作業に適した操作性のよい歯科インプラント用接着剤を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に適う接着剤について鋭意検討したところ、骨補填材に
有効ですでに本出願人により特願平7−291994号
として出願した硬組織補修用組成物が、意外にも、歯槽
骨とインプラント体のいずれにも強い接着性を示し、操
作性にも優れることを見出し、本発明に至った。すなわ
ち本発明は、リン酸カルシウム系無機粉末、重合性モノ
マー混合物及び重合開始剤を含有するペースト(A)
と、リン酸カルシウム系無機粉末、重合性モノマー混合
物及び重合促進剤を含有するペースト(B)とからな
り、上記重合性モノマー混合物は、一般式(III):
【化3】 (式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は
メチル基を示し、pは1〜4の整数である)で表される
モノマー及び一般式(IV):
【化4】 (式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は
メチル基を示し、m及びnは1〜5の整数であって、m
+n=2〜6である)で表されるモノマーを含有するこ
とを特徴とする歯科インプラント用接着剤である。
【0009】
【発明の実施の態様】本発明のペースト(A)又は
(B)を調製するのに使用するリン酸カルシウム系無機
粉末としては、例えば、第二リン酸カルシウム、リン酸
八カルシウム、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三
カルシウム、リン酸四カルシウム、ヒドロキシアパタイ
トなどが挙げられるが、なかでもα−リン酸三カルシウ
ム、β−リン酸三カルシウム及びヒドロキシアパタイト
が生体適合性に優れており好ましい。
【0010】無機粉末は緻密体を使用するのが好まし
い。本発明でいう緻密体の無機粉末とは、実質的に空孔
を有さない無機粉末であり、液浸法による密度が3g/
ml以上、かつ水銀圧入法による細孔容積が0.1ml
/g以下のものを意味する。無機粉末として、密度又は
細孔容積が上記の範囲からはずれるものを使用すると、
後述する重合性モノマー混合物と混合した時に該重合性
モノマー混合物が無機粉末の空孔内に吸収され、無機粉
末の含有量の高いペーストが得られないことがある。
【0011】リン酸カルシウム系無機粉末を有機物であ
る重合性モノマーと均一に混合して安定なペーストとす
るには、無機粉末の表面に有機基を導入するのが好まし
く、その手段として、有機シランカップリング剤で処理
することが挙げられる。特に、無機粉末をシラン化合物
で一次処理した後に熱処理を行ない、さらに有機シラン
カップリング剤で二次処理することにより、適度な流動
性を有するペーストが得られ、かつ硬化物の強度が高く
なる。これは、ケイ素を含まないリン酸カルシウム系無
機粉末にシラン化合物による処理、及び熱処理を行うこ
とにより、無機粉末の表面にケイ素が導入され、これに
第2の有機シランカップリング剤が結合することによる
ものと考えられる。
【0012】シランカップリング剤としては、例えば、
γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γーメ
タクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γーメタク
リロキシプロピルートリス(βーメトキシエトキシ)シラ
ン、γーアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げ
られる。2回の有機シラン処理に用いるシランカップリ
ング剤は同一のものでも、異なるものでもよいが、2回
目の処理にはγーメタクリロキシプロピルトリメトキシ
シランのように重合性二重結合を有するシランカップリ
ング剤を用いると、硬化物との結合がより強固になるの
でさらに好適である。2回のシラン処理の中間に行なう
熱処理は、1回目のシラン処理で導入された有機シラン
カップリング剤を熱分解できる温度であればよく、あま
り高温では無機粉末の組成や構造が変化する場合がある
ので、熱処理温度は300℃ないし800℃が望まし
い。
【0013】本発明のペースト(A)又は(B)を調製
するのに使用する重合性モノマー混合物は、前記した一
般式(III)及び一般式(IV)で表されるモノマー
の混合物である。ペースト(A)を構成するモノマー混
合物と、ペースト(B)を構成するモノマー混合物は、
同一の組成であることが好ましい。モノマー混合物にお
いて、一般式(III)で表されるモノマーの含有量
が、あまり少ないとペーストの流動性が低くなりすぎて
操作性が悪くなる傾向にあり、また、あまり多いと、ペ
ーストの安定性が悪く、ペーストから無機粉末が分離し
てくる傾向にあるので、本発明において、一般式(II
I)で表されるモノマーの含有量は、全モノマー混合物
の40〜65重量%であるのが好ましく、45〜60重
量%の範囲内で使用するのがさらに好ましい。
【0014】一般式(III)で表されるモノマーは流
動性の高い液体で、他のモノマーを溶解し、かつ無機粉
末と均一に混合して安定なペーストを形成する。このモ
ノマーは親水性であり、本発明の組成物が重合硬化する
際に、周囲の酸素の重合阻害作用によって、硬化物表面
に未重合のモノマーが僅かに残存し、これが周囲の体液
などの水分に溶解することによって硬組織と親和性のあ
る無機粉末の粒子が多数露出して、周囲の硬組織と直接
接触し、結合し、硬組織との接着性が強固になるものと
考えられる。このようなモノマーの具体例としては、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタ
クリレート、プロピレングリコールジメタクリレートな
どを例示することができるが、なかでもトリエチレング
リコールジメタクリレートが好ましい。
【0015】一般式(IV)で表されるモノマーは流動
性の低い液体であり、無機粉末を保持して安定なペース
トを形成する。このモノマーは疎水性で、硬化物の耐水
性を向上させる効果もある。このようなモノマーとして
は、例えば、2,2ービス(4ーメタクリロキシエトキシ
フェニル)プロパン、2,2ービス(4ーメタクリロキシ
ポリエトキシフェニル)プロパン、2,2ービス(4ーメ
タクリロキシポリプロポキシフェニル)プロパンなどを
あげることができるが、なかでも2,2ービス(4ーメタ
クリロキシエトキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0016】本発明のペースト(A)を調製するのに使
用する重合開始剤としては、例えば有機過酸化物をあげ
ることができ、ジアシルパーオキシド類やパーオキシエ
ステル類が好ましく、ベンゾイルパーオキサイド、2,
4ージクロルベンゾイルパーオキサイド、mートリルパー
オキサイド、tーブチルパーオキシベンゾエート、ジーt
ーブチルパーオキシイソフタレート、2,5ージメチルー
2,5ージ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5ージ
メチルー2,5ージ[(oーベンゾイル)ベンゾイルパーオ
キシ]ヘキサン、2,5ージメチルー2,5ージ[(oーベン
ゾイル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキシンー3,3,
3’、4,4’ーテトラ(tーブチルパーオキシカルボニ
ル)ベンゾフェノンなどが用いられる。
【0017】本発明のペースト(B)を調製するのに使
用する重合促進剤としては、芳香環に直接アミノ基が結
合している第3級アミンが好ましく、N,Nージメチルー
pートルイジン、N,Nージメチルアニリン、Nーメチルー
Nー(2ーヒドロキシエチル)アニリン、N,Nージ(2ー
ヒドロキシエチル)アニリン、N,Nージ(2ーヒドロキ
シエチル)ーpートルイジン、N,Nージ(2ーヒドロキシ
プロピル)アニリン、N,Nージ(2ーヒドロキシプロピ
ル)ーpートルイジンなどを例示することができる。
【0018】本発明で使用する重合開始剤及び重合促進
剤は、それ単独では常温で短時間では重合を開始しない
が、両者を混合することによりラジカルが発生し、モノ
マー混合物を硬化させる働きをするものである。したが
って、これらの重合開始剤及び重合促進剤は、モノマー
混合物を十分に硬化させ得るだけの量を使用する必要が
あり、通常、それぞれ、モノマー混合物に対し0.1〜
2重量%の範囲で使用される。
【0019】ペースト(A)を調製するには、上記リン
酸カルシウム系無機粉末、重合性モノマー混合物及び重
合開始剤を混合すればよく、また、ペースト(B)を調
製するには、上記リン酸カルシウム系無機粉末、重合性
モノマー混合物及び重合促進剤を混合すればよい。ペー
スト(A)又は(B)中の無機粉末の含有量は、あまり
少ないと、接着剤単位重量当たりの重合性モノマーの量
が多くなり、無機粉末と骨との接着が阻害されて良好な
生体適合性が発揮されないことがあり、また、接着剤を
硬化させる時の発熱量が大きくなり、患者の組織に傷害
を与えることがあり、しかも硬化物の強度が充分でない
ことがあり、一方、ペースト中の無機粉末の含有量をあ
まり多くすると、ペーストの粘度が高くなり、場合によ
っては均一なペーストが得られず、優れた操作性が実現
できないことがあるので、75〜85重量%の範囲内で
実施するのが好ましい。
【0020】ペースト(A)中の無機粉末の含有量と、
ペースト(B)中の無機粉末の含有量は同一であること
が望ましい。また、本発明で使用する無機粉末の粒径は
0.1〜100μmのものが好ましく、0.1〜50μ
mのものがさらに好ましい。無機粉末の粒径をこのよう
な幅広い分布のものとすることにより、ペースト中の無
機粉末の含有量を高め、上記の範囲とすることができ
る。
【0021】上記モノマー混合物には、疎水性のジメタ
クリレート、例えば2,2-ビス〔4−(3−メタクリロ
イルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プ
ロパン(以下これをBisーGMAと略称する)、2,2
−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパンなどを
第三成分として添加することができる。ここでいう疎水
性とは、37℃の生理食塩水に対する飽和溶解度が50
0ppm以下のものをいう。かかる疎水性のジメタクリ
レートは、全モノマ−混合物の0〜30重量%の範囲内
で使用される。
【0022】さらに、上記モノマー混合物に酸性基を有
するモノマーを含有させると、金属に対する接着性を向
上させることができ、好ましい。このような酸性基を有
するモノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、6−
(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェン
ホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシ
ルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルフェニルジハイドロジェンホスフェ
ートなどのリン酸残基を有するモノマーや、4−(メ
タ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸及
びその無水物などのカルボン酸残基を有するモノマー
や、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸などのスルホン酸残基を有するモノマーなど
をあげることができる。
【0023】本発明の歯科インプラント用接着剤は滅菌
されている必要があり、モノマー混合物と無機粉末を別
々に滅菌しておき、両者を混合してペーストを形成して
もよいし、ペーストを形成した後に滅菌してもよい。滅
菌方法は、オートクレーブ滅菌、γ線滅菌、EOG滅
菌、濾過滅菌等、公知の方法から適宜選択することがで
きる。
【0024】本発明の歯科インプラント用接着剤は、重
合開始剤を含むペースト(A)と重合促進剤を含むペー
スト(B)を混合して使用される。ペーストの稠度を2
0〜27mmとするとペースト(A)又は(B)を均一
に混合することができ好ましい。本発明でいうペースト
の稠度とは、25℃で0.5mlのペーストを2枚のガ
ラス板にはさみ、40gの圧力を加えたとき、30秒後
に広がった直径(mm)をいう。混合方法としては、文
献〔S.D.チェンほか、「スタティック・ミキシング・ハ
ンドブック−静的混合プロセスのすべて−」(綜合化学
研究所、1973発行)、第9〜15頁〕に記載された
スタティックミキサーを使用すると、ペーストの均一な
混合と得られた混合物の患部への充填を能率よく同時に
行なうことができ好ましい。
【0025】図1に、ペーストの混合に使用される装置
の一例を示す。かかる装置は、ディスペンサー1、ミキ
サー部2、ペースト(A)及びペースト(B)を充填し
た一対のシリンジ3、3’から構成されている。ディス
ペンサー1の引金を引くことによりプランジャー4が押
し込まれ、シリンジ3、3’内のペーストが共通の吐出
孔5を通ってミキサー部2へと押し出される。ミキサー
部2には分離と混合を連続的に行なうための羽根が内蔵
されており、ペーストはミキサー部2を通過する際に完
全に混合され、ミキサー部2の出口から直接あるいは所
望の長さのチューブを介して患部に注入される。
【0026】なお、かかる装置を使用する場合、通常患
者の体内に接触するので、滅菌処理をしておくのが好ま
しい。滅菌方法は、EOG滅菌、オートクレーブ滅菌等
公知の方法を適宜実施することができる。また、ミキサ
ー部2、シリンジ3及びプランジャー4は使い捨てとす
ることが望ましい。
【0027】本発明において、両ペーストを混合する
際、混合物の表面は空気中の酸素の影響によって硬化が
遅れる場合があり、これを阻止するために、ペースト中
にさらに光重合開始剤を添加しておくと、光照射によっ
て表面からも硬化させることが可能となる。かかる光重
合開始剤としては、カンファーキノン及びアミン類の組
み合わせを使用することができる。以下、本発明を実施
例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0028】
【実施例】実施例1 (1)ヒドロキシアパタイト粉末の作製 文献〔E.Hayek and H.Newesel, "Inorganic Synthe
sis VII", McGraw-Hill,New York (1963)、第63
頁〕に記載の方法に従ってCa/PO4のモル比が1.
67となるよう、リン酸一水素アンモニウム水溶液、硝
酸カルシウム水溶液及びアンモニア水を混合加熱してヒ
ドロキシアパタイトを合成した。得られたヒドロキシア
パタイトを遠心脱水し、80℃にて乾燥した後、110
0℃で2時間焼成し、次いでボールミルで粉砕して、平
均粒径4μm、粒径0.1〜50μm、密度3.27g
/ml、細孔容積0.057ml/gのヒドロキシアパ
タイト粉末を得た。
【0029】得られたヒドロキシアパタイト粉末400
gを、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
8gのアセトン溶液240mlに加え、室温で1時間撹
拌し、アセトンを減圧留去した後、室温で乾燥し、さら
に750℃で2時間熱処理した。次いで本粉末をγーメ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン8gのトルエ
ン溶液600mlに加え、3時間還流加熱し、トルエン
を減圧留去した後、室温で乾燥し、シラン処理ヒドロキ
シアパタイト粉末を作製した。
【0030】(2)モノマー混合物の調製 一般式(1)で表されるモノマーとしてトリエチレング
リコールジメタクリレート(以下これをTEGDMAと
略称する)50重量部、一般式(2)で表されるモノマ
ーとして2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)
プロパン(以下これをビス−MEPPと略称する)20
重量部、及び第三のジメタクリレートとしてBis−G
MA30重量部を混合し、モノマー混合物を調製した。
【0031】(3)ペーストA1、B1の調製 上記(2)で得られたモノマー混合物20重量部に対
し、過酸化ベンゾイル0.3重量部及び(1)で得られ
たシラン処理ヒドロキシアパタイト粉末80重量部を加
え、乳鉢でよく混和してペーストA1を調製した。ま
た、同じモノマー混合物20重量部に対し、N,Nージ
(2ーヒドロキシエチル)−p-トルイジン0.4重量部
及び(1)で得られたシラン処理ヒドロキシアパタイト
粉末80重量部を混和してペーストB1を調製した。
【0032】実施例2 (1)ヒドロキシアパタイト粉末の作製 実施例1と同様の方法でシラン処理ヒドロキシアパタイ
ト粉末を作製した。
【0033】(2)モノマー混合物の調製 一般式(III)で表されるモノマーとしてトリエチレ
ングリコールジメタクリレート(以下これをTEGDM
Aと略称する)48重量部、一般式(IV)で表される
モノマーとして2,2−ビス(4−メタクリロキシフェ
ニル)プロパン(以下これをビス−MEPPと略称す
る)19重量部、及び第三のジメタクリレートとしてB
is−GMA29重量部、酸性モノマーとして10−メ
タクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェー
ト(以下これをMDPと略称する)4重量部を混合し、
モノマー混合物を調製した。
【0034】(3)ペーストA2、B2の調製 モノマー混合物として上記(2)で調製したものを使用
する以外は、実施例1と同様の方法でペーストA2、B
2を調製した。
【0035】比較例1 特表昭62−503148号公報に従い、TEGDMA
50重量部、Bis−GMA50重量部を混合し、この
モノマー混合物に過酸化ベンゾイル1重量部及びヒドロ
キシアパタイト粉末70重量部を加え、乳鉢でよく混合
してペーストCを調製した。また、上記と同じモノマー
混合物30重量部にN、N−ジ(2−ヒドロキシエチ
ル)−p−トルイジン0.6重量部及びヒドロキシアパ
タイト粉末70重量部を混和してペーストDを調製し
た。
【0036】試験例1 (1)ブタ顎骨に埋入したインプラントの引き抜き強度
の測定 屠殺したブタから採取した顎骨の左右5カ所ずつに、ス
テリオス社製スレッドインプラント用外科用インスツル
メントを用いて、3.25mmインプラント用の埋入窩
を形成した。次に、この埋入窩1カ所に1本ずつステリ
オス社製のHLチタンスレッドインプラント(3.25
mm)を埋入した。この時、左側の5カ所にはインプラ
ントを直接埋入し、右側の5カ所にはインプラントのネ
ジ山部分に実施例1で調製したペーストA1とB1を等
量混合したものをインプラント1本当たり50mgずつ
塗布した後、埋入窩に埋入した。
【0037】インプラントを埋入したブタ顎骨を37℃
の水中に24時間浸漬した後、埋入部分を含む約2cm
四方の試験片とし、インストロン社製万能試験機を用い
て、顎骨からインプラントを引き抜いた場合の破断強度
を測定した。同様にして、実施例2のペーストA2、B
2及び比較例1のペーストC、Dを用いて試験を行った
場合の引き抜き強度を測定した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】(2)イヌ歯槽骨に埋入したインプラント
の引き抜き強度の測定 雑種成犬の下顎両側第3、第4前臼歯を抜歯後、両側5
カ所ずつに、ステリオス社製スレッドインプラント用外
科用インスツルメントを用いて、3.25mmインプラ
ント用の埋入窩を形成した。次に、この埋入窩1カ所に
1本ずつステリオス社製のHLチタンスレッドインプラ
ント(3.25mm)を埋入した。この時、左側の5カ
所にはインプラントを直接埋入し、右側の5カ所にはイ
ンプラントのネジ山部分に実施例1で調製したペースト
A1とB1を等量混合したものをインプラント1本当た
り50mgずつ塗布した後、埋入窩に埋入した。
【0040】インプラントを埋入したブタ顎骨を37℃
の水中に24時間浸漬した後、埋入部分を含む約2cm
四方の試験片とし、インストロン社製万能試験機を用い
て、顎骨からインプラントを引き抜いた場合の破断強度
を測定した。同様にして、実施例2及び比較例1の試料
を用いて試験を行った場合の引き抜き強度を測定した。
結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表1、2より明らかな通り、実施例1及び
2の歯科インプラント用接着剤を用いた場合には、直接
インプラントを埋入した場合に比べて高い引き抜き強度
が得られることが判った。また、モノマー混合物に酸性
モノマーを配合した場合の方がより高い引き抜き強度が
得られることが判った。これに対して、比較例1の試料
は、直接インプラントを埋入した場合と引き抜き強度に
有意差は認められなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明の歯科インプラント用接着剤は、
歯科インプラント体及び歯槽骨の両方に強固な接着性を
示すので、インプラント体を歯槽骨に強固に固定するこ
とができ、ペースト(A)及び(B)の2液タイプで毒
性はなく、かつ操作性に優れているので、口腔内での作
業に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペーストの混合に使用される装置の一例であ
る。
【符号の説明】
1 デイスペンサー 2 ミキサー部 3,3’ シリンジ 4 プランジャー 5 吐出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 丹成 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4C089 AA10 BA16 BC13 BD02 BD07 BD10 BD11 CA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウム系無機粉末、重合性モ
    ノマー混合物及び重合開始剤を含有するペースト(A)
    と、リン酸カルシウム系無機粉末、重合性モノマー混合
    物及び重合促進剤を含有するペースト(B)とからな
    り、上記重合性モノマー混合物は、一般式(I): 【化1】 (式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は
    メチル基を示し、pは1〜4の整数である)で表される
    モノマー及び一般式(II): 【化2】 (式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は
    メチル基を示し、m及びnは1〜5の整数であって、m
    +n=2〜6である)で表されるモノマーを含有するこ
    とを特徴とする歯科インプラント用接着剤。
  2. 【請求項2】 該無機粉末が、シラン化合物で一次処理
    された後、300〜800℃で熱処理され、次いで有機
    シランカップリング剤で二次処理された無機粉末である
    請求項1記載の歯科インプラント用接着剤。
  3. 【請求項3】 該無機粉末のペースト(A)又は(B)
    中における含有量が、75〜85重量%である請求項1
    又は2記載の歯科インプラント用接着剤。
  4. 【請求項4】 該一般式(I)で表されるモノマーが、
    トリエチレングリコールジメタクリレートであり、一般
    式(II)で表されるモノマーが、2,2−ビス(4−
    メタクリロキシエトキシフェニル)プロパンである請求
    項1〜3いずれかに記載の歯科インプラント用接着剤。
  5. 【請求項5】 該一般式(I)で表されるモノマーの含
    有量が、全モノマ−混合物の40〜65重量%である請
    求項1〜4いずれかに記載の歯科インプラント用接着
    剤。
  6. 【請求項6】 該重合性モノマーとして、さらに酸性基
    を有するモノマーを含有することを特徴とする請求項1
    〜5いずれかに記載の歯科インプラント用接着剤。
  7. 【請求項7】 該ペースト(A)又は(B)の稠度が2
    0〜27mmである請求項1〜6いずれかに記載の歯科
    インプラント用接着剤。
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