JP2001017548A - 手元使用流量設定器を有する酸素供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素濃縮器から延長チューブを用いて使用す
る際に、使用流量の変更の操作が手元でできる酸素供給
装置を提供する。 【解決手段】 酸素濃縮器で生成した酸素濃縮気体をカ
ニューラ等の供給手段により供給する酸素供給装置にお
いて、該供給手段に該酸素濃縮気体の使用量を供給し、
過剰酸素濃縮気体をパージする使用流量設定手段を備え
たことを特徴とする酸素供給装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、大気から酸素濃縮
気体を分離して使用するための酸素濃縮器等を含む空気
よりも高い濃度に酸素を含有した呼吸用気体の供給装置
に関するものである。さらに詳細には、吸着型酸素濃縮
器であって、胸部疾患による酸素濃度のある程度高いガ
ス（例えば９０％の酸素濃度）を呼吸用に使用して治療
を行う場合に、より簡単な操作で必要な酸素量の酸素濃
縮気体を使用者に供給できるよう改善された酸素供給装
置を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、喘息や肺気腫、慢性気管支炎等の
呼吸器系疾患に苦しむ患者が増加する傾向にあり、その
最も効果的な治療法の一つとして酸素吸入療法がある。
かかる酸素療法に用いられる酸素源としては、空気中か
ら酸素濃縮空気を直接分離する酸素濃縮装置が開発さ
れ、使用時の利便性、保守管理の容易さから治療装置と
して次第に普及するようになってきている。

【０００３】かかる酸素濃縮装置として、酸素を選択的
に透過する膜を用いた膜型酸素濃縮装置や、窒素又は酸
素を選択的に吸着し得る吸着剤を用いた吸着型酸素濃縮
装置が多用されており、中でも窒素を選択的に吸着し得
る吸着剤を充填した吸着床にコンプレッサーで圧縮空気
を導入して加圧状態で窒素を吸着させることにより酸素
濃縮気体を得る吸着工程と、吸着床の内圧を減少させて
窒素を脱着させ吸着剤の再生を行う脱着工程を交互に行
うことにより酸素濃縮気体を得る圧力変動吸着型酸素濃
縮装置が用いられている。

【０００４】かかる圧力変動吸着型酸素濃縮装置におい
ては、一般的に酸素濃度を約９０％前後に保ち、必要な
酸素量は装置内部に設けられた流量設定手段において流
量を調節、変更することで、各患者へ処方量に対応して
いる。

【０００５】かかる医療用酸素濃縮器を使用する患者
は、胸部疾患のための息切れ、呼吸困難等を呈し、自宅
にて療養生活している場合が多い。このような患者に対
しては、安静時と労作時の２種類の処方がなされる場合
が多く、労作時には吸入する酸素流量を多くする必要が
ある。

【０００６】医療用酸素濃縮器を自宅で使用する場合、
酸素濃縮気体を使用に供するための供給手段に延長チュ
ーブ、鼻カニューラ等を使用し、特に延長チューブは自
宅内の広い範囲で酸素吸入できるように酸素濃縮装置本
体より数メートルから十数メートルの長さに延長され使
用される場合も多い。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このように延長チュー
ブを繋いで酸素吸入を行う場合、酸素量を変更しようと
するには酸素濃縮装置本体にある流量設定ツマミにより
変更を行うが、数メートルから十数メートルを移動して
酸素量を変更する必要がある。使用する患者は状態によ
り移動時等の労作時に酸素量を上げる必要があり、胸部
疾患による息切れ、呼吸困難等のため、十数メートルを
移動して酸素量を上げることが困難な場合があり、使用
流量を、簡単に変更、設定することが望まれていた。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる酸素
供給装置における問題点を解消するために鋭意研究した
結果、該酸素濃縮装置の酸素濃縮気体を使用に供するた
めの供給手段中に流量を設定する使用流量設定手段を設
ける方法を見出した。圧力変動吸着型酸素濃縮器には、
通常、装置性能の維持と安全を確保する為に圧力センサ
ーを具備しており、背圧がかかると圧力異常を検知し圧
力異常警報を発報する。

【０００９】かかる現象を起こさずに流量変更を可能に
する方策として、本発明は使用者の手元に設けた使用流
量設定手段に過剰の酸素濃縮気体をパージする機能を備
えることが有効であることを見い出し、本発明に到達し
たものである。

【００１０】すなわち本発明は、酸素よりも窒素を選択
的に吸着する吸着剤を備えた吸着床、該吸着床に加圧空
気を供給する空気供給手段、該吸着床から発生した酸素
濃縮気体の流量を設定する流量設定手段を備え、該設定
流量の酸素濃縮気体を使用者に供給する酸素供給手段を
備えた酸素供給装置において、該供給手段に該酸素濃縮
気体の使用流量を供給し、過剰酸素濃縮気体をパージす
る使用流量設定手段を備えたことを特徴とする酸素供給
装置を提供するものである。

【００１１】また本発明は、かかる使用流量設定手段
が、流量設定手段とパージ量設定手段を有し、流量設定
手段とパージ量設定手段が共に、流動抵抗の異なる複数
の開口部を備えて流量に対応した開口部を選択して使用
できるようにしたオリフィス型流量設定器であることを
特徴とする酸素供給装置を提供するものである。

【００１２】また本発明は、かかる使用流量設定手段
が、パージ量設定手段を有し、該パージ量設定手段が、
流動抵抗の異なる複数の開口部を備えて流量に対応した
開口部を選択して使用できるようにしたオリフィス型流
量設定器であることを特徴とする酸素供給装置を提供す
るものである。

【００１３】また本発明は、かかる使用流量設定手段
が、圧力コントロール弁、ニードルバルブ及びローター
メーターを備えることを特徴とする酸素供給装置を提供
するものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下に必要に応じて図面を用いな
がら、本発明についてさらに詳細に説明する。図１は本
発明に使用される酸素濃縮器の一例を、図２は本発明の
酸素供給装置の実施様態の一例を示したものである。

【００１５】図１は吸着床が１つである１塔式の圧力変
動吸着型酸素濃縮器であり、吸着床１は酸素よりも窒素
を吸着しやすいモレキュラーシーブ５Ａ等の吸着剤１０
が充填されたものであり、リリーフバルブ２４を備えた
コンプレーッサー４が流路切換弁である２連式ポペット
型弁５を介して導管によって吸着床１に連結されてお
り、さらにサージタンク２が自動開閉弁１２を介して導
管によって吸着床１に連結されている。また流路切換弁
５には吸気マフラー等を備えた吸気用導管と排気マフラ
ー等を備えた排気用導管が設けられている。サージタン
ク２には、調圧弁１９等を備えた酸素濃縮気体取出し用
導管が設けられ、この導管は、さらにＯＮ―ＯＦＦ弁で
あり流量調節機能のない自動開閉弁１８、除菌フィルタ
ー２０、流量設定器２２、加湿器７が設けられている。
流量設定器の上流側には圧力センサー２１が備えられて
おり、バルブ異常や背圧等による機器異常、流量異常を
防止する為に警報が設けられている。

【００１６】本発明の酸素供給装置は、このような酸素
濃縮器で生成された加湿酸素濃縮気体が、延長チュー
ブ、鼻カニューラ等の酸素供給手段により患者鼻孔に供
給される装置であり、使用者の手元側に使用流量設定手
段を備えた装置である。

【００１７】図２において、流量設定ツマミ２９により
酸素濃縮装置から出る酸素濃縮気体の流量を設定するこ
とができる。酸素濃縮装置の酸素濃縮気体を使用に供す
るための供給手段中、具体的には延長チューブ２５、２
６、または鼻カニューラ２７の途中に流量を設定する使
用流量設定手段２８が設けられている。図３、４、５は
本発明の酸素濃縮装置における酸素濃縮気体を使用に供
するための供給手段中に使用流量を設定する手元使用流
量器２８の実施様態を例示したものである。

【００１８】図３は、使用流量設定手段として、流量設
定手段とパージ量設定手段を使用し、流量設定手段とパ
ージ量設定手段が一体化されたものであって、各々の流
量に対応して双方の開口部が同一の操作で選択できるよ
うにしたものの例示である。図３において、３１が、上
流側延長チューブが接続された酸素濃縮気体の流入部で
ある。３３が、開口部３２等の開口面積の異なる複数の
開口部を備えて、パージ量に対応してその開口部が選択
して使用できるようにしたオリフィス型のパージ流量設
定部である。３５が、開口部３４等の開口面積の異なる
複数の開口部を備えて、使用酸素濃縮気体流量に対応し
てその開口部が選択して使用できるようにしたオリフィ
ス型の使用流量設定部である。図３に示されるように、
パージ流量設定部３３と使用流量設定部３４が一体化さ
れている。

【００１９】３６は、パージすべき酸素濃縮気体を排出
する導出部であり、その下流側は大気に解放されてい
る。３７は、使用者に供給すべき酸素濃縮気体の導出部
であって、その下流側には鼻カニューラ等が接続され
る。必要に応じて、延長チューブ、加湿器を介して、鼻
カニューラ等が接続される。３８は一体化されているパ
ージ流量設定部３３と使用流量設定部３４との双方を同
一の回転操作によって、所望の使用流量と所望のパージ
流量に設定するための回転軸であって、回転操作を容易
にするためのツマミ（図示せず）がさらにその左端部に
取り付けられる。

【００２０】さらに４０は、使用流量設定部３５によっ
て設定される流量を表示するための表示板である。４１
は、回転軸３８を回転する際に、パージ用開口部３２等
から選択された開口部がパージすべき気体が通過する開
口部４２に適合し、使用気体用開口部３４等から選択さ
れた開口部が使用者に供給すべき気体が通過する開口部
４３に適合するように、所定の位置で固定するための位
置決め部材である。

【００２１】かかる装置により、必要な酸素濃縮気体を
使用者に供給すると共に、酸素濃縮機器に異常を起こさ
ないように過剰量はパージすることにより背圧がかかる
のを防止することが出来る。

【００２２】図４は、本発明の酸素供給装置における使
用流量設定手段の別の態様として、パージ量設定手段を
使用し、パージ量設定手段が各々の流量に対応して開口
部が選択できるようにしたものの例示である。

【００２３】図４において、４４が、上流側延長チュー
ブが接続された酸素濃縮気体の流入部である。４６が、
開口部４５等の開口面積の異なる複数の開口部を備え
て、パージ量に対応してその開口部が選択して使用でき
るようにしたオリフィス型のパージ流量設定部である。
４７は、パージすべき酸素濃縮気体を排出する導出部で
あり、その下流側は大気に解放されている。４８は、使
用者に供給すべき酸素濃縮気体の導出部であって、その
下流側には鼻カニューラ等が接続される。必要に応じ
て、延長チューブ、加湿器を介して、鼻カニューラ等が接
続される。４９はパージ流量設定部４６を回転操作によ
って、所望のパージ流量に設定するための回転軸であっ
て、回転操作を容易にするためのツマミ（図示せず）が
さらにその左端部に取り付けられる。

【００２４】図５は、本発明の酸素供給装置における使
用流量設定手段の別の実施態様として、流量調節手段に
ニードルバルブ、流量測定手段にローターメーターを使
用したものの例示である。低流量域から高流量域までを
１つ流量計で精度よく測定することは困難なため、特定
の機能を有する面積流量計を複数個組み合わせて使用す
ることが好ましい。複数個組み合わせる場合、並列配置
でも良く、切替弁により切り替えて用いられる。

【００２５】図５において、５１が上流側延長チューブ
が接続された酸素濃縮気体の流入部である。５３、５４
はローターメーターで、コントロール弁５２を付属させ
たものである。５３、５４には過剰の酸素濃縮気体を排
出する排出口と、排出量調節用バルブを上流側に具備し
ている。５５は、使用者に供給すべき酸素濃縮気体の導
出部であって、その下流側には鼻カニューラ等が接続さ
れる。必要に応じて、延長チューブ、加湿器を介して、
鼻カニューラ等が接続される。

【００２６】

【発明の効果】本発明の装置によって、使用流量の変更
の操作が手元でできる酸素供給装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の酸素供給装置における酸素濃縮器の例
示。

【図２】本発明の酸素供給装置の実施態様例。

【図３】本発明の酸素供給装置における使用流量設定手
段の実施態様例

【図４】本発明の酸素供給装置における使用流量設定手
段の実施態様例。

【図５】本発明の酸素供給装置における使用流量設定手
段の実施態様例。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着
   剤を備えた吸着床、該吸着床に加圧空気を供給する空気
   供給手段、該吸着床から発生した酸素濃縮気体の流量を
   設定する流量設定手段を備え、該設定流量の酸素濃縮気
   体を使用者に供給する酸素供給手段を備えた酸素供給装
   置において、該供給手段に該酸素濃縮気体の使用流量を
   供給し、過剰酸素濃縮気体をパージする使用流量設定手
   段を備えたことを特徴とする酸素供給装置。
2. 【請求項２】 該使用流量設定手段が、流量設定手段と
   パージ量設定手段を有し、流量設定手段とパージ量設定
   手段が共に、流動抵抗の異なる複数の開口部を備えて流
   量に対応した開口部を選択して使用できるようにしたオ
   リフィス型流量設定器であることを特徴とする請求項１
   に記載の酸素供給装置。
3. 【請求項３】 該使用流量設定手段が、パージ量設定手
   段を有し、該パージ量設定手段が、流動抵抗の異なる複
   数の開口部を備えて流量に対応した開口部を選択して使
   用できるようにしたオリフィス型流量設定器であること
   を特徴とする請求項１に記載の酸素供給装置。
4. 【請求項４】 該使用流量設定手段が、圧力コントロー
   ル弁、ニードルバルブ及びローターメーターを備えるこ
   とを特徴とする請求項１に記載の酸素供給装置。