JP2001004563A - X線分析装置のソーラースリット装置 - Google Patents

X線分析装置のソーラースリット装置

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JP2001004563A
JP2001004563A JP11177385A JP17738599A JP2001004563A JP 2001004563 A JP2001004563 A JP 2001004563A JP 11177385 A JP11177385 A JP 11177385A JP 17738599 A JP17738599 A JP 17738599A JP 2001004563 A JP2001004563 A JP 2001004563A
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JP
Japan
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solar slit
parallel
angle
solar
slit device
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JP11177385A
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English (en)
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Takeshi Fujinawa
剛 藤縄
Hitoshi Okanda
等 大神田
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ソーラースリット装置の開き角を連続的に可
変にして、ソーラースリット装置を交換することなく任
意の開き角を容易に得る。 【解決手段】 ソーラースリット装置10のフレーム1
2は概略平行六面体である。このフレーム12の内部
に、複数のブレード14が互いに平行になるように等間
隔で配置されている。X線ビームは矢印16の方向から
入射し、ソーラースリット装置10を通過する。その際
に、X線ビームの発散角が制限される。このようなソー
ラースリット装置10において、フレーム12を平行ク
ランク機構で構成して、この平行六面体を変形可能にす
る。そして、内部のブレード14がフレームの変形に追
従して、互いに平行を保ったままで移動できるようにす
れば、隣り合うブレード14の間隙を変更することが可
能になる。すなわち、ソーラースリットの開き角を変更
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線分析装置のX
線ビームの経路上に配置されてX線ビームの発散角を制
限するソーラースリット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線分析装置のソーラースリットは、そ
の使用目的に応じて各種の開き角のものが使われてい
る。X線回折装置を例にして説明すれば、ソーラースリ
ットの開き角を大きくすると、回折X線の強度はそれほ
ど低下しないが、分解能が悪くなる。逆に、開き角を小
さくすれば、回折X線の分解能は向上するが、強度が低
下する。また、集中法のX線回折装置で使用する縦発散
制限用のソーラスリットの場合には、上述の性質に加え
て、ソーラースリットの開き角を大きくすると、回折ピ
ークのプロファイルの対称性が悪くなり(非対称性がき
つくなり)、開き角を小さくすれば、対称性が良好にな
る。したがって、分析目的に応じて、最適な開き角のソ
ーラースリットを選択している。
【0003】従来、同一のX線分析装置において、開き
角の異なるソーラースリットを使い分けようとすれば、
それまで使用していたソーラースリットを取り外して別
のソーラースリットを取り付けなければならない。この
ような交換作業は煩わしいものである。また、複数のソ
ーラースリットをどこかに保管しておいて常に取り出せ
るように管理しておかなければならない。
【0004】このような問題を解決するために、開き角
の異なる複数個のソーラースリットを簡単に交換できる
ようにしたソーラースリット装置が知られている(特公
平2−04205号公報、特開平7−55732号公
報、特開平10−38823号公報、及び特開平10−
227898号公報)。これらの公知技術は、開き角の
異なる複数個のソーラースリットをX線経路に対して垂
直な方向に並列に配置しておいて、これらのソーラース
リットをX線経路と垂直な方向に移動させることで、所
望の開き角のソーラースリットだけをX線経路上に配置
できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の交換式
のソーラースリット装置は次のような欠点がある。開き
角の異なる複数のソーラースリットを並列に配置する場
合、配置個数はせいぜい数個程度が限度であるから、数
個程度の開き角の中から所望のものを選択するしかな
い。したがって、任意の開き角を得ることはできない。
また、数個のソーラースリットを並列に配置する場合、
その占有スペースは相当大きくなってしまう。
【0006】本発明は上述の問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は、任意の開き角を選択で
きるソーラースリット装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のソーラースリッ
ト装置は開き角を連続的に変化させることができるもの
である。これにより、任意の開き角を得ることができ
る。したがって、例えば集中法のX線回折装置のソーラ
ースリット装置として使う場合に、回折角度に応じてソ
ーラースリットの開き角を連続的に変化させることも可
能になる。
【0008】このソーラースリット装置は、平行クラン
ク機構で結合された概略平行六面体のフレームの内部
に、複数のブレードを互いに平行になるように等間隔に
配置して構成することができる。複数のブレードの両端
は、平行クランク機構の1対のクランク部材に対して回
動可能に連結されている。あるいは、複数のブレードの
両端は、平行クランク機構の1対のクランク部材に対し
てスライド可能に挿入されている。そして、平行クラン
ク機構のクランク部材が静止節に対してなす角度を変化
させることで、隣り合うブレードの間隙を変化させ、も
ってソーラースリットの開き角を変えることができる。
平行クランク機構の動作平面は、前記X線ビームの経路
に平行であってもよいし、垂直であってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳しく説明する。図1は、本発明の連続可変
ソーラースリット装置の原理を示す斜視図である。図1
(A)において、ソーラースリット装置10のフレーム
12は概略平行六面体である。このフレーム12の内部
に、複数のブレード14が互いに平行になるように等間
隔で配置されている。X線ビームは矢印16の方向から
入射し、ソーラースリット装置10を通過する。その際
に、X線ビームの発散角が制限される。
【0010】このようなソーラースリット装置10にお
いて、フレーム12を平行クランク機構で構成して、こ
の平行六面体を変形可能にする。そして、内部のブレー
ド14がフレームの変形に追従して、互いに平行を保っ
たままで移動できるようにすれば、隣り合うブレード1
4の間隙を変更することが可能になる。すなわち、ソー
ラースリットの開き角を変更できる。
【0011】まず、ソーラースリットの開き角について
図2を参照して説明する。X線18の進行方向(図2の
左側から右側に向かう方向)に沿って測ったブレード1
4の長さをL、隣り合うブレード14の間の間隙をtと
すると、ソーラースリットの開き角φは、φ=2×arct
an(t/L)となる。この開き角φは、ソーラースリット
を通過するX線ビームが取り得る最大の発散角に等し
い。換言すれば、このソーラースリットを用いることに
より、X線ビームの発散角を開き角φ以下に制限するこ
とができる。長さLを長くすればするほど、また、間隙
tを小さくすればするほど、開き角φは小さくなる。
【0012】図1に戻って、図1(A)の状態のソーラ
ースリット装置10に対して、図1(B)に示すよう
に、そのフレーム12の上面が下面に対して矢印20の
方向(X線の進行方向と平行な方向)に移動するように
フレーム12を変形させたと仮定する。そうすると、平
行六面体のフレーム12の上面と下面の間の距離が狭く
なり、隣り合うブレード14の間隙も狭くなる。これに
より、図2の間隙tが小さくなり(各ブレード14の長
さLはそのまま)、図1(A)の状態よりもソーラース
リットの開き角が小さくなる。フレーム12の変形割合
を連続的に変化させればソーラースリットの開き角も連
続的に変化することになる。ところで、図1(B)の矢
印20の方向にフレーム12を変形させると、X線が通
過する開口幅Wは常に一定になるので、十分な開口幅を
確保したい場合に好都合である。
【0013】図1(C)はフレーム12の上面を下面に
対して矢印22の方向(X線の進行方向と垂直な方向)
に移動させてフレーム12を変形させる場合を示してい
る。このように変形させても、開き角を変えることがで
きる。このような方向にフレーム12を変形させると、
ソーラースリット装置のX線進行方向の寸法Dが常に一
定になるので、X線進行方向の装置寸法に余裕がない場
合や、X線源と試料とをできるだけ近づけたい場合など
に好都合である。
【0014】図1(B)では、フレームを構成する平行
クランク機構の動作平面がX線ビームの経路に平行であ
ると言うことができ、図1(C)では、フレームを構成
する平行クランク機構の動作平面がX線ビームの経路に
垂直であると言うことができる。
【0015】次に、ソーラースリット装置を使用するX
線回折装置の構成例を説明する。図3は第1の構成例の
斜視図であり、図4はその平面図である。この構成例は
集中法のX線回折装置である。X線源24を出たX線
は、入射側の縦発散制限用のソーラースリット装置26
を通過し、発散スリット28を通過して、試料30に照
射される。試料30で回折したX線は、散乱スリット3
2と反射側の縦発散制限用のソーラースリット装置34
と受光スリット36とを通過して、X線検出装置38で
検出される。この構成例では、試料の入射側と反射側の
両方に縦発散制限用のソーラースリット装置26、34
を設けている。この縦発散制限用のソーラースリット装
置は、主として、アンブレラ効果と呼ばれる回折X線の
非対称な広がり(回折プロファイルの低角側が広角側よ
りも広がる)を抑制する目的で使用される。
【0016】ここで、縦発散制限と横発散制限について
説明する。X線回折装置を例にとって説明すると、試料
への入射X線と試料からの回折X線とを含む平面(回折
平面)を考え、この回折平面内でのX線ビームの発散を
横発散と呼んでいる。また、回折平面に垂直な平面内で
のX線ビームの発散を縦発散と呼んでいる。X線回折装
置以外のX線分析装置でも、X線光学系を含む平面内で
の発散を横発散、それに垂直な平面内での発散を縦発散
と考えればよい。
【0017】図5はソーラースリット装置を使用するX
線回折装置の第2の構成例の平面図である。この構成例
は平行ビーム法のX線回折装置である。X線源24を出
たX線は入射側の横発散制限用のソーラースリット装置
40を通過して横方向の発散角が制限され(すなわち平
行ビームとなり)、試料30に照射される。試料30で
回折したX線は、反射側の横発散制限用のソーラースリ
ット装置42を通過して、X線検出器38で検出され
る。この横発散制限用のソーラースリット装置は、回折
X線の角度分解能を確保する目的で使用される。
【0018】図6はソーラースリット装置を使用するX
線回折装置の第3の構成例の平面図である。この構成例
も平行ビーム法のX線回折装置である。X線源24を出
たX線は、焦点スリット(Focal Slit)44を通過し
て、反射面が多層薄膜で形成された放物線モノクロメー
タ46に入射し、平行化かつ単色化される。モノクロメ
ータ46で反射して平行ビームになったX線は、入射側
の縦発散制限用のソーラースリット装置26と幅制限ス
リット48とを通過して、試料30に照射される。試料
30で回折したX線は、反射側の横発散制限用のソーラ
ースリット装置42と反射側の縦発散制限用のソーラー
スリット装置34とを通過してX線検出器38で検出さ
れる。
【0019】上述の三種類のX線回折装置の構成例で使
用しているいずれのソーラースリット装置に対しても、
本発明の連続可変のソーラースリット装置を使うことが
できる。
【0020】次に、本発明のソーラースリット装置の具
体的な構成例を説明する。図8は本発明のソーラースリ
ット装置の第1の実施形態の斜視図であり、図9はその
正面図、図10は図9のA−A線断面図である。このソ
ーラースリット装置は概略平行六面体のフレームを備え
ている。ここで言う「平行六面体」とは、3対の平行な
フレーム面(6個のフレーム面)から成るものを指して
おり、その場合のフレーム面と呼んでいるものは、仮想
的な平面を指していて、実際の平板で構成されていても
よいし、開口している面であっても構わない。
【0021】図8において、概略平行六面体のフレーム
は、平行に対向する連結板50及び静止板52と、それ
らの間をつなぐ互いに平行な第1クランク板54及び第
2クランク板56とからなる。第1クランク板54の上
端は連結板50の一端にシャフト51(図9と図10も
参照)によって回転可能に連結されており、第1クラン
ク板54の下端は静止板52の一端にシャフト53(図
9と図10も参照)によって回転可能に連結されてい
る。また、第2クランク板56の上端は連結板50の他
端にシャフト55によって回転可能に連結されており、
第2クランク板56の下端は静止板52の他端にシャフ
ト57によって回転可能に連結されている。連結板50
と静止板52とで1対の平行なフレーム面を構成し、第
1クランク板54と第2クランク板56とで別の1対の
平行なフレーム面を構成している。さらに、連結板50
と静止板52と第1クランク板54と第2クランク板5
6のうちの、図面の手前側の各側縁によって、仮想的な
フレーム面が構成され、同様に、図面の奥側の各側縁に
よって、別の仮想的なフレーム面が構成されている。こ
のようにして、6個のフレーム面からなる平行六面体が
構成されている。
【0022】そして、連結板50と静止板52と第1ク
ランク板54と第2クランク板56とによって平行クラ
ンク機構(四節リンク機構の一種)が構成されている。
この平行クランク機構は、第1クランク板54が駆動
節、第2クランク板56が従動節、静止板52が静止節
となり、二つのクランク板54が互いに平行な状態を保
ったまま揺動できる。
【0023】第1クランク板52の片側の側縁にはピン
58が固定されていて、このピン58は、歯車60に形
成された溝61に噛み合っている。歯車60の回転中心
は第1クランク板54の回転中心(すなわちシャフト5
3)と同一直線上にある。パルスモータ64の回転運動
は歯車62を介して歯車60に伝達されるようになって
いる。歯車60が図8において時計方向に回転すると、
ピン58が歯車60によって動かされ、このピン58に
固定された第1クランク板54がシャフト53の回りを
時計方向に回転する。これにより、平行クランク機構が
変形する。パルスモータ64のパルス数を制御すること
により、第1クランク板54の傾斜角度を制御すること
ができる。
【0024】図9に示すように第1クランク板54には
大きな開口66が形成されていて、この開口66の両側
に多くの溝68が縦方向に等間隔に形成されている。そ
して、各ブレード70の幅方向の両端が両側の溝68に
よってスライド可能に(図9の紙面に垂直な方向にスラ
イド可能に)支持されている。第2クランク板56にも
同様の溝が形成されていてブレード70がスライド可能
に支持されている。図10に示すように、各ブレード7
0は第1クランク板54と第2クランク板56とで支持
されていて、これらのクランク板54、56に対して図
10の左右方向にスライド可能である。また、ブレード
70がスライドし過ぎてクランク板54、56から抜け
落ちないようにするために、ブレード70のスライド方
向の両端付近には抜け止め片72が固定されている。抜
け止め片72は、第1クランク板54及び第2クランク
板56よりも外側に来るようにブレード70上に固定さ
れている。
【0025】図10において、X線ビームは矢印16の
方向からソーラースリット装置10に入射し、ブレード
70によって発散角が制限されて、右方向に出て行く。
【0026】図11は、図10の状態から第1クランク
板54を傾斜させてソーラースリット装置のフレームを
変形させた状態を示している。第1クランク板54は、
静止板52に対して垂直な状態から、角度αだけ傾斜し
ている。平行クランク機構の働きにより、第2クランク
板56も第1クランク板54ど同様に角度αだけ傾斜す
る。連結板50は静止板52に対して右方向に移動し、
同時に、連結板50と静止板52との距離が小さくな
る。二つのクランク板54、56にスライド可能に挿入
されているブレード70は、クランク板54、56の動
きに追従して右方向に移動し、かつ、隣り合うブレード
70の間隙tも狭くなる。第1クランク板54が静止板
52に対して垂直な状態におけるブレード間隙をt0
すると、第1クランク板54が角度αだけ傾斜したとき
のブレード間隙tは、t=t0cosαとなる。ブレードの
長さLは変わらないので、ソーラースリット装置の開き
角φは、ブレード間隙tが小さくなった分だけ小さくな
る。
【0027】ブレードの具体例を説明すると、ブレード
70の長さL(X線の進行方向に沿った寸法)を50m
mにして、最大の開き角φ0を10度に設定するには、
ブレード70の最大間隙t0を、t0=L・tan(φ0/2)
=4.374mmにする。また、ブレード70の長さL
を100mmにして、最大の開き角φ0を10度に設定
するには、最大間隙t0を8.749mmにする。
【0028】図12は本発明のソーラースリット装置の
第2の実施形態の正面図であり、図13は図12のA−
A線断面図である。このソーラースリット装置も概略平
行六面体のフレームを備えており、このフレームが変形
することでブレード間隙が変化する。この第2の実施形
態が、図8の第1の実施形態と異なる点は、ブレード7
0aが二つのクランク板にヒンジ結合されていることで
ある。図13において、このソーラースリット装置の概
略平行六面体のフレームは、平行に対向する連結板50
a及び静止板52aと、それらの間をつなぐ互いに平行
な第1クランク板54a及び第2クランク板56aとか
らなる。第1クランク板54aの上端は連結板50aの
一端にヒンジ74によって回転可能に連結されており、
第1クランク板54aの下端は静止板52aの一端にヒ
ンジ75によって回転可能に連結されている。また、第
2クランク板56aの上端は連結板50aの他端にヒン
ジ76によって回転可能に連結されており、第2クラン
ク板56aの下端は静止板52aの他端にヒンジ77に
よって回転可能に連結されている。さらに、各ブレード
70aは、その両端がヒンジ78、79によって第1ク
ランク板54aと第2クランク板56aに回転可能に連
結されている。
【0029】図12に示すように、第1クランク板54
aにはX線が通過するための開口66aが形成されてい
る。第2クランク板56a(図13を参照)にも同様の
開口が形成されている。図13において、X線ビームは
矢印16の方向からソーラースリット装置に入り、ブレ
ード70aによって発散角が制限されて、右方向に出て
行く。図14は、図13の状態から第1クランク板54
aを傾斜させてソーラースリット装置のフレームを変形
させた状態を示している。図11に示す場合と同様に、
第1クランク板54aが角度αだけ傾斜することによ
り、隣り合うブレード70aの間隙tは狭くなる。
【0030】図7は回折X線のプロファイルを示すグラ
フであり、ソーラースリットの開き角を変えることによ
ってアンブレラ効果を抑制できることを示している。横
軸は試料からの回折X線の回折角度2θ(入射X線に対
する回折X線の角度)であり、右側が広角側、左側が低
角側である。縦軸は回折X線の検出強度である。このグ
ラフは、図6に示すX線回折装置で測定したものであ
る。曲線80は、図6の装置において、入射側と反射側
の縦発散制限用のソーラースリット装置26、34を取
り除いた状態で回折X線を測定したものである。この曲
線80は、回折X線の強度は大きいが、回折ピークの広
がりも大きくなっている。特に、広角側よりも低角側に
回折プロファイルが大きく広がっている(アンブレラ効
果が顕著に現れている)のがよく分かる。曲線82は、
入射側と反射側に縦発散制限用のソーラースリット装置
26、34を挿入して、それらの開き角を5度に設定し
て、回折X線を測定したものである。曲線80と比較し
て、回折プロファイルがシャープになり(角度分解能が
向上し)、アンブレラ効果も少なくなっている。曲線8
4は二つのソーラースリット装置26、34の開き角を
2.5度に設定して、回折X線を測定したものである。
回折プロファイルの角度分解能はさらに向上し、アンブ
レラ効果は全く見られなくなっている。ただし、回折ピ
ークの強度は小さくなる。
【0031】次に、入射角θとソーラースリットの開き
角φの最適な関係について説明する。図4の集中法のX
線回折装置の光学系において、試料に対するX線の入射
角をθ、入射X線に対する回折X線の角度を2θとす
る。また、入射側及び反射側の縦発散制限用のソーラー
スリット装置26、34の開き角をφとする。集中法に
よる粉末X線回折法において、回折ピークの強度(回折
ピークの積分強度)はさまざまな因子に影響されるが、
その中に、入射角θに依存するものとして、ローレンツ
因子と偏光因子がよく知られている。ローレンツ因子
は、1/(sin2θ・cosθ) で表わされる。また、偏光因
子は、(1+cos22θ)/2 で表わされる。さらに、モ
ノクロメータを使う場合は、偏光因子中にモノクロメー
タ因子Mが入って、偏光因子は (1+M・cos22θ)/
2 となる。モノクロメータ因子Mは、完全モノクロメ
ータの場合はM=|cos2θm|となり、モザイクモノク
ロメータの場合はM=cos22θmとなる。ここで、θm
モノクロメータ結晶の分光角度である。
【0032】ローレンツ因子と偏光因子をまとめて、両
者の積をローレンツ偏光因子と呼んでいる。回折ピーク
の強度はこのローレンツ偏光因子に比例するので、回折
ピークの強度は入射角θに依存することになる。したが
って、回折角度2θの異なる複数の回折ピークの強度を
互いに比較するには、ローレンツ偏光因子で強度を補正
する必要がある。そこで、粉末X線回折法において、こ
のローレンツ偏光因子による補正分を、可変ソーラース
リット装置の開き角で補正することが考えられる。すな
わち、ローレンツ偏光因子の逆数に比例するようにソー
ラースリット装置の開き角φを変化させれば、得られる
回折ピークの強度は、ローレンツ偏光因子で補正された
強度で測定されることになり、回折角度2θの異なる複
数の回折ピークの強度をそのまま比較することが可能に
なる。また、開き角を一定にした従来のソーラースリッ
ト装置ではデバイ環を取り込む大きさが小さかった高角
度の回折角度においても、上述のようにソーラースリッ
トの開き角を変化させれば、強い回折強度で測定が可能
になる。
【0033】図15はローレンツ因子とローレンツ偏光
因子の角度依存性を示したグラフである。横軸は回折角
度2θ、縦軸は補正係数(ローレンツ因子とローレンツ
偏光因子の値)である。なお、このグラフでは、ローレ
ンツ因子及びローレンツ偏光因子について、その最小値
が1になるように規格化してある。規格化したローレン
ツ偏光因子を用いてソーラースリットの開き角φを制御
するには、次のようになる。規格化したローレンツ偏光
因子をKとすると、ソーラースリットの開き角φは、最
大の開き角φ0を用いて、φ=φ0/K となるように制
御する。すなわち、規格化したローレンツ偏光因子Kが
1に等しい回折角度のところでは、縦発散制限用のソー
ラースリットの開き角を最大のφ0に設定し、それより
も回折角度が小さくなっても大きくなってもソーラース
リットの開き角φを小さくしていく。
【0034】次に、図8のソーラースリット装置を用い
て開き角φを制御することを考えると、図11の傾斜角
αを次のように制御すればよい。まず、ブレード間隙t
は、開き角φを用いて、t=Ltan(φ/2) と表わすこ
とができる。さらに、ブレード間隙tと傾斜角αとは、
α=arccos(t/t0) の関係がある。これらの関係をま
とめると、傾斜角αは、α=arccos(Ltan(φ/2)/t0)
というように開き角φの関数になる。一方で、開き角
φは、上述のように、規格化したローレンツ偏光因子K
を用いて、φ=φ0/K となるように制御する必要があ
るから、最終的に、傾斜角αは、規格化されたローレン
ツ偏光因子Kの関数として、α=arccos(Ltan(φ0/2
K)/t0) となるように制御すればよい。ここで、最大
開き角φ0は、φ0=2×arctan(t0/L) である。t0
とLは定数であるから、ソーラースリット装置の傾斜角
αは、規格化されたローレンツ偏光因子K(入射角θの
関数)だけに依存して変化することになる。このような
入射角θと傾斜角αとの関係をソーラースリット装置の
傾斜角αを制御する装置(図8のパルスモータ64を制
御する装置)に記憶させておけば、入射角θに応じてソ
ーラースリットの開き角φを最適に制御できる。
【0035】図6の平行ビーム法のX線回折装置におい
ても、縦発散制限用のソーラースリット装置26、34
については、上述の集中法の場合と同様にローレンツ偏
光因子の逆数に比例するようにソーラースリットの開き
角φを変化させればよい。
【0036】横発散制限のソーラースリット装置(例え
ば図5の装置のソーラースリット装置40、42や図6
の装置のソーラースリット装置42)については、回折
X線の強度と分解能との兼ね合いを考慮して、分析目的
に応じて適切な開き角を選択すればよい。すなわち、ソ
ーラースリットの開き角を大きくすると、回折X線の強
度は強くなるが、角度分解能は悪くなり、逆に、開き角
を小さくすれば、回折X線の角度分解能は向上するが、
強度が低下する。強度と角度分解能のどちらを重視する
かは分析目的に応じて異なってくる。
【0037】
【発明の効果】本発明のソーラースリット装置は開き角
を連続的に変化させることができるようにしたので、ソ
ーラースリット装置を交換することなく、任意の開き角
を容易に得ることができる。したがって、試料に対する
X線の入射角に応じてソーラースリットの開き角を連続
的に変化させることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のソーラースリット装置の原理を示す斜
視図である。
【図2】ソーラースリット装置の開き角を説明する説明
図である
【図3】ソーラースリット装置を使用するX線回折装置
の第1の構成例を示す斜視図である。
【図4】図3のX線回折装置の平面図である。
【図5】ソーラースリット装置を使用するX線回折装置
の第2の構成例の平面図である。
【図6】ソーラースリット装置を使用するX線回折装置
の第3の構成例の平面図である。
【図7】ソーラースリットの開き角を変えることによっ
てアンブレラ効果を抑制できることを示す回折X線の測
定結果のグラフである。
【図8】本発明のソーラースリット装置の第1の実施形
態の斜視図である。
【図9】図8のソーラースリット装置の正面図である。
【図10】図9のA−A線断面図である。
【図11】図10に示す状態からフレームを変形させた
状態を示す断面図である。
【図12】本発明のソーラースリット装置の第2の実施
形態の正面図である。
【図13】図12のA−A線断面図である。
【図14】図13に示す状態からフレームを変形させた
状態を示す断面図である。
【図15】ローレンツ因子とローレンツ偏光因子を示し
たグラフである。
【符号の説明】
10 ソーラースリット装置 12 フレーム 14 ブレード 50 連結板 52 静止板 54 第1クランク板 56 第2クランク板 70 ブレード

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線分析装置のX線ビームの経路上に配
    置されてX線ビームの発散角を制限するソーラースリッ
    ト装置において、開き角を連続的に変化させることので
    きるソーラースリット装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のソーラースリット装置
    において、前記X線分析装置が集中法のX線回折装置で
    あり、回折角度に応じてソーラースリットの開き角が変
    化することを特徴とするソーラースリット装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のソーラースリット装置
    において、平行クランク機構で構成された概略平行六面
    体のフレームの内部に、複数のブレードが互いに平行に
    なるように等間隔で配置されていて、これらのブレード
    の両端が前記平行クランク機構の1対のクランク部材に
    対して回動可能に連結されており、前記クランク部材が
    平行クランク機構の静止節に対してなす角度が変化する
    ことによって、隣り合うブレードの間隙が変化し、もっ
    てソーラースリットの開き角が変化することを特徴とす
    るソーラースリット装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のソーラースリット装置
    において、平行クランク機構で構成された概略平行六面
    体のフレームの内部に、複数のブレードが互いに平行に
    なるように等間隔で配置されていて、前記ブレードの両
    端が前記平行クランク機構の1対のクランク部材に対し
    てスライド可能に挿入されており、前記クランク部材が
    平行クランク機構の静止節に対してなす角度が変化する
    ことによって、隣り合うブレードの間隙が変化し、もっ
    てソーラースリットの開き角が変化することを特徴とす
    るソーラースリット装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載のソーラースリ
    ット装置において、前記平行クランク機構の動作平面が
    前記X線ビームの経路に平行であることを特徴とするソ
    ーラースリット装置。
  6. 【請求項6】 請求項3または4に記載のソーラースリ
    ット装置において、前記平行クランク機構の動作平面が
    前記X線ビームの経路に垂直であることを特徴とするソ
    ーラースリット装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007304063A (ja) * 2006-05-15 2007-11-22 Shimadzu Corp ソーラスリット
JP7429724B2 (ja) 2021-02-09 2024-02-08 ブルーカー アーイクスエス ゲーエムベーハー 調整可能なセグメント化されたコリメータ

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