JP2001001014A - クラッド鋼管製造用組立ビレットおよびクラッド鋼管の製造方法 - Google Patents
クラッド鋼管製造用組立ビレットおよびクラッド鋼管の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 プレスロール穿孔機によるクラッド鋼管の製
造において、ビレット加熱時、角形断面鋼片と金属内管
の接合部における剥離を防止し、接合性に優れるクラッ
ド鋼管を安定して製造する。 【解決手段】 角形断面鋼片に、鋼片全長に渡り一端を
閉鎖した開孔を設け、該開孔の中に、一端を閉鎖した金
属管を、両者の閉鎖側が同方向となるように挿入し、該
閉鎖側とは反対側の角形断面鋼片の端面と金属管の端面
の境界部を接合し、角形断面鋼片と金属管との間には、
隙間が形成され、そして、該隙間が真空とされたクラッ
ド鋼管製造用組立ビレットを、プレスロール穿孔機にて
圧延する。また、該圧延に引き続き、エロンゲータ、マ
ンドレルミル、プラグミル等の熱間圧延機で圧延する。
造において、ビレット加熱時、角形断面鋼片と金属内管
の接合部における剥離を防止し、接合性に優れるクラッ
ド鋼管を安定して製造する。 【解決手段】 角形断面鋼片に、鋼片全長に渡り一端を
閉鎖した開孔を設け、該開孔の中に、一端を閉鎖した金
属管を、両者の閉鎖側が同方向となるように挿入し、該
閉鎖側とは反対側の角形断面鋼片の端面と金属管の端面
の境界部を接合し、角形断面鋼片と金属管との間には、
隙間が形成され、そして、該隙間が真空とされたクラッ
ド鋼管製造用組立ビレットを、プレスロール穿孔機にて
圧延する。また、該圧延に引き続き、エロンゲータ、マ
ンドレルミル、プラグミル等の熱間圧延機で圧延する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレスロール穿孔
機、各種熱間圧延機等を用いてクラッド鋼管を製造する
際に用いる組立ビレットと、その組立ビレットを用いて
クラッド鋼管を製造する方法に関するものである。
機、各種熱間圧延機等を用いてクラッド鋼管を製造する
際に用いる組立ビレットと、その組立ビレットを用いて
クラッド鋼管を製造する方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、石油および天然ガス井用の鋼管と
して、一般に、炭素鋼、低合金鋼が用いられているが、
近年、資源の枯渇から、Ｈ2 ＳやＣＯ2 など腐食性の強
い成分を含む石油および天然ガス井の開発も盛んに行わ
れるようになり、その場合、腐食に強い鋼や合金が用い
られている。特に、Ｈ2 Ｓを多量に含む環境下では、オ
ーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼、あるい
は高Ｎｉ合金が用いられているが、それら鋼もしくは合
金は高価である一方、耐力が比較的低いため、それら
鋼、合金に替るものとして、それら鋼もしくは合金と炭
素鋼を張り合わせたクラッド鋼管に対するニーズが高ま
りつつある。
して、一般に、炭素鋼、低合金鋼が用いられているが、
近年、資源の枯渇から、Ｈ2 ＳやＣＯ2 など腐食性の強
い成分を含む石油および天然ガス井の開発も盛んに行わ
れるようになり、その場合、腐食に強い鋼や合金が用い
られている。特に、Ｈ2 Ｓを多量に含む環境下では、オ
ーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼、あるい
は高Ｎｉ合金が用いられているが、それら鋼もしくは合
金は高価である一方、耐力が比較的低いため、それら
鋼、合金に替るものとして、それら鋼もしくは合金と炭
素鋼を張り合わせたクラッド鋼管に対するニーズが高ま
りつつある。
【０００３】クラッド鋼管の製造方法としては、傾斜圧
延機によるものが知られている。傾斜圧延機によるクラ
ッド鋼管の製造は、外管に内管を密着嵌合させた後、外
管と内管の端面を溶接して固定した素材を用い、傾斜圧
延によりクラッド鋼管に圧延、成形するものである。し
かし、傾斜圧延においては、図１に示すように圧延ロー
ル１とプラグ２の周速差が主な原因となり、被圧延材３
においては、管軸に直角な断面で大きな剪断応力が生
じ、さらに、被圧延材３において、外管が炭素鋼、内管
が高合金鋼の二重管ビレットの場合は、内・外管の熱間
変形抵抗が異なるため、内・外管の境界部に剪断応力が
生じ、内・外管が圧延中に剥離することがある。このこ
とが、傾斜圧延機によるクラッド鋼管の製造を困難にし
ている一因である。
延機によるものが知られている。傾斜圧延機によるクラ
ッド鋼管の製造は、外管に内管を密着嵌合させた後、外
管と内管の端面を溶接して固定した素材を用い、傾斜圧
延によりクラッド鋼管に圧延、成形するものである。し
かし、傾斜圧延においては、図１に示すように圧延ロー
ル１とプラグ２の周速差が主な原因となり、被圧延材３
においては、管軸に直角な断面で大きな剪断応力が生
じ、さらに、被圧延材３において、外管が炭素鋼、内管
が高合金鋼の二重管ビレットの場合は、内・外管の熱間
変形抵抗が異なるため、内・外管の境界部に剪断応力が
生じ、内・外管が圧延中に剥離することがある。このこ
とが、傾斜圧延機によるクラッド鋼管の製造を困難にし
ている一因である。
【０００４】傾斜圧延中の剥離を防止するため、特開平
３−２４３２１２号公報は、外管と内管の境界端部をシ
ール溶接した後、加熱して外管と内管の境界面を拡散接
合し、傾斜圧延する方法を開示している。この方法によ
り、クラッド鋼管の傾斜圧延は可能になるが、圧延前の
ビレット段階での接合強度を高めるため、外管と内管の
クリアランスを小さくし、かつ、接合する面の表面粗さ
を５０μｍ以下にする必要がある。また、マンネスマン
圧延法あるいは熱間押出法で製造された鋼管を外管に使
用する場合、偏肉（円周方向の肉厚不整合）、曲がり等
があるため、外管の内面側を切削する必要がある。さら
に、外管と内管のクリアランスが小さいので、内管を外
管に組み込む作業が困難である。
３−２４３２１２号公報は、外管と内管の境界端部をシ
ール溶接した後、加熱して外管と内管の境界面を拡散接
合し、傾斜圧延する方法を開示している。この方法によ
り、クラッド鋼管の傾斜圧延は可能になるが、圧延前の
ビレット段階での接合強度を高めるため、外管と内管の
クリアランスを小さくし、かつ、接合する面の表面粗さ
を５０μｍ以下にする必要がある。また、マンネスマン
圧延法あるいは熱間押出法で製造された鋼管を外管に使
用する場合、偏肉（円周方向の肉厚不整合）、曲がり等
があるため、外管の内面側を切削する必要がある。さら
に、外管と内管のクリアランスが小さいので、内管を外
管に組み込む作業が困難である。
【０００５】また、特開昭５３−７８９６６号公報に
は、内管と外管を爆発拡管法あるいはガス爆発法により
密接させ、その両端部を強固に肉盛り溶接した後、傾斜
圧延する方法が開示されている。この方法においては、
内管と外管の隙間を大きくとれるため、組み立ては容易
であるが、そのための設備が必要であり、適用できる管
の長さが制限される。
は、内管と外管を爆発拡管法あるいはガス爆発法により
密接させ、その両端部を強固に肉盛り溶接した後、傾斜
圧延する方法が開示されている。この方法においては、
内管と外管の隙間を大きくとれるため、組み立ては容易
であるが、そのための設備が必要であり、適用できる管
の長さが制限される。
【０００６】以上述べたように、傾斜圧延でクラッド鋼
管を製造するには、外管と内管が拡散接合あるいは密着
した状態の組立ビレットを、まず製造する必要があり、
そのため、その製作に手間がかかるという課題が常にあ
った。そこで、本発明者らは、特願平１０−１４１４４
７号出願で角形断面鋼片に設けた鋼片全長に渡る貫通孔
の中に、内管となる金属管（以下金属内管ともいう）を
挿入し、少なくとも圧延機に噛込む側の該鋼片の端面と
金属内管の端面の境界部を接合したビレットをプレスロ
ール穿孔機にて圧延し、クラッド鋼管を製造する方法を
提案した。本方法により、組立ビレットの製造は容易に
なったが、接合性に優れるクラッド鋼管を得るため、角
形断面鋼片と金属内管の隙間を真空にするには、図２に
示すように、貫通孔を有する角形断面鋼片６と金属内管
７の両端面を接合部８で接合する必要があり、このよう
な組立ビレットを加熱すると、角形断面鋼片６と金属内
管７の線膨張率の差から、接合面に過大な応力が生じ、
角形断面鋼片６と金属内管７が剥離する場合がある。そ
して、圧延を開始する側が剥離した場合には、プレスロ
ール穿孔機での圧着は不可能である。
管を製造するには、外管と内管が拡散接合あるいは密着
した状態の組立ビレットを、まず製造する必要があり、
そのため、その製作に手間がかかるという課題が常にあ
った。そこで、本発明者らは、特願平１０−１４１４４
７号出願で角形断面鋼片に設けた鋼片全長に渡る貫通孔
の中に、内管となる金属管（以下金属内管ともいう）を
挿入し、少なくとも圧延機に噛込む側の該鋼片の端面と
金属内管の端面の境界部を接合したビレットをプレスロ
ール穿孔機にて圧延し、クラッド鋼管を製造する方法を
提案した。本方法により、組立ビレットの製造は容易に
なったが、接合性に優れるクラッド鋼管を得るため、角
形断面鋼片と金属内管の隙間を真空にするには、図２に
示すように、貫通孔を有する角形断面鋼片６と金属内管
７の両端面を接合部８で接合する必要があり、このよう
な組立ビレットを加熱すると、角形断面鋼片６と金属内
管７の線膨張率の差から、接合面に過大な応力が生じ、
角形断面鋼片６と金属内管７が剥離する場合がある。そ
して、圧延を開始する側が剥離した場合には、プレスロ
ール穿孔機での圧着は不可能である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑み、プレスロール穿孔機によるクラッド鋼管の
製造において、組立ビレットの加熱時、角形断面鋼片と
内管となる金属管の接合部が剥離することを防止するこ
とを目的として、なされたものである。
事情に鑑み、プレスロール穿孔機によるクラッド鋼管の
製造において、組立ビレットの加熱時、角形断面鋼片と
内管となる金属管の接合部が剥離することを防止するこ
とを目的として、なされたものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、クラッド鋼管製造用組立ビレットとし
て、角形断面鋼片と、該鋼片の中に挿入された金属内管
からなるクラッド鋼管製造用組立ビレットにおいて、角
形断面鋼片に、鋼片全長に渡り一端を閉鎖した開孔を設
け、該開孔の中に、一端を閉鎖した金属内管を、両者の
閉鎖側が同方向となるように挿入し、該閉鎖側とは反対
側の角形断面鋼片の端面と金属内管の端面の境界部を接
合し、角形断面鋼片と金属内管との間には、隙間が形成
されていることを特徴とするクラッド鋼管製造用組立ビ
レット（請求項１）を用意し、該組立ビレットを、プレ
スロール穿孔機にて圧延する（請求項６）か、もしく
は、該圧延に引き続き、エロンゲータ、マンドレルミ
ル、プラグミル等の熱間圧延機で圧延する（請求項
７）。
め、本発明は、クラッド鋼管製造用組立ビレットとし
て、角形断面鋼片と、該鋼片の中に挿入された金属内管
からなるクラッド鋼管製造用組立ビレットにおいて、角
形断面鋼片に、鋼片全長に渡り一端を閉鎖した開孔を設
け、該開孔の中に、一端を閉鎖した金属内管を、両者の
閉鎖側が同方向となるように挿入し、該閉鎖側とは反対
側の角形断面鋼片の端面と金属内管の端面の境界部を接
合し、角形断面鋼片と金属内管との間には、隙間が形成
されていることを特徴とするクラッド鋼管製造用組立ビ
レット（請求項１）を用意し、該組立ビレットを、プレ
スロール穿孔機にて圧延する（請求項６）か、もしく
は、該圧延に引き続き、エロンゲータ、マンドレルミ
ル、プラグミル等の熱間圧延機で圧延する（請求項
７）。
【０００９】さらに、前記目的を達成するため、本発明
のクラッド鋼管製造用組立ビレットにおいては、前記開
孔が、角形断面鋼片の全長に渡り貫通孔を設け、該鋼片
の一方の端面に、金属板を全周溶接して形成された開孔
であり（請求項２）、また、前記一端を閉鎖した金属内
管が、金属内管の一方の端面に、金属板を全周溶接した
金属内管である（請求項３）。
のクラッド鋼管製造用組立ビレットにおいては、前記開
孔が、角形断面鋼片の全長に渡り貫通孔を設け、該鋼片
の一方の端面に、金属板を全周溶接して形成された開孔
であり（請求項２）、また、前記一端を閉鎖した金属内
管が、金属内管の一方の端面に、金属板を全周溶接した
金属内管である（請求項３）。
【００１０】さらに、また、前記目的を達成するため、
本発明のクラッド鋼管製造用組立ビレットにおいては、
前記隙間を真空とする（請求項４）が、該隙間の間隔
は、それをＣとしたとき、下記式（１）で設定する（請
求項５）。 Ｃmin ≦Ｃ≦Ｃmax ……（１） 但し、 Ｃmin ＝０．０１Ｄob Ｃmax ＝０．３（Ｄia−Ｄib） ここで、Ｄob：圧延前の金属内管の外径 Ｄib：圧延前の金属内管の内径 Ｄia：圧延後の金属内管の内径
本発明のクラッド鋼管製造用組立ビレットにおいては、
前記隙間を真空とする（請求項４）が、該隙間の間隔
は、それをＣとしたとき、下記式（１）で設定する（請
求項５）。 Ｃmin ≦Ｃ≦Ｃmax ……（１） 但し、 Ｃmin ＝０．０１Ｄob Ｃmax ＝０．３（Ｄia−Ｄib） ここで、Ｄob：圧延前の金属内管の外径 Ｄib：圧延前の金属内管の内径 Ｄia：圧延後の金属内管の内径
【００１１】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明者らは、組立ビレットにおいて、角形断面
鋼片と内管となる金属管（金属内管）の隙間を閉じた空
間とし、かつ、角形断面鋼片と金属内管の線膨張係数差
に基づく熱応力が、角形断面鋼片と金属内管の接合部に
生じないようにする方法を鋭意検討した結果、図３に示
す組立ビレットの構造に到達した。
する。本発明者らは、組立ビレットにおいて、角形断面
鋼片と内管となる金属管（金属内管）の隙間を閉じた空
間とし、かつ、角形断面鋼片と金属内管の線膨張係数差
に基づく熱応力が、角形断面鋼片と金属内管の接合部に
生じないようにする方法を鋭意検討した結果、図３に示
す組立ビレットの構造に到達した。
【００１２】ここで、図３に基づいて、本発明における
クラッド鋼管製造用組立ビレットの基本思想について詳
述する。図３に示す組立ビレットにおいて、貫通孔を有
する角形断面鋼片６の一端（上段中央図の左端部、参
照）には、金属板９ａが全周に渡り溶接（接合部８ａ）
され（上段左図、参照）、該貫通孔の一端は、金属板９
ａにより閉鎖されている。このようにして形成した角形
断面鋼片６内部の開孔の中に、同じく一端（上段中央図
の左端部、参照）に金属板９ｂが全周に渡り溶接（接合
部８ｂ）され（下段左の断面Ａ−Ａ図、参照）、閉鎖さ
れている金属内管７が、両者の閉鎖側が同じ方向となる
ように挿入され、該閉鎖側とは反対側（圧延機に噛み込
む側、上段中央図の右端部側）において、角形断面鋼片
６の端面と、金属内管７の端面の境界部が溶接（接合部
８ｃ）されている（上段右図、参照）。そして、図３
中、下段右の断面Ｂ−Ｂ図に示すように、角形断面鋼片
６と金属内管７との間には、所定間隔の隙間が形成され
ている。
クラッド鋼管製造用組立ビレットの基本思想について詳
述する。図３に示す組立ビレットにおいて、貫通孔を有
する角形断面鋼片６の一端（上段中央図の左端部、参
照）には、金属板９ａが全周に渡り溶接（接合部８ａ）
され（上段左図、参照）、該貫通孔の一端は、金属板９
ａにより閉鎖されている。このようにして形成した角形
断面鋼片６内部の開孔の中に、同じく一端（上段中央図
の左端部、参照）に金属板９ｂが全周に渡り溶接（接合
部８ｂ）され（下段左の断面Ａ−Ａ図、参照）、閉鎖さ
れている金属内管７が、両者の閉鎖側が同じ方向となる
ように挿入され、該閉鎖側とは反対側（圧延機に噛み込
む側、上段中央図の右端部側）において、角形断面鋼片
６の端面と、金属内管７の端面の境界部が溶接（接合部
８ｃ）されている（上段右図、参照）。そして、図３
中、下段右の断面Ｂ−Ｂ図に示すように、角形断面鋼片
６と金属内管７との間には、所定間隔の隙間が形成され
ている。
【００１３】すなわち、本発明におけるクラッド鋼管製
造用組立ビレットの基本思想は、圧延開始時に角形断面
鋼片と金属内管が剥離することを防止するため、圧延を
開始する側の端面のみにおいて、角形断面鋼片と金属内
管を接合し、反対側の端面においては、角形断面鋼片と
金属内管を接合しないことにより、角形断面鋼片および
金属内管を、それぞれ単独に熱膨張させ、角形断面鋼片
と金属内管の接合部に熱応力が生じないようにし、さら
に、角形断面鋼片、金属内管共に、圧延を開始する側と
は反対側のそれぞれの端面において、金属板を全周溶接
することで、角形断面鋼片と金属内管の隙間を閉じた空
間とするものである。
造用組立ビレットの基本思想は、圧延開始時に角形断面
鋼片と金属内管が剥離することを防止するため、圧延を
開始する側の端面のみにおいて、角形断面鋼片と金属内
管を接合し、反対側の端面においては、角形断面鋼片と
金属内管を接合しないことにより、角形断面鋼片および
金属内管を、それぞれ単独に熱膨張させ、角形断面鋼片
と金属内管の接合部に熱応力が生じないようにし、さら
に、角形断面鋼片、金属内管共に、圧延を開始する側と
は反対側のそれぞれの端面において、金属板を全周溶接
することで、角形断面鋼片と金属内管の隙間を閉じた空
間とするものである。
【００１４】プレスロール穿孔機による圧延において
は、内面側の工具であるプラグにより金属内管が押し拡
げられるため、熱間圧延する前に角形断面鋼片と金属内
管を、拡散接合あるいは密接嵌合させることなく、隙間
のある状態でも、圧延時に金属接合させることが可能で
あるが、好ましくは、角形断面鋼片と金属内管の隙間は
以下のように設定する。
は、内面側の工具であるプラグにより金属内管が押し拡
げられるため、熱間圧延する前に角形断面鋼片と金属内
管を、拡散接合あるいは密接嵌合させることなく、隙間
のある状態でも、圧延時に金属接合させることが可能で
あるが、好ましくは、角形断面鋼片と金属内管の隙間は
以下のように設定する。
【００１５】角形断面鋼片と金属内管の隙間の下限は、
金属内管挿入時の作業性を考慮して、次式で定義する下
限値Ｃmin 以上とする。 Ｃmin ＝０．０１Ｄob ここで、Ｄob：圧延前の金属内管の外径 一方、上限は、隙間が大きくなると圧着が阻害されるこ
とから、次式で定義する上限値Ｃmax 以下とする。
金属内管挿入時の作業性を考慮して、次式で定義する下
限値Ｃmin 以上とする。 Ｃmin ＝０．０１Ｄob ここで、Ｄob：圧延前の金属内管の外径 一方、上限は、隙間が大きくなると圧着が阻害されるこ
とから、次式で定義する上限値Ｃmax 以下とする。
【００１６】Ｃmax ＝０．３（Ｄia−Ｄib） ここで、Ｄib：圧延前の金属内管の内径 Ｄia：圧延後の金属内管の内径 また、通常、プレスロール穿孔機で圧延した後のクラッ
ド鋼管の肉厚は比較的厚いため、薄い肉厚のクラッド鋼
管を得るためには、エロンゲータ、マンドレルミル、プ
ラグミル等の熱間圧延機で、引き続き圧延を行えばよ
い。
ド鋼管の肉厚は比較的厚いため、薄い肉厚のクラッド鋼
管を得るためには、エロンゲータ、マンドレルミル、プ
ラグミル等の熱間圧延機で、引き続き圧延を行えばよ
い。
【００１７】本発明のクラッド鋼管の製造方法において
は、プレスロール穿孔機による圧延時に、角形断面鋼片
と金属内管が金属結合するため、この金属結合によっ
て、初めて、その後の熱間圧延も可能になる。なお、角
形断面鋼片に貫通孔を形成する方法は、特に限定される
ものではないが、鋼片中心部に芯を残すトレパニング方
式を用いれば、能率的に孔あけ機械加工を行うことが可
能である。勿論、孔径が小さい時には、通常のボーリン
グ加工でもよい。
は、プレスロール穿孔機による圧延時に、角形断面鋼片
と金属内管が金属結合するため、この金属結合によっ
て、初めて、その後の熱間圧延も可能になる。なお、角
形断面鋼片に貫通孔を形成する方法は、特に限定される
ものではないが、鋼片中心部に芯を残すトレパニング方
式を用いれば、能率的に孔あけ機械加工を行うことが可
能である。勿論、孔径が小さい時には、通常のボーリン
グ加工でもよい。
【００１８】また、角形断面鋼片は、その形断面が特に
限定されるものではなく、正方形、矩形のみならず多角
形でも可能なものである。
限定されるものではなく、正方形、矩形のみならず多角
形でも可能なものである。
【００１９】
【実施例】実施例１ 直径１３０mmの貫通孔を有する一辺が２２０mm、長さ３
０００mmの炭素鋼正方形鋼片の片方の端面に、直径１４
０mm、厚さ５mmの炭素鋼を溶接した。金属内管として
は、外径１２８mm、肉厚２８mm、長さ２９６０mmのＳＵ
Ｓ３１６Ｌの管を用い、片方の端面に、直径９０mm、厚
さ５mmのＳＵＳ３１６Ｌを溶接した。図３に示すよう
に、炭素鋼正方形鋼片の開孔に、上記ＳＵＳ３１６Ｌの
内管を挿入し、該鋼片と該内管の隙間を真空引きしなが
ら、鋼片端面と内管端面の境界部を溶接し、組立ビレッ
トとした。また、比較例として、中心に直径１３０mmの
貫通孔を有する一辺が２２０mm、長さ３０００mmの炭素
鋼正方形鋼片に、外径１２８mm、肉厚２８mm、長さ３０
００mmのＳＵＳ３１６Ｌの内管を挿入し、該鋼片と該内
管の隙間を真空引きしながら、両端面において鋼片と内
管の境界部を溶接した組立ビレットを用意した。それら
組立ビレットを、１２８０℃に加熱後、プレスロール穿
孔機にて、外径２５６mm、肉厚６５mmに圧延し、引き続
き、エロンゲータ、プラグミル、リーラーおよびサイザ
ーミルにて圧延し、外径２７３．１mm、肉厚１４．３mm
に圧延した。圧延後、超音波探傷および接合面の顕微鏡
観察を行った。結果を、表１に示す。
０００mmの炭素鋼正方形鋼片の片方の端面に、直径１４
０mm、厚さ５mmの炭素鋼を溶接した。金属内管として
は、外径１２８mm、肉厚２８mm、長さ２９６０mmのＳＵ
Ｓ３１６Ｌの管を用い、片方の端面に、直径９０mm、厚
さ５mmのＳＵＳ３１６Ｌを溶接した。図３に示すよう
に、炭素鋼正方形鋼片の開孔に、上記ＳＵＳ３１６Ｌの
内管を挿入し、該鋼片と該内管の隙間を真空引きしなが
ら、鋼片端面と内管端面の境界部を溶接し、組立ビレッ
トとした。また、比較例として、中心に直径１３０mmの
貫通孔を有する一辺が２２０mm、長さ３０００mmの炭素
鋼正方形鋼片に、外径１２８mm、肉厚２８mm、長さ３０
００mmのＳＵＳ３１６Ｌの内管を挿入し、該鋼片と該内
管の隙間を真空引きしながら、両端面において鋼片と内
管の境界部を溶接した組立ビレットを用意した。それら
組立ビレットを、１２８０℃に加熱後、プレスロール穿
孔機にて、外径２５６mm、肉厚６５mmに圧延し、引き続
き、エロンゲータ、プラグミル、リーラーおよびサイザ
ーミルにて圧延し、外径２７３．１mm、肉厚１４．３mm
に圧延した。圧延後、超音波探傷および接合面の顕微鏡
観察を行った。結果を、表１に示す。
【００２０】本発明例においては、表１に示すように、
加熱の段階にて上記炭素鋼正方形鋼片と上記内管の接合
部が剥離することを防止できたので、接合性に優れるク
ラッド鋼管を得ることができた。一方、比較例の場合、
組立ビレットの６本中４本において、加熱の段階で、上
記炭素鋼正方形鋼片と上記内管の接合部が剥離した。そ
して、その内の２本は、プレスロール穿孔機で圧延を開
始する側の端面の接合部で剥離が生じたため、上記炭素
鋼正方形鋼片と上記内管を圧着させることができなかっ
た。
加熱の段階にて上記炭素鋼正方形鋼片と上記内管の接合
部が剥離することを防止できたので、接合性に優れるク
ラッド鋼管を得ることができた。一方、比較例の場合、
組立ビレットの６本中４本において、加熱の段階で、上
記炭素鋼正方形鋼片と上記内管の接合部が剥離した。そ
して、その内の２本は、プレスロール穿孔機で圧延を開
始する側の端面の接合部で剥離が生じたため、上記炭素
鋼正方形鋼片と上記内管を圧着させることができなかっ
た。
【００２１】
【表１】
【００２２】
【発明の効果】本発明によるクラッド鋼管製造用組立ブ
ロックを用いると、加熱時に、角形断面鋼片と内管とす
る金属管の接合部における剥離を防止することができる
ため、接合性の優れるクラッド鋼管を、傾斜圧延により
安定して製造することができる。
ロックを用いると、加熱時に、角形断面鋼片と内管とす
る金属管の接合部における剥離を防止することができる
ため、接合性の優れるクラッド鋼管を、傾斜圧延により
安定して製造することができる。
【図１】傾斜圧延機の概略を示す図である。
【図２】クラッド鋼管製造用ビレットの構成を示す図で
ある。
ある。
【図３】本発明によるクラッド鋼管製造用ビレットの構
成を示す図である。
成を示す図である。
１…傾斜圧延機の圧延ロール ２…傾斜圧延機のプラグ ３…被圧延材 ４…傾斜圧延機のバー ５…傾斜圧延機のガイド ６…貫通孔を有する角形断面鋼片 ７…金属内管 ８，８ａ，８ｂ，８ｃ…接合部 ９ａ，９ｂ…金属板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 俊治 福岡県北九州市戸畑区飛幡町１−１ 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 古庄 弘一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町１−１ 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内
Claims (7)
- 【請求項１】 角形断面鋼片と、該鋼片の中に挿入され
た金属内管からなるクラッド鋼管製造用組立ビレットに
おいて、角形断面鋼片に、鋼片全長に渡り一端を閉鎖し
た開孔を設け、該開孔の中に、一端を閉鎖した金属内管
を、両者の閉鎖側が同方向となるように挿入し、該閉鎖
側とは反対側の角形断面鋼片の端面と金属内管の端面の
境界部を接合し、角形断面鋼片と金属内管との間には、
隙間が形成されていることを特徴とするクラッド鋼管製
造用組立ビレット。 - 【請求項２】 前記開孔が、角形断面鋼片の全長に渡り
貫通孔を設け、該鋼片の一方の端面に、金属板を全周溶
接して形成された開孔であることを特徴とする請求項１
記載のクラッド鋼管製造用組立ビレット。 - 【請求項３】 前記一端を閉鎖した金属内管が、金属内
管の一方の端面に、金属板を全周溶接した金属内管であ
ることを特徴とする請求項１または２記載のクラッド鋼
管製造用組立ビレット。 - 【請求項４】 前記隙間を真空としたことを特徴とする
請求項１，２または３記載のクラッド鋼管製造用組立ビ
レット。 - 【請求項５】 前記隙間の間隔をＣとしたとき、Ｃが下
記式（１）で設定されることを特徴とする請求項１，
２，３または４記載のクラッド鋼管製造用組立ビレッ
ト。 Ｃmin ≦Ｃ≦Ｃmax ……（１） 但し、 Ｃmin ＝０．０１Ｄob Ｃmax ＝０．３（Ｄia−Ｄib） ここで、Ｄob：圧延前の金属内管の外径 Ｄib：圧延前の金属内管の内径 Ｄia：圧延後の金属内管の内径 - 【請求項６】 請求項１，２，３，４または５記載のク
ラッド鋼管製造用組立ビレットを、プレスロール穿孔機
にて圧延することを特徴とするクラッド鋼管の製造方
法。 - 【請求項７】 請求項１，２，３，４または５記載のク
ラッド鋼管製造用組立ビレットを、プレスロール穿孔機
にて圧延し、引き続き、エロンゲータ、マンドレルミ
ル、プラグミル等の熱間圧延機で圧延することを特徴と
するクラッド鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11175834A JP2001001014A (ja) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | クラッド鋼管製造用組立ビレットおよびクラッド鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11175834A JP2001001014A (ja) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | クラッド鋼管製造用組立ビレットおよびクラッド鋼管の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001001014A true JP2001001014A (ja) | 2001-01-09 |
Family
ID=16003043
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11175834A Withdrawn JP2001001014A (ja) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | クラッド鋼管製造用組立ビレットおよびクラッド鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2001001014A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101513723B1 (ko) * | 2014-05-20 | 2015-04-22 | 주식회사 범천정밀 | 이종 소재의 단조 성형방법 및 단조 성형장치 |
-
1999
- 1999-06-22 JP JP11175834A patent/JP2001001014A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101513723B1 (ko) * | 2014-05-20 | 2015-04-22 | 주식회사 범천정밀 | 이종 소재의 단조 성형방법 및 단조 성형장치 |
| US10682683B2 (en) | 2014-05-20 | 2020-06-16 | Bumchun Precision Co., Ltd. | Method and apparatus for forging heterogeneous material |
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|---|---|---|---|
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