JP2001000448A - 手術装置 - Google Patents

手術装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手術操作の際に患部が動くことの影響を低減
する。 【解決手段】 心臓の拍動を促す神経電位の変化を検出
する心電計測センサ108と、心音を検出する心音計測セ
ンサ109と、心臓の拍動を検出する心機計測センサ110
と、呼吸動を検出する呼吸計測センサ116と、使用者の
手術操作を入力する操作入力器101と、入力された操作
情報から制御指令を生成する制御指令生成部102と、制
御指令に従い対象患部に対して手術を行う患部組織操作
器103と、治療対象臓器を計測する患部組織計測部104
と、患部組織計測部104と前記計測部108〜110、116から
の計測情報に基づき治療対象臓器の動態を同定し、治療
対象臓器の拍動期に操作入力器と患部組織操作器の動作
抑制を行う信号を発生する同期信号発生部106と、患部
組織計測部104と患部組織操作器103および前記各計測部
からの計測情報を統合し提示する統合情報提示器107と
を具備した手術装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用機器に係
り、循環器系、呼吸器系、脳・神経系、腹腔内各種臓器
等の外科手術において術者の患部への治療行為を支援す
る手術装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、手術の支援を行う装置としては特
開平08-299363号公報記載の手術用マニピュレータシス
テムがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平8−299
363号公報開示の技術は、手術の際に、事前に超音波
振動子を患者の体表面に配置し、手術中、この超音波振
動子を用いて患部の画像計測情報を逐次参照することに
よって、患者の安全を確保し、低侵襲の手術支援装置を
提供しようとするものである。従来は画像情報として超
音波を用いた心エコーやX線をモダリティとしたフルオ
ログラフィやディジタルサブトラクションアンギオグラ
フィ(DSA)などが利用できた。しかしながら心エコー
画像は判読に熟練を要し、また計測可能な断面の方向が
限られているため、必ずしも必要な方向からの撮像がで
きるとは限らなかった。またX線をモダリティとした各
種画像計測装置は放射線被曝、特に医師の側の被曝が大
きな問題となっていた。
【0004】一方、心臓・血管等の循環器系は、拍動に
よってその形状が時間的に急に変化するため、非常に外
科的治療のしにくい臓器群のひとつであった。簡単な症
例では大腿大動脈などから延々とカテーテルを入れて手
術を行う術式も試みられている。しかし、カテーテルを
用いた術式はきわめて簡単なものに限られている。より
複雑な治療を必要とする症例では、患部付近を大きく切
開し、場合によっては拍動を押さえるための治具や人工
心肺を併用して心臓の拍動を一時的にゆるやかもしくは
小さくしたり停止したりしておいて手術を行っていた。
これは患者にとって非常に大きな身体的ダメージとな
り、手術に要する時間を長くし、その成功率や予後の回
復度を低下させ、また回復にかかる時間も非常に長くし
ていた。この種のダメージを減らすには心肺停止をでき
るだけ行わず、かつ開創を小さくし短時間で手術をする
必要がある。前記特開平8−299363号公報開示の
技術などに見られるように、手術の際の傷口を小さくす
れば手術および回復に要する時間は非常に短くなり、術
後のQOL(quality of life)も格段に向上することが
言われている。しかしながら、執刀医自身の手で小さな
傷口から術具を挿入し、臓器の動きに注意しながら狭い
空間で手術を行うのは、熟練した執刀医にとっても非常
に困難な作業である。
【0005】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、手術操作の際に患部が動く
ことによる手術への影響を、治療対象臓器の拍動を拘束
することなく、低減することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
には、治療対象臓器が動いているときには、当該臓器に
対する処理操作をやめて該臓器から離れ、治療対象臓器
が静止している間に当該臓器に対する処理操作を行うよ
うにする必要がある。そのためには、治療対象臓器がい
つ動き、いつ動きを止めるかを知らなければならない。
治療対象臓器がいつ動き、いつ動きを止めるかを知った
ら、治療対象臓器に対して物理的或いは化学的な処理を
行う装置に対して、治療対象臓器の動きの予測に応じ
て、処理操作をやめて治療対象臓器から離れる、あるい
は治療対象臓器に接近して処理操作を行うように指示す
ればよい。
【0007】本発明は、上記課題を達成するために、入
力される制御指令に基づいて患者の治療対象臓器の対象
患部に対して物理的或いは化学的な処理を行うスレーブ
アームである患部組織操作手段と、操作者に操作されて
前記患部組織操作手段に行わせる動作を模擬した動作を
行うことにより患部組織操作手段の動作を規定する操作
情報を生成、出力するマスターアームである操作入力手
段と、前記操作情報に基づいて患部組織操作手段に対す
る制御指令を生成して出力する制御指令生成手段と、患
者の状態を検出する計測手段と、この計測手段が出力す
る信号に基づいて治療対象臓器の動きを同定し、治療対
象臓器の動態、すなわち、治療対象臓器が静止状態か拍
動状態かそれとも両者の一方から他方へ遷移しようとし
ているのか、を同期信号として前記制御指令生成手段に
出力する同期信号発生手段と、を含んで手術装置を構成
し、前記制御指令生成手段は、生成した前記制御指令に
同期信号に基づく制御を付加して前記患部組織操作手段
の動作を制御し、かつ前記同期信号に基づき、治療対象
臓器が動いている間は操作入力手段の動作を抑制する拘
束信号を出力するものとし、前記操作入力手段は前記制
御指令生成手段から出力される前記拘束信号に応じてそ
の動作が抑制されるように構成されている。
【0008】前記計測手段としては、心臓の拍動を促す
神経電位の変化を検出する心電計測手段と、心音を検出
する心音計測手段と、心臓の拍動を検出する心機計測手
段と、呼吸動を検出する呼吸計測手段と、治療対象臓器
の計測を行う患部組織計測手段と、を設ければよい。患
部組織計測手段は、術前および術中に断層撮像を繰り返
すことで対象患部部位の動きに関する時系列画像情報を
出力し、心電計測手段は心臓拍動の時系列情報を、呼吸
計測手段は呼吸動の時系列情報を、それぞれ出力する。
【0009】操作入力手段は、操作者に操作されて前記
患部組織操作手段に行わせる動作を模擬した動作を行う
もので、その動作に応じて、患部組織操作手段の動作を
規定する操作情報を生成、出力するマスターアームであ
る。操作入力手段はまた、制御指令生成手段が出力する
信号(拘束信号)により,その動作を抑止、あるいは動
作の抑止を解除されるように構成される。
【0010】前記制御指令生成手段は、前記操作情報に
基づいて患部組織操作手段に対する制御指令を生成して
出力するとともに、治療対象臓器の動態を同定した同期
信号発生手段からの同期信号に従って、治療対象臓器の
対象患部が動いている間は、前記操作情報に基づいて生
成された制御指令に関わりなく、患部組織操作手段が治
療対象臓器の対象患部に接触しないようにする制御指令
を出力し、併せて前記操作入力手段の動作を抑止する。
制御指令生成手段はまた、前記同期信号が治療対象臓器
が拍動状態から静止状態に遷移したことを示すとき、操
作入力手段の動作の抑止を解除するとともに、患部組織
操作手段に対して前記操作情報に基づいて生成された制
御指令による動作を再開させる。
【0011】また、前記同期信号発生手段は、患部組織
計測手段が術前および術中に断層撮像を繰り返すことで
得られる対象患部部位の動きに関する時系列画像情報
と、心電検出手段から得られる拍動の時系列情報と呼吸
計測手段から得られる呼吸動の時系列情報とから、拍動
・呼吸動と実際の対象部位の動きのタイミングを逐次学
習するように構成する。
【0012】時系列画像情報を出力する患部組織計測手
段としては、MRI装置、超音波エコー撮像装置、胸部
X線撮像装置、X線CT装置などの患部の画像情報を取
得、出力するものとするのが望ましい。
【0013】また、患部組織操作手段に、対象患部との
距離や対象患部との接触力を検出するセンサを設け、こ
れらセンサの出力及び前記計測手段の出力を画像として
統合表示する統合情報提示手段を設けてもよい。
【0014】患部組織操作手段は、制御指令生成手段か
ら出力される制御指令に基づいて手術のための動作を行
うが、患部組織が拍動・呼吸等の理由で動いている時に
は制御指令生成手段から出力される信号に基づいて手術
のための動作を停止し、対象患部と一定距離を保つよう
に回避運動を行う。回避運動の目標値を求めるための対
象患部の拍動による移動距離・方向は、同期信号発生手
段によって術前に学習され獲得されるが、術中にもこの
学習は継続されるのが望ましい。回避運動終了時には患
部組織操作手段は回避開始時の位置姿勢に復帰する。ま
た患部組織(対象患部)が静止している時には患部組織
操作手段は、操作入力手段から出力される操作情報に基
づいて制御指令生成手段が生成した制御指令に追従する
ように動作する。なお対象患部が動いている時には操作
入力手段は制御指令生成手段からの信号によって機構的
にロックされるとともにその間に制御指令生成手段に入
力された操作情報は無視される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態の例を説明する。図1に本発明の実施の形態で
ある手術装置の構成を示す。図示の手術装置は、手術を
受ける患者111の心臓の拍動を促す神経電位の変化を
検出する心電計測手段である心電計測センサ108と、同
じく手術を受ける患者111の心音を検出する心音計測
手段である心音計測センサ109と、同じく手術を受ける
患者111の心臓の拍動を検出する心機計測手段である
心機計測センサ110と、同じく手術を受ける患者111
の呼吸動を検出する呼吸計測手段である呼吸計測センサ
116と、心電計測センサ108と心音計測センサ109と心機
計測センサ110と呼吸計測センサ116の各出力側に接続さ
れた同期信号発生手段である同期信号発生部106及び統
合情報提示手段である統合情報提示器107と、同期信号
発生部106及び統合情報提示器107に接続された患部組織
計測手段である患部組織計測部104と、同期信号発生部1
06の出力側に接続された制御指令生成手段である制御指
令生成部102と、制御指令生成部102に接続された操作入
力手段である操作入力器101と、制御指令生成部102及び
統合情報提示器107に接続された患部組織操作手段であ
る患部組織操作器103と、を含んで構成されている。
【0016】また図中の矢線は各手段間でやりとりされ
る情報・信号を表すが、特に矢線112は患部組織操作器1
03から患部への働きかけ、矢線113は患部組織操作器103
の検出した各種センサ情報、矢線114は患部組織計測手
段から発せられた計測のための各種の信号、矢線115は
患部組織から透過・反射もしくはそこから二次的に励起
された信号を表す。
【0017】心電計測センサ108は患者の心電位の時間
的変化を検出する。心音計測センサ109は患者の心音を
検出する。心機計測センサ110は主に患者の心尖拍動す
なわち機械的運動を検出する。呼吸計測センサ116は患
者の呼吸の周期を検出する。なお、心機計測センサ110
に代えて、血圧を計測して電気信号として出力する装置
を用いるようにしてもよい。
【0018】患部組織計測部104は侵襲性の低いとされ
るさまざまなモダリティによる治療対象臓器の計測(例
えば、MRI,X線CT、超音波エコー)を術前・術中
に行い、画像を主とした患部組織の情報を短い周期で獲
得して、統合情報提示器107及び同期信号発生部106に出
力する。
【0019】同期信号発生部106は、まず術前に患部組
織計測部104と心電計測センサ108、心音計測センサ109
および心機計測センサ110、呼吸計測センサ116からの計
測情報に基づいた時系列的解析を行い、対象患部の存在
する臓器動態を同定し、概略の拍動周期と呼吸周期およ
び各情報間のタイミングを学習する。術中では上記各手
段からの情報により逐次繰り返し学習を行うとともに学
習結果として患部の拍動期(拍動・呼吸動を含む、以下
同じ)と静止期を示す同期信号を発生し、これを前記制
御指令生成部102に伝える。
【0020】制御指令生成部102は操作入力器101から入
力される操作情報を同期信号発生部106からの同期信号
と合成して患部組織操作器103に対する制御指令を生成
出力するとともに、患部組織操作器103からの各種セン
サ信号の値に応じて制御指令に対して変更を加える。
【0021】患部組織操作器103は制御指令生成部102か
ら入力された制御指令に基づいて動作し、機械力や各種
エネルギの放射等を利用して患部組織を物理的もしくは
化学的に変化させる(例えば手術をする)とともに、装
備した各種センサの検出信号を制御指令生成部102に伝
達する。
【0022】統合情報提示器107は、患部組織計測部104
によって得られる断層画像を主体とした計測情報と、患
部組織操作器103によって得られる患部組織の内視鏡的
光学映像および各種センサ情報をモダリティ変換したも
の、および心電・心音・心機・呼吸計測手段108〜110、
116から得られる時系列的情報を適切に統合して合成・
配置し、使用者に音声を伴う画像情報として提示する。
なお、この統合情報提示器107に代えて、前記内視鏡か
ら出力される対象患部の画像を用いるようにしてもよ
い。
【0023】使用者は、統合情報提示器107から提示さ
れる画像を中心とした情報を参照しながら操作入力器10
1を、患部組織操作器103を動かしたいように動かし、操
作入力器101の動作を介して患部組織操作器103に対して
望む操作を入力する。患部組織操作器103と操作入力器1
01は、操作入力器101をマスターとし、患部組織操作器1
03を制御指令生成部102を介して動作するスレーブとす
るマスタースレーブマニピュレータを構成している。
【0024】次に図2を用いて操作入力器101を説明す
る。操作入力器101は、図示のように、鉗子先端の位置
/力指令入力部201、ファイバレーザ先端の位置指令入
力部202、内視鏡先端の位置指令入力部203を含んで構成
され、鉗子先端の位置/力指令情報205、ファイバレー
ザ先端の位置指令情報206、内視鏡先端の位置指令情報2
07、をそれぞれ出力する。鉗子先端の位置/力指令情報
205、ファイバレーザ先端の位置指令情報206、内視鏡先
端の位置指令情報207が、操作情報を構成している。
【0025】位置/力指令入力部201には、力センサ204
が実装されている。鉗子、ファイバレーザ、内視鏡は後
述のように患部組織操作器103の要素であるマニピュレ
ータ(スレーブ)の先端に取り付けられており、前記各
指令入力部201〜203はそれらの位置姿勢/力を指令する
もの(マニピュレータ(マスター))である。これらは
例として挙げたものであり、他に必要な術具等があれば
その位置姿勢/力を指令する入力部は逐次追加される。
患部組織操作器103におけるマニピュレータ(スレー
ブ)も同様である。
【0026】操作入力器101は複数の多関節リンク機構
であり、その先端の位置姿勢および先端に加える力を操
作入力の指令値(操作情報)として出力するものであ
る。ファイバレーザおよび内視鏡に関しては力制御は必
要ない。鉗子については接触作業を行う際に力制御が必
要になることがあるため位置/力指令入力部201はその
先端に特に力センサ204を具備している。
【0027】操作入力器101から出力された指令情報205
〜207は、制御指令生成部102によって適切な変換を受
け、患部組織操作器103に対してその構成手段であるマ
ニピュレータの制御指令として渡される。変換の内容に
ついては後述する。操作入力器101先端(マスターマニ
ピュレータ先端)の位置姿勢は前記各指令入力部201〜2
03の各関節の角度もしくは位置センサ(図示せず)によっ
て検出された角度もしくは位置の値をそのリンク機構に
関する順運動学式に代入することで得られる。鉗子先端
に加わる力は力センサ204によって検出される。このよ
うに指令情報は操作入力器101先端の空間座標を基準と
して与えられるため、前記各指令入力部201〜203の機構
構成は患部組織操作器103の各マニピュレータと必ずし
も一致している必要はない。
【0028】またこれも図示しないが、各指令入力部20
1〜203の各関節はアクチュエータおよび関節ロック機構
を備えている。アクチュエータは後述するマニピュレー
タに対する操作入力を行う際に、使用者が操作入力を円
滑に行うための反力を与える。反力はマニピュレータが
位置制御の場合は手応えを与える仮想的なものであり、
力制御の場合はマニピュレータからの力反射となる。関
節ロック機構は後述のように治療対象点の拍動期もしく
は運動期におけるマニピュレータへの操作入力行為を抑
制するために用いられる。ロック機構の駆動(マニピュ
レータ動作の抑止)/解除は、同期信号発生部106から
送られる同期信号を受けた制御指令生成部102が、操作
入力器101に駆動/解除を指令することによって行われ
る。なおここに図示したものは一例であり、手術に必要
な自由度の位置姿勢あるいは力を入力し得るだけの軸数
があれば直列/並列あるいはその混成等どのような機構
構成でもよい。またこれも図示はしていないが、上記の
機構には使用者手元でのロック/アンロック、制御モー
ドの手動切替などのスイッチ類が取り付けられている。
そういった類いの切り替えはフットスイッチや音声コン
トロール等によって行われるようにしてある。
【0029】制御指令生成部102は、操作入力器101から
入力される操作情報に対して同期信号発生部106から入
力される同期信号を合成し、治療対象臓器の静止期にの
み操作入力器101からの操作情報の通り患部組織操作器1
03が動作するように制御指令を生成する。制御指令生成
部102はまた、治療対象臓器の静止期以外の操作入力を
抑制するために、操作入力器101に対してリンク機構の
ロックを指令するとともに静止期から拍動(運動)期およ
び拍動(運動)期から静止期への遷移を円滑に行うために
操作入力器101の操作反力を制御する指令を生成する。
詳細は後述する。
【0030】図3は患部組織操作器103の構成配置の1例
である。図示の患部組織操作器103は、鉗子マニピュレ
ータ301、内視鏡マニピュレータ302、吊り上げ・保持装
置303、及び開放型MRI304から構成されている。図中
の開放型MRI304はその磁石部分を表している。各マ
ニピュレータの先端には術具もしくは内視鏡が取り付け
られる。図3には見やすくするために、マニピュレータ
は1基のみ描かれているが、術式や状況に応じてこれら
マニピュレータの数は変えることができる。術具は鉗子
や剪刀などの機械力を発生するもの、あるいはファイバ
レーザのようにエネルギを放射することによって治療対
象臓器の対象点(対象患部)に物理的・化学的変化を起
こさせるもの、もしくは薬品等を対象点に導くものなど
が用意される。
【0031】前記図1に示すように、これら機械力もし
くはエネルギ放射等による患部への働きかけは矢線112
で示されている。患部組織操作器103を構成するマニピ
ュレータの例としては、鉗子マニピュレータ301のよう
な多関節のリンク機構が挙げられる。このマニピュレー
タは、前述のように、操作入力器101である多関節リン
ク機構といわゆるマスタスレーブマニピュレータシステ
ムを構成している。スレーブマニピュレータである鉗子
マニピュレータ301、内視鏡マニピュレータ302は操作入
力器101から制御指令生成部102を経由して伝えられた制
御指令を逆運動学により各関節の角度もしくは位置ある
いはトルクの指令に分解し、各関節をこれに従うように
制御する。
【0032】各マニピュレータ(スレーブ)の先端に
は、患部への接近を検知する近接センサや接触力を検出
するための力センサが取り付けられている(図示せず)。
図1における矢線113はこれらのセンサ情報を表してい
る。これらの患部と相互作用することで得られる外界セ
ンサ情報(前記矢線113で表されている情報)およびマ
ニピュレータの各関節角などの内界センサ情報は、患部
組織操作器103から制御指令生成部102へ送られ、制御指
令生成・変更のための情報として用いられる。各関節角
・接触力および近接の度合などの情報はさらに操作入力
器101まで送られ、マスタ機構に於ける力反射や設定範
囲・設定条件外操作の抑制を目的とした仮想反力の発生
に用いられる。
【0033】一方、これらの情報は後述する統合情報提
示器107へも送られる。統合情報提示器107の中では、角
度や力・近接距離といった情報をモダリティ変換し、画
像や音声等で表現するような処理が行われる。なお患部
組織操作器103の各リンクの構造材は強磁場中の使用を
想定しているため、アルミニウム・銅・チタニウムなど
の非磁性金属もしくはエンジニアリングプラスチックな
どの高分子材料を用いている。各関節の駆動用アクチュ
エータも同様であり、駆動原理として電磁力を発生せず
また材料的にも磁性金属を使用しないもの、例えば超音
波モータや水圧・空気圧等の流体アクチュエータなどを
使用している。
【0034】各関節は高分子ワイア(ケブラーなど靭性
の高い高分子材料でできているワイア)による駆動を行
い、ワイア駆動のためのアクチュエータは磁場の外に設
置することもできる。また図3に示す吊り上げ・保持装
置303は吊り上げ・保持装置の一例である。構造材に非
磁性材料を使用する点は、前記各マニピュレータと同じ
である。ただし吊り上げ・保持装置の関節には駆動のた
めのアクチュエータは付けず、抵抗・保持力のみを発生
させるような機構としてある(図示せず)。すなわち流体
シリンダによる粘性抵抗力・保持力、あるいは電磁力以
外の駆動原理を用いたクラッチ、例えば電気粘性流体ク
ラッチなどを使用する。これによりアクチュエータの故
障等による吊り上げ・保持装置の暴走を本質的に防止す
ることができる。
【0035】次に図4を用いて患部組織計測部104を説明
する。図示の患部組織計測部104は、術中計測部401と、
術前計測部402で構成されている。術中計測部401は、M
RI装置403、超音波エコー撮像装置404、心カテーテル
などその他の術中計測装置405からなり、術前計測部402
は胸部X線撮像装置406、X線CT装置407、DSA、シ
ンチグラム、心磁計などその他の術前計測装置408から
なっている。図のように患部組織計測部104は複数モダ
リティの計測機器によって構成されている。
【0036】主モダリティであるMRI装置403には開
放型MRIを用いる。MRIによって治療対象臓器の任
意断面を示す画像が得られる。またMRIはアンギオグ
ラフィとしても使用できるのでこれによって血流を可視
化することができる。MRIによる撮像は術前だけでな
く術中にも行われる。方式としてEPI(echo planerim
aging)やFSE(fast spin echo)を選択することで高速
撮像が可能になり、画像は短い周期で更新される。術中
では超音波エコー404を併用する。これらの計測情報(画
像)は統合情報提示器107に送られる。また術前では血管
造影や胸部X線406、X線CT407、DSAなどによる撮
像を行っておく。これらの術前画像も統合情報提示器10
7へ予め送られており、術中では上記の術中計測によっ
て得られた画像と併せて合成提示される。なお図中にお
ける各計測装置と患者との間の矢印のうち、実線のもの
は図1における矢線114に相当し、破線のものは同じく
図1における矢線115に相当する。
【0037】次に図5を用いて同期信号発生部106の同期
信号発生の手順を説明する。まず、心電計測センサ108
で心電を、心機計測手段109で心尖拍動を、それぞれ検
出する(ステップ501)。これと同時に拍動の1シーケンス
中に前記のX線CTもしくはMRIによる高速撮像を行
わせ、画像処理によって画像間の差分を取る(ステップ5
02)。これら差分を同一の時間軸に置いて比較する。心
電計(electrocardiography、以下ECG)のPRS波の
立ち上がりと心機計(apex cardiogram、以下ACG)の
波形から、心室興奮から心尖拍動までの時間遅れが計測
できる。ACGの波形からは拍動期および静止期を決定
することができる。またその時の拍動の大きさは上記の
画像差分から得られる(ステップ503)。これをある程度
繰り返すことにより心室興奮から心尖拍動までの時間遅
れおよびその時の拍動の大きさを学習することができ
る。
【0038】さらに拍動の周期自身を、ECGおよびA
CGの時系列信号をフーリエ解析もしくは自己回帰移動
平均(ARMA)モデルを用いた繰り返し同定などにより
求める(ステップ504)。このとき今回の同定結果の1回前
の同定結果との相違が予め定めた値以下になるまで(例
えばモデルの係数の差の自乗和をとり、あるしきい値と
の大小を比較する)計測と同定学習を繰り返す(ステップ
505)。こうして術前に得られた拍動の周期・大きさ・拍
動期と静止期の時間および遷移タイミングに対して安全
側のマージンが加えられ、これが術中における計測開始
時の参照値とされる(ステップ506)。
【0039】術中は上記の参照値を初期値とし、術前と
同様に逐次繰り返し学習を行い上記のそれぞれの値を更
新修正してゆく。以上により拍動の周期・大きさ・拍動
期と静止期の時間および遷移タイミングが直前に予測で
きる。しかしながらこれらは予測値であり、遷移タイミ
ング特に静止期から拍動期への遷移タイミングは検出を
誤ると非常に危険である。よって静止期から拍動期への
遷移を示すための信号の変化は予測されたタイミングと
実際のECG波形のPRSの立ち上がりのうちより安全
側すなわちより早い方で起こるようにする。拍動期から
静止期への遷移を示すための信号の変化も同様に、予測
されたタイミングと実際のACG波形の傾きがある一定
値以下でかつ値そのものも一定値以下になった時点のう
ちより安全側すなわちより遅い方で起こるようにする。
【0040】予測された遷移タイミングが安全側にある
例を図6に示す。図6は、典型的な心機・心電波形のタイ
ミングを示す。同期信号は、例えば図に示すように、静
止期から拍動期への遷移でLow(零)になり、拍動期から
静止期に遷移した時点でHigh(ある一定レベル)になる
ようなものを考える。実際には、例えば心臓の場合、拍
動期の長さは、0.5秒のオーダーである。この信号の
立ち上がり/立ち下がりで制御指令生成部102の患部組
織操作器103に対する制御指令の送り出し(手術の実
行)/抑制(静止や回避運動)及び操作入力器101の動
作抑止/解除が制御される。
【0041】また治療対象部位によっては呼吸による動
きが影響するかもしくは支配的な場合がある。その際に
は前記のセンサ群に呼吸計測センサ116を付加しその出
力を加えた上で学習を行い、拍動と呼吸動を合わせた運
動期と静止期を示す同期信号を出力するようにする。制
御指令生成部102は、上記同期信号を受けて、患部組織
操作器103の手術の実行/抑制(静止や回避運動)及び
操作入力器101の操作入力動作の抑止/解除を指令す
る。すなわち同期信号がLowの間(拍動期)には操作入力
器101の機構部をロック(動かないように固定)するよ
うに指令するとともに患部組織操作器103中の各機構に
対する位置等の指令値を一定に保つ(静止を指示する場
合)か、あるいは患部表面から一定の距離を保つように
指示する。Highの間は、操作入力器101から入力される
操作情報に対して予め設定されている可動範囲や速度・
加速度の上限を超えないように操作情報の指令値に対し
てリミットをかけて患部組織操作器103に制御指令を送
る。その一方で操作情報の指令値が設定されたリミット
を超えそうになったときは反力を大きくして手ごたえを
増すようにし、使用者がリミットを超える入力をしない
ようにする。
【0042】反力の時間的変化は例えば図7のように起
こる。LowからHighへの遷移の際に操作入力器101の機
構部のロックが急速に解除されると、そのままでは使用
者への手ごたえが急に軽くなり、使用者は自分の意図し
ないような過大な操作入力をしかねない。そこでロック
解除の直後は反力を大きくしておき、それを徐々にかつ
滑らかに下げてゆくように発生する反力を制御する。ま
た逆にHighからLowへの遷移の際には急速に操作入力
器101の機構部がロックされる。そのままでは使用者へ
の手ごたえが急に重くなり、使用者は自分の意図しない
ような過大な操作入力をしようとしかねず、それによっ
て操作している手を傷めたりする可能性がある。そこで
ロックの直前(次回の拍動時刻は繰り返し学習により予
測し、PRSにより検知)には反力を徐々にかつ滑らかに大
きくしてゆくように発生する反力を制御するものとす
る。図では反力の変化は同期信号の立ち下がりの時点か
ら始まり、心尖拍動開始時までに使用者が簡単には動か
せない程度の大きさに達するようになっている。しかし
反力の変化は例えば予測される遷移タイミングのかなり
前から始まるようにしてもよい。また反力の変化は心尖
拍動の立ち上がりの時点までに確実に整定するように十
分速い時定数で起こるように設定する。
【0043】上記の仕組みは反力発生部のみでも実現で
きるが、反力発生部の過負荷防止や操作入力の確実な抑
制を可能にするロック機構部を併用するのが安全性を高
めるためには必要である。なお例えば拍動期において操
作入力器101をロックしている際に位置姿勢入力があっ
たとしても、制御指令生成部102は遷移直前の指令値た
とえば位置姿勢を保持する。
【0044】患部組織操作器103は静止期には操作入力
器101からの入力に対して追従するように動くが、拍動
期にはマニピュレータが拍動する対象患部臓器と衝突し
ないように、制御指令生成手段からの入力に基づき自動
的に回避運動を行う。まず治療対象点が臓器の表面であ
る場合について考える。図8は対象点を含む臓器の動き
とそれに対するマニピュレータの動きを示す。図8にお
いて、実線801は対象点が遠ざかった時のマニピュレー
タの姿勢、点線802は対象点が近付いた時のマニピュレ
ータの姿勢、実線803は遠ざかった時の対象点を含む臓
器の表面、点線804は近付いた時の対象点を含む臓器の
表面、位置805は治療対象点が遠ざかった時の位置、位
置806は治療対象点が近付いた時の位置、実線807は対象
点が遠ざかった時の直動関節の可動部分、点線808は対
象点が近付いた時の直動関節の可動部分、位置809は遠
ざかった時の治療対象点の位置、位置810は近付いた時
の治療対象点の位置、位置811は治療対象点が近付いた
時の直動関節の可動部分の先端位置、をそれぞれ示す。
【0045】治療対象点の拍動期における動き(大きさ
と方向)は術前および術中の繰り返し学習によって概ね
判断できる。これによって次回の拍動時刻および対象点
における移動距離・方向を予測することができ、これら
の値はマニピュレータ先端の回避運動のための目標値と
して与えられる。マニピュレータは次回の予測拍動時刻
の直前に回避運動を開始し、拍動による対象点との衝突
を避ける。一回の拍動シーケンスに合わせてマニピュレ
ータ先端は回避運動を行い、拍動期終了時には回避運動
開始直前の位置姿勢に復帰する。
【0046】なお学習による予測値は拍動周期に関して
安定している症例に対して適用する。不整脈や心室早期
興奮等の症状を併せ持つ症例の場合は、学習による予測
に限界があるので、主に実際に検出した心電・心機の立
ち上がり・立ち下がりのタイミングの方を優先する。
【0047】マニピュレータ先端の回避のための運動
は、必要な先端の運動を逆運動学で解いて関節ごとの動
きに分解し、これに従って各関節を動かすことによって
対象点の予測される運動方向に対して起こせばよい。図
8の左側はこの方法を簡略に描いたものである。図中で
は省略してあるが、マニピュレータは回避運動および求
められる作業に必要なだけの自由度を有するものとす
る。すなわちマニピュレータの自由度は1以上何自由度
の場合もあり得る。この場合対象点の動きとマニピュレ
ータ先端の動きは実線803および位置806において治療対
象点と一致しているかあるいは同一の一定距離を保持し
ている。またはマニピュレータの一番先端の関節を直動
関節で構成し、回避運動の際にはこの関節のみを進入方
向に対して真後ろに下がるように動かすようにしてもよ
い。図8の右側はこれを簡略に描いたものである。図中
では最も先端の関節である直動関節のみ描かれている。
この場合は対象点が遠ざかった時には位置809において
マニピュレータ先端の位置と一致もしくは一定の距離を
保っているが、近付いた時にはマニピュレータ先端の位
置811と対象点の位置810の位置関係は遠ざかった時と同
一でない。しかし近付いてきた臓器に触れないというだ
けならば真後ろに十分な距離だけ下がれば十分である。
【0048】しかしながらこれはあくまで参照軌道を与
えるのみであり、過去の履歴に関係のない突発的な動き
が起こる場合もある。よってマニピュレータ先端には治
療対象点との距離を計測するためのセンサを付け、前記
とは別に、拍動期には常に治療対象点と一定以上の距離
を保つような回避運動をするものとする。センサは例え
ば発光ダイオードとフォトトランジスタの組み合わせに
よるものや、いわゆるウィスカセンサと呼ばれるよう
な、細く柔軟な端触子の動きや曲がりを根元で検出する
ようなものなどが考えられる。根元での検出は端触子の
歪自体を歪ゲージ等で行う方法や、光ファイバを端触子
に用いて光を通し、その曲がり具合によって変わる反射
光の強さを測る方法などが考えられる。または超音波の
反射や発光部とCCDカメラなどで構成される光学計測装
置などを用いる方法でもよい。また接触作業の場合には
距離は零であるがその場合にはマニピュレータ先端の接
触力をある一定以下に保つように先端を運動させるよう
制御を行うものとする。
【0049】治療対象点が臓器の内部の場合は開創され
た部分を表面と捉え、前記と同じ手順で回避運動をす
る。小さな開創から何らかの術具を挿入するような術式
の場合は、上記のマニピュレータの先端に別の操作手段
たとえば小型の多関節マニピュレータあるいは能動カテ
ーテルを装着し、これを極小の開創から挿入する形をと
る。後者の場合はマニピュレータは臓器表面の挿入点に
対して零の距離を保つような追従・回避運動を繰り返
し、内部に挿入された小型マニピュレータは静止期には
位置制御、拍動期には回避運動もしくはいわゆる倣い制
御を行う。この小型マニピュレータに関しては関節数を
比較的多くし、機構的に冗長に構成しておく。こうして
おくことにより臓器内部の容積が拍動・呼吸動等によっ
て狭くなった場合でも内壁を傷つけずに変形することが
できる。カテーテルの場合は表面に対する追従・回避運
動を行うが、材質的にコンプライアンスを有しているの
で挿入された内部においては特に制御は必要としない。
【0050】以上の構成の手術装置によって、使用者は
拍動・呼吸動による対象患部の動きを気にすることなく
治療行為を続けることができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
拍動や呼吸動によって生じる対象患部臓器の動態を検出
し、この動態を同定した信号に従って操作入力や患部組
織操作を間欠的に抑制することによって、手術操作の際
に患部が動くことによる手術への影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成例を示す系統図であ
る。
【図2】図1に示す操作入力器の例を示す概念図であ
る。
【図3】図1に示す患部組織操作器の例を示す断面図で
ある。
【図4】図1に示す患部組織計測部の例を示す概念図で
ある。
【図5】図1に示す同期信号発生部の動作手順の例を示
す手順図である。
【図6】予測された拍動期から静止期への遷移タイミン
グ及びその逆の遷移タイミングが安全側にある例を示す
タイムチャートである。
【図7】図1に示す実施の形態における操作入力器の操
作反力の時間的変化の例を示すタイムチャートである。
【図8】図1に示す実施の形態における、対象点を含む
臓器の動きとそれに対するマニピュレータの動きの例を
示す概念図である。
【符号の説明】
101 操作入力器 102 制御指令生成部 103 患部組織操作器 104 患部組織計測部 106 同期信号発生部 107 統合情報提示器 108 心電計測センサ 109 心音計測センサ 110 心機計測センサ 111 患者 112 患部組織操作器から患部への働きかけ 113 患部組織操作器の検出した各種センサ情報 114 患部組織計測部から発せられた計測のための各種
の信号 115 患部組織から透過・反射もしくはそこから二次的
に励起された信号 116 呼吸計測センサ 201 鉗子先端の位置/力指令入力部 202 ファイバレーザ先端の位置指令入力部 203 内視鏡先端の位置指令入力部 204 力センサ 205 鉗子先端の位置指令情報 206 ファイバレーザ先端の位置指令情報 207 鉗子先端の位置指令入力部情報 301 鉗子マニピュレータ 302 内視鏡マニピュレータ 303 吊り上げ・保持装置 304 患部組織計測部の構成要素のひとつである開放型
MRI 401 術中計測部 402 術前計測部 403 MRI装置 404 超音波エコー撮像装置 405 カテーテルなどその他の術中計測装置 406 胸部X線撮像装置 407 X線CT装置 408 DSA、シンチグラム、心磁計などその他の術前
計測装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B25J 3/00 A61B 17/36 330 7/00 17/39 (72)発明者 根本 泰弘 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 藤江 正克 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 Fターム(参考) 3F059 AA10 BC02 DA01 DA08 DC01 DC08 EA05 3F060 AA10 BA10 4C027 AA00 AA02 BB05 GG01 GG05 KK00 4C060 GG01 GG21 KK30 MM24 MM25 MM26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力される制御指令に基づいて患者の治
    療対象臓器の対象患部に対して物理的或いは化学的な処
    理を行う患部組織操作手段と、操作者に操作されて前記
    患部組織操作手段に行わせる動作を模擬した動作を行
    い、患部組織操作手段の動作を規定する操作情報を生
    成、出力する操作入力手段と、前記操作情報に基づいて
    前記患部組織操作手段に対する前記制御指令を生成、出
    力する制御指令生成手段と、前記患者の状態を検出、出
    力する計測手段と、この計測手段が出力する信号に基づ
    いて前記治療対象臓器の動きを同定し、治療対象臓器の
    動態を同期信号として前記制御指令生成手段に出力する
    同期信号発生手段と、を含んでなり、前記制御指令生成
    手段は、生成した前記制御指令に前記同期信号に基づく
    制御を付加して前記患部組織操作手段に出力し、かつ前
    記同期信号が治療対象臓器の拍動状態を示すものである
    とき、該同期信号に基づいて前記操作入力手段の動作を
    抑制するように構成されていることを特徴とする手術装
    置。
  2. 【請求項2】 前記計測手段は、心臓の拍動を促す神経
    電位の変化を検出する心電計測手段と、心音を検出する
    心音計測手段と、心臓の拍動を検出する心機計測手段
    と、呼吸動を検出する呼吸計測手段と、治療対象臓器の
    計測を行う患部組織計測手段と、を含んでなることを特
    徴とする請求項1記載の手術装置。
  3. 【請求項3】 前記制御指令生成手段は、同期信号発生
    手段からの同期信号に従って、治療対象臓器の対象患部
    が動いている間は、患部組織操作手段が治療対象臓器の
    治療対象部位に接触しないようにする制御指令を出力す
    るものであることを特徴とする請求項1または2に記載
    の手術装置。
  4. 【請求項4】 同期信号発生手段は、患部組織計測手段
    が術前および術中に断層撮像を繰り返すことで得られる
    対象患部部位の動きに関する時系列画像情報と、心電検
    出手段から得られる拍動の時系列情報と呼吸計測手段か
    ら得られる呼吸動の時系列情報とから、拍動・呼吸動と
    実際の対象部位の動きのタイミングを逐次学習すること
    を特徴とする請求項2又は3記載の手術装置。
  5. 【請求項5】 前記患部組織操作手段に、対象患部と
    の距離や対象患部との接触力を検出するセンサを設け、
    このセンサの出力及び前記計測手段の出力を画像として
    統合表示する統合情報提示手段を設けたことを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれかに記載の手術装置。
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