JP2000517211A - 皺の除去方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 表皮層・基底層・真皮層からなる哺乳動物の皮膚組織の表皮部分から皺を除去するための方法である。これによれば上記の基底層を介して可視光線または赤外線照射（レーザなど）により基底層を介して真皮層に照射し、当該照射が真皮層の発色団によって選択的に吸収される。その結果、真皮層のコラーゲンは熱せられるが、基底層には照射の影響が及ばず、真皮層が空気に曝されることが殆どないので熱傷・感染症の危険を回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 皺の除去方法 ［技術分野］ 本発明は哺乳動物の皮膚組織の表皮部分から皺を除去するための方法に関する ものである。 ［背景技術］ 保健上におけるレーザ技術利用は公知である。レーザを医学上使用することは １９６０年代初頭から大規模に研究されてきたが、最近になってレーザを美容上 利用することに対する興味が深まってきた。美容上のレーザ応用の一つに皮膚表 面の賦活と皺の除去とがある。この分野ではレーザは外科的整形の代替として使 用されている。炭酸ガスレーザはスペクトルの赤外線領域で作動してその放熱は 表皮組織の薄い層に全部吸収されるが、これは主として、レーザの波長の水分中 での高い吸収率に由来するものである。 炭酸ガスレーザを利用して皮膚賦活と皺の除去とを達成するための現在のアプ ローチには以下に述べるステージ１・２のプロセスが含まれる。 ［ステージ１／皮膚の賦活］ ステージ１の目的は哺乳類の皮膚組織の表皮部分から組織の薄い層を除去する ことである。このために皮膚の局部はレーザで照射され、上記のとおりこのエネ ルギが表面の薄い層（約３０μｍ）に沈積する。局部組織に対するレーザ照射は コンピュータ制御のスキャナで実施される。これによる照射１回の通過で局部組 織の一層だけが除去されるように設計されているので、その損傷は表皮に限定さ れる。この段階では表皮が迅速に削られ併せて皮膚の汚れも除去される。この段 階は簡単であり操作者の熟練を要することはない。表皮は直ちに賦活を開始し、 原状の回復までの所要日数は３〜５日である。 ［ステージ２／皺の除去］ 皮膚の賦活が完了すれば、典型的には操作者がレーザを数度照射し、哺乳動物 の皮膚組織層をさらに３０μｍのオーダーで除去する。典型的には３〜４回の照 射で皺の除去プロセスは完了する。したがってこの処理では第２度熱傷を発生さ せる。外界に対する皮膚保護層が除去される結果、感染症の危険が胚胎する。 上記の方法による効果はつぎの二つである。 （a）レーザは皮膚のコラーゲンや交差結合の形成を減衰させ、その結果として 皮膚に引きつりが生じ、皺が減少または除去される(この効果のための閾値温 度は７０℃と考えられる)。 （b）真皮への変化は新たなコラーゲンの生成を促進し、減衰したコラーゲンを 基礎として細胞間質の使用を発展させる。 以上概説した皮膚の賦活や皺の除去方法については、当該分野の専門家の多数 が従前の外科的方法を凌ぐ画期的な改良と目している。上記の方法は高い密度の エネルギを皮膚組織の表面に照射するのであるから、慎重に制御されてはいても 表面組織を剥離させる。組織の除去を継続すれば、各層のコラーゲンは損傷を受 け、皺は除去される。上記の第２ステージは原始的であり、皮膚からは水分が滲 出し、傷痕が形成され、皮膚の発赤が数週間に及ぶ。 ［発明の開示］ 本発明の目的は従来実施されてきた皺の除去に関連する二次的熱傷その他の課 題を惹起することなく皺を除去する方法を提供することである。 レーザのターゲットが妥当な発色団（特定波長を吸収し、他の波長は拡散させ る物質）を有しているときは、レーザは当該ターゲットを組織の不均質容積内で 選択的に改質する。また偶然、所定のターゲットが適当な発色団を有していない が、このような発色団を有する他の組織に密接して存在することがある。かかる 相互関係を第二次選択的相互関係という。 本発明によれば、表皮層・基底層・真皮層からなる哺乳動物の皮膚組織の表皮 部分から皺を除去する方法が提供される。この方法は基底層を介して可視光線ま たは赤外線を真皮層を照射する工程からなるものであり、この照射は真皮層に存 在するコラーゲンが加熱されるように真皮層の発色団に選択的に吸収される。一 方で基底層は、照射の影響を受けることなく真皮層が外気に曝されることを実質 的に防止する。 したがって本発明の方法における真皮層への照射により真皮に損傷（換言すれ ば第２度熱傷）を与えることなく皮膚組織を収縮させることができる。その理由 は照射の影響を受けない基底層が障壁として作用するからである。この方法は刺 激性がなく非医家でも実施できる。 照射は可視照射源または赤外線照射源を使用する(必要に応じて有害紫外線照 射を除去するように適宜光濾過する)。照射光は非干渉性でもよいが、干渉性の 方が望ましい。このようなレーザ源はたとえばダイレーザ・ルビーレーザ・また は半導体レーザである。ダイレーザを使用するのであればその波長は発色団（真 皮の血管に存在する自然発色団）に吸収されるものが望ましい。代わりに皮膚の 表面部分は真皮層に吸収される人工発色団で処理されてもよい。この人工発色団 は表皮層に脂質人工膜を含有する局所製剤として使用される。発色団は基底層に 浸透して真皮層に達する。 レーザは表皮部分を走査しパルスモードで真皮層を照射するように設定される 。レーザがパルスモードのときは、典型的には１０μｓｅｃ〜１０ｍｓｅｃ（１ ００μｓｅｃ〜２ｍｓｅｃが望ましい）の持続時間を有するものとする。 本発明にしたがって、真皮層への照射に先行して表皮の一部を除去することが 望ましいこともある。このような表皮除去（皮膚再生）は機械的に（たとえば摩 擦により）またはレーザ照射により行われる。この目的でレーザ照射が行われる ときは、典型的にはスキャナ制御炭酸ガスレーザ源を使用する。 ［図面の簡単な説明］ 図１は哺乳動物の皮膚組織外部三層の模式図を示している。図２は本発明の選 択的段階である表皮の部分的切除の模式図である。図３は従来技術の方法による 局部の表皮全休の除去の含まれた「皺の外科的除去の結果」であって真皮が露出 して第２度熱傷が発生するという模式図である。図４は表皮が部分的に完全であ り基底層が全く完全であることを示した本発明方法の結果の模式図である。 ［発明を実施するための最良の形態］ 本願の実施態様について添付の図面を参照して詳述する。 図１を参照して、哺乳動物の基本的な皮膚組織三層は表皮１・基底層２・真皮 ３からなる。 図２を参照して、二酸化炭素レーザ照射による表皮１の局所４の部分的な除去 は皮膚再生と呼ばれている。このステージは先行技術文献の方法の第１ステージ を示すが、本発明では選択的（オプショナル）段階である。基底層２・真皮３は レーザ照射により影響を受けていない。 図３に示すように、先行技術文献の皺の除去方法は数次の炭酸ガスレーサ照射 の結果、表皮１および基底層２の局所５が完全に除去されている。この際、真皮 の一部も符号６で示すように除去され真皮が空気に曝される。この結果、治癒が 困難で第２度熱傷が発生し感染症の原因となりやすい。 図４に示すように、本発明による皺の除去方法は表皮１の部分的除去（図２の 選択的段階）に止まり、基底層２への影響は皆無であるので真皮層３が空気に曝 されることはない。レーザ照射は皮膚組織に達し、真皮層３の発色団に選択的に 吸収され、コラーゲンを加熱して皮膚を収縮させるので皺が除去される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，Ｓ Ｄ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ， ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，Ｆ Ｉ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ， ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，Ｎ Ｏ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ， ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 キアーナン マイケル ノエル イギリス ニュース エスエー10 ９エー ダブリュー セブンスターズ ヘオルエド ウエー89

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．皮層から皺を除去するための方法であって基底層を介して可視光線または赤 外線を真皮層に照射する工程からなるものであり、真皮層に存在するコラーゲ ンが加熱されるように該照射が真皮層の発色団に選択的に吸収され、かつ、照 射の影響を受けることなく真皮層が外気に触れるのを基底層が実質的に防止す ることを特徴とする皺の除去方法。 ２．照射源が干渉性である請求の範囲１記載の方法。 ３．真皮層に達するようにセットされたルビーレーザが照射源に含まれる請求の 範囲２記載の方法。 ４．真皮層の血管中のオキシヘモグロビンに達するようにセットされたダイレー ザが照射源に含まれる請求の範囲２記載の方法。 ５．哺乳動物の皮膚組織局部を走査するためのダイレーザ・ルビーレーザ・また は半導体レーザが照射源に含まれる請求の範囲２記載の方法。 ６．照射源がパルスされるレーザが含まれる請求の範囲５記載の方法。 ７．照射源パルスの持続時間が１０μｓｅｃ〜１０ｍｓｅｃである請求の範囲６ 記載の方法。 ８．哺乳動物皮膚組織の表皮層が真皮層に吸収される人工発色団で処理される請 求の範囲１〜７記載の方法。 ９．人工発色団が脂質人工膜を含有する局所製剤として表皮層に施される請求の 範囲８記載の方法。