【発明の詳細な説明】
向流収着によるヘテロ原子の除去
発明の分野
本発明は、石油及び/又は化学製品流れからヘテロ原子を除去する方法に関す
る。本発明は、特に、プロセスのエクスカーション(excursions)の際にヘテロ
原子の除去の継続を可能にすることによって所望の製品の品質を確保する方法に
おいて特に有用である。
発明の背景
ヘテロ原子の除去は精製及び石油化学工業の基本的なプロセスの1つである。
ヘテロ原子は、炭化水素流れ中に存在する、水素及び炭素以外の原子として定義
され、硫黄、窒素、酸素、及びハロゲンを含むが、これらに限定されるものでは
ない。これらの原子は、典型的には、有機ヘテロ原子分子として見出され、この
ようなヘテロ原子分子は炭素水素主成分の一部を構成している。特に指示しない
限り、「ヘテロ原子」という表現は、以後、ヘテロ原子単独の元素状形態、並び
に有機物として化合した対応種及び水素と化合した対応種(即ち、それぞれ有機
ヘテロ原子及びヘテロ−ヒドリド)を包含するものである。
対応するヘテロヒドリド(即ち、硫化水素、アンモニア、水、又はハロゲン化
水素)への転化によるそのようなヘテロ原子の除去は、工業界においては、典型
的には、要求される製品の品質仕様を満足するように設計されたか、又はその後
のヘテロ原子に対して感受性を有するプロセス、触媒、又は生成物処置(product
dispositions)に対して低い水準又は実質的に低減された水準(以後、低いとは
本質的にヘテロ原子を含まないことも意味する)のヘテロ原子流れを提供するよ
うに設計された適する水素処理触媒上における、ヘテロ原子を含む炭化水素流れ
と水素との反応によって、達成される。
典型的には、ある流れの触媒によるヘテロ原子の除去は並流(co-current)反
応器中において行われ、そこでは予熱された供給物流れと水素含有処理ガスがヘ
テロ原子除去触媒の1つ以上の床に導入される。液体供給原料、蒸気化された炭
化水素、及び水素含有処理ガスは全て一緒に触媒床を通って流れる。得られる組
み合わされた蒸気相と液相の流出物は、通常、反応器の下流の、1つ以上の分離
容器又はドラムの連続中において分離される。
従来的な並流式の触媒によるヘテロ原子の除去は大きな商業的成功を収めたが
、制約を有している。例えば、軽質反応生成物による水素の消費と処理ガスの希
釈のために、水素分圧が反応器の入口と出口の間で低下する。同時に、起こる全
てのヘテロ原子水素処理反応がヘテロ−ヒドリドの濃度の上昇をもたらし、ヘテ
ロ−ヒドリドは触媒上への吸着に対して競合することによってほとんどの水素処
理触媒の触媒活性及び性能を大きく抑制する。従って、並流式反応器中の触媒の
下流部分は、低いH2分圧及び高濃度のヘテロ−ヒドリドの存在のような、複数
の負の要因の同時的発生のために、しばしば反応性が制限される。
並流式反応器の運転中にプロセスのエクスカーションも起こり得る。プロセス
のエクスカーションは、液体供給物流れ又は水素含有処理ガス流れの質又は割合
における変動、装置の開始又は停止、危険な状態を避けるための反応器の緊急的
な減圧、又は商業的な運転装置において通常経験されるその他のプロセス上の混
乱を含む。そのようなプロセスのエクスカーションの間に、並流式反応器のヘテ
ロ原子除去能力が低下して、有機ヘテロ原子分子としての元の形態のヘテロ原子
か又はヘテロ−ヒドリドとしてのヘテロ原子がヘテロ原子に対して感受性を有す
る下流のプロセス又は触媒と接触する可能性が高い。そのような接触は、ヘテロ
原子に対して感受性を有する下流のプロセス又は触媒の一時的又は永続的な損害
を生じ、そして許容できない最終生成物をもたらす可能性があり、これは元に戻
すために(即ち、毒された触媒の交換のために)かなりの時間と費用を必要とす
る可能性がある。
下流のプロセス又は触媒を保護するためにヘテロ原子収着剤の床を使用するこ
とができるが、ヘテロ原子収着剤の床が並流式操作において並流式ヘテロ原子除
去領域の下流で使用された場合、ヘテロ−ヒドリドの除去のための分離工程が必
要である。上流のヘテロ原子水素処理触媒において実質的なヘテロ原子の突破(b
reakthrough)が生じる場合、収着剤の能力が急速に低下する可能性があり、能力
の復元は通常流れから離れて再生することを必要とする。
水素処理触媒系中を液体炭化水素供給物流れが下向きに流れ水素含有処理ガス
が上向きに流れる向流式(countercurrent)流れの水素処理系においてヘテロ原子
の除去がより効率的に行なえることは比較的知られている。向流系は、かなり低
いヘテロ原子含有率の流れを製造する可能性を有し、そしてそれを効率的に行な
う可能性を有する。
向流式の水素処理の適用にはかなりの潜在的な利点が存在するが、特に非常に
活性の高い、ヘテロ原子に対する感受性を有する触媒の使用と組み合わされた場
合、現在のところ商業的な使用は非常に限られている。米国特許第3,147,2
10号は、高沸点範囲の芳香族炭化水素のハイドロファイニング−水素化のため
の2段階プロセスを開示している。供給原料は、初めに、好ましくは水素と並流
で、触媒によるハイドロファイニングを施され、その後、水素含有処理ガスの流
れに対して向流で、ヘテロ原子に対して感受性を有する貴金属水素化触媒上で水
素化を施される。米国特許第3,767,562号及び米国特許第3,775,29
1号は、ジェット燃料を製造するための向流式方法を開示しているが、そこでは
ジェット燃料は、2段階の向流式水素化の前に、初めに並流式で水素化脱硫され
る。米国特許第5,183,556号も、ディーゼル燃料流れ中の芳香族をハイド
ロファイニングし水素化するための2段階の並流/向流プロセスを開示している
。
向流式の水素処理がそれほど広く商業化されていない理由の1つは、このよう
なタイプの反応器が、従来的な並流式の反応器系よりも、運転のエクスカーショ
ンによる性能の劣化を受けやすいということである。プロセスのエクスカーショ
ンは、液体供給物流れ又は水素含有処理ガス流れの質又は割合における変動、装
置の開始又は停止、危険な状態を避けるための反応器の緊急的な減圧、又は商業
的な運転装置において通常経験されるその他のプロセス上の混乱を含む。そのよ
うなプロセスのエクスカーションの間に、向流式反応器のヘテロ原子除去能力が
低下して、有機ヘテロ原子分子としての元の形態のヘテロ原子か又はヘテロ−ヒ
ドリドとしてのヘテロ原子がヘテロ原子に対して感受性を有する下流のプロセス
又は触媒と接触する可能性が高い。そのような接触は、ヘテロ原子に対して感受
性を有する下流のプロセス又は触媒の一時的又は永続的な損害を生じ、そして許
容できない最終生成物をもたらす可能性があり、これは元に戻すために(即ち、
毒された触媒の交換のために)かなりの時間と費用を必要とする可能性がある。
上記の点から見て、低いヘテロ原子含有率を有する流れを製造するための、商
業的プラントの条件下で確実に運転することができる、改善された並流又は向流
式のヘテロ原子除去方法に対する要望が依然として存在する。
発明の概要
本発明によれば、炭化水素流れからヘテロ原子を除去する方法であって、
(a) 前記供給原料流れをヘテロ原子水素処理触媒の床を含む第一の反応領域に
水素含有処理ガスと接触させて供給する工程であって、前記第一の反応領域が前
記供給原料流れのヘテロ原子含分の第一の部分を除去するのに有効な条件で運転
され、ここで前記供給原料流れから除去される前記第一の部分が20乃至100
%の範囲内である工程、
(b) (a)からの液体生成物流れをヘテロ原子収着剤物質の床を含む収着剤領域
に水素含有処理ガスと接触させて供給する工程であって、(a)からの前記液体生
成物流れと前記水素含有処理ガスが向流方向に流れ、前記収着剤領域が(a)から
の前記液体生成物流れからヘテロ原子の第二の部分を除去するのに有効な条件で
運転され、ここで前記供給原料流れから除去される前記第二の部分が0乃至80
%の範囲内である工程、及び
(c) (b)からの液体生成物を回収する工程であって、残留するヘテロ原子の量
が、ヘテロ原子除去処理を施されていない出発炭化水素供給原料に基づいて、0
乃至20%の範囲内である工程、
を含む方法が提供される。
発明の詳細な説明
本発明のヘテロ原子除去方法は、石油及び化学製品の流れに一般的な全てのヘ
テロ原子含有化合物に適用可能であるが、この方法は、少なくとも反応性であり
、最も高度に耐熱性の(refractory)ヘテロ原子種に特に適している。本発明の方
法は、本質的にヘテロ原子を含まない生成物流れをもたらすことができる。本明
細書中において、「本質的にヘテロ原子を含まない」という表現は、考慮される
プロセス全体に依存するが、現存する従来的な分析技術によって測定して、実質
的に約
100wppm未満の値として定義され、好ましくは約10wppm未満、より
好ましくは約1wppm未満、そして最も好ましくは約0.1wppm未満であ
る。本発明は、低ヘテロ原子含有率の流れの一貫した製造にも適用可能である。
即ち、上流のヘテロ原子除去触媒の定常状態の運転がXppmの定常状態のヘテ
ロ原子濃度をもたらす場合、収着剤はXppmという濃度と平衡するが、プロセ
スのエクスカーションが起こり、ヘテロ原子濃度がXppmを有意に越えた場合
、収着剤はより多くのヘテロ原子を収着又は吸収し、下流の触媒又はプロセスに
対する悪影響を防ぐ。
本発明の供給原料は少なくとも1つの触媒床、即ち、反応領域中においてヘテ
ロ原子の除去を施され、そこで供給原料は水素含有処理ガスの流れに対して並流
又は向流に流れる。各々の領域の直前と直後には非反応領域が存在してもよく、
非反応領域においては生成物を除去することができ、及び/又は供給物又は処理
ガスを導入することができる。非反応領域は典型的には空でヘテロ原子を除去で
きる触媒を含まない領域であるが、モレキュラーシーブ床のような乾燥剤を含む
ことができた。好ましい態様においては、そのような非反応領域は反応容器中の
空の断面である。
反応領域からの液体流出物は、1種以上のヘテロ原子収着剤を含有する少なく
とも1つの収着剤領域に、水素含有処理ガスの向流流れと接触させて送られる。
低減された低いヘテロ原子含有率を有する液体流出物(炭化水素供給流れ中のヘ
テロ原子の初期濃度が約20乃至約100%の水準で低減されている)は、ヘテ
ロ原子に対して感受性を有するプロセス、触媒、又は製品処置に送ることができ
る。好ましい態様においては、液体流出物は約50乃至約100%の範囲内の水
準で低減されたヘテロ原子含有率を有し、より好ましくは約75乃至約100%
、そして最も好ましくは約90乃至約100%の範囲内の水準で低減されたヘテ
ロ原子含有率を有する。ヘテロ原子に対して感受性を有するプロセスは向流系か
ら分離されていてもよいが、向流方式で優先的に運転され、そして同じ反応容器
内に含まれてもよい。
1つの態様において、炭化水素供給物流れは、初めに、1種以上の水素処理触
媒を含む並流式水素処理反応領域を通過する。流出液はその後積重ねられた
(stacked)触媒/収着剤床系を含む少なくとも1つの向流式反応領域に送られ
る。
装置の通常の運転中に、ヘテロ原子水素処理触媒は、有機ヘテロ原子分子の本
質的に全てを対応するヘテロ−ヒドリドに転化する。ヘテロ−ヒドリドは、水素
処理条件下のその固有の蒸気圧によって蒸気相に分れ、上流向きに流れている水
素含有処理ガスによって上流向きに運ばれる。収着領域は無視可能な量のヘテロ
原子にしか遭遇しないのでその容量は消費されない。未反応の有機ヘテロ原子分
子又はヘテロ−ヒドリド反応生成物が触媒領域を突破する(ブレークスルー)と
いうプロセスの混乱の際には、それらはヘテロ原子収着剤物質によって収着され
、それによって下流のヘテロ原子に対して感受性を有するプロセス又は触媒を保
護する。
収着剤は非可逆的に結合してもよいが、これは、下流のプロセス又は触媒を保
護する一方で、ある程度頻繁に収着剤の交換又は再生を行なうことの必要性を生
じさせる。収着剤材料も、水素と収着された有機ヘテロ原子分子との対応するヘ
テロ−ヒドリドを形成する反応に対して触媒作用を有するか又はそのような反応
を容易にするのが好ましい。ヘテロ−ヒドリドは典型的には収着剤によって比較
的弱く結合され、その固有の高い蒸気圧のために、上流向きに流れる処理ガスに
よって取り除くことができ、そのため収着剤床は連続的に再生される。収着剤床
が機能できる第三の方法は、ヘテロ原子と可逆的に結合して、下流のプロセス又
は触媒にゆっくりと放出することである。これは、下流のプロセスの触媒がヘテ
ロ原子に対してある程度の許容性を有する場合に可能であり、下流の系が向流方
式で運転されている場合には許容性が改善される。収着系のこの第三のタイプは
、収着剤床の下に配置され水素含有処理ガスの向流流れと接触して運転されるヘ
テロ原子水素処理触媒の小さい領域によっても改善することができる。前記の追
加の触媒領域は有機ヘテロ原子分子を対応するヘテロ−ヒドリドに転化し、それ
らを上向きに流れる処理ガスによって系から除去させる。
全ての反応領域と収着領域が、非反応領域によって分離された同じ容器中にあ
ってもよく、或いは別々の容器中にあってもよいことは理解されるべきである。
後者の場合における非反応領域は、典型的には、1つの容器からもう1つの容器
に通じる輸送ラインである。これらの領域のいずれか又は両方が向流の水素含有
処理ガスを使用して運転される場合には、収着剤を、ヘテロ原子除去領域の底の
触媒又はヘテロ原子に対して感受性を有する触媒領域の頂上部の触媒と混合する
こともできる。触媒と収着剤のこの混合は、粒子への配合の前に2つの材料を混
合することによって行なうことができ、又は粒子への配合の後に粒子を混合する
ことによって行なうことができる。
これは、より小さい体積の反応器の建造を可能にし、及び/又は従来的な並流
式の反応器技術を使用して可能なものよりも低いヘテロ原子含量の流れの製造を
可能にする。前記の低いヘテロ原子含量の流れは、ヘテロ原子による触媒毒作用
に対して極めて感受性の強いその他の触媒又はプロセス上に送ることができる。
このヘテロ原子に対する感受性は、進歩した触媒の実用的な使用を妨げるのに十
分なほど深刻な問題であることがある。そのような触媒は、開環、芳香族飽和、
異性化、及び水素化分解を促進するものを含む。
いわゆる「イージーヘテロ原子(easy heteroatoms)」を除去するために前処
理工程を行なう場合、蒸気と液体を離し、液体流出物を向流式反応器の塔頂部に
導く。前処理工程からの蒸気は向流式反応器からの蒸気相生成物と別々に処理す
ることができ、又は前記生成物と一緒にすることができる。蒸気相生成物は、ヘ
テロ原子又は芳香族種をさらに低減させることが望ましい場合には、さらに蒸気
相水素処理を施すことができ、又は直接回収系に送ることができる。触媒は、1
個又は複数個の容器中の1以上の床中に入れることができる。適当な温度制御及
び液体、蒸気、及び触媒の間の接触(液圧条件)を提供するためには、様々なハ
ードウエア(即ち、ディストリビューター、じゃま板、熱伝達装置)が容器内部
に必要であるかもしれない。
上流の向流領域又は並流反応領域中において使用するための適するヘテロ原子
水素処理触媒は、任意の従来的水素処理触媒でよく、水素精製(hydrotreating)
触媒、水素化分解触媒、及び水素添加触媒を含み;それらの1種以上を供給物の
初めの品質及び所望の生成物の品質に応じて、いずれかの領域中において使用す
ることができる。最も一般的なものは、高表面積の支持体物質上の、少なくとも
1種の第VIII族金属、好ましくはFe、Co、及びNi、より好ましくはCo及
び
/又はNi、最も好ましくはNi;及び少なくとも1種の第VI族金属、好ましく
はMo及びWを含み、支持体物質はゼオライト又はアルミナが好ましい。
ある程度のヘテロ原子に対する感受性を有する傾向のあるいくつかの触媒を向
流式反応領域の低い方の部分において使用することができるが、これはかなりの
量のヘテロ原子が上流の触媒によって既に除去され、上流向きに流れる処理ガス
によってストリッピングされているという事実のためにである。前記の低い方の
部分に適する触媒は、耐火性無機支持体上に高度に分散されそして本質的に均一
に分配されるように担持された、元素の周期表の第VIII族の貴金属又は非貴金属
、又は金属から成るものである。
本発明の触媒用の適する支持体物質は、アルミナ、シリカ、アルミノ珪酸塩、
炭化珪素、非晶質及び結晶性シリカ−アルミナ、シリカマグネシア、ボリア、チ
タニア、ジルコニアなどのような高表面積耐火性物質を含む。1つの実施態様に
おいて、好ましい支持体物質は、アルミナ及び結晶性のシリカ−アルミナを含み
、特にクレー又はゼオライトとして分類されているこのような物質を含み、より
好ましくはそれら合成方法、酸度緩和剤の配合、及び脱アルミナ化(dealuminati
on)のような後合成改質によって改質された制御された酸度のゼオライトを含む
。
本発明の実施において使用するのに適するヘテロ原子収着剤は、有機ヘテロ原
子及び幾つかの場合にはヘテロ−ヒドリドに対して反応性であり、それらと可逆
的又は非可逆的に結合できることが知られている様々な群の物質から選択される
ものを含む。
ヘテロ原子収着剤としてのそのような使用に適する1つの群の物質は、塊状材
料として使用されるか又はアルミナ、シリカ、又はゼオライトのような適当な支
持体物質上に担持された、還元された金属である。代表的な金属は、(CRC Hand
book of Chemistry and Physics、第64版の前表紙の内側に示されている)元
素の周期表の第Ia,Ib,IIa,IIb,IIIA,IVA,VB,VIB,VIIB,VIII族からのものを含む
。好ましい金属は、Zn、Fe、Ni、Cu、Mo、Co、Mg、Mn、W、K
、Na、Ca、Ba、La、Ce、V、Ta、Nb、Re、Zr、CrAg、R
h、Ir、Pd、pt、及びSnを含む。これらの金属は個々に又は組合せて使
用することができる。
ヘテロ原子収着剤としてのそのような使用に適するもう1つの群の金属に基づ
く物質は、塊状酸化物として使用されるか又はアルミナ、シリカ、又はゼオライ
トのような適当な支持体物質上に担持された、金属酸化物である。代表的な金属
酸化物は、元素の周期表の第Ia,Ib,IIa,IIb,IIIA,IVA,VB,VIB,VIIB,VIII族から
の金属の酸化物を含む。好ましい金属は、Zn、Fe、Ni、Cu、Mo、Co
、Mg、Mn、W、K、Na、Ca、Ba、La、Ce、V、Ta、Nb、Re
、Zr、Cr、Ad、Rh、Ir、Pd、Pt、及びSnを含む。これらの金属
酸化物は個々に又は組合せて使用することができる。
ヘテロ原子収着剤としてのそのような使用に適するもう1つの群の金属に基づ
く物質は、塊状硫化物として使用されるか又はアルミナ、シリカ、又はゼオライ
トのような適当な支持体物質上に担持された、金属硫化物である。代表的な金属
硫化物は、元素の周期表の第Ia,Ib,IIa,IIb,IIIA,IVA,VB,VIB,VIIIB,VIII族から
の金属のものを含む。好ましい金属は、Zn、Fe、Ni、Cu、Mo、Co、
Mg、Mn、W、K、Na、Ca、Ba、La、Ce、V、Ta、Nb、Re、
Zr、Cr、Ag、Rh、Ir、Pd、Pt、及びSnを含む。これらの金属硫
化物は個々に又は組合せて使用することができる。
米国特許第4,831,206号及び第4,831,207号(これらはいずれも
引用によって本明細書中に組み入れられている)に詳細に説明されているように
、ゼオライト及びゼオライトに基づく物質は本発明のヘテロ原子収着剤としても
役立つことができる。これらの物質は、再生可能なヘテロ原子収着剤として機能
する能力をスピネルと分け合い、本発明の操作を、プロセスの配置に応じて連続
式又は回分式運転で、ヘテロ原子の獲得と放出の間のサイクル方式で行なえるよ
うにすることを可能にする。イオン交換によってヘテロ原子に対して活性な金属
を組み入れたゼオライトも本発明に対して有用である。例には、米国特許第5,
185,135号及び第5,283,047号(これらはいずれも引用によって本明
細書中に組み入れられている)に類似の、燐酸亜鉛の組み入れによって緩和され
たZn4A)チャバザイト、及びホージャサイト、及び遷移金属骨組み置換ゼオ
ライトが含まれるが、これらに限定されるものではない。
スピネル(spinels)は、本発明の実施において使用するのに適するもう1つ
の
群のヘテロ原子収着剤を代表する。そのような物質は、適当な金属塩、しばしば
硫酸塩、及びアルミン酸ナトリウムから硫酸のような第三の試薬の影響下に、容
易に合成される。
ハイドロタルサイト(hydrotalcite)の種々の誘導体はヘテロ原子に対する高
い容量を有し、このため本発明のためのヘテロ原子収着剤として役立つ。米国特
許第3,539,306号、第3,796,792号、第3,879,523号及び第
4,454,244号(これらはいずれも引用によって本明細書中に組み入れられ
ている)に説明されているように、これらは多数の改質されたか又は未改質の合
成の又は鉱物の類似物を含む。反応性金属の高分子量分散体はそれらをヘテロ原
子含有分子の非常に有効な掃去剤にする。
また別の適するものは、活性炭及び改善された酸特性を有するように当業者に
公知の処理を施された酸性活性炭である。酸性塩を活性炭に添加することもでき
、その他の高表面積支持体上で使用されるか又は塊状収着剤として使用される。
ヘテロ原子収着剤のヘテロ原子除去触媒に対する重量比率は0.01乃至10
の範囲内でよく、好ましくは0.05乃至5の範囲内であり、そしてより好まし
くは0.1乃至1の範囲内である。
収着剤物質も、水素と収着された有機ヘテロ原子分子との対応するヘテロ−ヒ
ドリドを形成する反応に対して触媒作用を有するか又はそのような反応を促進す
ることが好ましい。
上流の反応領域からの流出物流れと水素含有処理ガスとの向流的接触は、溶解
されたヘテロ−ドリド不純物を流出物流れから分離し、それによって水素分圧と
触媒性能の両方を改善する。即ち、触媒と収着剤は、再生が必要になるまでに、
かなり延長された期間の間流れ中にあることができる。さらに、子想されるヘテ
ロ原子の除去水準が本発明の方法によって達成されるだろう。
本発明の方法は、生成物の品質の改善に関して意図する目的を満足させながら
、そして本発明の方法が一般的な又は連続的な反応器配置において結合される下
流のプロセスと両立させながら、広範囲の条件にわたって操作可能である。水素
は本発明の方法の必須の成分であり、純粋な形態で供給されるか、又は精製又は
化学的プロセス環境においてしばしばそうであるようにその他の受動(passive)
又
は不活性ガスと混合されてもよいことは明らかである。水素流れがヘテロ原子を
含まないか又は本質的に含まないのが好ましく、そして後者の条件が所望により
この目的のために現在使用されている従来技術によって達成可能であることは明
らかである。
本発明の様々な態様は、100乃至500℃(212乃至930°F)、好ま
しくは200乃至450℃(390乃至840°F)、そしてより好ましくは2
25乃至400℃(437乃至750°F)の範囲内の温度から成る運転条件を
含む。本発明の方法が行われる圧力は、100乃至2000psig(689乃
至13,788kPa)、好ましくは400乃至1200psig(2758乃
至8273kPa)、そしてより好ましくは450乃至1000psig(31
02乃至6894kPa)の範囲内の圧力を含む。本発明の方法が行われる気体
割合は、100乃至10,000SCF/B(18乃至1781m3気体/m3油
)、好ましくは250乃至7500SCF/B(45乃至1336m3気体/m3
油)、そしてより好ましくは500乃至5000SCF/B(89乃至8906
m3気体/m3油)の範囲内の割合である。本発明の方法が行われる供給物速度は
、0.1乃至100LHSV、好ましくは0.3乃至40LHSV、そしてより好
ましくは0.5乃至30LHSVの範囲内である。
非常にしばしば、下流のプロセス、触媒、又は生成物の処置は、液体流れがヘ
テロ原子水素処理蒸気において必要であった温度よりも低温であることを要求し
、下流のプロセス/触媒がより高い温度では限られた平衡である芳香族飽和を行
なっている場合には特にそうである。そのような場合は、ほとんどの収着剤がよ
り低い温度においてより高い収着能力を有しているので、液体流れとヘテロ原子
収着剤の接触の前に温度調節を行なうのが望ましいかもしれない。そのような適
用においては、上述の温度範囲の各々が100℃(180°F)も下げられるか
もしれない。
ヘテロ原子水素処理触媒を通過する際に形成したヘテロ−ヒドリドは液体流れ
中において限定された溶解度を有する。このため、液体流れを収着領域に送る前
にこれらのヘテロ−ヒドリドを除去するためにストリッピング領域を設けること
が時には望ましいかもしれない。このストリッピング領域は同じ容器内に又は別
個の容器内に設けることができ、当業者に公知の任意の型のストリッパーを含む
ことができる。
本発明は、プロセスのエクスカーションの間にヘテロ原子水素処理領域を突破
する高濃度のヘテロ原子を収着するために向流式流れ運転において収着剤床を使
用することによって、液体流出物流れ中の一貫した水準のヘテロ原子濃度を可能
にする。
明細書及び請求の範囲中に与えられている範囲と限定は、本発明を特定し明確
にクレームすると信じるものである。しかしながら、実質的に同じ方法で実質的
に同じ機能を達成して実質的に同じ効果を与えるその他の範囲と限定は、明細書
及び請求の範囲中に定義された本発明の範囲内に入るものであることは明らかで
ある。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
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LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,
UG,US,UZ,VN,YU