JP2000515504A - 細胞死を誘導するアデノウイルスe4蛋白質 - Google Patents

細胞死を誘導するアデノウイルスe4蛋白質

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、アデノウイルスE4orf4、その類似体、もしくは生物学的に活性な断片、および/またはアデノウイルスE4orf6、その類似体、もしくは生物学的に活性な断片を含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的としたアポトーシスを誘導するための薬剤に関する。アデノウイルスE4orf4、その類似体、もしくは生物学的に活性な断片、および/またはアデノウイルスE4orf6、その類似体、もしくは生物活性断片の治療的有効量を薬学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とした薬学的組成物も提供する。アデノウイルスE4細胞死蛋白質の類似体として化合物を同定する方法が本発明に含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】 細胞死を誘導するアデノウイルスE4蛋白質 発明の背景 (a)発明の分野 本発明は、不適当な細胞の生存に伴う疾患の治療に用いることを目的とした細 胞死を誘導する薬剤に関する。 (b)先行技術の説明 ヒトアデノウイルスが最終分化上皮細胞において複製するためには、細胞DNA 合成を誘導するための効率的なメカニズムを必要とする。この誘導によりウイル スDNAの複製および子孫ウイルスの産生が可能となる。ヒトアデノウイルスは、 非常に効率よく上皮細胞に感染してこれを殺す。細胞死はアポトーシスによって 起こり、周囲の細胞によるエンドサイトーシスを通じてウイルスの伝播が起こる 。 アデノウイルスゲノムの初期領域(E1A)の産物は、細胞DNAの合成を誘導し、 アデノウイルスによる細胞の形質転換に大きく関与している。E1Aは、図1Aに図 示するように、保存領域3またはCR3と呼ばれる中央の46個のアミノ酸配列が243 Rに欠損していることを除いては同一である289残基および243残基の蛋白質(そ れぞれ、289Rおよび243R)をコードする13Sおよび12Sという2つの大きいmRNAを 生成する。E1A mRNAの双方のエキソン1によってコードされる共通配列に存在す る別の2つの領域もまた、全てのヒトアデノウイルス血清型において保存され、 CR1およびCR2と呼ばれている。E1A産物は、CR2およびCR1ならびに網膜芽細胞腫 腫瘍抑制pRBおよび関連p107およびp130蛋白質の間、またはアミノ末端およびCR1 ならびに転写制御p300およびおそらく関連蛋白質との間の複合体形成を通じてDN A合成を誘導する(コルベールら(Corbeil,H.B.)、1994、J.Virol.68:6697 〜6709)。E1A-289Rはまた、少なくとも一部、転写因子とCR3を必要とする基礎 転写機構との相互作用によって、初期ウイルス転写単位E2、E3、およびE4、なら びに特定の細胞遺伝子の発現を活性化する(テオドロら(Teodoro,J.G.)、199 5、Oncogene 11:467〜474)。CR3の他にも、E4プロモーターのトランス活性化も また、補助領域1および2、またはAR1およびAR2とも呼ばれる13S mRNAの第二の エキソンによってコードされる2つの領域に、ある程度依存することが示されて いる。安 定に形質転換された細胞の産生には、別個のしかし相加的な経路を通じて個々に E1Aと共同作用することができる19および55kDaのポリペプチドをコードする初期 領域1B(E1B)を必要とする(マクローリーら(McLorie,W)、1991、J.Gen.V irol.72:1467〜1471)。 溶解性感染症および細胞の形質転換におけるE1B蛋白質の主要な機能は、E1Aの 発現によって誘導される細胞障害作用およびアポトーシスの抑制であることを示 す少なからぬ証拠がある。E1Bが存在しなければ、E1A産物の毒性によりE1A形質 転換細胞の死が起こり、繁殖的に感染した細胞の初期死亡により子孫の生成量の 減少が起こる。E1A蛋白質は、増殖停止およびプログラムされた細胞死経路を調 節する腫瘍抑制P53によって媒介されるプロセスによってアポトーシスを引き起 こすことができる(テオドロら(Teodoro,J.G.)、1995、Oncogene 11:467〜4 74)。E1A産物の発現により、p53レベルが上昇する。55kDa E1B蛋白質はp53に結 合し、遺伝子発現とアポトーシスの双方のp53媒介活性化を遮断する(テオドロ ら(Teodoro,J.G.)、1994、J.Viol 68:776〜786)。19kDa E1B蛋白質は、細胞 の癌原遺伝子産物Bc1-2と機能的に類似のメカニズムによってアポトーシスを抑 制すると考えられる(ヌグエンら(Nguyen,M)、1994、J.Biol.Chem.269:1 6521〜16524)。19kDa蛋白質を発現できないアデノウイルス変異体に関連した細 胞は、より強い細胞障害性を示し、細胞およびウイルスDNAをいずれもヌクレオ ソーム程度の大きさの断片へと広く分解する(マクローリーら(McLorie,W.) 、前記;テオドロら(Teodoro,J.G.)、1995、Oncogene 11:467〜474)。後に、 E1B蛋白質の存在下においても感染細胞はアポトーシスにより死亡し、細胞断片 のエンドサイトーシスを通じてウイルス子孫が近隣の細胞に広がる。DNA合成誘 導および細胞の形質転換の誘導に加えて、大きい289残基(289R)のE1A蛋白質も また、初期領域1A、1B、2、3および4を含む全ての初期ウイルス遺伝子の発現 をトランス活性化する(テオドロら(Teodoro,J.G.)、1995、Oncogene 11:467 〜474を参照のこと)。 不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療においてそのような誘導が有用であ る場合、アポトーシスを誘導する薬剤を提供することが非常に望ましいと考えら れる。発明の概要 本発明にしたがって、p53非依存的アポトーシスの誘導における個々のE4蛋白 質の役割を特定するために、本発明者らは遺伝的アプローチを用いた。本発明者 らの結果は、E4細胞死蛋白質、E4orf4またはE4orf6は、形質転換細胞におけるp5 3アポトーシスの誘導に関与しているが非形質転換細胞では関与していないこと を示している。このように、Eorf4およびEorf6はいずれもp53非依存的細胞死の 強力な誘導物質である。この所見は、アポトーシス誘導性治療薬および薬物スク リーニングの双方にとって有用な結果となる。 第1の局面において、本発明は、E4orf6ポリペプチドまたはそのアポトーシス 性断片のアポトーシス誘導量を細胞に投与することによって、細胞のアポトーシ スを増加させる方法を提供する。この局面の好ましい態様において、アポトーシ スはp53非依存的である。 第2の局面において、本発明は、E4orf6ポリペプチドまたはそのアポトーシス 性断片をコードする導入遺伝子を哺乳類の細胞に提供することを含む、哺乳類の 細胞のアポトーシスを増加させる方法を提供する。導入遺伝子は細胞において発 現される位置に存在し、好ましくはE4orf6をコードする。 第3の局面において、本発明は、E4orf6生物活性を増加させる化合物を細胞に 投与することを含む、細胞のアポトーシスを増加させる方法を提供する。様々な 好ましい態様において、化合物はE4orf6 mRNAであるか、またはE4orf6の安定性 を増加させる。 本発明の第一および第三の局面の好ましい態様において、細胞は、哺乳類細胞 、好ましくはヒトの細胞である。 第4の局面において、本発明は、E4orf4ポリペプチドまたはそのアポトーシス 性断片のアポトーシス誘導量を細胞に投与することによって細胞のアポトーシス を増加させる方法を提供する。この局面の好ましい態様において、アポトーシス はP53非依存的である。 第5の局面において、本発明はE4orf4ポリペプチドまたはそのアポトーシス性 断片をコードする導入遺伝子を哺乳類の細胞に提供することを含む、哺乳類のア ポトーシスを増加させる方法を提供する。導入遺伝子は細胞において発現される 位置に存在し、好ましくはE4orf4をコードする。 第6の局面において、本発明は、E4orf4生物活性を増加させる化合物を細胞に 投与することを含む、細胞のアポトーシスを増加させる方法を提供する。様々な 好ましい態様において、化合物はE4orf4 mRNAであるか、またはE4orf4の安定性 を増加させる。 本発明の第4および第6の局面の好ましい態様において、細胞は、哺乳類細胞 、好ましくはヒトの細胞である。 第7の局面において、本発明はE4orf6ポリペプチドまたはそのアポトーシス性 断片とE4orf4ポリペプチドまたはそのアポトーシス性断片とを含む組成物のアポ トーシス誘導量を細胞に投与することによって、細胞のアポトーシスを増加させ る方法を提供する。この局面の好ましい態様において、アポトーシスはP53非依 存的である。 第8の局面において、本発明はE4orf6ポリペプチドまたはその断片をコードす る第一の導入遺伝子と、E4orf4ポリペプチドまたはその断片をコードする第二の 導入遺伝子とを哺乳類の細胞に提供することを含む、哺乳類においてアポトーシ スを増加させる方法を提供する。第一および第二の導入遺伝子は細胞において発 現される位置に存在し、好ましくは、それぞれE4orf6およびE4orf4をコードする 。 第9の局面において、本発明は、E4orf6生物活性を増加させる第一の化合物と E4orf4生物活性を増加させる第二の化合物とを含む組成物を細胞に投与すること を含む、細胞のアポトーシスを増加させる方法を提供する。様々な好ましい態様 において、第一の化合物はE4orf6 mRNAであるか、またはE4orf6の安定性を増加 させるものであり、第二の化合物はE4orf4 mRNAであるか、またはE4orf4の安定 性を増加させるものである。 本発明の第7および第9の局面の好ましい態様において、細胞は、哺乳類細胞 、好ましくはヒトの細胞である。 本発明の上記の全ての局面の好ましい態様において、細胞は、不十分なアポト ーシスに伴う疾患を有すると診断された哺乳類の細胞である。好ましくは、疾患 は癌である。 第10の局面において、本発明は、E4orf6ポリペプチドをコードする実質的に純 粋な核酸と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を特徴とする。この局 面の一つの態様において、核酸は図15(配列番号:2)のE4orf6配列と比較して 保存的アミノ酸置換を有するE4orf6をコードする。 第11の局面において、本発明はE4orf6のアポトーシス性断片をコードする核酸 を含む薬学的組成物を特徴とする。 本発明の第10および第11の局面の好ましい態様において、核酸はウイルスベク ターである。もう一つの態様において、核酸はポリペプチドを発現させるために 調節配列に機能的に結合しており、該調節配列はプロモーターを含む。もう一つ の態様において、プロモーターは、構成的プロモーターであるか、1つ以上の外 因性物質によって誘導可能であるか、または細胞タイプ特異的である。 第12の局面において、本発明は図15の配列(配列番号:1)またはその縮重変 異体を有し、かつ図15のアミノ酸配列(配列番号:2)をコードする核酸を含む 薬学的組成物を特徴とする。 第13の局面において、本発明は、核酸がE4orf6アポトーシス生物活性を有する ポリペプチドをコードする、図15のDNA配列(配列番号:1)と約50%以上のヌ クレオチド配列同一性を有する核酸を含む薬学的組成物を特徴とする。本発明の この局面の一つの態様において、ヌクレオチド配列同一性は図15のDNA配列(配 列番号:1)に対して75%以上である。 第14の局面において、本発明は、図15のDNA配列(配列番号:1)と実質的に 同一なDNA配列を含む薬学的組成物を特徴とする。 第15の局面において、実質的に純粋な哺乳類E4orf6ポリペプチドまたはそのア ポトーシス性断片を含む薬学的組成物を特徴とする。この局面の一つの態様にお いて、ポリペプチドは図15に示すアミノ酸配列(配列番号:2)と実質的に同一 なアミノ酸配列を含む。もう一つの態様において、ポリペプチドは図15のE4orf6 配列(配列番号:2)と比較して保存的アミノ酸置換を有する。 第16の局面において、本発明はE4orf6の実質的に純粋なポリペプチド断片を含 む薬学的組成物を特徴とする。 第17の局面において、本発明はE4orf4ポリペプチドをコードする実質的に純粋 な核酸と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を特徴とする。この局面 の一つの態様において、核酸は、図16のE4orf4配列(配列番号:4)と比較して 保存的アミノ酸置換を有するE4orf4をコードする。 第18の局面において、本発明はE4orf4のアポトーシス性断片をコードする核酸 を含む薬学的組成物を特徴とする。 本発明の第17および第18の局面の好ましい態様において、核酸はウイルスベク ターである。もう一つの態様において、核酸はポリペプチドを発現するために調 節配列に機能的に結合しており、該調節配列はプロモーターを含む。もう一つの 態様において、プロモーターは構成的プロモーターであるか、1つ以上の外因性 物質によって誘導可能であるか、または細胞タイプ特異的である。 第19の局面において、本発明は、図16の配列(配列番号:3)またはその縮重 変異体を有し、かつ図16のアミノ酸配列(配列番号:4)をコードする核酸を含 む薬学的組成物を特徴とする。 第20の局面において、本発明は、E4orf4アポトーシス誘導活性を有するポリペ プチドをコードする、図16のDNA配列(配列番号:3)と約50%以上のヌクレオ チド配列同一性を有する核酸を含む薬学的組成物を特徴とする。本発明のこの局 面の一つの態様において、ヌクレオチド配列同一性は図16のDNA配列(配列番号 :3)に対して75%以上である。 第21の局面において、本発明は、図16のDNA配列(配列番号:3)と実質的に 同一なDNA配列を含む薬学的組成物を特徴とする。 第22の局面において、本発明は実質的に純粋な哺乳類E4orf4ポリペプチドまた はそのアポトーシス性断片を含む薬学的組成物を特徴とする。この局面の一つの 態様において、ポリペプチドは図16に示すアミノ酸配列(配列番号:4)と実質 的に同一なアミノ酸配列を含む。もう一つの態様において、ポリペプチドは、図 16のE4orf4配列(配列番号:4)と比較して保存的アミノ酸置換を有する。 第23の局面において、本発明はE4orf4の実質的に純粋なポリペプチド断片を含 む薬学的組成物を特徴とする。 第24および第25の局面において、本発明は、アデノウイルスE1A-289R蛋白質を 発現するがいかなるE4蛋白質も発現しない細胞を第一に提供することを含む、E4 orf6類似体またはE4orf4類似体として化合物を同定する方法を特徴とする。次に 該細胞を候補化合物と接触させ、細胞生存率を測定し、細胞が死亡すれば、化合 物がE4orf6またはE4orf4類似体であることを示す。 本発明の第24および第25の局面の一つの態様において、細胞は1A.A3、1A.A6、 および1A.A12細胞からなる群より選択される。その他の好ましい態様において、 生存率は登録商標トリパンブルー(Trypan Blue)、DNA断片化解析、アネキシン V結合解析、もしくはヨウ化プロピジウム、またはその併用によって測定する。 さらにもう一つの態様において、細胞はいかなるE4蛋白質も発現することができ ない変異体アデノウイルスに感染させる。 第26の局面において、本発明は、蛋白質フォスファターゼ2Aを発現する細胞を 第一に提供することを含むE4orf4類似体として化合物を同定する方法を特徴とす る。次に該細胞を化合物と接触させ、細胞中の蛋白質フォスファターゼ2Aの活性 を測定し、候補化合物に接触させない細胞と比較して細胞活性が増加していれば 、化合物がE4orf4類似体であることを示す。 第27の局面において、本発明は、E4orf6、その類似体、または生物活性断片を 含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とするアポトーシスを誘 導するための薬剤を特徴とする。 第28の局面において、本発明は、E4orf6、その類似体、または生物活性断片の 治療量を薬学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目 的とする薬学的組成物を特徴とする。 第29の局面において、本発明は、アポトーシスまたはE4orf6生物活性と類似の その他の細胞障害作用を誘導する化合物の治療量を薬学的担体と共に含む、不適 当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とする薬学的組成物を特徴とする。 第30の局面において、本発明はE4orf4、その類似体、または生物活性断片を含 む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とするアポトーシスを誘導 する薬剤を特徴とする。 第31の局面において、E4orf4、その類似体、または生物活性断片の治療量を薬 学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とする薬 学的組成物を特徴とする。 第32の局面において、本発明は、蛋白質フォスファターゼ2aを誘導する化合物 の治療量を薬学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を 目的とする薬学的組成物を特徴とする。この局面の一つの態様において、化合物 はE4orf4のアゴニストである。もう一つの態様において、化合物はE4orf4活性を 模倣するものである。 第33の局面において、本発明は、アポトーシスまたはE4orf4生物活性と類似の その他の細胞障害作用を誘導する化合物の治療量を薬学的担体と共に含む、不適 当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とする薬学的組成物を特徴とする。 第34の局面において、本発明はE4orf6、その類似体、または生物活性断片と、 E4orf4、その類似体、または生物活性断片とを含む、不適当な細胞の生存に伴う ヒト疾患の治療を目的とするアポトーシスを誘導する薬剤を特徴とする。 第35の局面において、本発明はE4orf6、その類似体、または生物活性断片と、 E4orf4、その類似体、または生物活性断片の治療量を薬学的担体と共に含む、不 適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とする薬学的組成物を特徴とする 。 第36の局面において、本発明はアポトーシスまたはE4細胞死蛋白質の生物活性 と類似のその他の細胞障害作用を誘導する化合物の治療量を薬学的担体と共に含 む、不適当な細胞生存に伴うヒト疾患の治療を目的とする薬学的組成物を特徴と する。 本発明の組成物には、E4orf4蛋白質、E4orf6蛋白質、その併用、E4orf4および E4orf6ポリペプチド、類似体、模倣体、ならびに本明細書に開示のいかなる方法 を用いて同定されたいかなるアゴニスト治療薬も含まれるが、これらに限定され ない。組成物は薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤と共に単位投与 剤形で投与してもよい。従来の薬学的方法を用いて、該組成物の患者への投与に 適した剤形または組成物を提供してもよい。 本発明に係る「不適当な細胞の生存に伴う疾患」という表現には、HIV、ヘル ペスおよび/または他のウイルス感染症、アルツハイマー病、癌、関節炎、なら びに狼癒によって生じる疾患が含まれるが、これらに限定されない。 本発明に係る「E4細胞死蛋白質」とは、図15および16にそれぞれ示すE4orf6( 配列番号:1)およびE4orf4(配列番号:3)をコードする核酸と、高ストリン ジェンシー条件下でハイブリダイズすることができるDNAによってコードされ、E 4orf6および/またはE4orf4活性をも有する産物を含む。産物は長さが少なくと も500ヌクレオチド、好ましくは長さ200ヌクレオチド未満、より好ましくは長さ 150ヌクレオチド未満、および最も好ましくは長さ100ヌクレオチド未満であるDN Aによってコードされる。本発明のE4orf6およびE4orf4蛋白質および核酸は、本 明細書に提供するE4orf6(配列番号:2)およびE4orf4(配列番号:4)オープ ンリーディングフレームとそれぞれ、少なくとも20%、好ましくは50%、より好 ましくは75%、および最も好ましくは90%同一であるオープンリーディングフレ ームとして定義される、E4orf6またはE4orf4オープンリーディングフレームを有 するいかなるアデノウイルス株から得てもよいことが理解されると思われる。 本発明に係る「E4orf6蛋白質」および「E4orf6ポリペプチド」とは、図15に提 供されるE4orf6をコードする核酸(配列番号:1)と高ストリンジェンシー条件 下でハイブリダイズすることができるDNAによってコードされ、E4orf6生物活性 をも有する産物を含む。産物は長さが少なくとも500ヌクレオチド、好ましくは 長さ200ヌクレオチド未満、より好ましくは長さ150ヌクレオチド未満、および最 も好ましくは長さ100ヌクレオチド未満であるDNAによってコードされる。本発明 のE4orf6蛋白質および核酸は、本明細書において提供されるE4orf6オープンリー ディングフレーム(配列番号:2)と少なくとも20%、好ましくは50%、より好 ましくは75%、および最も好ましくは90%同一であるオープンリーディングフレ ームとして定義される、E4orf6オープンリーディングフレームを有するいかなる アデノウイルス株から得てもよいことが理解されると思われる。 本発明に係る「E4orf4蛋白質」および「E4orf4ポリペプチド」は、図16に示さ れるE4orf4をコードする核酸(配列番号:3)と高ストリンジェンシー条件下で ハイブリダイズすることができるDNAによってコードされ、同様にE4orf4生物活 性をも有する産物を含む。産物は長さが少なくとも500ヌクレオチド、好ましく は長さ200ヌクレオチド未満、より好ましくは長さ150ヌクレオチド未満、および 最も好ましくは長さ100ヌクレオチド未満であるDNAによってコードされる。本発 明のE4orf4蛋白質および核酸は、本明細書に提供されるE4orf4オーンリーディン グフ レーム(配列番号:4)と少なくとも20%、好ましくは50%、より好ましくは75 %、および最も好ましくは90%同一であるオープンリーディングフレームとして 定義される、E4orf4オープンリーディングフレームを有するいかなるアデノウイ ルス株から得てもよいことが理解されると思われる。 本発明に係る「高ストリンジェンシー条件」という表現は、E4orf6(配列番号 :1)またはE4orf4(配列番号:3)をコードする核酸と高ストリンジェンシー (例えば、長さが少なくとも40ヌクレオチドのDNAプローブと40℃で2×SSC中で のハイブリダイゼーション)でのDNAハイブリダイゼーションを可能にする条件 を意味する。高ストリンジェンシー条件に関する他の定義に関しては、アウスベ ルら(Ausubel)、1994、「分子生物学の現在のプロトコル(Current Protocol in Molecular Biology)」ジョン・ウィリー&サンズ、ニューヨーク、6.3.1〜6 .3.6を参照のこと。 本発明に係る「E4orf6生物活性」とは、E4orf6、そのアポトーシス性断片また は類似体を発現しないE1A-289R発現細胞において認められる細胞死より、25%、 より好ましくは40%、および最も好ましくは60%大きい細胞死の増加をEIA-289R 発現細胞において誘導することができる能力を意味する。E4orf6生物活性は、本 明細書に提供される解析法の一つ、好ましくは1A.A3、1A.A6、または1A.A12細胞 を用いたルシフェラーゼ細胞死解析を用いて測定する。E1A-289Rはいかなるアデ ノウイルス株に由来してもよいことが理解されると思われる。 本発明に係る「E4orf4生物活性」という表現は、E4orf4、そのアポトーシス性 断片または類似体を発現しないE1A-289R発現細胞において認められる細胞死より 、50%、より好ましくは75%、および最も好ましくは90%大きい細胞死の増加を E1A-289R発現細胞において誘導することができる能力を意味する。E4orf6生物活 性は、本明細書に提供する解析法の一つ、好ましくは1A.A3、1A.A6、または1A.A 12細胞を用いたルシフェラーゼ細胞死解析を用いて測定する。E1A-289Rはいかな るアデノウイルス株に由来してもよいことが理解されると思われる。 本発明に係る「プロモーター」という表現は、転写の指向に十分な最小配列を 意味する。プロモーター依存的遺伝子発現を、細胞タイプ特異的、組織特異的、 または外因性シグナルまたは物質によって誘導可能となるよう調節可能にするた めに十分なプロモーターエレメントもまた、本発明に含まれる;そのようなエレ メントは本来の遺伝子の5'または3'領域に存在してもよい。 本発明に係る「縮重変異体」という表現は、普遍的な遺伝子コードに基づき、 E4orf6およびE4orf4に対する全ての可能なコード配列、またはそのポリペプチド 断片から選択される核酸配列またはその組み合わせを意味する。 本発明に係る「機能的に結合した」という表現は、遺伝子と1つ以上の調節配 列とが、適当な分子(例えば転写活性化蛋白質)が調節配列に結合した場合に、 遺伝子発現が可能となるように結合していることを意味する。 本発明に係る「発現される位置に存在する」とは、核酸が配列の転写および翻 訳を指向する核酸配列に隣接して位置する(すなわち、例えばE4orf4ポリペプチ ド、組換え型蛋白質またはRNA分子の産生を容易にする)ことを意味する。 本発明に係る「実質的に同一な」という表現は、参照アミノ酸配列または核酸 配列と少なくとも50%、好ましくは75%、より好ましくは90%および最も好まし くは95%の同一性を示すポリペプチドまたは核酸を意味する。ポリペプチドに関 しては、比較配列の長さは一般に、少なくとも16アミノ酸、好ましくは少なくと も20アミノ酸、より好ましくは少なくとも25アミノ酸、および最も好ましくは少 なくとも35アミノ酸である。核酸に関しては、比較配列の長さは一般に、少なく とも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも70ヌクレオチド、より好ましくは少 なくとも90ヌクレオチド、および最も好ましくは少なくとも120ヌクレオチドで ある。 配列同一性は典型的に、明記されているデフォルトパラメータを用いて配列分 析ソフトウェア(例えば、ウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター、遺 伝子コンピューターグループの配列分析ソフトウェア、1710 University Avenue ,Madison,WI 53705)により測定される。このソフトウェアプログラムは、様 々な置換、欠失、およびその他の修飾との相同性の程度を割付することによって 類似の配列を適合させる。保存的置換は典型的に、以下のグループ内の置換を含 む:グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、 グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アル ギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。 「形質転換細胞」とは、不死化された細胞を意味する。例えば、形質転換細胞 は分割して、親細胞と同じ分化程度の2つの娘細胞を生じる。形質転換細胞は、 その中に(または、その先祖に)細胞の不死化を可能にする外因性遺伝子または 遺伝子産物(例えば、腫瘍遺伝子)を導入した細胞であってもよい。形質転換細 胞はまた、内因性遺伝子のゲノム変異から生じてもよく、変異遺伝子産物、また は内因性遺伝子産物の脱制御を生じてもよい。形質転換細胞は、形質転換細胞が 通常の遺伝子発現および/または制御に影響を及ぼす変化を有する、という点に おいて幹細胞とは区別される。一例としての形質転換細胞は、固形および液体腫 瘍において見られるように癌様細胞を含む。 本発明に係る「導入遺伝子」という表現は、人工的に細胞内に挿入され、その 細胞から発生する有機体のゲノムの一部となるいかなるDNA断片をも意味する。 そのような導入遺伝子は、トランスジェニック生物に対して部分的または完全に 異質である(すなわち異物)遺伝子を含んでもよく、または生物体の内因性遺伝 子と相同な遺伝子を表してもよい。 本発明に係る「トランスジェニック」という表現は、細胞内に人工的に挿入さ れ、その細胞から発生する有機体のゲノムの一部となる核酸配列を含むいかなる 細胞をも意味する。本明細書で用いるように、トランスジェニック細胞は一般に 、トランスジェニック咄乳類細胞であり、核酸(導入遺伝子)は核ゲノムの中に 人工的に挿入される。 本発明に係る「ポリペプチド」という表現は、グリコシル化またはリン酸化の ような翻訳後修飾の有無にかかわらず、2つ以上のアミノ酸のいかなる鎖をも意 味する。ポリペプチドには、蛋白質、そのポリペプチド断片、そのペプチド模倣 体、およびその変異体が含まれる。 本発明に係る「アポトーシス性断片」という表現は、全長の蛋白質の形質転換 細胞障害能と比較して、75%、より好ましくは95%、または最も好ましくは100 %以上の形質転換細胞障害能を有するE4細胞死蛋白質(すなわちE4orf4およびE4 orf6)のポリペプチド断片を意味する。 本発明に係る「実質的に純粋なポリペプチド」という表現は、天然にそれに付 随する成分から分離されているポリペプチドを意味する。典型的に、ポリペプチ ドは、天然に不随する蛋白質および天然の有機分子を重量で少なくとも60%含ま ない場合に実質的に純粋である。好ましくは、ポリペプチドは重量で少なくとも 75%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも99%純 粋であるE4細胞死蛋白質ポリペプチドである。実質的に純粋なE4細胞死蛋白質ポ リペプチドは例えば、E4細胞死蛋白質ポリペプチドをコードする組換え型核酸の 発現によって、天然起源(例えば、アデノウイルス)からの抽出によって、また は蛋白質を化学合成することによって得てもよい。純度は適当な方法、例えば、 カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析 によって測定することができる。 蛋白質は、天然の状態でそれに付随する混入物質から分離されている場合、天 然に不随する成分を実質的に含まない。このように、化学合成された、または天 然に由来する細胞とは異なる細胞系において産生された蛋白質は、その天然に不 随する成分を実質的に含まないと考えられる。したがって、実質的に純粋なポリ ペプチドは、アデノウイルスに由来するが、大腸菌またはその他の原核細胞にお いて合成されたポリペプチドを含む。「実質的に純粋な核酸」とは、本発明のDN Aが由来する有機体の天然ゲノムにおいて、隣接する遺伝子を含まない核酸(例 えば、DNA)を意味する。従って、この用語は例えば、ベクター;自律複製型プ ラスミドもしくはウイルス;原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み入れ られるか;またはその他の配列とは無関係な別個の分子(例えば、PCRまたは制 限エンドヌクレアーゼ消化によって生じたDNAまたはDNA断片)として存在する、 組換え型DNAを含む。同様に、さらなるポリペプチド配列をコードするハイブリ ッド遺伝子の一部である組換え型DNAも含む。 本発明に係る「特異的に結合する」という表現は、天然に蛋白質を含む試料、 例えば生物試料において、ある一つの蛋白質を認識して結合するが、その他の分 子は実質的に認識せず結合しない抗体を意味する。好ましくは、アデノウイルス 蛋白質(例えば、E4orf4)に特異的に結合する特異的結合抗体は、別のアデノウ イルス蛋白質(例えば、E4orf6)に結合しない。 本発明に係る「類似体」という表現は、殺細胞機能を模倣するポリペプチド断 片、ペプチドおよび非ペプチド性模倣体、試薬および化合物、ならびにE4orf4ま たはE4orf6蛋白質のその他の機能を模倣する試薬および化合物を含むが、これら に限定しない。 本発明に係る「薬学的に許容される担体」という表現は、投与される化合物の 治療特性を保持する一方で治療哺乳類に生理学的に許容される担体を意味する。 一例としての薬学的に許容される担体は生理食塩水である。その他の生理学的に 許容される担体およびその調製物は当業者に既知で、例えば、レミントンの製薬 科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、(第18版)、ゲナロ(A.Genn aro)編、1990、マックパブリッシング・カンパニー、イーストン、ペンシルバ ニア州に記述されている。 本発明に係る「ウイルスベクター」という表現は、ウイルスから得られたエレ メントを含むDNAの鎖を意味する。ウイルスベクターは外因性プロモーターから の挿入DNAの発現を指向してもよく、またはベクター自身の長末端反復(LTR)配 列からの挿入DNAの発現を指向してもよい。好ましいウイルスベクターは、細胞 を感染させることができる非溶解性ウイルスにおいてパッケージングすることが でき、その後ウイルスベクターに挿入されたDNAが発現される。 本発明の薬剤により、ウイルスによって、または疾患状態の結果として死なな くなった細胞を選択的に死滅させることが可能となる。このように、本発明の薬 剤は、癌細胞またはウイルス感染細胞のような不適当に生存する細胞だけを殺す 。この結果、患者にとって実質的に副作用のない療法が得られる。 本発明の薬剤は、いかなる血清タイプのいかなるアデノウイルスのE4細胞死蛋 白質、その断片、ならびにこれらの蛋白質産物のペプチドおよび非ペプチド性模 倣体も含むが、これらに限定しない。 図面の簡単な説明 図1Aは、Ad5 E1A蛋白質およびその変異体のアミノ酸配列をコードする領域を 示す; 図1Bは、関連するアデノウイルス変異体の要約である; 図2は、p53-ヌル10(1)細胞において、表示のAd5変異体によるDNA断片化誘導 のアガロースゲル分析である; 図3Aおよび3Bは、p53-ヌルSaos-2細胞(図3A)および表示のAd5変異体で感染 さ せたBcl-2を発現するp53-ヌルSaos-2細胞(図3B)の生存率を示す登録商標トリ パンブルー排除分析のグラフである; 図4は、p53-ヌル10(1)細胞における表示のE1A変異体によるDNA断片化誘導の アガロースゲル分析である; 図5は、表示のE1A変異体に感染させたp53-ヌルSaos-2細胞の生存率を示す登 録商標トリパンブルー排除分析のグラフである; 図6は、E1A/MEFおよびHy/MEF細胞における表示のAd5変異体によるDNA断片化 誘導のアガロースゲル分析である; 図7は、表示のAd5変異体に感染させたp53-ヌルSaos-2細胞の生存率を示す登 録商標トリパンブルー排除分析のグラフである; 図8は、Hy/MEFおよびE1A/MEF細胞における表示のAd5変異体によるDNA断片化 誘導のアガロースゲル分析である; 図9Aおよび9Bは、表示のAd5変異体によるE1A/MEF(図9A)およびHy/MEF(図9B )殺細胞を示す登録商標トリパンブルー排除分析のグラフである; 図10は、E4orf蛋白質のアミノ酸配列をコードする領域およびAd5変異体におけ るE4orf発現を示す; 図11は、p53-非依存的殺細胞(p53-ヌルSaos-2細胞)におけるE4orf6の役割を 示す登録商標トリパンブルー排除分析のグラフである; 図12は、p53-非依存的殺細胞(p53-ヌルSaos-2細胞)におけるE4orf4の役割を 示す登録商標トリパンブルー排除分析のグラフである; 図13Aおよび13Bは、E4orf1、E4orf3、およびcrmAをコードする非細胞障害性誘 導対照プラスミドと比較して、ルシフェラーゼをコードする共トランスフェクト リポータープラスミドの発現が低いことから判断すると、E4orf4-またはE4orf6 −コードプラスミドの一過性のトランスフェクションによって発現させた場合、 E4orf4またはE4orf6が、p53-ヌル細胞において細胞障害性を誘導することを示す グラフである; 図14は、E4orf1、E4orf2、およびE4orf3をコードする非細胞障害性誘導対照プ ラスミドと比較して、ルシフェラーゼをコードする共トランスフェクトリポータ ープラスミドの発現が低いことから判断すると、E4orf4-またはE4orf6-コードプ ラスミドの一過性のトランスフェクションによって個々に、またはルシフェラー ゼと共に発現させた場合、E4orf4およびE4orf6が、p53-ヌル細胞において細胞障 害性を誘導することを示すグラフである。E4orfプラスミドDNAの2つの濃度を用 いた:黒い棒は2.5μg;斜線の棒は5μgを示す; 図15は、アデノウイルス5型(Ad5)E4orf6の核酸配列(上段)(配列番号: 1)およびアミノ酸配列(下段)(配列番号:2)を示し;および 図16は、アデノウイルス5型(Ad5)E4orf4の核酸配列(上段)(配列番号: 1)およびアミノ酸配列(下段)(配列番号:2)を示す。 発明の詳細な説明 本発明者らは、E1Bの非存在下において、E1Aオープンリーディングフレーム( orf)蛋白質産物もまたp53-非依存的アポトーシスを誘導することを発見した。 本発明者らの結果は、そのようなアポトーシス細胞死が289 RE1A蛋白質によって 誘導される場合に限ることを示している。さらに、E1A産物を構成的に発現して いるp53-ヌルマウス細胞を、E1AおよびE1Bの全コード領域を欠損するが初期領域 E2、E3およびE4は含むアデノウイルスベクターに感染させると、アポトーシスに よる急速な細胞死が認められる。さらに、289Rがp53-ヌルマウスおよびヒト細胞 においてアポトーシスを誘導すること、およびそのようなp53-非依存的細胞死が もう一つの初期ウイルス遺伝子の発現を必要とすることを示している。本発明に おいて、本発明者らは、E2またはE3産物はいずれもp53-非依存的細胞死にとって 必要でないことおよび2つのE4蛋白質が289R E1A産物によって誘導されるp53-非 依存的細胞死に関与していることを示す遺伝子分析について記述する。これらの 結果は、E1A-289Rの役割が、その産物が実際にp53-非依存的アポトーシスを誘導 するさらなる初期転写物の発現のトランス活性化である可能性があることを示し ている。本明細書において本発明者らは、2つのE4遺伝子産物がそのような殺細 胞に関与していること、ならびにこの所見に由来する治療組成物、方法および薬 物スクリーニングを提供する。 本発明者らは、E1B-19kDa蛋白質および細胞Bcl-2の双方がp53-非依存的アポト ーシスを阻害または有意に遅らせることを示している。初期領域E2またはE3のい ずれもそのような細胞死に必要でないように思われる。一連のE1A変異体に関す る 分析により、トランス活性化ドメインおよびその他のE1A領域における変異がE4 遺伝子発現のE1A媒介トランス活性化に相関することが示されている。その上、E 1Bを発現するが、いずれのE4遺伝子産物も発現しない変異アデノウイルスに感染 させたp53-欠損ヒトSaos-2細胞は、野生型(wt)Ad5に感染させたp53-欠損ヒトS aos-2細胞よりかなり長期間生存している。さらに、E1およびE4の双方を欠損す るアデノウイルスベクターは、E1A発現細胞株においてDNA分解および殺細胞を誘 導することができない。これらのデータはE4産物がE1A-誘発p53-非依存的アポト ーシスにとって必須であることを示した。 以下の実施例は本発明を図示することを目的としており、本発明を制限しない 。 I.本発明において用いられる材料および方法細胞およびウイルス p53発現をいずれも欠損するヒトSaos-2細胞(ATCC HTB 85)および10(1)マウ ス胎児繊維芽細胞由来細胞を、NIH-3T3およびCHO細胞と同様に、直径60mmの培養 皿において10%仔ウシ胎児血清(FCS)を加えたダルベッコ改変MEM(DMEM)中で 培養した。Bcl-2を安定に発現する細胞株Saos-2/Bcl-2(3g4)は、対照細胞株Sa os-2/Neo(2a2)と共に、G418による選別によってSaos-2細胞からこの試験のため に得た。Ad5EIA蛋白質を発現している1A.A3、1A.A6、および1A.A12マウス胎児繊 維芽細胞、およびHy.A3ヒグロマイシン選別対照株については、すでに記述され ており(ローウェら(Lowe,S.W.)、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91: 2026〜2030)、10%FCSおよび100mg/mLヒグロマイシンを含むDMEM中で培養した 。通常、細胞は変異体または野生型(wt)Ad5で100pfu/細胞の多重度で感染させ た。Ad5 E1A変異体は図1Aに示し、この中には欠失変異体dl 1101(残基4〜25が 欠失している)、dl 1143(38〜60)、dl 1107(111〜123)、dl 1108(124〜12 7)、dl 1143/08(38〜60+124〜127)およびdl 1132(224〜238)が含まれる。 欠失変異体において除去された残基を含め、本試験において用いられる変異体の いくつかによってコードされる蛋白質を示す。CR1、CR2、CR3、AR1およびAR2も また示している。全AR1領域(残基189〜200)を欠損し、E1B産物を発現すること ができないARI-/E1B-と呼ばれる新規E1A変異体は、デュモンら(Dumont,D.J.、 J.Virol. 63:987〜991、1989)が既に記述した方法に従って作製した。標準的な分子生物 学技法に従ってさらなる変異体を作製した。変異体AR2-/E1B-よ、残基224〜238 を欠損するdl 1132を、E1B蛋白質を発現できないバックグラウンドに導入するこ とによって作製した。変異体AR1-/AR2-/E1B-は、後者の2つの変異体の組み合わ せを表す。CR3での様々な位置で単一のアミノ酸置換を含むさらなるE1A変異体は 、変異体E1A cDNAプラスミドからの適当な制限酵素断片をゲノムウイルスDNAに サブクローニングし、その後ウイルスに挿入して変異体AD147VL(バリン147位が ロイシンに変化している)、AD177CS、およびAD185SGを形成することによって作 製した。その他の変異体は全て、名称およびE1Bの欠損ならびにその他の変異体 を示すリストである図1Bに要約した。2つの変異体は、19kDa(最初はpm1716/20 72と呼ばれたが、今ではE1B/19K-と呼ぶ)および55kDa(最初はpm2019/2250と呼 ばれたが、今ではE1B/55K-と呼ぶ)のE1B蛋白質を発現することができない(マ クローリーら(McLorie,W.)、前記)。変異体12S/E1B-(最初はdl 520E1B-は 、12S mRNAによってコードされるE1A-243Rのみを産生して、E1B産物は産生しな い。主なE1A産物をいずれも発現するが、19kDaまたは55kDa E1B種は共に発現し ない変異体E1B-は既に記述されている(テオドロら(Teodoro,J.G.)、1995、O ncogene 11:467〜474)。13S/E1B-と呼ばれる、E1Bの非存在下で289Rのみを発 現する変異体もまた、本試験のために調製した。E1B産物を発現しない一連のE1A 変異体(dl 1101/E1B-、dl 1107/E1B-、AD147VL/E1B-等)もまた、289Rおよび24 3R E1A産物を共に発現するがE1B産物は発現しない変異体E1B-に、E1A変異を導入 することによって作製した(テオドロら(Teodoro,J.G.)、1995、Oncogene 11 :467〜474)。全ての変異体における変異の存在は、その全てが標準的な分子生 物学技法である、DNAシークエンシング、制限酵素消化、またはサザンブロッテ ィングによって確認した。本試験において用いられるさらなるAd5ベクターには 、E1(E1A+E1B)領域が、CMVプロモーターの下で大腸菌遺伝子lacZに置換されて いるAdLacZ、および既に記述されているように(ベット(Bett,A.J.)、1994、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:8802〜8806)プラスミドpAB7とpBHG10の共ト ランスフェクションによって作製し、E1および全E3領域を欠損するAd5 dl 70-8( グラハム(F.L.Graham)、マックマスター大学、ハミルトン、オンタリオ州カナ ダ)が含まれた。これら のウイルスベクターならびにその他のE1AおよびE1B変異体は、既に記述されてい るようにヒト293細胞上で増殖させた(グラハム(Graham,F.L.)、1977、J.Gen .Virol.36:59〜72;ベット(Bett,A.J.)、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA 91:8802〜8806)。全E1およびE4領域を欠損するアデノウイルスベクターAdR SVβgal.11は、ダグラス・ブロー(Douglas Brough)氏(ゲンベック、ロックビ ル、メリーランド州)から寄贈された。さらに、全てのE4産物の発現を消失させ る欠失を含み、既に記述されているように(ブリッジら(Bridge,E.)、1989、 J.Virol.63:631〜638)、W162サル細胞において増殖させたヒトアデノウイル ス2型(Ad2)変異体dl 1019に関していくつかの実験を実施した。その他のE4変 異体(ブリッジら(Bridge,E.)、前記)は、図10に要約した。DNA 断片化 低分子量DNAは、テオドロら((Teodoro)、Oncogene 11:467〜474、1995)が 記述したように、擬似-またはAd5感染細胞から単離した。これらの実験では、直 径60-mmの培養皿の細胞を感染後40時間で回収し、プロナーゼ溶解緩衝液(5mM EDTA、100mM NaCl、および1mg/mL(w/v)プロナーゼを含む10mMトリス塩酸(pH 8)にSDSを0.5%w/vで加えたもの)で溶解した。細胞溶解物を次に37℃で2時間 インキュベートし、次にNaClを最終濃度1Mとなるように加えた。次に試料を4℃ で一晩インキュベートして15,000×gで30分遠心した。抽出した核酸をRNAアー ゼで処置し、エチジウムブロマイドで染色した1%アガロースゲル上で分析した 。細胞生存率解析 約80%コンフルエントの細胞を含む24ウェルプレート中で細胞をwtまたは変異 型ウイルスに感染させた。感染後様々な時間に、接着および非接着細胞をプール して、生存率を登録商標トリパンブルー排除法によって評価した。各時点につい て少なくとも細胞300個を計数した。アデノウイルスE4プロモーターのE1A-媒介トランス活性化の測定 CATトランス活性化解析は、直径60mmの培養皿に2×105個の密度で播種したNI H 3T3またはCHO細胞を用いて実施した。E4 CATリポータープラスミド(E4-CAT) はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子の上流にE4 プ ロモーターを含んだ。一過性の共トランスフェクションは、リン酸カルシウム沈 殿法(例えば、アウスベルら(Ausubel,F.)、1994、「分子生物学の現在のプ ロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、ジョン・ウィリー& サンズ、ニューヨーク、ニューヨーク州に記述されている)によって、リポータ ープラスミドDNA2.5μgおよびwtまたは変異型E1A産物を発現しているプラスミ ドからのDNA2.5μgを用いて実施した。トランスフェクションの12時間後に細胞 にグリセロールショックを行い、36時間後に回収した。CAT解析は、記述のよう に(アウスベルら(Ausubel,F.)、前記)、等量のβ−ガラクトシダーゼ活性 を含む細胞抽出物を用いて実施した。活性量は、登録商標フジックスバス2000燐 造影装置を用いてTLCプレートから定量した。ルシフェラーゼ細胞死活性 E4オープンリーディングフレーム(orf)を、CMVプロモーターによる遺伝子発 現を促進するpCDNA3.1プラスミド(インビトロゲン社から市販されている)に個 々にクローニングした。プラスミドを2×CsCl精製を用いて精製し、リン酸カル シウム沈殿によってトランスフェクションを行った。各E4orfコードプラスミド は、RSVプロモーターの調節下でルシフェラーゼ遺伝子を発現する(pRSV-ルシフ ェラーゼ)プラスミドと共にトランスフェクトさせた。空のpCDNAベクターまた はcrm AをコードするpCDNAベクターを殺細胞の陰性対照として用いた。 II.E1A誘導p53非依存的アポトーシスはE1B-19kDa蛋白質および細胞Bcl-2の双方 によって阻害される 本発明者らは最近、主要なAd5 E1A産物がいずれもp53を発現している細胞にア ポトーシスを誘導することができるが、p53を欠損する細胞にアポトーシスを誘 導できるのは289R E1A蛋白質に限られることを示した(テオドロら(Teodoro.J .G.)、1995、Oncogene 11:467〜474)。図2は、様々なAd5変異体によって感 染させたp53-マウス10(1)細胞のDNA断片化パターンを示している。p53を発現で きない10(1)細胞を様々なAd5変異体に感染させるか、または擬似感染させ、感染 後(p.i.)40時間目に低分子量DNAをアガロースゲル電気泳動によって分析した 。個々のレーンの含量を図2に示す。擬似感染細胞からの抽出物(図2、レーン 1)およびE1B産物を発現するwt Ad5に感染させた細胞からの抽出物(図2、レ ーン2)は 、E1B-19kDa蛋白質を産生するがE1B-55kDa産物は産生しない変異体E1B/55K-で感 染させた細胞(図2、レーン4)と同様に、抽出した低分子量DNA量の減少を示 し、DNAの分解をほとんどまたは全く示さなかった。289Rおよび243R E1A蛋白質 をいずれも合成するがE1B産物を産生しない変異体E1B-で細胞を感染させると( 図2、レーン6)、大量のDNAが抽出され、ヌクレオソーム程度の大きさのDNA断 片が明らかに高レベル存在した。同様の結果はまた、E1B-55kD1重を産生するが1 9kDa蛋白質は産生しないE1B/19K-で感染させた細胞(図2、レーン5)でも得ら れた。これらのp53-細胞におけるDNA分解の誘導は、E1A-243Rのみを産生し、E1B を発現しない12S/E1B-で感染後では起こらなかった(図2、レーン3)が、E1B 産物の非存在下においてE1A-289Rのみを産生する13S/E1B-による感染後では起こ った(図2、レーン7)。このように、243RではなくてE1A-289Rが、E1B蛋白質 の非存在下でp53-非依存的アポトーシスを誘導した。さらに、これらの結果は 、p53の非存在下においてE1Aによって誘導されるアポトーシスから細胞を保護で きるのは、55kDaE1B産物ではなくてE1B 19kDaポリペプチドであることを示した 。 これまでのいくつかの研究により、Bcl-2およびE1B-19kDa蛋白質は機能的に類 似である可能性があることが示されたため(ヌグエンら(Nguyen,M.)、1994、 J.Biol.Chem.269:16521〜16524)、アポトーシス阻害の特異性をさらに調べ るために、細胞Bcl-2蛋白質もまたp53非依存的アポトーシスを防止できるか否か を明らかにするために試験を実施した。p53合成を欠損するヒトSaos-2細胞をヒ トBcl-2蛋白質およびネオマイシン耐性マーカーをコードするcDNAでトランスフ ェクトさせ、G418を用いていくつかの細胞株を選別した。Saos-2/Bcl-2(3g4) と呼ぶそのようなBcl-2発現クローン1株、およびG418に対する耐性に関しての み選別した対照Saos-2クローン、Saos-2/neo(2a)をwt Ad5、変異体12S/E1B-また はE1B/19K-に感染させ、または擬似感染を行って細胞生存率解析を感染後様々な 時間に実施した。ヒトBcl-2を構成的に発現しているp53欠損ヒトSaos-2/neo(2a2 )細胞(図3A)またはSaos-2/Bcl-2(3g4)(図3B)を、擬似感染またはwt、E1B/1 9K-または12S/E1B-で感染させ、感染後様々な時間の生存率を登録商標トリパン ブルー排除解析によって試験した。結果を%生存細胞の対数として表し、記号は 図3Aおよび3Bに示す通りである。図3Aは、Saos-2/neo(2a2)対照細胞がE1A-289R を発現するE1B/19K - ウイルスによって殺されるが、wtまたは12S/E1B-で感染させた細胞は、試験期 間中擬似感染細胞とほぼ同じ生存率であったことを示している。図3Bは、Bcl-2 の高レベルを安定的に発現しているSaos-2/Bcl-2(3g4)細胞では、E1B-19K-ウイ ルスによって誘導される細胞死はほとんどなかったことを示している。他の3つ の対照細胞株およびBcl-2産生Saos-2細胞株でも同様の結果が得られた。このよ うに、E1B-19kDa蛋白質と同様に、Bcl-2もまた、E1A誘導p53非依存的アポトーシ スを遮断する。 III.p53非依存的アポトーシスにおけるE1Aドメインの役割 p53非依存的細胞死の発生に関与するE1A産物の領域を調べるために、p53マウ ス10(1)細胞を、E1Bを発現できないが、E1A分子の様々な領域に多様な欠損が潜 在しているAd5変異体で感染させた。抽出物を回収し、低分子量DNAの分解の程度 を調べるためにゲル上で分析した。p53欠損10(1)細胞での実験は、E1B産物の発 現が欠損している一連のAd5E1A変異体を用いて実施した。10(1)細胞を様々なAd5 変異体で感染させ、または擬似感染させて、感染後40時間目に低分子量DNAをア ガロースゲル電気泳動によって分析した。個々のレーンの含量は図4に示す通り である。図4はまた、変異体E1B/19K-(図4、レーン3)がDNA分解を誘導する が、そのようなDNA分解はwt Ad5による感染細胞(図4、レーン2)または擬似 感染細胞(図4、レーン1)では起こらなかったことも示している。CR3に関連 するE1Aトランス活性化機能に影響を及ぼす変異体は全て、DNA分解を誘導できな かった。これらの中には、12S/E1B-(図4、レーン8)、およびE1Aトランス活 性化活性化を消失させるCR3の重要な残基に単残基置換を有する点突然変異体AD1 47VL/EIB-、AD171CS/E1B-およびAD185SG/E1B-(図4、それぞれレーン9〜11) が含まれた。さらに、AR1の欠失またはAR1およびAR2双方の欠失(図4、レーン1 2および14におけるそれぞれ、AR1-/E1B-およびAR1-/AR2-/E1B-)もまた、DNA分 解を消失させたが、AR2のみを除去(図4、レーン13のAR2-/E1B-)しても、DNA 分解の消失にはほとんど作用を示さなかった。興味深いことに、pRBと関連蛋白 質(図4、それぞれレーン5および6のdl 1107/E1B-およびdl 1108/E1B-)との 複合体形成を消失させるCR2の変異体は、DNA分解の誘導に影響を及ぼさなかった が、N末端(図4、レーン4のdl 1101/E1B-)、またはpPB結合部位と共にCR1の 一部(図4、レーン7のdl 1143/08/E 1B-)の除去によりp300の結合を消失させる変異体は、このDNA分解作用を引き起 こさなかった。これらの結果は、E1A-誘導p53非依存的アポトーシスがCR3トラン ス活性化ドメイン、AR1、およびpRB関連蛋白質ではなくてp300の結合に必要な領 域を必要とすることを示唆した。図5は、殺細胞解析においても、これらの変異 体について同様の結果が得られたことを示している。Saos-2細胞を様々なアデノ ウイルス変異体に感染させ、または擬似感染させ、次に感染後様々な時間で登録 商標トリパンブルー排除解析によって生存率を調べる実験を行った。結果は%生 存細胞の対数として表し、記号は図5に示す通りである。細胞死は、双方のE1A 産物を発現するE1B/19K-ウイルスによって、およびdl 1107/EIB-によって誘導さ れた。AR2を欠損する変異体AR2-/E1B-もまた殺されるが、前者のウイルスより毒 性度は一貫して低かった。CR3、AR1およびp300結合部位に影響を及ぼすその他の 全ての変異体は、試験期間中、有意な殺細胞を示さなかった。 IV.E4発現の活性化とアポトーシス E1A-289Rの様々な変異体をコードするプラスミドDNAを、Ad5 E4プロモーター の調節下でCATをコードする構築物である、E4-CATからのDNAと共にNIH-3T3また はCHO細胞の中に共トランスフェクトさせた、E4プロモーターのE1Aトランス活性 化パターンを調べるために試験を行った。表1は、E4プロモーターの活性化には 、CR3の他にAR1およびある程度のAR2を必要とすることを示している。 表1 E1A変異体によるE4トランス活性化 E1A変異体 変異 関係する領域 E4 CAT*活性 (%wt±S.D.) 野生型 なし なし 100 dl1101 Δ4-25 N末端 30+/-11 dl1104 Δ48-60 CR1 40+/-5 dl1107 Δ111-123 CR2 85+/-5 dl1108 Δ124-127 CR2 81+/-14 dl520 Δ140-185 CR3 10+/-7 AR1- Δ189-200 AR1 25+/-7 AR2-(pm1132) Δ224-238 AR2 64+/-16 *CHOまたは3T3細胞を、Ad5 E4プロモーターの下で、様々なE1A変異体およびCAT をコードするプラスミドDNAでトランスフェクトさせた。 本明細書に記述のように、細胞抽出物のCAT活性を解析した。CAT活性は、wtに ついて得られた活性の百分率として表記した。各変異体について、3回の独立し た解析を実施した。 さらに、p300の結合に関係するN末端およびCR1の領域もまた、E4プロモーター の活性化に重要であることが判明した。これらの結果により、E1A-誘導p53非依 存的アポトーシスのパターンと非常に類似しており、E4産物はこのp53非依存的 細胞死に関係している可能性があることが示唆された。 V.E2およびE3産物はアポトーシスには必要でない 本明細書で記述した結果がp53非依存的アポトーシスのE1A誘導に対する必要条 件を概説していると仮定すると、E2産物はp53非依存的アポトーシスの誘導に関 与する可能性が低いと本発明者らは判断した。第一に、CR3の他に、CR2およびpR Bフアミリーの蛋白質を含む複合体形成がE2発現を活性化し、CR2は、殺細胞にお いてほとんど重要でないことが示された。第二に、E2蛋白質発現の十分な高レベ ルはp53非依存的アポトーシスを全く誘導できないE1A-243R蛋白質によって誘導 されることがわかっている。 次に、何らかのE3産物がp53非依存的アポトーシスの誘導に関係しているか否 かを明らかにする実験を行った。p53を欠損するがAd5 E1A蛋白質を発現する1A.A 3マウス胎児繊維芽細胞株、およびHy.A3ヒグロマイシン選別p53-対照細胞(ロー ウエら(Lowe,S.W.)、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:2026〜2030)をw t Ad5、E1B/19K-ウイルス、E1AおよびE1Bの代わりにlacZを含むアデノウイルス ベクタ−Ad lacZ、または全E1およびE3領域を共に欠損するベクターAd5 dl 70-8 に感染させた。次に細胞抽出物中の分解DNAの有無を解析した。 したがって、289Rおよび243R E1A蛋白質を構成的に発現する細胞株(E1A/MEF )または非発現性の対照細胞株Hy.A3(HY/MEF)を擬似感染、またはwt Ad5また はアデノウイルスベクターAdLacZまたはAd5 dl 70-8で感染させた。40時間後、D NAを抽出してアガロースゲル電気泳動によって分析した。個々のレーンの含量は 図6に示す通りである。図6は、1A.A3細胞では、アデノウイルスAdLacZまたはA d5 d l 70-8の双方と共に、19K-変異体により高レベルのDNA分解が誘導されたことを 示す。図6は、構成的なE1A発現を欠損する対照細胞では、E1B/19K-ウイルスの みがDNA分解を誘導したことを示している。同様の結果はまた、2つの他の類似 のE1A発現細胞株、1A.A6および1A.A12についても得られた。これらの結果は、こ れらの条件下ではE3産物がE1Aによるp53非依存的アポトーシスの誘導には必要で ないことを示している。 VI.E4蛋白質はp53非依存的アポトーシスにとって必須である 上記の実験によって示唆されるように、E4産物が細胞死の誘導に関係している か否かを直接調べるために、2つのアプローチを行った。第一のアプローチでは 、ヒトp53-Saos-2細胞をwt Ad5またはwtアデノウイルス2型(Ad2)、もしくはE 4蛋白質を産生しないAd2変異体dl 1019に感染させるか、または擬似感染させた 。これらのウイルスはE1B蛋白質を発現し、このため、E1A-誘導アポトーシスか ら保護されるが、E4産物がp53非依存的細胞死にとって必須であれば、長期細胞 生存に何らかの差が認められるであろうと思われた。このように、10日までの様 々な時間において、感染細胞の細胞生存率を調べた。この実験に関して、Saos-2 細胞を擬似感染させ、またはwt Ad5またはAd2もしくはdl 1019で感染させた。10 日までの様々な時間において、細胞生存率を登録商標トリパンブルー排除法によ って評価した。データは%細胞生存率として表記し、記号は図7に示す通りであ る。図7は、wt Ad5ウイルスに感染した細胞が感染後約100時間で死亡し始め、 感染後240時間までにほとんど全ての細胞が死亡したことを示している。同様の 結果はwt Ad2(アデノウイルス2型)感染細胞についても認められた。しかし、 感染後10日でも擬似感染細胞とほぼ同等の生存率を示したdl 1019-感染細胞には 当てはまらなかった。これらの結果により、E4産物がp53の非存在下での殺細胞 に関係していることが示された。このことは、E1およびE4領域が完全に欠失して いるアデノウイルスベクターAdRCVβgal.11によるE1A発現p53-1A.A3細胞の感染 に関する実験において確認された。この実験では、289Rおよび243R E1A蛋白質を 構成的に発現する細胞株、もしくはHy.A3非発現対照細胞株を、擬似感染またはw t Ad5、E1B/19K-、12S/E1B-、もしくはE1およびE4を共に欠損するアデノウイル スAdRSVβgal.11によって感染させた。40時間後、DNAを抽出してアガロースゲル 電気泳動によっ て分析した。個々のレーンの含量は図8に示す通りである。図8は、E1Aを発現 しない対照Hy.A3(Hy/MEF)p53-細胞では、E1B/19K-Ad5変異体のみがDNA分解を 誘導し、wt、12S/E1B-、またはAdRSVβgal.11ベクターのいずれも、いかなる有 意な作用も示さなかった(すなわち、DNA分解を誘導しなかった)ことを示して いる。1A.A3細胞(E1A/MEF)では、E1B/19K-(図8、レーン8)および12S/R1B-( 図8、レーン9)ウイルスがいずれもDNA分解を誘導したが、AdRSVβgal.11ベク ター(図8、レーン10)はなお、DNA分解の誘導にほとんど作用を示さなかっ た。他の2つの姉妹細胞株、1A.A6および1A.A12についても同様の結果が得られ た。E1B/19K-および12S/E1B-ウイルスの1A.A3細胞におけるアポトーシス誘導能 をさらに、殺細胞実験において分析した。289Rおよび243R E1A蛋白質を構成的に 発現する細胞株(E1A/MEF−右のパネル)、または非E1A発現対照細胞株Hy.A3(H y/MEF)(左のパネル)を、擬似感染させ、またはwt Ad5、E1B/19K-、12S/E1B- またはアデノウイルスベクターAdRSVβgal.11で感染させた。感染後様々な時間 において、細胞生存率を登録商標トリパンブルー排除法によって評価した。デー タは%細胞生存率として表記し、記号は図9Aおよび9Bに示す通りである。図9Bは 、Hy.A3(HY/MEF)対照細胞では、細胞死を誘導したのはE1B/19K-ウイルスに限 られたのに対し、1A.A3細胞(E1A/MEF−図9Aに示す)では、E1B/19K-および12S/ E1B-ウイルスが共に誘導したことを示している。しかし、いずれの場合も、AdRS Vβgal.11感染細胞は擬似感染培養と同様に、十分に生存していた。このように 、これらのデータにより、E4産物がE1A-誘導p53非依存的細胞死に関与している ことが確認された。 VII.アデノウイルスE4細胞死蛋白質の同定 いずれのE4産物がEIA-依存的p53非依存的アポトーシスの誘導に関与している かを特定するために、p53ヌルマウス10(1)細胞をwt Ad5またはE4領域の様々な部 分に欠失を有する変異体に感染させた(図10参照)。Saos-2細胞をwt Ad5、Ad5 変異体に感染させ、または擬似感染させて、感染後様々な時間に登録商標トリパ ンブルー(Trypan Blue)を用いた細胞生存率解析を実施した。結果は%生存細 胞の対数として表記し、記号は図11および図12に示す通りである。図11は、生存 細胞による登録商標トリパンブルー排除によって判断すると、wtウイルスに感染 させたSaos-2細胞が感染後約125時間までに死滅し始め、240時間までに細胞死が ほぼ完 全に起こったことを示している。擬似感染培養または全E4領域を欠損する変異体 dl 1019およびdl 1011に感染させた培養では細胞死がほとんど認められなかった 。wtの場合と同様の細胞死は、E4orf6およびE4orf4を発現するE4変異体dl 1013 による感染細胞に認められたのに対し、E4orf6以外の全てのE4産物を発現する変 異体dl 1010では細胞死はほとんど起こらなかった(図11)。これらの結果は、E 4orf6蛋白質が発現された場合に限って細胞死が起こり、その非存在下では実験 中に起こらなかったことを示した。このように、E4orf6蛋白質の発現は、289R E 1A産物によって誘導されるp53-非依存的アポトーシスにとって必須であることは 明白である。 dl 1013に関する研究により、E4orf4もまた、389R E1A産物によって誘導され るp53アポトーシスに関係している可能性が残されたため、別の変異体を試験し た。擬似感染細胞と共に、E4orf4のみを発現する変異体dl 1014、E4orf4およびE 4orf3を発現するdl 1015、E4産物を発現しないdl 1011に感染後のSaos-2細胞に 関するさらなる登録商標トリパンブルー排除実験を実施した。図12は、E4orf4を 産生するが他のE4産物は発現しない変異体dl 1014が実際に全く効率よく細胞を 殺すことを示している。これらの結果は、E4orf4の発現のみが細胞死を誘導する ことを示した。E4orf4およびE4orf3のみを産生する変異体dl 1015は、再現性よ くdl 1014より殺細胞作用が低く、このことは、E4orf3蛋白質がE4orf4の毒性作 用を弱める可能性があることを示唆している。 このように、図11および12は、アデノウイルスAd5が2つの蛋白質、E4orf6お よびE4orf4を産生し、それぞれがp53-非依存的アポトーシスの誘導に何らかの役 割を果たしていることを示している。この結論は、p53発現またはp53ヌル形質転 換細胞においてルシフェラーゼをコードするリポータープラスミドと共に、E4or f4またはE4orf6プラスミドDNAによる一過性のトランスフェクションを用いて、E 4orf4またはE4orf6のいずれかを他のウイルス蛋白質の非存在下で単独で発現さ せた、第二のタイプの実験において確認した。 p53を欠損するがE1A腫瘍遺伝子を構成的に発現する1A.A3および1A.A6細胞を、 燐酸カルシウム法を用いてRSVプロモーターに機能的に結合したルシフェラーゼ をコードするcDNAプラスミド(pRSV-ルシフェラーゼ)およびCMVプロモーターに 機 能的に結合した様々なE4産物またはCrm Aを発現するいずれかのcDNAプラスミド と共トランスフェクトさせた。これらの構築物は、これらの蛋白質産物をコード するcDNA配列をインビトロゲン社から販売されているpCDNA3.1発現プラスミドに サブクローニングすることによって作製した。トランスフェクトの48時間後、細 胞を溶解してプロメガ社から販売されているルシフェラーゼ解析キットの方法お よび試薬を用いて、ルシフェラーゼ活性をルミノメーターで測定した。図13Aの ルシフェラーゼ活性は活性単位で表すが、図13Bのルシフェラーゼ活性は、ルシ フェラーゼおよびE4orf3-コードプラスミドで共トランスフェクトさせた細胞に おいて認められた最大ルシフェラーゼ活性の百分率として表す。図13Aおよび13B は、空のベクター(EV)、またはE4orf1、E4orf3、またはCrm Aを発現するcDNA によるトランスフェクションにより高レベルのルシフェラーゼ活性を認め、この ことは細胞生存率が影響を受けなかったことを示している。しかし、図13Aおよ び13Bは、ルシフェラーゼ活性が、E4orf6の発現(図13B)によって部分的に減少 し、E4orf4の発現によって大きく減少することを示している(図13Aおよび13B) 。双方のE4細胞死蛋白質を発現すると、図14に示すように殺細胞はさらに大きく なった。これらの結果は、これらの蛋白質がいずれもp53ヌル形質転換細胞の殺 細胞能を有することを示す独立した証拠を提供するが、同時にE4orf1およびE4or f3はこれらの細胞を殺すことができないことを証明している。同様の殺細胞解析 により、p53陽性形質転換細胞およびいくつかの不死化された急速に増殖する細 胞おいて同等の比較できる結果が得られた。このタイプの全ての解析において、 E4orf4は、E4orf6より高レベルの殺細胞を誘導することが判明した。しかし、E4 orf4について認められた高レベルの殺細胞がE4orf6について得られた殺細胞と同 程度に望ましいか、または特異的であるか否かを予測することは難しい。にもか かわらず、これらの結果はE4orf4およびE4orf6がいずれも、急速に増殖する形質 転換細胞を殺す能力を有することを示している。さらに、本明細書で議論するよ うに、そのような殺細胞作用は、E1A産物に予定外のDNA合成および細胞の形質転 換の誘導能が欠損している変異体に感染した正常細胞では起こらないため、殺細 胞は癌細胞に限られ、正常細胞集団は比較的影響を受けない。 アデノウイルスE1A産物は、溶解性感染症および形質転換におけるその主要な 役 割がE1A毒性の抑制であるE1B産物の非存在下で発現されると、DNA分解、急速な 細胞死および他のアポトーシスの徴候を誘導する。289Rおよび243R E1A蛋白質は いずれも、p53-依存的経路によってアポトーシスを誘導することができる。 E1A蛋白質はまた、p53を欠損する細胞においてアポトーシスを誘導する(テオ ドロら(Teodoro,J.G.)、1995、Oncogene 11:467〜474)。本発明者らは、こ のp53非依存的アポトーシスが289R E1A蛋白質に限って誘発されることを発見し 、本発明者らの結果は、E1A-289Rによって制御される1つ以上のさらなる初期ウ イルス遺伝子の発現がこのアポトーシスには必要であることを示唆した。本明細 書に記述する実験は、E1B-55kDa蛋白質がこの作用を遮断することができないが 、E1B-19kDa産物およびアポトーシスの細胞抑制物質であるBcl-2がいずれもこの 反応を有意に阻害することを示した。 本発明に至る研究の主な目標は、p53の非存在下ではどの初期ウイルス転写単 位が細胞死の誘導に必要であるかを特定することであった。E1A変異体について 得られた結果は明らかに、CR3がE1A 289R産物のp53非依存的アポトーシス誘導能 において重要であることを示した。さらに、標的遺伝子のトランス活性化を消失 させることが知られているCR3におけるいくつかの点突然変異は、DNA分解および 殺細胞の誘導ができないため、CR3-媒介トランス活性化活性が必要であるように 思われた。特に興味深いのはCR3の外側で欠損を有する変異体について得られた 結果であった。pPBのコア結合部位および関連蛋白質を欠損する変異体dl 1108は 、wtに類似のp53非依存的アポトーシスを誘導した。しかし、妥当な通常のレベ ルでpRBに結合するがp300転写制御因子に結合することができない変異体dl 1101 は、p53非依存的アポトーシスの誘導能を完全に欠損している。これらの結果は 、p300と289Rとの相互作用が細胞死経路の開始に必須であることを示唆している 。もう一つの可能性は、13S E1A mRNAの第二のエキソンによってコードされるAR 1およびAR2領域に欠損を示す2つのさらなる変異体について得られた結果によっ て与えられた。AR1欠損変異体は、p53非依存的アポトーシスを誘導することがで きず、AR2を欠損する変異体も同様に、p53-非依存的アポトーシスを誘導する能 力が幾分損なわれていた。これらの結果は、これらの変異体E1A分子の相対的なE 4プロモータートランス活性化能に正確に対応した。本発明者らはまた、dl 1101 がE4のトラン ス活性化に関して部分的に欠損していることを発見し、このように、E4産物が細 胞死の誘導に関与しているのみならず、289Rとp300との相互作用は、アポトーシ スにおける直接作用よりE4転写のトランス活性化を必要としていることを反映す る可能性があることを示している。 初期領域E2、E3およびE4は、細胞死において何らかの役割を果たすことができ る多様な産物をコードする。E2蛋白質はウイルスDNA合成に大きく関与している 。しかし、いかなるE2蛋白質も細胞死に本質的な役割を果たしている可能性は低 い。第一に、E2転写はCR3を必要とするのみならず、pRBとの複合体形成を必要と し、その結果転写因子のE2Fファミリーの活性化およびE2遺伝子発現が起こる。 本発明者らの結果は、pRBとの複合体形成がアポトーシスに必須ではないことを 明らかに示した。第二に、アデノウイルスベクターAdRSVβgal.11は、wt E2領域 を含み、やはりE1A-発現細胞にp53-依存的アポトーシスを誘導できなかった。E3 領域はウイルス宿主相互作用に影響を及ぼすいくつかの蛋白質をコードするが、 E1A、E1B、およびE3の発現を欠損するアデノウイルスベクターAd5 dl 70-8は、E 1A発現p53欠損細胞におけるアポトーシスを十分に誘導することができる。本発 明者らがE1A変異体について認めたアポトーシスのパターンは、細胞死に関連す る初期ウイルス蛋白質がE4によってコードされることを示唆した。E4蛋白質が関 与している直接的な証拠は、細胞死のパターンがwt Ad5またはE4発現を欠損する 変異体に感染させたp53ヌルSaos-2細胞において認められた実験から得られた。E 1B産物はこれらのウイルスによって発現されたため、細胞死は後期に限って起こ ったが、E4変異体感染細胞がかなり遅れて細胞死を示すという知見は、細胞死の プロセスにおけるE4産物の関与を明らかに示していた。最終的な確認は、このウ イルスベクターが殺細胞能を欠損していることを証明したAdRSVβgal.11アデノ ウイルスベクターによる実験結果から得られた。このウイルスは、E1Aを発現し ているp53-依存的細胞において、DNA分解または殺細胞を誘導することができな かった。 したがって、本発明者らは、E4細胞死蛋白質、E4orf6またはE4orf4のいずれか がアデノウイルスによる繁殖的感染後にヒト細胞が最終的に死に至ることに関係 していることを示した。細胞死は感染後早期にE1A蛋白質の発現後に誘導するこ とができるが、E1Aによって直接誘導されるp53依存的アポトーシスは、55kDaお よ び19kDa E1B蛋白質の双方の発現によって遮断される。E4orf4またはE4orf6蛋白 質の発現後、感染の後期まで細胞死を遮断するE1B-19kDa産物がなければ、感染 細胞はp53非依存的アポトーシスによって死滅すると考えられる。E1B-19Kによる 抑制のために、E4orf4またはE4orf6のレベルがあまりにも上昇しているため、最 終的に細胞死が起こる可能性がある。 E4orf4およびE4orf6蛋白質は、何らかの自己免疫疾患および癌を含む、いくつ かの疾患状態において蓄積する細胞を殺すために用いられる。そのような細胞は アポトーシスによって死ぬことができず、少なくとも多くの癌では、一つの理由 は多くの癌細胞がp53を欠損している、またはp53の変異型を発現しているためで ある。しかし、これらの細胞はE4orf4およびE4orf6蛋白質による殺細胞に感受性 を示す。 E4orf6は、E1B-55Kと複合体を形成することが知られている。これらの複合体 は後期輸送およびウイルスmRNAの安定性を制御し、宿主細胞代謝の後期遮断に役 割を果たしている。本発明者らは、E4orf6およびE1B-55Kがp53の蓄積を遮断する こと、およびこれらの蛋白質の3つ全てが直接相互作用することを発見した。E4 orf4は燐酸蛋白質(protein phosphates)2A(PP2A)に結合して活性化し、その 結果E1A-289Rおよびいくつかの転写因子の燐酸化が共に減少する(ミューラーら (Muller,u.)、1992、J.Viol.66:5867〜5878;ボンデッソンら(Bondesson ,M.)、1996、J.Virol.70:3844〜3851)。本発明者らはまた、E1Aの燐酸化の 減少がおそらくE4の効率的なトランス活性化に必要なCR3の部位上で作用するMAP キナーゼのPP2Aによる不活化が原因であることも発見した。 E4orf4およびE4orf6アデノウイルス細胞死蛋白質はp53の有無にかかわらず腫 瘍細胞を殺すことができるため、本発明により、p53ヌル腫瘍を含むヒト癌の治 療を目的とした、腫瘍細胞にアポトーシスを誘導する治療剤として、これらの蛋 白質が利用できるようになる。さらに、正常細胞はE1Aによって輸送されるシグ ナルのような不適当な増殖シグナルまたは活性化細胞性腫瘍遺伝子を欠損するた め、これらの細胞死蛋白質は正常組織にはほとんど作用を及ぼさない。 VIII.さらなる殺細胞解析 他のウイルス死蛋白質および試薬の特定と共に、殺細胞にとって重要なE4orf4 およびE4orf6の領域の特定に、本明細書に既に記述の解析法の他に殺細胞解析を 利用してもよいことは当業者には理解されると思われる。個々のウイルス蛋白質 の作用を全細胞集団において測定することができるさらなる殺細胞解析を開発し てもよい。そのような解析法はこれらの物質による殺細胞の選択性を決定する上 で特に重要である。新しい殺細胞解析により、E4細胞死蛋白質その断片、および 他のウイルス死蛋白質の殺細胞能の意味のある分析が可能となり、この中にはE4 .E1B Ad5二重変異体を利用するウイルス感染解析、薬剤選別を用いたコロニー形 成解析、E4orf4およびE4orf6を発現するアデノウイルスベクターを用いた殺細胞 解析、E4orf4およびE4orf6を発現するレトロウイルスベクターを用いた殺細胞解 析、ならびに誘導可能なプロモーター(例えば、テトラサイクリン)の下でのE4 orf4およびE4orf6を発現する細胞株の産生が含まれる。E4/E1B 二重変異体 E4変異は、E1B-19K蛋白質の産生を欠損する変異体pm1716/2072に導入してもよ い(マクローリーら(McLorie,W.)、前記)。そのような変異体ではp53非依存 的アポトーシスに対する保護が欠如しているが、19Kが存在しないだけではウイ ルス産生量に大きく影響しない。さらに、E1B-55Kが存在すれば、効率的なウイ ルス複製が増強され、E1A-誘導p53依存的アポトーシスに対して保護される。こ のように、そのようなE4変異体は、全E4領域を発現するサル細胞株であるW162細 胞において効率よく増殖することができる(ブリッジら(Bridge,E.)、前記) 。ウイルス変異体はpm 1716/2072および一連のE4変異体のBamH1制限エンドヌク レアーゼ開裂によって生じ、その結果約14および21kDaのDNA断片を生じる。これ らの断片を混合して再度ライゲーションすると、E1B-19KおよびE4の双方を欠損 する組換え型ウイルスが得られる。次に、そのようなウイルスを本明細書に記述 する急速な細胞死解析に用いて、様々なE4産物の殺細胞効率を確認し、それを長 期感染/殺細胞解析において得られた結果と相関させることができる。このアプ ローチにより、全細胞集団の殺細胞作用を迅速に評価することができる。コロニー形成解析 第二のアプローチは、E4細胞死蛋白質の細胞コロニー形成阻止能を測定するこ とである。E4蛋白質が細胞死を効率的に誘導するならば、細胞が殺されるために コロニー形成は減少するはずである。このように、E4orf4およびE4orf6が本明細 書に記述の薬剤選別マーカー(例えば、neo)を有する発現プラスミドに導入さ れたDNA構築物を作製した。トランスフェクション後、G418の存在下で形成され たコロニー数を計数する。このシステムでは、他のウイルス産物の非存在下でE4 蛋白質を評価することができ、殺細胞プロセスが細胞増殖の阻害に依存する。アデノウイルスベクター E4orf4およびE4orf6蛋白質は、Ad5 dl 70-8(バチェッティら(Bacchetti,S .)、1993、Inter.J.Oncol.3:781〜788)のようなアデノウイルス遺伝子 療法ベクターに導入してもよい。本発明者らは、単純なクローニング法を用いて 多くのそのようなベクターを作製した。また、E4細胞死蛋白質がテトラサイクリ ンのような誘導可能なプロモーターを通じて発現されるアデノウイルスベクター の使用も考えている。そのようなベクターは標準的な組換えDNA技法を用いて産 生することができる、このアプローチでは、集団中の全ての細胞がE4細胞死蛋白 質を発現するよう誘導することができる。レトロウイルスベクター 好ましいアプローチは、ウイルスLTRから高レベルを発現するマウスレトロウ イルスウイルスベクターpBABE(モルゲンスターン&ランド(Morgenstern and L and)、1990、Nucl.Acids.Res.18:3587〜3596)にE4細胞死蛋白質を導入す ることである。そのようなベクターはまた、さらなる研究に有用な薬剤選別マー カーも含む。E4細胞死蛋白質cDNAをpBABEにクローニングし、マウスウイルス受 容体を含む細胞においてウイルスを調製する。次にウイルスを細胞上清から回収 し、これを用いてウイルス受容体を発現しているマウス細胞またはヒト細胞株を 感染させる。このアプローチでは、細胞死蛋白質は培養中の全ての細胞に導入す ることができ、ベクターからの発現は持続し、より長期間を必要とする殺細胞機 能が検出される。さらに、挿入したcDNAが誘導可能なプロモーター(例えば、テ トラサイクリン)によって働き始めるpBABEベクターを、標準的な組換えDNA技法 を用いて構築してもよい。そのような組換え型ウイルスの利用により、挿入した DNAの同時発現が可能となる。E4 細胞死蛋白質を発現する細胞株 誘導可能なプロモーター、すなわちテトラサイクリンの下でE4細胞死蛋白質を 発現する多くのヒトおよび齧歯類細胞株が確立されている。一つの例において、 テトラサイクリンの付加によって活性化されるtetプロモーターが存在する。こ れらのプロモーターはPCR増幅することができ、本明細書に記述するE4orf4およ びE4orf6蛋白質を発現するpCDNAベクターに挿入することができる。これらのプ ラスミドを次に、望みの細胞株にトランスフェクトし、その後トランスフェクト した細胞株をG418含有増殖培地中でインキュベートする。次に、G418に耐性を示 す細胞を限界希釈によってクローニングしてもよく、個々のクローンをテトラサ イクリンの付加によって誘導してもよい。個々のクローンの発現レベルはE4orf4 およびE4orf6に特異的な抗血清を用いて評価してもよい。この誘導可能な発現系 の長所は、全ての細胞を誘導後同時に細胞死蛋白質に暴露することができる点で ある。 上記の全ての殺細胞解析は、単独で、または互いに併用して、もしくは他のウ イルス産物、活性化細胞性またはウイルス性腫瘍遺伝子、またはアポトーシスの 抑制因子を含むさらなる蛋白質と併用して、E4orf4およびE4orf6について実施し てもよい。 IX.殺細胞の選択性 有効な抗癌剤の重要な特徴は殺細胞の選択性である。明らかに多くの毒性物質 が存在するが、重要な特性は癌細胞を選択的に殺し、正常組織には比較的影響を 及ぼさないことである。一つのアプローチは免疫学的または生化学的標的分子を 用いて癌細胞に選択的に毒性化合物を輸送することである。このアプローチは何 度も試みられてきたが、限られた成功しか収めなかった(ホール(Hall,S.S.) 、1995、Science270:915〜916)。本発明は、癌細胞の中に限って生物学的活性 となる薬剤(例えば、E4orf4またはE4orf6、もしくはその併用)を用いて、癌細 胞に細胞死を選択的に誘導するアプローチについて記述する。E4orf4およびE4or f6蛋白質は、活性化腫瘍遺伝子によって、またはおそらく不活化された腫瘍抑制 因子によって、癌細胞において生じるシグナルのように、不適当な増殖シグナル を発現する細胞のみを殺す。このため、E4細胞死蛋白質を正常細胞に導入しても ほとんど作用を示さず、無制御細胞増殖のシグナルを有する癌細胞では、これら の蛋白質は致命的となる。 本発明者らは、E4細胞死蛋白質(E4orf4およびE4orf6)が選択的であることを 本発明において示した。p300/CBPとの結合能を欠損する欠損E1A産物を発現し、 その結果、無制御DNA合成および細胞増殖のシグナルを提供することができない 変異体Ad5に感染させた細胞は、E4細胞死蛋白質によって殺されなかった。この 結果により、細胞はE4殺細胞に応答すべき、無制御DNA合成および細胞増殖に関 するシグナルを受けているに違いないという結論が得られた。他の2種類の実験 がこの結論を支持した。本明細書で記述した共トランスフェクションルシフェラ ーゼ解析では、「正常な」増殖特性を示すいくつかのヒトおよびサル細胞株が、 E4orf4およびE4orf6を発現するcDNAによるトランスフェクションによって比較的 影響を受けず、高レベルのルシフェラーゼ活性を示すように思われたが、Ad5-形 質転換発癌性ヒト293細胞は、E4orf4およびE4orf6と共トランスフェクトすると 、ルシフェラーゼ活性が低下した。図13Bおよび図14の場合と同様に、これらの 解析法における殺細胞能はまた、E4orf4ではE4orf6より有意に大きかった。 同様に、neoまたはピューロマイシン薬剤選別マーカーのいずれかをコードす る第二の構築物と共に、E4細胞死蛋白質の一つを発現するcDNAまたは対照で共ト ランスフェクトしたコロニー阻害解析を実施した。ヒト293およびSaos-2骨肉腫 由来ヒト細胞株、ならびにE1A-形質転換マウス1A.A6細胞では、E4orf4 cDNAによ る共トランスフェクションにより、コロニー形成はE4orf4コード配列を欠損する 対照ベクターと比較して約80%減少した、減少はE4orf6ではより小さかった:Sa os-2細胞の場合では約30%であった。これらのコロニー阻害アプローチ実験によ り、形質転換細胞は、非形質転換細胞よりE4orf4-またはE4orf6誘導殺細胞に感 受性があることがさらに示された。 X.癌細胞に対する殺細胞特異性の確立 本明細書に記述の殺細胞解析および構築物を用いて、E4orf4-およびE4orf6細 胞死蛋白質の殺細胞作用の特異性を調べ、正常および形質転換した癌細胞におけ る殺細胞の程度を測定することができる。齧歯類細胞の場合では、正常細胞は、 正常ラットまたは正常もしくはp53ヌルマウスからの初代腎上皮細胞を含んでも よい。多様な形質転換または腫瘍由来齧歯類細胞を調べてもよい。アデノウイル スま たはレトロウイルス実験の場合では、細胞増殖速度が殺細胞に影響を及ぼすか否 かを確立するために密度阻害または血清枯渇齧歯類細胞について試験を実施する 。ヒト細胞の場合、MRC5、IMR90、WI38を含む多様な「正常」ヒト細胞株につい て、および多様な形質転換または腫瘍由来細胞、特にp53発現に関して特徴付け がなされている細胞について同様の試験を実施してもよい。そのような細胞株の 数は例えば、E4細胞死蛋白質によって殺される癌のタイプの範囲を確立するため に、市販のp53-特異的抗体(例えばサンタクルズバイオテクノロジー・インク製 )を用いたウェスタンブロット分析技法によってp53発現を評価することによっ て、多様なヒト腫瘍を含めるよう拡大してもよい。これらの様々な細胞株はATCC (ロックビル、メリーランド州)から販売されている。これらの試験は、新生物 腫瘍の殺細胞作用の特異性に関する明確な情報を提供する。 これらの実験に関する特に重要な変化は、正常細胞における、E4細胞死蛋白質 と協調した多様な活性化ヒト腫瘍遺伝子の共発現である。そのような試験は、増 殖を変化させる腫瘍遺伝子産物の存在下で細胞死の増強の程度を直接試験する。 XI.E4細胞死蛋白質の最小殺細胞ドメインの同定 癌細胞を選択的に殺すためには、E4orf4およびE4orf6蛋白質の最小殺細胞ドメ インの位置を特定することが望ましい。最小の殺細胞ドメインは、これらの蛋白 質には未知機能がなお存在する可能性があるとはいえ、これらの蛋白質の既知の 活性化部位の中に存在する可能性が高い。E4orf4およびE4orf6蛋白質の既知機能 を有するドメインまたは有しないドメインを含むペプチド断片を作製して殺細胞 能に関して評価する。 E4orf4の唯一の既知機能は、PP2Aに結合してこれを活性化することである(ク ラインバーガー&シェンク(Kleinberger and Shenk)、1993、J.Virol.67: 7556〜7560)。そのような活性化により細胞死経路の成分の脱燐酸化が起こり、 その結果アポトーシスの誘導が起こる可能性がある。E4orf6もまた、少なくとも 2つの蛋白質、p53およびE1B-55Kと複合体を形成し、ウイルス感染サイクルに関 与する多くの異なる機能を実行することが知られている(サーノウら(Sarnow, P.)、1984、J.of Virol.49:692〜700;ドブナーら(Dobner,T.)、1996、S cience 272:1470〜1473)。 一連の変異体を構築して、p53-非依存的アポトーシスの誘導に関与するE4orf4 およびE4orf6内の領域をマッピングする。これらの蛋白質のN末端およびC末端の 伸長の増加を消失させる欠失変異体を作製する。さらに、選択した内部親水性領 域のフレーム内欠失体を作製し、重要な保存残基における点突然変異を作製する 。そのような変異体の作成法は当技術分野で周知である(例えば、アウスベルら (Ausubel,F.)、前記参照)。例えば、E4orf4蛋白質のN末端が削除されている 欠失変異体は、蛋白質の望ましいC末端部分に対応するプライマーによって、本 明細書に記述のpCDNA 3.1ベクターを含むE4orf4 cDNAを増幅するPCRによって作 製してもよい。好ましくは、PCRプライマーは、発現クローニングベクター(例 えば、pCDNA3.1)へのPCR産物の挿入を容易にする制限エンドヌクレアーゼ認識 配列を5'末端で含む。次に得られたプラスミドにDNA配列分析を行ってもよい。 発現は、断片コードプラスミドを真核細胞株(例えば、COS細胞)にトランスフ ェクトし、その後トランスフェクトした細胞の溶解物を抗E4orf4抗体によるウェ スタンブロット分析により検出することによって評価してもよい。 例えばpBABEレトロウイルスベクターへの変異体の導入または標準的なルシフ ェラーゼ解析の適用により、本明細書で記述のように、これらの蛋白質によって 容易に殺されることがわかっている細胞における断片の殺細胞能の迅速な定量が 可能となる。殺細胞領域が特定されれば、より特異的なフレーム内欠失または点 突然変異の作製によって、それらを細かくマッピングする。これらの技法に関す るプロトコルは、分子生物学の技術分野において周知である。さらに、クロンテ ック社の登録商標トランスフォーマー部位指向性変異誘発キットのような、様々 なDNA変異キットが市販されている。そのような殺細胞ドメインが特定されれば また、E4orf4の場合はPP2A結合、またはE4orf6のいくつかの既知の生物活性の一 つと配列を比較してもよいため、殺細胞のメカニズムに関する重要な情報が得ら れる。 その他の好ましい断片およびその変異体は、保存的アミノ酸置換を含むもので ある。好ましい断片は、E4細胞死蛋白質の生物活性(すなわち殺細胞活性)また は安定性(すなわち半減期)を増加させる断片またはその変異体を含む。 XII.抗E4orf4および抗E4orf6抗体の作製 細胞内に導入した後、E4orf4またはE4orf6、またはその断片もしくは変異体の 発現を測定することは望ましい。発現を測定する一つの方法は、これらの蛋白質 に対して特異的な抗体の利用である。E4orf6の一およびC末端の双方に対する高 力価の抗血清が作製されているが、E4orf4の一およびC末端の双方に対する同様 の抗血清も作製する。これらの抗血清は、標準的なプロトコル(例えば、アウス ベルら(Ausubel,F.)、前記参照)に従って、免疫抗原としてのE4orf4およびE 4orf6細胞死蛋白質に対応する融合蛋白質および合成ペプチドの双方を用いて産 生される。抗血清の特異性および力価はウェスタンブロット分析、免疫沈降およ びELISAのような標準的な分子生物学技法によって評価してもよい。 XIII.E4orf4およびE4orf6殺細胞ドメインに対応するペプチド模倣体の特定およ び産生 E4細胞死蛋白質の機能によって癌患者を治療する一つの有効な方法は、E4orf4 およびE4orf6蛋白質の殺細胞効果を有する模倣体を作製することである。いずれ の蛋白質の毒性のメカニズムにも、酵素活性は含まれないように思われ、それら は細胞蛋白質との複合体形成を通じて機能する。 殺細胞ドメインのマッピングを行った後、これらの領域に対応する合成ペプチ ドを販売元(シェルドン・バイオテクノロジーセンター、マックギル大学、モン トリオール、ケベック州、カナダのような)から購入して、本明細書に記述の殺 細胞解析において毒性を試験してもよい。そのようなペプチドは、培養中の細胞 によって直接吸収されるか、または脂質小胞または電気穿孔を含む、様々な方法 によって細胞に輸送してもよい。さらに、これらのペプチドをコードする核酸配 列は、発現クローニングベクターのクローニング部位(例えば、pCDNA3.1)にサ ブクローニングしてもよく、プラスミドDNAを当技術分野で既知の様々なトラン スフェクション法(例えば、電気穿孔、DEAE-デキストラン、燐酸カルシウム) によって関係細胞に導入してもよい。E4orf4およびE4orf6の殺細胞ドメインに対 応するペプチドをコードするDNAも同様に、融合蛋白質のコード配列に組み入れ 、得られた模倣体を、発現ベクターをコードする融合蛋白質またはウイルスベク ターをコードする融合蛋白質のトランスフェクションによって輸送してもよい。 E4orf4およびE4orf6のペプチド模倣体またはこれらのペプチドをコードするDN Aは、同時に用いてもよいと理解されると思われる。例えば、E4orf4殺細胞ドメ インの異なる領域に対応する2つ以上の異なるE4orf4ペプチドを、細胞の同じ集 団に導入してもよい。E4orf4ぺプチド模倣体もまた、E4orf6殺細胞ドメインに対 応する1つ以上のペプチド模倣体と共に細胞の同じ集団に導入してもよい。 本明細書に記述の様々な殺細胞解析を用いて、有効性および有効な用量必要条 件に関して、ペプチドまたはその組み合わせをスクリーニングしてもよい。例え ば、様々な濃度のペプチドを、本明細書に記述のルシフェラーゼ発現プラスミド (pRSV-ルシフェラーゼ)と共に1A.A3細胞に導入してもよい。誘導の48時間後、 細胞を溶解して、プロメガ社のルシフェラーゼ解析キット(カタログ番号E1500 )を用いてルシフェラーゼ活性を評価する。殺細胞ペプチドは、細胞死非誘導対 照(例えば、crm A)でトランスフェクトした1A.A3細胞と比較して、1A.A3細胞 において殺細胞(すなわちルシフェラーゼ活性の減少)を誘導する。 E4細胞死蛋白質に関して起こりうるペプチド模倣体をコードするDNAもまた、 それぞれ、図15および16に示すE4orf6(配列番号:1)およびE4orf4(配列番号 :3)をコードするヌクレオチド配列とそのDNAとのハイブリダイゼーションに よって同定してもよい。このアプローチの一つの特に好ましい例において、DNA は高ストリンジェンシー条件下でアデノウイルスヌクレオチド配列とハイブリダ イズできるか否かによって同定してもよい。高ストリンジェンシー条件は、約2 ×SSCおよび1%SDS中で約40℃その後約2×SSCおよび1%SDS中で約65℃で1回 洗浄した後、約65℃で約1×SSC中で2回目の洗浄を行う、ハイブリダイゼーシ ョンを含んでもよい。その他のハイブリダイゼーションストリンジェンシー条件 は、高条件および低条件共に、当技術分野において定義されている(例えば、サ ムブルック、フリッチュおよびマニアティス(Sambrook,Fritsch and Maniatis )、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」第二版、CSHプレス、1989、またはアウスベルら(Ausubel,F.)、前記 、を参照のこと)。 同定した後、E4orf4またはE4orf6をコードするヌクレオチド配列とハイブリダ イズするDNAを用いて、標準的な技法によってポリペプチド産物を作製してもよ い。例えば、DNAをpCDNA3.1にサブクローニングし、得られたプラスミドを、組 換え 型ポリペプチドを産生するために、例えば、COS細胞(ATCCから販売されている )にトランスフェクトしてもよい。このポリペプチド産物を次に、本明細書に記 述されている様々な細胞死解析を用いて、E4orf4またはE4orf6生物活性に関して スクリーニングしてもよい。 XIV.非ペプチド性模倣体の産生 最小ペプチド殺細胞配列の同定により、非ペプチド性模倣体の産生が可能とな る。E4orf4およびE4orf6の殺細胞ドメインのそのような非ペプチド性模倣体の作 成法は、標準的な化学技法であり、組み合わせ化学の当業者には周知である。こ れらの非ペプチド性模倣体の有効性は、E4orf4およびE4orf6殺細胞ドメインのペ プチド模倣体と同様に解析してもよい。 XV.E4細胞死蛋白質を模倣するさらなる試薬のスクリーニング 大きさおよび/または構造に随伴する類似性がなくとも、異なる化合物が同じ 作用機序を有する可能性があると考えられる。したがって、E4orf4およびE4orf6 の殺細胞ドメインに基づくペプチドおよび非ペプチド性の模倣体は、形質転換細 胞において、E4細胞死蛋白質様のアポトーシスを誘導する可能性があるが、非模 倣性試薬もまたこの活性を有する可能性がある。本明細書に記述の細胞死解析を 用いて、そのような試薬を特定してもよい。 一つのアプローチにおいて、検出可能な蛋白質(例えば、緑色蛍光蛋白質(GF P)を安定に発現している1A.A3細胞は、GFPをコードするpCDNA3.1(インビトロ ゲン社)で1A.A3細胞をトランスフェクトし、次にG418の存在下でトランスフェ クトした細胞を培養することによって産生してもよい。次に、これらのGFP-発現 1A.A3細胞を、E4細胞死蛋白質細胞死の誘導能について試験すべき試薬またはそ の組み合わせと反応させてもよい。接触後、GFPを発現する生存細胞に関してフ ローサイトメトリーによって細胞を分析してもよい。E4orf4またはE4orf6様アポ トーシスを誘導する化合物または試薬は、接触させない細胞と比較してGFPを発 現する生存細胞数が減少する。非生存細胞に対して、生存細胞は大きさによって (すなわち、フローサイトメーター上での側方スキャッターおよび前方スキャッ タープロフィール)またはヨウ化プロピジウム染色によって識別してもよい。 もう一つのフローサイトメトリーに基づくスクリーニングにおいて、試薬に接 触細胞および非接触細胞を、FITC(エンドゲン社)に結合させたアネキシンVで 染色し、その後フローサイトメトリー分析を行ってもよい。このタイプのアポト ーシスは細胞膜の内側の小葉状構造上のフォスファチジルセリンの存在に基づく 。健常な細胞はその細胞表面にフォスファチジルセリンを有しないが、アポトー シスを起こしつつある細胞はアポトーシス過程の一部としてこれを有する。アネ キシンVは、フォスファチジルセリン残基に高親和性で結合し、アネキシンをFIT Cに結合することによって、フローサイトメトリーによってアポトーシス細胞を 検出することができる。 細胞死分析はフローサイトメトリーによって行う必要はないと理解される。例 えば、アポトーシス細胞を検出する方法としてDNA断片化を用いてもよい。 好ましい態様において、E4細胞死蛋白質様細胞死を誘導する試薬のスクリーニ ングは、迅速かつ大量処理可能である。例えば、GFP発現1A.A3細胞は、多数のウ ェルを有する(すなわち96ウェルマイクロタイター)プレートにおいて培養して もよい。異なる試薬またはその組み合わせを細胞のウェルに加えて、E4細胞死蛋 白質様細胞死を誘導する能力に関してスクリーニングすべき試薬と接触させた後 、次にプレートをGFPの存在下で96ウェルプレートリーダーにより分析を行って もよい。無処置対照ウェルと比較してGFP発現の減少を示すウェルは、E4細胞死 蛋白質様細胞死の誘導能を有する化合物が存在することを示している。 XVI.蛋白質2A燐酸塩(phosphates)(PP2A)を活性化するアポトーシス誘導試 薬 PP2Aへの結合および活性化におけるE4orf4の機能が十分に特徴付けがなされて いると仮定すると(クラインバーガー&シェンク(Kleinberger and Shenk)、1 993、J.Virol.67:7556〜7560)、PP2Aを活性化する試薬は形質転換細胞にお ける細胞死の誘導に有用である。PP2Aを活性化する試薬は市販の試薬を用いて容 易に特定される。一つのアプローチにおいて、細胞、例えば、ヒトSaos-2細胞を PP2Aの活性化能に関してスクリーニングすべき試薬と接触させる。接触後、細胞 を溶解し、PP2Aを市販の抗ヒトPP2A抗体と免疫沈降させる(例えば、アップステ ートバイオテクノロジー、インクから)。次に、PP2A免疫沈降物に、当技術分野 で既知の標準的な多くの燐酸塩(phosphates)解析のいずれかを行ってもよい。 無処置細胞から単離したPP2Aと比較してPP2Aの活性が増加すれば、化合物がPP2A を 活性化し、E4orf4様細胞死を誘導することができることを示している。これらの 化合物に対し、本明細書に記述のように二次的な殺細胞解析スクリーニングを行 ってもよい。 XVII.その他のウイルス死蛋白質の同定 Ad5 E4orf4およびE4orf6細胞死蛋白質の他に、他のウイルスからの蛋白質もア ポトーシスを誘導する。このように、そのような蛋白質もまた特異的または広範 囲である可能性がある有効な抗癌活性を有することが判明する可能性がある。急 速に分裂する細胞に限って複製および殺細胞を調節することが知られている、B- 19ヒトパルボウイルスのNS蛋白質のような他のアデノウイルス蛋白質、または他 のウイルスからの蛋白質を、特異的な形質転換細胞殺細胞能に関して本明細書に 記載の殺細胞解析において解析してもよい。 XVIII.さらなるヒトアデノウイルスのE4細胞死蛋白質の分析 本発明により、本明細書に記述する方法によって、毒性に関して40以上のヒト 血清型の中から選択したE4orf4およびE4orf6蛋白質の分析が可能となる。血清型 が異なってもある程度の配列相同性が維持されるが、おそらく強度または特異性 が異なる蛋白質を生じる可能性がある多様な興味深い差を示す。さらなるアデノ ウイルス血清型からの対応するE4 cDNAを、分子生物学の技術分野で周知の様々 なアプローチによってクローニングする。次にこれらの蛋白質を、本明細書に記 述の解析法を用いて形質転換細胞株における細胞死の誘導能に関して評価する。 XIX.癌治療のためのアデノウイルスE4細胞死蛋白質 本発明により、癌、特にp53-陰性であり、既存の治療では消失が困難な癌の治 療にアデノウイルスE4細胞死蛋白質を利用できるようになる。この発明により、 特異的標的輸送の問題および正常組織に対する毒性の合併症を伴うことなく、癌 治療の試薬として用いてもよい非ペプチド性模倣体の開発が可能となる。非常に 進化したウイルス機能を化学療法剤に変更することは新規で、本疾患および他の 疾患治療レジメに対して大いなる可能性を有する。 XX.E4細胞死蛋白質およびその試薬 アデノウイルスE4orf4またはE4orf6蛋白質、核酸、または模倣体試薬は、薬学 的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤中で単位投与剤形で投与してもよい 。従来の薬学的方法を用いて、E4orf4および/またはE4orf6蛋白質、またはE4or f4もしくはE4orf6模倣試薬(例えば、ペプチドまたは非ペプチド性模倣体)を、 アポトーシスの減少によって引き起こされた疾患を有する患者に投与するために 適した製剤または組成物を提供してもよい。投与は患者が症候性になる前に開始 してもよい。いかなる適当な投与経路を用いてもよく、例えば投与は非経口、静 脈内、動脈内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、点眼、脳室内、嚢内、脊髄内、 大槽内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、坐剤、または経口投与であってもよい。 治療剤形は、液体または懸濁液の剤形であってもよい;経口投与の場合は、剤形 は錠剤またはカプセル剤であってもよく;および鼻腔内剤形の場合は粉剤、点鼻 剤、またはエアロゾルの剤形であってもよい。 製剤化のための当技術分野で周知の方法は、例えば、「レミントンの製薬科学 」(Remington's Pharmaceutical Sciences)第18版ゲナロ(A.Gennaro)編、1 990、マックパブリッシング・カンパニー、イーストン、ペンシルバニア州を参 照のこと。非経口投与製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水または生理食塩液、ポリ エチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物起源の油、硬化ナ フタレンを含んでもよい。生体適合性、体内分解性のラクチドポリマー、ラクチ ド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン コポリマーを用いて、化合物の放出を調節してもよい。E4orf4またはE4orf6細胞 死蛋白質およびその模倣体に関するその他のおそらく有用な非経口輸送系には、 エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、植え込み可能な注入系お よびリポソームが含まれる。吸入用製剤は、賦形剤、例えば乳糖を含んでもよく 、または例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸およ びデオキシコール酸を含む水溶液であってもよく、または点鼻液剤形での投与に 適した油性溶液、またはゲルであってもよい。 望ましければ、E4orf4またはE4orf6蛋白質、遺伝子、または模倣体試薬による 治療は、自己免疫疾患に関しては手術、ステロイド療法、または化学療法;AIDS に関しては抗ウイルス療法;および癌に関しては化学療法のような、より従来の 治療と組み合わせてもよい。 E4細胞死蛋白質またはその模倣体の投与のための用量必要条件は、本明細書に 記述の培養細胞での殺細胞解析においてまず決定してもよい。用量必要条件に関 するこの方法によって、異なる起源の細胞を評価してもよいと理解される。例え ば、ヒトp53-ヌル癌細胞株をATCCから購入して、これを用いてこの起源の癌を有 する患者の治療のための好ましい用量を決定してもよい。しかし、患者の治療に 対するさらなる用量必要条件は、患者毎にインビボで評価してもよく、体重およ び腫瘍サイズに基づいて変化してもよいと理解される。 XXI.療法 形質転換細胞におけるE4細胞死蛋白質媒介アポトーシスの誘導のために、療法 をデザインしてもよい。アポトーシス誘導E4細胞死蛋白質試薬の中には、E4orf4 およびE4orf6全長蛋白質、そのポリペプチド断片、ペプチドおよび非ペプチド性 模倣体、その他の類似体またはその組み合わせ、E4orf4 mRNA、E4orf6 mRNA、E4 orf4および/またはE4orf6の安定性を増加させる化合物、またはE4orf4および/ またはE4orf6のアポトーシス誘導活性を増加させるいかなる化合物も含んでもよ いが、これらに限定しない。 a)蛋白質療法 E4orf4またはE4orf6蛋白質およびそのポリペプチド断片を形質転換細胞に導入 するためには、ポリペプチドを発現することができる培養細胞系から純粋なポリ ペプチドを大量に得ることが必要である。次に、ポリペプチドの罹患組織(例え ば、癌様組織)への輸送は、適当なパッケージングまたは投与系を用いて行うこ とができる。または、小分子類似体を用いてE4細胞死蛋白質アゴニストとして作 用するように投与し、このようにして望ましい生理作用を生じてもよい。そのよ うな類似体を発見する方法は本明細書に提供される。 もう一つの治療的アプローチは、組換え型E4細胞死蛋白質ポリペプチドを、直 接望ましいアポトーシスイベントの部位に(例えば、注射によって)、または全 身的に(例えば、従来の組換え型蛋白質投与法によって)投与することを含む。 b)遺伝子療法 遺伝子療法は、E4細胞死蛋白質またはその断片をコードするDNAのコピーを、 罹患細胞タイプ(例えば、癌細胞)に豊富なポリペプチド産物をうまくコードす るために選別された組織に導入する、もう一つの可能性のある治療的アプローチ で ある。DNAはそれが取り込まれ、有効な機能を提供するために十分なポリペプチ ド産物をコードすることができる形状で、それらの細胞に輸送しなければならな い。 形質導入レトロウイルスベクターは、特にそれらの感染および安定な組み込み および発現のために、体細胞遺伝子療法に用いることができる。E4orf4および/ またはE4orf6をコードする全長のDNAまたはその一部は、レトロウイルスベクタ ーにクローニングすることができ、その内因性プロモーターまたはレトロウイル ス長末端反復から、または関係する標的細胞タイプ(神経のように)特異的なプ ロモーターから駆動することができる。用いることができるその他のウイルスベ クターには、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、 またはエプスタイン-バーウイルスのようなヘルペスウイルスを含む。 遺伝子移入は、インビトロでの癌細胞の感染を必要とする非ウイルス性手段を 用いて行うことができる。この中には、燐酸カルシウム、DEAEデキストラン、電 気穿孔、およびプロトプラスト融合が含まれる。リポソームもまた、DNAの細胞 への輸送に有用となる可能性がある。これらの方法が利用できるが、これらの多 くが効率は低い。 E4細胞死蛋白質またはそのポリペプチド断片をコードするDNAを患者の罹患細 胞に移植することも有用な療法となりうる。この技法において、E4細胞死蛋白質 の1つまたは双方をコードするDNAを、患者に対して外因性の、または内因性の 培養可能な細胞タイプに移入する。次にこれらの細胞を標的組織に血清学的に注 射する。 不十分なアポトーシスを含む疾患に関係する可能性がある細胞に対して適当な 指向性を有するレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイ ルス関連ウイルスベクター、またはその他のウイルスベクターを、治療的E4細胞 死蛋白質DNA構築物の遺伝子移入輸送系として用いてもよい。この目的にとって 有用な多くのベクターが一般に知られている(ミラー(Miller)、Human Gene T he rapy 15〜14、1990;フリードマン(Friedman)、Science 244:1275〜1281 、1989;イライティス&アンダーソン(Eglitis and Anderson)、Biotechnique s 6:608〜614、1988;トルストシェフ&アンダーソン(Tolstoshev and Anders on)、 Curr.Opin.Biotech.1:55〜61、1990;シャープ(Sharp)、The Lancet 337 :1277〜1278、1991;コルネッタら(Cornetta)、Nucl.Acids.Res.and Mol .Biol.36:311〜322、1987;アンダーソン(Anderson)、Science226:401〜4 09、1984;モーン(Moen)、Blood Cells 17:407〜416、1991;ミラーら(Mill er)、Biotech.7:980〜990、1989;ルゴールラサールら(Le Gal Le Salle) 、Science 259:988〜990、1993;およびジョンソン(Johnson)、Chest 107:7 7S〜83S、1995)。レトロウイルスベクターは特に、よく開発され臨床状況におい て用いられている(ローゼンバーグら(Rosenberg)、N.Engl.J.Med.323:3 70、1990;アンダーソンら(Anderson)、米国特許第5,399,346号)。非ウイル スアプローチもまた用いてもよい。例えば、E4細胞死蛋白質をリポフェクション (フェルナーら(Felgner)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413、1987;オ ノら(Ono)、Neurosci.Lett.117:259、1990;ブリガムら(Brigham)、Am.J .Med.Sci.298:278、1989;スタウビンガーら(Staubinger)、Meth.Enz.1 01:512、1983)、アシアロロソヌコイド・ポリリジン結合(ウら(Wu)、J.Bi ol.Chem.263:14621、1988;ウら(Wu)、J.Biol.Chem.264:16985、1989 )によって細胞に導入してもよく;または好ましさは劣るが手術状況での微量注 射(ウルフら(Wolff)、Science 247:1465、1990)によって細胞に導入しても よい。 上記の適用法のいかなるものにとっても、治療的E4細胞死蛋白質コードDNA構 築物は望ましいアポトーシスイベントの部位に適用することが好ましい(例えば 、注射によって)。しかし、望ましいアポトーシスイベントの付近の組織または アポトーシスを起こすことが望まれる細胞(例えば、癌様細胞)に血液を供給す る血管に適用してもよい。 記述の構築物において、DNA発現はいかなる適したプロモーター(例えばヒト サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、またはメタロチ オネインプロモーター)から指向させることができ、適当な哺乳類調節エレメン トによって制御することができる。例えば、望ましければ、神経細胞、リンパ球 、または筋細胞において選択的に遺伝子発現を指向することが知られているエン ハンサーを用いて、E4orf4、E4orf6またはそのポリペプチド断片の発現を指向し てもよい。用いるエンハンサーには、その発現が組織または細胞特異的という特 徴を 有するものが含まれるが、これらに限定しない。または、発現の調節は、上記の プロモーターまたは調節エレメントを含む、同種源の調節配列、または望ましけ れば、異種源に由来する調節配列によって媒介してもよい。 E4細胞死蛋白質遺伝子療法はまた、望ましからぬアポトーシスを生じることが 望まれる細胞にE4orf4またはE4orf6mRNAを直接投与することによって得てもよい 。mRNAは、いかなる標準的な技法によって産生および単離してもよいが、効率の よいプロモーター(例えば、T7プロモーター)の調節下でコードDNAを用いてイ ンビトロ転写によって最も容易に産生される。mRNAの細胞への投与は、上記の直 接核酸投与のいかなる方法によっても実施することができる。 本発明はその特殊な態様に関連して記述してきたが、さらなる修飾を行うこと が可能で、本出願は、一般に本発明の原理に従ういかなる本発明の変更、用途、 または適応にも適用され、本発明が関係する技術分野内での既知のまたは慣例的 な方法に由来する、本明細書に既に述べた本質的な特徴に当てはまる可能性があ る、および添付の請求の範囲内である、本開示からのそのような逸脱を含むこと が理解されると思われる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 ZNA C12Q 1/02 C12Q 1/02 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),AU,CA,JP,U S (71)出願人 ラヴォイエ ホセー エヌ. カナダ国 ケベック州 モントリオール ドクター ペンフィールド 1100 #1416 (72)発明者 ブラントン フィリップ イー. カナダ国 ケベック州 セント ランバー ト マコーレイ 266 (72)発明者 ショア ゴードン シー. カナダ国 ケベック州 モントリオール ウィルソン 4842 (72)発明者 テオドロ ホセ ジー. カナダ国 ケベック州 モントリオール スタンレー 3484 #610 (72)発明者 マルセラス リチャード シー. カナダ国 ケベック州 モントリオール デュロケール 3504 #2 (72)発明者 ラヴォイエ ホセー エヌ. カナダ国 ケベック州 モントリオール ドクター ペンフィールド 1100 #1416

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.細胞においてアポトーシスを増加させる方法であって、E4orf6ポリペプチド またはそのアポトーシス性断片のアポトーシス誘導量を該細胞に投与することを 含む方法。 2.アポトーシスがp53非依存的である、請求項1記載の方法。 3.哺乳類においてアポトーシスを増加させる方法であって、細胞において発現 される位置に存在し、アポトーシス性E4orf6ポリペプチドまたはそのアポトーシ ス性断片をコードする導入遺伝子を該哺乳類の細胞に提供することを含む方法。 4.細胞においてアポトーシスを増加させる方法であって、E4orf6生物活性を増 加させる化合物を投与することを含む方法。 5.細胞が哺乳類の細胞である、請求項1または4記載の方法。 6.哺乳類がヒトである、請求項5記載の方法。 7.細胞が、不十分なアポトーシスに伴う疾患を有すると診断された哺乳類の細 胞である、請求項1、3または4記載の方法。 8.疾患が癌である、請求項7記載の方法。 9.化合物がE4orf6 mRNAである、請求項4記載の方法。 10.化合物がE4orf6の安定性を増加させる、請求項4記載の方法。 11.細胞においてアポトーシスを増加させる方法であって、E4orf4ポリペプチド またはそのアポトーシス性断片のアポトーシス誘導量を該細胞に投与することを 含む方法。 12.アポトーシスがp53非依存的である、請求項11記載の方法。 13.哺乳類においてアポトーシスを増加させる方法であって、細胞において発現 される位置に存在し、アポトーシス性E4orf4ポリペプチドまたはそのアポトーシ ス性断片をコードする導入遺伝子を該哺乳類の細胞に提供することを含む方法。 14.細胞においてアポトーシスを増加させる方法であって、E4orf4生物活性を増 加させる化合物を投与することを含む方法。 15.細胞が哺乳類の細胞である、請求項11または14記載の方法。 16.哺乳類がヒトである、請求項15記載の方法。 17.細胞が、不十分なアポトーシスに伴う疾患を有すると診断された哺乳類の細 胞である、請求項11、13または14記載の方法。 18.疾患が癌である、請求項17記載の方法。 19.化合物がE4orf4 mRNAである、請求項14記載の方法。 20.化合物がE4orf4の安定性を増加させる、請求項14記載の方法。 21.細胞においてアポトーシスを増加させる方法であって、E4orf6ポリペプチド またはそのアポトーシス性断片と、E4orf4ポリペプチドまたはそのアポトーシス 性断片とを含む組成物のアポトーシス誘導量を該細胞に投与することを含む方法 。 22.アポトーシスがp53非依存的である、請求項21記載の方法。 23.哺乳類においてアポトーシスを増加させる方法であって、細胞において発現 される位置に存在する、E4orf6ポリペプチドまたはそのアポトーシス性断片をコ ードする第一の導入遺伝子と、E4orf4ポリペプチドまたはそのアポトーシス性断 片をコードする第二の導入遺伝子とを該哺乳類の細胞に提供することを含む方法 。 24.細胞においてアポトーシスを増加させる方法であって、E4orf6生物活性を増 加させる第一の化合物とE4orf4生物活性を増加させる第二の化合物とを含む組成 物を投与することを含む方法。 25.細胞が哺乳類の細胞である、請求項21または24記載の方法。 26.哺乳類がヒトである、請求項25記載の方法。 27.細胞が、癌を有すると診断された哺乳類の細胞である、請求項21、23、また は24記載の方法。 28.第一の導入遺伝子およびE4orf4をコードする第二の導入遺伝子が構成的プロ モーターに結合している、請求項23記載の方法。 29.第一の化合物がE4orf6 mRNAで、第二の化合物がE4orf4 mRNAである、請求項 24記載の方法。 30.第一の化合物および第二の化合物がE4orf6およびE4orf4の安定性を増加させ る、請求項24記載の方法。 31.E4orf6ポリペプチドをコードする実質的に純粋な核酸と薬学的に許容される 担体とを含む薬学的組成物。 32.核酸が、図15のE4orf6配列(配列番号:2)と比較して保存的アミノ酸置換 を有するE4orf6をコードする、請求項31記載の組成物。 33.E4orf6のアポトーシス性断片をコードする実質的に純粋な核酸を含む薬学的 組成物。 34.核酸がウイルスベクター中に存在する、請求項31または33記載の組成物。 35.図15の配列(配列番号:1)またはその縮重変異体を含み、かつ図15のアミ ノ酸配列(配列番号:2)をコードする核酸を含む薬学的組成物。 36.核酸がE4orf6生物活性を有するポリペプチドをコードする、図15のDNA配列 (配列番号:1)と約50%以上のヌクレオチド配列同一性を有する核酸を含む薬 学的組成物。 37.図15のDNA配列(配列番号:1)に対するヌクレオチド配列同一性が75%以 上である、請求項36記載の組成物。 38.図15に示すDNA配列(配列番号:1)と実質的に同一なDNA配列を含む薬学的 組成物。 39.核酸がポリペプチドを発現するよう調節配列に機能的に結合し、該調節配列 がプロモーターを含む、請求項31または33記載の組成物。 40.プロモーターが、構成的プロモーターであるか、1つ以上の外因性物質によ って誘導可能であるか、または細胞タイプ特異的である、請求項39記載の組成物 。 41.実質的に純粋な哺乳類E4orf6ポリペプチドまたはそのアポトーシス性断片を 含む薬学的組成物。 42.ポリペプチドが図15に示すアミノ酸配列(配列番号:2)と実質的に同一な アミノ酸配列を含む、請求項41記載の組成物。 43.ポリペプチドが図15のE4orf6配列(配列番号:2)と比較して保存的アミノ 酸置換を有する、請求項41記載の組成物。 44.E4orf6の実質的に純粋なポリペプチド断片を含む薬学的組成物。 45.E4orf4ポリペプチドをコードする実質的に純粋な核酸と薬学的に許容される 担体とを含む薬学的組成物。 46.核酸が図16のE4orf4配列(配列番号:4)と比較して保存的アミノ酸置換を 有するE4orf4をコードする、請求項45記載の組成物。 47.E4orf4のアポトーシス性断片をコードする実質的に純粋な核酸を含む薬学的 組成物。 48.核酸がウイルスベクター内に存在する、請求項45または47記載の組成物。 49.図16の配列(配列番号:3)またはその縮重変異体を含み、かつ図16のアミ ノ酸配列(配列番号:4)をコードする核酸を含む薬学的組成物。 50.核酸がE4orf4生物活性を有するポリペプチドをコードする、図16のDNA配列 (配列番号:3)と約50%以上のヌクレオチド配列同一性を有する核酸を含む薬 学的組成物。 51.図16のDNA配列(配列番号:3)に対するヌクレオチド配列同一性が75%以 上である、請求項50記載の組成物。 52.図16に示すDNA配列(配列番号:3)と実質的に同一なDNA配列を含む薬学的 組成物。 53.核酸が、ポリペプチドが発現されるよう調節配列に機能的に結合し、調節配 列がプロモーターを含む、請求項45または47記載の組成物。 54.プロモーターが、構成的プロモーターであるか、1つ以上の外因性物質によ って誘導可能であるか、または細胞タイプ特異的である、請求項53記載の組成物 。 55.実質的に純粋な哺乳類E4orf4ポリペプチドまたはそのアポトーシス性断片を 含む薬学的組成物。 56.ポリペプチドが、図16に示すアミノ酸配列(配列番号:4)と実質的に同一 なアミノ酸配列を含む、請求項55記載の組成物。 57.ポリペプチドが、図16のE4orf4配列(配列番号:4)と比較して保存的アミ ノ酸置換を有する、請求項55記載の組成物。 58.E4orf6の実質的に純粋なポリペプチド断片を含む薬学的組成物。 59.以下の段階を含む、E4orf6類似体として化合物を同定する方法: a)いかなるE4蛋白質も発現せずアデノウイルスE1A-289R蛋白質を発現する細胞 を提供する段階; b)候補化合物と該細胞を接触させる段階;および c)該細胞のアポトーシス性細胞死により化合物がE4orf6類似体であることが示 される、該細胞の生存率を測定する段階。 60.以下の段階を含む、E4orf4類似体として化合物を同定する方法: a)いかなるE4蛋白質も発現せずアデノウイルスE1A-289R蛋白質を発現する細胞 を提供する段階; b)候補化合物と該細胞を接触させる段階;および、 c)該細胞のアポトーシス性細胞死により化合物がE4orf4類似体であることが示 される、該細胞の生存率を測定する段階。 61.細胞が1A.A3、1A.A6、および1A.A12細胞からなる群より選択される、請求項 59または60記載の方法。 62.生存率が登録商標トリパンブルー(Trypan Blue)によって測定される、請 求項59または60記載の方法。 63.生存率がDNA断片化解析によって測定される、請求項59または60記載の方法 。 64.生存率がアネキシンV結合によって測定される、請求項59または60記載の方 法。 65.生存率がヨウ化プロピジウムによって測定される、請求項59または60記載の 方法。 66.生存率が、登録商標トリパンブルー、DNA断片化、アネキシンV結合、および ヨウ化プロピジウムのうち2つ以上の組み合わせを用いて測定される、請求項59 または60記載の方法。 67.細胞が変異アデノウイルスに感染した細胞であり、該変異アデノウイルスが いかなるE4蛋白質も発現することができない、請求項59または60記載の方法。 68.以下の段階を含む、E4orf4類似体として化合物を同定する方法: a)蛋白質フォスファターゼ2Aを発現する細胞を提供する段階; b)該細胞を候補化合物と接触させる段階;および c)該細胞における該蛋白質フォスファターゼ2Aの活性を測定し、該候補化合物 に接触させない細胞と比較して該活性が増加していれば、化合物がE4orf4類似体 であることが示される、測定段階。 69.E4orf6、類似体、またはその生物活性断片を含む、不適当な細胞の生存に伴 うヒト疾患の治療を目的としたアポトーシスを誘導する薬剤。 70.E4orf6、類似体、またはその生物活性断片の治療量を薬学的担体と共に含む 、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とした薬学的組成物。 71.アポトーシスまたはE4orf6生物活性と類似の他の細胞障害作用を誘導する化 合物の治療量を薬学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治 療を目的とした薬学的組成物。 72.E4orf4、類似体、またはその生物活性断片を含む、不適当な細胞の生存に伴 うヒト疾患の治療を目的としたアポトーシスを誘導する薬剤。 73.E4orf4、類似体、またはその生物活性断片の治療量を薬学的担体と共に含む 、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とした薬学的組成物。 74.蛋白質フォスファターゼ2aを誘導する化合物の治療量を薬学的担体と共に含 む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とした薬学的組成物。 75.化合物がE4orf4のアゴニストである、請求項74記載の組成物。 76.化合物がE4orf4活性を模倣する請求項74記載の組成物。 77.アポトーシス、またはE4orf4生物活性と類似の他の細胞障害作用を誘導する 化合物の治療量を薬学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の 治療を目的とした薬学的組成物。 78.E4orf6、類似体、またはその生物活性断片と、E4orf4、類似体、またはその 生物活性断片とを含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト疾患の治療を目的とする アポトーシスを誘導するための薬剤。 79.E4orf6、類似体、またはその生物活性断片と、E4orf4、類似体、またはその 生物活性断片の治療量を薬学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴うヒト 疾患の治療を目的とする薬学的組成物。 80.アポトーシス、またはE4細胞死蛋白質の生物活性と類似の他の細胞障害作用 を誘導する化合物の治療量を薬学的担体と共に含む、不適当な細胞の生存に伴う ヒト疾患の治療を目的とする薬学的組成物。
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