JP2000504704A - N―アセチルシステインおよびドキソルビシンを含有し癌の転移形成を抑制しうる医薬組成物 - Google Patents

N―アセチルシステインおよびドキソルビシンを含有し癌の転移形成を抑制しうる医薬組成物

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Abstract

(57)【要約】 N−アセチルシステインとドキソルビシンの治療的併用は癌転移形成の抑制に著しい相乗効果を示す。これら2つの薬剤を含む医薬組成物とその投与に好適なキットが記述されている。

Description

【発明の詳細な説明】 N−アセチルシステインおよびドキソルビシンを含有し 癌の転移形成を抑制しうる医薬組成物 本発明は抗腫瘍活性を有する医薬組成物に関し、さらに詳細には特に癌転移の 拡大に対抗するのに有用なドキソルビシンとN−アセチルシステインの併用に関 する。 N−アセチルシステイン(メルク インデックス、第11版、N.82、14 頁)(以下NACと略記)は、還元型グルタチオン(GSH)の周知の薬剤前駆 体であり、近年、腫瘍の予防に関して有用な特性を有することが確認されている [デ フローラ S.[De Flora S.]ら、J.Cell.Biochem.S uppl.、22、33(1995)]。 NACは、この後者の利用即ち腫瘍の予防については臨床試験の段階にある[ ケロフ G.J.[Kelloff G.J.]ら、J.Cell.Biochem.Sup pl.、20、63(1994)]。 最近の研究はまた、NACがいかにして癌発生の後期段階(侵襲及び転移)に おいて防御機構を発揮するかについても明らかにしている[アルビニ A.[Alb ini A.]ら、Int.J.Cancer、61、121、(1995)]。 ドキソルビシン(メルク インデックス、第11版、N.3428、540頁 )(以下DOXと略記)は、抗腫瘍活性を有し治療に広く使用されているアンス ラサイクリン系抗生物質である。 DOXは、潜在的に致命的なうっ血性心筋症を起こす可能性があるという事実 によってその使用が限定されている。 NACがマウスにおいて治療の有用性を低下させることなくDOXの心臓毒性 をいかにして軽減することができるかについても明らかにされている[ドロショ ー J.H.[Doroshow J.H.]ら、J.Clin.Invest.、68、1 053(1981)]。 本発明者らは、驚くべきことにNACとDOXの間には癌転移形成の抑制にお いて相乗効果があることを発見した。 したがって本発明の目的は、N−アセチルシステインとドキソルビシンそれぞ れの、癌転移形成の抑制に相乗効果を与える有効量を含有する医薬組成物を提供 することにある。 本発明の2番目の目的は、N−アセチルシステインとドキソルビシンの癌転移 形成の抑制に相乗効果を示す有効量を含有し且つそれらの投与に好適な媒体を含 有するキットを提供することにある。 本発明のさらなる目的は、N−アセチルシステインおよびドキソルビシンを含 有する癌転移形成の抑制のための医薬組成物の調製法を提供することである。 癌転移形成の抑止活性を実験動物により実験的転移の4研究と腫瘍発生ならび に“自然”転移の4研究において評価した。 実験の詳細について実施例1に報告する。 実施した実験においては全般的に、DOX単独での治療は対照群との比較にお いて、投与量10mg/kg体重の静脈注射(実験的転移)および投与量2mg /kg体重の腹腔内注射(腫瘍発生および自然転移)以外は、転移の数を有意に 減らすことはなかった。 実験的転移評価検定においてNACの単独使用は、腫瘍発生および自然転移の すべての実験において有意の防御効果を示したが、転移の数を有意に減らしたの はNACを外寄生癌細胞と合わせて投与した場合のみであった。 この両方の研究においてNACとDOXを投与した場合に著しい相乗効果が認 められ、またこの効果はDOXを静脈ルートで投与した場合に特に高かった。 NACは経口または静脈ルートのいずれでも、またDOXと合わせて投与する こともできる。 治療の実際においては、NACとDOXは適切な医薬組成物として合わせて投 与するのが好ましい。 この2つの薬剤の組み合わせ投与に好適な具体的な薬学的剤形は、使用時に任 意に調製できる注射用溶液である。 これらの組成物は生物学的適合性のある不活性溶媒、好ましくは水を含有し、 緩衝液としてもよく、任意で他の添加物を含んでいてもよい。 一用量当たりのNACとDOXの量は、患者の状態、腫瘍の型、疾患の程度と 進行段階に従って調整される。 一般的にNACは100mgから数グラム、正確には6g/日までの範囲の用 量で、1回〜数回に分けて投与される。 DOXの処方はNACとの相乗効果を発揮するのに十分な量で、1〜10mg /kg体重の範囲で、1回〜数回に分けて投与される。 1回あたりの処方量としてはそれぞれ1〜50mgのDOXを含むものとする ことができる。 注射可能溶液の即時調製は、使用時に2つの適切な薬剤溶液を混合することに より行うことができる。 好適なキットは薬剤の溶液2種とそれらを混合するための適切な溶媒および注 入シリンジを包含する。あるいはシリンジが溶液2種のうちの1つを含み、混合 をシリンジそのものの中で行わせることもできる。 あるいはまた、DOXには周知のように危険性があるため、医療スタッフによ り行われる操作を極力減らす目的で、注射すべき溶液をあらかじめ充填したシリ ンジを含ませたキットとすることもできる。 仮に抗腫瘍治療にDOXをシクロホスファミド、シスプラチン、ブレオマイシ ンなどの抗腫瘍活性を有するその他の薬剤とともに使用するとしても、NACの 同時投与における特別な禁忌は考えられない。 NACを前記薬剤とともにDOXと合わせて単一の薬剤処方とする場合には、 NACと前記薬剤の化学的な適合性を確認することは非常に適切なことである。 本発明をさらに説明する目的で以下の実施例を挙げる。実施例1 材料と方法薬剤 1バイアル当たり10mgの薬剤を含むようにDOXを市販の注射可能製品( アドリブラスチナ[Adriblastina](登録商標)、ファルミタリア−カルロエルバ [Farmitalia-Carlo Erba]、イタリア国ミラノ)の形で使用し、注射時に蒸留水 に溶解させた。経口投与の実験においては、NACを1処方当たり200mgの NACを含む市販品で使用し(フルイムシル[Fluimucil](登録商標)、ザンボ ン社[Zambon]、イタリア国ヴィチェンザ)、マウスの飲用水中に直接溶解させた 。NACを非経口(i.p.またはi.v.)投与する実験の場合には、98% 純度の試薬(シグマケミカル社[Sigama Chemical Co.]、米国ミズーリ州セント ルイス)を使用し、pH7.4のリン酸緩衝液(PBS)に溶解させ、さらに0 .1N NaOH(“自然転移検定”)または0.15M NaClを使用して 、溶液をpH7.0(実験的転移検定)とした。実験動物 実験的転移検定および“自然”転移においてそれぞれ、合計385匹の成熟マ ウス(チャールス リバー[Charles River]、カルコ、イタリア国コモ)を使用 し、そのうち196匹は雌のヌード(CD−1)BRマウス、7週令、平均体重 25g、189匹は雌C57BL/6マウス、6〜8週令、平均体重20gを使 用した。(CD−1)BRマウスは、1ケージ当たり3匹、室温26〜28℃、 相対湿度55%、換気12〜15(エア/時間)更新および12時間昼/夜サイ クルで、フィルターでカバーした滅菌ケージ中で飼育した。C57BL/6マウ スは、1ケージ当たり5匹、温度25〜27℃、相対湿度50%および12時間 昼/夜サイクルで飼育した。(CD−1)BRマウスには真空滅菌の特別栄養食 (ムセドラ S.r.L[Mucedola S.r.L.]、セッチモ ミラネーズ[Settimo Mi lanese]、イタリア国ミラノ)および滅菌した飲用水を与え、C57BL/6マ ウスには標準ネズミ栄養食(ミル トピ エ ラッチ[MIL Topi e Ratti]、モ リニ[M0rini]、S.ポロ ドエンザ[S.Polo d'Enza]、イタリア国レッジョエ ミリア)および飲用水を実験期間中無制限に与えた。実験中決められた時刻にマ ウスを屠殺する場合、エチルエーテル麻酔とその後頚部切断により屠殺を行った 。実験動物の飼育とすべての治療処置は自国(イタリア)およびヨーロッパ・コ ミュニティの指針(D.L.27.01.1992 N.116;86/609 /EEC指令)に基づいて実施した。実験的転移検定 この検定の場合、原発性腫瘍の形成を避け、また転移が肺に直接広がるのを防 ぐために、癌細胞を側方尾静脈中に注入した。B16−F10マウス黒色腫細胞 を使用し、無血清イーグルMEM培地に再懸濁させ、100μl(5×104細 胞/マウス)を静注した。表1に示す通り、各実験には常に4群を含めた(各実 験群に含まれるマウスの数も表中に示す)。すなわち、対照群(無治療マウスま たは0.15M NaClで治療したもののいずれか)、DOXだけで治療した マウス群、NACだけで治療したマウス群、および2種類の薬剤を合わせて治療 したマウス群である。 特に、実験#1においてはDOXを癌細胞の注入24時間後に腹腔内(i.p .)ルートで1用量(5mg/kg体重)注入し、癌細胞の注入3日前から実験 期間を通してNACを2g/kg体重の計算処方量で飲用水とともに毎日投与し た。 実験#2ではDOXを癌細胞の注入3日後に静注(i.v.)ルートで一用量 (10mg/kg体重)注入し、NACは癌細胞の注入8時間前から8日間継続 的にi.p.ルートにより毎日投与した(1g/kg体重)。 実験#3においてはDOXとNACの両方を、それぞれ1mg/kg体重およ び6.5mg/kg体重で、癌細胞の注入24時間後にi.v.ルートで注入し た。したがって、この併用治療においては2つの薬剤を同一シリンジ中に混合し た後、注射した。 実験#4においては対照およびDOX群は実験#3と同じとし、NACを癌細 胞とともに10mMの濃度で培地に溶解した後i.v.ルートで注入した。 それぞれの実験において、すべてのマウスを肺転移の存在が観察された最初の 動物の“自然”死の時期に屠殺した。すなわち癌細胞の注入から25日(実験# 1)、27日(実験#3および#4)、29日(実験#2)のタイミングであっ た。これらの時点で剖検を実施した。肺を摘出し、PBS中で洗浄し、緩衝ホル マリンで固定した。目に見える表面肺腫瘍の合計数を解剖顕微鏡を利用して計測 した。腫瘍形成および“自然”転移検定 これらの実験においては、B16−BL6マウス黒色腫細胞を右後足の足庶( フットパッド)に皮下注射(s.c.)した(実験#5では5×105細胞/マ ウス、実験#6、#7および#8では2×105細胞/マウス)。 こうした手法により原発性腫瘍が注入側に形成され、そこから肺への転移が広 がった。 同じくこれらの実験においても4群を検討した。すべての実験においてNAC を癌細胞注入の48〜72時間前に2g/kg体重の用量を飲用水とともに投与 し、各実験終了時まで継続した。実験#5においては、DOXを癌細胞の注入2 4時間後にi.p.ルートで投与(2mg/kg体重)した。実験#6、#7お よび#8においてはDOXを癌細胞の注入24時間後(#6および#7)または 7日後(#8)にi.v.ルートで投与(10mg/kg体重)した。 実験#5、#7および#8においては、生存に対する治療効果に関する指標を 得るためにマウスを自然死するまで維持した。原発性腫瘍(頻度と重量)ならび に肺転移(頻度と数)を死亡時点で評価した。 実験#6においては、癌細胞の注入4週間後に原発性腫瘍を患った脚を切り落 とした。さらに4週間後にこれらの動物を屠殺し、脚断端に再発した腫瘍を切り 取り秤量し、また肺転移を採点した。統計的解析 DOXまたはNACのいずれかで治療したマウス個体における調査パラメータ の変動の有意性を対照群との比較で各実験ごとに評価した。さらに併用治療の効 果についても対照群およびそれぞれの単独治療と比較して評価した。 原発性腫瘍、局所再発または肺転移を起こしたマウスの頻度の変動有意性をフ ィッシャーの完全検定(Fisher's exact test)で評価した。原発性腫瘍および局 所再発の平均重量の変動有意性、平均肺転移数ならびに平均生存日数の変動有意 性をスチューデントのt−検定(Student's t-test)または非母数マン−ホイッ トニーのU検定(nonparametric Mann-Whithney's U test)のいずれかを用いて 評価した。実験#7および#8においてはさらに各実験グループ内におけるマウ スの生存率をχ2解析により日ごとに比較した。 結果実験的転移 4つの実験を行っが、そのうち2つ(#3と#4)は実験的転移誘発に関する NACおよびDOXの個々の効果および併用効果を評価するために部分的に重複 させた。すべての実験において5×104個のB16−F10ネズミ黒色腫細胞 を雌ヌード(CD−1)BRマウスに静脈注射した。最初の自然死が発生した時 点で実験に使用したすべての動物を屠殺し、肺転移を計測した。これらの実験結 果を表1にまとめて示す。 実験#1においてはDOXを癌細胞の注入24時間後にi.p.の1回注入( 5mg/kg体重)で投与した。NACは癌細胞の注入3日前に開始し、実験終 了時まで毎日飲用水とともに投与した(2g/kg体重)。これらの条件下にお いて、癌細胞を注入しただけでさらなる治療は行わなかった対照群と比較した が、DOXとNACはそれぞれ肺転移を4.1倍および1.3倍低下させた。し かしながらこの低下は統計的に有意ではなかった。併用治療では肺転移を5倍減 らしたが、対照群との比較では統計的有意差の閾値に近い差であった。 実験#2においてはDOXを癌細胞の注入3日後にi.v.で1回投与(10 mg/kg体重)した。この治療は転移により影響を受けたマウスの頻度の減少 (66.7%から33.3%)または1個体当たりの転移の平均数(17.4倍 の低下)のいずれかで有意の減少をもたらした。癌細胞注入8時間後に開始し、 その後8日間継続したi.p.によるNACの毎日投与(1g/kg体重)は転 移発生動物の頻度に影響を与えず、かえって転移数を増大させたが、これは有意 差があるほどではなかった。薬剤2種の併用は劇的な防御効果をもたらした。実 際に、転移が発生したマウスの頻度は6.7%に低下し、この低下は対照群また はNACだけで治療したマウスと比較して高度に有意差がるだけでなく、DOX だけで処置したマウスとの対比においても有意差閾値に近いものであった。 実験#2で認められたDOXの強力な効果によりその後の実験(#3および# 4)においてはこの薬剤を癌細胞注入24時間後に10倍低い用量でi.v.投 与した(1mg/kg体重)。こうした条件下においてDOXは肺転移の誘発の 調節に関してはほとんど有効ではなかった。実験#3においてはNACを癌細胞 注入224時間後に低用量(6.4mg/kg体重)でi.v.投与したか、こ れは検知はできるが有意な低下(2.8倍)はもたらさなかった。癌細胞の注入 24時間後にi.v.で薬剤2種を混ぜて同時投与した場合は、転移の影響を受 けたマウスの頻度を減らし(63.6%から36.4%、有意ではない)、また 転移の数を著しく減らした。対照群と比較して正確には61.3倍(有意)、D OXだけで処置したマウスに対しては48.7倍(有意)およびNACだけで処 置したマウスに対しては32.8倍(有意ではない)であった。 実験#4においてはNACを癌細胞培養液中に10mMの濃度で溶解させた。 これは未処理の癌細胞を注入した対照群に比較して転移を有意に減らした (14.7倍)。 24後以降のDOXの注入は、単独での注入自体は既に述べ効果的なものでな かったが、しい相乗効果を示した。事実、転移の減少は対照群に比べて61.3 倍に相当し、DOX単独の場合と比較して48.7倍、またNAC単独に比較し て4.2倍であった。これらの差はすべて統計的に有意であった。腫瘍形成および“自然”転移 局所原発性腫瘍の形成およびそれに続く肺転移への広かりに関するNACおよ びDOXの単独または併用の効果を評価するために4つの追加実験を行った。そ れらのうち2つ(#7および#8)部分的に重複するように設計された。雌C5 7BL/6マウスの右後足の足庶(フッドパッド)に2〜5×105細胞個/マ ウスで1回皮下注射を行った。3つの実験(#5、#7および#8)においては これらの動物を自然死するまで維持し、その後原発性腫瘍の重量および転移の数 を記録した。実験#6においては、癌細胞の注入4週間後にその足を切除し、原 発性腫瘍を摘出して秤量した。さらに4週間後にすべての動物を屠殺し、肺転移 を採点した。さらに、一定数の動物には切断した脚の方の断端に局所的再発が認 められた。 実験#5は動物の数を限定したパイロット検定であった。DOXを癌細胞の注 入24時間後に腹腔内投与(2mg/kg体重)し、またNACを癌細胞の注入 48時間前から実験終了時まで飲用水とともに投与(2g/kg体重)した。マ ウスの生存率はこれらの治療によって影響されなかった。DOXの注入は原発性 腫瘍の重量を有意には減らさなかったのに対し、肺転移の数を有意に減らした( 6倍)。原発性腫瘍の重量はNACだけで治療したマウスの半分以下となったが 、この減少は必ずしも統計的に有意ではなかったのに対し、転移の数は対照群に 比べて有意に低くなった(7.2倍)。DOXとNACの併用治療は原発性腫瘍 (4倍)、肺転移(10.7倍)のいずれにおいても有意に腫瘍の形成を抑制 する点において極めて効果的であった。 実験#6においては治療はDOXの用量を10g/kg体重に増加させた以外 は実験#5に記述したものと同じとした。癌細胞注入4週間後の原発性腫瘍の重 量は極めて低くなり、またDOXまたはNACによる単独治療には影響を受けな かった。これに対し併用治療は、対照群との比較だけでなく、この2つの薬剤の 単独治療との比較においてすら、腫瘍に侵されたマウスの頻度の抑制ならびに原 発性腫瘍の重量においてはさらに有意で顕著な抑制効果をもたらした。同様に、 局所再発の頻度と重量は両方とも併用治療群の方が、対照群ならびに薬剤2種の 単独治療群よりも低かった。 実際にこの併用治療を受けた12匹のマウスはいずれも肺転移を起こしておら ず、これはその他3つのグループのそれぞれと比較した場合にその頻度が著しく 小さく、また対照群ならびにDOXだけで治療した群に比べてその数が著しく低 下していることを示している。これに対しNACだけで治療をした群との差は、 このチオールで治療した群における肺転移の数が1.6倍低下(有意ではない) したが、統計的な有意閾値には達していない。 NACの経口投与(p.o.)(2g/kg体重)は実験#7および#8にお いて対照群との比較における平均生存時間の評価ならびにこれら2つのグループ における生存曲線の日ごとの比較の両方で評価される通り(表2)、マウスの生 存率を著しく高めた。またDOXのi.v.(10mg/kg体重)もまたわず かではあるが癌細胞の注入24時間後に投与した場合に生存期間を延長した。こ の治療は生存曲線に有意の改善をもたらすもので、特に最初の50日間における 生存率、また平均生存期間を著しく高めた(表2、実験#7)。これに対し癌細 胞の注入7日後のDOXによる治療は、生存曲線にも平均生存期間にも影響を与 えなかった(表2、実験#8)。NACとDOXの併用治療はNACによる単独 治療と比較して生存率をさらに高めることはなかった。しかしながらこの併用治 療が、癌細胞の注入24時間後また7日後に投与したDOXによる単独治療に比 べて生存率を改善したことは注目に値する。またNACとDOXの併用投与(7 日後)は対照群に比較して生存期間を長くしたのに対し、DOXによる単独治療 は効果がなかったことも注目すべきことである(表2、実験#8)。 実験#7および#8で調べたグループ間の比較においては、原発性腫瘍および 肺転移をそれぞれの動物の死亡時点で評価したことに留意しておく必要がある。 つまり、生存期間が著しく延びた場合、同様の発癌性データも癌細胞の進行が遅 いことを反映したものとなる。そのような理由にもまして、防御効果は統計的比 較で示唆されるものよりはるかに重要なことである。この点において、対照群と の比較で原発性腫瘍の重量に有意な低下が見られないとしても、24時間後にN AC、NACとDOXで治療した群、または2つのDOX治療のそれぞれとNA Cとの併用で治療した群では、これらのグループにおける死亡時期が著しく遅く なっていることに注意する必要がある。同様に、NACのp.o.治療を行った 群における肺転移の頻度(4.8倍)とその数(2.1倍)において著しい抑制 を示していることにももっと注目しなければならない。癌細胞注入24時間後に NACとDOXで治療した群における肺転移の増加に関して さらなる抑制効果 が示されている。このグループでは転移の数は対照群(12.7倍)との比較だ けでなく、DOXだけで治療した群(14.4倍)との比較においても著しく少 なくなっており、NACだけで治療した群(5.9倍)とは統計的に有意ではな いものの驚異的なことである。 NACとDOXの相乗作用に関する注釈 実験的転移の4つの検討においては、その治療はDOXの用量とその投与ルー ト(i.p.またはi.v.)、NACの用量とその投与ルート(p.o.また はi.v.)ならびに治療タイムスケジュールを変動させた。 DOXによる単独治療は、10mg/kg体重の用量でi.v.注入した場合 だけ肺転移の数を有意に減少させた。 NACによる単独治療は、マウスにi.v.注入する時点で癌細胞を再懸濁さ せた培地に添加した場合だけ、そのパラメータ(肺転移の数)が著しく抑制され た。この発見は、また定量的な観点からも、同様の特性を示した従来の実験の結 果[アルビニ A.ら、Int.J.Cancer、61、121、(1995 )]を裏付けるものである。 これに対し薬剤2種の併用治療は、すべての実験において肺転移を著しく減ら した(実験#1だけはその減少は統計的有意閾値に近いものであった)。特に、 DOXをi.p.投与しただけのものである実験#1においては、この併用治療 の効果は単独治療と比較してほぼ加算的であった。事実、非治療対照群と比較し た場合の転移数の減少は薬剤2種併用の場合は5.0倍であり、DOXだけの場 合は4.1倍、またNACだけの場合は1.3倍であった。その他の3つの実験 においてはこの細胞毒性薬剤をi.v.投与したが、組み合わせ効果は単に加算 的なものではなく乗算的以上であった。実際に、転移数の減少は、薬剤2種の併 用治療群、DOX治療群、NAC治療群で比較してそれぞれ実験#2においては 174.3倍、17.4倍および0.5倍であり、実験#3においては90.5 倍、1.3倍および2.8倍であり、また実験#4においては61.3倍、1. 3倍および14.7倍であった。 4つの腫瘍形成および“自然”転移試験においては、NACは常に同一用量( 2g/kg体重)をp.o.で与え、一方DOXは用量(2から10mg/kg 体重)、投与ルート(i.p.またはi.v.)および時間(癌細胞注入1日ま たは7日後)を変動させた。 DOXによる単独治療では、用量2mg/kg体重をi.p.ルートで投与し た実験#5だけ肺転移の数が著しく減った。従来の研究[アルビニ A.ら、I nt.J.Cancer、61、121、(1995)]で得られている結果を 確認するためのNACによる単独治療では、自然死するまでマウスを維持した実 験(#5、#7/8)において著しい防御効果を示した。特に実験#5および実 験#7/8(この2つの実験ではNACグループは同じ)の両方において、 NACは肺転移の数を著しく抑制し、また実験#7/8でも転移に侵されたマウ スの頻度を著しく減らした。そのうえ、実験#7/8でNACは実験動物の生存 時間を著しく高めた。 DOXを使用した併用治療では、すべての動物における原発性腫瘍(4週間) 、局所再発および肺転移(8週間)を評価するために固定時間を選択したが、実 験#6では乗算的以上の効果を示した。実際に、薬剤2種の併用治療を行った対 照群、DOX治療群、NAC治療群に比べて、原発性腫瘍の重量に関しては7. 3倍、1.4倍および1.0倍であり、局所再発の重量に関しては12.5倍、 1.1倍および0.9倍であり、また肺転移の数に関しては∞(併用治療を受け たマウスは全く転移がなかった)、0.7倍および1.6倍であった。実験#5 においては、原発性腫瘍の重量に関しては4.0倍、1.3倍および2.1倍( 加算的よりは若干効果があった)であり、肺転移の数に関しては10.7倍、6 .0倍および7.2倍(加算的よりはわずかに効果が少なかった)であった。N ACをDOXとともに癌細胞注入7日後に投与した場合(実験#8)では、特に 効果的な結果は得られなかった。NACとDOXを合わせて癌細胞注入の24時 間後に投与した場合(実験#7)では、肺転移の減少において単なる乗算的以上 の効果をもたらした(両方の薬剤での治療、DOXだけによる治療、およびNA Cだけによる治療はそれぞれ、12.7倍、0.9倍および2.1倍の効果であ った)。 実施例2 NACおよびDOX両方を含む注射用溶液 DOX溶液は、10mgのDOXを含むバイアルに蒸留水を加えて調製した。 NAC溶液は、64mgのNACをpH7.4のリン酸緩衝液に溶解させて調 製した。 この溶液を0.1N NaOHにより中性にした。 これら2種の溶液をシリンジに吸い取って混合し、いつでも使用できる溶液と した。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.N−アセチルシステインおよびドキソルビシンの癌転移形成の抑制に相乗 効果を示すのに有効な量を含有する医薬組成物。 2.N−アセチルシステインおよびドキソルビシンの癌転移形成の抑制に相乗 効果を示すのに有効な量ならびにそれらを投与するための媒体を含有するキット 。 3.N−アセチルシステインおよびドキソルビシンを含有する癌転移形成を抑 制するための医薬組成物を調製する方法。 4.100mgから6g量のN−アセチルシステインが含まれる請求項1記載 の組成物。 5.1から50mg用量のドキソルビシンが含まれる請求項1記載の組成物。 6.100mgから6g用量のN−アセチルシステインが含まれる請求項2記 載のキット。 7.1から50mg用量のドキソルビシンが含まれる請求項2記載のキット。 8.100mgから6g量のN−アセチルシステインが含まれる請求項3記載 の医薬組成物を調製する方法。 9.1から50mg用量のドキソルビシンが含まれる請求項3記載の医薬組成 物を調製する方法。 10.N−アセチルシステインおよびドキソルビシンの相乗的有効量を患者に 投与することを特徴とする患者における癌転移形成を抑制する方法。 11.N−アセチルシステインを1日100mgから6g用量投与する請求項 10記載の患者における癌転移形成を抑制する方法。 12.ドキソルビシンを1日1から50mg用量投与する請求項10記載の患 者における癌転移形成を抑制する方法。
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