【発明の詳細な説明】
有害昆虫を防除するための組成物および方法
発明の背景
本出願は、1994年8月17日に出願された米国特許出願08/291,072(現在は米国
特許第5,514,681号、1996年5月7日発行)の一部継続出願である1996年2月6日
出願の係属中の米国特許出願08/595,899の一部継続出願であり、これらの全内容
は引用により本明細書中に含まれるものとする。
1.発明の分野
本発明は、窒素性老廃物を利用し、貯蔵し、または排泄するためにプリン代謝
経路を利用する有害昆虫の成長の抑制に関する。本発明は、プリン類、プリン代
謝酵素阻害剤およびこの経路の特定の補因子の生成を制御する酵素の阻害剤から
成る組成物を成長抑制量含む配合物を有害昆虫と接触させることからなる。
2.背景技術の説明
化学的不妊剤、フェロモン、および生態学に基づく防除戦略としてのこのよう
な優れた昆虫防除技術の最近の発展およびすばらしい前途の有望さにもかかわら
ず、化学的殺虫剤の使用がまだ優越した役割を果たしている。しかし、環境問題
に対する公衆の意識喚起、およびより厳格な政府規制および従来の条件に対する
昆虫の増大した耐性により、害虫駆除産業は、これらの従来の化学殺虫剤に代替
するより安全なものを追求するようになった。
他のものは、昆虫成長阻害剤の有効性を同定し、そして評価することを試みた
。しかし、昆虫防除剤の高い選択性および有効性は引き続き必要であるので、主
要な昆虫の栄養および代謝経路を理解したうえで、防除剤の合理的配合に関与す
ることが望まれるようになった。
発明の要旨
大部分の昆虫は、それらが尿酸およびそれらの尿酸分解誘導体として過剰窒素
を排泄する尿酸排泄性を示すことは広く知られている( コクラン(1975)のIn
sect Biochemistry and Function中の「Excretion in Insectsl pp.171-281)
。
尿酸は、表1に示すプリン異化経路を介して合成され、外側に排泄されるか、ま
たはある場合には代謝貯蔵物として昆虫に貯蔵される。
ゴキブリは、尿酸の貯蔵−排泄の基礎的性質の優れたモデルである。例えば、
ドイツゴキブリでは、父性注入(paternal investment)として、交配の際、雌に
尿酸のスラリーが渡される。直ちに、雌は、発生中の卵に、胚形成の間使用され
る尿酸を供給する (ムリンズおよびケイル(1980)のNo.ture 283: 567-569)。こ
の生命中枢のサイクルを中断することは、ゴキブリ個体群の成長に非常に決定的
であるようであり、ゴキブリ個体群の成長はこれらの尿酸の貯蔵に非常に左右さ
れる(インゲブレットソンおよびムリンズ(1986)のComp.Biochem.Physiol.83
B:93-97; スイーターら(1992)のJ.Econ.Entomol.85(1):117-122)。ゴキブ
リの脂肪体では、尿酸の de novo 合成が、大部分が栄養細胞中でプリンサルベ
ージを通して起こり、そして尿酸は再利用のために特殊化したウロサイト(uroc
ytes)に貯蔵される(コクラン(1985)のAnn.Rev.Entomol.30: 29-49)。これ
は、ウロサイトに隣接する細菌細胞中で分離される内生共生体細菌による貯蔵尿
酸塩の尿酸分解消化により達成される( ウレンおよびコクラン(1987)のComp.Bi
ochem.Physiol.88B:1023-1026)。尿酸サイクルのこの部分で、内生共生体細菌
は、キサンチンデヒドロゲナーゼを用いて、尿酸塩をキサンチンに還元し、そし
てこの系のどの部分を中断させても集団の成長が阻害される。
昆虫生理学の別の基礎的一面は、脱皮サイクルであり、この時、角皮上皮細胞
が増加し、そして脱皮直前に新たなより大きな外骨格を合成する。 (チャップマ
ン(1982)のThe Insects Structure andFunction) Cambr1dge,MA:Harvard Un1Ve
rSlty PreSS;ヘップバーン(1985)のFundamentals of Insect Physiology中の「T
he Integument」、Ed.M.S.B1um,.pp139-183、ニューヨーク、John Wiley & Son
s,Inc.)。同時に、例えば内部および外部の生殖器官の発達が各段階で進行し、
最終脱皮に達して、性的に成虫になる場合のゴキブリのように、内部組織の多く
が成長している(チャップマン(1982)のThe Insects Structure and Function) C
ambridge,MA:Harvard University Press)。この過程
の間、昆虫は、細胞の急速な成長を達成するためにそれらの代謝貯蔵物に頼るこ
とが多い。
プリン代謝経路は、これらの過程全ての中心であり、そして昆虫の恒常性(ホ
メオスタシス) の中心である。既知の生化学的経路の全てについてと同様、加水
分解酵素およびそれらの補因子は、プリン分解経路の機能化にも必須である。こ
の経路も、ヌクレオチドおよび核酸生合成で再利用するための遊離プリン塩基を
利用するために働く(レーニンジャー(1970)のBiochemistry: The Molecular Ba
sis of Cell Structure and Function、2版、pp740-742)。
この経路に関与する酵素の内の2つは、キサンチンオキシダーゼおよびジヒド
ロ葉酸レダクターゼ(テトラヒドロホレートデヒドロゲナーゼとしても知られて
いる)である。硫化モリブデン鉄フラボ酵素であるキサンチンオキシダーゼ(E.
C. 1.2.3.2)は、グアノシンモノホスフェートおよびイノシンモノホスフェー
トからキサンチンへ、そして最終的に尿酸に至るプリン異化の作用経路の後半で
作用する。この経路では、キサンチンオキシダーゼは、ヒポキサンチンをキサン
チンに変換すること、およびキサンチンを尿素に変換することの両方を触媒する
( コフラン(1980)のMo1ybdenum and Mo1ybdenum-Contalning Enzymes、ニューヨ
ーク、Pergamon Press) 。キサンチンデヒドロゲナーゼとして機能すると、同じ
酵素が、ゴキブリの脂肪体中の内生共生体細菌の尿素分解経路で尿酸をキサンチ
ンに還元する( ウレンおよびコクラン(1987)のComp.Biochem.Physiol.88B: 10
23-1026) 。ジヒドロ葉酸レダクターゼは、テトラヒドロ葉酸の合成を触媒し、
テトラヒドロ葉酸は尿酸およびプリン合成経路で必須の補因子である( クーセル
ズおよびベネット(1979)のThe Use of Antibiotics中の「Trimethoprim and Cot
rimoxazole」、3版、ロンドン、William Heinemann Medical Books,Ltd.)。
それらのプリンの再利用および排泄に基づくこれらの昆虫のシステムを理解す
ることにより、昆虫の恒常性(ホメオスタシス)を中断し、かつ昆虫個体群の成
長を阻害するための新規組成物および方法を提供する本発明が導かれる。したが
って、1つの実施態様では、これらの組成物は、(1) グアニン(2-アミノ-1,7-
ジヒドロ-6H-プリン-6-オン)のようなプリン、ヒポキサンチン(1,7-
ジヒドロ-6H-プリン-6-オン)、キサンチン(3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオ
ン)または尿酸、およびそれらの混合物、ならびに(2) キサンチンオキシダーゼ
阻害剤、好ましくはピラゾロ[3,4-d] ピリミジン群の内の1つ、例えばオキシプ
リノール(4,6- ジヒドロキシピラゾロ[3,4-d] ピリミジン)、アロプリノール(4
-ヒドロキシピラゾロ[3,4-d]ピリミジン)、メルカプト-アロプリノール(4-ヒド
ロキシ-6-メルカプトピラゾロ[3,4-d]ピリミジン)、4-メルカプト-6- ヒドロキ
シピラゾロ[3,4-d] ピリミジン、4,6-ジメルカプトピラゾロ[3,4-d] ピリミジン
、または4-アミノ-6- ヒドロキシピラゾロ[3,4-d] ピリミジン、およびその混合
物からなる。別の実施態様では、これらの組成物は、(1) プリン、(2) キサンチ
ンオキシダーゼ阻害剤、および(3) ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤、例えばト
リメトプリム(2,4- ジアミノ-5-(3,4,5-トリメトキシベンジル) ピリミジン) 、
メトトレキセート(N-[4-[[(2,4- ジアミノ-6- プテリジニル) メチル] メチルア
ミノ] ベンゾイル]-L-グルタミン酸) またはピリメタミン(5-(4-クロロフェニル
)-6-エチル-2,4-ピリミジンジアミン) およびそれらの混合物を含む。
特定の酵素阻害剤と組み合わせた特定のプリンが本発明を説明するのに用いら
れるが、任意のプリンおよび図1の経路の任意の酵素の阻害剤が、本発明にした
がって適用可能であると理解される。
さらに、ゴキブリ、シロアリ、ケラ、イエバエ、およびオオアリが本発明を例
示するのに使用されるが、本発明の組成物および方法が、プリン代謝経路を利用
して、その窒素性老廃物を利用するか、貯蔵するかまたは外部へ排泄する全ての
有害昆虫の成長を抑制するのに適用可能であると理解される。
本発明のさらに別の実施態様は、昆虫成長抑制に有効な量の組成物を含む昆虫
餌または誘引物質配合物を含む。
図面の説明
図1は、プリン異化の経路を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、有害昆虫、特にゴキブリ、シロアリ、ケラ、イエバエ、およびオオ
アリによる成長抑制量の特定の新規組成物を含有する配合物の摂取が、恒常性(
ホメオスタシス)を破壊し、そして個体群の成長を阻害するという知見に基づい
ている。
本発明の組成物は、配合物の単独の活性成分であってもよいし、またはそれら
は、他の通常の殺虫剤のような1つまたはそれ以上の別の活性成分と混合しても
よい。
本発明の組成物は、「餌」または「誘引物質」と配合してもよい。本発明を説
明する目的で、これらの語は、有害昆虫が誘引されそしてそれらが摂取する全配
合物を意図する。このような組成物は、当業者に周知であり、本発明の組成物に
関して不活性である任意のこのような材料が、本発明の実施に使用可能であると
理解されよう。
使用の際、配合物は、有害昆虫に、有害昆虫の所在位置に、および/または有
害昆虫の巣に適用され得る。
以下の実施例は、例示のみの目的で包含され、特に指示しない限り、それらの
実施例に限定されるものではない。実施例1−一般的手法
特に断らない限り、ストック実験室「VPI 」系統からのドイツゴキブリ (B
latella germanlca L.) を、混合生活ステージの実験コロニーを形成させるのに
使用した。特に断らない限り、各昆虫コロニーの42匹の昆虫は、各々5匹の新た
に成虫化したばかり(post-emergent)の成虫雄および雌、第5令の若虫ステージ
の各々8匹の雄および雌、ならびに第3令の若虫ステージの各々8匹の雄および
雌を含んでいた。各実験ブロックでは同じストックコロニーから昆虫を選択する
ように心掛け、そして各コロニーは、処理に先立って24時間順化させた。
コロニーは、繊維状の平板を設けた1ガロンのガラス製電槽に収容し、綿で栓
をしたガラスビンに連続的に新鮮な水道水を供給した。電槽は、ペトロラタムの
薄い被膜で縁取られ、そして強力な伸縮性のあるバンドで適所に保持され
た3層の目の荒い薄地の綿布 (チーズクロス)でぴったりと被覆した。これらの
手段は、試験昆虫の脱走、並びに他の昆虫の混入を防いだ。
各試験は、食物が処理されていない「対照」コロニー、および重量濃度%(w/
w)を形成するために試験された組成物と食物が混合された「試験」コロニーを
含んだ。特に断わらない限り、食物は、アグウェイラボラトリーのラット餌(Ag
way Laboratory Rat Chow)であり、餌ペレットを粉砕して微細粉末にすること
により製造し、そして試験コロニーについては、乳鉢および乳棒を使用して、試
験組成物を該餌とともに粉砕し混合することにより試験組成物を混入させた。い
くつかの場合、実施例においてより十分に特定されているように、当業者に公知
の不活性な餌基剤(base)または50%(w/w)不活性餌基剤+ラット餌組成物からな
る食物中にこの試験組成物を混入させた。処理または未処理のいずれかの食物を
ステンレス鋼プランセットで前もって計量し、こぼれによる損失を避けるために
プラスチック製カップに入れたプランセットと共に与えた。試験の間、プランセ
ットは、週毎に計量され、そして、必要であれば、食物を補充した。
反復実験コロニーを毎日連続して起こし(initiate)、全コロニーは飼育中と同
じ周囲温度(25 ℃)、および湿度の条件下でストック実験室で収容されていた
。昆虫が含まれていないことを除いては対照コロニーと同一である対照「ブラン
クコロニー」は、周囲湿度の変化による食物の湿度の損失または取得についてモ
ニターした。このような変化の全てが、食物消費の計算に係数化された。
全ての死んだ昆虫の記録を続け、それは食物が計量される時に毎週計測し、性
別を鑑定した。死んだ昆虫は、全身尿酸アッセイにかける前に凍結され、そして
−4℃で保存した。特に断らない限り、各コロニーの全個体群は、3週ごとに計
測した。昆虫の全部または雌の全部が死んだかまたは瀕死であるとき、コロニー
は生育不能であると判断され、そして実験は終了した。残りの昆虫は、上述のと
おり凍結または凍結保存により殺し、尿酸について分析するのを待った。
食物消費は、個々のゴキブリ当たりのミリグラム(ICmg)として、若虫に孵化
(hatching)する前、実験の最初の3週間について計測した。各コロニーにつ
いての個体群数の平均変化率(Δ%)を計算し、開始数(42)を100%とした。
これらの測定により、試験組成物が摂取されたか否か、そしてこのような組成物
が個体群の成長を阻害するのに有効であるか否かを決定した。実施例2−尿酸アッセイ
死んだゴキブリの全身尿酸含量の測定は、実質的に標準的なウリカーゼアッセ
イに従って行った(コクラン(1973)のComp.Biochem.Physlol.A46: 409-419)
。個々のゴキブリを、切り取った羽根や足と共に、24-48時間、60℃で乾燥し、
計量し、そして粉砕して微細粉末にした。尿酸は、0.6%炭酸リチウム水溶液を用
い、3時間、60℃で、連続して振盪しながら乾燥組織から抽出した。抽出物を遠
心分離して組織破片を取り除いた。ウリカーゼと混合した後、分光光度計により
292nm での最大吸収を測定し、そして尿酸濃度を乾燥組織 1mg 当たりの尿酸μg
で計算した。実施例3−キサンチン食物組成物の評価
2つの実験(3a)および(3b)で、粉末ラット餌である基本のゴキブリ飼
料に1%キサンチン[Siglna Chemical Co.]を添加する効果を調べた。各実験の
コロニーを、実施例1で記載したとおりに設定し、ラット餌のみ(RC)またはラ
ット餌+1%キサンチン(RCX)のいずれかを与えた。各実験は、各条件につい
て3つの反復実験コロニーを含んでいた(n=3)。
個体群を、6および9週(3a)または10および12週(3b)で計数し、
平均個体群数の変化率(Δ%)を計算した。最初の3週間の処理の間の飼料の個
々の消費(ICmg)を、食物−重量データから計算した。
結果を表1aに示す。キサンチンの添加は、餌の摂取を阻害したり個体群の成
長に悪影響を与えないようであった。実際、個体群の数は、ラット餌のみを摂食
させたものよりもキサンチン処理コロニーの方が高かったので、キサンチンは、
繁殖を増進させたようであった。 追加の実験(3c)において、VPI系統からのドイツゴキブリ、および殺虫剤に
耐性であることが知られていて、一般にゴキブリ対照に使用されるHawthorne系
統のドイツゴキブリのコロニーを実質的に実施例1で記載した通りに作った。投
与した飼料は、ラット餌+1%(w/w)キサンチン(RCX)、または50%(w/w)ラット
餌と餌基剤+1%キサンチン(RCBBX)、または餌基剤+1%キサンチン(BBX)のい
ずれかであった。
結果を表1bに示す。実験3aおよび3bと同様に、キサンチンの添加は餌の
摂取を阻害したり、個体群の成長に負の影響を与えないようであった。 実施例4−キサンチン−オキシプリノール組成物の評価
ドイツゴキブリのコロニーを上述のとおりに作った。投与した飼料は、ラット
餌のみ(RC)、2つの濃度(w/w)のオキシプリノール[Sigma Chemical Co.]を加え
たラット餌(RC+OXY%)、および1%キサンチン(RCX)と5つの濃度(w/w)のオキシ
プリノール(OXY%)を加えたラット餌だった。先に記載したようにして、平均個体
消費(ICmg)、コロニー個体群数変化率、および全身尿酸濃度を測定した。
最初の3週間での平均個体消費(ICmg)を計算し、結果を以下の表2aに示した
。オキシプリノールのみの添加は、未処理食物で摂食させた対照と比較して食物
消費が減少した。飼料へのキサンチンの添加により、オキシプリノール処理食物
の消費が、0.1%オキシプリノール濃度で35%まで、そして1.0%オキシプリノー
ル濃度で56%まで増加した。 5.5、6、7、9、10および12週間の処理で、平均コロニー個体群数の変化率
(Δ%)を上記のように決定して、その結果を以下の表2bに示した。飼料にオ
キシプリノールのみを添加しても個体群の成長は阻害されなかった。キサンチン
に加えてオキシプリノールを添加すると、個体群の成長を絶滅点まで阻害した。
5-9 週の処理の間に死んだゴキブリについて標準的ウリカーゼアッセイから全
身尿酸濃度を計算した。ドイツゴキブリのVPI実験室系統からのサンプルも、処
理前の一般的な「ベースライン」レベルの尿酸塩を示すために分析した。
以下の表 2c に示されるとおり、VPI 系統の雌は、一般にステージにかかわら
ず雄よりわずかに高い尿酸レベルを示す。しかし、以下の表 2d-2f に示される
とおり、飼料中にキサンチンおよびオキシプリノールを加えて数週間摂食させた
後には、齢または性別にかかわらず全ての群で全身尿酸塩濃度が著しく低下する
。
追加の実験において、反復試験コロニーを実質的に実施例1に記載した通りに
作った。投与した飼料は、ラット餌+餌基剤のみ(RCBB)、餌基剤と1%キサンチ
ン(RCBBX)および2つの濃度のオキシプリノール(OXY)を加えたラット餌、および
餌基剤+1%キサンチン(BBX)と2つの濃度のオキシプリノール(OXY)を加えたラ
ット餌だった。
時間(週)経過に対する平均個体群数での平均個体消費(ICmg)および変化率
(Δ%)を求めた。結果を下記の表2gに示す。 処理したコロニーでは、未処理の対照と比較して個体群の急速な減少および絶
滅が観察された。処理した餌基剤組成物が投与されたコロニーにおける平均個体
消費は僅かに低下したが、処理したラット餌が投与されたコロニーよりもより急
速に負の影響が生じた(表2b)。本実施例において、最初の3週間のうちに摂取
されたオキシプリノール量は、1%オキシプリオールではそれぞれの食物におい
て500μgおよび410μgであり、2%オキシプリオールではそれぞれ940μgおよび
840μgであった。
さらに別の実験において、ドイツゴキブリの反復試験コロニーを実質的に実施
例1に記載した通りにして作った。投与された飼料は、ラット餌のみ(RC)、餌
基剤のみ(BB)、餌基剤+キサンチン(BBX)および2つの濃度のオキシプリノール(
OXY)、ならびに3つの濃度のキサンチン(RCX)および3つの濃度のオキシプリノ
ール(OXY)を加えたラット餌だった。
結果を下記表2hに示す。 表2hに示すように、全ての処理コロニーにおいて個体群の防除が達成された
。しかし、より高濃度のキサンチンおよびオキシプリノール(2%および3%)を
摂食させたコロニーでは個体群の減少速度は最も遅かったが、これらの群につい
ての平均個体消費は未処理対照のものと一致していた。最も急速な個体群の減少
は、最も消費速度が遅くかつ餌基剤中に0.5%のキサンチンと0.5%が1.0%のい
ずれかのオキシプリノールを含有する飼料を投与したコロニーにおいて観察され
た。最も高い消費は、1%キサンチンおよび0.5%オキシプリノールを含む飼料を
投与したコロニーで観察され、その個体群の減少は経時的に減速した。個別に摂
取されたオキシプリノールとキサンチン量は、これらの試験の最初の3週間で14
5μg〜1,350μgの範囲であった。実施例5−異なる期間与えたキサンチン−オキシプリノール組成物の評価
実質的に実施例1に記載の通りにコロニーを作った。投与し飼料は、ラット餌
のみ(RC)、ならびに1%キサンチン(RCX) および3つの濃度(w/w)のオキシプ
リノール(OXY)を加えたラット餌だった。食物は、24時間または1、2または
3週間のいずれかの期間与えた。処理時間の終わりに処理食物を取り除き、
そして昆虫には、残りの試験時間にわたって、未処理のラット餌を与えた。
以下の表3aに示されるとおり、最少投与用量のオキシプリノールが、個体群
の阻害を達成するための期間ずっと摂取されねばならない。例えば、24時間処
理は、対照と比較して個体群の数に影響を及ぼしたが、いずれの濃度のオキシプ
リノールでも個体群の数を抑制しなかった。計算から、この時間の間に摂取され
たオキシプリノールの個体消費は6−104μgの範囲であることが明らかになった
。
0.1%オキシプリノールで1または2週間処理すると、対照と比較して、より
低い個体群数となり、1−2週間だけ卵の孵化を遅らせるが、処理コロニーは、
それらが12週で終了させると回復した。しかし、0.1%オキシプリノールでの
3週間の処理は、処理後の週で、個体群の数に実質的な減少を引き起こし、12
週までは回復はみられず、そしてただ1つの生育可能な卵鞘が通常より6週遅く
孵化した。
2%オキシプリノールで2週間、あるいは1%または2%オキシプリノールで
3週間処理したコロニーは、「回復(recovery)」時間が15週間に延長された場
合でさえ回復しなかった。オキシプリノールの平均個体消費は、各々734μg 、5
79μg 、および1140μg であった。
更なる実験を、実施例1に記載の通りにして作ったAmerican Cyanamid(AMCY
)感受性系統からのドイツゴキブリのコロニーについて行なった。投与した飼料
は、餌基剤のみ(BB)、または餌基剤に1%キサンチンおよび1%オキシプリノー
ルを加えた飼料だった。食物を3、6、9、12または15日間のいずれかの期間与
えた。処理時間の終了時に前記処理食物を取り除き、そして昆虫には、残りの試
験時間にわたって、未処理の餌基剤(BB)を与えた。対照には引き続き連続して
未処理の餌基剤(BB)または処理食物を試験の終了まで与えた。
以下の表3bに示すように、試験個体群における不可逆的な衰退を得るには6
日間以上の処理が必要であった。
3日間、6日間、9日間、12日問、15日間、および連続的な処理期間について
のオキシプリノールの個体消費は、それぞれ64μg、150μg、193μg、265μg、3
01μg、および434μgであった。実施例6−食物選択の評価
本質的に実施例1に記載のようにして、各条件の3つの反復試験コロニーを作
った。未処理食物(RC)またはキサンチン+オキシプリノール(RCX+OXY%)で
処理した食物を含んだプランチェットが、各コロニーに共に与えられた。各プラ
ンチェットの食物の重さを計算して、各々どれ位消費されたかを測定した。処理
物は、1%キサンチンと、0.1%、0.5%または1.0%(w/w)の濃度でのオキシプリ
ノールとを含むラット餌から成った。対照コロニーには、未処理のラット餌2プ
ランチェット分を与えた。
下記の表 4a に示されるとおり、結果は、それらの昆虫が同量の処理食物およ
び未処理食物(0.5%オキシプリノール)を消費したか、もしくは未処理食物よ
り処理食物(0.1%および2.0%オキシプリノール)を多く摂取したことを示した
。摂取されたオキシプリノールの範囲は、最初の3週間で個体当たり29μg〜26
5μgであると計算され、そして高レベルの個体群−成長抑制が特に1.0%オキシ
プリノール濃度で達成された。 追加の実験において、本質的に実施例1に記載のようにして反復試験コロニー
を調製した。未処理の餌基剤(BB)、もしくは餌基剤+1%キサンチン(BBX)
と1%または2%のオキシプリノール(OXY)を含むプランチェットを、各コロニ
ーに共に与えた。結果を対照コロニー(未処理の餌基剤のみを与えた)と比較し
た。
下記の表4bに示すように、結果は、キサンチンと1%または2%のオキシプ
リノールとの組合せを活性のない(inert)餌基剤に添加することにより、個体群
が絶滅点にまで減少することを証明する。このことは、該昆虫が未処理食物も摂
取可能であったにもかかわらず生じた。これらの化合物を食物に添加して
も、摂食阻害はほとんど、もしくは全くなかった。 摂取されたオキシプリノールの範囲は、処理の最初の3週間で昆虫個体当た
り250μg〜320μgであると算出された。実施例7−キサンチン−オキシプリノール組成物の生活ステージ効果
実施例1において先に記載されたようにしてドイツゴキブリのコロニーを、通
常の混合ステージに3つの異なるコロニーに分けて収容した。コロニーは、新た
に脱皮した成虫(5匹の雄と5匹の雌、6〜7週齢)、大きな若虫(8匹の雄と
8匹の雌、5〜6週齢)、または小さな若虫(8匹の雄と8匹の雌、3〜4週齢
)から構成された。老齢の成虫のコロニー(5匹の雄と5匹の雌、7〜8週齢)
も試験した。
投与した飼料は、ラット餌のみ(RC)、もしくはラット餌+1%キサンチン
(RCX)+各種濃度(w/w)のオキシプリノール(OXY%)のいずれかであった。平均個
体消費(ICmg)および平均個体群数の変化率(Δ%)を各ステージについて測定し、
成虫、大きな若虫、小さな若虫および老齢の成虫についてそれぞれ下記の表5a
〜5dに示す。
これらの表中のデータにより、キサンチンとオキシプリノールでの処理の主な
大きな影響(impact)は、ゴキブリが繁殖を試みる際に生じることが確認される。
この効果は、恐らく、不可逆な酵素阻害のために置き換えが不可能な尿酸貯蔵物
などの昆虫の代謝貯蔵物の消耗により起こるものである。しかし、絶滅寸前のコ
ロニーで孵化する非常に小さな若虫も、通常は弱すぎて生存できず、稀にしかそ
れらの第2齢に達しないという影響を受ける。おそらくは、それら若虫は、代謝
貯蔵物(通常では出生前に受け取る)が与えられていない。それらの処理食物の
連続摂食は、幼若な若虫がそれら自身の代謝貯蔵物、特に尿酸の貯蔵物を生ずる
ことも妨害する。
雄の成虫が最初に死んだことが観察された。交配の際に、雄の成虫は、自身の
貯蔵物の大部分を利用して成熟精子と共に尿酸塩を雌に受け渡す。卵鞘(egg-cas
e)を産生したばかりの雌(栄養貯蔵物の多量の付与を必要とする)は、その後間
もなく、通常は生存能力のない卵鞘を排卵管から突き出したまま死ぬ。
コクラン(Cochran)は、周期的摂食が、卵の産生に関連して雌の成虫に起こる
ことを観察した (Cochran(1983) Entomol.Exp.Appl.34: 51-57)。この卵のサ
イクルにおいて、雌は、卵母細胞を成熟させながら精力的に摂食し、そして卵鞘
を抱きながら小食になる。これらの現象は、新たに発生した成虫の高い摂食率お
よび早期の死亡(表5a)、ならびに老齢の成虫の低い摂食率(表5d)を説明する
ものである。これらの後者の雌は、コロニーが形成された直後に卵鞘を満たした
であろう卵をすでに成熟させていた可能性があり、そのため、それらのサイクル
の低摂食率部分であった。それらの最初の若虫孵化により、これらのコロニーに
おける個体群数の急激な上昇(表5d)、それに続いて、成虫がさらに繁殖を試み
、新たに孵化した若虫が死ぬことにより、コロニーが徐々に弱化してゆくことを
説明するものであろう。
若虫は、成虫と同一の死亡パターンをたどり、そして、最初の卵母細胞を成熟
させる準備をしている際に通常どおりに活発に摂食すると、脱皮して成虫段階に
なった後で、その大部分が処理飼料により影響を受けた。大きな若虫のコロニー
(表5b)および小さな若虫のコロニー(表5c)において個体群が減少す
る速度の遅れは、主な強い影響が繁殖の間にもたらされることのもう1つの証拠
である。これは、これらの齢群では実験の9〜11週の間に起こったかもしれない
。
キサンチンを含むオキシプリノールについての有効な投与量範囲は、これらの
実験では非常に広範であり、新たに脱皮した成虫で3週間測定したところ99.5μ
g/個体で高い死亡率をもたらし(表5a)、そしてコロニーが若虫から出発した場
合、個体の消費速度が高い程ゆっくりと抑制する。しかし、ゴキブリでは処置を
開始した週齢に応じて異なる効果があるものの、それらは全て、繁殖を試みる際
に影響を受けることは明らかである。
実施例8−トリメトプリムを含む組成物の評価
ドイツゴキブリの反復試験コロニーを、本質的に実施例1に記載のようにして
調製した。投与した飼料は、ラット餌のみ(RC)、各種濃度(w/w)のトリメトプ
リムを含むラット餌(RC+T%)、もしくは1%キサンチン(RCX)および各種濃
度 (w/w)のトリメトプリム(T%)を含むラット餌のいずれかであった。
下記の表6aに示すとおり、トリメトプリムのみの添加は個体群の成長を阻害し
ながったか、処理したコロニーは最終的に多少弱化された。しかし、下記の表6b
に示すとおり、キサンチンとトリメトプリムとの組み合わせは個体群の成長を急
速に阻害した。
全身の尿酸濃度は、先に記載したように、標準的なウリカーゼアッセイから算
出した。下記の表6cに示すとおり、尿酸代謝は、キサンチンとトリメトプリムと
の組合せによる処理によって影響を受けなかった。最初の3週間では、処理コロ
ニーにおける個体群の平均Δ%は−82%であり、それらが死んだとき、その65%
がまだ若虫であった。これは、実験に使用された若虫の72%を示し、効果が若虫
脱皮の間において最も顕著であることを確認するものである。
追加の実験では、本質的に実施例1に記載のようにしてゴキブリの反復試験
コロニーを調製した。投与した飼料は、未処理の50/50ラット餌+餌基剤(w/w)
(RCBB);ラット餌+餌基剤+1%キサンチン(RCBBX)および2%トリメトプ
リム(T);餌基剤+1%キサンチン(BBX)および2%トリメトプリム(T)
であった。最初の3週間の平均個体消費(ICmg)および時間経過に対する平均個
体群数の変化率(Δ%)は上記にようにして計算した。
下記の表6dに示すように、未処理食物の消費は、組成に依らず処理食物よりも
非常に高いものであり、これは、該昆虫がトリメトプリムを含有する組成物がま
ずいことがわかったことを示す。しかし、処理した個体群の両方が実験の初期に
若虫がいなくなり、コロニーは処理9週間で減少して絶滅した。トリメトプリム
の摂取速度は、最初の3週間で680μg〜700μgであった。
トリメトプリムを含有する高濃度のキサンチンの効果を試験するために、本質
的に実施例1に記載のようにしてコロニーを調製した。投与した飼料は、未処理
のラット餌(RC)、もしくはラット餌+2%キサンチン(X)および2%トリメ
トプリム(T)のいずれかであった。先に記載のようにして計算を行った。
下記の表6eに示すように、高濃度のキサンチンは、トリメトプリムと共に投与
した場合には、摂食パターンを変えなかったが、個体群の減少は早く、約6週間
で絶滅が観察された。トリメトプリムの摂食速度は3週間で約640μgであった。
組成物中の異なる濃度のキサンチンおよびトリメトプリムの効果(特に、体の
サイズについての効果)をさらに求めるために、大きなゴキブリであるPerjplan
eta americana(アメリカゴキブリ)を用いて追加の試験を行った。それぞれが
最終齢の若虫から構成される3つのコロニー(10匹が雌、5匹が雄)を調製した
。投与飼料は、未処理ラット餌(RC)、もしくは1%キサンチンおよび2%また
は5%トリメトプリムで処理したラット餌のいずれかを用いた。
5%トリメトプリムの組成物では相当の摂食阻害が生じたが、個体群は32
週間にわたって防除され、その時点では、15匹の若虫が孵化しただけであった。
これは、対照コロニー(雌当たり平均47.4匹の若虫が孵化した)と非常に対照的
である。高濃度のトリメトプリムは、その存在をマスキングするためにミクロ封
入された化合物を含む場合には、完全なる防除を達成することが明らかである。実施例9−キサンチン−オキシプリノール組成物での耐性ゴキブリの処理
昆虫を、ゴキブリ防除に一般に使用される殺虫剤に耐性であることが知られて
いるドイツゴキブリの2つの系統の実験室ストックから入手したこと以外は、本
質的に実施例1に記載のようにしてゴキブリのコロニーを調製した。この2つの
系統は、(A)Hawthorne系統および(B)Las Palms系統であった。これらの2
つの系統が示す耐性比の概要を、下記の表7aに示す。
最初の3週間の平均個体消費(ICmg)を、先述のとおりに計算した。下記の表
7bおよび7cに示されるとおり、両方の系統についてのICmgは、食物混合物の全て
の濃度にわたって一致した。Hawthorne系統は、3%オキシプリノールを含有す
る飼料では22%の消費で最大減少を示した。これは、最初の3週間のオキシプリ
ノールの投与量が1,260μgであることを表す。 個体群の成長に対するキサンチン−オキシプリノールの組合せの効果を、先に
記載したとおりに測定した。下記の表7cおよび7dに示すように、該組合せは、両
方の耐性系統の個体群成長を抑制した。このことは、キサンチン−オキシプリノ
ールの組合せの作用様式が、これらの系統に存在する複数の耐性機構により影響
を受けないことを示す。
キサンチンと高濃度のオキシプリノールとの組成物を評価するために、追加の
実験を行った。HawthorneおよびLas Palmsの耐性系統を用いて、記載のようにし
てゴキブリのコロニーを調製した。投与した飼料は、未処理のラット餌(RC)、
もしくは1%キサンチンおよび4種の濃度のオキシプリノールで処理したラット
餌であった。
下記の表7eおよび7fに示すように、両方の系統において、最初の3週間の平均
個体消費(ICmg)にはほとんど差はなかった。平均個体群が経時的(週)に徐々
に減少し、Hawthorne系統では12週間で絶滅したことが観察された。LasPalms系
統では、わずかに遅い減少速度が観察された。5%の濃度では、オキシプリノー
ルの摂取は両方の系統において2,350μgであり、個体群の減少は同等であった。
他の濃度では、摂取されたオキシプリノールの範囲は、Hawthorne
系統では920μg〜1,840μg(2%〜4%)であり、Las Palms系統では960μg〜1
,960μg(2%〜4%)であった。
食物の選択を評価するために、追加の実験を行った。与えた飼料は、対照とし
て未処理ラット餌のみ(RC)、ならびに未処理ラット餌(RC)および1%キサンチン
および各種濃度のオキシプリノールで処理した(w/w)ラット餌の選択肢であった
。
下記の表7gおよび7hに示すように、結果は、飼料を選択できない個体群におい
て示されるものと比較して、これらの個体群が同レベルで防除されたことを示す
(表7eおよび7f参照)。最初の3週間の平均個体消費(ICmg)は、未処理食物の
消費速度と処理食物との消費速度にほとんど差がなかった。
選択試験で摂取されたオキシプリノールの量は、Hawthorne系統では最大濃度
(5%)において最少(45011μg)であり、2%濃度では600μg摂取され、4%
レベルでは840μg摂取された。Las Palms系統により摂取された量は、3%レベ
ルでは660μgであり、4%レベルでは900μgであった。しかし、個体群の減少は
、Las Palmsのコロニーでは、Hawthorneのコロニーよりも遅かった。
異なるキサンチン−オキシプリノール組成の効果を評価するために、追加の実
験を行った。記載のようにしてHawthorneおよびLas Palms系統のコロニーを調製
した。投与した飼料は、ラット餌(RC)、ラット餌+餌基剤(50/50)(RCBB)また
は餌基剤のみ(BB)から構成され、それらの各々は、1%キサンチンな
らびに1%または2%オキシプリノールで処理されていた。対照の飼料(未処理
のラット餌から構成される)も投与した。
結果を下記の表7iおよび7jに示す。両方の系統において、感受性のVPI系統の
個体群を防除するのに用いられる濃度と同等のオキシプリノール濃度にて、7週
間または8週間で早い速度で減少して絶滅したことがわかる。
先に記載のようにして食物選択の評価を行った。選択肢は、未処理餌基剤(BB
)、ならびに1%キサンチンおよび1%または2%のオキシプリノールで処理し
た餌基剤であった。先に記載のようにして計算し、結果を表7kおよび71に示す。
両方の系統において、未処理食物と処理食物とではほとんど差はなく、高濃度
のオキシプリノールを含有する食物の消費はわずかに減少したにもかかわらず、
個体群の成長は6週間でほとんど絶滅するまで抑制された。最初の3週間で摂取
されたオキシプリノールの範囲は、Hawthorne系統では210〜230μgであり、Las
Palms系統では150〜180μgであった、個体群の減少速度は、飼料の選択がなされ
なかった場合に達成されたものと同等であった。(表7iおよび7j参照)。
実施例10 キサンチン−トリメトプリム組成物を用いた耐性ゴキブリの処理
HawthorneおよびLas Palms耐性系統を使用して、記載通りにゴキブリのコロニ
ーを調製した。
下記表8aに示すように、Hawthorne系統については、飼料中のトリメトプリム
濃度に対する直接比において、摂食は、対照に比べて阻害された。4%のトリメ
トプリム濃度で62%の最大減少が起こり、これは最初の3週に対して個体あたり
639μgの用量を表す。Hawthorne系統の個体群成長は、より高い濃度で防除され
た。表8a:時間(週)に対して、未処理(RC)、または1%キサンチン(RCX)およ
び種々の濃度(W/W)のトリメトプリム(T%)をもつ飼料を与えられたドイツゴ
キブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数での変化率
(Δ%)を示す。
Las Palms系統については、下記表8bに示すとおり、処理された飼料ICmgの減
少でさえも、トリメトプリムの濃度増加に直接関連して起こった。最大阻害は、
対照と比較した場合、6%トリメトプリム濃度において38%であり、これは、3
週間で1個体当たり1758μgのトリメトプリム摂取用量と実質的に等しい。
個体群の数は、処理6週目で3分の2に減少した。
表8b:時間(週)に対して、未処理(RC)、または1%キサンチンなし(RCX)お
よび種々の濃度(W/W)のトリメトプリム(T%)をもつ食物を与えられたLas Pa
lms耐性株のドイツゴキブリのコロニー中における平均個体消費(ICmg)および
平均個体群数での変化率(Δ%)を示す。n=3。
実施例11 キサンチン−オキシプリノール−トリメトプリム組成物を用いた耐性
ゴキブリの処理
VPI感受性系統のドイツゴキブリのコロニーおよびHawthorne耐性系統のコロニ
ーに、未処理ラット餌(RC)、または2%オキシプリノール(OXY)および2%も
しくは4%トリメトプリム(T)を組み合わせた1%キサンチン(RCX)で処理(W/
W)したラット餌を供給した。結果を表9a(VPI系統)および表9b(Hawthorne系統
)に示す。平均個体消費(ICmg)が50%を超えて減少するにもかかわらず、両方
ともコロニーは処理6週目に実質上消失した。
表9a:時間(週)に対して、未処理(RC)、または1%キサンチン(RCX)、2%
オキシプリノール(OXY)および2%トリメトプリム(T)を有する飼料を供給し
たVPI感受性系統のドイツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg)お
よび平均個体群数の変化率(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。
表9b:時間(週)に対して、未処理(RC)、または 1%キサンチン(RCX)、2%
オキシプリノール(OXY)および4%トリメトプリム(T)を有する飼料を供給し
たHawthorne耐性系統のドイツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg
)および平均個体群数の変化率(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。
追加実験において、VPI感受性系統のコロニーおよびLas Palms耐性系統のコロ
ニーを既述の通りに調製した。VPI系統には、未処理ラット餌(RC)、または 1
%キサンチン(X)、 2%オキシプリノール(OXY)および 1%トリメトプリム(
T)で処理(W/W)したラット餌を有する飼料を供給した。Las Palms系統には、
未処理ラット餌(RC)か、または 1%キサンチン(X)、3%オキシプリノール(
OXY)および 4%トリメトプリム(T)で処理(W/W)したラット餌を供給した。
平均個体消費(ICmg)および平均個体群数での変化率(Δ%)は既述のとおり
に計算した。
以下の表9cに結果を示す。この結果から、摂食率は減少したが、処理された個
体群においてかなりの減少があり、6週目に消失することがわかる。異なる組成
物濃度は、感受性および耐性昆虫に同率の減少をもたらした。このことは、昆虫
系統に大きな違いがある場合でさえ、成分の調整によって同等の個体群防除を行
うことができることを示している。
表9c:時間(週)に対して、未処理飼料(RC)、または 1%キサンチン、および
種々の濃度のオキシプリノールおよびトリメトプリムで処理(W/W)された飼料
を供給したVPI感受性系統およびLas Palms耐性系統のドイツゴキブリのコロニー
における平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の変化率(Δ%)を示す。(
n=3,100%=42)。
表9cにまとめた試験に使用した比率は、X:OXY:Tが1:2:1および1:3:4であった
。他の濃度比は、以下の表9dおよび9eにまとめた通り、VPI感受性系統のコロニ
ーに対して次の食餌を与えて測定した:ラット餌+餌基剤、餌基剤、ラット餌+
1%キサンチンおよび 1%オキシプリノール(OXY)および0.1%もしくは0.5%
のトリメトプリム(T)で処理(W/W)した基剤。
対照餌を摂取した昆虫およびトリメトプリム含有組成物を摂取した昆虫におい
て、平均個体消費における違いはほとんど観察されなかった。しかしながら、ト
リメトプリムが含まれていると若干の摂食阻害を引き起こしたが、個体群におけ
る減少は、低濃度トリメトプリム(0.1%)よりも高濃度(0.5%)のほうが若干
早かった。
これらの濃度で摂取されたトリメトプリムの量は、1回目の試験でそれぞれ41
μgおよび190μgであった。一方、オキシプリノールの量は、510μg、410μg、
そして380μg(表9d)であった。2回目の試験では、トリメトプリムの割合は、
30μgおよび165μgであり、一方オキシプリノールの割合は、それぞれ400μg、3
00μgおよび330μgであった。
表9d:時間(週)に対して、未処理(RCBB)の餌基剤、または 1%キサンチン(
X)、 1%オキシプリノール(OXY)および0.1%もしくは0.5%のトリメトプリム
(T)で処理(W/W)した餌基剤と混合したラット餌を供給したVPI感受性系統の
ドイツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の
変化率(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。表9e:時間(週)に対して、未処理(BB)の餌基剤、または 1%キサンチン(X
)、1%オキシプリノール(OXY)および0.1%もしくは0.5%のトリメトプリム(
T)で処理(W/W)した餌基剤を供給したVPI感受性系統のドイツゴキブリのコロ
ニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の変化率(Δ%)を示す
。(n=3,100%=42)。
実施例12 - オキシプリノールまたはトリメトプリムを用いるプリンの評価
VPI感受性系統のゴキブリのコロニーは、本質的に実施例1の記載に準じて調
製した。供給された食餌は、ラット餌のみ(RC)または 3%トリメトプリム
および 1%キサンチン(X)、 1%ヒポキサンチン(H)もしくは 1%グアニン(
G)を有する(W/W)ラット餌であった。平均個体消費(ICmg)および平均個体数
の変化率(Δ%)を前述の通りに計算した。結果を下記表10に示す。
混合物中のキサンチン成分をヒポキサンチンおよびグアニンに置き換えた結果
は、キサンチンで得られたものとほとんど変わらなかった。ある種の摂食障害が
トリメトプリム混合物すべてにおこったが、個体群成長は防除され、コロニーは
消失した。表10:時間(週)に対して、未処理(RC)のラット餌、または 3%トリメトプリ
ム、および 1%プリンで処理(W/W)したラット餌を供給したVPI感受性系統のド
イツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の変
化率(Δ%)を示す。プリンはキサンチン(X)、ヒポキサンチン(H)またはグ
アニン(G)であった。(n=2,100%=42)。
オキシプリノールと組み合わせた同じプリンの効果を評価するため、さらに実
験をおこなった。VPI感受性系統のドイツゴキブリのコロニーを既述の通りに調
製した。供給された食餌は、ラット餌のみ(RC)、 1%グアニン(G)で処理(W
/W)したラット餌、および 1%もしくは 2%のどちらかのオキシプリノール(OX
Y)、または 2%グアニンおよび 1%もしくは 2%のオキシプリノールで処理し
たラット餌であった。計算は前述のとおり行った。下記表11に示すように、グア
ニンで得られた結果は、キサンチンで得られたものとほとんど同じであった。
表11:時間(週)に対して、未処理(RC)の飼料、または 1%もしくは 2%のグ
アニン(G)および 1%もしくは 2%のオキシプリノール(OXY)で処理(W/W)
した飼料を供給したVPI感受性系統のドイツゴキブリのコロニーにおける平均個
体消費(ICmg)および平均個体群数の変化率(Δ%)を示す。(n=2,100%=42
)。
ヒポキサンチン(HX)および 1%もしくは 2%のオキシプリノールを使った同
様の実験について得られた結果を表12に示す。これら二つの実験を通して、ICmg
の違いはほとんど観察されなかった。またオキシプリノールの活性は、これをキ
サンチンと一緒に与えた場合と同じように増加した。
表12:時間(週)に対して、未処理ラット餌(RC)、または 1%のヒポキサンチ
ン(HX)および 1%もしくは 2%のオキシブリノール(OXY)で処理(W/W)した
ラット餌の食餌を与えたドイツゴキブリのコロニーにおける平均個体消
費(ICmg)および平均個体群数の変化率(Δ%)を示す。(n:3,100%=42)。
2%のオキシブリノールおよび 1%もしくは 2%のトリメトプリム(T)を有す
る 1%のプリン含有組成物について評価するため、さらに実験をおこなった。こ
れらの実験で使われたプリンは、グアニン(G)またはヒポキサンチン(H)であ
った。
計算は前述のとおり行い、結果は以下の表13に示す。
本実験で使用したプリンは両方とも、各組成物におけるその他の成分の活性増
強についてキサンチンと同様に作用し、6週目に処理されたコロニーは消失する
に至った。高濃度のトリメトプリムでは若干の摂食障害があったにもかかわらず
、減少は全例において急激であった。表13:時間(週)に対して、未処理ラット餌(RC)、または 2%のオキシプリノ
ール(OXY)、 1%のグアニン(G)もしくはヒポキサンチン(HX)および 1%も
しくは 2%のトリメトプリム(T)で処理したラット餌を与えたVPI感受性系統の
ドイツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の
変化率(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。
キサンチン成分の代わりに他のプリンを使用してさらに組成物の効果を調べる
ため、プリン代謝経路の「最終」産物(図1参照)である尿酸(UA)を、オキシ
プリノールを含代謝酵素阻害剤の一つであるアロプリノール(ALL)と組み合わ
せた。ゴキブリのコロニーは、本質的に実施例1の記載に準じて調整した。
供給された食餌は、ラット餌のみ(RC)、または 1%UAおよび 1%もしくは 2
%のALLで処理(W/W)したラット餌であった。
平均個体消費(ICmg)および平均個体数の変化率(Δ%)を前述の通りに計算
した。結果を下記表14に示す。未処理対照群に比べて若干の摂食障害があったに
もかかわらず、処理された個体群の減少は着実に観察された。表14a:時間(週)に対して、未処理ラット餌(RC)、または 1%の尿酸(UA)
、および 1%もしくは 2%のアロプリノール(ALL)で処理(W/W)したラット餌
を与えたVPI感受性系統のドイツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICm
g)および平均個体群数の変化率(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。
さらに行った実験では、尿酸およびオキシプリノールの組成物を与えて、本質
的に実施例1の記載に準じて調製したゴキブリのコロニーを複製した。供給され
た食餌は、餌基剤のみ(BB)、または 1%尿酸(UA)および1.0%オキシプリノ
ール(OXY)で処理(W/W)した餌基剤であった。
平均個体消費(ICmg)および平均個体数の変化率(Δ%)を前述の通りに計算
した。結果を下記表14bに示す。処理された個体群は予想通り着実に減少した。
表14b:時間(週)に対して、未処理餌基剤(BB)、または 1% 尿酸(UA)およ
び 1%オキシプリノール(OXY)で処理(W/W)した餌基剤を与えた AMCY 感受性
系統のドイツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体
群数の変化率(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。
実施例13- トリメトプリム活性と他のジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤との比較
さらに実験を行って、キサンチンおよびトリメトプリム(T)かまたはメトト
レキセート(M)を有する組成物の活性を比較した。メトトレキセートはトリメ
トプリムと同様な活性をもつジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤である。VPI感受
性系統のドイツゴキブリのコロニーは、本質的に実施例1の記載に準じて調製し
た。供給された食餌は、未処理ラット餌(RC)、または 1%キサンチン(X)、
および 2%のトリメトプリム(T)もしくは 2%のメトトレキセート(M)で処理
(W/W)したラット餌であった。結果は前述の通りに計算した。その結果を下記
表15に示す。
実験は処理後3週間で終了させた。しかし、結果は、処理されたコロニーに若
干の摂食障害があったにもかかわらず、個体群は着実に減少していったことを示
している。メトトレキセートはトリメトプリムよりも遅効性であったが、年齢群
の間では、トリメトプリムについて記載したと同じ死亡パターンが見られ、幼虫
は早い段階で死滅した。
表15:時間(週)に対して、未処理ラット餌(RC)、または 1%キサンチン(X
)、および 2%のトリメトプリム(T)もしくは 2%のメトトレキセート(M)で
処理(W/W)したラット餌を与えたVPI感受性系統のドイツゴキブリのコロニーに
おける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の変化率
(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。
実施例14-オキシプリノールと他のプリン代謝酵素阻害剤の活性レベル比較
キサンチンおよびオキシプリノールとともに前記のピラゾロ[3,4-d]ピリミジ
ン化合物群に含まれる他のプリン代謝酵素阻害剤からなる組成物の効果を評価す
るため、さらに実験をおこなった。
最初の比較に当たり、本質的に実施例1の記載に準じてドイツゴキブリのコロ
ニーを調製した。供給された食餌は、未処理ラット餌(RC)、または 1%キサン
チン(X)、および 1%もしくは 2%のオキシプリノール(OXY)もしくはアロプ
リノール(ALL)で処理(W/W)したラット餌であった。結果は前述の通りに計算
し、下記表16に示す。
表16:時間(週)に対して、未処理ラット餌(RC)、または 1%キサンチン(X
)、および 1%もしくは 2%のオキシプリノール(OXY)もしくはアロプリノー
ル(ALL)で処理(W/W)したラット餌を与えたVPI感受性系統のドイツゴキブリ
のコロニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の変化率(Δ%)
を示す。(n=3,100%=42)。
飼料の平均個体消費の相違は、グループ間にはほとんど観察されず、 2%アロ
プリノールを含有する組成物を与えたコロニーのものが最大の差であった。しか
しながら、オキシプリノールでは個体群における減少率が非常に早く、アロプリ
ノールを含有する組成物より前に、3週目で顕著な効果を示した。
第二の比較においては、本質的に前記実施例の記載に準じてアメリカンシアナ
ミド(AMCY)感受性系統のゴキブリの複製コロニーを調製した。供給された食餌
は、未処理餌基剤(BB)、または 1%キサンチン(X)および 1%オキシプリノ
ール(OXY)もしくは0.5%メルカプト.アロプリノール(MAL)(Synthons,Inc.
,Blacksburg,VA)で処理(W/W)した餌基剤であった。平均個体消費(ICmg)
および平均個体数の変化率(Δ%)は前述の通りに計算し、下記表17に示す。
表17:時間(週)に対して、未処理餌基剤(BB)、または 1%キサンチン(X)
および 1%オキシプリノール(OXY)もしくは、0.5%メルカプト-アロプリノー
ル(MAL)で処理(W/W)した餌基剤を与えたAMCY感受性系統のドイ
ツゴキブリのコロニーにおける平均個体消費(ICmg)および平均個体群数の変化
率(Δ%)を示す。(n=3,100%=42)。
最初の2週間、メルカプト-アロプリノールの摂取量は昆虫あたり90μgであっ
たが、このように比較的消費率が低くても、個体群は急速に減少した。オキシプ
リノールについては、オキシプリノール組成物の活性はメルカプト-アロプリノ
ールのそれより遅効性であるため、その摂取量は最初の2週間で昆虫あたり370
μgであった。以上の結果をふまえてそれらのin vitroでの性質を検討したとこ
ろ、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン化合物の2分の1反応時間(half-reactiontime
)は、キサンチンまたはおそらく他のプリンと組み合わせた場合のin vivo活性
を大まかに予測するのに利用できることが明らかになった。例えば、本実施例で
検討した3例の中で、メルカプト-アロプリノールは、オキシプリノールの
in vitroの2分の1反応時間よりも約4倍長いin vitroの2分の1反応時間を
もっている。表17からわかるように、この事実は、キサンチンと組み合わせた場
合に本化合物が達成した死亡率促進に現れている。
以上の結果は、関連化合物群の他の化合物も、キサンチンと、または上記プリ
ンの他のものとも併用でき、ゴキブリやその他の昆虫における個体群防除に使え
ることを示唆している。
実施例15-キサンチン−オキシプリノール組成物によるゴキブリ以外の昆虫の処
理
ゴキブリ以外の有害昆虫について本発明の組成物の効果を評価するため、さら
に実験をおこなった。これらの実験結果は、キサンチン−オキシプリノール組成
物による処理によって、プリン代謝経路を介して、その窒素性老廃物を再利用し
、貯蔵し、または排泄する昆虫の生命維持に必要な栄養供給源の流動化が阻害さ
れることを裏付けている。
1)イエバエ
イエバエMusca domesticaに対する本発明の組成物の効果を判定するため、
二つの方法を使用した。まず最初に、同じ群から4日令の雌雄成虫ハエ各5匹を
とり、各群5匹からなる15反復群をメッシュスクリーン付きのケージに入れた。
食物と水を与えて交配産卵させた。
産卵用に、各ケージには、湿潤Chemical Specialties Manufacturer's Associ
ationの幼虫成長培地(CSMA)(Purina Mills,Inc.)340gを入れたプラスティ
ック製のカップを入れておいた。培地は、処理していないか、または0.25%のキ
サンチン(X)および0.25%のオキシプリノール(OXY)、または0.5%のキサン
チンおよび0.5%のオキシプリノールで処理した。
CSMAのカップは48時間後に取り出して、幼虫が逃げ出さないようにキャラコ(
muslin)で固く蓋をした。各カップは、それぞれの親のケージに隣接させて棚に
置いた。新鮮な CSMA 培地の容器を産卵用として供給し、前記の通りさらに48時
間おいた。その後成虫 ハエを廃棄した。
二個の CSMA カップを親のケージへ戻した。幼虫は、そこで発生して蛹化し、
成虫となり死んでいく。各ケージで死んだ成虫の数をカウントして記録した。各
処理群から成虫となったハエの平均数、および処理なし(対照)群に対する処理
群の成虫数の変化率(Δ%)を計算した。結果を表18aに示す。
統計的分析により、処理された CSMA 培地から羽化したハエの平均数は、処理
濃度とは関係なく、未処理 CSMA から羽化したハエの数より有意に低いことがわ
かった。これは、T-テスト対(paired T-tests)を使って示された(両方の処理
についてdf=7;p-<0.01)。(Microsoft Excel Ver.5.0)
表18a:羽化した成虫イエバエの総数および平均数、および未処理(対照)のC
SMA培地、0.25%のキサンチン(X)および0.25%のオキシプリノール(OX
Y)、もしくは0.5%のキサンチンおよび0.5%のオキシプリノールで処理したCSM
A培地で飼育した幼虫の、処理および未処理間における平均羽化率(Δ%)の差
(n=5)。
第二の方法では、12時間齢未満のイエバエ卵100個の群を、湿潤 CSMA 培地340
gの入れてあるカップに入れた。 CSMA 培地は未処理か、または第一の方法に述
べたように処理されたものである。各処理は5回繰り返して行った。キャラコ布
でカップの蓋をして、卵がかえり、桶化し、成虫になって死亡するまで、30℃、
相対湿度80%でインキュベートした。
各容器における桶化数および死亡成虫数をカウントした。また、各処理に対す
る幼虫および成虫の平均数および各処理に対する成虫個体群数の喪失率(Δ%)
を計算した。結果を表18bに示す。
統計的分析により、分散分析で示された、各処理における幼虫の平均数には有
意な差がないことがわかった(α=0.05,P=0.305,df=2; F=1.311) (Microsoft
Excel Ver.5.0)。 しかしながら、羽化した平均数には明らかな差があった。表18b:幼虫および成虫イエバエの総数並びに平均数、並びに未処理(対照)の
CSMA 培地、もしくは0.25%のキサンチン(X)および0.25%のオキシプリノール
(OXY)、または0.5%のキサンチンおよび0.5%のオキシプリノールで処理した
CSMA 培地で飼育した幼虫の、処理および未処理間における平均羽化率(Δ%)
の差。(n=5)
以上両方の実験法で得られたデータは、キサンチン−オキシプリノール組成物
で幼虫を処理しておくと、成虫イエバエの個体群数が激減することを裏づけてい
る。ただし、組成物が幼虫成長培地に存在していても、あるいは存在していなく
ても、蛹化率は同様である。このことは、組成物による処理効果は、通常の過程
で幼虫から成虫ハエへの変態を可能にする栄養の備蓄ができないためであること
を裏付けている。
2)オオアリ
オオアリ(carpenter ants: Camponotus pennsylvanicus)に対するキサンチン
−オキシプリノール組成物の効果を判定するために、飼料容器導入用の直径15 m
mのサイドアームが付いた4個の小さいガラス皿(125 mmx 65 mm)に複製コロニ
ーを調製した。各コロニーは、野原で収集したコロニーから取った、少なくとも
100匹のアリ幼虫および10匹のアテンダント成虫アリから構成される。
コロニーには、未処理(2個のコロニー)または0.5%キサンチンおよび0.5%
オキシプリノールで処理(2個のコロニー)した標準ゲル餌基剤を供給した。飼
料は1.5mlのマイクロ遠心管で供給され、この遠心管は毎日計量して消費量を求
めた。
アリ幼虫を発生蛹化させた。半数以上の幼虫が蛹になった段階で、各コロニー
から50匹の桶を取りだし、成虫にさせる皿に分離した。10匹のアテンダントアリ
はこの蛹に含めた。
処理コロニーおよび対照コロニーの両方を普通に観察して幼虫死亡率または蛹
化には差がなかった。餌の平均一日消費量も、未処理対照コロニーで消費された
のが0.49g(±0.20 g)、そして処理されたコロニーで消費されたのが0.44g(
±0.18 g)と同様であった。しかしながら、成虫になったアリの平均数は、処
理されたコロニーでは未処理コロニーよりも45%低かった。
3)シロアリ
蒸留水で湿らせたブラストサンドを半分入れた1クオートのガラス製メイソン
ジャー(Mason jars)に、1週齢のタイワンシロアリ (Coptolermes formosanus
)およそ1000匹のコロニーを樹立した。これらのコロニーは室温および周囲湿度
に保っておき、飼料消費およびシロアリの死亡率を25日間定期的にモニターした
。
供給した食餌は、未処理の粉末セルロース(Sigma)、または 1%キサンチン
で処理したセルロース、または 1%キサンチンおよび0.1%、0.5%もしくは1.0
%のオキシプリノールで処理したセルロースであった。餌は蒸留水でわずかに湿
らせてあり、各ジャーの砂の表面に置いた1.5 mlのマイクロ遠心管に入れてある
。
組成物の濃度とは関係なく、未処理および処理された餌の間に、飼料消費の差
はほとんどなかった。15、20および25日目の相対死亡率を観察した。結果を表18
cに示す。表18c:未処理のセルロース、または 1%のキサンチンのみ(X)で処理したセル
ロース、または 1%キサンチンおよび0.1%、0.5%もしくは1.0%のオキシプリ
ノール(OXY)で処理したヤルロースの食餌を供給したタイワンシロアリのコロ
ニーにおける、時間(日)に対する相対死亡率。(+:死亡小数、±:半数死亡
、++:大多数死亡、+++:ほとんど死亡)
これらの結果は、キサンチンだけでシロアリを処理した場合、その健康に影響
があること、そして低濃度のキサンチン−オキシプリノール組成物処理で、個体
群の減少を引き起こすことを示している。
4) ケラ
サザンケラ(Soughernmole cricket: Scapteriscusborellii)に対する本発明
の組成物の効果を検討するため、ブランズウィック社、NC、のゴルフコースに
ある音波呼び子トラップ(sound-baited calloing traps)から成虫ケラを捕獲
した。雌雄ケラを一緒にして交配させた。
長さ15 cmx直径7.5 cmのPVCチューブ40本に、湿った砂状土の均一な混合
物を詰め、透明なプラスティック製ペトリ皿の蓋で各端をふさいだ。このチュー
ブを、一日長さの気温変動をする温室のトレイの上へ垂直に立てて、雌ケラを1
匹ずつ各チューブに入れた。
ケラのうち20匹には細かく挽いた未処理のケラ用餌(Purina Mills,Inc.)を
与え、そして残りの20匹には 2%キサンチンおよび 2%オキシプリノールで処理
したケラ用餌を与えた。食餌には、0.3%のソルビン酸カリウム(Sigma)を添加
して細菌による汚染を防ぎ、直接チューブの土表面に置いた。
雌がチューブ底部のペトリ皿に産卵した卵塊について、各チューブを毎日検査
した。産卵日、各卵塊の卵数と重量を記録した。
双方の処理間で食餌消費に明らかな差は見られなかった。食餌の影響と思われ
る死亡はなかった。各群とも雌の半数だけが産卵した。しかしながら、処理群の
産卵時期には明確なシフトがあった。産卵した処理雌の80%は16日以降の産卵で
あったのに対し、産卵した未処理雌の70%は16日以前であった。
異なる昆虫種に関するこれらの実験は、イエバエやクロアリの桶化および成虫
化におけるように、昆虫の栄養供給源が激動した場合に、成虫個体群に劇的な減
少が生じることを示している。処理された昆虫がその貯蔵栄養をもっとゆるやか
に使う場合には、シロアリの場合のように、効果の程度はゆるやかであった。
処理されたケラの反応は、年長成虫ゴキブリのそれと似ており、このことは、
対象とする種において個体群防除の効果をあげるには、本発明の組成物で処理す
ることによつて栄養貯蔵を妨害する必要があるという点を裏付けるものである。
実施例に記載したのと同じ成分比をもつ組成物は、体サイズに比例する各成分
の濃度に関係なく、様々のサイズの昆虫における個体群を防除するのに使うこと
ができると予想される。
以上引用した文献はすべて、その全部を参照として本明細書に組み入れるもの
とする。
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