JP2000503544A - 腫瘍拒絶抗原前駆体melan―aに結合するモノクローナル抗体、およびその利用方法 - Google Patents

腫瘍拒絶抗原前駆体melan―aに結合するモノクローナル抗体、およびその利用方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は腫瘍拒絶抗原前駆体分子Melan−Aに特異的に結合するモノクローナル抗体、それらモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、およびそれらの利用方法に関する。組換え形態のMelan−A、および、該分子とアジュバントとを含有する免疫原性組成物についても記載される。

Description

【発明の詳細な説明】 腫瘍拒絶抗原前駆体MELAN−Aに結合するモノクローナル抗体、 およびその利用方法発明の分野 本発明は一般的な免疫学の分野に関する。より具体的には、腫瘍拒絶抗原前駆 体、即ち“TRAP”である、Melan−Aに対して向けられたモノクローナ ル抗体と抗血清、および、それらの利用方法について言及される。特に興味深い 点は、免疫組織化学分析におけるそれらのモノクローナル抗体の利用である。先行技術の背景 宿主(ホスト)生物体によるガン細胞の認識、または認識の欠如に関する研究 は多くの異なる方向において行われてきた。この分野の理解は、基礎的な免疫学 および腫瘍学両方についての相当の理解を有することを前提とする。 マウス腫瘍における初期の研究では、腫瘍(細胞)が同系の動物へと移植され た際、それらが(移植された)腫瘍細胞の拒絶を引き起こす分子を示すことが明 らかにされた。これら分子は受容動物におけるT-細胞によって“認識”され、 細胞溶解性T−細胞応答を引き起こし、移植された細胞が溶解される。この証拠 は、最初、メチルコラントレンなどの、化学発ガン剤によってイン・ヴィトロで 誘導された腫瘍について得られた。腫瘍によって発現され、T−細胞応答を誘発 する抗原はそれぞれの腫瘍によって異なることが判明した。化学発ガン剤による 腫瘍の誘発、および、細胞表面抗原における相違に関する、一般的な教示につい てはプレーン(Prehn)他,J.Natl.Canc.Inst.18:769-778(1957);クライン(Klein )他,CancerRes.20:1561-1572(1960);グロス(Gross),Cancer Res.3:326-333(194 3),バソンブリオ(Basombrio),Cancer Res.30:2458-2462(1970)を参照。このクラ スの抗原は“腫瘍特異移植抗原”または“TSTA”として知られるようになっ た。化学発ガン剤によって誘発される場合のそのような抗原の提示の観察に続い て、紫外線照射によってイン・ヴィトロで誘発される腫瘍の場合にも同様の結果 が得られた。クリプケ(Kripke),J.Natl.Canc.Inst.53:333-1336(1974)を参照。 T−細胞を介する免疫応答が前述のタイプの腫瘍について観察されるのに対し 、 自然発症の腫瘍は一般的に非−免疫原性であると考えられていた。従ってそれら はその腫瘍を保有する対象において、腫瘍に対する応答を引き起こす抗原を提示 しないと考えられていた。ヒューイット(Hewitt)他,Brit.J.Cancer 33:241-259( 1976)を参照。 tum-抗原のファミリーを提示する細胞ラインは、その開示内容を参考文献 として本出願に合体させる、ブーン(Boon)他,J.Exp.Med.152:1184-1193(1980) に記載されているように、マウス腫瘍細胞または細胞ラインを突然変異誘発する ことによって得た免疫原性の変異体(variant)である。詳細に説明すると、tu m-抗原は、同系のマウスにおいて免疫応答を発生させず、そして腫瘍の形成を 導く腫瘍細胞(即ち“tumf”細胞)を突然変異させることによって得られる ものである。それらのtum+細胞を突然変異誘発すると、それらは同系のマウ スによって拒絶されるようになり、腫瘍を形成しなくなる(従って“tum-”) 。その開示内容を参考文献として本出願に合体させる、ブーン(Boon)他,Proc. Natl.Acad.Sci.USA 74:272(1997)を参照。多くのタイプの腫瘍がこの現象を示 すことが明らかにされている。例えば、フロスト(Frost)他,Cancer Res.43:12 5(1983)を参照。 tum-変異体は、それらが免疫拒絶プロセスを誘発するために進行性の腫瘍 を形成することができないと考えられる。この仮説を支持する証拠は腫瘍の“t um-”変異体、即ち通常は腫瘍を形成しない変異体が、亜致死線量照射により 免疫系が抑制されたマウスにおいては腫瘍を形成することができるということ、 ファン・ぺル(Van Pel)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:5282-5285(1979);およ び、肥満細胞腫P815の腹腔内注射されたtum-細胞が12−15日間は指 数関数的に増え、その後、リンパ球とマクロファージの流入の間においてわずか 数日の間に排除される(ウィッテンホーヴ(Uyttenhove)他,J.Exp.Med.152:117 5-1183(1980))という観察を含むものである。さらなる証拠は、マウスは同じt um-変異体への後の攻撃を、後の細胞の攻撃とともに、免疫抑制量の照射を行 った場合においても抑えることができるような免疫記憶を獲得するという観察を 含む。(ブーン(Boon)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:272-275(1977);ファン ・ペル(Van Pel)他,前出;ウィッテンホーヴ(Uyttenhove)他,前出)。それより 後の研究によって、自然発症の腫瘍が突然変異誘発をかけられると、応答を発生 させる免疫原性の変異体が生じる ということが判った。実際、それらの変異体はもとの腫瘍に対して免疫防御応答 を誘発することができた。ファン・ペル(Van Pel)他,J.Exp.Med.157:1992.200 1(1983)を参照。従って、同系の拒絶応答に関して標的である腫瘍において、い わゆる“腫瘍拒絶抗原”の提示を誘発することができることが示された。外来の 遺伝子を自然発症の腫瘍にトランスフェクトした場合にも類似の結果が得られた 。この事についてはフィアソン(Fearson)他,Cancer Res.48:2975-1980(1988) を参照。 あるクラスの抗原が腫瘍細胞の表面上に提示され、細胞傷害性T細胞によって 認識され、溶解を引き起こすということが認識されるようになった。このクラス の抗原を以後、“腫瘍拒絶抗原”または“TRA”と称することにする。TRA は抗体応答を誘発する可能性と誘発しない可能性がある。これらの抗原に関して なされてきた研究の範囲は、イン・ヴィトロでの細胞溶解性T細胞キャラクタラ イゼーション研究、即ち、特定の細胞溶解性T細胞(以後、“CTL”と称する )サブセットによる抗原の同定の研究によるものである。前記サブセットは提示 された腫瘍拒絶抗原を認識すると増殖し、抗原を提示する細胞は溶解される。キ ャラクタライゼーション研究により、抗原を発現する細胞を特異的に溶解するC TLクローンが同定されてきた。この研究の例は、レヴィ(Levy)他,Adv.Cance r Res.24:1-59(1977);ブーン(Boon)他,J.Exp.Med.152:1184-1193(1980);ブル ンナー(Brunner)他,J.Immunol.124:1627-1634(1980);マリャンスキー(Maryan ski)他,Eur.J.Imunol.124:1627-1634(1980);マリャンスキー(Maryanski)他,E ur.J.Imunol.12:406-412(1982);パッラディーノ(Pal1adino)他,Canc.Res.47:5 074-5079(1987)において見ることができる。このタイプの分析は、主要組織適合 抗原、男性特異H−Y抗原、およびここに記載した“tum−”抗原と称される クラスの抗原を含む、CTLによって認識される他のタイプの抗原について必要 とされる。 前述の対象の腫瘍の例はP815として知られているものである。参考文献と して本出願にその開示内容を合体させる、デ・プレーン(DePlaen)他,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 85: 2274-2278(1988);スジコーラ(Szikora)他,EMB0J9: 1041 -1050(1990)およびシビル(Sibille)他,J.Exp.Med.172:35-45(1990)を参照。P 815腫瘍は、メチルコラントレンでDBA/2マウスにおいて誘発され、イン ・ヴィトロの腫瘍および細胞ラインの両方として培養された肥満細胞腫である。 この P815ラインから突然変異誘発によって、P91A(デ・プレーン(DePlaen) ,前出)、35B(スジコーラ(Szikora),前出)およびP198(シビル(Sibi lle),前出)と称される変異体を含む多くのtum-変異体が生じている。腫瘍 拒絶抗原と比較して、−そしてこれが鍵となる差違である−、tum-抗原は腫 瘍細胞が突然変異誘発された後にのみ存在する。腫瘍拒絶抗原は突然変異誘発を 受けないで、所与の腫瘍の細胞上に存在する。したがって、前記文献を参照する と“P815”と称されるラインなどの細胞ラインはtum+であるということ ができ、誘発されてtum-変異体を生じさせることができる。tum-表現型は 親細胞ラインの表現型と異なるため、tum-細胞ラインのDNAにおいて、そ れらのtum+親ラインと比べて差異があることが期待され、そしてこの差異を 利用してtum-細胞において問題となる遺伝子の位置決定を行うことができる。 その結果、P91A、35BおよびP198などのtum-変異体の遺伝子が、 当該遺伝子のコード領域における点突然変異によって、それらの正常な対立遺伝 子と異なっているということが判った。スジコーラ(Szikora)およびシビル(Sibi lle),前出、そしてラークウィン(Lurquin)他,Cell 58: 293-303(1989)を参照 。これは本発明のTRAに関するケースではないということが判明した。これら の論文はまた、tum-抗原に由来するペプチドはCTLによる認識のためにLd 分子によって提示されることをも示すものであった。P91AはLdによって提 示され、P35はDdによって、そしてP198はKdによって提示される。 参考文献としてその両方の内容を本出願に合体させる、先行する特許出願PC T/US92/0435および米国特許第5,342,774号は、とりわけ、 プロセシングされて腫瘍拒絶抗原、即ち“TRA”となる、種々のTRAPをコ ードする遺伝子および他の核酸分子に関する発明を記載している。これらのTR APはMAGE−1、MAGE−2等というように、MAGE分子と称されてい る。 これら遺伝子は単離精製された腫瘍拒絶抗原前駆体およびTRA自体について のソースとして有用である。これらはいずれも、抗原が“マーカー”となるガン の治療のための薬剤、および、以下に記載するように、腫瘍学への種々の診断お よび監視(サーべイランス)アプローチとして利用できる可能性がある。例えば 、tum-細胞は、異なるtum-抗原およびtum+細胞を提示する細胞を溶解 するCTLを 産生するのに利用できることが知られている。例えば、参考文献としてその開示 内容を本出願に合体させる、マリャンスキー(Maryanski)他,Eur.J.Immunol 12:4 01(1982);およびファン・デン・エインデ(Van den Eynde)他,Modern Trends inLeukemia IX(1990年6月)を参照。腫瘍拒絶抗原前駆体はその遺伝子をトラン スフェクトした細胞において発現され、そして問題の腫瘍に対する免疫応答を生 じさせるのに利用できる。 ヒト新生物(腫瘍)に相当するケースにおいて、自己混合リンパ球−腫瘍細胞 培養(以後“MLTC”と称する)は、しばしば自己腫瘍細胞を溶解するがナチ ュラルキラー標的(ターゲット)、自己EBV−トランスフォームB細胞、そし て自己線維芽細胞は溶解しない反応リンパ球を産生する、ということが観察され てきた(アニキーニ(Anichini)他,Immunol.Today 8: 385-389(1987)を参照)。 この応答は、特にメラノーマに関してよく研究されており、MLTCが末梢血液 細胞または腫瘍浸潤性(infiltrating)リンパ球のいずれかを用いて行われてきた 。この分野における文献の例には、クヌート(Knuth)他,Proc.Natl.Acad.Sci.U SA 86: 2804-2802(1984);ムカールジ(Mukherji)他,J.Exp.Med.158:240(1983); ヘリン(Herin)他,Int.J.Canc.39: 390-396(1987);トパリアン(Topahan)他,J .Clin.Oncol6:839-853(1988)が含まれる。安定な細胞傷害性T細胞クローン(以 後、CTLと称する)はMLTC反応細胞に由来するものであり、それらのクロ ーンは腫瘍細胞に対して特異的である。ムカールジ(Mukherji)他,前出、ヘリ ン(Herin)他,前出、クヌート(Knuth)他,前出を参照。それら自己CTLによ って腫瘍細胞上で認識される抗原は培養のアーティファクト(人為的結果)を反 映しているとは思えない。というのは、それらはイン・ヴィヴォで腫瘍細胞上に みられるからである。トパリアン(Topalian)他,前出;デジオヴァンニ(Degiov anni)他,Eur.J.Immunol.20:1865-1868(1990)。これらの知見は、特異的なマウ ス腫瘍拒絶抗原前駆体に対する遺伝子を単離するためのここに用いられた技術と 連関して、ヒト腫瘍上に提示されるTRAの腫瘍拒絶抗原前駆体をコードする核 酸配列の単離を導くものである。現在、それに限定されるものではないが、特定 の腫瘍に非常に特徴的なものを含む腫瘍拒絶抗原前駆体をコードする核酸配列を 単離することが可能であり、以下にその効果が記載される。 別の研究では、ヒト白血球抗原、即ち“HLA”として知られるクラスの分子 による、TRAの提示に注目している。この研究の結果、この分野に関するいく らかの予期できなかった発見がなされた。具体的には、参考文献としてその開示 内容を本出願に合体させる米国特許出願第938,334号において、HLA− A1分子によって提示されるノナペプチドが教示されている。この参考文献は特 定のHLA分子に対する特定のペプチドの特異性が判明すれば、特定のペプチド は1つのHLA分子に結合し、他のものには結合しないであろうと推測される、 ということを教示している。これは重要なことである。なぜなら、異なる個体は 異なるHLA表現型を有するからである。そのため、特定のペプチドが、ある特 定のHLA分子に対するパートナーであると同定されたことが、診断上および治 療上の効果を有しているとしても、その効果はその特定のHLA表現型を有する 個体に対してしか適切ではないのである。細胞異常は一つの特定のHLA表現型 に限られるものではないため、また、標的化療法(targeted therapy)には、問題 の異常細胞の表現型に関する相当な知識が必要とされるため、この分野に於いて 更なる研究を行う必要がある。 1993年1月22日出願で参考文献として本出願にその内容を合体させる米 国特許出願第008,446号には、MAGE−1発現産物がプロセシングされ て第2のTRAになるという事実が開示されている。この第2のTRAはHLA −C−クローン−10分子によって提示される。この開示は1つの所与のTRA Pから複数のTRAが生じることができるということを示している。 参考文献として本出願にその内容を合体させる米国特許第5,487,974 号には、チロシナーゼが腫瘍拒絶抗原前駆体であるとして記載されている。この 参考文献はいくらかの正常細胞(例えば、メラノサイト)によって作られる分子 が腫瘍細胞中でプロセシングされてHLA−A2分子によって提示される腫瘍拒 絶抗原を生じるということを開示している。 米国特許第 号として公開され、参考文献として本出願にその内容 を合体させる米国特許出願第190,411号は、一つのMAGE腫瘍拒絶抗原 前駆体、即ち、MAGE−1の組換え形態の製造方法および利用法を教示してい る。この参考文献は、どのようにして大腸菌宿主細胞内でMAGE−1組換えタ ンパク質 を作り、精製し、そしてMAGE−1に対して特異的なモノクローナル抗体を作 成するために免疫原として使用したのかを記載している。そのモノクローナル抗 体の様々な利用法も開示されている。また、参考文献として本出願にその両方の 内容を合体させる、チェン(Chen)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1004-1008(1 994);チェン(Chen)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:8125-8129(1995)も参照。 これらは詳細に、前記組換えMAGE−1タンパク質とMAGE−1に対して特 異的なモノクローナル抗体との製造方法および利用法を教示している。 他の腫瘍拒絶抗原前駆体の例として、Melan−Aが挙げられるが、これは 参考文献として本出願にその内容を合体させる、クーリ(Coulie)他,J.Exp.Med .180:35-42(1994)に記載されている。Melan−A TRAPは、参考文献 として本出願にその内容を合体させる、1993年3月18日出願で、許可され ている米国特許出願第08/032,978号にも記載されている。また、同様 に参考文献として本出願にその内容を合体させる、WO94/21126として 1994年9月29日に公開されたPCT出願PCT/US94/02478号 も参照。カワカミ(Kawakami)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3515-3519(1994) は、それとは別個に同一の遺伝子をクローニングし、それをMART−1と称し ている。 クーリ(Coulie)他およびカワカミ(Kawakami)他による研究は、Melan −Aが、皮膚、網膜における正常なメラノサイトおよび培養メラノサイトにおい て発現するが、調査した他の正常な組織では発現しない、メラノサイト分化抗原 をコードしていることを示唆している。 前記腫瘍拒絶抗原前駆体が選択的に、即ち、ガン細胞において、および非常に 限られた数の正常細胞においてのみ発現するという事実により、それらはガンな どの病気の診断についての理想的な標的となる。さらに、それらはガンなどの疾 患の治療法に関するターゲットとして利用可能である。本出願において論じるよ うに、診断法および治療法は両者とも本発明の特徴構成である。 モノクローナル抗体(以下、“mAb”と称する)は、診断および治療の両方 において非常に有用な試薬としてよく知られている。その精巧な特異性により、 問題の分子を標的とすること、同定すること、不活性化すること、または、その 分子の正常な性質と機能を何らかの方法で妨害することが、当業者にとって可能 となる。モ ノクローナル抗体の製造方法の基礎となる技術は、1975年における最初の報 告以来格段に進歩してきたが、なすべき研究はいまだに多く残っている。いかな るモノクローナル抗体の開発においても鍵となるのは、十分な量の免疫原性タン パク質の入手可能性である。ここにおいて、前記タンパク質はmAbを作成する ためのプロトコールにおける成功をかなりの程度保証するために、十分に純粋な ものである。腫瘍拒絶抗原前駆体の場合には、必要なタンパク質を確保するのは 、幾分困難である。それが困難である1つの理由は、腫瘍拒絶抗原前駆体自体の 性質に起因する。これら分子は細胞内で、フルサイズのタンパク質として発現さ れるが、それらはプロセシングされてより小さな、ノナー、デカー、およびウン デカペプチドになる。従ってフルサイズのTRAPをコードする遺伝子が単離さ れているが、出願人らは自然発生の、即ち、野生型のTRAPを単離するのに成 功したという報告を全く知らないのである。 Melan−AなどのTRAPをコードする核酸分子の単離は、一見、所望の タンパク質を十分な量産生するための比較的簡単な方法を示唆しているように思 われるであろう。しかし、実際にはタンパク質の組換え生産は常法というよりも はるかに困難である。有用なモデル(プロモーター、ベクター、宿主細胞など) が見いだされたとしてもその結果生じるタンパク質が野生型分子と同一であると いう保証はない。例えば、チェン(Chen)他,Proc.Natl.Acad.Sci.91:1004-1008 (1994)およびチェン(Chen)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:8125-8129(1995)が 、MAGE−1に対する遺伝子を大腸菌にクローニングすることに成功した際、 その結果生じたタンパク質がMAGE−1であるということを同定することがで きた。しかし、その見かけの分子量は、MAGE−1に対する単離されたcDN Aから予測される分子と同一ではなく、近似しているとさえもいえなかった。こ の表面的な不一致に関わらず、この分子の組換え形態は、実際に免疫原として機 能し、MAGE−1の組換え形態および野生型形態両方に結合するmAbの産生 を引き起こした。 本発明者らは、今回、Melan−A遺伝子を宿主細胞にクローニングし、そ して組換え形態のMelan−Aタンパク質を産生することに成功した。この組 換えMelan−Aは、TRAPであると同定することができるが、その単離遺 伝子か ら予測される分子とは有意に異なっている。さらに、本発明はTRAPであるM elan−Aに特異的に結合するモノクローナル抗体、それらを産生するハイブ リドーマ、およびそのmAbと前記組換えタンパク質の種々の利用法に関する。 特に興味深いのは、これらのmAbが免疫組織化学的分析において有用であると いう事実である。 これらの、そしてその他の本発明の特徴構成は以下の開示において詳述される 。好適実施例の詳細説明 例1 第一段階として、メラノーマ細胞ラインを、それらが実際にMelan−Am RNAを発現したのかを判定するためにテストした。 10のメラノーマ細胞ライン、および44のメラノーマ試料(specimens)につ いて研究を行った。Melan−A mRNA発現は周知の逆転写ポリメラーゼ 連鎖反応(以下、RT−PCRと称する)を用いて測定した。その詳細を以下に 述べる。 まず、トータルRNAを前記細胞ラインまたは前記メラノーマサンプルから取 り出した。後者については抽出に先立って急凍結(snap frozen)しておいた。取 り出しは標準的な周知の技術を用いて行った。 次にトータルRNAをcDNAへと逆転写し、そしてPCR(35サイクル、 アニーリング温度60℃)によって増幅した。このPCRにおいて使用したプラ イマー、即ち5’−プライマー: 5’−CACACAGGATCCGATGACGATGACAAAATGCCA AGAGAAGATGCTCAC−3(配列番号1) および3’−プライマー: 5’−CACACAAAGCTTGTCTCGCTGGCTCTTAAGGTG −3’(配列番号2) は、参考文献として本出願にその両方の内容を合体させる、クーリ(Coulie)他,J .Exp.Med.180:35-42(1994);カワカミ(Kawakami)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 9 1:2515-3519(1994)によって既に発表されているMelan−AおよびMart −aの配列に基づいて選択した。この5’−プライマーはMelan−AのN− 末端配 列、BamHI切断部位、およびエンテロキナーゼ切断部位をコードする配列を 含んでいる。3’−プライマーは、Melan−AのC−末端、3’−非翻訳配 列、およびクローニングのためにHindIII切断部位を含んでいる。各PC Rにおいて、2ugのトータルRNAのサンプルを使用した。RT−PCRプロ トコールの完全な詳細については参考文献として本出願にその内容を合体させる 、チェン(Chen)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1004-1008(1994)に示されてい る。 以下の表1は前記細胞ラインについて得られた結果を示す。並行して、チロシ ナーゼに対するmRNAの存在を判定するための実験を行った。その結果につい ても表1に示す。 メラノーマサンプルについての結果は表形式では示さない。しかし、テストさ れた44のサンプルのうち39はMelan−A発現に関して陽性であり、4つ は陰性であり、そして1つはどちらともつかなかった。 Melan−A mRNA発現について陽性であるサンプルと陰性であるサン プルとの間には、形態的には差異はみられなかった。 Melan−A mRNA陽性細胞ラインからのRT−PCR産物は、409 塩基対の産物であることが予想された。おそらく、全長のメッセージは118ア ミノ酸のタンパク質コードしている。 表1.メラノーマ細胞ラインにおけるチロシナーゼおよびMelan−A mRNAの発現* チロシナーゼ Melan−A MZ2−MEL3.1 − − MZ2−MEL2.2 − − SK−MEL−13 + + SK−MEL−19 + + SK−MEL−23 + + SK−MEL−28 + + SK−MEL−30 + + SK−MEL−31 − − SK−MEL−33 − − SK−MEL−187 − −* 各アッセイについて2μgのトータルRNAを使用したRT−PCR分析によ る。チロシナーゼ発現を評価するためのPCRプライマーはチェン(Chen)他, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1004-1008(1994)によって以前に記載されたもので あった。例2 先に示したように、cDNAを増幅するために使用したMelan−Aプライ マーは、BamHIおよびHindIII切断部位を含む。増幅されたcDNA をこれらのエンドヌクレアーゼで確立された手法を用いて切断し、その結果生じ たcDNA産物をプラスミドベクターpQE9に発現−クローニングし、そして それを使用して大腸菌を形質転換した。そして、宿主プラスミドが誘導可能なl acオペロンを含むので、IPTGで誘導をかけて組換えタンパク質を産生させ た。次にこのタンパク質をNi2+イオンアフィニティークロマトグラフィーによ って精製した。使用したプロトコールの完全な詳細については参考文献として本 出願にその両方の内容全体を合体させる、チェン(Chen)他,Proc.Natl.Acad.S ci.USA 91: 1004-1008(1994);チェン(Chen)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:8125-8129(19 95)に示されている。 精製したタンパク質を次にSDS−PAGE(4%濃縮ゲル、および15%分 離ゲル)にかけたところ、組換えMelan−Aタンパク質はSDS−PAGE により、約23キロダルトンのみかけの分子量を有することが判明した。これは 予測された一次翻訳産物の分子量、約13キロダルトンよりも大きい。例3 組換えMelan−Aタンパク質の精製後、モノクローナル抗体を調製した。 BALB/Cマウスを2−3週間隔で5回皮下注射することにより、免疫した。 免疫製剤は、アジュバント中に50ugの組換えタンパク質を含むものであった 。最初の注射ではフロイント完全アジュバントを使用し、そしてその後はフロイ ント不完全アジュバントを使用した。脾臓細胞を免疫したマウスから採取し、マ ウスミエローマ細胞ラインSP2/0と融合させて、ハイブリドーマを作った。 ハイブリドーマが生じたので、それらをクローン化し、そしてそれらの上清を 、マイクロタイタープレート上で標準的固相ELISAを用いて、組換えタンパ ク質に対してスクリーニングした。アッセイは参考文献として本出願にその内容 を合体させる、ディッポルド(Dippold)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:6114-611 8(1980)に従って行った。組換えMAGE−1およびヒトチロシナーゼを使用し て一連のネガティブコントロールも行った。 10のハイブリドーマがMelan−Aに対するモノクローナル抗体を産生す るということが判明した。これらハイブリドーマをA9、A103、A154、 A344、A355、A492、A528、A713、A753、A882と称 することにした。これらのクローンに関するELISAタイターは8,000か ら32,000の範囲であった。例4 一連のイムノブロットおよび免疫沈降実験を次に行った。細胞ラインSK−M EL−19、MZ2−MEL2.2、およびSK−MEL−187をデタージェ ントNP−40(Nonidet P40)で、1%NP−40、50mMTr is−HCl、pH8.0,150mM NaClからなるバッファー中で溶解 した。前述のチェン(Chen)他の化学発光(chemiluminiscent)システムを使用し た。10の陽性ハイブリドーマの各々について、ハイブリドーマ上清を1:10 の希釈度でテストした。 イムノブロットによりSK−MEL−19可溶化液は、前記10のハイブリド ーマのそれぞれに関して陽性の結果であることが示された。MZ2−MEL2. 2またはSK−MEL−187についてはいずれも、どのハイブリドーマに関し てもイムノブロットにおいて全く反応性を示さなかった。これは、先に論じたR T−PCRと一致している。表1の概要は、SK-MEL−19については多量 のMelan−A mRNAが存在し、MZ2−MEL2.2またはSK−ME L−187についてはいずれにおいても存在しないということを示すものである 。 別のセットの細胞ライン、即ちSK−MEL−13、SK−MEL−23、S K−MEL−28、およびMelan−A mRNA陰性の細胞ラインMZ2− MEL3.1についても同様にテストした。ハイブリドーマ細胞ラインA103 は、mRNAアッセイにおけるテストで陽性であった3つの細胞ラインにおいて 20−22キロダルトンのタンパク質二重線(doublet)を検出するモノクローナ ル抗体を産生した。しかしMelan−A mRNA陰性のラインMZ2-ME L3.1についてはそうではなかった。ハイブリドーマA355によって産生さ れたモノクローナル抗体は、この二重線を検出し、そして9、15、30、35 、および42キロダルトンの推定分子量を有するタンパク質も検出した。残りの ハイブリドーマはすべて、20−22キロダルトンの二重線に結合し、他のタン パク質には結合しないモノクローナル抗体を産生した。例5 これらの実験において、細胞ラインSK−MEL−19、SK−MEL−13 およびSK−MEL−187を、トランス35S−ラベルを使用して35S−メチオ ニンで代謝的に標識した。この標識化の後、細胞を溶解バッファー(0.01M Tris・HCl/O.15M NaCl/0.01M MgCl2/0.5% NP−40/アプロチニン(20ug/ml)/2mM フェニルメチルスルホ ニルフルオリド)中で溶解し、そして、参考文献として本出願にその両方の内容 を合体させる、レティッヒ(Rettig)他,Cancer Res.53:3327-3335(1993);レテ ィッヒ(Rettig)他,Int.J.Cancer 58:385-392(1994)に従って、ハイブリドーマ 細胞ラインA103によって産生されるモノクローナル抗体で免疫沈降した。 前述の例4のイムノブロット実験と同様に、20−22kD種がSK−MEL −19およびSK−MEL−13の可溶化液において同定されたがMelan− A陰性ライン、SK−MEL−187においては同定されなかった。 これらの免疫反応性が強いということと一貫性があるということから、A10 3およびA355によって産生されたモノクローナル抗体を精製し、サブクラス IgG1に属するということを同定し、そして以下の実験において使用した。例6 これらの実験においてA103およびA355によって産生されたモノクロー ナル抗体を、メラノーマ細胞ラインSK−MEL−19およびMZ2−MEL3 .1、そして多数のメラノーマおよび正常組織サンプルの免疫組織化学的分析に おいて使用した。 前記細胞ラインに対するアッセイでは、参考文献として本出願にその内容を合 体させる、ギャリン-チェサ(Garin-Chesa)他,Am.J.Pathol.139:275-286(1991)に よって記載されているアビジン−ビオチン−結合免疫ペルオキシダーゼ法(avidi n-biotin-complex immunoperoxidase procedure)を使用した。具体的には、前記 細胞ラインのアセトン固定したサンプル(100% アセトン、4℃で10分間 )を、テストするモノクローナル抗体の1つ、続いてビオチン標識した抗−Ig G、そしてアビジンと西洋ワサビペルオキシダーゼの複合体に接触させ、その後 、西洋ワサビペルオキシダーゼ基質ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリドと 接触させた。組織サンプルについても、前述のようにアセトン中で固定し、ビオ チン標識した抗体をストレプトアビジンとアルカリフォスファターゼとからなる 複合体に接触させ、そしてフクシン基質と接触させた。“標準的な”ABCシス テムではなくこのシステムを使用することによって染色が容易となる。というの は赤い反応産物は、正常な 皮膚のメラノサイトおよび色素性メラノーマ(pigmented melanoma)における褐− 黒色の色素から容易に見分けることが可能であるからである。 細胞ラインSK−MEL−19およびMZ2−MEL3.1の免疫細胞化学的 な(即ち、免疫組織化学的な)染色はMelan−A mRNAの発現と相関し ている。具体的には、SK−MEL−19については強く細胞質が染色され、M Z2−MEL3.1ではそうではなかった。 3つの正常皮膚試料についてテストしたところ、すべてのケースにおいて試料 中におけるメラノサイトの強い細胞質の染色が見られた。 さらに正常な胃、大腸、肺、肝臓、脾臓、腎臓、精巣、膀胱、乳房、卵巣、平 滑筋、そして脂肪組織のサンプルについてテストした。すべてが陰性であった。 21のメラノーマ試料について分析したが、そのうち17はMelan−A mRNA陽性であるとテストされたものであり、3つは陰性であり、そして1つ はどちらともつかないものであった(前述参照)。この17のmRNA陽性サン プルのうち、15は細胞質の染色において陽性であった(メラノーマ細胞の80 −90%以上)。1つはわずかにところどころに散らばった陽性の結果のみしか 示さず(0.5%以下)、1つはA103での染色について陰性であった。3つ のmRNA陰性サンプルも、すべてモノクローナル抗体での染色について陰性で あり、1つのどちらともつかないケースにおいては陽性に染色された腫瘍細胞の 1つの微少な病巣を示した。A355についてのテストもA103のものと同一 であった。例7 ガンの診断のために受け取った病的ヒト組織のほとんどは、通常ホルマリン中 で固定され、パラフィン中に包埋されるので、もし、新鮮な凍結組織サンプルの みならずここに記載されたように固定された組織サンプルとも反応するようなモ ノクローナル抗体が利用可能となれば、それは非常に価値が高いものとなる。 ここには詳細に記載しない実験において、モノクローナル抗体A103を、ホ ルマリン固定された組織についてテストした。このmAbはメラノサイトに対し て非常に強く反応し、かつメラノサイトに対してのみ反応することが判明した。 このパターンは、本出願に記載した新鮮な組織についての結果と一致する。 次に、凍結してパラフィン包埋した組織についてテストする、一連の実験を行 った。7種の異なる転移性メラノーマのケースから採取したサンプルについて調 べた。これらのうち6種はMelan−A mRNA発現について陽性であると テストされたものであり、1種は陰性であるとテストされたものである。 mAb A103をこれらのサンプルに対する免疫組織化学的アッセイにおい て使用した場合、その結果はMelan−A mRNA発現の結果と100%相 関していた。 前述の諸実験は腫瘍拒絶抗原前駆体、TRAPに特異的に結合するモノクロー ナル抗体の産生について記載している。これらの研究は“野生型”Melan− A分子、およびその組み換え形態の両方に対して結合し、他のいずれのTRAP に対しても結合しないということを示している。Melan−A結合性mAbの なかで特に好適な種、即ち、A103は、ブダペスト条約に従って、ATCC(t he AmericanType Culture Collection 12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryla nd)に、1996年3月7日に受託番号HB 12059として寄託されている 。 本発明は、従って、Melan−A特異的モノクローナル抗体およびそれらを 産生するハイブリドーマに関する。これらmAbは細胞可溶化物中におけるMe lan−Aの発現を判定することにおいて有用であることが判明した。具体的に は、これらmAbは、例えば、標識した形態で、固相に結合させて、またはMe lan−A検出感度を増加させるために別の方法で処理して、添加することがで きる。ELISA、RIA、コンペティティブアッセイ、凝集アッセイ、および その他全般を含むすべての標準的タイプのイムノアッセイが、前記mAbが利用 可能な方法に関して含まれる。前記mAbは前述したアッセイのような免疫組織 化学アッセイにおいて利用可能である。このタイプのアッセイは、組織サンプル についてアッセイする際に、正常な、およびガン性のメラノサイトを判定するた めに特に価値が高いということを指摘しておかなければならない。一定の割合の ガン性のメラノサイトは色素を発現せず、そしてこの病気は無メラニン性(メラ ニン欠乏性)メラノーマと称される。そのような腫瘍は転移性病巣として現れた 場合、そのガン性の細胞において色素が存在しないため、診断するのが非常に困 難である。本発明のmAbは、その他すべての形態およびこの形態のメラノーマ の診断において有用 である。Melan−A発現産物の検出は、ガンの存在または経過を診断または モニターすることにおいて有用である。 ここで使用される“モノクローナル抗体”という用語は、ハイブリドーマの産 物だけでなく、その他の周知の方法によって産生されるモノクローナル抗体も含 むということが理解されなければならない。そのような方法は、それに限定され るものではないが、例えば、エプスタイン・バールウイルス、または他の不死化 剤(immortalizing agents)でのトランスフェクションによって“不死化(immorta hzed)”された細胞の利用などを含む。適当な宿主原核細胞または宿主真核細胞 のトランスフォーメーションによるもののような、遺伝子工学によって産生され たモノクローナル抗体も含まれる。キメラ抗体も含まれる。これら(キメラ抗体 )は2以上の種からの抗体の部分を含む抗体として当業者に周知である。例えば 、マウスモノクローナル抗体のCDR部分とヒトモノクローナル抗体の残りの部 分を含むキメラ抗体を産生することはよく知られている。そのようなキメラは、 例えば治療上において非常に有用である。Fab、F(ab)2、Fv、および 他の結合性フラグメントのような、周知の抗体の結合性フラグメントも含まれる 。前述した特異性を有する複数のモノクローナル抗体が互いに複合している、オ リゴマーの、および重合体の構成も本発明の範囲内に含まれる。 本発明の抗体は、Melan−A発現を同定するための診断方法において明ら かに利用可能である。どのように利用されるかというと、モノクローナル抗体を アッセイすべきサンプルに接触させてその結合をモニターするのである。そのよ うな結合は、それらに限定されるものではないが、ラジオイムノアッセイ、固相 酵素免疫検定法、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、発色団アッセイ(chrom ophpric assay)等を含む当業者に周知のすべての標準的イムノアッセイプロトコ ールを使用して測定することができる。それらのアッセイの多くは抗体に付着さ せた検出可能なラベルの使用を必要とし、放射性の、発色団の、および蛍光団の (fluorophoric)基質、酵素、磁気粒子、および金属粒子を含む当業者に周知のい かなるラベルも利用することができる。アッセイを行うにあたって、問題のサン プルは、例えば組織サンプルまたは体液サンプルとすることができる。さらにm Abの特異性により、当業者がそれをイン・ヴィヴォでの診断に利用することが 可能となる。利用可能な様々なイ ン・ヴィヴォでの診断のなかで、ラジオイメージングをその1つとして挙げるこ とができるが、それが唯一の選択肢であるというわけでは決してない。 単離された、組換えMelan−Aタンパク質も本発明の特徴構成である。こ の分子はSDS−PAGEによる測定で約23kDaの分子量を有し、そしてそ れらに由来するペプチドと同様に免疫原として有用である。好ましくは、これら は、完全または不完全フロイントアジュバントのような適当なアジュバントと組 み合わせて使用するのがよい。単離された、Melan−Aの野生型形態も本発 明の一部であり、これはアミノ酸配列に基づくと約23kDの分子量を有し、前 記組換えタンパク質と同じ方法において有用である。 Melan−A腫瘍拒絶抗原前駆体と薬学的に許容されるアジュバントとを含 有する医薬組成物(pharmaceutical composition)も本発明の特徴である。Mel an−A腫瘍拒絶抗原前駆体は、野生型であっても、ここに記載した形態のよう な組換え形態のものであってもよい。アジュバントは、すべての当業者に周知の 標準的な薬学的に許容されるアジュバントとすることができ、それについてはこ こで記載する必要はない。 メラノーマのような病気の治療のための薬品(pharmaceuticals)および/また は薬剤(medicaments)の製造におけるMelan−A腫瘍拒絶抗原前駆体の利用 も本発明の特徴である。 すべての前記した目的において、Melan−A腫瘍拒絶抗原前駆体の代わり に、本出願に開示したようなMelan−A特異的モノクローナル抗体としても よいということを銘記しておく。前記mAbと前記TRAPとの両方が、先に述 べたもののような疾患または疾病状態のイン・ヴィトロの判定において診断上に 利用することができる。 本発明の他の態様は、当業者にとって明らかであり、ここで繰り返す必要はな い。 ここに使用した用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用された ものであり、従って、これらの用語および表現を使用するに当たって、図示およ び記載された特徴構成又はその一部のいかなる均等物も除外する意図は無く、本 発明の枠内で様々な改変が可能であると理解される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1998年3月10日(1998.3.10) 【補正内容】請求の範囲 1.腫瘍拒絶抗原前駆体Melan−Aと組換え腫瘍拒絶抗原前駆体rMela n−Aとからなるグループから選択される少なくとも1つのタンパク質からなる 標的に対して特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細 胞ラインATCC HB 12059であって、前記rMe1an−AがSDS −PAGEによる測定で約23kDaの分子量を有するハイブリドーマ細胞ライ ンATCC HB 12059。 2.請求項1のハイブリドーマ細胞ラインATCC HB 12059によって 産生されるモノクローナル抗体。 3.サンプル中の腫瘍拒絶抗原前駆体Melan−Aを判定する方法であって、 前記サンプルを請求項2のモノクローナル抗体に接触させる工程と、前記サンプ ル中におけるMelan−Aの判定として、前記モノクローナル抗体の前記サン プルの構成成分に対する結合を測定する工程とを有する、サンプル中の腫瘍拒絶 抗原前駆体Melan−Aを判定する方法。 4.前記モノクローナル抗体が固相に結合している、請求項3の方法。 5.前記モノクローナル抗体が検出可能なラベルで標識されている、請求項3の 方法。 6. SDS−PAGEによる測定で、約23kDaの分子量を有する、単離組 換えMelan−A腫瘍拒絶抗原前駆体。 7.請求項6の単離Melan−A組換え腫瘍拒絶抗原前駆体とアジュバントと を有する免疫原性組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 21/08 C12P 21/08 G01N 33/574 A G01N 33/574 33/577 B 33/577 C12N 5/00 B (72)発明者 チェン,ヤオ―ツェン アメリカ合衆国 ニューヨーク 10021 ニューヨーク 68ス・ストリート イース ト 525 (72)発明者 ストッカート,エリザベス アメリカ合衆国 ニューヨーク 10021 ニューヨーク ヨーク・アベニュー 1275 (72)発明者 ジャングブルート,エイキム アメリカ合衆国 ニューヨーク 10021 ニューヨーク ヨーク・アベニュー 1275 (72)発明者 オールド,ロイド,ジェイ アメリカ合衆国 ニューヨーク 10105 ニューヨーク アベニュー・オブ・ジ・ア メリカズ 1345

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 腫瘍拒絶抗原前駆体Melan−Aに特異的に結合するモノクローナル抗 体。 2. A103と称される、請求項1のモノクローナル抗体。 3. 請求項1のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞ライン。 4. 前記モノクローナル抗体がA103である、請求項3のハイブリドーマ細 胞ライン。 5. サンプル中の腫瘍拒絶抗原前駆体Melan−Aを判定する方法であって 、前記サンプルを請求項1のモノクローナル抗体に接触させる工程と、前記サン プル中におけるMelan−Aの判定として、前記モノクローナル抗体の前記サ ンプルの構成成分に対する結合を測定する工程とを有する、サンプル中の腫瘍拒 絶抗原前駆体Melan−Aを判定する方法。 6. 前記モノクローナル抗体が固相に結合している、請求項5の方法。 7. 前記モノクローナル抗体が検出可能なラベルで標識されている、請求項5 の方法。 8. 単離された、Melan−A腫瘍拒絶抗原前駆体。 9. 約13キロダルトンの推定分子量を有する、請求項8の単離Melan− A腫瘍拒絶抗原前駆体。 10.SDS−PAGEによる測定で約23キロダルトンの分子量を有する組換 えによって産生されたタンパク質である、請求項8の単離Melan−A腫瘍拒 絶抗 原前駆体。 11.少なくとも1の請求項8の単離タンパク質とアジュバントとを有する免疫 原性組成物(immunogenic composition)。
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