JP2000502947A - 液体から固体微細粒子の分離を可能にする吸引装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明による化学反応媒体（１）における液体成分と固体成分を分離するための装置は、気体（２）に対する不透過性を失うことなくポリマー製またはゴム製の膜を通過することのできる側孔（５）を有する金属製ろ過針（１２）、エンクロージャ（８）の外に液体を吸引することのできる吸引源（７）、液体を排出するためのチャネル（６）、および先端部片（４）を含む。

Description

【発明の詳細な説明】 液体から固体微細粒子の分離を可能にする吸引装置 本発明は、自動的に作動可能な化学製品調製工程を実施するための方法と機器 を目的とする。 自動的な化学製品の合成は、あらゆる種類の理由で、特に安全性向上の必要性 からますます発達している。その上に、多数の反応段階を実施するますます複雑 になる製品の合成は過度の人手を必要とし、合成方法を変えてこの人手を減らす ことが模索されている。 これらの自動的方式による化学製品調製方法は、（樹脂とも呼ばれる）一般に ポリマーの固体担体上にいくつかの反応剤を固定する段階を含むことが多く、次 いで前記固体担体上で適当な方法で反応を起こさせた後に、反応成分から固体担 体を分離する必要があり、この固体担体はそれ自体、反応剤または反応生成物に 結合されている。 化学反応成分とは、反応剤のみならず、反応生成物、および溶媒、共溶媒、触 媒、共触媒、乳化剤、分散剤、消泡剤、補助剤など反応に関与するその他の化学 製品も意味するものとする。 この固体反応担体の分離はさまざまな実用上の問題を提起し、これらの問題は 、自動的合成反応が単一の反応に限られるのではなく、一般に複数の反応の連鎖 を含むだけに一層顕著なものになっている。これらの反応の各々はさまざまな反 応成分を利用しており、分離はできるだけうまく実施することが望ましく、そう しないと混合物はますます複雑になり、二次反応または寄生反応が倍加し、得ら れる生成物はますます不純なものになる。 これらの反応を実施するためのさらなる難点は、このような反応が特定の雰囲 気、例えば不活性雰囲気中で実施される場合が多いこと、および雰囲気を変更す ることなく、または分離の特性を消失させることなく分離を実施するのは困難で あることである。 したがって本発明の一目的は、上記に提起し記載した実用上の問題を解決する 、固体反応担体を分離する手段を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、反応固体担体の簡単で便利な分離と連結された自 動的な化学反応の実施を可能にする、固体反応担体を分離する手段を提供するこ とである。 本発明のもう一つの目的は、自動的化学反応の実施を可能に し、反応媒体上に優勢な雰囲気に対する妨害が最小の、固体反応担体を分離する 手段を提供することである。 今回、これらの目的は本発明による装置ならびに本発明による化学製品調製方 法によって達成されることが判明した。 したがって本発明は、閉鎖された反応エンクロージャ中にある固体粒子と液体 を含む化学反応媒体において反応剤または反応生成物に化学的に結合された担体 である固体成分を分離する方法であって、吸引手段によって前記反応媒体から液 相を吸引する段階を含み、吸引は前記エンクロージャ雰囲気の実質的妨害なしに 行われ、 前記吸引手段か、前記エンクロージャ内部と外部との間の気体交換を実質的に 変更することなく前記エンクロージャ壁面を貫通することができ、 前記吸引手段が、前記エンクロージャ中に貫入することができ、前記エンクロ ージャから出る際に前記エンクロージャが気密性を失うことなく前記エンクロー ジャから出ることができ、 前記吸引手段が、前記壁面が気体に対する気密性を失うことなく前記壁面を穿 孔する手段を具備し、 前記吸引手段がさらに、前記エンクロージャ外部に吸引され た液体を運搬する手段を具備し、この液体運搬手段は前記エンクロージャ中にあ る固体粒子を運搬することができず、 前記吸引手段がさらに、閉塞現象を起こすことなく固体微細粒子を液体から分 離させることのできる手段を具備する方法に関する。 さらに、本発明はまた、液体を閉鎖されたエンクロージャ外に吸引できるよう にする吸引装置であって、 前記吸引手段が、前記エンクロージャ内部と外部との間の気体交換を実質的に 変更することなく前記エンクロージャ壁面を貫通することができ、 前記吸引手段が、前記エンクロージャ中に貫入することができ、前記エンクロ ージャから出る際に前記エンクロージャが気密性を失うことなく前記エンクロー ジャから出ることができ、 前記吸引手段が、前記壁面が気密性を失うことなく前記壁面を穿孔する手段を 具備し、 前記吸引手段がさらに、前記エンクロージャ外部に吸引された液体を運搬する 手段を具備し、この液体運搬手段は前記エンクロージャ中にある固体粒子を運搬 することができず、 前記吸引手段がさらに、閉塞現象を起こすことなく固体微細 粒子を液体から分離させることのできる手段を具備する、吸引装置に関する。 さらに、本発明はまた、閉じた反応エンクロージャならびに液体を前記エンク ロージャ外に吸引する手段を具備する化学反応を行うための機器であって、 前記吸引手段が、前記エンクロージャ内部と外部との間の気体交換を実質的に 変更することなく前記エンクロージャ壁面を貫通することができ、 前記吸引手段が、前記エンクロージャ中に貫入することができ、前記エンクロ ージャから出る際に前記エンクロージャが気密性を失うことなく前記エンクロー ジャから出ることができ、 前記吸引手段が、前記壁面が気体に対する気密性を失うことなく前記壁面を穿 孔する手段を具備し、 前記吸引手段がさらに、前記エンクロージャ外部に吸引される液体を運搬する 手段を具備し、この液体運搬手段は前記エンクロージャ中にある固体粒子を運搬 することができず、 前記吸引手段がさらに、閉塞現象を起こすことなく固体微細粒子を液体から分 離させることのできる手段を具備する、機器に関する。 好ましくは、本発明において用いられる吸引手段は、 液体を吸引することかできる吸引源と、 主として液体排出チャネルとこのチャネルの壁面を備える液体運搬手段と、 このチャネルの端部の一つにあり、ポリマー製またはゴム製の膜を通過できる ようにする切開手段を備えると共に、液体から固体粒子を分離することができる ろ過手段とを備える先端部片とを具備する。 また好ましくは、前記吸引手段は、その排出チャネルと切開手段と先端部片が すべてステンレス金属、有利には同じ金属および／またはただ一つの金属部片か ら構成される。 本発明による方法に有効に適合するために、前記吸引手段は、液体と直径が５ ０ミクロン未満あるいは２５ミクロン末満の固体粒子を区別することができるろ 過手段を有する先端部片を有する。非限定的な例として、ろ過される樹脂はＷａ ｎｇ型またはＭｅｒｒｉｆｉｅｌｄ型あるいは知られている他のどのような型の ものにすることもできる。最も一般的な樹脂は、ヒドロキシ基やアミノ基などの 適切な化学反応基の固着によって例えばジビニルベンゼンで網状化したポリスチ レン樹脂である。こ れらの技術は当業者にはよく知られている。 これらのろ過手段は好ましくは固体粒子によって閉塞されることがない。この ことは、ろ過手段に、一方では液体排出チャネルが閉じたエンクロージャ液相に 直接アクセスしないように液体排出チャネルを塞ぐ壁面と、他方では排出チャネ ルに対して有利には横方向に配置された複数の細かいすき間を含めることによっ て達成される。 本発明の一変形例によれば、この複数の細かいすき間は、直径が５０ミクロン 未満あるいは２５ミクロン未満の多数（数１０個）の直線状の小さな孔からなる 。これらの孔を排出チャネルの中央からチャネルの外側の方向に放射状に配置す ると有利である。 本発明の別の一変形例によれば、この複数の細かいすき間は、幅か５０ミクロ ン未満あるいは２５ミクロン未満で、長さが一般に１ｍｍを越えかつ／または５ ｍｍ未満である（一般に、液体排出チャネルの長さに沿って、すなわち長さ方向 に平行に配置されている）複数のスリットからなる。 本発明の別の一変形例によれば、ろ過手段は排出チャネルに固定された（一般 に溶接された）多孔性先端部片によって構成 され、この多孔性先端部片の孔隙率は直径が５０ミクロン末満あるいは２５ミク ロン末満のすき間に相当する。 閉じた反応エンクロージャを含む化学反応実施用の機器、ならびに前記エンク ロージャ外に液体を吸引する手段に関する本発明の態様によれば、前記エンクロ ージャは一般に、吸引手段が穿孔できる壁面としてポリマー材料またはゴム材料 製の壁面または蓋を具備する。このような壁面はときに隔壁の名で示される一つ の小さな円板で構成することができる。 本発明による装置と機器の特定の実施形態のさらに詳しい説明を第１図に挙げ る。 この図において、穿孔可能な壁面すなわち隔璧３を備えた閉じたエンクロージ ャ８が示されている。このエンクロージャは雰囲気２と液相１を含み、液相１中 にサイズが約２５ミクロンの樹脂粒子が懸濁状で存在している。吸引手段は、吸 引源７、液体排出チャネル６、およびろ過手段を含む。この吸引手段は、チャネ ル６を塞ぐ閉塞壁面４と、サイズが２５ミクロン末満の多数（５０以上）の側孔 ５ａ、５ｂを有する。閉塞壁面４を有する排出チャネル６は内径が０．１〜３ｍ ｍの針１２の形状を有する。このチャネル６付き針１２は液体運搬手段に属する 。 本発明による方法の実施は、エンクロージャ８中で化学反応を実施すること、 次いで壁面３を通って液体１に達するまで針１２を通過させること（これは雰囲 気２を妨害しない）を含む。したがって液体の吸引は、吸引源７がチャネル６を 介して吸引する効果とろ過剤５によって行われる。エンクロージャ８の外に針１ ２を引き出した後に、エンクロージャ８の底部に吸引されなかった固体が残存し 、その上に妨害されていない雰囲気２が残存する。 吸引手段の一変形例を第２図に示すが、この図では、ろ過手段は閉塞壁面４に 加えて複数のスリット９を含むことがわかる。非限定的な一実施形態では、この スリットの幅は３０ミクロン、長さは２ｍｍである。 吸引手段の一変形例を第３ａ図に示すが、この図では、ろ過手段は閉塞璧面４ に加えて複数の孔１０を含むことがわかる。これらの孔は、針１２の壁面の物質 中に直接設けられるか、またはさらにこの針に溶接された延長部に設ける。非限 定的な一実施形態では、ろ過針１２は２ｍｍの直径を有するが、これらの孔は３ ０ミクロンの直径を有する。第３ｂ図は、針１２の内部の排出チャネル６と孔１ ０の放射状配置とを示す針１２の横 断面を示す。 吸引手段の一変形例を第４図に示すが、この図では、ろ過手段が閉塞璧面４に 加えて排出チャネルに溶接された（側面多孔性の）多孔性先端部片１１を含むこ とがわかる。 本発明による方法は、本発明による装置によって有利に実施され、閉じたエン クロージャ２中にある固体粒子を含む化学反応媒体を有する固体成分と液体を分 離することからなり、前記化学反応媒体を有する固体成分は、反応剤または反応 生成物に化学的に結合する担体であり、前記方法は吸引手段による前記反応媒体 の液相を吸引する段階を含み、前記エンクロージャ雰囲気の実質的妨害なしに吸 引が行われる。 第５ａ図は、溶媒１３と樹脂１４を含む反応媒体中における長いスリット９を 有する針１２を示す。溶媒は反応剤またはいくつかの可溶性反応生成物を含むこ とができる。樹脂１４は、この樹脂に固定された反応生成物を含むことができる 。非限定的な例として、樹脂を、トランスエステル化反応によってエステルと完 全にまたは部分的に反応したポリヒドロキシル化不溶性網状化ポリマーにするこ とができ、これはその上に複数のエステル基が固定された樹脂を生成する。した がって樹脂は化学 反応媒体を有する固体成分である。 第５ａ図は吸引による分離の前の状況を示し、第５ｂ図は、本発明による方法 を適用した後の状況、すなわち本発明の方法による吸引によって分離した後の状 況を示す。この第５ｂ図では、溶媒１３はなくなり、樹脂１４は針１２のスリッ ト９または孔１０に対してさらに吸引されている。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．液体、特に化学反応媒体を閉鎖されたエンクロージャ（８）の外に吸引でき るようにする吸引装置（４＋５＋６＋７＋１２）であって、 前記吸引手段が、前記エンクロージャ内部と外部との間の気体交換を実質的に 変更することなく前記エンクロージャ壁面（３）を貫通することができ、 前記吸引手段が、前記エンクロージャ中に貫入することができ、前記エンクロ ージャから出る際に前記エンクロージャの気体（２）に対する気密性を失うこと なく前記エンクロージャから出ることができ、 前記吸引手段が、前記壁面の気体に対するその気密性を失うことなく前記壁面 を穿孔する手段（１２）を具備し、 前記吸引手段がさらに、前記エンクロージャ外部に吸引された液体を運搬する 手段（５ａ、５ｂ）を具備し、この液体運搬手段は前記エンクロージャ中にある 固体粒子を運搬することができず、 前記吸引手段がさらに、閉塞現象を起こすことなく固体微細 粒子を液体（１）から分離させることのできる手段（９、１０、１１）を具備す る吸引装置。 ２．液体を吸引することのできる吸引源（７）と、液体排出チャネル（６）と、 このチャネルの端部の一つにある先端部片（４）とを具備し、この先端部片（４ ）がポリマー材料またはゴム材料でできた膜を貫通できるようにする切開手段（ １２）を含むと共に、液体から固体粒子を分離することのできるろ過手段(５、 ９、１０、１１)を含む、請求の範囲第１項に記載の装置。 ３．排出チャネルと切開手段と先端部片がすべてステンレス金属、有利には、同 じ金属および／またはただ一つの金属部片から構成される、請求の範囲第１項ま たは第２項に記載の装置。 ４．液体と直径が５０ミクロン未満あるいは２５ミクロン未満の固体粒子を区別 することができるろ過手段を具備する先端部片を有する吸引手段を含む、上記請 求の範囲のいずれか一項に記載の装置。 ５．ろ過手段が好ましくは固体粒子によって閉塞されることがない、上記請求の 範囲のいずれか一項に記載の装置。 ６．ろ過手段か液体排出チャネルが閉じたエンクロージャ液相に直接アクセスし ないように液体排出チャネルを塞ぐ璧面を含 むと共に、排出チャネルに対して横方向に配置された複数の細かいすき間を含む 、請求の範囲第５項に記載の装置。 ７．複数の細かいすき間が直径が５０ミクロン末満、好ましくは２５ミクロン未 満の多数の直線状の小さな孔からなる、請求の範囲第６項に記載の装置。 ８．孔が排出チャネルの中央からチャネルの外側の方向に放射状に配置されてい る、請求の範囲第７項に記載の装置。 ９．複数の細かいすき間が幅が５０ミクロン未満、好ましくは２５ミクロン未満 の複数のスリットからなる、請求の範囲第６項に記載の装置。 １０．スリットの長さが１ｍｍを越えかつ／または５ｍｍ未満である、請求の範 囲第６項に記載の装置。 １１．ろ過手段が排出チャネルに固定された（好ましくは溶接された）多孔性先 端部片によって構成され、この多孔性先端部片の孔隙率は直径が５０ミクロン未 満または２５ミクロン末満であるすき間に相当する、請求の範囲第５項に記載の 装置。 １２．閉じた反応エンクロージャと上記の請求の範囲のいずれか一項に記載の装 置を含む、化学反応を実施するための機器。 １３．閉じた反応エンクロージャが、吸引手段によって穿孔で きる隔壁として、ポリマー材料またはゴム材料製の壁面または隔璧または蓋を具 備する、請求の範囲第１２項に記載の設備。 １４．前記化学反応媒体を有する固体成分が、反応剤または反応生成物に化学的 に結合する担体であり、前記方法は、請求の範囲第１２項または第１３項に記載 の機器の吸引手段により前記反応媒体の液相を吸引する段階を含む、請求の範囲 第１２項または第１３項に記載の機器の閉じた反応エンクロージャ中にある固体 粒子を含む化学反応媒体において固体成分と液体を分離する方法。