JP2000309835A - 黄銅材及び黄銅材の製造方法、黄銅材の加工方法 - Google Patents

黄銅材及び黄銅材の製造方法、黄銅材の加工方法

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JP2000309835A
JP2000309835A JP36325999A JP36325999A JP2000309835A JP 2000309835 A JP2000309835 A JP 2000309835A JP 36325999 A JP36325999 A JP 36325999A JP 36325999 A JP36325999 A JP 36325999A JP 2000309835 A JP2000309835 A JP 2000309835A
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Nobuyuki Ashie
伸之 芦江
Ryuji Matsubara
隆二 松原
Katsuaki Nakamura
克昭 中村
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、黄銅材、特にγ相と他の相の硬度
差に依存して切削性を確保する黄銅材において、さらに
切削性を向上させること、およびこのような黄銅材の製
造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明に従う黄銅材は、γ相の面精比率
が6%以上であるとともに、このγ相の平均結晶粒径
(長軸)が20μm以下であることを特徴とする。すな
わち、γ相が存在すると、γ相と他の相の硬度差に依存
して切削性が向上する反面、γ相自体の硬さにより切削
性向上が阻害される傾向があるため、γ相を分散させて
存在させるべく、上記数値範囲にしたのである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は黄銅材及びその製造
方法、製造設備に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、黄銅材の切削性を向上させる方法
としては、C3604に見られるようにβ相に依存し、
Pbを2〜3wt%添加する方法が公知であるが、この
方法では、第1に切削性以外の特性である強度、耐SC
C性に劣る問題があった。また、第2にPb溶出による
環境問題の懸念もあった。
【0003】第3には、鍛造用黄銅材のPb添加量を増
やすと、鍛造時に柔らかいPbに応力集中し、鍛造性が
低下する問題があった。
【0004】第1、第2の問題に対しては、本出願人
は、γ相を有する結晶組織とすることにより、γ相と他
の相の硬度差に依存してC3604に従う快削黄銅棒を
基準とした80以上の切削抵抗指数を確保するほか、強
度、耐SCC性も確保できることをWO98/1010
6にて先に提案している。
【0005】しかしながら、γ相を有する結晶組織とす
るものでは、切削性向上に最適な結晶相比率、最適な製
造方法について十分究明されているとは言い難かった。
【0006】本発明は、黄銅材、特にγ相と他の相の硬
度差に依存して切削性を確保する黄銅材において、さら
に切削性を向上させること、およびこのような黄銅材の
製造方法を提供することを第1の目的とする。
【0007】本発明は、また、Pb以外の添加元素によ
り黄銅材の切削性を向上させることを第2の目的とす
る。
【0008】そして本発明は、この第1、第2の目的を
達成することにより、結果としてPb添加量を低減し、
Pb溶出量を低減するものである。
【0009】さらに本発明は、塑性加工用黄銅材のPb
添加量を低減して塑性加工性低下を抑止するとともに、
Pbに代わる手段により切削性を向上させることを第3
の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明に従う黄銅材は、γ相の面積比率が6%以上である
とともに、このγ相の平均結晶粒径(長軸)が20μm
以下であることを特徴とする。すなわち、γ相が存在す
ると、γ相と他の相の硬度差に依存して切削性が向上す
る反面、γ相自体の硬さにより切削性向上が阻害される
傾向があるため、γ相を分散させて存在させるべく、上
記数値範囲にしたのである。
【0011】また、本発明に従う黄銅材は、γ相の面積
比率が6%以上であるとともに、このγ相の短軸径に対
する長軸径の比率が、平均で3倍以下であることを特徴
とする。すなわち、γ相が細長いと結晶粒の異方性のた
め切削性が低下するため、γ相形状を球状に近づけるべ
く上記数値範囲にしたのである。
【0012】以上の黄銅材における好適な実施形態とし
ては、見掛け上のZn含有量が37〜50wt%で、S
nを0.5〜7wt%含有することにより、γ相中のS
n濃度を8wt%以上にして、γ相の耐食性を向上させ
つつ、γ相の脆性を高めて切削性を向上できる。
【0013】ここで、「見掛け上のZn含有量」という
用語は、AをCu含有量〔wt%〕、BをZn含有量
〔wt%〕、tを添加した第3元素(例えばSn)のZ
n当量、Qをその第3元素の含有量〔wt%〕としたと
き、「{(B+t・Q)/(A+B+t・Q)}×10
0」の意味で用いる。
【0014】具体的には、α相の面積比率が60〜94
%、好ましくは76〜92%、γ相の面積比率が6〜3
5%、好ましくは8〜18%、残部β相(好ましくは面
積比率が0〜10%、さらに好ましくは0〜6%)にす
ることにより、γ相粒界の硬度差に依存して切削性を確
保するばかりか、γ相に依存して強度を確保しつつ、複
数相の存在に依存して耐SCC性を確保できる。
【0015】さらに具体的には、α相の平均結晶粒径を
15μm以下にすることにより、切削性、強度、耐SC
C性をさらに向上することができる。
【0016】本発明に従う黄銅材は、また、結晶組織に
γ相が存在するとともに、このγ相中には、Snと、S
n以外のZn当量が2以上のS等の元素とが含有される
ことを特徴とする。これにより、γ相の脆性が高まり切
削性が向上する。
【0017】好適な実施形態としては、γ相の面積比率
を6%以上にすると切削性向上の効果が顕著になる。ま
た、γ相中において、Snの濃度を8wt%以上、前記
元素の濃度を0.2wt%以上にすると、γ相の脆性が
高まり切削性向上の効果が顕著になる。
【0018】また、本発明に従う黄銅材は、Ti、S
を、好ましくはTiを0.05〜1.0wt%、Sを
0.01〜0.5wt%含有し、結晶組織内にTiSま
たはTiS2が存在することを特徴とする。また、この
TiS、TiS2の他、TaS2のようにCu、Znを
含有しない層状構造の化合物が存在することを特徴とす
る。
【0019】これにより、上記化合物の劈開によって切
削抵抗が低減し、さらに劈開した薄膜の化合物が切削工
具表面に付着することで工具表面が保護され、工具寿命
が向上する。
【0020】以上示してきた黄銅材については、Pbを
含有する黄銅材に用いても良いが、Pbに依存すること
なく切削性向上を図るものであるため、Pbの含有量が
2.5wt%未満である黄銅材や、より好ましくはPb
の含有量が0.01wt%以下である黄銅材に適用する
ことが望ましい。なお、Pb含有量を0.01wt%に
するにはスクラップ材を用いることができずコストアッ
プとなるが、Pb含有量が1.0wt%未満になると、
Pb溶出量が急激に低下して実質的に無視できる量にな
るため、実用上はPb含有量が1.0wt%未満であれ
ばPbによる環境問題は解決できる。
【0021】以上のような結晶組織を有する黄銅材は、
γ相が析出可能な組成を有するとともに、γ相の長軸径
を減少させつつγ相の短軸径を増加させる焼鈍工程を有
してなる黄銅材の製造方法や、γ相が析出可能な組成を
有するとともに、γ相の面積比率を増加させる焼鈍工程
を有してなる黄銅材の製造方法により製造することがで
きる。
【0022】また、焼鈍工程の実施形態としては、β相
の面積比率を減少させることが好ましく、具体的には、
400〜520℃で10分以上、特に430〜460℃
の場合は2時間以上行うことが好ましい。
【0023】さらには、焼鈍工程前に結晶粒径微細化工
程を有することが好ましいが、この結晶粒径微細化工程
は、押し出し時の再結晶によりなされ、見掛け上のZn
含有量が37〜50wt%の黄銅材を、650℃以下の
温度、断面減少率90%以上で熱間押し出しすることで
実現できる。
【0024】続いて、以上示した黄銅材の製造方法によ
り製造される結晶組織、物性値について以下に説明す
る。
【0025】すなわち、焼鈍工程後にγ相の面積比率が
6%以上、γ相の平均結晶粒径(長軸)を20μm以下
である結晶組織のほか、γ相の面積比率が6%以上であ
るとともに、このγ相の短軸径に対する長軸径の比率
が、平均で3倍以下である結晶組織にすることができ
る。
【0026】γ相が析出可能な組成の実施形態として
は、見掛け上のZn量が37〜50wt%で、Snが
0.5〜7wt%の組成を有することが好ましく、その
結果、焼鈍工程後にγ相中のSn濃度を8%wt以上に
することができる。
【0027】また、焼鈍工程前に押し出し温度、断面減
少率を制御する結晶粒径微細化工程を有している場合に
は、この結晶粒径微細化工程後にα相の平均結晶粒径を
15μm以下にすることができる。
【0028】そしてこのように結晶粒径微細化工程を有
している場合には、焼鈍工程後に、黄銅押出し物を40
0℃以下になるまで冷却する冷却工程とを有することに
より、冷却工程後に、(1)日本工業規格JIS C−
3604に従う快削黄銅棒を基準とした80以上の切削
抵抗指数と、(2)200N/mm2以上の0.2%耐
力又は降伏応力を満たすことができる。なお、上記及び
以下に示す切削抵抗指数を満たすのは、刃物材質が焼結
ダイアモンドで、0−0−7−7−30−0−0.4R
(上すくい角ー横すくい角ー前にげ角ー横にげ角ー切り
こみ角ーアプローチ角ーノーズR)のものを用いた場合
である。また、切削油は使わず、送り0.1mm/re
v、切り込み1mmで試験した。
【0029】またSnを0.5〜7wt%含有している
場合は、焼鈍工程後に、黄銅押出し物を400℃以下に
なるまで冷却する冷却工程とを有することにより、冷却
工程後に、(1)日本工業規格JIS C−3604に
従う快削黄銅棒を基準とした80以上の切削抵抗指数
と、(2)黄銅の円筒形試料を14%アンモニア水溶液
上のアンモニア雰囲気中に荷重を加えながら24時間暴
露したとき、試料が割れない最大応力が180N/mm
2以上である耐SCC性と、(3)日本伸銅協会技術標
準JBMA T−303に従う脱亜鉛腐食試験を行なっ
たとき、最大脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と平行な場
合には最大脱亜鉛深さ100μm以下であること、及び
最大脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と直角な場合には最
大脱亜鉛深さ70μm以下であることの少なくとも一方
の条件を満たすような耐食性を有することができる。
【0030】本発明の別な側面では、300℃以上の温
度域又は加工中に再結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性
加工する黄銅材の加工方法であって、Pb含有量が2.
5wt%以下であって、γ相が析出可能な組成を有する
黄銅材を準備する第1の工程と、黄銅材を前記温度域ま
で加熱する第2の工程と、加熱された黄銅材に塑性加工
を施す第3の工程と、塑性加工を施された黄銅材を30
0℃未満の温度域まで冷却する第4の工程と、冷却され
た黄銅材に切削等の除去加工を施す第5の工程と、を具
備し、第5の工程における黄銅材は、γ相の面積比率が
6%以上であるとともに、このγ相の平均結晶粒径(長
軸)が20μm以下である結晶組織をとることができ
る。
【0031】このような加工方法によれば、第3の工程
ではPb添加量が少ないため塑性加工性が確保され、第
5の工程では除去加工性が確保される。
【0032】これは、第5の工程における黄銅材が、γ
相の面積比率が6%以上であり、γ相の短軸径に対する
長軸径の比率が、平均で3倍以下である結晶組織を有す
る場合も同様である。
【0033】なお、以上のような結晶組織を得るために
は、見掛け上のZn含有量が37〜50wt%で、Sn
を0.5〜7wt%含有してことが望ましいが、これに
よりγ相中のSn濃度が8wt%以上である結晶組織に
することもできる。
【0034】また、第5の工程における黄銅材として、
結晶組織にγ相を有するとともに、このγ相中には、S
nと、Sn以外のZn当量が2以上の元素とが含有する
と、上記と同様に塑性加工性、除去加工性を確保できる
が、この場合、γ相の面積比率が6%以上、γ相中で
は、Snの濃度が8wt%以上、前記元素の濃度が0.
2wt%以上であることが好ましく、Sn以外のZn当
量が2以上の元素としてはSが好ましい。
【0035】さらに第5の工程における黄銅材として
は、結晶組織にγ相を有するとともに、このγ相中のS
濃度が0.2wt%以上であるもののほか、結晶組織内
にTiSまたはTiS2を有することにより、上記と同
様に塑性加工性、除去加工性を確保できるが、後者の場
合はTiを0.05〜1.0wt%、Sを0.01〜
0.5wt%含有することが好ましい。
【0036】本発明は、また、300℃以上の温度域又
は加工中に再結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工す
る黄銅材の加工方法であって、Pb含有量が2.5wt
%以下であり、γ相が析出可能な組成を有する黄銅材を
準備する第1の工程と、黄銅材を前記温度域まで加熱す
る第2の工程と、加熱された黄銅材に塑性加工を施す第
3の工程と、塑性加工を施された黄銅材を300℃未満
の温度域まで冷却する第4の工程と、第4の工程を経た
黄銅材のγ相の長軸径を減少させつつγ相の短軸径を増
加させる第5の工程と、第5の工程を経た黄銅材を30
0℃未満の温度域まで冷却する第6の工程と、冷却され
た黄銅材に除去加工を施す第7の工程と、を具備するこ
とができる。
【0037】このような加工方法によれば、第3の工程
ではPb添加量が少ないため塑性加工性が確保され、第
7の工程では除去加工性が確保される。
【0038】これは、第5の工程が、第4の工程を経た
黄銅材のγ相の面積比率を増加させるものであっても同
様である。
【0039】焼鈍工程の実施形態としては、β相の面積
比率を減少させることが好ましく、具体的には、400
〜520℃で10分以上、特に430〜460℃の場合
は2時間以上行うことが好ましい。
【0040】また、以上の加工方法により、第7の工程
における黄銅材としては、γ相の面積比率が6%以上で
あるとともに、このγ相の平均結晶粒径(長軸)が20
μm以下である結晶組織のほか、γ相の面積比率が6%
以上であるとともに、このγ相の短軸径に対する長軸径
の比率が、平均で3倍以下である結晶組織が得られる。
【0041】組成的には、Pbの含有量を0.01wt
%以下にすることが望ましいが、Pbの含有量を1.0
wt%未満にすれば実質的に環境問題は解決できる。
【0042】また、見掛け上のZn含有量を37〜50
wt%、Sn含有量を0.5〜7wt%にすることが好
ましく、これによりγ相中のSn濃度が8%wt以上で
ある結晶組織を有することができる。
【0043】さらには、第1の工程では、熱間押し出し
して黄銅押出し物を作るとともに、熱間押し出し時の温
度、断面減少率を制御して結晶粒径を微細化する押し出
し工程を含むことが好ましい。
【0044】これにより、第3の工程では、α相の平均
結晶粒径が15μm以下である結晶組織が得られて、塑
性加工性が向上する。
【0045】なお、第3の工程の結晶組織としては、α
相+β相の2相で、β相の面積比率が30%以上である
結晶組織のほか、Snを0.5〜7wt%含有してお
り、α相+β相+γ相の3相で、β相+γ相の面積比率
が30%以上である結晶組織が好ましい。
【0046】また、第1の工程で上記した押し出し工程
を含む場合には、第7の工程における黄銅材は、(1)
日本工業規格JIS C−3604に従う快削黄銅棒を
基準とした80以上の切削抵抗指数と、(2)200N
/mm2以上の0.2%耐力又は降伏応力を満たすこと
ができる。
【0047】特に、Snを0.5〜7wt%含有する場
合には、第7の工程における黄銅材は、(1)日本工業
規格JIS C−3604に従う快削黄銅棒を基準とし
た80以上の切削抵抗指数と、(2)黄銅の円筒形試料
を14%アンモニア水溶液上のアンモニア雰囲気中に荷
重を加えながら24時間暴露したとき、前記試料が割れ
ない最大応力が180N/mm2以上である耐SCC性
と、(3)日本伸銅協会技術標準JBMA T−303
に従う脱亜鉛腐食試験を行なったとき、最大脱亜鉛浸透
深さ方向が加工方向と平行な場合には最大脱亜鉛深さ1
00μm以下であること、及び最大脱亜鉛浸透深さ方向
が加工方向と直角な場合には最大脱亜鉛深さ70μm以
下であることの少なくとも一方の条件を満たすような耐
食性を有することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を以下詳説す
る。図1〜3は、本発明に係る実施例1〜8と比較例と
の、各種対比表である。
【0049】切削性は、快削黄銅棒(JIS C360
4)を基準とした切削抵抗指数が棒材の場合、80未満
を×、80以上を○とし、85以上を◎とした。
【0050】この切削抵抗指数について図4を用いて詳
説すると、切削試験では、旋盤で丸棒状の試料1の周面
を100〔m/min〕と400〔m/min〕の2つ
の異なる速度で切削しつつ、主分力Fvを測定した。な
お、刃物材質は焼結ダイアモンドで、0−0−7−7−
30−0−0.4R(上すくい角ー横すくい角ー前にげ
角ー横にげ角ー切りこみ角ーアプローチ角ーノーズR)
のものを用いた。また、切削油は使わず、送り0.1m
m/rev、切り込み1mmで試験した。切削抵抗指数
は、主分力に対する切削性が最も良いといわれる快削黄
銅棒(日本工業規格JIS C−3604)の主分力の
百分率である。(切削速度毎の切削抵抗指数を平均し
た。)
【0051】図1〜3からわかるように、実施例1〜8
は、γ相の面積比率が6〜35%の最適範囲であり、か
つγ相の結晶粒径が10μm以下と小さく適宜分散して
いるため、切削性に優れている。なお、図には示してい
ないが、実施例1〜8は、α相の面積比率が60〜94
%、β相の面積比率が0〜10%、α相の平均結晶粒径
15μm以下の結晶組織を有しているものである。
【0052】このように、γ、α相の結晶粒径を微細化
するには、見掛け上のZn含有量が37〜50wt%の
黄銅材を、650℃以下の温度、断面減少率90%以上
で熱間押し出しすることにより実現できる。ここで、
「見掛け上のZn含有量」という用語は、AをCu含有
量〔wt%〕、BをZn含有量〔wt%〕、tを添加し
た第3元素(例えばSn)のZn当量、Qをその第3元
素の含有量〔wt%〕としたとき、「{(B+t・Q)
/(A+B+t・Q)}×100」の意味で用いる。
【0053】また、Pbを含有していない実施例1〜3
が、Pbを含有する実施例4〜8と同等以上の切削性を
示すのは、γ相中にZn当量2以上の元素としてSnと
Sを適量含有し、γ相の脆性が高まったからである。
【0054】これに対して比較例は、γ相の結晶粒径は
20μm以下でありそこそこに微細化されているが、γ
相の面積比率が低いため、切削性に劣っている。
【0055】さらに実施例1〜8の中では、実施例1
は、γ相の短軸径に対する長軸径の比率が3倍以下であ
るため、特に切削性に優れている。すなわち、γ相が細
長いと結晶粒の異方性のため切削性が低下するため、γ
相形状を球状に近づけるべく上記数値範囲にしたのであ
る。
【0056】実施例1のようにγ相の短軸径に対する長
軸径の比率を小さくするのは、見掛け上のZn含有量が
37〜50wt%、Sn含有量が0.5〜7wt%の組
成であれば、押出し成形後に400〜520℃で10分
以上焼鈍するほか、430〜460℃で2時間以上焼鈍
することにより行える。この焼鈍によれば、γ相の長軸
径が減少しつつγ相の短軸径が増加するため、上記比率
を3倍以上から3倍未満へすることができるばかりか、
β相の面積比率を減少させつつγ相の面積比率を増加さ
せて、γ相の面積比率を6%未満から6%以上にするこ
とができるのである。
【0057】また、実施例3は、Ti、Sを含有するこ
とにより、結晶組織内にTiSまたはTiS2が存在し
ている。これにより、TiSのような化合物の劈開によ
って切削抵抗が低減し、さらに劈開した薄膜の化合物が
切削工具表面に付着することで工具表面が保護され、工
具寿命が向上するのである。
【0058】以上示した実施例1〜8は、また、γ相中
のSn濃度が8wt%以上であるため、耐食性(耐脱亜
鉛腐食性)にも優れた特性を示す。すなわち、日本伸銅
協会技術標準(JBMA T−303)による脱亜鉛腐
食試験で最大脱亜鉛深さが、加工方向と平行な場合は1
00μm以下、加工方向と直角な場合は70μm以下と
いうものである。
【0059】実施例1〜8は、さらに、強度、耐SCC
性、耐エロージョン腐食性についても優れた特性を示
す。すなわち、まず強度としては、200N/mm2以
上の0.2%耐力又は降伏応力を満たす。
【0060】さらに耐SCC性は、円筒形試料を14%
アンモニア水溶液上のアンモニア雰囲気中に応力180
N/mm2の荷重を加えながら24時間暴露したとき試
料が割れない、という特性を有する。
【0061】この耐SCC性試験は、図5に示すよう
に、ガラスデジケータ2内で円筒状の試料3に垂直に荷
重を加えた状態で、NH3蒸気雰囲気中に24時間暴露
した後、割れの発生を調査した。
【0062】Pb溶出による環境問題に対処するには、
Pbを含有しない実施例1〜3が好ましいが、Pbを0
にするにはスクラップ材を用いることができないため、
コストアップになってしまう問題が生じる。すなわち、
Pbを多少含有しても、Pb溶出量を十分小さくする方
が現実的であると言える。
【0063】図1、図4を参照してPb含有量とPb溶
出量の関係を見てみると、比較例2がPbを2.8%含
有しPb溶出量が5μg/Lであるのに対して、実施例
5〜8はPb含有量が小さく、Pb溶出量も小さいが、
特にPb含有量が1.0%未満の実施例7、8ではPb
溶出量が急激に減少し、実質的にPb溶出がない状態に
なっている。これは、耐食性(耐脱亜鉛腐食性)が優れ
ている特性による波及効果と考えられる。
【0064】ここで、図4におけるPb溶出量は、JI
S S3200−7に従う浸出性能試験方法の末端給水
用具の試験方法に準拠した方法で実施し、分析値に水栓
の場合と同様の補正を行った値である。
【0065】次に、図1、4を参照してPb含有量と鍛
造性の関係を見てみると、実施例5〜8はPb含有量が
小さいため、何れも比較例2に比べて優れた限界圧縮率
を示している。この実施例5〜8は、単にPb含有量が
小さいだけでなく、α相の結晶粒径が15μm以下であ
り、α相+β相+γ相の3相で、β相+γ相の面積比率
が30%以上である鍛造性に最適な結晶組織を有してい
るため、何れの限界圧縮率も比較例2に比べてかなり高
い値となっている。
【0066】この結晶組織が鍛造性が優れるのは、粒径
微細化に基づく異相界面の増加、粒界滑り促進のためで
あり、ほかにこのような結晶組織としては、α相+β相
の2相で、β相の面積比率が30%以上である結晶組織
がある。
【0067】ここで、限界圧縮率は、φ30mm、長さ
30mmの試験片を用いて、油圧プレスによる初期歪み
速度0.9/secの圧縮試験(アップセット試験)を
行ない、450℃において表面に割れが発生しない圧縮
率を指すものとする。また、結晶組織は450℃におけ
る面積比率を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う実施形態の実施例1〜8と比較例
1、2の対比表(組成、γ相面積比率)
【図2】同実施例1〜4と比較例1の対比表(γ相粒
径、特性)
【図3】同実施例5〜8と比較例2の対比表(γ相粒
径、特性)
【図4】同実施形態の切削試験の説明図
【図5】同実施形態の耐応力腐食割れ性(耐SCC性)
試験の説明図
【符号の説明】
1…試料、2…ガラスデジケータ、3…円筒状の試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 691 C22F 1/00 691C 694 694A 694B

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 γ相の面積比率が6%以上であるととも
    に、このγ相の平均結晶粒径(長軸)が20μm以下で
    ある黄銅材。
  2. 【請求項2】 γ相の面積比率が6%以上であるととも
    に、このγ相の短軸径に対する長軸径の比率が、平均で
    3倍以下である黄銅材。
  3. 【請求項3】 見掛け上のZn含有量が37〜50wt
    %で、Snを0.5〜7wt%含有してなる請求項1ま
    たは2記載の黄銅材。
  4. 【請求項4】 γ相中のSn濃度が8wt%以上である
    請求項1〜3の何れか記載の黄銅材。
  5. 【請求項5】 結晶組織にγ相が存在するとともに、こ
    のγ相中には、Snと、Sn以外のZn当量が2以上の
    元素とが含有されてなる黄銅材。
  6. 【請求項6】 γ相の面積比率が6%以上である請求項
    5記載の黄銅材。
  7. 【請求項7】 γ相中では、Snの濃度が8wt%以
    上、前記元素の濃度が0.2wt%以上である請求項5
    または6記載の黄銅材。
  8. 【請求項8】 前記元素がSである請求項5〜7の何れ
    か記載の黄銅材。
  9. 【請求項9】 結晶組織中にγ相が存在するとともに、
    このγ相中のS濃度が0.2wt%以上である黄銅材。
  10. 【請求項10】 Ti、Sを含有し、結晶組織内にTi
    SまたはTiS2が存在してなる黄銅材。
  11. 【請求項11】 Tiを0.05〜1.0wt%、Sを
    0.01〜0.5wt%含有してなる請求項10記載の
    黄銅材。
  12. 【請求項12】 Cu、Znを含有しない層状構造の化
    合物が存在してなる黄銅材。
  13. 【請求項13】 Pbの含有量が2.5wt%未満であ
    る請求項1〜12の何れか記載の黄銅材。
  14. 【請求項14】 Pbの含有量が1.0wt%未満であ
    る請求項1〜13の何れか記載の黄銅材。
  15. 【請求項15】 Pbの含有量が0.01wt%以下で
    ある請求項14記載の黄銅材。
  16. 【請求項16】 γ相が析出可能な組成を有するととも
    に、γ相の長軸径を減少させつつγ相の短軸径を増加さ
    せる焼鈍工程を有してなる黄銅材の製造方法。
  17. 【請求項17】 γ相が析出可能な組成を有するととも
    に、γ相の面積比率を増加させる焼鈍工程を有してなる
    黄銅材の製造方法。
  18. 【請求項18】 焼鈍工程が、400〜520℃で10
    分以上行われるものである請求項16または17記載の
    黄銅材の製造方法。
  19. 【請求項19】 焼鈍工程が、430〜460℃で2時
    間以上行われるものである請求項16または17記載の
    黄銅材の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記焼鈍工程後にγ相の面積比率が6
    %以上、γ相の平均結晶粒径(長軸)が20μm以下で
    ある結晶組織を有してなる請求項16〜19の何れか記
    載の黄銅材の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記焼鈍工程後に、γ相の面積比率が
    6%以上であるとともに、このγ相の短軸径に対する長
    軸径の比率が、平均で3倍以下である結晶組織を有して
    なる請求項16〜20の何れか記載の黄銅材の製造方
    法。
  22. 【請求項22】 見掛け上のZn含有量が37〜50w
    t%で、Snが0.5〜7wt%の組成を有してなる請
    求項16〜21の何れか記載の黄銅材の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記焼鈍工程後に、γ相中のSn濃度
    が8%wt以上である請求項22記載の黄銅材の製造方
    法。
  24. 【請求項24】 前記焼鈍工程前に、熱間押し出しして
    黄銅押出し物を作るとともに、熱間押し出し時の温度、
    断面減少率を制御して結晶粒径を微細化する押し出し工
    程を有し、 前記焼鈍工程は、前記黄銅押出し物を、γ相の長軸径を
    減少させつつγ相の短軸径を増加させるとともに、γ相
    の面積比率を増加つつβ相の面積比率を減少させるもの
    である請求項16〜23の何れか記載の黄銅材の製造方
    法。
  25. 【請求項25】 前記焼鈍工程後に、前記黄銅押出し物
    を400℃以下になるまで冷却する冷却工程を有し、前
    記冷却工程後に、(1)日本工業規格JISC−360
    4に従う快削黄銅棒を基準とした80以上の切削抵抗指
    数と、(2)200N/mm2以上の0.2%耐力又は
    降伏応力を満たしてなる請求項24記載の黄銅材の製造
    方法。
  26. 【請求項26】 Snを0.5〜7wt%含有してお
    り、前記焼鈍工程後に、前記黄銅押出し物を400℃以
    下になるまで冷却する冷却工程を有し、前記冷却工程後
    に、(1)日本工業規格JIS C−3604に従う快
    削黄銅棒を基準とした80以上の切削抵抗指数と、
    (2)黄銅の円筒形試料を14%アンモニア水溶液上の
    アンモニア雰囲気中に荷重を加えながら24時間暴露し
    たとき、前記試料が割れない最大応力が180N/mm
    2以上である耐SCC性を満たしてなる請求項24記載
    の黄銅材の製造方法。
  27. 【請求項27】 Snを0.5〜7wt%含有してお
    り、前記焼鈍工程後に、前記黄銅押出し物を400℃以
    下になるまで冷却する冷却工程を有し、 前記冷却工程
    後に、(1)日本工業規格JIS C−3604に従う
    快削黄銅棒を基準とした80以上の切削抵抗指数と、
    (2)日本伸銅協会技術標準JBMA T−303に従
    う脱亜鉛腐食試験を行なったとき、最大脱亜鉛浸透深さ
    方向が加工方向と平行な場合には最大脱亜鉛深さ100
    μm以下であること、及び最大脱亜鉛浸透深さ方向が加
    工方向と直角な場合には最大脱亜鉛深さ70μm以下で
    あることの少なくとも一方の条件を満たすような耐食性
    を有する請求項24記載の黄銅材の製造方法。
  28. 【請求項28】 300℃以上の温度域又は加工中に再
    結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工する黄銅材の加
    工方法であって、Pb含有量が2.5wt%以下であっ
    て、γ相が析出可能な組成を有する黄銅材を準備する第
    1の工程と、 該黄銅材を前記温度域まで加熱する第2の工程と、 該加熱された黄銅材に塑性加工を施す第3の工程と、 該塑性加工を施された黄銅材を300℃未満の温度域ま
    で冷却する第4の工程と、 該冷却された黄銅材に除去加工を施す第5の工程と、を
    具備し、 該第5の工程における黄銅材は、γ相の面積比率が6%
    以上であるとともに、このγ相の平均結晶粒径(長軸)
    が20μm以下である結晶組織を有してなる黄銅材の加
    工方法。
  29. 【請求項29】 300℃以上の温度域又は加工中に再
    結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工する黄銅材の加
    工方法であって、 Pb含有量が2.5wt%以下であって、γ相が析出可
    能な組成を有する黄銅材を準備する第1の工程と、 該黄銅材を前記温度域まで加熱する第2の工程と、 該加熱された黄銅材に塑性加工を施す第3の工程と、 該塑性加工を施された黄銅材を300℃未満の温度域ま
    で冷却する第4の工程と、 該冷却された黄銅材に除去加工を施す第5の工程と、を
    具備し、 該第5の工程における黄銅材は、γ相の面積比率が6%
    以上であるとともに、このγ相の短軸径に対する長軸径
    の比率が、平均で3倍以下である結晶組織を有してなる
    黄銅材の加工方法。
  30. 【請求項30】 見掛け上のZn含有量が37〜50w
    t%で、Snを0.5〜7wt%含有してなる請求項2
    8または29記載の黄銅材の加工方法。
  31. 【請求項31】 前記第5の工程における黄銅材は、γ
    相中のSn濃度が8wt%以上である請求項30記載の
    黄銅材の加工方法。
  32. 【請求項32】 300℃以上の温度域又は加工中に再
    結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工する黄銅材の加
    工方法であって、 Pb含有量が2.5wt%以下で、Snと、Sn以外の
    Zn当量が2以上の元素を含有し、γ相が析出可能な組
    成を有する黄銅材を準備する第1の工程と、 該黄銅材を前記温度域まで加熱する第2の工程と、 該加熱された黄銅材に塑性加工を施す第3の工程と、 該塑性加工を施された黄銅材を300℃未満の温度域ま
    で冷却する第4の工程と、 該冷却された黄銅材に除去加工を施す第5の工程と、を
    具備し、 該第5の工程における黄銅材は、結晶組織にγ相を有す
    るとともに、このγ相中には、Snと、前記元素とが含
    有されてなる黄銅材の加工方法。
  33. 【請求項33】 γ相の面積比率が6%以上である請求
    項32記載の黄銅材の加工方法。
  34. 【請求項34】 γ相中では、Snの濃度が8wt%以
    上、前記元素の濃度が0.2wt%以上である請求項3
    2または33記載の黄銅材の加工方法。
  35. 【請求項35】 前記元素がSである請求項32〜34
    の何れか記載の黄銅材の加工方法。
  36. 【請求項36】 300℃以上の温度域又は加工中に再
    結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工する黄銅材の加
    工方法であって、 Pb含有量が2.5wt%以下であり、Sを含有し、γ
    相が析出可能な組成を有する黄銅材を準備する第1の工
    程と、 該黄銅材を前記温度域まで加熱する第2の工程と、 該加熱された黄銅材に塑性加工を施す第3の工程と、 該塑性加工を施された黄銅材を300℃未満の温度域ま
    で冷却する第4の工程と、 該冷却された黄銅材に除去加工を施す第5の工程と、を
    具備し、 該第5の工程における黄銅材は、結晶組織にγ相を有す
    るとともに、このγ相中のS濃度が0.2wt%以上で
    ある黄銅材の加工方法。
  37. 【請求項37】 300℃以上の温度域又は加工中に再
    結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工する黄銅材の加
    工方法であって、 Pb含有量が2.5wt%以下であり、Ti、Sを含有
    する黄銅材を準備する第1の工程と、 該黄銅材を前記温度域まで加熱する第2の工程と、 該加熱された黄銅材に塑性加工を施す第3の工程と、 該塑性加工を施された黄銅材を300℃未満の温度域ま
    で冷却する第4の工程と、 該冷却された黄銅材に除去加工を施す第5の工程と、を
    具備し、 該第5の工程における黄銅材は、結晶組織内にTiSま
    たはTiS2を有してなる黄銅材の加工方法。
  38. 【請求項38】 Tiを0.05〜1.0wt%、Sを
    0.01〜0.5wt%含有してなる請求項37記載の
    黄銅材の加工方法。
  39. 【請求項39】 300℃以上の温度域又は加工中に再
    結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工する黄銅材の加
    工方法であって、 Pb含有量が2.5wt%以下であり、γ相が析出可能
    な組成を有する黄銅材を準備する第1の工程と、 該黄銅材を前記温度域まで加熱する第2の工程と、 該加熱された黄銅材に塑性加工を施す第3の工程と、 該塑性加工を施された黄銅材を300℃未満の温度域ま
    で冷却する第4の工程と、 該第4の工程を経た黄銅材のγ相の長軸径を減少させつ
    つγ相の短軸径を増加させる第5の工程と、 該第5の工程を経た黄銅材を300℃未満の温度域まで
    冷却する第6の工程と、 該冷却された黄銅材に除去加工を施す第7の工程と、を
    具備してなる黄銅材の加工方法。
  40. 【請求項40】 300℃以上の温度域又は加工中に再
    結晶を起こす温度域で黄銅材を塑性加工する黄銅材の加
    工方法であって、 Pb含有量が2.5wt%以下であり、γ相が析出可能
    な組成を有する黄銅材を準備する第1の工程と、 該黄銅材を前記温度域まで加熱する第2の工程と、 該加熱された黄銅材に塑性加工を施す第3の工程と、 該塑性加工を施された黄銅材を300℃未満の温度域ま
    で冷却する第4の工程と、 該第4の工程を経た黄銅材のγ相の面積比率を増加させ
    る第5の工程と、 該第5の工程を経た黄銅材を300℃未満の温度域まで
    冷却する第6の工程と、 該冷却された黄銅材に除去加工を施す第7の工程と、を
    具備してなる黄銅材の加工方法。
  41. 【請求項41】 焼鈍工程が、400〜520℃で10
    分以上行われるものである請求項39または40記載の
    黄銅材の加工方法。
  42. 【請求項42】 焼鈍工程が、430〜460℃で2時
    間以上行われるものである請求項39または40記載の
    黄銅材の加工方法。
  43. 【請求項43】 前記第7の工程における黄銅材は、γ
    相の面積比率が6%以上であるとともに、このγ相の平
    均結晶粒径(長軸)が20μm以下である結晶組織を有
    してなる請求項39〜42の何れか記載の黄銅材の加工
    方法。
  44. 【請求項44】 前記第7の工程における黄銅材は、
    γ相の面積比率が6%以上であるとともに、このγ相の
    短軸径に対する長軸径の比率が、平均で3倍以下である
    結晶組織を有してなる請求項39〜43の何れか記載の
    黄銅材の加工方法。
  45. 【請求項45】 Pbの含有量が1.0wt%未満であ
    る請求項39〜44の何れか記載の黄銅材の加工方法。
  46. 【請求項46】 Pbの含有量が0.01wt%以下で
    ある請求項45記載の黄銅材の加工方法。
  47. 【請求項47】 前記黄銅材は、見掛け上のZn含有量
    が37〜50wt%で、Snが0.5〜7wt%の組成
    を有してなる請求項39〜46の何れか記載の黄銅材の
    加工方法。
  48. 【請求項48】 前記第7の工程における黄銅材は、γ
    相中のSn濃度が8%wt以上である結晶組織を有して
    なる請求項47記載の黄銅材の加工方法。
  49. 【請求項49】 前記第1の工程は、熱間押し出しして
    黄銅押出し物を作るとともに、熱間押し出し時の温度、
    断面減少率を制御して結晶粒径を微細化する押し出し工
    程を含んでなる請求項39〜48の何れか記載の黄銅材
    の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記第3の工程では、α相の平均結晶
    粒径が15μm以下である結晶組織を有してなる請求項
    49記載の黄銅材の加工方法。
  51. 【請求項51】 前記第3の工程では、α相+β相の2
    相で、β相の面積比率が30%以上である結晶組織を有
    してなる請求項50記載の黄銅材の加工方法。
  52. 【請求項52】 Snを0.5〜7wt%含有してお
    り、前記第3の工程では、α相+β相+γ相の3相で、
    β相+γ相の面積比率が30%以上である結晶組織を有
    してなる請求項50記載の黄銅材の加工方法。
  53. 【請求項53】 前記第7の工程における黄銅材は、
    (1)日本工業規格JIS C−3604に従う快削黄
    銅棒を基準とした80以上の切削抵抗指数と、(2)2
    00N/mm2以上の0.2%耐力又は降伏応力を満た
    してなる請求項49記載の黄銅材の加工方法。
  54. 【請求項54】 Snを0.5〜7wt%含有してお
    り、前記第7の工程における黄銅材は、(1)日本工業
    規格JIS C−3604に従う快削黄銅棒を基準とし
    た80以上の切削抵抗指数と、(2)黄銅の円筒形試料
    を14%アンモニア水溶液上のアンモニア雰囲気中に荷
    重を加えながら24時間暴露したとき、前記試料が割れ
    ない最大応力が180N/mm2以上である耐SCC性
    を満たしてなる請求項49記載の黄銅材の加工方法。
  55. 【請求項55】 Snを0.5〜7wt%含有してお
    り、前記第7の工程における黄銅材は、(1)日本工業
    規格JIS C−3604に従う快削黄銅棒を基準とし
    た80以上の切削抵抗指数と、(2)日本伸銅協会技術
    標準JBMA T−303に従う脱亜鉛腐食試験を行な
    ったとき、最大脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と平行な
    場合には最大脱亜鉛深さ100μm以下であること、及
    び最大脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と直角な場合には
    最大脱亜鉛深さ70μm以下であることの少なくとも一
    方の条件を満たすような耐食性を有する請求項49記載
    の黄銅材の加工方法。
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