JP2000305960A - 遮音構造設計装置 - Google Patents

遮音構造設計装置

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JP2000305960A
JP2000305960A JP11109272A JP10927299A JP2000305960A JP 2000305960 A JP2000305960 A JP 2000305960A JP 11109272 A JP11109272 A JP 11109272A JP 10927299 A JP10927299 A JP 10927299A JP 2000305960 A JP2000305960 A JP 2000305960A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建物の遮音に関する全体の設計を一括して行
う場合に、過剰対策になるのを避けて、建物構成部材の
コストを最適化できる遮音構造設計装置を提供する。 【解決手段】 建物構成部材の遮音対策の候補となる仕
様を複数記憶する記憶手段を備える。建物内の対象とす
る室の位置、騒音源の種類および位置、上記騒音源から
の騒音が上記室内に達する複数の伝搬経路に関するデー
タを入力するための入力手段(S1〜S4)を備える。
上記データに基づいて、上記騒音源から各伝搬経路を通
して上記室内に侵入する騒音レベルをそれぞれ求め、求
めた騒音レベルを合成して合成騒音レベルを算出する算
出手段を備える(S6〜S8)。上記合成騒音レベルが
目標騒音レベルを下回らないように、上記記憶手段を参
照して建物構成部材の遮音対策の仕様を選択する選択手
段(S9〜S11)を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は遮音構造設計装置
に関する。より詳しくは、建物の室内に様々な騒音伝搬
経路を通して侵入する騒音のレベルを自動的に評価し
て、建物内の音の伝搬に影響を及ぼす建物の構成部材
(建物構造部材や仕上材等)の遮音対策の仕様を自動的
に選択する装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、遮音の観点から建物の構成部材の仕様を設計する場
合、例えば窓や壁を透過して室内に入る騒音のレベルに
基づいて窓サッシや壁の仕様(部材厚さや窓・壁構造)
を選定するという手法がとられている。
【0003】しかしながら、図19に示すように、建物
200の或る室内201で観測される騒音としては、戸
外から窓202を透過して侵入する空気伝搬音A1や、
建物内の機械室から壁206を透過して侵入する空気伝
搬音A2だけでなく、配管206を透過して侵入する空
気伝搬音A3、その他図示しないドア、柱、梁等を透過
して侵入する空気伝搬音がある。また、そのような空気
伝搬音以外に、建物の設備機械203から配管207を
伝達して侵入する固体伝搬音A4や、建物の設備機械2
03,204,205から柱・梁・床・壁206などの
構造部材を伝達して侵入する固体伝搬音A5,A6もあ
る。
【0004】これらの様々な伝搬経路を通して侵入する
騒音のレベルを個別に評価して建物構成部材の遮音対策
の仕様を個別に選定していたのでは、全体の設計が完了
するまでに長時間を要するという問題がある。
【0005】このため、本出願人は、先に、様々な伝搬
経路を通して室内に侵入する騒音レベルを合成して、合
成騒音レベルが目標騒音レベルを超えないように建物構
成部材の遮音対策の仕様を自動的に選択する遮音構造設
計装置を提案した。この遮音構造設計装置によれば、建
物の遮音に関する全体の設計を短時間で一括して行うこ
とができる。しかし、合成騒音レベルが目標騒音レベル
を極端に下回るような過剰対策は、コスト面で不利とな
る。そこで、この発明の目的は、建物の遮音に関する全
体の設計を一括して行う場合に、過剰対策になるのを避
けることができ、したがって建物構成部材のコストを最
適化できる遮音構造設計装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の遮音構造設計装置は、建物の室内
に侵入する騒音のレベルを評価して建物構成部材の遮音
対策の仕様を選択する遮音構造設計装置であって、建物
構成部材の遮音対策の候補となる仕様を複数記憶する記
憶手段と、上記建物内の対象とする室の位置、騒音源の
種類および位置、上記騒音源からの騒音が上記室内に達
する複数の伝搬経路に関するデータを入力するための入
力手段と、上記入力手段を通して入力されたデータに基
づいて、上記騒音源から各伝搬経路を通して上記室内に
侵入する騒音レベルをそれぞれ求め、求めた騒音レベル
を合成して合成騒音レベルを算出する算出手段と、上記
合成騒音レベルが目標騒音レベルを下回らないように、
上記記憶手段を参照して建物構成部材の遮音対策の仕様
を選択する選択手段を備えたことを特徴とする。
【0007】ここで、「目標騒音レベル」には、上限値
と下限値で定められる範囲(幅)を持たせることができ
る。その場合、「目標騒音レベルを超える」とは目標騒
音レベルの上限値を超えることを意味し、「目標騒音レ
ベルを下回る」とは目標騒音レベルの下限値を下回るこ
とを意味する。
【0008】この請求項1の遮音構造設計装置では、ま
ずオペレータが入力手段によって、建物内の対象とする
室の位置、騒音源の種類および位置、並びに上記騒音源
からの騒音が上記室内に達する複数の伝搬経路に関する
データを入力する。なお、オペレータが各伝搬経路上に
存在する建物構成部材の遮音対策の仕様を初期条件とし
て入力しても良いし、次に述べる算出手段がそのような
初期条件を選択しても良い。次に、算出手段が、上記入
力手段を通して入力されたデータに基づいて、上記騒音
源から各伝搬経路を通して上記室内に侵入する騒音レベ
ルをそれぞれ求め、求めた騒音レベルを合成して合成騒
音レベルを算出する。次に、選択手段が、上記合成騒音
レベルが目標騒音レベルを下回らないように、上記記憶
手段を参照して建物構成部材の遮音対策の仕様を選択す
る。このようにして、建物の室内に様々な伝搬経路を通
して侵入する騒音のレベルが総合的に評価され、合成騒
音レベルが目標騒音レベルを下回らないように、建物構
成部材の遮音対策の仕様が自動的に選択される。したが
って、遮音に関する全体の設計を一括して行う場合に、
過剰対策になるのを避けることができる。この結果、建
物構成部材のコストが最適化される。
【0009】請求項2に記載の遮音構造設計装置は、請
求項1に記載の遮音構造設計装置において、上記選択手
段は、上記合成騒音レベルが目標騒音レベルを下回った
とき、上記複数の伝搬経路のうち騒音レベルが上記目標
騒音レベルを下回った伝搬経路について、その伝搬経路
上に存在する建物構成部材の遮音対策の仕様を下げるこ
とを特徴とする。
【0010】この請求項2の遮音構造設計装置では、上
記選択手段は、上記合成騒音レベルが目標騒音レベルを
下回ったとき、上記複数の伝搬経路のうち騒音レベルが
上記目標騒音レベルを下回った伝搬経路について、その
伝搬経路上に存在する建物構成部材の遮音対策の仕様を
下げるので、その仕様変更により過剰対策になるのが効
果的に避けられる。
【0011】請求項3に記載の遮音構造設計装置は、請
求項1に記載の遮音構造設計装置において、上記伝搬経
路は固体伝搬経路と空気伝搬経路を含むことを特徴とす
る。
【0012】この請求項3の遮音構造設計装置では、上
記伝搬経路は固体伝搬経路と空気伝搬経路を含むので、
上記算出手段によって得られる合成騒音レベルの精度が
高まる。
【0013】請求項4に記載の遮音構造設計装置は、請
求項1に記載の遮音構造設計装置において、上記目標騒
音レベルは複数の基準周波数について定められ、上記算
出手段は上記合成騒音レベルを上記各基準周波数につい
て算出し、上記選択手段は、上記いずれかの基準周波数
で上記合成騒音レベルが目標騒音レベルを下回らないよ
うに、建物構成部材の遮音対策の仕様を選択することを
特徴とする。
【0014】この請求項4の遮音構造設計装置では、上
記目標騒音レベルは複数の基準周波数について定められ
ている。これに応じて、上記算出手段は上記合成騒音レ
ベルを上記各基準周波数について算出する。また、上記
選択手段は、上記いずれかの基準周波数で上記合成騒音
レベルが目標騒音レベルを下回らないように、建物構成
部材の遮音対策の仕様を選択する。したがって、遮音に
関する設計精度が高まる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。
【0016】図1は一実施形態の遮音構造設計装置の概
略ブロック構成を示している。この遮音構造設計装置
は、算出手段および選択手段として働くCPU(中央演
算処理装置)を搭載したパーソナルコンピュータ11
と、入力手段としての図示しないキーボードと、MO
(光磁気)ディスクドライブ12と、予測計算用音源デ
ータベース13と、記憶手段としての仕様・対策データ
ベース14とを備えている。パーソナルコンピュータ1
1は、MOディスクドライブ12にセットされたMOデ
ィスクから予測計算用プログラムを読み込んで、後述す
る遮音構造設計処理(図2〜図5)を行うようになって
いる。予測計算用音源データベース13には、騒音源や
振動源の種類と、それらが発生する騒音・振動の周波数
特性(基準周波数である1/1オクターブバンド中心周
波数31.5、63、125、250、500、1k、
2k、4k(Hz)での音圧レベルおよび振動レベル)
とが対応づけて記憶されている。また、仕様・対策デー
タベース14には、様々な建物構成部材について、それ
ぞれ遮音対策の候補となる仕様が複数記憶されている。
すなわち、この仕様・対策データベース14には、内装
材の吸音率データベースAと、部材の音響透過損失デー
タベースBと、配管支持部による振動低減レベルデータ
ベースCと、防振材の振動低減レベルデータベースD
と、内装材の音響放射係数(振動から音への変換係数)
データベースEとを備えている。各データベースA〜E
には、それらの候補仕様についてのコストデータも付加
されている。
【0017】これらのデータベースA〜Eの具体的な中
身を図8(a)〜(e)に抜粋して例示している。図8
(a)に示すように、内装材の吸音率データベースAに
は、1/1オクターブバンド中心周波数63、125、
250、500、1k、2k(Hz)での木毛セメント
板12tの吸音率、グラスウール24k−25mmの吸
音率等がそれぞれ格納されている(ここで、吸音率とは
材料に入射する音をすべて吸収することを1としたとき
の音を吸収する割合(無次元)を意味している。)。ま
た、コストデータとしてそれらの部材の1m2当たりの
単価も格納されている。図8(b)に示すように、部材
の音響透過損失データベースBには、1/1オクターブ
バンド中心周波数125、250、500、1k、2
k、4k(Hz)でのPB21*2+GW+PB21*
2(一般的に用いられる耐火遮音2重壁の構造であっ
て、厚さ21mmの2枚の石こうボードと、グラスウール
と、厚さ21mmの2枚の石こうボードとからなるもの)
の透過損失、FGB12乾式遮音間仕切り(高性能遮音
壁の建設大臣遮音認定を取得している壁構造)の透過損
失等がそれぞれデシベル(dB)単位で格納されてい
る。また、コストデータとしてそれらの仕様の1m2
たりの単価も格納されている。図8(c)に示すよう
に、配管支持部による振動低減レベルデータベースCに
は、1/1オクターブバンド中心周波数31.5、6
3、125、250、500、1k(Hz)でのスタイ
ロフォームの振動低減レベル、ゴム押さえの振動低減レ
ベル等がそれぞれデシベル(dB)単位で格納されてい
る。また、コストデータとしてそれらの部材の1本当た
りの単価も格納されている。図8(d)に示すように、
防振材の振動低減レベルデータベースDには、1/1オ
クターブバンド中心周波数31.5、63、125、2
50、500、1k(Hz)でのコイルばねの振動低減
レベル、湿式浮き床(GW50mm)の振動低減レベル
等がそれぞれデシベル(dB)単位で格納されている。
また、コストデータとしてコイルばねの1個当たりの単
価、湿式浮き床の1m2当たりの単価も格納されてい
る。図8(e)に示すように、内装材の音響放射係数デ
ータベースEには、1/1オクターブバンド中心周波数
63、125、250、500、1k、2k(Hz)で
の石膏ボードの音響放射係数、珪酸カルシウム板の音響
放射係数等がそれぞれデシベル(dB)単位に変換され
て格納されている。また、コストデータとしてそれらの
部材の1m 2当たりの単価も格納されている。
【0018】例えば内装材の吸音率データベースAを用
いると、図9に示すような吸音効果(dB)が得られる
ことが分かる。図9は、機械室110の平面寸法を5m
×6m、天井高さを3mとして表面積を定めた場合に、
天井を木毛セメント板としたときの吸音効果(d
B)、天井をグラスウール32k−50mmとしたと
きの吸音効果(dB)をそれぞれグラフ(記号◇、□)
で表している。なお、グラスウール、ロックウール、ボ
ード類その他の内装材料の吸音率を用いて同様の吸音効
果が得られる。
【0019】また、配管支持部による振動低減レベルデ
ータベースCを用いると、図10〜図12に示すような
防振効果(dB)が得られることが分かる。図10は、
図中(a),(b)に示すように配管107に硬質グラ
スウール112を巻き、その周りを壁106に固定され
た支持具111で把持した場合の、硬質グラスウール1
12による対策効果(dB)をグラフ(記号◇)で表し
ている。図11は、図中(a),(b)に示すように配
管107にゴムパット113を巻き、その周りを壁10
6に固定された支持具111で把持した場合の、ゴムパ
ット113による対策効果(dB)をグラフ(記号□)
で表している。図12は、図中(a),(b)に示すよ
うに配管107を直接支持具111で把持し、支持具1
11の根元と壁106との間にゴムパット114を設け
た場合の、ゴムパット114による対策効果(dB)を
グラフ(記号△)で表している。
【0020】また、防振材の振動低減レベルデータベー
スDを用いると、図13〜図14に示すような防振効果
(dB)が得られることが分かる。図13は、設備機器
104と建物構造体(床)106との間に所定のばね定
数を持つ防振材115を設けた場合の、防振材115に
よる防振効果量(dB)をグラフ(記号△)で表してい
る。この防振材115としてはコイルばね、丸形・角形
ゴムなどを用いることができる。図14は、建物構造体
106上に防振材116を介してコンクリート床117
を設けて湿式浮き床を構成した場合の、防振材116に
よる防振効果量(dB)をグラフ(記号□)で表してい
る。この防振材116としてはグラスウール、ロックウ
ール、丸形・角形ゴム、スタイロフォームなどを用いる
ことができる。
【0021】この遮音構造設計装置は、概略、図2に示
すフローにしたがって次のような遮音構造設計処理を行
う。
【0022】まず、オペレータがキーボードを通して騒
音源・振動源の種類を入力するとともに(図2のS
1)、その騒音源・振動源が存在する音源・振源室(以
下、単に「音源室」と呼ぶ。)の配置、寸法、部材仕様
を入力する(S2)。次に、建物内の対象となる室(こ
れを「受音室」と呼ぶ。)の配置、寸法、部材仕様を入
力する(S3)。また、音源室から騒音および振動を伝
える媒体の配置、寸法、部材仕様を入力する(S4)。
さらに、受音室内における目標騒音レベルとしての要求
性能レベルを入力する(S5)。なお、この要求性能レ
ベルは、上限値と下限値で定められる幅(範囲)を有し
ている(後述)。
【0023】次に、この予測計算用プログラムでは、騒
音源・振動源から受音室内に達する空気伝搬音および固
体伝搬音の各伝搬経路をモデル化する(S6)。空気伝
搬音の伝搬経路としては、騒音源・振動源から窓、ド
ア、柱、梁、配管等の建物構成部材を直接透過して受音
室内に達する伝搬経路や、隣接室の窓、ドア等から戸外
や廊下を経由して廻り込む伝搬経路がある。また、固体
伝搬音の伝搬経路としては、騒音源・振動源から建物内
の配管を伝達して受音室内に達する伝搬経路や、騒音源
・振動源から建物の壁を伝達して受音室内に達する伝搬
経路がある。次に、そのような様々な伝搬経路を通して
受音室内に侵入する各空気伝搬音、各固体伝搬音の騒音
レベル(音圧レベル)をそれぞれ計算する(S7)。そ
して、求めた騒音レベルを合成して合成騒音レベルを算
出する(S8)。このように、様々な伝搬経路を通して
受音室内に侵入する各空気伝搬音、各固体伝搬音の音圧
レベルを合成するので、上記合成騒音レベルの精度を高
めることができる。
【0024】この後、合成騒音レベルと要求性能レベル
との差に基づいて、遮音のための必要対策量または余剰
対策量を算出し(S9)、それに応じて建物構成部材の
遮音対策の仕様を選択する(S10)。最後に対策の妥
当性を判定して処理を終了する(S11)。
【0025】詳しくは、上述のステップS5における要
求性能レベルは、JIS(日本工業規格)、ISO(国
際標準化機構)、日本建築学会などが規定している性能
曲線(等級)を用いて設定される。すなわち、遮音性能
が室間音圧レベル差で定義された場合、この予測計算用
プログラムでは、図6(a)に示すように、1/1オク
ターブバンド中心周波数125、250、500、1
k、2k、4k(Hz)について騒音・振動を減衰させ
る等級(例えばD−50)を設定して、音源室の音圧レ
ベルを100dBと仮定したときその性能曲線(等級)
によって定まる受音室の音圧レベル(この例では65、
57.5、50、45、40、40(dB))を要求性
能レベルの中心として設定する。そして、現場測定では
等級に対する各値から2dB減ずることができるので、
その受音室の音圧レベル+2dBを要求性能レベルの上
限値とする。一方、等級は5dB間隔で定められている
ことから、その受音室の音圧レベル−3dBを要求性能
レベルの下限値とする。上記各中心周波数について合成
騒音レベルが要求性能レベルの範囲内に収まるように、
建物構成部材の遮音対策の仕様を選択することによっ
て、遮音に関する設計精度を高めることができる。な
お、図6(b)に、要求性能レベルの中心(記号□)に
対する上限値と下限値の範囲を実線で表している。
【0026】上記性能曲線としては、室間遮音性能に関
する遮音等級であるD曲線、床衝撃音レベルに関する遮
音等級であるL曲線、建物の内部騒音に関する騒音等級
であるN曲線、および室内騒音、会話や電話の聴取妨害
に関する騒音等級であるNC曲線がある。したがって、
D曲線は隣戸および上下階からの空気伝搬音の性能評価
に適し、L曲線は上階からの床衝撃音(固体伝搬音の一
種)の性能評価に適する。また、N曲線は配管および設
備機器からの固体伝搬音、隣戸および上下階からの空気
伝搬音、外部騒音(空気伝搬音)の性能評価に適する。
さらに、NC曲線は配管および設備危機からの固体伝搬
音、隣戸および上下階からの空気伝搬音の性能評価に適
する。この予測計算用プログラムでは、これらの性能曲
線を適宜選択して使用することができる。
【0027】上述のステップS7における各空気伝搬音
および各固体伝搬音の騒音レベルの算出は、それぞれの
伝搬経路のモデルに応じて、例えば次のi)〜iv)に述
べるような各式を利用して行われる。
【0028】i)騒音源・振動源から窓、ドア、柱、
梁、配管等の建物構成部材(界壁)を直接透過して受音
室内に達する空気伝搬音について ・音源のパワーレベルをPWLo、音源室の全表面積を
So、音源室の吸音力をAoとし、 ・界壁の透過損失をTL、界壁の面積をStとし、 ・受音室の全表面積をSe、受音室の吸音力をAeとす
ると、まず音源室の音圧レベルSPLoは、 SPLo=PWLo+10log10(4/Ao) =PWLo+6−10log10(Ao) …(1) と表される。そして、受音室の音圧レベルSPLeは、
式(1)のSPLoを用いて、 SPLe=SPLo−TL+6+10log10(St/Ae) =SPLo−TL+6+10log10(St)−10log10(Ae) …(2) と表される。なお、戸外に存在する騒音源・振動源から
の空気伝搬音については、式(1)のSPLoとして戸
外の騒音レベルを用いれば良く、式(2)だけで求めら
れる。
【0029】ii)隣接室の窓から戸外を経由して廻り込
む空気伝搬音について 隣接室(音源室)の窓から戸外を経由し受音室の窓を透
過して侵入する空気伝搬音は、次の式を利用して算出さ
れる(木村ほか、「側路伝搬音の影響に関する実験的検
討(その3:バルコニー内での減衰量に関する検
討)」、日本建築学会大会学術講演梗概集(九州)19
98年9月)。
【0030】隣接室(音源室)の窓に面するバルコニー
上の空間1と受音室の窓に面するバルコニー上の空間2
との間で、空間1から空間2へ直進する経路1と、空間
1からバルコニーの手摺りを越えて一旦外へ出た後、再
び外からバルコニーの手摺りを越えて空間2に廻り込む
経路2とを仮定する。経路1による空間2での平均音圧
レベルL2′は、 L2′=L1−TL+10log10(S12/A2) …(3) と表される。ここで、L1は空間1における平均音圧レ
ベル、S12は空間1と空間2との間の境界面の面積、A
2は空間2の吸音力をそれぞれ表している。経路2によ
る空間2での平均音圧レベルL2″を求めるためには、
まず空間1内の平均音圧レベルL1を用いて手摺り上部
開口の放射パワーレベルPWL1Bを算出する。
【0031】 PWL1B=L1−TL1B+10log10(S1B)−6 …(4) ここで、TL1Bは開口部の透過損失(=0)、S1Bは開
口部の面積をそれぞれ表している。次に、この式(4)
のPWL1Bを用いて、空間2への入射パワーレベルPW
2Bを求める。
【0032】 PWL2B=PWL1B−ΔL …(5) ここで、ΔLは回折減衰量を表している。次に、この式
(5)のPWL2Bを用いて、空間2での平均音圧レベル
2″を求める。
【0033】 L2″=PWL2B+10log10(4/A2) …(6) 隣接室(音源室)の窓から戸外を経由し受音室の窓を透
過して侵入する空気伝搬音の音圧レベルは、式(3)の
2′と式(6)のL2″を合成して算出される。
【0034】iii)隣接室のドアから廊下を経由して廻
り込む空気伝搬音について 隣接室(音源室)のドアから廊下を経由し受音室のドア
を透過して侵入する空気伝搬音は、次の式を利用して算
出される(稲留ほか、「側路伝搬音の影響に関する実験
的検討(その5:ドアからの廻り込み音の検討)」、日
本建築学会大会学術講演梗概集(九州)1998年9
月)。
【0035】まず隣接室(音源室)のドアに面する廊下
上の空間1における音圧レベルSPL1は、 SPL1=SPLs−TLdoor+10log10(Sdoor/A1) …(7) と表される。ここで、SPLsは音源室の平均音圧レベ
ル(dB)、TLdoorはドア境界面の透過損失(d
B)、Sdoorはドア面積(m2)、A1は空間1の等価吸
音面積(m2)をそれぞれ表している。そして、受音室
のドアに面する廊下上の空間2における音圧レベルSP
L2は、式(7)のSPL1を用いて、SPL2=SP
L1−TLb+10log10(Sb/A2) …
(8)と表される。ここで、TLbは空間1と空間2と
の間の境界面の透過損失(dB)、Sbはその境界面の
面積(m2)、A2は空間2の等価吸音面積(m2)をそ
れぞれ表している。
【0036】このようにして、隣接室(音源室)のドア
から廊下を経由し受音室のドアを透過して侵入する空気
伝搬音の音圧レベルが算出される。
【0037】iv)騒音源・振動源から建物内の壁や配管
等を伝達して受音室内に達する固体伝搬音について 騒音源・振動源から建物内の壁や配管を伝達して受音室
内に達する固体伝搬音は、次の式を利用して算出される
(稲留、「交通振動による固体伝搬音予測手法の研
究」、(株)奥村組技報No.197、1999年1
月)。
【0038】固体伝搬経路による受音室内の音圧レベル
SPLを求めるためには、まず、騒音源・振動源の振動
加速度レベルVALo(dB)を求める。
【0039】 VALo=F×ZACC …(9) ここで、Fは設備機械の加振力、ZACCは設備機器が設
置された床のアクセレランス(振動特性)をそれぞれ表
している。次に、この式(9)のVALoを用いて、受
音室内各部位の振動加速度レベルVALi(dB)を求
める。
【0040】 VALi=VALo−10log10(ri/ro)−αf1/2(ri−ro) +20log10(ZACCi/ZACC) …(10) ここで、roは騒音源・振動源から基準点(任意の1m
点)までの最短伝搬距離(m)、riは騒音源・振動源
から音源室内各部位までの最短伝搬距離(m)、αは振
動伝達媒体固有の係数(例えばRC造(鉄筋コンクリー
ト造)ではα=0.03、S造(鉄骨造)ではα=0.
005、配管ではα=0.001である。)、fは騒音
・振動の周波数(Hz)、ZACCiは音源室のアクセレラ
ンス(振動特性)をそれぞれ表している。次に、この式
(10)のVALiを用いて、受音室内の音圧レベルS
PL(dB)を求める。
【0041】 SPL=VALi+10log10(S)+10log10(k) −20log10(f)−10log10(A)+36 …(11) ここで、Sは放射面積(m2)、10log10(k)は
放射効率レベル(dB)、Aは受音室内の等価吸音面積
(吸音力)をそれぞれ表している。
【0042】このようにして、騒音源・振動源から建物
内の壁や配管を伝達して受音室内に達する固体伝搬音の
音圧レベルが算出される。
【0043】上述のステップS9〜S11の処理は、詳
しくは図3〜図5に示すフローにしたがって、次のよう
にして行われる。
【0044】i)合成騒音レベルを一旦算出した後(図
3のS21)、この合成騒音レベルと要求性能レベルと
を比較して(S22)、1/1オクターブバンド中心周
波数31.5、63、125、250、500、1k、
2k、4k(Hz)においてそれぞれ合成騒音レベルが
要求性能レベルの上限値を超えているか否かを判断する
(S23)。なお、以下の処理は各中心周波数において
行う。
【0045】ii)合成騒音レベルが要求性能レベルの範
囲内に収まっている(満足している)と判断したとき
は、この遮音構造設計処理を終了する。一方、合成騒音
レベルがいずれかの周波数において要求性能レベルの上
限値を超えているか、またはすべての周波数において要
求性能レベルの下限値を下回っている(満足していな
い)と判断したときは、各伝搬経路毎に、遮音のための
必要対策量を仮計算する(S24)。詳しくは、まずエ
ネルギ合成したときに要求性能レベルを満足できるよう
に、各伝搬経路が達成すべきレベルを表す仮分担レベル
を、 (仮分担レベル)=(要求性能レベル)−10log10(伝搬経路数) …(12) により定める。続いて、各伝搬経路毎の必要対策量を、
既述のステップS7で求めた各伝搬経路毎の音圧レベル
と、この式(12)の仮分担レベルとを用いて、 (各伝搬経路毎の必要対策量) =(各伝搬経路毎の音圧レベル)−(仮分担レベル) …(13) として求める。
【0046】iii)次に、式(13)により求めた必要
対策量に基づいて、各伝搬経路が対策不足であるか否か
を判定する(S25)。ここで、必要対策量がいずれか
の周波数について正の値を示しているときは対策不足で
あり、必要対策量がすべての周波数について負の値を示
しているときは過剰対策であると判断する。この判断
は、対策不足である伝搬経路の数と、過剰対策である伝
搬経路の数とをカウントしながら行う(S26,S2
7)。また同時に、過剰対策である伝搬経路について
は、現状仕様を下げることができるか否かを判断する
(S28)。この判断は、仕様変更が可能な経路数と、
仕様変更が不可能な経路数とをカウントしながら行う
(S29,S30)。
【0047】iv)次に、仕様変更が不可能な伝搬経路の
存在を考慮した上で、対策可能(仕様変更可能)な伝搬
経路が達成すべきレベルを表す最適分担レベルを求める
(S31)。この最適分担レベルは、 (最適分担レベル) =10log10{10^(要求性能レベル/10)) −10^(仕様変更不可能経路の音圧レベル/10) −10log10(対策不足経路数+仕様変更可能経路数)} …(14) により定める。続いて、対策可能な伝搬経路について、
各伝搬経路毎の最適対策量を、既述のステップS7で求
めた各伝搬経路毎の音圧レベルと、この式(14)の最
適分担レベルとを用いて、 (各伝搬経路毎の最適対策量) =(各伝搬経路毎の音圧レベル)−(最適分担レベル) …(15) として求める(図4のS32)。
【0048】v)次に、対策可能な経路について、式
(15)により求めた最適対策量と現状仕様の対策量と
を加算し、その加算値に基づいて図1中に示した仕様・
対策データベース14(図8に中身を例示)を検索し
て、上記加算値に最も近い対策仕様を選定する(S3
3)。詳しくは、この予測計算用プログラムでは、図7
のテーブルに示すように、各伝搬経路毎に、検索すべき
データベースA〜Eが予め定められている。例えば、
配管からの固体伝搬音については、配管支持部による振
動低減レベルデータベースCと、内装材の音響放射係数
データベースEとが検索される。設備機械からの固体
伝搬音については、防振材の振動低減レベルデータベー
スDと、内装材の音響放射係数データベースEとが検索
される。また、配管、ドア、窓、柱、梁などを透過す
る空気伝搬音については、内装材の吸音率データベース
Aと、部材の音響透過損失データベースBとが検索され
る。このように、各伝搬経路毎に、検索すべきデータベ
ースA〜Eが予め定められているので検索効率を高める
ことができ、対策仕様の選定を短時間で完了することが
できる。
【0049】また、上記加算値に近い対策仕様の候補が
複数存在する場合は、コストデータベースを参照するこ
とによって、それらの候補の中で最も低コストであるよ
うな対策仕様を選択できる。
【0050】vi)次に、そのような仕様変更後の伝搬経
路を通して受音室内に侵入する各空気伝搬音、各固体伝
搬音の騒音レベル(音圧レベル)をそれぞれ計算し、求
めた騒音レベルを合成して合成騒音レベルを算出する
(S34)。そして、この合成騒音レベルが要求性能レ
ベルの範囲内に収まっているか否かを判断する(S3
5)。合成騒音レベルが要求性能レベルの範囲内に収ま
っていれば、この遮音構造設計処理を終了する。
【0051】このように、建物の室内に様々な伝搬経路
を通して侵入する騒音のレベルを総合的に評価し、合成
騒音レベルが要求性能レベルの上限値を超えないよう
に、建物構成部材の遮音対策の仕様を自動的に選択する
ので、遮音に関する全体の設計を短時間で一括して行う
ことができる。
【0052】また、複数の伝搬経路のうち騒音レベルが
要求性能レベルの上限値を超えた伝搬経路について、そ
の伝搬経路上に存在する建物構成部材の遮音対策の仕様
を高めるので、その仕様変更により上記合成騒音レベル
を効果的に減少できる。
【0053】vii)一方、合成騒音レベルが要求性能レ
ベルの範囲内に収まっていなければ、過剰対策となって
いるか否か、すなわち合成騒音レベルがすべての中心周
波数について要求性能レベルの下限値を下回っているか
否かを判断する(S36)。合成騒音レベルがすべての
中心周波数について要求性能レベルの下限値を下回って
いると判断したときは、後述する過剰対策処理(図5)
に進む。一方、過剰対策となっておらず、合成騒音レベ
ルがいずれかの中心周波数について要求性能レベルの上
限値を上回っていれば、依然として対策不足になってい
る。このような場合は、まず騒音・振動源の性能変更が
可能であるか否かを判断して(S37)、可能であれ
ば、要求性能レベルを満足し得るような騒音・振動源の
レベルを算定する(S38)。そして、ステップS1へ
戻って再び以降の処理を繰り返す。次に、音源室の配置
を変更することが可能であるか否かを判断して(S3
9)、可能であれば、要求性能レベルを満足し得るよう
な音源室と受音室との間の距離を算定する(S40)。
そして、ステップS2へ戻って再び以降の処理を繰り返
す。騒音・振動源の性能変更も音源室の配置も変更する
ことができなければ、要求性能レベルを変更し、ステッ
プS5へ戻って再び以降の処理を繰り返す。
【0054】viii)過剰対策処理は、図5に示すフロー
にしたがって次のようにして行われる。まず各伝搬経路
毎に余剰対策量を算出する(S51)。次に、過剰対策
である伝搬経路について、現状仕様を下げることができ
るか否かを判断する(S52)。この判断は、仕様変更
が可能な経路数と、仕様変更が不可能な経路数とをカウ
ントしながら行う(S53,S54)。次に、仕様変更
が不可能な伝搬経路の存在を考慮した上で、仕様変更可
能な伝搬経路が達成すべきレベルを表す最適分担レベル
を求める(S55)。この最適分担レベルは、 (最適分担レベル) =10log10{10^(要求性能レベル/10)) −10^(仕様変更不可能経路の音圧レベル/10) −10log10(仕様変更可能経路数)} …(16) により定める。続いて、仕様変更可能な伝搬経路につい
て、各伝搬経路毎の最適対策量を、既述のステップS7
で求めた各伝搬経路毎の音圧レベルと、この式(16)
の最適分担レベルとを用いて、 (各伝搬経路毎の最適対策量) =(各伝搬経路毎の音圧レベル)−(最適分担レベル) …(17) として求める(S56)。
【0055】次に、仕様変更可能な経路について、式
(17)により求めた最適対策量と現状仕様の対策量と
を加算し、その加算値に基づいて図1中に示した仕様・
対策データベース14(図8に中身を例示)を検索し
て、上記加算値に最も近い対策仕様を選定する(S5
7)。
【0056】次に、そのような仕様変更後の伝搬経路を
通して受音室内に侵入する各空気伝搬音、各固体伝搬音
の騒音レベル(音圧レベル)をそれぞれ計算し、求めた
騒音レベルを合成して合成騒音レベルを算出する(S5
8)。そして、この遮音構造設計処理を終了する。
【0057】このように、過剰対策となった場合は、合
成騒音レベルが要求性能レベルの下限値を下回らないよ
うに、建物構成部材の遮音対策の仕様を自動的に選択す
るので、遮音に関する全体の設計を短時間で一括して行
うことができる。
【0058】また、複数の伝搬経路のうち騒音レベルが
要求性能レベルの下限値を下回った伝搬経路について、
その伝搬経路上に存在する建物構成部材の遮音対策の仕
様を下げるので、その仕様変更により余剰対策量を効果
的に減少できる。したがって、遮音対策のためのコスト
を最適化することができる。
【0059】次に、図15〜図18を用いて、この予測
計算プログラムにより建物構成部材の仕様を高める場合
の数値計算例を説明する。
【0060】図15(a)に示すように、要求性能レベ
ルはN−40、すなわち1/1オクターブバンド中心周
波数63、125、250、500、1k、2k、4k
(Hz)について65、53、46、40、37、3
6、36(dB)と設定されているものとし、要求性能
レベルの幅(ここでは下限値)は考えないものとする。
また、図15(b)左欄に示すように、壁を透過する空
気伝搬音の伝搬経路1と、窓を透過する空気伝搬音の伝
搬経路2と、第1機械室からの固体伝搬音の伝搬経路3
と、第2機械室からの固体伝搬音の伝搬経路(仕様変更
不可能)4とが存在するものとし、図2中のステップS
7により、各伝搬経路1〜4の音圧レベルが図15
(b)右欄に示す数値(dB)として求められているも
のとする。なお、図17に、要求性能レベル(記号●)
と各伝搬経路1〜4による音圧レベル(記号△、◇、
□、○)との関係を図示している。
【0061】この場合、図2中のステップS8(すなわ
ち図3中のステップS21)により、合成騒音レベルが
図15(c)右欄に示す数値(dB)として求められ
る。図16に示すように、中心周波数63、125、2
50(Hz)で合成騒音レベル(記号○)が要求性能レ
ベル(記号●)を超えており、建物構成部材の仕様を高
める対策が必要であることが分かる。
【0062】合成したときに要求性能レベルを満足でき
るように、各伝搬経路が達成すべき仮分担レベルは、式
(12)により、図15(d)右欄に示す数値(dB)
として求められる。この結果、各伝搬経路1〜4の必要
対策量は、式(13)により、図15(e)右欄に示す
数値(dB)として求められる。
【0063】続いて、仕様変更が不可能な伝搬経路の存
在を考慮した上で、対策可能(仕様変更可能)な伝搬経
路が達成すべき最適分担レベルが、式(14)により、
図15(f)右欄に示す数値(dB)として求められ
る。この結果、仕様変更が不可能な各伝搬経路4を除外
して、伝搬経路1〜3の最適対策量が、式(15)によ
り、図15(g)右欄に示す数値(dB)として求めら
れる。
【0064】ここで、現状仕様の対策量は図15(h)
右欄に示す数値(dB)であるものとする。対策可能な
伝搬経路1〜3について、図15(g)右欄に示す最適
対策量(dB)と図15(h)右欄に示す現状仕様の対
策量(dB)との加算値は、図15(i)右欄に示す数
値(dB)となる。この加算値(dB)に基づいて図1
中に示した仕様・対策データベース14(図8に中身を
例示)を検索して、上記加算値に最も近い対策仕様を選
定する。
【0065】これにより選定された対策仕様は、図15
(j)右欄に示す数値(dB)であるものとする。その
ような仕様変更後の伝搬経路1〜3と当初仕様と同様の
伝搬経路4を通して受音室内に侵入する各空気伝搬音、
各固体伝搬音の騒音レベル(音圧レベル)をそれぞれ計
算すると、図15(k)右欄に示す数値(dB)とな
る。求めた騒音レベルを合成して対策後の合成騒音レベ
ルを算出すると、図15(l)右欄に示す数値(dB)
となる。図18に、要求性能レベル(記号●)と、当初
の合成騒音レベル(記号○)と、対策後の合成騒音レベ
ル(記号△)とを比較して図示している。この図18か
ら、この対策後の合成騒音レベルが要求性能レベル(の
上限値)を首尾良く下回ったことが分かる。
【0066】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の遮
音構造設計装置では、建物の室内に様々な伝搬経路を通
して侵入する騒音のレベルを総合的に評価し、合成騒音
レベルが目標騒音レベルを下回らないように、建物構成
部材の遮音対策の仕様を自動的に選択するので、遮音に
関する全体の設計を一括して行う場合に、過剰対策にな
るのを避けることができ、したがって建物構成部材のコ
ストを最適化できる。
【0067】請求項2に記載の遮音構造設計装置では、
上記合成騒音レベルが目標騒音レベルを下回ったとき、
上記複数の伝搬経路のうち騒音レベルが上記目標騒音レ
ベルを下回った伝搬経路について、その伝搬経路上に存
在する建物構成部材の遮音対策の仕様を下げるので、そ
の仕様変更により過剰対策になるのを効果的に避けるこ
とができる。
【0068】請求項3に記載の遮音構造設計装置では、
上記伝搬経路は固体伝搬経路と空気伝搬経路を含むの
で、上記合成騒音レベルの精度が高まる。
【0069】請求項4に記載の遮音構造設計装置では、
複数定められた各基準周波数について上記合成騒音レベ
ルを算出し、上記各基準周波数で上記合成騒音レベルが
目標騒音レベルを下回らないように、建物構成部材の遮
音対策の仕様を選択するので、遮音に関する設計精度を
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の遮音構造設計装置の
概略ブロック構成を示す図である。
【図2】 上記遮音構造設計装置の概略動作フローを示
す図である。
【図3】 図2におけるステップS9〜S11の処理を
詳細に示す図である。
【図4】 図2におけるステップS9〜S11の処理を
詳細に示す図である。
【図5】 図2におけるステップS9〜S11の処理の
うち過剰対策処理を詳細に示す図である。
【図6】 要求性能レベルを例示する図である。
【図7】 各伝搬経路毎に、その伝搬経路について検索
すべき対策データベースを関係づけるテーブルを示す図
である。
【図8】 仕様・対策データベースの中身を抜粋して例
示する図である。
【図9】 内装材の対策例とその対策の効果を示す図で
ある。
【図10】 配管支持部の対策例とその対策の効果を示
す図である。
【図11】 配管支持部の対策例とその対策の効果を示
す図である。
【図12】 配管支持部の対策例とその対策の効果を示
す図である。
【図13】 防振材の対策例とその対策の効果を示す図
である。
【図14】 防振材の対策例とその対策の効果を示す図
である。
【図15】 上記遮音構造設計装置により建物構成部材
の仕様を高める場合の数値計算例を示す図である。
【図16】 図15の数値計算例における要求性能レベ
ルと最初に算出された合成騒音レベルとを比較して示す
図である。
【図17】 図15の数値計算例における要求性能レベ
ルと各伝搬経路を通して侵入する騒音レベルとを比較し
て示す図である。
【図18】 図15の数値計算例における要求性能レベ
ル、最初に算出された合成騒音レベルおよび対策後の合
成騒音レベルを比較して示す図である。
【図19】 建物の室内に侵入する騒音の様々な伝搬経
路を例示する図である。
【符号の説明】
11 パーソナルコンピュータ 12 MOディスクドライブ 13 予測計算用音源データベース 14 仕様・対策データベース

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の室内に侵入する騒音のレベルを評
    価して建物構成部材の遮音対策の仕様を選択する遮音構
    造設計装置であって、 建物構成部材の遮音対策の候補となる仕様を複数記憶す
    る記憶手段と、 上記建物内の対象とする室の位置、騒音源の種類および
    位置、上記騒音源からの騒音が上記室内に達する複数の
    伝搬経路に関するデータを入力するための入力手段と、 上記入力手段を通して入力されたデータに基づいて、上
    記騒音源から各伝搬経路を通して上記室内に侵入する騒
    音レベルをそれぞれ求め、求めた騒音レベルを合成して
    合成騒音レベルを算出する算出手段と、 上記合成騒音レベルが目標騒音レベルを下回らないよう
    に、上記記憶手段を参照して建物構成部材の遮音対策の
    仕様を選択する選択手段を備えたことを特徴とする遮音
    構造設計装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の遮音構造設計装置にお
    いて、 上記選択手段は、上記合成騒音レベルが目標騒音レベル
    を下回ったとき、上記複数の伝搬経路のうち騒音レベル
    が上記目標騒音レベルを下回った伝搬経路について、そ
    の伝搬経路上に存在する建物構成部材の遮音対策の仕様
    を下げることを特徴とする遮音構造設計装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の遮音構造設計装置にお
    いて、 上記伝搬経路は固体伝搬経路と空気伝搬経路を含むこと
    を特徴とする遮音構造設計装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の遮音構造設計装置にお
    いて、 上記目標騒音レベルは複数の基準周波数について定めら
    れ、 上記算出手段は上記合成騒音レベルを上記各基準周波数
    について算出し、 上記選択手段は、上記いずれかの基準周波数で上記合成
    騒音レベルが目標騒音レベルを下回らないように、建物
    構成部材の遮音対策の仕様を選択することを特徴とする
    遮音構造設計装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018120502A (ja) * 2017-01-27 2018-08-02 株式会社竹中工務店 音響設計方法及びプログラム
WO2019207952A1 (ja) * 2018-04-24 2019-10-31 株式会社日立製作所 振動騒音対策プラン推奨システム
JP7169721B2 (ja) 2019-03-08 2022-11-11 大成建設株式会社 伝搬音予測方法および伝搬音予測装置

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JP7169721B2 (ja) 2019-03-08 2022-11-11 大成建設株式会社 伝搬音予測方法および伝搬音予測装置

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