JP2000304839A - 到来波測定方法および到来波測定装置 - Google Patents

到来波測定方法および到来波測定装置

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JP2000304839A
JP2000304839A JP11117073A JP11707399A JP2000304839A JP 2000304839 A JP2000304839 A JP 2000304839A JP 11117073 A JP11117073 A JP 11117073A JP 11707399 A JP11707399 A JP 11707399A JP 2000304839 A JP2000304839 A JP 2000304839A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡単な構成で到来波の到来角等を高い
精度で測定することができる到来波測定方法を提供す
る。 【解決手段】 指向性アンテナを回転させ送信側から送
信された連続波を受信し、指向性アンテナの受信信号電
力を測定する。マルチパス伝搬路で遅延した到来波の受
信信号電力の、ある測定地点の複数の測定位置における
指向性アンテナの回転角毎の空間平均値を用い、測定を
回転角の微少な区間毎に行い、到来波の到来角ごとの電
力と、アンテナ利得と、ある回転角における指向性アン
テナの受信信号電力の空間平均値との関係を、連立方程
式で表すことができ、この連立方程式を解くことによっ
て、到来波の到来角および電力を求めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動通信等におけ
る電波伝搬の測定に使用する到来波測定方法および到来
波測定装置に関するものである。特に、マルチパス伝搬
によって、反射や回折等の影響を受けて、送信装置から
複雑な伝搬路を通って受信した到来波の到来方向等を推
定する多重伝搬路特性測定用の到来波測定方法および到
来波測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パラボラアンテナのように指向性
の鋭いアンテナを用いて、到来角、到来波数、および、
到来波の電力等を測定する方法は、アンテナの向いてい
る回転角に対するアンテナ出力端の受信信号電力だけの
関係から、どの方向からどれくらいの電力の到来波が存
在するのかを大まかに測定するものであり、アンテナの
半値角以上の測定精度を得ることは困難とされていた。
【0003】アンテナの半値角とは、受信信号電力レベ
ルが最大となる角度を中心に、受信信号電力レベルが半
分(3dB低下)となる2つの角度間の角度差であり、
指向特性の鋭さを表す。この半値角θ0は、パラボラア
ンテナの場合、アンテナの直径をDとし、波長をλ、C
を70程度の定数としたとき、D=Cλ/θ0で表され
る。したがって、アンテナの指向性を更に鋭くした場合
には、アンテナ直径が非常に大きな物になり、移動通信
での到来波の測定には実用的ではなかった。例えば、3
GHz程度の電波について半値角5°程度のパラボラア
ンテナを作ったとして直径1.4m以上、半値角1°の
場合には直径5×1.4m=7m以上のアンテナが必要
になっていた。
【0004】さらに、パラボラアンテナのサイドロー
ブ、或いはアンテナ側面やアンテナ後方からの電波の回
り込みによって測定精度は大幅に劣化するものであっ
た。特にサイドローブのためにアンテナの向いている方
向以外からの電波も受けてしまう結果、測定精度として
十分な値が得られなかった。また、アンテナ系が大掛か
りなものになってしまうため、車両等周囲が動くことに
より伝搬環境が早く変化する場合には、到来波を正確に
捉えることは困難であった。アンテナを動かしながら測
定するとき、車両等他の移動体によって伝搬環境が早い
変化をしてしまい、正確な測定を困難なものにしてい
た。例えば、指向性の鋭いアンテナを用いる場合、アン
テナ系が大きすぎて、十分な回転速度を得ることが出来
ないため、アンテナの向いていない方向のレベルの変化
までは追随できず、到来波の早い変化を測定することが
困難であった。
【0005】そこで、本出願人は、測定精度の改善方法
として、次のような到来波測定方法を、特願平10−2
01426号として出願している。送信側からは、疑似
ランダム信号で変調された連続波を送信して、受信側に
指向性を有するパラボラアンテナを用い、このパラボラ
アンテナの受信信号の電力を測定する。精度を上げるた
めの解析は、連続波の到来角θについて、測定区間(T
1)をM個の微少区間に分割して、到来角θに関するそ
れぞれの微少区間のi番目に対応して角度θiを割り当
て(i=1,2,3,・・・,M)、さらに、パラボラ
アンテナを回転させ、その回転角(指向性が最大となる
方向の角度)をαとし、この回転角αについて測定区間
T2をM個の微少区間に分割して、回転角αに関するそ
れぞれの微少区間のj番目に対応して、角度αj(j=
1,2,3,・・・,M)を割り当てる。
【0006】この回転角αjに対して測定された受信信
号電力をy(αj)とし、回転角αjに対し、第1の行列
を、
【数9】 とする。
【0007】角度θi−αjに対するパラボラアンテナの
利得を、g(θi−αj)として、第2の行列を
【数10】 として、角度θiに対する到来波の電力をx(θi)とし
て、第3の行列を
【数11】 とする。
【0008】GX=Y (4)すなわち、
【数12】 で表される方程式を、第3の行列
【数13】 について解くことによって、到来波の数、および各到来
波の角度と電力を求める方法を用いていた。
【0009】具体的に、式の持つ意味を説明する。指向
性アンテナで受けた信号は受信信号電力測定装置で測定
されるが、到来波の電力について、次のことが言える。 ある方向(到来角)から入射した電力×その方向(到来角)のアンテナ利得 =その方向(到来角)に対するアンテナ出力端の受信信号電力 (67) ここで、送信電波として、疑似ランダム信号で変調され
たものを用いる理由を説明する。疑似ランダム信号の速
度が十分速い場合には、疑似ランダム信号の1bitの
時間幅よりも、マルチパス伝搬を構成している1つ1つ
の波の遅延時間差の方が大きい。言い換えれば、疑似ラ
ンダム信号の1bitの時間幅が遅延時間差に比べて十
分に短く設定されている。
【0010】このような高速の疑似ランダム信号で変調
された連続波がマルチパス伝搬によって多重化されると
きには、それぞれのパスを通って受信点に到達した複数
の連続波は、1bit以上遅延しているため、お互いが
独立な確率事象と見なすことが出来る。すなわち、それ
ぞれの到来波の電界をf1,f2,…,fnとし、 多重波(f1+f2+…+fn)の分散 =f1の分散+f2の分散+…+fnの分散 (7) が成立する。上述の(7)式の関係は、電界の分散に関
するものであるが、電界の分散は電力に相当する。この
ように、電界の分散と電力とは同様な性質があるため、
(7)式について次のことが言える。回転角αでの指向
性アンテナの出力端の受信信号電力y(α)は、 y(α)=アンテナ出力端の受信信号電力(分散) =(f1+f2+ … +fn)のアンテナ出力端の受信信号電力(分散) = f1のアンテナ出力端の受信信号電力(分散) +f2のアンテナ出力端の受信信号電力(分散) + ………… +fnのアンテナ出力端の受信信号電力(分散) (8)
【0011】したがって、
【数14】 すなわち、
【数15】
【0012】上述した、(9)式の計算過程から分かる
ように、(10)式は疑似ランダム信号が到来すると
き、それぞれのパス間の遅延時間差が疑似ランダム信号
の1bit以上遅延している場合に、y(α)は各パス
から到来した連続波の電力の和として、受信信号電力測
定装置の電力計で読み取ることができることを意味す
る。積分区間は、(10x)式では−π〜πを選んでお
り全周を測定区間としている。
【0013】上述した(10)式は、次の近似式へ変形
することができる。十分大きなMについて、 y(α)=fin(θ1)g(θ1−α)Δθ +fin(θ2)g(θ2−α)Δθ ・・・ +fin(θM)g(θM−α)Δθ (11) ここで、Δθは測定区間T1を十分小さく分割したとき
の角度であり、到来角θの測定区間を−π〜πとしたと
きには、 Δθ=2π/M (12) で与えられる。また、θ1,θ2,・・・,θMは、到来
角θの測定区間をM個の微少区間に分割して、到来角θ
に関するそれぞれの微少区間のi番目に対応して割り当
てられた角度に対する中心点である。また、上述した
(10),(11)式は、指向性アンテナ1が回転角α
の角度を向いたときの電力の測定結果である。
【0014】(11)式において、fin(θ1)Δθ,
in(θ2)Δθ、…,fin(θM)Δθは、それぞれ、
θ1,θ2,…,θMの角度で到来するΔθの区間におけ
る到来波の電力であり、この値を、それぞれx
(θ1),x(θ2),…,x(θM)とすると、受信信
号電力y(α)は、次の形に置き換えることが出来る。 y(α)=x(θ1)g(θ1−α)+x(θ2)g(θ2−α) ・・・ +x(θM)g(θM−α) (13)
【0015】(13)式は、M個の未知数x(θ1),
x(θ2),・・・,x(θM)がある方程式であり、こ
の式を解くために、指向性アンテナ1を回転させ、M個
の点(α1,α2,・・・,αM)について信号レベルの測
定を行う。ここで、αjは、指向性アンテナの測定区間
2をM個の微少区間に分割して、前記指向性アンテナ
の回転角αに関するそれぞれの微少区間のj番目に対応
して割り当てられた回転角である。この測定結果は、記
憶部に記憶される。
【0016】解析部においては、記憶部に記憶された測
定結果とアンテナ利得とを用いて、θ1、θ2、…、θM
の角度のΔθの区間における受信電力x(θ1),x
(θ2),…,x(θM)を解く。すなわち、(7x)式
は、M個のアンテナの回転角α1,α2,…,αMについ
て、次式のように表すことが出来る。 y(α1)=x(θ1)g(θ1−α1)+x(θ2)g(θ2−α1) ……… +x(θM)g(θM−α1) y(α2)=x(θ1)g(θ1−α2)+x(θ2)g(θ2−α2) ……… +x(θM)g(θM−α2) ……………… ……………… y(αM)=x(θ1)g(θ1−αM)+x(θ2)g(θ2−αM) ……… +x(θM)g(θM−αM) (14) (14)式は行列を使うと上述した(4)式で表すこと
ができる。
【0017】しかしながら、この先行技術には次の問題
点がある。 (1) 複数の到来波が到来するときのアンテナ受信信
号電力が、各到来波ごとのアンテナ受信信号電力の単純
加算値になることが成立するためには、複数のパスの疑
似ランダム信号の同士が無相関である、すなわち、到来
波が独立していなければならない。直接波、反射波等の
パスの到達時間差が短くなってくると、到来波が独立し
ているとはいえなくなる。したがって、疑似ランダム信
号としては、チップレートが大きな高速のものを用いる
必要がある。疑似ランダム信号の速度が遅いと、到来波
間の遅延時間差よりも1ビットの信号長の方が長くな
り、それぞれの到来波の独立性が成立しない。それぞれ
の到来波が独立でないときには、上述した(4)式は成
立しない。ところが、疑似ランダム信号を高速化する
と、伝送帯域が広がる結果、受信信号電力を測定する受
信アンプおよび測定器の帯域を広げなければならず、装
置コストが増大する。
【0018】(2)受信帯域を広げることは雑音電力を
増加させるため、測定精度に問題がある。特に、移動通
信における伝搬環境では、激しいフェージングがあるた
め、雑音レベルは、測定可能なダイナミックレンジに直
接影響して、測定そのものを困難にしてしまうという問
題がある。例えば、50Mbpsの高速伝送のために、10
0MHzの帯域を使ったとすると、それだけで10log10
0000=50dBの雑音増加を招き、測定を困難にして
しまう。したがって、高速の疑似ランダム信号で変調さ
れた連続波を用いた場合には、広帯域であってかつ低雑
音の受信アンプおよび測定器が必要となり、簡単な装置
で到来波測定装置を実現することが難しい。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決するためになされたもので、比較的簡単な構
成で到来波の到来角等を高い精度で測定することができ
る到来波測定方法および到来波測定装置を提供すること
を目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記
載の発明においては、指向性アンテナを回転させ、送信
側から送信された連続波を受信し、前記指向性アンテナ
の受信信号電力を測定することにより、1または複数の
到来波の少なくとも到来角θを測定する到来波測定方法
であって、ある地点において複数の測定位置pkが設定
され、該測定位置pkにおける前記指向性アンテナの回
転角αに関し、測定区間がM個の微少区間に分割され、
それぞれの微少区間のj番目に対応して割り当てられた
回転角α j(j=1〜M)に対する前記指向性アンテナ
の受信信号電力y(pk,αj)を測定し、前記地点にお
いて測定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空
間平均値y(αj)として、複数の測定位置pkの少なく
とも一部の測定位置における前記指向性アンテナの受信
信号電力の平均値を計算し、前記到来角θに関し、前記
到来角θの測定区間がM個の微少区間に分割され、それ
ぞれの微少区間のi番目に対して割り当てられた到来角
θi(i=1〜M)、および、前記回転角αjに対し、角
度θi−αjにおける前記指向性アンテナの利得をg(θ
i−αj)として、第1の行列Yを、後述する(1)式と
し、第2の行列Gを、後述する(2)式とし、前記到来
角θiに対する到来波の電力をx(θi)とし、第3の行
列Xを、後述する(3)式として、GX=Yで表される
方程式を、前記第3の行列Xについて解くことにより、
前記1または複数の到来波の少なくとも前記到来角θを
測定するものである。したがって、比較的簡単な、連続
波を受信する構成で到来波の到来角等を高い精度で測定
することができる。
【0021】請求項2に記載の発明においては、請求項
1に記載の到来波測定方法において、前記地点において
測定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平
均値y(αj)を、前記指向性アンテナの回転角αjが所
定の回転角であるときの前記指向性アンテナの受信信号
電力が、前記各測定位置pkの位置差に応じて空間的に
変化する周期のほぼ整数倍の範囲の前記各測定位置pk
における平均値とするものである。したがって、空間平
均を計算する際の周期性の影響を除去することができ
る。特に、複数の測定位置を設定したときの距離範囲を
短くしなければならないときに効果が顕著である。
【0022】請求項3に記載の発明においては、請求項
1に記載の到来波測定方法において、K個の前記測定位
置pkにおける前記指向性アンテナの受信信号電力y
(pk,αj)の平均値を、前記地点において測定された
前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y(α
j)とし、前記各測定位置pkにおける前記指向性アンテ
ナの受信信号電力y(pk,αj)の値に対し、前記空間
平均値y(αj)との差分を自乗した値の、前記回転角
αjの前記測定区間における和が所定値より大きな測定
位置pkを除外した残りの測定位置pkにおける受信信号
電力について平均値をとり、該平均値を新たに前記地点
において測定された前記指向性アンテナの受信信号電力
の空間平均値y(αj)とするものである。したがっ
て、空間平均を計算する際の周期性の影響を除去するこ
とができる。特に、複数の測定位置を設定したときの距
離範囲を短くしなければならないときに効果が顕著であ
る。
【0023】請求項4に記載の発明においては、前記G
X=Yで表される方程式を前記第3の行列Xについて解
く方法は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の到
来波測定方法において、Nを計算上出力される到来波数
を決める任意の自然数とし、N波の到来波を、到来角ψ
1,電力c1の最大の大きさの第1の到来波、ないし、到
来角ψN,電力cNの第Nの到来波としたとき、前記到来
角θiの到来波の電力x(θi)を、x(θi)=c1
(θi−ψ1)+c2h(θi−ψ2)+ … +c Nh(θ
i−ψN)ただし、
【数16】 で表されることを前提として、前記GX=Yの関係に基
づいて得られるy(αj)の値が、前記地点において測
定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均
値y(αj)に近似した値になるように、最初に前記第
1の到来波のc1,ψ1を求め、順次、第Nの到来波のc
N,ψNまでを求め、存在する到来波を最大限N波まで出
力可能とするものである。したがって、測定誤差が伴う
場合にも、到来波の電力が正であるという条件が満足さ
れる到来波の到来角等を測定することができる。
【0024】請求項5に記載の発明においては、請求項
4に記載の到来波測定方法において、前記c1,ψ1を求
め、順次、cN,ψNまでを求める処理は、第1ないし第
Nの処理ステップを有し、前記第1の処理ステップは、
1g(ψ1−αj)と、前記地点において測定された前
記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y
(α j)との差分を自乗した値の、前記回転角αjの前記
測定区間における和が最小になるときのc1,ψ1をc1
≧0の条件のもとで求め、第2の処理ステップは、c2
g(ψ2−αj)にc1g(ψ1−αj)を加算したもの
と、前記地点において測定された前記指向性アンテナの
受信信号電力の空間平均値y(αj)との差分を自乗し
た値の、前記回転角αjの前記測定区間における和が最
小になるときのc2,ψ2をc2≧0の条件のもとで求
め、以下、前記第Nの処理ステップまでの各処理ステッ
プは、同様な処理を繰り返し、前記第Nの処理ステップ
は、cNg(ψN−αj)にc1g(ψ1−αj)ないしc
N-1g(ψN-1−αj)を加算したものと、前記地点にお
いて測定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空
間平均値y(αj)との差分を自乗した値の、前記回転
角αjの前記測定区間における和が最小になるときの
N,ψNを、cN≧0の条件のもとで求めるものであ
る。したがって、電力が正であるという条件が満足され
る到来波の到来角等を正確に測定することができる。
【0025】請求項6に記載の発明においては、請求項
4に記載の到来波測定方法において、前記c1,ψ1を求
め、順次、cN,ψNまでを求める処理は、第1ないし第
Nの処理ステップを有し、前記第1の処理ステップは、
前記地点において測定された前記指向性アンテナの受信
信号電力の空間平均値y(αj)が最大となるときの前
記回転角αjの値をψ1として、c1=y(ψ1)/g
(0)を求め、前記第2の処理ステップは、y(αj
−c1g(ψ1−αj)の値が最大となるときのαjの値を
ψ2として、c2={y(ψ2)−c1g(ψ1−ψ2)}/
g(0)を求め、以下、前記第Nの処理ステップまでの
各処理ステップは同様な処理を繰り返し、前記第Nの処
理ステップは、y(αj)−{c1g(ψ1−αj)+c2
g(ψ2−αj)+…+cN-1g(ψN-1−αj)}の値が
最大となるときのαjの値をψNとして、cN=[y
(ψN)−{c1g(ψ1−ψN)+c2g(ψ2−ψN)+
…+cN-1g(ψN-1−ψN)}]/g(0)を求めるも
のである。したがって、電力が正であるという条件が満
足される到来波の到来角等を簡単に測定することができ
る。
【0026】請求項7に記載の発明においては、指向性
アンテナを回転させ、送信側から送信された連続波を受
信し、前記指向性アンテナの受信信号電力を測定するこ
とにより、1または複数の到来波の少なくとも到来角θ
を測定する到来波測定装置であって、ある地点において
複数の測定位置pkが設定され、該測定位置pkにおける
前記指向性アンテナの回転角αに関し、測定区間がM個
の微少区間に分割され、それぞれの微少区間のj番目に
対応して割り当てられた回転角αj(j=1〜M)に対
して測定された受信信号電力y(pk,αj)を入力し、
前記回転角αjに対する受信信号電力の空間平均値y
(αj)として、複数の測定位置pkの少なくとも一部の
測定位置における前記指向性アンテナの受信信号電力の
平均値を計算する空間平均値計算手段、前記到来角θに
関し、前記到来角θの測定区間がM個の微少区間に分割
され、それぞれの微少区間のi番目に対応して割り当て
られた到来角θi(i=1〜M)、および、前記回転角
αjに対し、角度θi−αjにおける前記指向性アンテナ
の利得g(θi−αj)を出力するアンテナ利得出力手
段、および、前記空間平均値計算手段から出力される前
記回転角αjに対する受信信号電力の空間平均値y
(αj)、および、前記アンテナ利得出力手段から出力
される前記指向性アンテナの利得g(θi−αj)を入力
し、第1の行列Yを、後述する(1)式とし、第2の行
列Gを、後述する(2)式とし、前記到来角θiに対す
る到来波の電力をx(θi)とし、第3の行列Xを、後
述する(3)式として、GX=Yで表される方程式を、
前記第3の行列Xについて解く演算手段を有し、前記1
または複数の到来波の少なくとも前記到来角θを測定す
るものである。したがって、比較的簡単な、連続波を受
信する構成で到来波の到来角等を高い精度で測定するこ
とができる。
【0027】請求項8に記載の発明においては、請求項
7に記載の到来波測定装置において、前記空間平均値計
算手段は、前記指向性アンテナの回転角αjが所定の回
転角であるときの前記指向性アンテナの受信信号電力y
(pk,αj)が、前記各測定位置pkの位置差に応じて
空間的に変化する周期のほぼ整数倍の範囲の前記各測定
位置pkにおける平均値を計算するものである。したが
って、空間平均を計算する際の周期性の影響を除去する
ことができる。特に、複数の測定位置を設定したときの
距離範囲を短くしなければならないときに効果が顕著で
ある。
【0028】請求項9に記載の発明においては、請求項
7に記載の到来波測定装置において、前記空間平均値計
算手段は、K個の前記測定位置pkにおける前記受信信
号電力y(pk,αj)を入力し、前記K個の測定位置p
kにおける前記指向性アンテナの受信信号電力y(pk
αj)の平均値を、前記地点において測定された前記指
向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y(αj)と
し、前記各測定位置pkにおける前記指向性アンテナの
受信信号電力y(pk,αj)の値に対し、前記空間平均
値y(αj)との差分を自乗した値の、前記回転角αj
前記測定区間における和が所定値より大きな測定位置p
kを除外した残りの測定位置pkにおける受信信号電力に
ついて平均値をとり、該平均値を新たに前記地点におい
て測定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空間
平均値y(αj)として出力するものである。したがっ
て、空間平均を計算する際の周期性の影響を除去するこ
とができる。特に、複数の測定位置を設定したときの距
離範囲を短くしなければならないときに効果が顕著であ
る。
【0029】請求項10に記載の発明においては、請求
項7ないし9のいずれか1項に記載の到来波測定装置に
おいて、前記演算手段は、Nを計算上出力される到来波
数を決める任意の自然数とし、N波の到来波を、到来角
ψ1,電力c1の最大の大きさの第1の到来波、ないし、
到来角ψN,電力cNの第Nの到来波としたとき、前記到
来角θiの到来波の電力x(θi)を、x(θi)=c1
(θi−ψ1)+c2h(θi−ψ2)+ … +cNh(θ
i−ψN)ただし、
【数17】 で表されることを前提として、前記GX=Yの関係に基
づいて得られるy(αj)の値が、前記地点において測
定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均
値y(αj)に近似した値になるように、最初に前記第
1の到来波のc1,ψ1を求め、順次、第Nの到来波のc
N,ψNまでを求め、存在する到来波を最大限N波まで出
力可能とするものである。したがって、測定誤差が伴う
場合にも、到来波の電力が正であるという条件が満足さ
れる到来波の到来角等を測定することができる。
【0030】請求項11に記載の発明においては、請求
項10に記載の到来波測定装置において、前記演算手段
は、前記c1,ψ1を求め、順次、cN,ψNまでを求める
処理を実行する第1ないし第Nの処理手段を有し、前記
第1の処理手段は、c1g(ψ1−αj)と、前記地点に
おいて測定された前記指向性アンテナの受信信号電力の
空間平均値y(αj)との差分を自乗した値の、前記回
転角αjの前記測定区間における和が最小になるときの
1,ψ1をc1≧0の条件のもとで求め、前記第2の処
理手段は、c2g(ψ2−αj)にc1g(ψ1−αj)を加
算したものと、前記地点において測定された前記指向性
アンテナの受信信号電力の空間平均値y(αj)との差
分を自乗した値の、前記回転角αjの前記測定区間にお
ける和が最小になるときのc2,ψ2をc2≧0の条件の
もとで求め、以下、第Nの処理手段までの各処理手段
は、同様な処理を繰り返し、前記第Nの処理手段は、c
Ng(ψN−αj)にc1g(ψ1−αj)ないしcN-1
(ψN-1−αj)を加算したものと、前記地点において測
定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均
値y(αj)との差分を自乗した値の、前記回転角αj
前記測定区間における和が最小になるときのcN,ψ
Nを、cN≧0の条件のもとで求めるものである。したが
って、電力が正であるという条件が満足される到来波の
到来角等を正確に測定することができる。
【0031】請求項12に記載の発明においては、請求
項10に記載の到来波測定装置において、前記c1,ψ1
を求め、順次、cN,ψNまでを求める処理を実行する第
1ないし第Nの処理手段を有し、前記第1の処理手段
は、前記地点において測定された前記指向性アンテナの
受信信号電力の空間平均値y(αj)の値が最大となる
ときの前記回転角αjの値をψ1として、c1=y(ψ1
/g(0)を求め、第2の処理手段は、y(αj)−c1
g(ψ1−αj)の値が最大となるときのαjの値をψ2
して、c2={y(ψ2)−c1g(ψ1−ψ2)}/g
(0)を求め、以下、前記第Nの処理手段までの各処理
手段は、同様な処理を繰り返し実行するものであり、前
記第Nの処理手段は、y(αj)−{c1g(ψ1−αj
+c2g(ψ2−αj)+ …+cN-1g(ψN-1−αj)}
の値が最大となるときのαjの値をψNとして、cN
[y(ψN)−{c1g(ψ1−ψN)+c2g(ψ2
ψN)+…+c N-1g(ψN-1−ψN)}]/g(0)を求
めるものである。したがって、電力が正であるという条
件が満足される到来波の到来角等を簡単に測定すること
ができる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の到来波測定方法
の実施の形態を説明するためブロック構成図である。図
中、1は指向性アンテナ、2は回転台、3は受信信号電
力測定装置、4は第1の記憶部、5は第2の記憶部、6
は受信信号電力の空間平均値計算部、7は解析部、8は
送信アンテナ、9は送信装置、10は連続波発生装置で
ある。この実施の形態は、指向性アンテナ回転させて、
送信側から送信された連続波を受信し、指向性アンテナ
の受信信号電力を測定することにより、マルチパス伝搬
路を伝搬してきた1または複数の到来波の電力の大きさ
および到来角を、到来波ごとに分離して測定することが
できる到来波測定方法である。
【0033】後述するように、送信に連続波を用いた場
合でも、マルチパス伝搬路で遅延した到来波の受信信号
電力の、ある測定地点の複数の測定位置における指向性
アンテナの回転角毎の空間平均値を用いれば、指向性ア
ンテナの回転角毎に、各到来波の電力に各到来波の方向
におけるアンテナ利得を乗算したものを各到来波につい
て加算したものが得られる。したがって、測定を回転角
の微少な区間毎に行い、到来角ごとの電力と、アンテナ
利得と、ある回転角における指向性アンテナの出力端の
受信信号電力の空間平均値との関係を、連立方程式で表
すことができ、この連立方程式を計算により解くことに
よって、到来波の到来角および電力を求めることができ
る。また、指向性アンテナの指向特性を含めて方程式を
たてているため、指向性アンテナ1の指向特性が良好で
なくても、また、大きなサイドローブがあっても、正確
に到来波を求めることが出来る。
【0034】送信装置9においては、連続波(CW,Co
ntinuous wave)発生装置10から出力される無変調キ
ャリア(正弦波信号)等の連続波が送信アンテナ8から
送信される。指向性アンテナ1としては、例えば、パラ
ボラアンテナが使われる。指向性アンテナ1は回転台2
に搭載されており回転駆動される。ここで、回転には揺
動の場合を含む。なお、この図では、水平軸の周りに回
転し、仰角が変化する例を示しているが、鉛直軸の周り
に回転させ、方位角を変化させるなど、測定しようとす
る範囲に応じて任意の軸周りの回転でよい。送信側から
送信された連続波を指向性アンテナ1で受ける。指向性
アンテナ1で受けた信号は、受信信号電力測定装置3で
測定される。到来波の電力について、上述した先行技術
の(67)式と同様のことがいえる。そこで、先行技術
と同様に、回転している指向性アンテナ1が向いている
回転角(指向性アンテナ1の指向性が最大となる方向)
をα、到来波の到来角をθとする。さらに、回転角αに
おける到来角θの方向のアンテナ利得をg(θ−α)で
表す。
【0035】微少な角度dθ内の到来波の角度θに対す
る電力密度をfin(θ)とすると、dθからアンテナ1
の出力端へ得られるアンテナ出力端の電力dyは、 dy=fin(θ)g(θ−α)dθ (15) で表される。まず、(15)式を、到来波が1波だけの
場合について説明する。1波であれば、角度αに対する
アンテナ出力端の電力y(α)は、(15)式を−πか
ら+πまで積分すれば得られる。すなわち、
【数18】
【0036】次に、複数の到来波が存在する場合につい
て説明する。(16)式を導いた過程から、第nの到来
波fnによるアンテナ出力端の電力Pn(α)は、
【数19】 と表すことができる。到来波がN波ある場合、(17)
式は、n=1,2,…,Nの全てについて成立する。
【0037】ここで、送信電波が疑似ランダム信号で変
調されたものでなくても、アンテナ出力端の電力y
(α)が先行技術と同様に、単純加算、すなわち、 y(α)=P1(α)+P2(α)+ … +PN(α) (18) となれば、複数の到来波が合成されて出力されているア
ンテナ出力端の電力y(α)と、アンテナの指向特性と
から、到来波の到来角、大きさ、到来波数等を求めるこ
とができる。すなわち、先行技術と同じ連立方程式によ
り到来波の到来角および電力を求めることができる。
【0038】そこで、上述した(18)式が成立する条
件を説明する。複数の到来波を受信するとき、時間的に
平均化されたアンテナ出力端の受信信号電力Pは、次式
で表される。ここで、Tは正弦波信号の一周期の時間で
ある。
【数20】 ここで、Vn・sin(ωcn)は、第nの連続波の受信ア
ンテナの出力信号であり、Rは抵抗値である。
【0039】まず、ωct+βi=φi,ωct+βj=φj
とおいて、式(19)に対し、三角関数展開すると次の
ようになる。
【数21】
【0040】ここで、第1の余弦項は、時間tに無関係
な定数であり、積分記号の外に出すことができる。第2
の余弦項は、角周波数が2ωcであるので、1周期の積
分をすると0になる。したがって、上述した(19)式
は、第1の余弦項のみとなる。したがって、
【数22】
【0041】第iの連続波の位相βiと、これとは異な
る第j(i≠j)の連続波の位相βjとは、両連続波の
パス間の遅延時間差が大きい場合、測定位置によって異
なる値となるから、その余弦関数を含む(73)式のP
の値も測定位置によって変化する。そこで、ある測定地
点において、測定位置を1点ではなく、適切な所定の範
囲内で複数の測定位置を設けて、アンテナ出力端での到
来波の受信信号電力の空間平均(位置的平均)を求め
る。この空間平均を記号< >で表すと、次式のように
なる。
【数23】
【0042】ここで、iとjとが一致するときは、βi
=βjとなるから、cos(βi−βj)=1となる。iとj
とが不一致のとき、cos(βi−βj)は、−1〜+1の
間の値をとるが、この値が平均的に0になると仮定す
る。これを式で表すと次式(75)のとおりである。
【数24】 (22)式を(21)式に代入すると、次式が成立す
る。
【数25】
【0043】(23)式において、(Vn2/(2R)
は、はアンテナ出力端での第nの到来波の受信信号電力
に相当する。すなわち、(75)式の条件が成立すると
きには、アンテナ出力端での各到来波の受信信号電力の
単純加算値が、アンテナ出力端の受信信号電力となる。
すなわち、
【数26】 が成立する。以後、アンテナ出力端の合成受信信号電力
を、指向性アンテナの受信信号電力という。したがっ
て、複数の到来波を受信する指向性アンテナの受信信号
電力の空間平均値をy(α)とすれば、(18)式が成
立する。そして、(18)式が成立するための条件は
(22)式であることが理解される。なお、上述した説
明では、連続波として、無変調キャリア(正弦波信号)
を用いた場合について説明した。しかし、連続波は、送
信局識別等のために低速の疑似ランダム信号で拡散変調
されるなど、何等かの変調が行われたものであってもよ
い。この場合でも、キャリアの1周期内の受信信号電力
に関する(19)式〜(24)式は成立するからであ
る。低速の疑似ランダム信号を用いて拡散変調すれば、
先行技術において問題としたようには受信帯域が広がら
ず、雑音電力も増加しない。次に、どのような測定をす
れば(22)式が成立するかについて説明する。
【0044】図2は、本発明の到来波測定方法の実施の
形態において、送信アンテナと指向性アンテナとの位置
関係を表す側面図である。21は大地である。なお、送
信アンテナ8と指向性アンテナ1とは十分離れていると
する。図3は、本発明の到来波測定方法の実施の形態に
おいて、送信アンテナと指向性アンテナとの位置関係を
表す平面図である。22,23は壁である。一例とし
て、図2には、遅延時間τ1で到達する直接波と、遅延
時間τ2で到達する大地による反射波を、図3には、遅
延時間τ1で到達する直接波と、遅延時間τ3で到達する
壁(図示上方)による反射波、遅延時間τ4で到達する
壁(図示下方)による反射波を示す。指向性アンテナ1
で受信する主な波は、以上の4波である。それ以外にも
多くの反射波が存在するが、反射回数が多くなるに連れ
て減衰する傾向にあるため、ここでは省略する。
【0045】図2、図3において、破線の太い矢印A
B,XYは、指向性アンテナ1の測定のための移動方向
を示す。AB方向は、送信点(送信アンテナ8)からア
ンテナに引いた直線上の移動である。この方向の移動の
ときは、それぞれの直接波,反射波の遅延時間τ1
τ2,τ3,τ4は大きく変化する。しかし、上述した直
線方向に直交するXY方向の移動のときは、遅延時間τ
1に全く変化がなく、他の遅延時間τ2、τ3、τ4もあま
り変化しない。遅延時間が大きく変化する場合には、位
相も大きく変化するため、i≠jであれば、複数の測定
位置において、(ψi−ψj)は一様分布していると見な
せて、<cos(ψi−ψj)>=0となり、(22)式が
成立する。(22)式が成立することは、また(18)
式の成立も意味する。
【0046】複数の測定位置pkは、送信点(送信アン
テナ8)から直線を引いたときのほぼ直線上にほぼ等間
隔に設けると好適である。しかし、必ずしも、送信点
(送信アンテナ8)からの直線上に設ける必要はなく、
また等間隔にしなくてもよい。ある1つの測定地点に対
し、複数の測定位置pkを設けるために回転台2をAB
方向に移動させる距離は、マイクロ波の場合、連続波の
波長に対し、波長の10倍〜100倍程度とすればよ
く、この範囲内に複数の測定位置pkを設ける。例え
ば、連続波の波長が数cm〜数mmのとき、移動させる
距離は1m程度である。
【0047】指向性アンテナ1が搭載された回転台2
は、各測定位置pkで移動を一旦停止した状態で指向性
アンテナ1の受信信号電力を測定する。受信信号電力測
定装置3は、複数の測定位置pk毎の受信信号電力であ
ることがわかるように、受信信号電力とその受信信号電
力の測定位置pkを特定する距離データ、あるいは、測
定位置番号等のデータを併せて出力する。また、回転角
αを特定するデータも出力する。
【0048】ただし、複数の測定位置pkの位置を設定
したときのAB方向の距離範囲が短いと、各測定位置p
kにおける受信信号電力Pが周期的に変化する場合があ
る。これは、位置の変化に伴って、連続波の位相が周期
的に変化するため、cos(ψi−ψj)も周期的に−1〜
+1間を変化するためである。cos(ψi−ψj)は、(ψ i
−ψj)に対する周期関数であり、(ψi−ψj)が遅延
時間差に比例する関係から、時間的に平均化された電力
の空間的平均<P>は、直線上の移動に対して周期性が
生じ易い。
【0049】この周期性の影響を除去する第1の方法と
しては、(22)式の関係を整数周期の平均値として成
立させる。すなわち、(22)式で示される測定位置を
変えることによる空間的平均を求める操作は、このcos
(ψi−ψj)の周期の整数倍に相当する距離の間の複数
の測定位置pkで受信信号電力を測定して平均化する。
具体的には、指向性アンテナの回転角αが所定の方向に
あるときの指向性アンテナの受信信号電力が、各測定位
置pkの位置差に応じて空間的に変化する周期を検出
し、この周期のほぼ整数倍の範囲の各測定位置pkにお
ける平均値を計算し、これを指向性アンテナの回転角α
での受信信号電力の平均値とする。送信点(送信アンテ
ナ8)からの直線上に複数の測定位置pkを設けるとと
もに、指向性アンテナの回転角αが送信点の方向にある
ときの指向性アンテナの受信信号電力を用いれば、好適
である。
【0050】第2の方法としては、特に周期を検出する
ことなく、複数の測定位置pk、例えば、上述したよう
な、複数の測定位置pkにおける指向性アンテナの受信
信号電力の平均値を計算する。次に、誤差の少ない測定
値を出力した測定位置pkの受信信号電力について平均
計算をやり直す。この他にも、測定位置pkの位置差に
応じて空間的に変化する受信信号電力の変化特性から、
最大値と最小値の中間の値を平均受信信号電力と推定す
ることも可能である。
【0051】ここで、図1における各ブロックの配置例
を説明しておく。指向性アンテナの受信信号電力を、移
動測定車に載せた受信信号電力測定装置3によって測定
し、第1の記憶部4に記憶させる。その際、受信信号電
力測定装置3の測定データとともに、回転角、測定位置
の距離データ、その他、後処理に必要なデータも記憶さ
せる。測定終了後、第1の記憶部4からこれらのデータ
を受信信号電力の空間平均値計算部7に出力し、解析部
7において到来波の解析を行う。あるいは、測定中にお
いて空間平均値計算部7で空間平均計算を行い、その計
算結果を図示しない第3の記憶部に記憶させて、測定終
了後、第3の記憶部から受信信号電力の空間平均値を解
析部6に出力するようにしてもよい。
【0052】(22)式が成立して、(18)式の関係
が成り立つ場合、さらに次の計算が可能になる。
【数27】 ここで、アンテナ入力側でfin(θ)は、それぞれの到
来波の電力の和と考えられるから、 fin(θ)=f1(θ)+f2(θ)…+fN(θ) (26) は常に成立する。従って、
【数28】 と表される。
【0053】したがって、連続波が到来するとき、それ
ぞれのパス間の遅延時間差が大きい場合は、(22),
(18)式が成立するため、各パスから到来した連続波
の電力の和は、受信信号電力測定装置3内ので読み取ら
れた受信信号電力から計算される空間平均値y(α)と
して測定される。到来角θの積分区間は、(27)式で
は、−π〜πを選んでいるが、明らかに到来波が存在し
ない区間、或いはアンテナ利得が十分に小さいとされる
区間は除外することが可能である。例えば、指向性が鋭
いパラボラアンテナ等を用いれば、(27)式の積分区
間は小さい範囲に限定することができる。
【0054】(27)式は、先行技術の説明において用
いた(10)式に一致するから、先行技術と同様に、
(11)〜(14)式が成立し、GX=Y(4式)が成
立する。ただし、y(α)は、測定された指向性アンテ
ナの受信信号電力の空間平均値とする。なお、上述した
説明では、各測定位置pkで回転台2の移動を一旦停止
した状態で指向性アンテナ1の受信信号電力を測定し
た。しかし、移動速度が、指向性アンテナ1の回転速度
に比べて十分遅く、無視できる程度であれば、指向性ア
ンテナ1が搭載された回転台2を移動させながら、同時
に指向性アンテナ1を回転させて受信信号電力を測定し
てもよい。直線移動させながら同時に複数の測定位置p
k毎の受信信号電力を測定する場合には、測定位置pk
特定するのに距離データの代わりに時間データを用いて
もよい。
【0055】図1においては、アンテナの利得情報Gと
しては、予め第2の記憶部5に記憶されたものを出力
し、指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y(α
j)については受信信号電力の空間平均値計算部6で計
算した出力を用い、解析部7においてGX=Y(4式)
をXについて解くと、複数の到来波を角度θに関して分
離することが出来る。その結果、到来波数、それぞれの
到来波の到来角及び電力を求めることが出来る。なお、
上述した式は、時間的にずれた複数の到来波が多重化し
ている場合でも、到来波を分離しないで、あるθの角度
のΔθの区間における受信電力x(θ)を出力してい
る。
【0056】空間平均値y(αj)を得るには、上述し
たように複数の測定位置pkにおいて指向性アンテナ1
の受信信号電力を測定する必要がある。各測定位置pk
における受信信号電力をy(pk,αj)とすると、この
y(pk,αj)は第1の記憶部4に格納される。受信信
号の空間平均値計算部6は、第1の記憶部4から複数の
測定位置pkにおける受信信号電力y(pk,αj)を入
力して、平均計算を行い、空間平均値y(αj)を出力
する。既に説明したように、空間平均を計算する際に
は、周期性の影響の除去が必要となる場合がある。その
ために、上述した第1の方法をとる場合を最初に説明す
る。
【0057】第1の方法は、(22)式の関係を整数周
期の平均値として成立させるものであった。したがっ
て、図1における受信信号の空間平均値計算部6は、指
向性アンテナの回転角αjが所定の回転角であるときの
前記指向性アンテナの受信信号電力が、前記各測定位置
kの位置差に応じて空間的に変化する周期を検出し、
この周期のほぼ整数倍となる範囲について平均値をと
り、これを、指向性アンテナの受信信号電力の空間平均
値y(αj)として出力する。この所定の回転角は、例
えば、送信点の方向を測定者が受信信号電力の空間平均
値計算部6に入力することにより設定する。
【0058】具体的な処理ステップの1例を示す。第1
の記憶部4から特定の回転角(以下の例では、αj=0
とする)のときの複数の測定位置pkにおける受信信号
電力y(pk,0)をk=1から1個ずつ順次入力し、
ある測定位置pkにおけるy(p k,0)が、前後の測定
位置pk-1,pk+1におけるy(pk-1,0),y
(pk+1,0)の値より大きいときを検出して最大値測
定位置を検出し、次に、2つの最大値測定位置の間にあ
る整数周期の範囲にある複数の測定位置pkにおける指
向性アンテナの受信信号電力y(pk,αj)について各
回転角αjごとに平均値を計算して、指向性アンテナの
回転角αjごとの受信信号電力の空間平均値y(αj)を
計算する。例えば、p2とp7とが最大値測定位置であっ
たとすると、 y(αj)={y(p2,αj)+y(p3,αj)+y(p4,αj)+y(p5, αj)+y(p6,αj)}/5 (28) とする。第1の記憶手段に、p8以降の測定位置におけ
る受信信号電力が測定され記憶されていた場合でも、上
述した範囲内の測定位置について平均計算を行う。
【0059】次に、上述した第2の方法をとる場合を説
明する。第2の方法は、複数の測定位置pkについて一
度平均値計算を行い、さらに、誤差の少ない測定値を出
力した測定位置pkの受信信号電力について平均計算を
やり直すものであった。具体的には、所定のK個の測定
位置pkにおける前記指向性アンテナの受信信号電力y
(pk,αj)の回転角αjごとの平均値を指向性アンテ
ナの受信信号電力の空間平均値y(αj)とし、各測定
位置pkにおける指向性アンテナの受信信号電力y
(pk,αj)の値に対し、空間平均値y(αj)との差
分を自乗した値の、前記回転角αjの測定区間における
和をSkとして、 Sk={y(α1)−y(pk,α1)}2+{y(α2)−y(pk,α2)}2 +…+{y(αM)−y(pk,αM)}2 (29) を計算し、Skがある所定のしきい値よりも大きな受信
信号電力の測定位置pkを除外した、残りの測定位置pk
における受信信号電力について改めて平均値をとり、該
平均値を新たに指向性アンテナの受信信号電力の空間平
均値y(αj)とするものである。
【0060】上述した具体例では、各測定位置pkにお
ける指向性アンテナの受信信号電力y(pk,αj)の値
に対し、空間平均値y(αj)との差分を自乗した値
の、前記回転角αjの測定区間における和を計算した
が、これに代えて、差分の絶対値の、前記回転角αj
測定区間における和を計算してもよい。
【0061】次に解析部7における解析例を示す。解析
部7では、(4)式をXについて解く。本発明の第1の
実施の形態においては、受信信号電力測定装置3におけ
る受信信号電力y(pk,αj)の測定誤差、あるいは、
受信信号電力の空間平均値計算部6の計算誤差が十分小
さい場合に、上述した(4)式の連立方程式を、周知の
ガウスの消去法や掃出法(ガウス・ジョルダン法)等を
適用して直接に解く。しかしながら、指向性アンテナの
受信信号電力の空間平均値y(αj)に含まれる誤差の
大きさによっては、θiの角度で到来するΔθの区間に
おける電力x(θ)が常に正の値を取るとは限らず、電
力の値が負になる場合があるという不都合があった。ま
た、M=360程度であれば、(4)式を解くために
は、360行の連立方程式を解かねばならず、この場
合、測定誤差、平均計算によって連立方程式を解く過程
で計算誤差が累積するため、解が発散してしまう場合が
あるという問題がある。したがって、y(αj)に含ま
れる誤差が無視できない場合には、(4)式を直接に解
くのではなく、到来波の物理的性質を利用して、物理法
則にかなう解を得る方法を用いる。
【0062】なお、以下に説明する方法は、先行技術の
ように、送信電波が疑似ランダム信号で変調されたもの
であるときに、y(αj)を各パスから到来した疑似ラ
ンダム信号で変調された送信電波の受信信号電力の加算
値とした場合にも用いることができる。
【0063】図4は、本発明の到来波測定方法の第2,
第3の実施の形態の原理を説明するための模式図であ
る。図中、横軸は指向性アンテナの回転角αの角度、縦
軸は受信レベル(dBm)である。指向性アンテナの受
信信号電力の空間平均値(太い破線),最も大きい第1
の到来波のみが存在するとしたときの指向性アンテナの
受信信号電力(実線)、次に大きい第2の到来波のみが
存在するとしたときの指向性アンテナの受信信号電力
(細かな破線)、その次に大きい第3の到来波のみが存
在するとしたときの指向性アンテナの受信信号電力(一
点鎖線)の回転角αに対する大きさを示している。到来
波が3波存在するときに、計算上N波の到来波を出力す
る場合を例示する。
【0064】到来波は平面波とみなすことができるか
ら、第1〜第Nの到来波の各到来波は、特定の到来角度
θ=ψ1〜ψNを有している。また、それぞれの到来波
は、その電力は全て負ではない値を持っている。既に
(26)式に示したように、指向性アンテナの入力側で
は、連続波である複数の到来波からなる多重波の受信電
力は、各単一の連続波の電力の総和とすることができる
から、次の(30)〜(33)式が成立する。 x(θi)=c1h(θi−ψ1)+c2h(θi−ψ2)+…+cNh(θi−ψN) (30)
【数29】 すなわち、第1〜第Nの到来波の各到来波は、θ1
θ2、…、θMの中の、特定の到来角度θ=ψ1,ψ2
…,ψNから到来する。また、それぞれの到来波の電力
1,c2,…,cNは、全て負ではない値を持ってい
る。
【0065】本発明の到来波測定方法の第2,第3の実
施の形態においては、到来波が上述した式によって表さ
れることを前提として、GX=Y(4式)で表される方
程式を計算して得られる、指向性アンテナの受信信号電
力の空間平均値が、実際に測定により得られた指向性ア
ンテナの受信信号電力を用いて計算された空間平均値y
(αj)の値に近似した値になるように、最初に電力の
最も大きな第1の到来波のc1,ψ1を求め、順次、電力
の小さな第Nの到来波のcN,ψNまでを求めて、指向性
アンテナで受信して測定された受信信号電力の空間平均
値から、各到来波の電力c1,c2,…,cN、および、
到来角ψ1,ψ2,…,ψNを求めるというものである。
【0066】ここで、Nの値は、測定位置において実際
に存在する到来波の数を意味するのではなく、最大の大
きさの第1の到来波から数えて第N波目の到来波までを
計算により出力することを意味する。したがって、実際
に存在する到来波を最大N波まで出力することが可能で
ある。しかし、実際に存在する到来波がN波未満である
ときも、計算のアルゴリズム上、N波の到来波が計算出
力される。すなわち、出力される到来波の中には、実際
には存在しない偽の到来波が含まれる。このような偽の
到来波は、計算誤差により生じるものであるから、通
常、実際に存在する到来波よりも電力が小さい。したが
って、計算出力される到来波の中から、電力レベルの小
さなものを除いて出力結果を評価すれば、ほぼ、実際に
存在する到来波の到来角等を出力することができる。
【0067】上述したNの値は、操作者により、例え
ば、実際に存在すると推測される到来波数に定めて、あ
らかじめ解析部7に所定値Nを設定入力しておき、第N
処理ステップで処理を終了させる。あるいは、処理ステ
ップ数を、実際に存在すると推測される到来波数以上の
値に設定するか、処理ステップ数の設定を行わないで、
解析部7の処理過程において、第Nの処理ステップにお
いて、第Nの到来波の電力cNの値が所定レベル以下に
なるときに、この第Nの処理ステップで処理を終了させ
るようにすることもできる。
【0068】次に、本発明の到来波測定方法の第2の実
施の形態について具体的に説明する。この実施の形態に
おいては、c1,ψ1を求め、順次、cN,ψNまでを求め
る処理は、第1ないし第Nの処理ステップを有する。第
1の処理ステップは、 x(θi)=c1h(θi−ψ1) (34) として、GX=Y(4式)の関係に基づいて得られるy
(αj)を、y1(αj)とおくと、 y1(αj)=c1g(ψ1−αj) (35) である。
【0069】一方、受信信号電力の空間平均値計算部6
から出力されるy(αj)は、そのままy(αj)と表記
して、y1(αj)=c1g(ψ1−αj)と、測定値y
(α)との差分の自乗誤差をΔy1とすると、 Δy1={c1g(ψ1−α1)−y(α1)}2 +{c1g(ψ1−α2)−y(α2)}2 + … +{c1g(ψ1−αM)−y(αM)}2 (36) となる。
【0070】Δy1は、図4において、アンテナ受信信
号電力の空間平均値y(αj)と最も電力の大きい第1
の到来波のアンテナ受信信号電力y1(αj)=c1
(ψ1−α j)との差分の自乗を、角度αjの測定区間に
ついて加算したものである。このΔy1が、最小になる
ときのc1,ψ1をc1≧0の条件のもとで求める。この
とき求めた係数c1は、c1≧0の物理条件を満足しつ
つ、複数の到来波の中で、最も電力の大きなものに相当
する。なぜなら、最も電力の大きな到来波を除いたほう
が(20)式は最小値を示すからである。
【0071】第2の処理ステップとして、 x(θi)=c2h(θi−ψ2) (37) として、GX=Y(4式)の関係に基づいて得られるy
(αj)を、y2(αj)とおく。このとき、 y2(αj)=c2g(ψ2−αj) (38) である。
【0072】一方、受信信号電力の空間平均値計算部6
から出力されるy(αj)は、そのままy(αj)と表記
する。y2(αj)=c2g(ψ2−αj)に既に計算済み
のy 1(αj)=c1g(ψ1−αj)を加算したものと、
測定値y(αj)との差分の自乗誤差をΔy2とすると、 Δy2={c1g(ψ1−α1)+c2g(ψ2−α1)−y(α1)}2 +{c1g(ψ1−α2)+c2g(ψ2−α2)−y(α2)}2 + … +{c1g(ψ1−αM)+c2g(ψ2−αM)−y(αM)}2 (39) が最小になるときのc2,ψ2をc2≧0の条件のもとで
求める。
【0073】Δy2は、図4において、アンテナ受信信
号電力の空間平均値y(αj)と(最も電力の大きい第
1の到来波のアンテナ受信信号電力+第2の到来波のア
ンテナ受信信号電力)との差分の自乗を、角度αjの測
定区間について加算したものである。このとき求めた係
数c2は、c2≧0の物理条件を満足しつつ、複数の到来
波の中で2番目に大きな電力に相当する。すでに、最も
電力の大きな第1の到来波はy1(αj)=c1g(ψ1
αj)で表されており、このとき2番目に大きな第2の
到来波y2(αj)=c2g(ψ2−αj)をy(αj)か
ら、さらに除くことによって、(39)式は最小を示す
からである。以下第Nの処理ステップまで同様な処理を
繰り返す。
【0074】第Nの処理ステップとして、 x(θi)=cNh(θi−ψN) (40) として、GX=Y(4式)の関係に基づいて得られるy
(αj)を、改めてyN(αj)とおく。このとき、 yN(αj)=cNg(ψN−αj) (41) である。
【0075】一方、受信信号電力の空間平均値計算部6
から出力されるy(αj)は、そのままy(αj)と表記
する。yN(αj)=cNg(ψN−αj)に既に計算済み
のy 1(αj)=c1g(ψ1−αj)ないしyN-1(αj
=cN-1g(ψN-1−αj)とを加算したものと、測定値
y(αj)との差の自乗誤差をΔyNとすると、 ΔyN={c1g(ψ1−α1)+c2g(ψ2−α1)+ …+cNg(ψN−α1)−y(α1)}2 +{c1g(ψ1−α2)+c2g(ψ2−α2)+ … +cNg(ψN−α2)−y(α2)}2 + … +{c1g(ψ1−αM)+c2g(ψ2−αM)+ … +cNg(ψN−αM)−y(αM)}2 (42) が最小になるときのcN,ψNをcN≧0の条件のもとで
求める。
【0076】ΔyNは、アンテナ受信信号電力の空間平
均値y(αj)と(最も電力の大きい第1の到来波のア
ンテナ受信信号電力から第N−1の到来波のアンテナ受
信信号電力までの加算値)との差分の自乗を、角度αj
の測定区間について加算したものである。このとき求め
た計数cNは、cN≧0の物理条件を満足しつつ、複数の
到来波の中でN番目に大きな電力に相当する。すでに、
最も電力の大きな第1〜第N−1の到来波はy1(αj
=c1g(ψ1−αj)〜yN-1(αj)=cN-1g(ψN-1
−αj)で表されており、このときN番目に大きな第N
の到来波yN(αj)=cNg(ψN−αj)をy(αj)か
ら、さらに除くことによって、(42)式は最小を示す
からである。このようにして求めた、c1,c2,…,c
N、ψ1,ψ2,…,ψNを使って(30)式を計算した場
合、実用上許される誤差の範囲内で、GX=Yで表され
る方程式(4式)の関係が成立する。
【0077】上述した説明において、第1〜第Nの各処
理ステップにおけるΔy1,Δy2,…,ΔyNは、前ス
テップにおいて得られる計算結果を使用して計算するこ
とができる値である。したがって、各処理ステップを繰
り返しループを用いて実行することもできる。例えば、
E(α1),yE(α2),…,yE(αM)という変数を
定め、これらの初期値を、y(α1),y(α2),…,
y(αM)とする。第1の処理ステップにおいては、 Δy1={c1g(ψ1−α1)−yE(α1)}2+{c1g(ψ1−α2)−yE(α2 )}2 +…+{c1g(ψ1−αM)−yE(αM)}2 とする。第2の処理ステップにおいては、第1の処理ス
テップで得られた、c1g(ψ1−α1)−yE(α1),
1g(ψ1−α2)−yE(α2),…,c1g(ψ1
αM)−yE(αM)を、新たに、yE(α1),y
E(α2),…,yE(αM)とおけば、 ΔyN={c2g(ψ2−α1)−yE(α1)}2+{c2g(ψ2−α2)−cEg (ψ2−α2)}2 +…+{c2g(ψ2−αM)−yE(αM)}2 とすることができる。なお、上述した説明では、Δ
1,Δy2,・・・ΔyNとして、差分を自乗した値
の、回転角αjの測定区間における和を用いたが、これ
に代えて、差分の絶対値の、回転区間αjの測定区間に
おける和を用いてもよい。
【0078】次に、本発明の到来波測定方法の第3の実
施の形態を説明する。この実施の形態においては、
1,ψ1を求め、順次、cN,ψNまでを求める処理は、
第1ないし第Nの処理ステップを有する。第1の処理ス
テップは、回転角αjに対しアンテナ受信信号電力の空
間平均値y(αj)が最大となるときの回転角αjを求
め、このときの回転角αjの方向から最大の電力の第1
の到来波が入射しているとみなす。すなわち、このとき
の回転角αjの方向は、第1の到来波の到来角ψ1に等し
いとみなす。かつ、このαj=ψ1のときの受信信号電力
の空間平均値y(ψ1)は、電力c1の第1の到来波のみ
が存在して受信されたときの指向性アンテナの受信信号
電力に等しいとみなす。
【0079】第1の到来波のみが受信されたときの回転
角αj=ψ1での指向性アンテナの受信信号電力は、第2
の実施の形態の説明においてGX=Y(4式)の関係に
基づいて導出した(35)式において、αj=ψ1とした
ものであり、 y1(ψ1)=c1g(0) である。したがって、 y(ψ1)=c1g(0) となる。式を変形すると、 c1=y(ψ1)/g(0) (43) となる。
【0080】このψ1とc1を使って、 y(αj)−c1g(ψ1−αj) (44) を計算すると、この値は、図4においては、指向性アン
テナの受信信号電力の空間平均値y(αj)から、第1
の到来波のみが受信されたとしたときの指向性アンテナ
の受信信号電力c1g(ψ1−αj)を差し引いたもので
ある。そして、第1の到来波の到来角θi=ψ1に一致す
る回転角αjおいては、その値が0となるものである。
すなわち、指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値
y(αj)から受信信号電力が最も大きな第1の到来波
の山が取り除かれたものとなる。したがって、第1の処
理ステップは、受信信号電力の間平均値計算部6から出
力される空間平均値y(αj)が最大となるときの回転
角αjの値を第1の到来波の到来角ψ1として、(43)
式を求める。
【0081】次に、第2の処理ステップは、差分の受信
信号電力である上述した(44)式の値が、最大となる
ときの回転角αjを求め、このときの回転角αjの方向か
ら次に大きな電力の第2の到来波が入射しているとみな
す。すなわち、このときの回転角αjの方向は、第2の
到来波の到来角ψ2に等しいとみなす。かつ、このαj
ψ2のときの受信信号電力の空間平均値y(ψ2)は、電
力c2の第2の到来波のみが存在して受信されたときの
指向性アンテナの受信信号電力に等しいとみなす。第2
の到来波のみが受信されたときの回転角αj=ψ2での指
向性アンテナの受信信号電力は、第2の実施の形態の説
明においてGX=Y(4式)の関係に基づいて導出した
(38)式において、αj=ψ2として、y2(αj)=c
2g(0)である。したがって、y(ψ2)−c1g(ψ1
−ψ2)=c2g(0)となる。式を変形すると、 c2={y(ψ2)−c1g(ψ1−ψ2)}/g(0) (45) となる。
【0082】第1,第2の処理ステップによって求め
た、ψ1,ψ2とc1,c2とを使って、 y(αj)−c1g(ψ1−αj)−c2g(ψ2−αj) (46) を計算すると、この値は、図4においては、指向性アン
テナの受信信号電力の空間平均値y(α)から、第1の
到来波のみが受信されたとしたときの指向性アンテナの
受信信号電力c1g(ψ1−αj)および第2の到来波の
みが受信されたとしたときの指向性アンテナの受信信号
電力c2g(ψ2−αj)を差し引いたものである。そし
て、第2の到来波の到来角θ=ψ2に一致する回転角αj
おいては、その値が0となる。すなわち、指向性アンテ
ナの受信信号電力の空間平均値y(αj)から受信信号
電力が最も大きな第1の到来波の一番大きな山とその次
に大きな第2の到来波の山が取り除かれたものとなる。
したがって、第2の処理手段は、(44)式の値が最大
となるときのαjの値をψ2として、(45)式を求め
る。
【0083】以下同様な処理ステップを繰り返すと、最
後の第Nの処理ステップは、N−1番目までの処理にお
いて求めたψ1,ψ2,…,ψN-1とc1,c2,…,cN-1
を使って、差分の受信信号電力である、 y(αj)−{c1g(ψ1−αj)+c2g(ψ2−αj) +…+cN-1g(ψN-1−αj)} (47) の値が最大となるときの回転角αjを求め、このときの
回転角αjの方向から第Nの到来波が入射しているとみ
なす。すなわち、このときの回転角αjの方向は、第N
の到来波の到来角ψNに等しいとみなす。かつ、このαj
=ψNのときの受信信号電力の空間平均値y(ψN)は、
電力cNの第Nの到来波のみが存在して受信されたとき
の指向性アンテナの受信信号電力に等しいとみなす。第
Nの到来波のみが受信されたときの回転角αj=ψNでの
指向性アンテナの受信信号電力は、第2の実施の形態の
説明においてGX=Y(4式)の関係に基づいて導出し
た(41)式において、αj=ψNとして、yN(αj)=
Ng(0)である。したがって、 y(ψN)−{c1g(ψ1−ψN)+c2g(ψ2−ψN)+ … +cN-1g(ψN-1−ψN)} =cNg(0) となり、式を変形すると、 cN=[y(ψN)−{c1g(ψ1−ψN)+c2g(ψ2−ψN)+ … +cN-1g(ψN-1−ψN)}]/g(0) (48) となる。
【0084】第1ないし第Nの処理ステップによって求
めた、ψ1〜ψNとc1〜cNとを使って、 y(αj)−{c1g(ψ1−αj)+c2g(ψ2−αj) +…+cNg(ψN−αj)} (49) を計算すると、この値は、指向性アンテナの受信信号電
力の空間平均値y(αj)から、第1の到来波のみが受
信されたとしたときの指向性アンテナの受信信号電力c
1g(ψ1−αj)ないし第Nの到来波のみが受信された
としたときの指向性アンテナの受信信号電力cNg(ψN
−αj)を差し引いたものである。そして、第Nの到来
波の到来角θ=ψNに一致する回転角αjおいては、その
値が0となる。すなわち、指向性アンテナの受信信号電
力の空間平均値y(αj)から受信信号電力が最も大き
な第1の到来波の一番大きな山からN番目に大きな第N
の到来波の山が取り除かれたものとなる。したがって、
第Nの処理ステップは、(47)式の値が最大となると
きのαjの値をψNとして求め、ψNを用いて、(48)
式を求める。
【0085】以上の処理によって、 y(αj)=c1g(ψ1−αj)+c2g(ψ2−αj) +…+cNg(ψN−αj) (50) と表すことができる。(50)式の各cig(ψi
αj)は、第n番目の大きさの第nの到来波cnh(ψn
−αj)が到来した場合の、指向性アンテナの出力端の
受信信号電力を表している。
【0086】上述した説明において、第1〜第Nの各処
理ステップにおける、y(αj),y(αj)−c1
(ψ1−αj),・・・,y(αj)−{c1g(ψ1
αj)+c 2g(ψ2−αj)+ … +cN-1g(ψN-1
αj)}は、前ステップにおいて得られる計算結果を使
用して計算することができる値である。したがって、各
処理ステップを繰り返しループを用いて実行することも
できる。例えば、yE(α1),yE(α2),…,y
E(αM)という変数を定め、これらの初期値を、y(α
1),y(α2),…,y(αM)とする。
【0087】第1の処理ステップにおいては、y
E(α1),yE(α2),…,yE(αM)y Eの中から、
その値が最大となるときの回転角αjの値をψ1として求
める。第2の処理ステップにおいては、yE(α1)−c
1g(ψ1−α1),yE(α2)−c2g(ψ1−α2),
… ,yE(αM)−c1g(ψ1−αM)の中から、その
値が最大となるときの回転角αjの値をψ2として求め
る。第3の処理ステップにおいては、第2の処理ステッ
プで得られる、yE(α1)−c1g(ψ1−α1),y
E(α2)−c2g(ψ1−α2), … ,yE(αM)−
1g(ψ1−αM)を、新たに、yE(α1),y
E(α2),…,yE(αM)とおけば、yE(α1)−c2
g(ψ2−α1),yE(α2)−c2g(ψ1−α2),
…,yE(αM)−c2g(ψ2−αM)の中から、その値
が最大となるときの回転角αjの値をψ3として求めるこ
とができる。
【0088】次に、図5,図6を参照して、本発明の到
来波測定方法の実施の形態を説明するためシミュレーシ
ョン結果を説明する。図5は、対数表現に変換したアン
テナ利得のパターンである。図中、横軸は指向性アンテ
ナ1の回転角αの角度、縦軸はアンテナ利得である。図
6は、受信信号電力測定装置の測定結果を仮定して到来
波を解析した一例を示す線図である。図中、横軸は、指
向性アンテナ1の回転角αの角度、縦軸は受信レベルを
dBmで示している。0dBmは1mWの電力に相当す
る。
【0089】このシミュレーションは、図5に示すアン
テナ利得パターンに対して、受信信号電力電力の空間平
均値計算部6の出力結果が、図6中に示す、□で示す点
のようになったと仮定して、到来波を解析したものであ
る。したがって、複数の測定位置における指向性アンテ
ナの受信信号電力の空間平均値を計算することのシミュ
レーションは行っていない。ここでは、3つの到来波が
それぞれ疑似ランダム信号の1bit以上時間的にずれ
て到来したものとしている。第1の到来波は+1.0°
の角度から+3dBmのレベルで、第2の到来波は、−
1.5°の角度から−10dBmのレベルで、第3の到
来波は、+22.5°の角度から0dBmのレベルで到
来している場合である。
【0090】第1〜第3の到来波は、理論的には次式を
対数表現することにより与えられる。 y(α)=0.1g(−1.5−α) +2.0g(+1.0−α) +1.0g(+22.5−α) +測定誤差 (mW) (51) ここで、加える測定誤差の値としてはy(α)の有効桁
数が2桁の場合である。
【0091】解析部7では、GX=Y(4式)をXにつ
いて解く。解析部7として、最小自乗誤差を求める本発
明の到来波測定方法の第2の実施の形態の方法を、N=
9として、第9の処理ステップまで、汎用のコンピュー
タを使って解析した。解析は、図1のα、θについて、
1.0°のステップで変化させた。すなわち、M=36
0として解析を行っている。図6に記載されている到来
波に対する解析結果(図中●と太い実線で示す)は、−
10dB以上に3つの到来波を再現していることを表
す。例えば、−1.5°の角度に対する到来波のレベル
が約0.4dB程の誤差が生じているが実用上問題な
い。また、−20dB付近に複数の到来波が存在するよ
うに見えるが、これは、測定誤差として有効桁数を2桁
としたために発生した偽の到来波である。この偽の到来
波は、十分低いレベルであることから、実用上の問題に
はならない。到来波の解析に際しては、計算をN回繰り
返すが、レベルが低くなったことを検出することによ
り、信頼性のある到来波が出力されなくなったところ
で、計算を停止すればよい。
【0092】図6において、細い実線で示した曲線は、
解析結果をもとに再現した受信信号電力の平均値の受信
パターンである。□で示す測定結果と非常に近いことが
分かる。しかも、□で示す測定結果だけからは、−1.
5°の角度で−10dBm付近の到来波が存在すること
はアンテナの指向特性が鋭くないため、目視によっては
識別されないが、本発明の方法による解析結果からは、
明らかにその存在が分かる。
【0093】以上説明したように、本発明の到来波測定
方法を使えば、アンテナの指向性がそれほど鋭くなくて
も、高い精度で到来波の角度や受信電力、到来波数を求
めることが出来る。この結果、例えば半値角5°程度の
パラボラアンテナを使って、本発明を適用した場合、サ
ブローブがメインローブより14dB程度下に有るにも
かかわらず、サブローブの影響を軽減して、実用上問題
なく到来波を求めることができる。このことは、半値角
θ0の大きなアンテナを使用しても比較的高い精度が得
られることを意味しており、小型アンテナを使用した場
合にも高い精度が実現可能である。従って、小型アンテ
ナが使用可能であるため、周囲の電波環境の変化と比べ
てアンテナを高速で回転させることが可能である。すな
わち、高速で回転するアンテナを使えば、測定期間中
に、周囲の電波環境の変化は静止していると見なせるた
め、移動中の車両等の影響を受けて絶えず変化する到来
波の時間特性についても正確に測定することが可能であ
る。
【0094】本発明においては、指向性アンテナ1の回
転角を2次元的に考え、方位角と仰角のうち一方だけを
変化させて説明したが、方位角と仰角の両方が変化する
場合にも全く同様な方法が適用できる。この場合、一方
の角度変化を止めて、他方の角度を変化させ本発明によ
る処理を施したものを、次に、止めておいた角度を変化
させ、同じ処理を繰り返すとよい。また、以上の解析か
ら分かるように、本発明の到来波測定方法では、測定誤
差が伴う場合にも、解析結果が異常発散することを無く
すこともでき、かつ、負の電力になる等の不都合も生ぜ
ず、実用上問題のない結果を得ることが出来る。
【0095】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、本発
明によれば、安価でかつ比較的簡単な構成で到来波の到
来角、レベル、到来波数等を測定できるという効果があ
る。パラボラアンテナ等を使う場合に、アンテナの半値
角と比べて1桁以上高い分解能で到来波を識別できる。
しかも、測定結果の解析において、電力が負になった
り、解が発散する等の不具合を無くしたり、物理条件が
満足された到来波の到来角等を測定することもできる。
さらに、高い精度での測定を可能とするために、小型の
アンテナを使用することが出来て、この場合小型アンテ
ナを周囲の変化と比べて早い速度で回転することによっ
て、到来波の時間的な変化も捉えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の到来波測定方法の実施の形態を説明す
るためブロック構成図である。
【図2】、本発明の到来波測定方法の実施の形態におい
て、送信アンテナと指向性アンテナとの位置関係を表す
側面図である。
【図3】本発明の到来波測定方法の実施の形態におい
て、送信アンテナと指向性アンテナとの位置関係を表す
平面図である。
【図4】本発明の到来波測定方法の第2,第3の実施の
形態の原理を説明するための模式図である。
【図5】対数表現に変換したアンテナ利得のパターンで
ある。
【図6】受信信号電力測定装置の測定結果を仮定して到
来波を解析した一例を示す線図である。
【符号の説明】
1 指向性アンテナ、2 回転台、3 受信信号電力測
定装置、4 第1の記憶部、5 第2の記憶部、6 空
間平均値検出部、7 解析部、8 送信アンテナ、9
送信装置、10 連続波発生装置、21 大地、22,
23 壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5K042 AA06 BA12 BA13 CA02 CA11 CA12 CA17 CA23 DA01 DA19 FA11 FA15 FA29 GA12 JA02 LA11

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 指向性アンテナを回転させ、送信側から
    送信された連続波を受信し、前記指向性アンテナの受信
    信号電力を測定することにより、1または複数の到来波
    の少なくとも到来角θを測定する到来波測定方法であっ
    て、 ある地点において複数の測定位置pkが設定され、該測
    定位置pkにおける前記指向性アンテナの回転角αに関
    し、測定区間がM個の微少区間に分割され、それぞれの
    微少区間のj番目に対応して割り当てられた回転角αj
    (j=1〜M)に対する前記指向性アンテナの受信信号
    電力y(pk,αj)を測定し、 前記地点において測定された前記指向性アンテナの受信
    信号電力の空間平均値y(αj)として、複数の測定位
    置pkの少なくとも一部の測定位置における前記指向性
    アンテナの受信信号電力の平均値を計算し、 前記到来角θに関し、前記到来角θの測定区間がM個の
    微少区間に分割され、それぞれの微少区間のi番目に対
    して割り当てられた到来角θi(i=1〜M)、およ
    び、前記回転角αjに対し、角度θi−αjにおける前記
    指向性アンテナの利得をg(θi−αj)として、 第1の行列Yを、 【数1】 とし、 第2の行列Gを、 【数2】 とし、 前記到来角θiに対する到来波の電力をx(θi)とし、 第3の行列Xを、 【数3】 として、 GX=Yで表される方程式を、前記第3の行列Xについ
    て解くことにより、 前記1または複数の到来波の少なくとも前記到来角θを
    測定することを特徴とする到来波測定方法。
  2. 【請求項2】 前記地点において測定された前記指向性
    アンテナの受信信号電力の空間平均値y(αj)を、前
    記指向性アンテナの回転角αjが所定の回転角であると
    きの前記指向性アンテナの受信信号電力が、前記各測定
    位置pkの位置差に応じて空間的に変化する周期のほぼ
    整数倍の範囲の前記各測定位置pkにおける平均値とす
    る、 ことを特徴とする請求項1に記載の到来波測定方法。
  3. 【請求項3】 K個の前記測定位置pkにおける前記指
    向性アンテナの受信信号電力y(pk,αj)の平均値
    を、前記地点において測定された前記指向性アンテナの
    受信信号電力の空間平均値y(αj)とし、前記各測定
    位置pkにおける前記指向性アンテナの受信信号電力y
    (pk,αj)の値に対し、前記空間平均値y(αj)と
    の差分を自乗した値の、前記回転角αjの前記測定区間
    における和が所定値より大きな測定位置pkを除外した
    残りの測定位置pkにおける受信信号電力について平均
    値をとり、該平均値を新たに前記地点において測定され
    た前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y
    (αj)とすることを特徴とする請求項1に記載の到来
    波測定方法。
  4. 【請求項4】 前記GX=Yで表される方程式を前記第
    3の行列Xについて解く方法は、 Nを計算上出力される到来波数を決める任意の自然数と
    し、N波の到来波を、到来角ψ1,電力c1の最大の大き
    さの第1の到来波、ないし、到来角ψN,電力cNの第N
    の到来波としたとき、前記到来角θiの到来波の電力x
    (θi)を、 x(θi)=c1h(θi−ψ1)+c2h(θi−ψ2)+
    … +cNh(θi−ψN) ただし、 【数4】 で表されることを前提として、前記GX=Yの関係に基
    づいて得られるy(αj)の値が、前記地点において測
    定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均
    値y(αj)に近似した値になるように、最初に前記第
    1の到来波のc1,ψ1を求め、順次、第Nの到来波のc
    N,ψNまでを求め、 存在する到来波を最大限N波まで出力可能とする、 ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記
    載の到来波測定方法。
  5. 【請求項5】 前記c1,ψ1を求め、順次、cN,ψN
    でを求める処理は、第1ないし第Nの処理ステップを有
    し、 前記第1の処理ステップは、c1g(ψ1−αj)と、前
    記地点において測定された前記指向性アンテナの受信信
    号電力の空間平均値y(αj)との差分を自乗した値
    の、前記回転角αjの前記測定区間における和が最小に
    なるときのc1,ψ 1をc1≧0の条件のもとで求め、 第2の処理ステップは、c2g(ψ2−αj)にc1g(ψ
    1−αj)を加算したものと、前記地点において測定され
    た前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y
    (αj)との差分を自乗した値の、前記回転角αjの前記
    測定区間における和が最小になるときのc2,ψ2をc2
    ≧0の条件のもとで求め、 以下、前記第Nの処理ステップまでの各処理ステップ
    は、同様な処理を繰り返し、 前記第Nの処理ステップは、cNg(ψN−αj)にc1
    (ψ1−αj)ないしc N-1g(ψN-1−αj)を加算した
    ものと、前記地点において測定された前記指向性アンテ
    ナの受信信号電力の空間平均値y(αj)との差分を自
    乗した値の、前記回転角αjの前記測定区間における和
    が最小になるときのcN,ψNを、cN≧0の条件のもと
    で求める、 ことを特徴とする請求項4に記載の到来波測定方法。
  6. 【請求項6】 前記c1,ψ1を求め、順次、cN,ψN
    でを求める処理は、第1ないし第Nの処理ステップを有
    し、 前記第1の処理ステップは、 前記地点において測定された前記指向性アンテナの受信
    信号電力の空間平均値y(αj)が最大となるときの前
    記回転角αjの値をψ1として、c1=y(ψ1)/g
    (0)を求め、 前記第2の処理ステップは、y(αj)−c1g(ψ1
    αj)の値が最大となるときのαjの値をψ2として、c2
    ={y(ψ2)−c1g(ψ1−ψ2)}/g(0)を求
    め、 以下、前記第Nの処理ステップまでの各処理ステップは
    同様な処理を繰り返し、 前記第Nの処理ステップは、 y(αj)−{c1g(ψ1−αj)+c2g(ψ2−αj
    + …+cN-1g(ψN-1−αj)} の値が最大となるときのαjの値をψNとして、 cN=[y(ψN)−{c1g(ψ1−ψN)+c2g(ψ2
    −ψN)+ …+cN-1g(ψN-1−ψN)}]/g(0) を求める、 ことを特徴とする請求項4に記載の到来波測定方法。
  7. 【請求項7】 指向性アンテナを回転させ、送信側から
    送信された連続波を受信し、前記指向性アンテナの受信
    信号電力を測定することにより、1または複数の到来波
    の少なくとも到来角θを測定する到来波測定装置であっ
    て、 ある地点において複数の測定位置pkが設定され、該測
    定位置pkにおける前記指向性アンテナの回転角αに関
    し、測定区間がM個の微少区間に分割され、それぞれの
    微少区間のj番目に対応して割り当てられた回転角αj
    (j=1〜M)に対して測定された受信信号電力y(p
    k,αj)を入力し、前記回転角αjに対する受信信号電
    力の空間平均値y(αj)として、複数の測定位置pk
    少なくとも一部の測定位置における前記指向性アンテナ
    の受信信号電力の平均値を計算する空間平均値計算手
    段、 前記到来角θに関し、前記到来角θの測定区間がM個の
    微少区間に分割され、それぞれの微少区間のi番目に対
    応して割り当てられた到来角θi(i=1〜M)、およ
    び、前記回転角αjに対し、角度θi−αjにおける前記
    指向性アンテナの利得g(θi−αj)を出力するアンテ
    ナ利得出力手段、および、 前記空間平均値計算手段から出力される前記回転角αj
    に対する受信信号電力の空間平均値y(αj)、およ
    び、前記アンテナ利得出力手段から出力される前記指向
    性アンテナの利得g(θi−αj)を入力し、 第1の行列Yを、 【数5】 とし、 第2の行列Gを、 【数6】 とし、 前記到来角θiに対する到来波の電力をx(θi)とし、 第3の行列Xを、 【数7】 として、 GX=Yで表される方程式を、前記第3の行列Xについ
    て解く演算手段を有し、 前記1または複数の到来波の少なくとも前記到来角θを
    測定することを特徴とする到来波測定装置。
  8. 【請求項8】 前記空間平均値計算手段は、前記指向性
    アンテナの回転角α jが所定の回転角であるときの前記
    指向性アンテナの受信信号電力y(pk,αj)が、前記
    各測定位置pkの位置差に応じて空間的に変化する周期
    のほぼ整数倍の範囲の前記各測定位置pkにおける平均
    値を計算することを特徴とする請求項7に記載の到来波
    測定装置。
  9. 【請求項9】 前記空間平均値計算手段は、 K個の前記測定位置pkにおける前記受信信号電力y
    (pk,αj)を入力し、 前記K個の測定位置pkにおける前記指向性アンテナの
    受信信号電力y(pk,αj)の平均値を、前記地点にお
    いて測定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空
    間平均値y(αj)とし、前記各測定位置pkにおける前
    記指向性アンテナの受信信号電力y(pk,αj)の値に
    対し、前記空間平均値y(αj)との差分を自乗した値
    の、前記回転角αjの前記測定区間における和が所定値
    より大きな測定位置pkを除外した残りの測定位置pk
    おける受信信号電力について平均値をとり、該平均値を
    新たに前記地点において測定された前記指向性アンテナ
    の受信信号電力の空間平均値y(αj)として出力す
    る、 ことを特徴とする請求項7に記載の到来波測定装置。
  10. 【請求項10】 前記演算手段は、 Nを計算上出力される到来波数を決める任意の自然数と
    し、N波の到来波を、到来角ψ1,電力c1の最大の大き
    さの第1の到来波、ないし、到来角ψN,電力cNの第N
    の到来波としたとき、前記到来角θiの到来波の電力x
    (θi)を、 x(θi)=c1h(θi−ψ1)+c2h(θi−ψ2)+
    … +cNh(θi−ψN) ただし、 【数8】 で表されることを前提として、前記GX=Yの関係に基
    づいて得られるy(αj)の値が、前記地点において測
    定された前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均
    値y(αj)に近似した値になるように、最初に前記第
    1の到来波のc1,ψ1を求め、順次、第Nの到来波のc
    N,ψNまでを求め、 存在する到来波を最大限N波まで出力可能とする、 ことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記
    載の到来波測定装置。
  11. 【請求項11】 前記演算手段は、前記c1,ψ1を求
    め、順次、cN,ψNまでを求める処理を実行する第1な
    いし第Nの処理手段を有し、 前記第1の処理手段は、c1g(ψ1−αj)と、前記地
    点において測定された前記指向性アンテナの受信信号電
    力の空間平均値y(αj)との差分を自乗した値の、前
    記回転角αjの前記測定区間における和が最小になると
    きのc1,ψ1をc1≧0の条件のもとで求め、 前記第2の処理手段は、c2g(ψ2−αj)にc1g(ψ
    1−αj)を加算したものと、前記地点において測定され
    た前記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y
    (αj)との差分を自乗した値の、前記回転角αjの前記
    測定区間における和が最小になるときのc2,ψ2をc2
    ≧0の条件のもとで求め、 以下、第Nの処理手段までの各処理手段は、同様な処理
    を繰り返し、 前記第Nの処理手段は、cNg(ψN−αj)にc1g(ψ
    1−αj)ないしcN-1g(ψN-1−αj)を加算したもの
    と、前記地点において測定された前記指向性アンテナの
    受信信号電力の空間平均値y(αj)との差分を自乗し
    た値の、前記回転角αjの前記測定区間における和が最
    小になるときのcN,ψNを、cN≧0の条件のもとで求
    める、 ことを特徴とする請求項10に記載の到来波測定装置。
  12. 【請求項12】 前記c1,ψ1を求め、順次、cN,ψN
    までを求める処理を実行する第1ないし第Nの処理手段
    を有し、 前記第1の処理手段は、前記地点において測定された前
    記指向性アンテナの受信信号電力の空間平均値y
    (αj)の値が最大となるときの前記回転角αjの値をψ
    1として、c1=y(ψ1)/g(0)を求め、 第2の処理手段は、y(αj)−c1g(ψ1−αj)の値
    が最大となるときのαjの値をψ2として、 c2={y(ψ2)−c1g(ψ1−ψ2)}/g(0)を
    求め、 以下、前記第Nの処理手段までの各処理手段は、同様な
    処理を繰り返し実行するものであり、 前記第Nの処理手段は、 y(αj)−{c1g(ψ1−αj)+c2g(ψ2−αj
    + …+cN-1g(ψN-1−αj)} の値が最大となるときのαjの値をψNとして、 cN=[y(ψN)−{c1g(ψ1−ψN)+c2g(ψ2
    −ψN)+…+cN-1g(ψN-1−ψN)}]/g(0) を求める、 ことを特徴とする請求項10に記載の到来波測定装置。
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