JP2000299191A - 電界発光素子 - Google Patents

電界発光素子

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JP2000299191A
JP2000299191A JP11105804A JP10580499A JP2000299191A JP 2000299191 A JP2000299191 A JP 2000299191A JP 11105804 A JP11105804 A JP 11105804A JP 10580499 A JP10580499 A JP 10580499A JP 2000299191 A JP2000299191 A JP 2000299191A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化されにくく、耐久性および信頼性を向上
させることのできる電界発光素子を提供する。 【解決手段】 電界発光素子の陰極を、電子親和力が
0.5eV以下の物質、すなわちダイヤモンド薄膜等で
構成する。ダイヤモンド薄膜は電子親和力が負であって
極めて電子を放出し易い。その反面で酸化されにくい性
質を有し、化学的にも極めて安定である。したがって品
質劣化が問題になる電界発光素子や表示素子の陰極の構
成として最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばノート型コ
ンピュータ、携帯型テレビジョン、移動通信機器のディ
スプレイ等の携帯型情報端末に利用される電界発光薄膜
を用いた電界発光素子の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】特定の蛍光体に強い電場を加えたときに
蛍光体が発光するエレクトロルミネセンス現象を利用し
た電界発光素子が多数開発されている。この電界発光素
子は自己発光のため視認性が高く、完全固体素子である
ため耐衝撃性に優れ、低駆動電圧などの特徴を有するこ
とから、各種表示装置における発光素子としての利用さ
れている。
【0003】従来、電界発光素子をカラー表示可能に構
成した発明として、例えば(1)赤(R),緑(G),
青(B)の三原色で発光する電界発光材料をマトリック
ス状に配置する方法(特開昭57−157487号公
報,特開昭58−147989号公報,特開平3−21
4593号公報など)、(2)白色で発光する電界発光
素子とカラーフィルターを組み合わせRGBの三原色を
取り出す方法(特開平1−315988号公報,特開平
2−273496号公報,特開平3−194895号公
報など)、(3)青色で発光する電界発光素子と蛍光変
換膜とを組み合わせRGBの三原色に変換する方法(特
開平3−152897号公報)などが知られていた。こ
れら発明において陰極は電子親和力が小さい、つまり電
子を出し易い性質であることが要件とされている。従
来、陰極材料としてはアルカリ金属やアルカリ土類金
属、アルミニウムが使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
陰極材料は陰極材料が酸化し易いものであったため、電
界発光素子の耐久性や信頼性が低くなるという不都合が
あった。また、この陰極材料の酸化を少しでも防止する
ために不活性雰囲気中で陰極形成から連続的に保護膜の
形成を行う必要があった。このために製造工程が複雑化
していた。そこで、本願発明者は上記課題に鑑み、電界
発光素子の陰極として適する性質を備え、かつ酸化され
にくい陰極を備えることにより、耐久性および信頼性を
向上させることのできる電界発光素子を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極と陰極と
の間に蛍光性化合物で形成される発光層を配置した構造
を備える電界発光素子において、陰極は電子親和力が
0.5eV以下の物質で構成されていることを特徴とす
る電界発光素子である。これは電子親和力がゼロまたは
負の値を有する場合を含むものとする。ここで「電子親
和力」とは、真空中で中性原子と電子とが結合する際に
放出されるエネルギーをいい、電子親和力が負であると
は電子を放出しやすい性質であることを示す。電子親和
力が少ない物質は電子を出し易いので、陰極材料として
適する。特に電子親和力がゼロまたは負である場合には
発光効率が良くなる傾向にあるので好ましい。
【0006】また陰極は、ダイヤモンド型構造、せん亜
鉛鉱構造またはウルツ鉱構造のいずれかを備える物質で
構成される。ここで「ダイヤモンド型構造」とは、共有
結合で作られた単体の結晶が、単位格子に8個の原子を
含み、1個の原子に他の4個の原子が正四面体形に配置
したような結晶構造をいう。この結晶は独立した二組の
面心立方格子から構成され、一方の格子は他方の立体対
角線に沿ってその長さの1/4だけ平行移動した位置を
占める。ただし、ここでは物質が総ての点でダイヤモン
ドと同じ結晶構造を備えるという意味ではなく、一部空
間配置がダイヤモンド型構造と異なる場合を含む。
【0007】このような条件を満たす物質としては、例
えば、ダイヤモンド、窒化ホウ素または窒化アルミニウ
ムのうちいずれかの半導体類が挙げられる。ダイヤモン
ドには、I型とII型とがあるが、ホウ素が混合された
IIb型の人工ダイヤモンドは抵抗率が10〜10Ω
cm程度のp型半導体であり好ましい。ダイヤモンドは
真空中におけるエネルギー準位が高く、電界発光素子の
陰極に適する性質を数々備えている。
【0008】また陰極は、ダイヤモンド型構造、せん亜
鉛鉱構造またはウルツ鉱構造のいずれかを備える物質で
構成される層と導電性材料で構成される層との積層構造
を備えていてもよい。ダイヤモンド構造物質等だけでは
高抵抗である場合には、金属などの導電性材料の層と積
層すればムラなく電子を放出するような構造にできる。
【0009】さらに陰極は、ダイヤモンド型構造、せん
亜鉛鉱構造またはウルツ鉱構造のいずれかを備える物質
で構成される画素領域と導電性材料で構成される接続領
域とを備え、独立して形成されている当該画素領域を当
該接続領域が相互に電気的に接続して構成されていても
よい。電子を注入すべき画素領域以外には導電性材料が
形成されているので、ダイヤモンド型構造物質が高抵抗
であっても電子をむらなく注入させることができる。
【0010】なお、発光層と陰極との間に電子の輸送能
を向上させる電子輸送層を備えていてもよい。電子輸送
層が作用して、発光層に効率的に電子を注入させること
ができる。また発光層と陽極との間に正孔の輸送能を向
上させる正孔輸送層を備えていてもよい。正孔輸送層が
作用して、発光層に効率的にキャリアを注入させること
ができる。
【0011】ここで陽極または陰極のいずれかが画素単
位で独立して駆動可能にパターニングされていることが
好ましい。画素単位に電界の印加を制御できるので、複
数の画素を集合させることで画像表示をさせることがで
きる。
【0012】特に、各画素単位を構成する発光層を、各
々が異なる原色で発光する蛍光性化合物で構成すれば、
原色発光の有無を制御することで、それらの組み合わせ
によって任意の色を発光させ、カラー表示装置として使
用することが可能である。ここでカラー表示のために
は、発光層は、特定色で発光する蛍光性化合物で構成さ
れており、各原色のうち特定色以外の原色で発光させる
画素領域には、特定色の蛍光を特定色以外の原色に変換
する蛍光変換層が設けられている構造が考えられる。
「特定色」とは例えば青色などである。またカラー表示
のためには、発光層は、白色で発光する蛍光性化合物で
構成されており、各画素領域には、白色の蛍光のうち、
各原色の蛍光を透過させるカラーフィルタが設けられて
いてもよい。
【0013】本発明の電界発光素子の製造方法におい
て、陰極は化学気相成長法によって形成される。例えば
プラズマCVD法やホットフィラメントCVD法が考え
られる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好適な実施の形態
を、図面を参照しながら説明する。 (実施形態1)本発明の実施形態1は、陰極を単層のダ
イヤモンド薄膜で構成したカラー表示可能な電界発光素
子に関する。図1に、本実施形態1における電界発光素
子の一部断面図を示す。以下本明細書の断面図では、カ
ラー表示に足りる三原色の画素領域からなるカラー画素
の模式的な断面を示す。本実施形態1の電界発光素子
は、図1に示すように、基板10、ダイヤモンド陰極1
1、絶縁膜12、発光層13r、13g、13b、陽極
14から構成されている。
【0015】基板10は、光透過性があり、ある程度の
機械的強度を有する材料、例えば基板10は、ガラス、
石英、樹脂などで構成される。ただし発光層13の光を
陽極14側に射出可能なように電界発光素子を構成する
なら、基板が光透過性を備えていなくてもよい。この場
合に基板には例えばシリコンが適用できる。
【0016】ダイヤモンド陰極11は、電子親和力が
0.5eV以下、好ましくは電子親和力がゼロまたは負
の値を備えることを要する。このような物質は電子を出
しやすい性質を備えるため電界発光素子の陰極に適す
る。またこの陰極は、ダイヤモンド型構造、せん亜鉛鉱
構造またはウルツ鉱構造のいずれかを備える物質で構成
される。ダイヤモンド型構造等を備える物質は、概ね酸
化されにくく化学的に極めて安定である。このため電界
発光素子の耐久性や信頼性を向上させるのに適する。具
体的な陰極材料としては、人工ダイヤモンドを利用す
る。一般にダイヤモンドは絶縁体であるが、I型の結晶
は窒素を含むので比較的低抵抗であり陰極に適する。た
だしII型の結晶であっても窒素やホウ素がドープされ
たダイヤモンドであれば抵抗値が10〜10Ωcmの
半導体であり、陰極に使用することが可能である。ダイ
ヤモンドに窒素がドープされていた方が電子のエミッタ
ー特性をより良好にできるので、陰極材料として好まし
い。なお、ダイヤモンドの他に、同様の条件を備える元
素、例えば窒化ホウ素または窒化アルミニウムのうちい
ずれかが代替可能である。
【0017】ダイヤモンド陰極の製造方法としては、プ
ラズマCVD法やホットフィラメントCVD法等で炭素
の結晶構造を成長させる方法がある。例えばCH+H
の混合ガスから、0.1Torrで数百度以上の雰囲
気化で炭素結晶を化学気相成長させることでダイヤモン
ド薄膜形成が可能である。
【0018】絶縁膜12は、画素領域間を隔てる隔壁と
して機能可能に形成されている。この絶縁膜は画素領域
ごとに独立して駆動させる構造の場合に必要である。画
素ごとの発光制御をせずに全体を一体として発光させる
構造にする場合には、絶縁膜は不要である。絶縁膜12
は、画素分離を行うために電気的抵抗の高い材料、例え
ば感光性ポリイミドなど通常用いられるフォトレジスト
材料をパターニングして露光・現像することで形成され
る。
【0019】発光層13は、蛍光性の有機化合物であ
り、通常用いられる電界発光薄膜材料を適用可能であ
る。赤色の発光層13rの材料としては、BPPC、ペ
リレン、DCM、Eu錯体、PATが使用可能である。
緑色の発光層13gの材料としては、コロネン、Alq
等が適用可能である。青色の発光層13bの材料とし
ては、アントラセン、PPCP,Zn(OXZ)、ジ
スチルベンゼン、その誘導体(PESB)、TPD、P
DHF、PDAF,FP−PPP、RO−PPP,PP
P、PBDなどが適用可能である。発光層13の形成方
法としては、ロールコートやスピンコート等の各種塗布
法、スクリーン印刷法などが適用可能である。またイン
クジェット方式により絶縁膜12間の画素領域に溶液状
の発光材料を充填して発光層を成膜させてもよい。
【0020】陽極14は、電子親和力が大きい導電性の
ある材料で形成される。このような材料は多種存在する
が、蛍光を陽極側に射出する構成にする場合には、光透
過性もある必要がある。例えばITO(Indium Tin Oxi
de)を利用可能である。この実施形態では画素領域ごと
に独立して発光層を駆動させるために、陽極14を画素
領域単位に駆動可能なようにパターニングしておく。た
だし陽極14を共通電極とする場合には陰極11側をパ
ターニングして構成する。なお、陽極と発光層や正孔輸
送層とのコンタクトを良好にし正孔注入を容易にするた
めに、陽極の発光層側にバッファ層を設けてもよい。バ
ッファ層としては例えば銅フタロシアニン、非晶質カー
ボン、導電性ポリマ等が利用できる。
【0021】ここで、電界発光素子を表示装置として構
成するならば、単純マトリクス方式またはアクティブマ
トリクス方式で各画素領域に電界を印加可能に構成する
ことになる。単純マトリクス方式で構成するなら陰極と
陽極ともストライプ状に独立してパターニングしX−Y
マトリクス構造の配線を行う。アクティブマトリクス方
式で構成するなら、上記の陽極の形成にあたってTFT
素子のようなアクティブ素子を形成し、保持容量により
各画素領域の印加電圧を維持可能な構成にする。
【0022】上記構成において、共通電極であるダイヤ
モンド陰極11といずれかの陽極14間に図示しない駆
動回路から高電圧が印加されると、その画素領域の発光
層13にキャリアが注入されエレクトロルミネセンス現
象を生じ、その発光層におけるHOMO(最高被占準
位)−LUMO(最低空準位)で規定される波長で蛍光
が発生する。赤色発光層13rに電圧を印加すれば赤色
が、緑色発光層13gに電圧を印加すれば緑色が、青色
発光層13bに電圧を印加すれば青色が射出される。こ
れらの発光層により構成されるカラー画素では、各原色
発光の有無や強度に応じて色が合成され任意の色彩で発
光させることが可能となる。
【0023】本実施形態によれば、ダイヤモンド陰極は
電子親和力が負であるために電子を非常に出し易く電子
を効果的に注入することができ、他の陰極材料に比べ高
効率の電界発光素子を提供できる。
【0024】また、ダイヤモンドは化学的に極めて安定
であるため、表面のクリーニングが容易であり、発光層
との界面を安定的に形成することができる。
【0025】さらにダイヤモンドは酸化が極めてされ難
く水分が界面から入り込んでも品質劣化が無いため、従
来のように外気を遮断するために労力を払わなくても、
電界発光素子の耐久性や信頼性を向上させることができ
る。
【0026】(実施形態2)前記実施形態1では陰極を
単層のダイヤモンド薄膜で構成したが、本実施形態は陰
極を複数層で構成したカラー表示可能な電界発光素子に
関する。図2に、本実施形態2における電界発光素子の
一部断面図を示す。本実施形態2の電界発光素子は、図
2に示すように、基板10、導電性電極15、ダイヤモ
ンド陰極11、絶縁膜12、発光層13r、13g、1
3bおよび陽極14から構成されている。
【0027】基板10、ダイヤモンド陰極11、絶縁膜
12、各発光層13および陽極14に関しては上記実施
形態1と同様なのでそれらの説明を省略する。
【0028】導電性電極15は導電性材料、例えばカー
ボン、イリジウムなどで構成されている。カーボン等で
あれば、炭素で形成されたダイヤモンド陰極と密着性が
よいため、導電性電極として適する。この導電性電極は
比較的高抵抗のダイヤモンド陰極に対して万遍なく電荷
を供給可能にするため、また基板10とダイヤモンド陰
極11とをより強固に密着させるための層である。導電
性電極15の形成は、スパッタ法や蒸着法などの通常の
薄膜形成方法を適用可能である。
【0029】本実施形態によれば、上記実施形態1と同
様の効果を奏する他、導電性電極が存在するので、ダイ
ヤモンド陰極が高抵抗である場合でも総ての画素に均等
に電位をかけることができる。例えダイヤモンド陰極が
極めて高い低効率を備えていても、ダイヤモンド陰極の
厚みを薄くすることで、ダイヤモンドに電子注入機能を
果たさせることができる。
【0030】(実施形態3)上記各実施形態ではダイヤ
モンド陰極を素子全体に均一に構成したが、本実施形態
はダイヤモンドをパターニングして構成したカラー表示
可能な電界発光素子に関する。図3に、本実施形態3に
おける電界発光素子の一部断面図を示す。本実施形態3
の電界発光素子は、図3に示すように、基板10、ダイ
ヤモンド陰極17、導電性電極18、絶縁膜12、発光
層13r、13g、13bおよび陽極14から構成され
ている。
【0031】基板10、絶縁膜12、各発光層13およ
び陽極14に関しては上記実施形態1と同様なのでそれ
らの説明を省略する。
【0032】ダイヤモンド陰極17は、各画素領域にお
いて発光層13に電界を印加可能な形状にパターニング
されて形成されている。材料および製造方法に関しては
上記実施形態1と同様である。ただしダイヤモンド薄膜
をパターニングするために、酸素プラズマによるエッチ
ングなどを用いる。
【0033】導電性電極18は、導電性材料、例えばカ
ーボンで構成されている。カーボンであればダイヤモン
ド薄膜と密着性がよいので、ダイヤモンド陰極と電気的
に接続するための電極材料として適する。この導電性電
極18は、発光層が設けられていない非画素領域に形成
される。すなわち各画素領域に形成されたダイヤモンド
陰極17を電気的に相互に接続可能なように、各ダイヤ
モンド陰極の間を充填するように形成されている。導電
性電極18の形成は、スパッタ法や蒸着法などの通常の
薄膜形成方法を適用可能である。
【0034】本実施形態によれば、上記実施形態1と同
様の効果を奏する他、導電性電極が存在するので、各画
素領域に設けられた比較的高抵抗のダイヤモンド陰極に
対して万遍なく電荷を供給することができ、総ての画素
に均等に電位をかけることができる。
【0035】(実施形態4)各前記実施形態では発光層
を単層で構成したが、本実施形態は発光層を多層化して
構成したカラー表示可能な電界発光素子に関する。図4
に、本実施形態4における電界発光素子の一部断面図を
示す。本実施形態4の電界発光素子は、図4に示すよう
に、基板10、導電性電極15、ダイヤモンド陰極1
1、絶縁膜12、電子輸送層20、発光層13r、13
g、13b、正孔輸送層21および陽極14から構成さ
れている。
【0036】基板10、ダイヤモンド陰極11、絶縁膜
12、各発光層13および陽極14に関しては上記実施
形態1と同様なのでそれらの説明を省略する。
【0037】電子輸送層20は、電子を効率的に輸送可
能な電子輸送材料、例えばオキサジアゾール誘導体、ベ
リリウム錯体、シロール誘導体、PBD、BND、BM
D、BDD、a−NPD、BAPD、BBOT、MBD
Q、MBSQ、TNF、Alq等で構成される。電子
輸送層の成膜方法としては、有機分子線蒸着法等の公知
の薄膜形成方法を適用可能である。
【0038】正孔輸送層21は、キャリアを効率的に輸
送可能な正孔輸送材料、例えばアミン系のダイアミン、
TPD、PDA、トリフェニルメタン(TPM)、オキ
サゾール、OxZ、STB、DEH、NPB等で構成さ
れる。ヒドラゾン系ではDEH、CzHなどを用いる。
スチルベン系ではSTB、スターバスト系ではm−MT
DATA、ピラゾリン系には、TPTEなどを用いる。
正孔輸送層の成膜方法としては、有機分子線蒸着法等の
公知の薄膜形成方法を適用可能である。
【0039】電子輸送層20と正孔輸送層21は、ラジ
カルカチオンおよびラジカルアニオンが容易に生成し発
光層13内においてこれらが結合消滅して電界発光効果
が生じるように調整する。
【0040】なお、図4ではダイヤモンド陰極11を実
施形態1のような単層で形成したが、実施形態2または
実施形態3の層構造で構成しても無論良い。
【0041】本実施形態によれば、上記実施形態1と同
様の効果を奏する他、電荷輸送層が存在するので、発光
効率を上げることができ、明るい表示が行える電界発光
素子を提供可能である。
【0042】(実施形態5)各前記実施形態では画素領
域ごとに発光層を分離して構成したが、本実施形態は発
光層を共通にし蛍光変換層で多色化可能に構成したカラ
ー表示可能な電界発光素子に関する。図5に、本実施形
態5における電界発光素子の一部断面図を示す。本実施
形態5の電界発光素子は、図5に示すように、基板1
0、ダイヤモンド陰極11、青色発光層22、陽極23
r、23g、23bおよび蛍光変換層24r、24gか
ら構成されている。
【0043】基板10およびダイヤモンド陰極11に関
しては上記実施形態1と同様なのでそれらの説明を省略
する。
【0044】青色発光層22は、総ての画素にまたがっ
て単層で形成されており、実施形態1の青色発光層13
bと同様の材料で構成されている。特に画素ごとのパタ
ーニングをせずに均一な厚みで薄膜形成されるものであ
る。陽極23は、青色発光層22上において画素領域ご
とにパターニングされて形成されている。具体的には実
施形態1と同様である。
【0045】蛍光変換層24rは、青色の蛍光を吸収し
赤色の蛍光に変換して発光することが可能な波長変換材
料で構成されている。例えば赤の波長変換物質としてペ
リレンが使用可能である。蛍光変換層24gは、青色の
蛍光を吸収し緑色の蛍光に変換して発光することが可能
な波長変換材料で構成されている。例えば緑への波長変
換物質としてクマリン6を用いることが可能である。こ
の他、蛍光変換層の材料としては、DCM1、キナクリ
ドン誘導体、ルブレン、DCJT、ナイルレッドなどを
用いることができる。
【0046】なお、図5では、ダイヤモンド陰極11を
実施形態1のような単層で形成したが、実施形態2また
は実施形態3の層構造で構成しても無論良い。また実施
形態4のように電荷輸送層を設けてもよい。
【0047】上記の構成によれば、各陽極23と陰極1
1間に電圧が印加されると対応する画素領域の青色発光
層22が青色の蛍光を発する。この青色の蛍光は、蛍光
変換層24rを透過すると赤色の蛍光に変換され射出さ
れ、蛍光変換層24gを透過すると緑色の蛍光に変換さ
れ射出される。これにより上記実施形態と同様に三原色
が生成され任意の色彩を表示可能なカラー表示が行われ
る。
【0048】本実施形態によれば、上記実施形態1と同
様の効果を奏する他、蛍光変換層が存在するので、単色
の発光層であってもカラー表示が可能である。
【0049】(実施形態6)各前記実施形態では画素領
域ごとに発光層を分離して構成したが、本実施形態は発
光層を共通にしカラーフィルタで多色化可能に構成した
カラー表示可能な電界発光素子に関する。図6に、本実
施形態6における電界発光素子の一部断面図を示す。本
実施形態6の電界発光素子は、図6に示すように、基板
10、ダイヤモンド陰極11、白色発光層25、陽極2
3r、23g、23bおよびカラーフィルタ26r、2
6g、26bから構成されている。
【0050】基板10、ダイヤモンド陰極11および陽
極23r、23g、23bに関しては上記実施形態5と
同様なのでそれらの説明を省略する。
【0051】白色発光層22は、総ての画素にまたがっ
て単層で形成されており、白色発光可能に構成されてい
る。特に画素ごとのパターニングをせずに均一な厚みで
薄膜形成されるものである。例えば実施形態1の三色の
発光層を積層して同時に発光させることで白色発光が可
能である。また多層構造を用いずに、PVKに赤から青
色の発光を示すTPB,PBD、マクリン、DCM、Ne
il Redの色素をドープして同時に発光させても白色発光
が可能である。
【0052】カラーフィルタ26は、透明樹脂に顔料を
混ぜたり染料を用いたりすることで特定波長帯の光のみ
を透過可能に構成されている。例えばカラーフィルタ2
6rは赤色のみを透過可能であり、カラーフィルタ26
gは緑色のみを透過可能であり、カラーフィルタ26b
は青色のみを透過可能に構成されている。
【0053】なお、図6では、ダイヤモンド陰極11を
実施形態1のような単層で形成したが、実施形態2また
は実施形態3の層構造で構成しても無論良い。また実施
形態4のように電荷輸送層を設けてもよい。
【0054】上記の構成によれば、各陽極23と陰極1
1間に電圧が印加されると対応する画素領域の白色発光
層25が白色の蛍光を発する。この白色の蛍光は、カラ
ーフィルタ26rで赤色の蛍光のみが透過され、カラー
フィルタ26gで緑色の蛍光のみが透過され、カラーフ
ィルタ26bで青色の蛍光のみが透過される。これによ
り上記実施形態と同様に三原色が生成され任意の色彩を
表示可能なカラー表示が行われる。本実施形態によれ
ば、上記実施形態1と同様の効果を奏する他、カラーフ
ィルタの作用によりカラー表示が可能である。
【0055】(その他の変形例)本発明は上記各実施形
態に限定されることなく、種々に変更して適用可能であ
る。例えば、陽極と陰極の配置や形状は上記実施形態に
は限定されない。例えば陽極が下層で陰極が上層になる
ように構成してもよい。この場合であっても陰極がダイ
ヤモンドなどの酸化され難く劣化し難い材料で構成され
ているので過剰な保護手段を設けることなく素子の耐久
性や信頼性を向上させることが可能である。また発光層
や電子輸送層、正孔輸送層の材料は例示したものに限定
されず、現在または将来生成される種々の電界発光素子
に適用可能である。
【0056】
【発明の効果】本発明は、電界発光素子の陰極にダイヤ
モンド型構造の物質を適用したので、酸化されにくく化
学的にも極めて安定であり、電界発光素子の耐久性およ
び信頼性を大いに向上させることができる。特に、この
種の発光素子における陰極に新たな素材を提供している
点で産業に貢献している。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における電界発光素子の層構造断面
図である。
【図2】実施形態2における電界発光素子の層構造断面
図である。
【図3】実施形態3における電界発光素子の層構造断面
図である。
【図4】実施形態4における電界発光素子の層構造断面
図である。
【図5】実施形態5における電界発光素子の層構造断面
図である。
【図6】実施形態6における電界発光素子の層構造断面
図である。
【符号の説明】
11、17…ダイヤモンド陰極 13、22,25…発光層 14,23…陽極 15、18…導電性電極 24…蛍光変換層 26…カラーフィルタ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極と陰極との間に蛍光性化合物で形成
    される発光層を配置した構造を備える電界発光素子にお
    いて、 前記陰極は、電子親和力が0.5eV以下の物質で構成
    されていることを特徴とする電界発光素子。
  2. 【請求項2】 前記陰極を構成する物質は、電子親和力
    がゼロまたは負である物質で構成されている請求項1に
    記載の電界発光素子。
  3. 【請求項3】 前記陰極は、ダイヤモンド型構造、せん
    亜鉛鉱構造またはウルツ鉱構造のいずれかを備える物質
    で構成される請求項1に記載の電界発光素子。
  4. 【請求項4】 前記陰極を構成する物質は、ダイヤモン
    ド、窒化ホウ素または窒化アルミニウムのうちいずれか
    である請求項1に記載の電界発光素子。
  5. 【請求項5】 前記陰極は、前記ダイヤモンド型構造、
    せん亜鉛鉱構造またはウルツ鉱構造のいずれかを備える
    物質で構成される層と導電性材料で構成される層との積
    層構造を備えている請求項1に記載の電界発光素子。
  6. 【請求項6】 前記陰極は、前記ダイヤモンド型構造物
    質、せん亜鉛鉱構造またはウルツ鉱構造のいずれかを備
    える物質で構成される画素領域と導電性材料で構成され
    る接続領域とを備え、独立して形成されている当該画素
    領域を当該接続領域が相互に電気的に接続して構成され
    ている請求項1に記載の電界発光素子。
  7. 【請求項7】 前記発光層と前記陰極との間に電子の輸
    送能を向上させる電子輸送層を備える請求項1乃至請求
    項6に記載の電界発光素子。
  8. 【請求項8】 前記発光層と前記陽極との間に正孔の輸
    送能を向上させる正孔輸送層を備える請求項1乃至請求
    項7に記載の電界発光素子。
  9. 【請求項9】 前記陽極または陰極のいずれかが画素単
    位で独立して駆動可能にパターニングされている請求項
    1乃至請求項8に記載の電界発光素子。
  10. 【請求項10】 各画素単位を構成する前記発光層は、
    各々が異なる原色で発光する蛍光性化合物で構成されて
    いる請求項9に記載の電界発光素子。
  11. 【請求項11】 前記発光層は、特定色で発光する蛍光
    性化合物で構成されており、各原色のうち前記特定色以
    外の原色で発光させる前記画素領域には、前記特定色の
    蛍光を前記特定色以外の原色に変換する蛍光変換層が設
    けられている請求項9に記載の電界発光素子。
  12. 【請求項12】 前記発光層は、白色で発光する蛍光性
    化合物で構成されており、各前記画素領域には、白色の
    蛍光のうち、各原色の蛍光を透過させるカラーフィルタ
    が設けられている請求項9に記載の電界発光素子。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項12に記載の電界
    発光素子の製造方法でにおいて、前記陰極は、化学気相
    成長法によって形成されることを特徴とする電界発光素
    子の製造方法。
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