JP2000281495A - 高単結晶性酸化亜鉛薄膜及び製造方法 - Google Patents

高単結晶性酸化亜鉛薄膜及び製造方法

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JP2000281495A JP11088231A JP8823199A JP2000281495A JP 2000281495 A JP2000281495 A JP 2000281495A JP 11088231 A JP11088231 A JP 11088231A JP 8823199 A JP8823199 A JP 8823199A JP 2000281495 A JP2000281495 A JP 2000281495A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板を含めた450〜800nmにおける可視光線透
過率に優れ、単結晶性が高い酸化亜鉛薄膜を有する物品
及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板
の少なくとも一方の面の少なくとも一部に高単結晶性酸
化亜鉛薄膜を有するか、またはYSZ薄膜を少なくとも一
方の面の少なくとも一部に有する基板の前記YSZ薄膜の
少なくとも一部の上に高単結晶性酸化亜鉛薄膜を有する
物品。YSZ基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部
に、またはYSZ薄膜を少なくとも一方の面の少なくとも
一部に有する基板の前記YSZ薄膜の少なくとも一部の上
に、酸化亜鉛焼結体をターゲットとして用いる薄膜法に
より、高単結晶性酸化亜鉛薄膜を形成することを含む高
単結晶性酸化亜鉛薄膜を有する物品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高単結晶性酸化亜
鉛薄膜を有する物品及びその製造方法に関する。
【0002】本発明の物品が有する酸化亜鉛薄膜は、高
単結晶性を有するのみならず、原子価制御法によるキャ
リアドーピングにより伝導性キャリア(電子)濃度が制
御でき、また可視域全域での透明性にも優れるので、有
機EL用基板、光透過性が必要なディスプレイのカラーフ
ィルター用基板や太陽電池用の電極などとして特に有用
である。さらに紫外〜青色レーザーデバイスやSAWデバ
イス、薄膜バリスタの製造に応用することにより、素子
の高性能化、長寿命化に有用である。また、本発明の製
造方法は、基板としてガラスやサファイア(0001)等を用
いた場合に比べ、速い成膜速度においても良質な単結晶
ZnO薄膜を製造できる方法である。
【0003】
【従来の技術】可視光線領域で透明でかつ電気伝導性を
有するいわゆる透明電極材料は、液晶ディスプレイ、EL
ディスプレイなどの各種パネル型ディスプレイや太陽電
池の透明電極として用いられる。
【0004】透明電極材料としては、金属酸化物半導体
が一般に用いられ、スズをドープした酸化インジウム(I
TO)を始めとして、種々提案されている。中でも、パネ
ル型ディスプレイ用の透明電極としてはITOが良く用い
られてきた。しかし、近年パネル型ディスプレイの大型
化、高精細化が進み、ITOの有する抵抗率では不十分な
場合が増えてきている。即ち、大型のディスプレイでは
透明電極の端と端との距離が長くなるため、端点間の抵
抗を高めてしまう。また、高精細化は電極の幅を狭める
ために端点間の抵抗値を高めてしまう。一般に、端点間
の抵抗値を低くするためには電極の厚みを大きくすれば
よい。ところが、ITO電極の場合、厚みを大きくすると
黄色に着色し、透明性が損なわれる。ITOでは波長450nm
以下の光が間接遷移により吸収される現象があるからで
ある。電極の厚みが小さい場合、これはほとんど気にな
らない。しかし電極の厚みが大きくなると、人間の目に
明らかに認識されるようになる。このため、従来、透明
電極材料として実用されているITOでは、透明性と電気
伝導性とをともに満足する大型または高精細の透明電極
を得ることはできなかった。このような理由から、可視
領域の450nm以下の短波長領域でも透明性があり、かつ
導電性の高い材料の開発が課題となっていた。
【0005】ITOに替わる透明電極材料の候補として酸
化亜鉛(以下ZnO)薄膜が挙げられる。ZnOは価電子帯から
禁制帯までのエネルギー差(バンドギャップ)が約3.3e
VあるII-VI族のn型半導体として知られている。薄膜法
(CVD法、スパッタリング法、MBE法、PLD法など)によ
って作製されたZnO薄膜は可視〜近赤外域まで透明であ
り、基板種類に依らずc軸に配向した薄膜となることが
知られている。単結晶性の高いZnOはc面内の導電性が大
きく、さらに酸化インジウムよりも大きなHall移動度を
示すことが知られており、透明導電膜として応用する研
究が進められてきた。透明導電膜としてZnOを応用する
ためには、ZnOが酸素欠損型のn型半導体であることを利
用してZnOのZn位置にAlやGa、Inなどの3価以上の金属イ
オンを置換する(原子価制御)ことにより、キャリアで
ある電子をZnO結晶内に導入することによって可能とな
る。
【0006】単結晶性の評価には通常、高分解能X線回
折が用いられる。θ−2θスキャンにより特定面の配向
性を調べ、さらにθ-ロッキングカーブ(ω-スキャン)
により基板面に対する配向の傾き具合を調べる。通常は
θ-ロッキングカーブ(ω-スキャン)の半価幅(FWHM)
が0.3deg.以下であれば単結晶性が高いと言われてい
る。また、基板面内方向の配向性については、極点図測
定を行い結晶のモザイク性を調べることで評価される。
【0007】ZnO薄膜の製造方法として代表的なもの
に、CVD法、スプレー法、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、MBE法、スパッタリング法、ゾルゲル法、噴
霧熱分解法などが挙げられる。さらにCVD法としては、
熱CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法、光CVD法などを挙げ
ることができる。
【0008】CVD法やスプレー法にような化学的手法
は、真空蒸着法やスパッタリング法のような物理的手法
に比べて設備は簡単であり、大型基板の作製に適してい
る。さらに、反応促進や特性安定化のために乾燥や焼成
の行程を行うときには、300〜500℃の熱処理を必要とす
るので、ガラス基板上に直接製造する場合には適してい
る。
【0009】物理的手法は、成膜時の基板温度を、150
〜300℃という低温とすることができるため、薄膜をガ
ラス基板上に直接製造する場合だけでなく、各種下地層
の上に製造する場合にも適している。なかでもスパッタ
リング法は生産性が高く、大面積基板にも均一に成膜で
きるなどの点で優れている。
【0010】近年、高温超伝導体などの原子層成長に用
いられるレーザーアブレーション(PLD)装置の普及によ
り結晶性の高いZnO薄膜が容易に作製できるようになっ
たため、これまで透明導電膜の最高導電率(ITO:10000
Scm-1)と同等程度のZnO薄膜(Alドープ)もPLD法によ
りガラス基板上に作製できるようになった(例えばA. S
uzuki, T.Matsushita, N.Wada, Y.Sakamoto and M.Okud
a, JJAP, 35, L56-L59 (1996).)。
【0011】ZnO薄膜の電気伝導キャリアの散乱因子は
主として粒界であると言われており、そのため粒界のな
い単結晶のHall移動度は200cm2/Vsにも達する。従来、
単結晶性ZnO薄膜の作製方法としてはMOCVD法やPLD法に
より、サファイア(0001)基板上に成膜する手法が一般的
に用いられている。また上記手法によりサファイア基板
上に成膜した単結晶ZnO薄膜は室温で紫外レーザー発振
することが報告されている。ZnO薄膜をサファイア(000
1)基板上に堆積した場合、ZnOも(0001)方位に成長す
る。この場合、サファイア(0001)とZnO(0001)の格子不
整が約18%と大きいことから、1対1のエピタキシャル成
長ではなく、ハイヤーオーダーエピタキシーと呼ばれる
高次成長モードでエピタキシャル成長することが知られ
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来技術
は、次のような問題点を有している。サファイア(0001)
をZnO薄膜の成膜基板として用いた場合には、ZnOとサフ
ァイアの大きな格子不整のために、基板−膜界面での格
子の乱れが生成しやすく、単結晶性を向上させるために
は成膜速度を非常に遅くする必要があり、成膜速度を速
くすることができないという製造上の問題があった。Zn
Oと格子不整の小さい半導体材料としてGaN(0001)/Si(11
1)やCaF2(111)/Si(111)が既に報告されているが、これ
らの基板はいずれもSi上に形成しているため大量生産に
は不向きであり、またSiが透明ではないため透明なデバ
イスとしての応用ができないという問題があった。
【0013】そこで本発明の目的は、基板を含めた450
〜800nmにおける可視光線透過率に優れ、単結晶性が高
い酸化亜鉛薄膜を有する物品を提供することにある。さ
らに本発明の目的は、450〜800nmにおける可視光線透過
率に優れた基板を用い、従来法に比べ高速で単結晶性が
高い酸化亜鉛薄膜を有する物品を作製できる方法を提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、YSZ(イット
リア安定化ジルコニア)基板の少なくとも一方の面の少
なくとも一部に高単結晶性酸化亜鉛薄膜を有するか、ま
たはYSZ薄膜を少なくとも一方の面の少なくとも一部に
有する基板の前記YSZ薄膜の少なくとも一部の上に高単
結晶性酸化亜鉛薄膜を有することを特徴とする物品に関
する。さらに本発明は、、YSZ(イットリア安定化ジル
コニア)基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部
に、またはYSZ薄膜を少なくとも一方の面の少なくとも
一部に有する基板の前記YSZ薄膜の少なくとも一部の上
に、酸化亜鉛焼結体をターゲットとして用いる薄膜法に
より、高単結晶性酸化亜鉛薄膜を形成することを含む高
単結晶性酸化亜鉛薄膜を有する物品の製造方法に関す
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明(物品)の第1の態様は、
イットリア安定化ジルコニア(以下、YSZと略記する)
基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に高単結晶
性酸化亜鉛薄膜を有する物品である。第2の態様は、YS
Z薄膜を少なくとも一方の面の少なくとも一部に有する
基板の前記YSZ薄膜の少なくとも一部の上に高単結晶性
酸化亜鉛薄膜を有する物品である。
【0016】基板 本発明者らは、可視〜近赤外域で透明で、大気中で安定
な材料を探索したところ、YSZ(イットリア安定化ジル
コニア)が可視〜近赤外域まで透明な材料であることを
見いだした。YSZ単結晶は単結晶育成法により液相法に
より製造されるため欠陥密度が低く、高強度であること
から単結晶ZnO薄膜の成膜基板として適している。ま
た、YSZ薄膜は、スパッタリング法やレーザーアブレー
ション法により、ガラス、単結晶、プラスチック等の基
板上に成膜することができる。
【0017】純粋な酸化ジルコニウム(ジルコニア)
は、室温での結晶系は単斜晶であり、高温ではより対称
性の高い立方晶が安定となる。高温での酸化ジルコニウ
ムの結晶構造(立方晶)は、蛍石(CaF2)型であり、酸化
イットリウム(イットリア)や酸化カルシウム(カルシ
ア)をドープすることで室温でも立方晶が安定となる。
そこで、酸化イットリウム(イットリア)を添加し、室
温でも安定な蛍石(CaF2)型を有するイットリア安定化ジ
ルコニア(YSZ)が用いられている。
【0018】特に、本発明における基板及び薄膜として
は、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)は、(111)面で
あることがサファイア(0001)と比較してZnOとの格子整
合性が良いので好ましい。但し、SAWデバイス用の場合
には、YSZ(110)を用いることで高単結晶性酸化亜鉛薄
膜を(110)に配向させることができる。また、イット
リア安定化ジルコニア(YSZ)におけるイットリアの含有
量は、0を越え20wt%以下の範囲とすることが適当であ
る。また、YSZは、イットリウム以外の元素(例えば、
カルシウム、マグネシウム(いずれの元素もジルコニア
を立方晶に安定化させることが出来る))等を基板及び
薄膜が着色しない程度(例えば、450〜800nmにおける可
視光線透過率が例えば、80%以上に保たれる程度)に含
んでも構わない。特に、本発明の物品を電極として使用
する場合、基板は可視光領域において透明性の高い基板
を用いることが適当である。
【0019】第1の態様で用いるYSZ基板(YSZのバル
ク)及び第2の態様で用いるYSZ薄膜は、いずれも、光
学研磨されていて、傾斜角が10%以下のものであること
が好ましい。また、大気中で1000〜1500℃の熱エッチン
グまたは化学エッチングなどの手法により原子オーダー
で平坦化したYSZ基板を用いると、その上に設ける酸化
亜鉛薄膜の単結晶性を高め、結晶粒径を大きくすること
ができるという利点上がある。
【0020】YSZ薄膜を形成する基板の材料としては、
ガラス(例えば、石英ガラス、パイレックスガラス、無
アルカリガラス等)、単結晶(例えば、サファイア、Mg
O、MgAl2O4等)、プラスチック(例えば、PMMA(ポリメ
チルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリ
プロピレン)、PE(ポリエチレン)などのあらゆる基板を
用いることができる。但し、これらの基板は、450〜800
nmにおける可視光線透過率に優れたもの(具体的には、
450〜800nmにおける可視光線の平均透過率が95%以上で
あるもの)が好ましい。YSZ薄膜は、この基板上に、薄
膜法(例えば、CVD法、スプレー法、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法、MBE法、スパッタリング法、ゾル
ゲル法、噴霧熱分解法)により形成することができる。
但し、YSZ(111)面を形成できる方法及び条件を選択する
ことが好ましい。また、YSZ薄膜の膜厚には特に制限は
ないが、例えば、10〜200nmの範囲とすることが適当
である。YSZ薄膜を形成する基板として、サファイア基
板を用いることは以下の点で好ましい。即ち、サファイ
ア基板上にレーザーアブレーション法により形成された
単結晶性の高いYSZ薄膜を用いることで、酸化亜鉛薄膜
の単結晶性を高め、結晶粒径を大きくする上で有効であ
る。
【0021】高単結晶性酸化亜鉛薄膜 本発明において、高単結晶性酸化亜鉛薄膜とは、単結晶
性の高い酸化亜鉛薄膜の意味である。薄膜の単結晶性の
評価は、高分解能X線回折を用い、θ−2θスキャンに
より特定面の配向性を調べ、さらにθ-ロッキングカー
ブ(ω-スキャン)により基板面に対する配向の傾き具
合を調べることで行うことができる。本発明において
「高単結晶性」とは、θ-ロッキングカーブ(ω-スキャ
ン)の半価幅(FWHM)が0.3deg.以下、好ましくは0.2de
g.以下、より好ましくは0.1deg.以下である。単結晶性
が高ければ高いほど、可視光透過率が大きく、Hall移動
度が大きいという利点がある。第1の態様の物品の場
合、高単結晶性酸化亜鉛薄膜は、YSZ基板の少なくとも
一方の面の少なくとも一部に設けられるが、第1の態様
の物品は、具体的には、YSZ基板の一方の面の一部また
は全部に高単結晶性酸化亜鉛薄膜を設けたものであるこ
とができる。また第2の態様の物品の場合、高単結晶性
酸化亜鉛薄膜は、YSZ薄膜を少なくとも一方の面の少な
くとも一部に有する基板の前記YSZ薄膜の少なくとも一
部の上に設けられるが、第2の態様の物品は、具体的に
は、YSZ薄膜を一方の面の一部または全部に有する基板
の前記YSZ薄膜の一部または全部の上に高単結晶性酸化
亜鉛薄膜を設けたものであることができる。また、高単
結晶性酸化亜鉛薄膜の膜厚には特に制限はないが、可視
光域の透過率が80%以上であることが適当であること等
を考慮して、例えば、200nm〜3μmの範囲とすることが
できる。
【0022】本発明の高単結晶性酸化亜鉛薄膜は、Al、
Ga、In、Y、Si、Ti、Zr、Hf、Ge、B、及びFからなる群
から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含むことが
できる。これらの元素は、高単結晶性酸化亜鉛薄膜の伝
導性キャリア(電子)濃度を高め、あるいは高導電性、
赤外域の光吸収性(プラズマ吸収)等の物性を付与するこ
とができる。これらの元素の含有量は、薄膜に必要とさ
れるキャリア電子の量、あるいは可視光域の透過率等を
考慮して適宜決定できるが、例えば、0〜10重量%の範
囲である。高単結晶性酸化亜鉛薄膜は、キャリア電子の
量が1×1010/cm3〜1×1022/cm3の範囲であることが、良
好な導電性を得るという観点から適当である。より高い
導電性という観点からは、キャリア電子の量は1×1017/
cm3〜1×1022/cm3の範囲であることが好ましい。伝導性
キャリア(電子)濃度は、上記のように、原子価制御法
によるキャリアドーピングによりが制御できる。
【0023】また本発明の高単結晶性酸化亜鉛薄膜はL
i、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素をさらに含むこともできる。これらの元素は、高単結
晶性酸化亜鉛薄膜の伝導性キャリア(電子)濃度を低下
させ、圧電性等の物性を付与することができる。これら
の元素の含有量は、固溶範囲等を考慮して適宜決定でき
るが、例えば、0〜10重量%の範囲である。
【0024】本発明の高単結晶性酸化亜鉛薄膜を有する
物品は、可視域全域での透明性にも優れるので、有機EL
用基板、光透過性が必要なディスプレイのカラーフィル
ター用基板や太陽電池用の電極などとして有用である。
さらに紫外〜青色レーザーデバイスやSAWデバイス、薄
膜バリスタの製造に応用することにより、素子の高性能
化、長寿命化に有用である。本発明は、本発明の高単結
晶性酸化亜鉛薄膜を有する物品の高単結晶性酸化亜鉛薄
膜上にすだれ状電極を形成したことを特徴とする弾性表
面波(SAW)フィルタを包含する。「すだれ状電極」と
は、SAWデバイスの入出力電極を指す。すだれ状電極に
電気信号が印加されると、圧電効果によって電極間に周
期的な機械的歪みが生じ、表面波が励起される。また、
すだれ状電極は、蒸着、スパッタリング等の方法により
形成することができる。
【0025】製造方法 本発明の高単結晶性酸化亜鉛薄膜を有する物品の製造方
法は、YSZ基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部
に、またはYSZ薄膜を少なくとも一方の面の少なくとも
一部に有する基板の前記YSZ薄膜の少なくとも一部の上
に、酸化亜鉛焼結体をターゲットとして用いる薄膜法に
より、高単結晶性酸化亜鉛薄膜を形成することを含む。
この方法により、前記本発明の高結晶性酸化亜鉛薄膜を
有する物品を製造することができる。本発明の製造方法
に使用する、YSZ基板及びYSZ薄膜を有する基板は、前記
本発明の物品で説明したものと同様のものを使用でき
る。本発明の製造方法では、酸化亜鉛焼結体をターゲッ
トとして用いる薄膜法により、高単結晶性酸化亜鉛薄膜
を形成する。酸化亜鉛焼結体は、常法により得られるも
のをそのまま使用できるが、例えば、平均粒子径1μmの
酸化亜鉛粉末を、196Mpaの圧力でCIP成形してディスク
状にした後、大気中1000℃、6時間焼結したものである
ことができる。本発明の製造方法では、形成される酸化
亜鉛薄膜の単結晶性が、ターゲットの密度により変化す
ることは殆どない。但し、薄膜法としてレーザーアブレ
ーション法を用いる場合、レーザーパルス照射によるタ
ーゲットのダメージを考慮すると、ターゲットとして用
いる酸化亜鉛焼結体は、相対密度が60%以上、好ましく
は90%以上であることが適当である。
【0026】また酸化亜鉛焼結体にAl、Ga、In、Y、S
i、Ti、Zr、Hf、Ge、B、及びFからなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素をさらに含ませることができ、こ
のようなターゲットを用いることで高単結晶性酸化亜鉛
薄膜にこれらの元素を添加することができる。また、酸
化亜鉛焼結体にはLi、Na及びKからなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素をさらに含ませることもでき、上
記と同様に、このようなターゲットを用いることで高単
結晶性酸化亜鉛薄膜にこれらの元素を添加することがで
きる。これらの元素を含有するターゲットとしては、例
えば、酸化亜鉛にこれらの元素の酸化物等を所定量混合
し、成形し、焼結したものを用いることができる。
【0027】また、薄膜法として、CVD法、スプレー
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE法、ス
パッタリング法、ゾルゲル法、噴霧熱分解法などが挙げ
られる。さらにCVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD
法、MOCVD法、光CVD法などを挙げることができる。但
し、組成のずれが起きにくく、高酸素圧(例えば、100P
a)から低酸素圧(10-5Pa)まで成膜でき、不純物が少ない
という観点から、薄膜法としてレーザーアブレーション
法を用いることが好ましい。
【0028】レーザーアブレーション法 レーザーアブレーション法とは、レーザー光によるアブ
レーション過程を経て薄膜を合成する手法であり、近
年、スパッタリング法に代わる手法として注目されつつ
ある。アブレーションとは強力な光のエネルギーを照射
された物体の表面で急激な発熱と光化学反応の両方が起
き、成分が爆発的に気化する現象である。レーザーアブ
レーションによる成膜の特徴としては (1)高融点薄膜の合成が容易 (2)原料加熱源が不要な清浄雰囲気下での成膜が可能 (3)成膜室内のガス分圧のバリエーションが広い (4)ターゲットと膜の組成ずれが小さい (5)膜組成をデジタル的に制御できる 等が挙げられる。
【0029】本発明者らは、YSZ基板(特にYSZ(111)基
板)上にレーザーアブレーション法により酸化亜鉛薄膜
を試作した。その結果、酸化亜鉛薄膜の単結晶性の評価
手段の一つである、X線回折のθロッキングカーブの半
値幅が0.1deg.以下と非常に狭く、同一成膜条件下でサ
ファイア(0001)面上に試作した酸化亜鉛薄膜よりも高い
単結晶性を有する酸化亜鉛薄膜を製造することができ
た。さらに、YSZ基板(特にYSZ(111)基板)上にレーザ
ーアブレーション法により作製された薄膜は、単結晶性
が高いためにHall移動度が大きく、基板を含めた450〜8
00nmにおける可視光線透過率も高いものである。
【0030】基板とZnO(0001)面の格子マッチングの違
いから、サファイア(0001)面を用いた場合に比べてYSZ
基板(特にYSZ(111)基板)を用いた場合のほうが成膜速
度を速くしても単結晶性の高いZnO薄膜を作製できると
考えられる。またレーザーアブレーション法では限られ
た表面を瞬時に気化し、原子状態まで分解するため単結
晶性の高い薄膜の作製に好ましいものと考えられる。
【0031】レーザーアブレーションの酸素雰囲気 本発明の製造方法では、レーザーアブレーション法によ
る高単結晶性酸化亜鉛薄膜の形成を酸素雰囲気中で行う
ことが、結晶性と透明性に優れた薄膜を形成することが
できるという観点から適当である。雰囲気中の酸素分圧
は、例えば、1×10-6〜100Paの範囲、好ましくは1×10
-3〜1Paの範囲とすることが適当である。
【0032】レーザーアブレーションの照射エネルギー 本発明の製造方法のレーザーアブレーション法に用いる
レーザーとしては、紫外域から赤外域のいずれの波長、
すなわち0.19〜11mm、望ましくは0.19〜0.3mmが可能で
あり、連続発振又はパルス発振のいずれの方式を採用す
ることができる。レーザー照射時のレーザー強度は、0.
0001〜1000J/cm2/pulse、望ましくは0.1〜10J/cm2/puls
eである。基板温度は0〜1000℃、望ましくは25〜800℃
であることが適当である。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではな
く、適宜変更して実施することが可能なものである。
【0034】実施例1 ZnO粉末(高純度化学研究所(株)製、純度99.99%)を
一軸加圧成形によって直径25mmの円盤状に成形し、大気
中1100℃で6時間焼成して酸化亜鉛焼結体を得た。得ら
れた焼結体表面を#800のダイヤモンド研磨板を用いて研
磨し、平滑表面としてレーザーアブレーション用ターゲ
ットとした。
【0035】レーザーアブレーション用ターゲットをタ
ーゲットホルダー(インコネル製)に、YSZ(111)基板を
基板ホルダーにそれぞれ装着し、チャンバー内部に導入
した後、減圧ポンプを用いて所定真空度になるまで装置
内部を排気した。次に成膜後の膜の均一性を高めるため
にターゲットホルダー及び基板ホルダーを回転させた。
成膜時の基板温度は600℃とした。成膜後の膜の結晶性
を向上させる目的で酸素ガス(0.001Pa)を導入し、酸
素圧を高めた。この条件でエキシマレーザーパルス(10
Hz, 1J/cm2/pulse)を照射して30分間成膜し、酸化亜鉛
薄膜を作製した。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚を触針式
段差膜厚計によって測定したところ、約40nmであったこ
とから、成膜速度は0.2オングストローム/秒程度である
ことが分かった。さらに、XRDによって結晶性を調べた
ところ、(002)面の回折ピークが観察され、配向膜とな
っていることが確かめられた。またXRDのθロッキング
カーブ測定を行い、薄膜の単結晶性を評価したところ、
半値幅が約0.1deg.であったことから、極めて単結晶性
が高いZnO薄膜であることが分かった。上記薄膜の導電
性を四探針法により、またホール効果をファン・デル・
パウ法によりそれぞれ測定した結果、Hall移動度は52cm
2/Vs、キャリア濃度0.89×1018cm-3であり、導電率は7.
4S/cmであった。
【0036】実施例2 実施例1記載の方法でレーザーアブレーション用ターゲ
ットを作製した。レーザーアブレーション用ターゲット
をターゲットホルダー(インコネル製)に、YSZ(111)基
板を基板ホルダーにそれぞれ装着し、チャンバー内部に
導入した後、減圧ポンプを用いて所定真空度になるまで
装置内部を排気した。次に成膜後の膜の均一性を高める
ためにターゲットホルダー及び基板ホルダーを回転させ
た。成膜時の基板温度は600℃とした。成膜後の膜の結
晶性を向上させる目的で酸素ガス(0.001Pa)を導入
し、酸素圧を高めた。この条件でエキシマレーザーパル
ス(10Hz, 0.5J/cm2/pulse)を照射して30分間成膜し、
酸化亜鉛薄膜を作製した。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚
を触針式段差膜厚計を用いて測定したところ、約30nmで
あったことから、成膜速度は0.17オングストローム/秒
程度であることが分かった。さらに、XRDによって結晶
性を調べたところ、(002)面の回折ピークが観察され、
配向膜となっていることが確かめられた。またXRDのθ
ロッキングカーブ測定を行い、薄膜の単結晶性を評価し
たところ、半値幅が約0.1deg.以下であったことから、
極めて単結晶性が高いZnO薄膜であることが分かった。
上記薄膜の導電性を四探針法により、またホール効果を
ファン・デル・パウ法によりそれぞれ測定した結果、Ha
ll移動度は75cm2/Vs、キャリア濃度0.98×1018cm-3であ
り、導電率は11.8S/cmであった。
【0037】実施例3 実施例1記載の方法でレーザーアブレーション用ターゲ
ットを作製した。レーザーアブレーション用ターゲット
をターゲットホルダー(インコネル製)に、YSZ(111)基
板を基板ホルダーにそれぞれ装着し、チャンバー内部に
導入した後、減圧ポンプを用いて所定真空度になるまで
装置内部を排気した。次に成膜後の膜の均一性を高める
ためにターゲットホルダー及び基板ホルダーを回転させ
た。成膜時の基板温度は600℃とした。成膜後の膜の結
晶性を向上させる目的で酸素ガス(0.001Pa)を導入
し、酸素圧を高めた。この条件でエキシマレーザーパル
ス(1Hz, 0.5J/cm2/pulse)を照射して300分間成膜し、
酸化亜鉛薄膜を作製した。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚
を触針式段差膜厚計を用いて測定したところ、約30nmで
あったことから、成膜速度は0.017オングストローム/秒
程度であることが分かった。さらに、XRDによって結晶
性を調べたところ、(002)面の回折ピークが観察され、
配向膜となっていることが確かめられた。またXRDのθ
ロッキングカーブ測定を行い、薄膜の単結晶性を評価し
たところ、半値幅が約0.1deg.以下であったことから、
極めて単結晶性が高いZnO薄膜であることが分かった。
上記薄膜の導電性を四探針法により、またホール効果を
ファン・デル・パウ法によりそれぞれ測定した結果、Ha
ll移動度は131cm2/Vs、キャリア濃度0.83×1018cm-3
あり、導電率は28S/cmであった。
【0038】
【表1】
【0039】実施例4 (Alドープによる低抵抗化) ZnO粉末(高純度化学研究所(株)製、純度99.99%)及
びAl2O3(高純度化学研究所(株)製、純度99.99%)粉
末を重量比98:2となるように秤量、混合した後、一軸加
圧成形によって直径25mmの円盤状に成形し、大気中1500
℃で6時間焼成して酸化亜鉛焼結体を得た。得られた焼
結体表面を#800のダイヤモンド研磨板を用いて研磨し、
平滑表面としてレーザーアブレーション用ターゲットと
した。レーザーアブレーション用ターゲットをターゲッ
トホルダー(インコネル製)に、YSZ(111)基板を基板ホ
ルダーにそれぞれ装着し、チャンバー内部に導入した
後、減圧ポンプを用いて所定真空度になるまで装置内部
を排気した。次に成膜後の膜の均一性を高めるためにタ
ーゲットホルダー及び基板ホルダーを回転させた。成膜
時の基板温度は600℃とした。成膜後の膜の結晶性を向
上させる目的で酸素ガス(0.001Pa)を導入し、酸素圧
を高めた。この条件でエキシマレーザーパルス(10Hz,
3J/cm2/pulse)を照射して15分間成膜し、酸化亜鉛薄膜
を作製した。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚を触針式段差
膜厚計を用いて測定したところ、約200nmであった。さ
らに、XRDによって結晶性を調べたところ、(002)面の回
折ピークが観察され、配向膜となっていることが確かめ
られた。またXRDのθロッキングカーブ測定を行い、薄
膜の単結晶性を評価したところ、半値幅が約0.05deg.で
あったことから、極めて単結晶性が高いZnO薄膜である
ことが分かった。上記薄膜の導電性を四探針法により、
またホール効果をファン・デル・パウ法によりそれぞれ
測定した結果、Hall移動度は30cm2/Vs、キャリア濃度1
×1021cm-3であり、導電率は4800S/cmであった。尚、ア
ルミの含有量は、キャリア濃度とほぼ等しい約1×1021c
m-3であった。
【0040】実施例5 (Li添加による高抵抗化(SAWデバ
イス用途)) 2atmic%のLiを添加したZnO粉末を一軸加圧成形によって
直径25mmの円盤状に成形し、大気中1100℃で6時間焼成
して酸化亜鉛焼結体を得た。得られた焼結体表面を#800
のダイヤモンド研磨板を用いて研磨し、平滑表面として
レーザーアブレーション用ターゲットとした。レーザー
アブレーション用ターゲットをターゲットホルダー(イ
ンコネル製)に、YSZ(111)基板を基板ホルダーにそれぞ
れ装着し、チャンバー内部に導入した後、減圧ポンプを
用いて所定真空度になるまで装置内部を排気した。次に
成膜後の膜の均一性を高めるためにターゲットホルダー
及び基板ホルダーを回転させた。成膜時の基板温度は60
0℃とした。成膜後の膜の結晶性を向上させる目的で酸
素ガス(0.001Pa)を導入し、酸素圧を高めた。この条
件でエキシマレーザーパルス(10Hz, 3J/cm2/pulse)を
照射して15分間成膜し、酸化亜鉛薄膜を作製した。得ら
れた酸化亜鉛薄膜の膜厚を触針式段差膜厚計を用いて測
定したところ、約200nmであった。さらに、XRDによって
結晶性を調べたところ、(002)面の回折ピークが観察さ
れ、配向膜となっていることが確かめられた。またXRD
のθロッキングカーブ測定を行い、薄膜の単結晶性を評
価したところ、半値幅が約0.03deg.であったことから、
極めて単結晶性が高いZnO薄膜であることが分かった。
上記薄膜は非常に絶縁性が高く、導電率の測定はできな
かった。
【0041】実施例6 (ZnO/YSZ薄膜/サファイア) 実施例1記載の方法でレーザーアブレーション用酸化亜
鉛ターゲットを作製した。またYSZターゲットについて
は、Y2O3を10wt%含むZrO2粉末を一軸加圧成形によって
直径25mmの円盤状に成形し、大気中1600℃で2時間焼成
して酸化亜鉛焼結体を得た。得られた焼結体表面を#800
のダイヤモンド研磨板を用いて研磨し、平滑表面として
レーザーアブレーション用ターゲットとした。レーザー
アブレーション用ターゲットをターゲットホルダー(イ
ンコネル製)に、サファイア(0001)基板を基板ホルダー
にそれぞれ装着し、チャンバー内部に導入した後、減圧
ポンプを用いて所定真空度になるまで装置内部を排気し
た。次に成膜後の膜の均一性を高めるためにターゲット
ホルダー及び基板ホルダーを回転させた。成膜時の基板
温度は800℃とした。成膜後の膜の結晶性を向上させる
目的で酸素ガス(0.001Pa)を導入し、酸素圧を高め
た。この条件でまずYSZターゲット上にエキシマレーザ
ーパルス(1Hz, 1J/cm2/pulse)を照射して5分間成膜
し、YSZ(111)薄膜を作製した。次に同様にして酸化亜鉛
ターゲット上にエキシマレーザーパルス(10Hz, 1J/cm2
/pulse)を照射して15分間成膜し、酸化亜鉛薄膜を作製
した。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚を触針式段差膜厚計
を用いて測定したところ、約150nmであった。また、YSZ
(111)薄膜の厚みは約50nmであった。さらに、XRDによっ
て結晶性を調べたところ、(002)面の回折ピークが観察
され、配向膜となっていることが確かめられた。またXR
Dのθロッキングカーブ測定を行い、薄膜の単結晶性を
評価したところ、半値幅が約0.05deg.であったことか
ら、極めて単結晶性が高いZnO薄膜であることが分かっ
た。上記薄膜の導電性を四探針法により、またホール効
果をファン・デル・パウ法によりそれぞれ測定した結
果、Hall移動度は120cm2/Vs、キャリア濃度1×1018cm-3
であり、導電率は19S/cmであった。
【0042】比較例1 実施例1記載の方法でレーザーアブレーション用ターゲ
ットを作製した。レーザーアブレーション用ターゲット
をターゲットホルダー(インコネル製)に、サファイア
(0001)基板を基板ホルダーにそれぞれ装着し、チャンバ
ー内部に導入した後、減圧ポンプを用いて所定真空度に
なるまで装置内部を排気した。なお用いたサファイア(0
001)基板は大気中において1500℃、1時間のアニールを
施し、原子オーダーの平坦表面化を施したものである。
次に成膜後の膜の均一性を高めるためにターゲットホル
ダー及び基板ホルダーを回転させた。成膜時の基板温度
は600℃とした。成膜後の膜の結晶性を向上させる目的
で酸素ガス(0.001Pa)を導入し、酸素圧を高めた。こ
の条件でエキシマレーザーパルス(10Hz, 1J/cm2/puls
e)を照射して30分間成膜し、酸化亜鉛薄膜を作製し
た。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚を触針式段差膜厚計を
用いて測定したところ、約40nmであったことから、成膜
速度は0.2オングストローム/秒程度であることが分かっ
た。さらに、XRDによって結晶性を調べたところ、(002)
面の回折ピークが観察され、配向膜となっていることが
確かめられた。またXRDのθロッキングカーブ測定を行
い、薄膜の単結晶性を評価したところ、半値幅が約0.5d
eg.であったことから、同一成膜条件でYSZ基板を用いた
場合(実施例1)と比較して単結晶性が乏しいZnO薄膜
であることが分かった。上記薄膜の導電性を四探針法に
より、またホール効果をファン・デル・パウ法によりそ
れぞれ測定した結果、Hall移動度は11cm2/Vs、キャリア
濃度1.1×1018cm-3であり、導電率は2.2S/cmであった。
【0043】比較例2 実施例1記載の方法でレーザーアブレーション用ターゲ
ットを作製した。レーザーアブレーション用ターゲット
をターゲットホルダー(インコネル製)に、サファイア
(0001)基板を基板ホルダーにそれぞれ装着し、チャンバ
ー内部に導入した後、減圧ポンプを用いて所定真空度に
なるまで装置内部を排気した。なお用いたサファイア(0
001)基板は大気中において1500℃、1時間のアニールを
施し、原子オーダーの平坦表面化を施したものである。
次に成膜後の膜の均一性を高めるためにターゲットホル
ダー及び基板ホルダーを回転させた。成膜時の基板温度
は600℃とした。成膜後の膜の結晶性を向上させる目的
で酸素ガス(0.001Pa)を導入し、酸素圧を高めた。こ
の条件でエキシマレーザーパルス(10Hz, 0.5J/cm2/pul
se)を照射して30分間成膜し、酸化亜鉛薄膜を作製し
た。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚を触針式段差膜厚計を
用いて測定したところ、約30nmであったことから、成膜
速度は0.17オングストローム/秒程度であることが分か
った。さらに、XRDによって結晶性を調べたところ、(00
2)面の回折ピークが観察され、配向膜となっていること
が確かめられた。またXRDのθロッキングカーブ測定を
行い、薄膜の単結晶性を評価したところ、半値幅が約0.
2deg.であったことから、同一成膜条件でYSZ基板を用い
た場合(実施例2)と比較して単結晶性が乏しいZnO薄
膜であることが分かった。上記薄膜の導電性を四探針法
により、またホール効果をファン・デル・パウ法により
それぞれ測定した結果、Hall移動度は15cm2/Vs、キャリ
ア濃度1.1×1018cm-3であり、導電率は2.6S/cmであっ
た。
【0044】比較例3 実施例1記載の方法でレーザーアブレーション用ターゲ
ットを作製した。レーザーアブレーション用ターゲット
をターゲットホルダー(インコネル製)に、サファイア
(0001)基板を基板ホルダーにそれぞれ装着し、チャンバ
ー内部に導入した後、減圧ポンプを用いて所定真空度に
なるまで装置内部を排気した。なお用いたサファイア(0
001)基板は大気中において1500℃、1時間のアニールを
施し、原子オーダーの平坦表面化を施したものである。
次に成膜後の膜の均一性を高めるためにターゲットホル
ダー及び基板ホルダーを回転させた。成膜時の基板温度
は600℃とした。成膜後の膜の結晶性を向上させる目的
で酸素ガス(0.001Pa)を導入し、酸素圧を高めた。こ
の条件でエキシマレーザーパルス(1Hz, 0.5J/cm 2/puls
e)を照射して300分間成膜し、酸化亜鉛薄膜を作製し
た。得られた酸化亜鉛薄膜の膜厚を触針式段差膜厚計に
よって測定したところ、約30nmであったことから、成膜
速度は0.017オングストローム/秒程度であることが分か
った。さらに、XRDによって結晶性を調べたところ、(00
2)面の回折ピークが観察され、配向膜となっていること
が確かめられた。またXRDのθロッキングカーブ測定を
行い、薄膜の単結晶性を評価したところ、半値幅が0.1d
eg.であったことから、同一成膜条件でYSZ基板を用いた
場合(実施例3)と比較して単結晶性が乏しいZnO薄膜
であることが分かった。上記薄膜の導電性を四探針法に
より、またホール効果をファン・デル・パウ法によりそ
れぞれ測定した結果、Hall移動度は50cm2/Vs、キャリア
濃度0.99×1018cm-3であり、導電率は7.9S/cmであっ
た。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、YSZ基板又はYSZ薄膜
(特にYSZ(111)基板又は薄膜)を用いることで、サファ
イア(0001)基板を用いた場合と同等またはそれ以上の高
い単結晶性を有する酸化亜鉛薄膜を有る物品を提供する
ことができる。さらに、この物品は、基板を含めた450
〜800nmにおける可視光線透過率に優れたものでもあ
る。本発明の高単結晶性酸化亜鉛薄膜を有する物品は、
例えば、光透過性が必要なディスプレイや太陽電池用の
電極として用いると、素子の長寿命化に大きな効果が期
待できる。また高単結晶性を活かして紫外レーザーデバ
イスやSAWデバイス、薄膜バリスターとして用いると、
素子の高性能化に大きな効果が期待できる。また、本発
明の製造方法によれば、ZnO(0001)面の格子マッチング
の違いから、サファイア(0001)面を用いた場合に比べて
YSZ基板又はYSZ薄膜(特にYSZ(111)基板又は薄膜)を用
いることで、成膜速度を速くしても単結晶性の高いZnO
薄膜を作製することができる。即ち、成膜速度を速くし
ても高い単結晶性が維持できるため製造が容易であり、
本発明によれば、Hall移動度が高く、かつ基板を含めた
450〜800nmにおける可視光線透過率に優れた酸化亜鉛薄
膜を有する物品を高い生産性で製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細野 秀雄 神奈川県横浜市長津田町4259 東京工業大 学応用セラミックス研究所内 (72)発明者 川副 博司 神奈川県横浜市長津田町4259 東京工業大 学応用セラミックス研究所内 Fターム(参考) 4F100 AA00A AA25B AA25K AA27C AA27K AG00A AK01A AT00A AT00C BA02 BA03 BA07 BA10A EH66 GB41 JA11B JA11K JG01 JM02B JM02C JN01 YY00B 4G077 AA03 BB07 DA03 EB01 EB05 ED06 EJ04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イットリア安定化ジルコニア(以下、YS
    Zと略記する)基板の少なくとも一方の面の少なくとも
    一部に高単結晶性酸化亜鉛薄膜を有するか、またはYSZ
    薄膜を少なくとも一方の面の少なくとも一部に有する基
    板の前記YSZ薄膜の少なくとも一部の上に高単結晶性酸
    化亜鉛薄膜を有することを特徴とする物品。
  2. 【請求項2】 YSZ基板及びYSZ薄膜のイットリア含有量
    が0を越え20wt%以下であり、かつ(111)面である請
    求項1に記載の物品。
  3. 【請求項3】 高単結晶性酸化亜鉛薄膜は、X線回折の
    θロッキングカーブの半値幅が0.2deg.以下である請求
    項1または2に記載の物品。
  4. 【請求項4】 高単結晶性酸化亜鉛薄膜がAl、Ga、In、
    Y、Si、Ti、Zr、Hf、Ge、B、及びFからなる群から選ば
    れる少なくとも1種の元素をさらに含む請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の物品。
  5. 【請求項5】 高単結晶性酸化亜鉛薄膜中のキャリア電
    子の量が1×1010/cm3〜1×1022/cm3の範囲である請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の物品。
  6. 【請求項6】 高単結晶性酸化亜鉛薄膜がLi、Na及びK
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに
    含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品。
  7. 【請求項7】 YSZ薄膜を有する基板がガラス、単結晶
    またはプラスティックからなる請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の物品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の物
    品の高単結晶性酸化亜鉛薄膜上にすだれ状電極を形成し
    たことを特徴とする弾性表面波(SAW)フィルタ。
  9. 【請求項9】 イットリア安定化ジルコニア(以下、YS
    Zと略記する)基板の少なくとも一方の面の少なくとも
    一部に、またはYSZ薄膜を少なくとも一方の面の少なく
    とも一部に有する基板の前記YSZ薄膜の少なくとも一部
    の上に、酸化亜鉛焼結体をターゲットとして用いる薄膜
    法により、高単結晶性酸化亜鉛薄膜を形成することを含
    む高単結晶性酸化亜鉛薄膜を有する物品の製造方法。
  10. 【請求項10】 YSZ基板及びYSZ薄膜のイットリア含有
    量が0を越え20wt%以下であり、かつ(111)面である
    請求項9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 酸化亜鉛焼結体がAl、Ga、In、Y、S
    i、Ti、Zr、Hf、Ge、B、及びFからなる群から選ばれる
    少なくとも1種の元素をさらに含む請求項9または10
    に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 酸化亜鉛焼結体がLi、Na及びKからな
    る群から選ばれる少なくとも1種の元素をさらに含む請
    求項9または10に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 薄膜法がレーザーアブレーション法で
    ある請求項9〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
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