JP2000277402A - 半導体素子の不純物濃度分布の最適化方法、装置および記録媒体 - Google Patents

半導体素子の不純物濃度分布の最適化方法、装置および記録媒体

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JP2000277402A
JP2000277402A JP11083175A JP8317599A JP2000277402A JP 2000277402 A JP2000277402 A JP 2000277402A JP 11083175 A JP11083175 A JP 11083175A JP 8317599 A JP8317599 A JP 8317599A JP 2000277402 A JP2000277402 A JP 2000277402A
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Koichi Hayakawa
康一 早川
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インバースモデリングにおいて、複数の不純物
種が存在する場合でも不純物濃度分布の最適化を確実に
行えるようにする。 【解決手段】複数の不純物種の濃度分布を用いて電気特
性を予測するシミュレーション工程(ST2) 、その結果を
所望の電気特性と比較する工程(ST3) 、比較結果から終
了条件を判定する判定工程(ST4) 、終了条件が満たされ
ていないと判断された場合に所定の非線形最適化法によ
り複数の不純物種の濃度分布を個々に最適化する工程(S
T6) 、更新工程(ST8) を有する。この更新では、複数の
不純物種のぞれぞれについて、最適化に用いた不純物濃
度分布の変化量に重み関数を乗じ、元の不純物濃度分布
に加算する。最適化(ST6) 、更新(ST8) 、シミュレーシ
ョン(ST2) 、特性比較(ST3) および判定(ST4) を終了条
件が満たされるまで繰り返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるリバース
モデリングの一種であり、デバイスシミュレーションの
結果得られた電気特性が所望の電気特性にフィッティン
グするように素子パラメータ(不純物濃度分布)を決定
する半導体素子の不純物濃度の最適化方法、最適化装
置、および、その最適化のプログラムが記憶された記憶
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体インバースモデリングは、半導体
デバイスの電気特性(電圧−電気容量特性、電圧−電流
特性または電流−電流特性など)をもとに、半導体素子
内部のパラメータ(たとえば、活性不純物の濃度分布)
の最適値を決定する、素子パラメータの最適化手法であ
る。したがって、不純物濃度分布の最適化を目的とした
インバースモデリングでは、不純物濃度分布を変更しな
がら、デバイスシミュレータによる半導体デバイスの電
気特性計算を幾度も繰り返す。その際、シミュレーショ
ン結果(計算電気特性)が、測定などから得られたリフ
ァレンス電気特性と一致するように、シミュレータに入
力すべき不純物濃度分布を変更していく。
【0003】このようなインバースモデリングは、数学
的には、数値解析の分野における非線形最大値/最小値
問題に属する。つまり、上記不純物濃度分布の最適化で
は、たとえば、不純物濃度分布をパラメータとして、計
算により得た電気特性のリファレンス電気特性に対する
残差(非線形関数の一種)を目的関数として、これを最
小化するようにパラメータを追い込んでいく。
【0004】図3は、従来のインバースモデリング方法
による不純物濃度分布の最適化のおおまかな手順(計算
アルゴリズム)を示すフロー図である。まず、ステップ
ST101において、たとえば測定値を入力データとす
る不純物シミュレーションなどによって、不純物濃度分
布の初期値を推定する。ステップST102において、
この不純物濃度分布の初期値を用いて、デバイスシミュ
レーションを行い、計算による半導体素子の電気特性
(計算値)を求める。ステップST103において、求
めた計算値を、予め用意した、半導体素子の基準となる
電気特性(たとえば、実測値)と比較し、計算値と実測
値との差(計算残差)を算定する。ステップST104
では、算定した計算残差を、予め用意した許容残差と比
較し、計算残差が許容残差より小さければ、初期値は既
に最適であるとして処理を終了する。
【0005】ステップST104において計算残差が許
容残差以上であれば、処理がステップST105に進
み、不純物濃度分布の修正を行う。以後、この不純物濃
度分布の修正(ステップST105)、デバイスシミュ
レーション(ステップST102)、電気特性の比較お
よび計算残差の算定(ステップST103)、残差比較
(ステップST104)を、計算残差が許容残差より小
さくなるまで繰り返す。
【0006】このような不純物濃度分布の最適化方法
(インバースモデリング方法)では、不純物濃度分布
が、(1)スプライン関数、ガウス関数またはピアソン
関数などの適当な関数形、(2)不純物シミュレーショ
ンやSIMS測定などの実測の結果に適当な関数を加え
たもの、あるいは、(3)空間的に離散化された、メッ
シュ点上の不純物濃度値の集合など、種々の形式で取り
扱われる。
【0007】不純物濃度分布の修正(図3のステップS
T105)に際し、(1)または(2)の場合は、関数
形を変化させる係数をパラメータとする。また、(3)
の場合は、メッシュ点上の不純物濃度値そのものをパラ
メータとして扱う。
【0008】ステップST105においてパラメータを
変更後は、ステップST102〜ステップST105を
繰り返すループ計算により、不純物濃度を最適化する。
このループ計算による不純物濃度の最適化において、上
記(1)または(2)のように不純物濃度分布が関数形
の場合、計算残差(非線形関数の一種)を最小化するた
めの非線形最適化手法として、“Levenberg-Marquardt
法”が良く用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この従来の
不純物濃度分布の最適化方法では、不純物濃度分布を修
正するに際し、どの不純物を変化させればよいかを決め
られないことがあり、これが活性不純物の濃度分布を計
算するうえで問題となる。半導体素子内のある点で正電
荷を減らしたいときに、ドナーを減らす、アクセプタを
増やすの2通りの方法がある。また、ドナー不純物が2
種類になると、さらにパラメータ変更の自由度が増える
ことになる。このように半導体デバイスのインバースモ
デリングでは、パラメータ変更の自由度が増えると、変
化すべき不純物が特定できなくなったり、最適値を求め
ようとしても解が複数生じることがあり、計算機で最適
値を求めることが不可能になる。
【0010】この問題を回避するために、変化させるこ
とができる不純物を1種類に限定する、あるいは、取り
得る分布関数形を予め限定しておき少数のパラメータで
分布を決定することで自由度を小さくする、などの方策
を講じている。
【0011】ところが、前者の不純物数を限定する方法
では、1種類の不純物種しか変えることができないた
め、たとえばP−Nジャンクション等、2種類以上の不
純物種を使っている半導体素子構造にインバースモデリ
ングを適用できないという不都合が生じる。また、後者
の分布関数形を限定する方法では、実際の不純物濃度分
布を、定められた範囲内の関数形で表現できない場合が
あり、この場合はインバースモデリングによって最適な
不純物濃度分布を求めることが不可能となる。また、こ
の後者の方法を用いても、最適化のために変化させるべ
き不純物種を決めることが完全に保証されるわけでな
い。
【0012】本発明の目的は、複数種類の不純物種が存
在する場合でも、不純物濃度分布の最適化を確実に行え
る半導体素子の不純物濃度分布の最適化方法、最適化装
置、および、その最適化のプログラムが記憶された記憶
媒体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体素子
の不純物濃度分布の最適化方法は、半導体素子に含まれ
る複数の不純物種の濃度分布を所望の電気特性にもとづ
いて最適化する、半導体素子の不純物濃度分布の最適化
方法であって、上記複数の不純物種のそれぞれに1対1
で対応する重み関数を用いて、上記各不純物種の濃度分
布を個々に最適化する工程を含む。
【0014】好適には、上記不純物濃度分布の最適化工
程は、所定の非線形最適化法により上記複数の不純物種
の濃度分布を個々に最適化する第1の工程と、最適化後
の不純物濃度分布および上記重み関数を用いて、すべて
の不純物濃度分布を個々に更新する第2の工程とを含
む。この第1の工程は、好適には、複数の不純物種から
一の不純物種を選択する工程と、選択された不純物種に
ついて、その濃度分布を変化させながら非線形最適化法
によるループ計算を行う工程とを含む。そして、好まし
くは、この不純物種の選択工程とループ計算工程とを、
全ての不純物種について繰り返し実行させる。また、上
記第2の工程では、好適には、上記複数の不純物種のぞ
れぞれについて、上記ループ計算における不純物濃度分
布の変化量に上記重み関数を乗じて、元の不純物濃度分
布に加算することにより、不純物濃度分布を更新する。
【0015】さらに、好適には、上記複数の不純物種の
濃度分布を用いて電気特性を予測するシミュレーション
工程と、当該シミュレーションの結果を所望の電気特性
と比較する工程と、当該比較結果から終了条件を判定す
る判定工程とを含む。この判定の結果、終了条件が満た
されていない場合に、上記不純物濃度分布の最適化工程
を実行し、また、上記最適化後の不純物濃度分布を用い
て、さらに、上記シミュレーション工程、上記比較工程
および上記判定工程を、終了条件が満たされるまで繰り
返すとよい。また、好適には、上記電気特性の比較工程
では、上記シミュレーションにより得られた計算後の電
気特性とリファレンス電気特性との差(計算残差)を算
出し、上記判定工程では、上記計算残差が予め定められ
た許容残差より小さいことを終了条件として判定する。
【0016】本発明に係る半導体素子の不純物濃度分布
の最適化装置は、上述した各工程を実行する手段とし
て、最適化手段および更新手段を含む最適化部、シミュ
レーション部、比較部、判定部を有する。
【0017】本発明に係る記録媒体は、上述した本発明
に係る半導体素子の不純物濃度分布の最適化方法の処理
をコンピュータに実行させるプログラムが記憶され、コ
ンピュータで読み取り可能に構成されている。
【0018】このような本発明に係る不純物濃度分布の
最適化方法、最適化装置では、デバイスシミュレーショ
ン、電気特性比較(特性差算出)および判定を行う。判
定において、終了条件を満たす場合は処理を終了する。
終了条件を満たさない場合は、複数の不純物種のうち選
択された一の不純物種のみ、その濃度分布を変化させ
て、所定の非線形最適化手法を用いて不純物濃度分布の
最適化を行う。続いて、他の不純物種の濃度分布につい
ても、順次最適化する。全ての不純物種について最適化
がされると、たとえば、各不純物種ごとに、最適化のル
ープ計算における不純物濃度分布の変化量に、当該不純
物種に固有の重み関数を乗じて、これを一つ前のシミュ
レーションで用いた最新の不純物濃度分布に加算するこ
とにより、不純物濃度分布を更新する。この不純物濃度
分布の個別に行う最適化と不純物濃度分布の更新とを、
シミュレーション、特性比較を経たあとの判定で、計算
残差が許容残差より小さくなり“終了条件を満たす”と
判断されるまで繰り返す。
【0019】したがって、この不純物濃度分布の最適化
では、全ての不純物種に対し1つ1つ最適化がされ、予
め決められた重み関数で変化の割合を決めて更新するこ
とから、収束した解が必ず最適値となる。つまり、複数
種類の不純物種を含む半導体素子について、非線形最適
化手法の適用が確実となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る半導体素子の
不純物濃度分布の最適化装置、最適化方法の一実施形態
を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る
記録媒体については、以下に述べる最適化の手順を記述
したプログラムを記憶させたものであることから、説明
を省略する。
【0021】図1は、本発明の実施形態に係る不純物濃
度分布の最適化装置の概略構成を示すブロック図であ
る。この最適化装置1は、初期設定部2、デバイスシミ
ュレータ3、比較部4、判定部5、最適化部6およびル
ープ回数更新部7を有する。最適化部6は、最適化手段
6aおよび更新手段6bを含む。なお、各部および各手
段の機能は、つぎの最適化方法の説明で併せて述べる。
【0022】図2は、本発明の実施形態に係る不純物濃
度分布の最適化のおおまかな手順(計算アルゴリズム)
を示すフロー図である。
【0023】ステップST1では、図1の初期設定部2
において初期設定が行われる。具体的には、まず、ステ
ップST1.1において、不純物濃度分布の初期値を外
部より取り込む。この初期値として、たとえば、不純物
シミュレータにより求めた不純物濃度分布データ、また
は、SIMSなどの不純物濃度測定のデータを用いるこ
とができる。不純物濃度分布は、通常、計算機内部では
メッシュ上の離散値、あるいは適当な関数による近似に
より表現され、取り扱われる。本実施形態では複数の不
純物種を取り扱うが、ここで、N個の不純物種の濃度分
布を最適化することとし、そのi番目(i=1,2,
…,N)の不純物種の濃度をfi (r) と、位置パラメー
タ(たとえば、離散化メッシュ点、あるいは関数の位置
を表す変数)rの関数で表す。また、i番目の不純物濃
度の初期値をfi (0) (r) のように記述する。つぎのス
テップST1.2において、基準とすべき電気特性値と
してのリファレンス電気特性を、たとえば、実験などの
測定データから選定し入力する。また、ステップST
1.3において、許容残差εを外部から入力し、ステッ
プST1.4において、ループ計算の回数を保持する内
部変数nに初期値であることを示す“0”を代入する。
【0024】ステップST2では、図1のデバイスシミ
ュレータ3によって、不純物濃度の初期値を用いたデバ
イスシミュレーションが実行される。すなわち、1番目
の不純物濃度の初期値f1 (0) (r) からN番目の不純物
濃度の初期値fN (0) (r) までの全ての不純物濃度の初
期値を用いて、所定の物理方程式または特性方程式を解
き、所望の電気特性(電圧−電気容量特性、電圧−電流
特性または電流−電流特性など)を計算により求める。
【0025】ステップST3では、図1の比較部4によ
って、計算により求めた電気特性(計算値)が、ステッ
プST1で入力したリファレンス電気特性(リファレン
ス値)と比較される。具体的には、計算値のリファレン
ス値に対する残差(計算残差)を、ステップST1で入
力した許容残差εと比較する。
【0026】ステップST4では、図1の判定部5によ
って、この残差比較の結果にもとづいて終了の可否が判
定される。計算残差が許容残差εより小さい場合は処理
を終了し、1番目の不純物濃度の初期値f1 (0) (r) か
らN番目の不純物濃度の初期値fN (0) (r) までの全て
の不純物濃度の初期値は既に最適であるとして、これら
を出力する。また、場合によっては、計算された電気特
性をも出力する。これに対し、計算残差が許容残差ε以
上の場合は、不純物濃度を個々に最適化するためのルー
チンに入り、処理がステップST5に移行する。
【0027】ステップST5では、図1の最適化手段6
aにおいて、複数の不純物種から1つが選択される。通
常は、1番目の不純物種から順次選択される。
【0028】ステップST6では、図1の最適化手段6
aにおいて、選択された不純物種の濃度分布が最適化さ
れる。このとき選択された不純物種の濃度fi (r) を初
期値から、たとえば、ある一定の規則に従って変化させ
る。なお、他の不純物種の濃度は初期値に、または、最
適化後であれば最適値に固定とする。この不純物ごとの
最適化手順の詳細はとくに図示しないが、たとえば、ス
テップST2およびステップST3と同様に、不純物濃
度を変化させてデバイスシミュレーションを行った後、
計算値とリファレンス値との差(残差)を求めた後に、
この残差を最小化するとよい。不純物濃度の残差は非線
形関数となることから、この最小化は、たとえばLevenb
erg-Marquardt 法などの非線形最適化方法を用いて実行
される。ここで、第i番目の不純物種について残差を最
小にする不純物濃度を“第i最適値”と定める。
【0029】ステップST7では、図1の最適化部6内
で、不純物種の全てについて最適化がされたか否かが判
断される。最適化が行われていない不純物種が存在する
場合には、このステップST7で“全不純物濃度の個別
最適化が終了”と判断されるまで、ステップST5〜ス
テップST7を繰り返し実行する。
【0030】ステップST8では、図1の更新手段6b
において、上記ステップST6の最適化の過程で用いた
濃度分布変化量Δfi (r) が抽出され、当該濃度分布変
化量Δfi (r) 、導出した第1〜第N最適値、および、
予め決められた重み関数wi(r) を用いて不純物濃度f
i (r) の更新がなされる。
【0031】ここで、重み関数wi (r) とは、個々の不
純物種間の配分比を決める関数であり、全ての不純物種
に1対1で定義される。重み関数wi (r) は、全ての値
域で0以上、1以下の値をとり、不純物種に対する値の
総和が1となるように決められる。以上より、重み関数
i (r) に関し、次の式(1)および式(2)が成り立
つ。
【0032】
【数1】
【0033】また、重み関数は、不純物濃度fi (r)
と、その勾配∇fi (r) との関数であり、数式上、次式
(3)のように記述される。
【0034】
【数2】
【0035】重み関数wi (r) の具体例としては、たと
えば、次式(4)に示すように不純物濃度fi (r) を用
いて定義したもの、または、次式(5)に示すように不
純物濃度fi (r) 、その勾配∇fi (r) の双方を用いて
定義したものを挙げることができる。
【0036】
【数3】
【0037】ステップST8では、次式(6)に示すよ
うに、重み関数wi (r) を濃度分布変化量Δfi (r) に
乗じて、不純物濃度fi (r) に加算したものを、次のル
ープ計算(ループ回数:n+1)に用いるべき新たな不
純物濃度fi (n+1) (r) とする。この不純物濃度の更新
を、全ての不純物種について行う。
【0038】
【数4】
【0039】ステップST9で、図1のループ回数更新
部7によりループ回数nがインクリメントされた後、処
理がステップST2の前に戻って、つぎのループ計算に
移行する。
【0040】以後は、前回のループ計算と同様、デバイ
スシミュレーション(ステップST2)、電気特性の比
較(ステップST3の計算残差の算出、ステップST4
の判定)を行う。
【0041】判定の結果、計算残差が許容残差ε以上の
場合は、上述したステップST5〜ステップST9およ
びステップST2〜ステップST4のルーチンを、判定
において“全不純物濃度の個別最適化が終了”(「Ye
s」)と判断されるまで繰り返す。最初に判定で「Ye
s」と判断されたときの全ての不純物濃度を最適値と
し、出力すると、全ての処理が終了する。
【0042】従来の不純物濃度分布の最適化方法では、
不純物種が複数ある場合、どの不純物種の濃度をどの程
度変化させて次のループ計算を実行したらよいかが的確
に判断できないため、計算機の処理続行が不能となった
り、最適解でない解に収束したりする問題があった。
【0043】これに対し、本発明の実施形態に係る不純
物濃度分布の最適化方法では、複数の不純物種がある場
合、その個々の不純物種について濃度分布の最適化を行
う。その際、全ての不純物種を変化させることから、従
来のように、変化させるべき不純物種を選定するといっ
た判断は要求されない。したがって、不純物種の誤った
選定によって、最適解ではない解に計算が収束するよう
なことがない。また、不純物濃度の個別最適化の結果
は、濃度分布変化量Δfi (r) と、その配分比を決める
重み関数によって不純物濃度にフィードバックされ、こ
の新たな不純物濃度を用いて次のループ計算が行われ
る。したがって、ループ計算後に得られた電気特性は、
ループ回数を追うごとに徐々に最適値に近づくこととな
る。以上より、本発明の実施形態に係る不純物濃度分布
の最適化方法によって、複数の不純物種が存在しても、
それぞれの不純物濃度の最適解を確実に求めることが可
能となる。
【0044】
【発明の効果】本発明に係る半導体素子の不純物濃度分
布の最適化方法によれば、複数種類の不純物種が存在す
る場合でも、不純物濃度分布の最適化を確実に行える半
導体素子の不純物濃度分布の最適化方法および最適化装
置と、その最適化のプログラムが記憶された記憶媒体と
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る不純物濃度分布の最適
化装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る不純物濃度分布の最適
化のおおまかな手順(計算アルゴリズム)を示すフロー
図である。
【図3】従来の不純物濃度分布の最適化のおおまかな手
順(計算アルゴリズム)を示すフロー図である。
【符号の説明】
1…不純物濃度分布の最適化装置、2…初期設定部、3
…デバイスシミュレータ、4…比較部、5…判定部、6
…最適化部、6a…最適化手段、6b…更新手段、7…
ループ回数更新部、ST1…初期設定工程、ST2…シ
ミュレーション工程、ST3…電気特性比較および残差
の計算工程(比較工程)、ST4…判定工程、ST5…
不純物種の選択工程、ST6…不純物種の個々の最適化
工程(第1の工程)、ST7…判定工程、ST8…不純
物濃度分布の更新工程(第2の工程)、ST9…ループ
回数の追加工程。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体素子に含まれる複数の不純物種の濃
    度分布を所望の電気特性にもとづいて最適化する、半導
    体素子の不純物濃度分布の最適化方法であって、 上記複数の不純物種のそれぞれに1対1で対応する重み
    関数を用いて、上記各不純物種の濃度分布を個々に最適
    化する工程を含む半導体素子の不純物濃度分布の最適化
    方法。
  2. 【請求項2】上記不純物濃度分布の最適化工程は、所定
    の非線形最適化法により上記複数の不純物種の濃度分布
    を個々に最適化する第1の工程と、 最適化後の不純物濃度分布および上記重み関数を用い
    て、すべての不純物濃度分布を個々に更新する第2の工
    程とを含む請求項1に記載の半導体素子の不純物濃度分
    布の最適化方法。
  3. 【請求項3】上記第1の工程は、複数の不純物種から一
    の不純物種を選択する工程と、 選択された不純物種について、その濃度分布を変化させ
    ながら非線形最適化法によるループ計算を行う工程とを
    含む請求項2に記載の半導体素子の不純物濃度分布の最
    適化方法。
  4. 【請求項4】上記不純物種の選択工程と上記ループ計算
    工程とを、全ての不純物種について繰り返し実行する請
    求項3記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適化方
    法。
  5. 【請求項5】上記第2の工程では、上記複数の不純物種
    のぞれぞれについて、上記ループ計算における不純物濃
    度分布の変化量に上記重み関数を乗じて、元の不純物濃
    度分布に加算することにより、不純物濃度分布を更新す
    る請求項3記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適化
    方法。
  6. 【請求項6】上記複数の不純物種の濃度分布を用いて電
    気特性を予測するシミュレーション工程と、 当該シミュレーションの結果を所望の電気特性と比較す
    る工程と、 当該比較結果から終了条件を判定する判定工程とを含む
    請求項1に記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適化
    方法。
  7. 【請求項7】上記判定の結果、終了条件が満たされてい
    ない場合に、上記不純物濃度分布の最適化工程を実行す
    る請求項6に記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適
    化方法。
  8. 【請求項8】上記最適化後の不純物濃度分布を用いて、
    さらに、上記シミュレーション工程、上記比較工程およ
    び上記判定工程を、終了条件が満たされるまで繰り返す
    請求項6に記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適化
    方法。
  9. 【請求項9】上記電気特性の比較工程では、上記シミュ
    レーションにより得られた計算後の電気特性とリファレ
    ンス電気特性との差(計算残差)を算出し、 上記判定工程では、上記計算残差が予め定められた許容
    残差より小さいことを終了条件として判定する請求項6
    記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適化方法。
  10. 【請求項10】半導体素子に含まれる複数の不純物種の
    濃度分布を所望の電気特性にもとづいて最適化する、半
    導体素子の不純物濃度分布の最適化装置であって、 上記複数の不純物種のそれぞれに1対1で対応する重み
    関数を用いて、上記各不純物種の濃度分布を個々に最適
    化する最適化部を有する半導体素子の不純物濃度分布の
    最適化装置。
  11. 【請求項11】上記最適化部は、所定の非線形最適化法
    により上記複数の不純物種の濃度分布を個々に最適化す
    る最適化手段と、 最適化後の不純物濃度分布および上記重み関数を用い
    て、すべての不純物濃度分布を個々に更新する更新手段
    とを含む請求項10に記載の半導体素子の不純物濃度分
    布の最適化装置。
  12. 【請求項12】上記最適化手段は、複数の不純物種から
    一の不純物種を選択し、 選択された不純物種について、その濃度分布を変化させ
    ながら非線形最適化法によるループ計算を行う請求項1
    1に記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適化装置。
  13. 【請求項13】上記最適化手段は、上記不純物種の選択
    と上記ループ計算とを、全ての不純物種について繰り返
    し実行する請求項12記載の半導体素子の不純物濃度分
    布の最適化装置。
  14. 【請求項14】上記更新手段では、上記複数の不純物種
    のそれぞれについて、上記ループ計算における不純物濃
    度分布の変化量に上記重み関数を乗じて、元の不純物濃
    度分布に加算することにより、不純物濃度分布を更新す
    る請求項12記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適
    化装置。
  15. 【請求項15】上記複数の不純物種の濃度分布を用いて
    電気特性を予測するシミュレーション部と、 当該シミュレーション部からの結果を所望の電気特性と
    比較する比較部と、 当該比較部の結果から終了条件を判定する判定部とを有
    する請求項10に記載の半導体素子の不純物濃度分布の
    最適化装置。
  16. 【請求項16】上記比較部では、上記シミュレーション
    部で得られた計算後の電気特性とリファレンス電気特性
    との差(計算残差)を算出し、 上記判定部では、上記計算残差が予め定められた許容残
    差より小さいことを終了条件として判定する請求項15
    に記載の半導体素子の不純物濃度分布の最適化装置。
  17. 【請求項17】半導体素子に含まれる複数の不純物種の
    濃度分布を所望の電気特性にもとづいて最適化するに際
    し、上記複数の不純物種のそれぞれに1対1で対応する
    重み関数を用いて、上記各不純物種の濃度分布を個々に
    最適化する工程を含む処理をコンピュータに実行させる
    プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な
    記録媒体。
  18. 【請求項18】上記プログラムは、その記録された処理
    の上記不純物濃度分布の最適化工程に、所定の非線形最
    適化法により上記複数の不純物種の濃度分布を個々に最
    適化する第1の工程と、 最適化後の不純物濃度分布および上記重み関数を用い
    て、すべての不純物濃度分布を個々に更新する第2の工
    程とを含む請求項17に記載の記録媒体。
  19. 【請求項19】上記プログラムは、その記録された処理
    の上記第1の工程に、複数の不純物種から一の不純物種
    を選択する工程と、 選択された不純物種について、その濃度分布を変化させ
    ながら非線形最適化法によるループ計算を行う工程とを
    含む請求項18に記載の記録媒体。
  20. 【請求項20】上記プログラムは、その記録された処理
    の上記不純物種の選択工程と上記ループ計算工程とを、
    全ての不純物種について繰り返し実行する請求項19記
    載の記録媒体。
  21. 【請求項21】上記第2の工程では、上記複数の不純物
    種のぞれぞれについて、上記ループ計算における不純物
    濃度分布の変化量に上記重み関数を乗じて、元の不純物
    濃度分布に加算することにより、不純物濃度分布を更新
    する請求項19記載の記録媒体。
  22. 【請求項22】上記プログラムは、その記録された処理
    に、上記複数の不純物種の濃度分布を用いて電気特性を
    予測するシミュレーション工程と、 当該シミュレーションの結果を所望の電気特性と比較す
    る工程と、 当該比較結果から終了条件を判定する判定工程とを含む
    請求項17に記載の記録媒体。
  23. 【請求項23】上記電気特性の比較工程では、上記シミ
    ュレーションにより得られた計算後の電気特性とリファ
    レンス電気特性との差(計算残差)を算出し、 上記判定工程では、上記計算残差が予め定められた許容
    残差より小さいことを終了条件として判定する請求項2
    2に記載の記録媒体。
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JP2005172830A (ja) * 2003-12-12 2005-06-30 Timbre Technologies Inc 集積回路構造のプロファイルを決定する方法及びシステム又はコンピュータ読取可能な記録媒体

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