JP2000271474A - 小型化学反応装置 - Google Patents

小型化学反応装置

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JP2000271474A
JP2000271474A JP11081490A JP8149099A JP2000271474A JP 2000271474 A JP2000271474 A JP 2000271474A JP 11081490 A JP11081490 A JP 11081490A JP 8149099 A JP8149099 A JP 8149099A JP 2000271474 A JP2000271474 A JP 2000271474A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化学反応装置の性能を維持したまま、反
応セルの薄い部分の強化された小型化学反応装置を提供
すること、前記反応セルを複数具備するにも関わらず低
コストである小型化学反応装置を提供すること、及びそ
のような反応セルを簡単に且つ低コストで形成する方法
を提供すること。 【解決手段】 基板と、該基板の表面に開口して設けら
れた1つ以上の反応セルと、前記基板の裏面側に形成さ
れた樹脂膜と、前記樹脂膜に埋設された加熱体及び温度
検出とを具備する小型化学反応装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学反応、特にD
NA増幅反応に用いられる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学反応の1つであるポリメラーゼ連鎖
反応(Polymerase Chain React
ion、以下PCRと略す)は、様々な種類の核酸の混
合物中から特定の核酸配列を増幅する方法である。この
方法は、混合物中に2種類以上のプライマーと熱安定性
酵素及び4種類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸
(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を入れて
核酸を分離する工程と、前記プライマーを結合する工程
と、熱安定性酵素によってプライマーが結合した核酸を
鋳型としてハイブリダイゼーションする工程とからな
り、これらの操作を、少なくとも1回以上繰り返すこと
により、特定の核酸配列を増幅することが可能になる。
【0003】PCRを効率よく行うためには、加熱及び
冷却を高速且つ高精度に行うことが必要である。加熱及
び冷却を高速且つ高精度に行うために、必要であるの
は、主に以下のような2つの条件である。
【0004】第1の条件は、反応容器が、熱伝導率の高
い材質で形成されていることである。
【0005】シリコン、アルミニウム、銅等は高い熱伝
導率を有しているため、反応セルの材質として有利であ
る。その中でもシリコンは、半導体プロセス技術を用い
て加工することが容易であり、且つ加熱体及び温度検出
部等の様々なデバイスを、高い精度を保ちつつ、材質表
面に直接形成することが可能であるので優れている。
【0006】第2の条件は、容器の直ぐ近傍に、できる
だけ熱的絶縁体を介在しない状態で、加熱体及び温度検
出部を形成することである。
【0007】反応液と加熱体及び温度検出部との間に熱
的絶縁体が、全く存在しない条件を満たすことが可能な
装置は、該反応を行う反応セル内に加熱体及び温度検出
部を設置した装置である。しかしながら、反応セル内に
加熱体及び温度検出部を設置することは、製作コスト及
びランニングコストが高いことが問題である。
【0008】例えば、特開平5−317030は、その
ような装置を開示している。該発明は、シリコンウェハ
を微小なチャンバ状に加工し、その底部にペルチエ素子
を形成した反応容器である。この装置は、反応セル内部
に温度調節部を有しているため、反応容器内の温度を精
密に制御することができる。しかし、多数のペルチエ素
子を用いた場合、加熱及び冷却に大きな電流を必要とす
るため、電気抵抗が問題である。更に、多数の配線を並
列に制御する装置は、製造コストもランニングコストも
非常に高いことが欠点である。
【0009】一方、反応セルの外側に加熱体及び温度検
出部を配置する装置については、反応の温度制御に対す
る高精度と、反応セルの十分な強度とを同時に満たすも
のを提供することは困難である。即ち、反応セル内にお
ける温度管理の精度を向上するために、反応セルと加熱
体及び温度検出部とをより近接しようとした場合、反応
セルの壁が薄くなり、その結果、反応セルの強度が不足
し、破損することが問題となるのである。
【0010】例えば、特表平7−508928は、シリ
コンウェハをエッチングにより加工し、反応セルを形成
した装置を開示している。この装置の製造工程では、ウ
エットケミカルエッチング液として水酸化カリウム水溶
液を用いた異方性エッチング法が用いられている。同時
に、シリコンウェハのエッチング停止方法は、窒化シリ
コン膜を利用する方法を使用している。窒化シリコン
は、反応セルの形状を決めるためのマスキングにも一般
的に使用され、最も簡便なエッチングの停止方法であ
る。特表平7−508928における反応セルの製造方
法の概要は、1)基板であるシリコンウェハの両面に窒
化シリコン膜を形成する;2)反応セルの形態に合わ
せ、その開口部の窒化シリコン膜を除去し、残った窒化
シリコン膜をマスクとして用いてシリコンウェハをエッ
チングする;3)反応セルの開口部から底部に至るまで
の部分に当たるシリコンをエッチングにより削り去ると
いうものである。その結果、反応セルの底部として、窒
化シリコン膜だけが残る。即ち、この窒化シリコン膜に
より反応セルの底部が形成される。窒化シリコン膜は、
製法上の制約によって最大でも数ミクロンの膜厚で形成
することしかできない。これは、加熱体及び温度検出部
と上記反応セル内の反応試薬との距離を短縮するために
は非常に有利であるが、その反面、窒化シリコンの脆さ
が問題となる。即ち、反応セルの底部の強度が不足する
ため生じる反応セルの破損が問題となるのである。急熱
及び急冷の繰り返しを必要とするPCRでは、これはよ
り深刻な問題である。特表平7−508928では、窒
化シリコン膜を挟んで反応セルの外側に加熱及び温度検
出用の部材を配置している。
【0011】また、シリコン底部を残さずに反応セルを
形成する場合であって、且つ加熱体の形状が一様でなく
パターンを描いているような場合には、パターンとパタ
ーンの間は発熱しないため、微小な範囲で、温度分布が
生じ、反応が不均一になる欠点があった。
【0012】このような問題を解決する方法として、エ
ッチング時に、シリコンウェハを薄い厚さで残して底部
とする方法がある。反応セル底部としてシリコンウェハ
を薄く残すことにより、微小な熱分布を緩和し、反応セ
ル溶液に伝えるために温度分布を均一にすることが可能
になる。従来技術では、シリコン基板をアルカリ液を用
いたウエットエッチングで処理する場合、エッチングの
停止方法として、時間を設定する方法、又は、窒化シリ
コン膜を設置する方法が使用される。或いは電気化学エ
ッチング法では電気的にエッチングを停止する方法が用
いられる。しかし、このような従来の方法では、シリコ
ン基板を必要なだけ薄く加工することは困難である。
【0013】また、PCR等の反応時に、1つの反応セ
ルを繰り返して加熱及び冷却することなく、温度の調節
を可能にする装置も開発されている。例えば、特表平7
−506258は、反応セルをシリコン基板のエッチン
グにより形成する装置であるが、予め所定の温度に調製
した反応チャンバを複数用意し、その反応チャンバの間
を繰り返し試料溶液を移動させることを特徴としてい
る。これにより加熱及び冷却時の内部圧力の変化を少な
くすることが可能になる。しかし、そのためには、反応
液を反復して移送することが可能な精密なポンプが必要
である。特表平7−508928では、窒化シリコン膜
を挟んでポンプ装置を配置している。また、完全に密閉
しなければ、ポンプ動作に支障を来たす。そのため、試
料溶液の注入方法が複雑になり、製造コストが非常に高
くなることは必須であろう。
【0014】また、場合によっては、基板の材質とし
て、シリコンウェハの代わりにガラス等の材質を選択す
る必要性が生じる。ガラス等の非晶質は、シリコン単結
晶又は他結晶体に比べて熱伝導率が非常に小さいことが
問題になる。小型化学反応装置を作製した場合には、反
応セル内部に大きな熱分布が生じ、精度の高いPCRは
不可能となる。従って、反応セルの底部はなるべく薄い
方がよいとされるが、このような場合にも反応セル底部
の強度不足が大きな問題となっている。特表平7−50
8928では、検出感度と機械強度との間のバランスを
考慮して3μm±10%の薄い窒化シリコン膜を境界層
として、その外側に加熱体、温度検出体、ポンプ装置等
を配置している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、小型化学反応装置の性能を維持したまま、反応セル
の薄い部分の強化された小型化学反応装置を提供するこ
と、前記反応セルを複数具備するにも関わらず低コスト
である小型化学反応装置を提供すること、及びそのよう
な反応セルを簡単に且つ低コストで形成する方法を提供
することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の
(1)〜(8)によって達成される。
【0017】(1)基板と、該基板の表面に開口して設
けられた1つ以上の反応セルと、前記基板の裏面側に形
成された肉厚の樹脂膜と、前記樹脂膜に埋設された加熱
体及び温度検出とを具備する小型化学反応装置。
【0018】(2)請求項1に記載の小型化学反応装置
であって、前記反応セル内壁部は高い熱伝導率を有する
材質で形成され、且つ少なくとも前記基板の厚さの薄い
部分に樹脂膜が形成されている小型化学反応装置。
【0019】(3)請求項1に記載の小型化学反応装置
であって、前記樹脂膜の膜厚が5μm以上、200μm
以下である小型化学反応装置。
【0020】(4)請求項2に記載の小型化学反応装置
であって、前記基板の厚さの薄い部分にホウ素原子が高
濃度で含まれている小型化学反応装置。
【0021】(5)請求項1に記載の小型化学反応装置
であって、前記反応セルを複数個で具備し、且つ該反応
セルの数よりも少ない個数で具備された加熱体及び温度
検出を具備する小型化学反応装置。
【0022】(6)請求項1に記載の小型化学反応装置
であって、更に、前記基板に具備される反応セルの開口
部を覆うように配置された第2の基板を具備し、請求項
1に記載の第1の基板及び第2の基板の一方又は両方に
複数の穴が設けられている小型化学反応装置。
【0023】(7)請求項6に記載の小型化学反応装置
であって、前記複数の穴が光透過性薄膜で閉鎖されてい
る小型化学反応装置。
【0024】(8)請求項7に記載の小型化学反応装置
であって、前記穴の面積が0.1平方mm以上100平
方mm以下であり、且つ短辺が1mm以内の矩形状の窓
である小型化学反応装置。
【0025】
【発明の実施の形態】I.小型化学反応装置 本発明の小型化学反応装置(以下、装置ともいう)は、
化学反応を行うための小型反応装置であり、特に、PC
Rを効率よく行うための反応装置である。本発明の装置
を用いてPCRを行った場合、反応セル内に含まれる反
応液に対し、正確な温度測定と迅速な昇温、降温を行う
ことが可能である。従って、高速、高精度、高増幅率の
PCR反応を行うことができる。以下、本装置について
詳細に説明する。
【0026】本発明の小型化学反応装置は、基板の表面
側に開口して具備された反応セルと、前記基板の反応セ
ルを具備していない裏面側に具備された樹脂膜と、前記
樹脂膜に埋設されることにより具備される加熱体及び温
度検出部とからなる。
【0027】本発明において、前記反応セルの底部が、
前記加熱体により加熱又は冷却され、それにより反応セ
ル内の反応液の温度が調節される。更に、該反応セル底
部の温度を、温度検出部でモニターして管理することに
より、該反応液の温度の高速且つ高精度な調節が可能に
なる。
【0028】好ましい態様において、本発明の小型化学
反応装置は、前述の第1の基板の他に、第2の基板を具
備する。第2の基板は、第1の基板の該反応セルの開口
部を覆うように配置され、主に蓋としての役割を果た
し、それにより、反応液の蒸発等を防止する。
【0029】本発明の小型反応装置の形状は、加工の容
易さから正方形又は長方形の形状が好ましい。しかし、
本発明においてはこれに限定されず、例えば菱形、六角
形若しくは八角形等の多角形、円形、楕円形状が可能で
ある。
【0030】I−1.基板 本発明の第1の基板の表面側に、凹部が形成され、この
凹部を反応セルとして使用することが可能である。
【0031】本発明の第1の基板は、反応セルの壁面を
直接構成する。従って、反応セル内の反応液の温度を、
高速且つ精密に管理するためには、本発明の第1の基板
が、高い熱伝導率を有する材質であることが好ましい。
第1の基板は、シリコン単結晶板(以下、シリコンウェ
ハとも称す)、石英、パイレックス等の非晶質基板、ア
ルミニウム、ステンレス等の金属基板、フッ素樹脂、ポ
リプロピレン等の有機基板が好ましく、シリコンウェハ
は、半導体プロセス技術により容易に加工することがで
きるので最も好ましい。
【0032】一般的に、第1の基板の形状は本装置の形
状により決定される。例えば、本装置の形状が長方形状
である場合、第1の基板の大きさは、長辺は好ましくは
0.1cmから15cmであり、短辺は好ましくは0.
1cmから15cmであり、厚さは0.01cmから
0.5cmである。
【0033】また、本発明の第1の基板に、反応セルの
破壊、又は反応液の突沸を防止するための脱気用の穴を
設けてもよい。
【0034】更に、本発明の第1の基板に、反応液の状
態を観察するための穴を形成してもよい。また、これら
の穴を光透過性の膜で閉鎖してもよい。
【0035】このような光透過性の膜として使用するこ
とが可能な材質は、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、
及び樹脂フィルム等、並びにパイレックスガラス、アル
カリガラス、及び鉱物油等のミネラルオイルである。
【0036】一般的に、小型化学反応装置を使用する場
合、反応セル内に試料溶液するときに同時に気泡が混入
する可能性がある。気泡が混在する場合、反応セル内の
試料溶液を加熱すると、気泡との気水界面での蒸発が生
じて気泡が膨張し、内部圧力が高まる。その結果、反応
セルの破壊や試料溶液の突沸が生じる。2枚の基板の一
方又は両方に形成した貫通穴は、膨張する気泡を外部に
逃がすことで、そのような危険性を低めることが可能で
ある。また、2枚の基板の一方又は両方に形成した貫通
穴は、反応セルの破壊や試料の突沸を防ぐ機能を有する
他に、後述するインターカレート色素を用いるDNA増
幅の結果の検出方法にも利用することも可能である。
【0037】化学反応、特にPCRを行う装置の場合、
PCR試薬の中にDNAの2本鎖の中に入り込んで蛍光
特性が変化する蛍光色素を入れ、PCRを行うのと同時
にDNAが増幅されているかどうかを蛍光強度によって
検出する方法が近年盛んに行われている。前述のような
働きをする色素をインターカレーター色素と呼び、数多
くの種類が知られている。
【0038】もっとも良く使われているインターカレー
ター色素はエチジウムプロミドである。インターカレー
ター色素を用いてDNA増幅反応を検出するためには装
置に励起光の入射と蛍光の検出を行う窓を2枚の基板の
一方又は両方に形成する必要がある。この窓は、上述し
た第1及び第2の基板に形成する穴に相当する。
【0039】この窓は貫通穴でも光透過性薄膜が形成さ
れていても良い。窓を貫通穴とした場合、試料溶液の出
し入れもこの穴を通して行う事が可能となる。動作手順
としては、試料溶液を反応セル内に入れた後、穴にミネ
ラルオイル等の沸点と光透過率が高く、PCR反応を阻
害しない材料で反応セルを密閉する。次に加熱冷却を繰
り返す時に外部から励起光を穴を通して反応セル内部の
試料溶液に照射し、発した蛍光を穴を通して検出する。
このように蛍光強度をモニターすることでDNAが増幅
しているかどうかを同時に測定する事が可能となる。そ
れにより、従来必要であったPCR後の電気泳動等での
検出が不要となり、測定時間を大幅に短縮することか可
能である。
【0040】光透過性膜として窒化シリコン膜を使用す
る場合、反応セルの形成と同時期に形成することが可能
である。即ち、目的となる穴を高濃度のアルカリ溶液で
エッチングする際に、エッチングを開始する面とは反対
の面にも窒化膜を形成しておき、その窒化膜でエッチン
グを停止すれば、窒化膜を光透過性薄膜として形成する
ことができる。これは、穴を形成してから窓材を形成す
るよりも簡単であり、低コスト化が可能になる。
【0041】しかし、この方法で作られる光透過性薄膜
としての窒化膜の膜厚は、0.01μm〜10μm程度
が限界であり、大変薄く、破損しやすい光透過性薄膜と
なってしまう。従って、光透過性薄膜を形成した穴の面
積を、0.1平方mm以上100平方mm以下且つ、短
辺が1mm以内の矩形状の窓とすることで、光透過性薄
膜の薄さをカバーすることのできる十分な強度が得られ
る。また、穴を小さくすることによる面積の不足は、穴
を多数空けることで透過光照射不足を補うことができ
る。このとき、穴の面積が0.1平方mm以下では穴が
小さすぎ、穴を複数開けたとしても透過光が十分照射さ
れない。例えば、蛍光強度により反応達成度を検出する
場合には、蛍光強度が弱くなり、その検出が困難にな
る。また、前述の面積が100平方mmであり、且つ短
辺が1mm以上の形状では、光透過性薄膜が大きくなり
すぎ、破損の原因となる。
【0042】また、上記の穴に光透過性薄膜を形成させ
ることにより、ミネラルオイル等を蓋とすることなく、
より簡便な操作により、DNAの増幅程度をPCRと同
時に測定するための穴が形成できる。このような方法に
より、簡便で低コストな装置が提供できる。
【0043】また、本発明の第1の基板にシリコンウェ
ハを使用する場合、該シリコンウェハに高濃度のホウ素
原子をドープすることが好ましい。シリコンウェハのエ
ッチングをしない片側に、ホウ素原子を高濃度でドープ
させることにより、容易に、且つ膜厚の再現性良く、エ
ッチングを停止することが可能である。これは、高濃度
のホウ素原子により、アルカリ性エッチング液によるエ
ッチングレートが極端に小さくなるためである。
【0044】従来技術で見られるように、エッチングの
際に、シリコンウェハを完全にエッチング仕切らず、薄
く残したシリコンを反応セルの底部とする場合、エッチ
ングの停止方法が問題となる。均一な厚さを維持し、且
つ必要な程度に薄く残すことは、従来の反応セル製造技
術を用いた場合、達成することが不可能である。本発明
では、シリコンウェハのエッチングをしない片側にホウ
素原子を高濃度でドープしておくことにより、目的の反
応セルの底部を形成することを達成した。
【0045】ドープするホウ素原子の好ましい濃度は、
1×1019から1×1020原子/cmであり、よ
り好ましい濃度は1×1020原子/cmである。
【0046】上述した通り、本発明の第2の基板は、第
1の基板の該反応セルの開口部に配置され、主に蓋とし
ての役割を果たす。従って、第2の基板の大きさは、第
1の基板と同じ大きさが好ましいが、これに限定するも
のではない。
【0047】第2の基板として用いることが可能な材質
には、石英、パイレックス等のガラス基板、シリコンウ
ェハ、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、フッ素
樹脂、ポリプロピレン等の有機基板がある。反応セル内
の視認性の観点から、石英、パイレックス等のガラス基
板が優れている。また、熱伝導率の高さからはシリコン
ウェハが優れている。
【0048】また、本発明の第2の基板は、第1の基板
に設けられた反応セルの位置に合わせ、試料溶液を出し
入れするための穴を施設してもよい。また、第1の基板
と同様に、本発明の第2の基板に、脱気用の穴を設けて
もよく、また、反応液の状態を観察するための穴を形成
してもよい。
【0049】I−2.反応セル 本発明の好ましい態様において、反応セルの形状は、そ
の中において化学反応、特にPCRを行うために都合が
よい形態であれば、どのような形態を用いてもよい。反
応セル大きさは、1辺が2〜50mm、深さが0.1〜
1.0mmであることが適当であるが、深さの浅い反応セ
ルの方が、深いセルよりも加熱体からの伝熱効率が高く
なるので好ましい。反応セルの大きさは、上記範囲内で
目的の試料溶液量と考え合わせ適宜選択する。
【0050】また、PCRを行う場合、1〜2℃の反応
温度の違いが反応産物に大きく影響する。従って、温度
調節を迅速に且つ精密に行うために、反応セルの底部の
厚さは、5μmから200μmが好ましく、30μmか
ら100μmがより好ましい。
【0051】本発明の反応セルは、第1の基板に単数で
配置することも、複数で配置することも可能である。
【0052】また、本発明の反応セルの内側に、窒化シ
リコン膜を形成してもよく、容器内壁の表面を親水化す
ることにより、非特異的吸着を抑制してもよい。例え
ば、シリコン酸化膜を、反応セルの側壁部、有機薄膜層
及び基板に成膜することにより、表面を親水化すること
が可能である。
【0053】本発明の小型化学反応装置は、PCR以外
の生化学試験や免疫学的試験等に用いてもよい。目的と
する反応に応じて、必要な表面処理を第1及び/又は第
2の基板に施すことが可能である。
【0054】I−3.樹脂膜 本発明の装置の樹脂膜は、第1の基板の反応セルが開口
していない片側に形成される。
【0055】上述した通り、本発明の第1の基板は、そ
の加工の容易さからシリコンウェハを使用することが好
ましい。シリコンウェハを基板材料として使う場合、ア
ルカリ溶液でのエッチングによる反応セルの形成する方
法が一般的に用いられる方法であるが、反応セル内の温
度を十分に管理するためには、ある程度の薄さが要求さ
れる。目的とする反応を行うためには、加熱及び冷却を
行う場合に生じる内部圧力の変化や、本発明の小型化学
反応装置を他の装置と組合わせる場合に生じる外部から
の加圧に対して、十分な強度を持たせる必要がある。本
発明は、該薄い部分に十分な強度を持たせるために、肉
厚の樹脂膜を形成する。
【0056】樹脂膜は、少なくとも表面の反応セルの開
口により第1の基板の厚みの不足する部分の裏面側に配
置することが好ましいが、第1の基板の裏面全体に配置
してもよい。
【0057】また、上述した通り、本発明は、前記樹脂
膜内に加熱体及び温度検出部を埋設している。加熱体及
び温度検出部を、十分な機械的強度が保証できると共に
熱拡散が過度にならない程度の5μm以上、200μm
以下、好ましくは8から50μmの肉厚の該樹脂膜内に
埋設して配置することにより、加熱体及び温度検出部か
ら、反応セルまでの距離を、反応セルの破損や傷を防止
しながら最も加熱及び温度検出し易い2.5μm以下、
好ましくは0.5μmから2.0μmという近傍位置に
まで短縮することが可能になる。それにより加熱体の熱
効率が向上し、且つ反応セル内の溶液の温度を正確に測
定することが可能になる。
【0058】本発明の好ましい態様における樹脂膜は、
反応セルの底部の壁の薄い部分を強化する役割と、該樹
脂膜中に加熱体及び温度検出部を保持するための電気絶
縁体としての役割とを同時に果たすことが可能である。
従って、製作プロセスの簡略化、及び低コスト化が可能
になる。
【0059】本発明の装置に使用する樹脂膜は、非水溶
性であり、0℃から100℃までの温度範囲で耐熱性が
あり、強い強度を有し、且つ電気絶縁性に優れているこ
とが必要である。そのような要求を満たすことが可能な
具体的な材料は、テフロン等のフッ素樹脂、ポリイミド
樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン樹脂、塩化ビ
ニル樹脂等である。中でもポリイミド樹脂は成膜とパタ
ーニングの容易さから好適である。
【0060】また、ポリイミドは、約350℃までの耐
熱性を有している。従って、ポリイミドを使用した場
合、金属薄膜の成膜プロセスがポリイミド膜上ででき、
それにより種々の作製プロセスが容易になり、製造工程
が短縮できる。
【0061】ポリイミドを用いた場合の好ましい樹脂膜
の厚さは、5μm以上200μm以下である。このと
き、5μm未満、特に4μm以下では、強度の不足を補
うためには薄すぎ、製造、梱包、運搬等の間に亀裂が生
じたり、折れることも有り得ることが判明した。また、
ポリイミドにより形成した樹脂膜は、シリコンウェハに
比べ熱伝導率が小さいので、200μm以上の厚さがあ
る場合には、加熱速度及び冷却速度が低下する。
【0062】I−4.加熱体 本発明の装置に用いることが可能な加熱体は、効率よく
反応セルを加熱できる部材であればよく、ある程度、抵
抗率の高い金属が適している。炭化ケイ素、チタン、ニ
ッケル−クロム合金等のある程度の抵抗値を持っている
材質が適切である。より好ましくは、ニッケルクロム、
チタン等の金属である。
【0063】また、本発明で使用できる加熱体の形状
は、反応セル内の試料溶液を効率よく加熱できる形状で
あれば特に限定されない。例えば、反応セルの全体を加
熱できるように蛇行形状の加熱体としてもよい。
【0064】また、加熱体は、1つの反応セルに対して
1つである必要はなく、2つ以上の加熱体を備えてお
き、反応セルの中心部と周辺部という様に各部を別々に
加熱できるようにしてもよい。或いは、複数の反応セル
を1つの加熱体により、加熱してもよい。全ての反応セ
ルを個別に温度制御しないことで、製作コスト及びラン
ニングコストを下げることが可能になり、また使用時の
利便性も向上される。
【0065】I−5.温度検出部 本発明の小型化学反応装置は、樹脂膜内に温度検出部を
具備する。
【0066】該温度検出部は抵抗率の温度依存性が高
く、また0℃〜100℃の温度範囲において抵抗率が直
線状に変化する金属が好ましく、例えば白金、チタン等
を好適に使用することができる。
【0067】本発明で使用可能な温度検出部の形状は、
反応セル内の温度を効率よく検出できる形状であれば特
に限定されない。例えば、U字形状とすることができ
る。また、温度検出部は1つである必要はなく、2つ以
上の温度検出部を備えておき、反応セルの中心部と周辺
部という様に各部の温度を別々に測定できるようにして
もよい。
【0068】或いは、複数の反応セルを1つの加熱体に
より、加熱してもよい。全ての反応セルを個別に温度制
御しないことで、製作コスト及びランニングコストを下
げることが可能になり、また使用時の利便性も向上され
る。
【0069】また、温度検出部と加熱体との間に電気絶
縁層を形成することも好ましい。電気絶縁層として使用
可能な材質は、酸化シリコン、窒化シリコン、ポリイミ
ド等であるが、ポリイミドがより好ましい。第1の基板
の裏面と温度検出部との間に位置するポリイミド樹脂膜
の厚さは、2.5μm以下、好ましくは0.5μmから
2.0μmである。この範囲より、厚いと温度検出の検
出の応答速度が低下し、温度変化を精度良く検出できな
いことがある。また、温度検出部と加熱体との間に位置
するポリイミド樹脂膜の厚さは、1.0μmから10μ
mが好ましい。
【0070】I−6.任意の構成要素 本発明の小型化学反応装置において、第1の基板と第2
の基板は接合されていることが好ましい。ここで、前記
2枚の基板からなる部材をモジュールと呼ぶ。このモジ
ュールのみであっても、電気接点に電源及びコントロー
ラー等を接続することにより作動できる。該配線及び外
部接続端子部には、抵抗が小さい金属が好ましく、アル
ミニウムがより好ましい。ただし、アルミニウムで作製
した外部接続端子部はハンダが付きにくいのでアルミニ
ウムの上に銅やニッケル等の金属膜を形成しておくこと
が好ましい。
【0071】更に、本発明の用途に応じて必要となる如
何なる任意の構成要素を、更に具備することが可能であ
ることも当業者には明白であろう。
【0072】I−7.枠部材 前述したように、該モジュールのみであっても電気接点
に電源、コントローラー等を接続すれば作動できるが、
試料溶液の出し入れ等が困難であるため、枠材料と組み
合わせて小型化学反応装置とすることが好ましい。
【0073】枠部材は、接着剤、ネジ又ははめ込み等の
手段によって該モジュールに固定することが好ましい。
このように、モジュール部分を枠部材と組み合わせるこ
とによって試料溶液の注入が容易な小型化学反応装置を
製作することができる。また、枠部材は裏面にモジュー
ル部分を組み込むための穴を具備してよく、更に、効率
よく放熱をするための穴を具備してもよい。
【0074】枠部材は樹脂又は金属によって作られるこ
とが好ましい。樹脂材料としてはポリイミド、テフロ
ン、ポリカーボネート等の100℃以上の耐熱性を有し
ている材料が望ましい。また、金属としては銅、アルミ
ニウム、ステンレススティール、マグネシウム合金、チ
タン合金等様々な材料が適応できる。
【0075】モジュール部分と枠部材の間にシリコンゴ
ム等のパッキング材を挿入しても良い。
【0076】また、該モジュール部分と枠部材とを組合
わせた部材を、更に、電極を具備するアタッチメント部
材と組み合わせ、電気コンタクトを取ることも可能であ
る。更に、反応セル内の試料溶液の温度を強制的に下げ
るためにアタッチメントの内部に電動ファンを設けるこ
とも可能である。
【0077】I−8.DNA増幅システム 上記に説明した本発明の小型反応装置を、以下に説明す
るDNA増幅システムと組合わせて用いることも可能で
ある。
【0078】DNA増幅システムは、例えば、PCR反
応を行う試料を貯蔵するための導入試料溶液容器、温度
検出部反応セルでPCR増幅反応が行われた試料溶液を
ストックするための排出試料容器、温度検出装置、加熱
体検出装置、制御装置、試料導入管、試料排出管、ポン
プ及びバルブ等から構成することが可能であるが、これ
に限定されるものではない。
【0079】また、試料導入部及び試料排出部を具備し
てもよい。この場合、該試料導入部及び試料排出部はD
NA等の試料の非特異的吸着の少ない材料、柔軟性の高
い材料から選択することが好ましい。本発明において
は、DNA等の非特異的吸着が少ないことからテフロン
チューブ、ポリプロピレンチューブ等が適しているが、
柔軟性の高さの観点からはシリコンゴムチューブも優れ
ている。
【0080】また、本発明の小型化学反応装置は、PC
R以外の化学的反応に応用することが可能である。
【0081】II.小型化学反応装置の製造方法 II−1.第1の基板及び反応セル 本発明の基板及び反応セルは、基板の材質に応じ、それ
自体当業者に公知の方法により製造することが可能であ
る。例えば、シリコンを基板に使用した場合、例えば、
ウェットエッチング法、ドライエッチング法等の種々の
半導体技術を用いて製造することが可能である。
【0082】本発明の好ましい態様の1つである、シリ
コンウェハを基板として使用する装置を例に、基板及び
反応セルの製造方法を説明するが、これに限定されるも
のではない。
【0083】先ず第1に、窒化シリコン膜を任意の膜厚
でシリコンウェハ表面に成膜し、反応セルの形状にフォ
トリソグラフィ等の技術を利用してパターニングした
後、TMAH等のアルカリ水溶液を用いるフォトレジス
トを除去する。第2に、前記シリコンウェハを水酸化カ
リウム、TMAH(Tetra Methyl Amm
onium Hydride)等の高濃度のアルカリ溶
液中に浸漬することでエッチングする。
【0084】第3に、反応セルの底に薄い部分を残して
エッチングを終了させる。この場合、エッチング終了の
判断は、エッチング時間を測定して終了する等のそれ自
体公知の何れの方法を用いてもよいが、反応セルの底の
部分に高濃度のホウ素原子をドープさせることによる方
法が好ましい。ホウ素原子のドーピングにより、エッチ
ング速度は極端に遅くなる。この原理を利用することに
より、反応セルの底部の薄い部分の厚さを、容易に再現
性よく均一化する事が可能である。
【0085】第4に、エッチングが終了した後、フッ酸
溶液に浸漬させて窒化シリコン膜を除去する。
【0086】以上のようにして得られた反応セルを具備
する第1の基板に、以下の方法により樹脂膜を形成す
る。
【0087】II−2.樹脂膜、加熱部及び温度検出部 本発明の小型反応装置に具備される樹脂膜は、それ自体
公知の種々の方法により形成することが可能である。ま
た、樹脂膜の中に埋設されて具備される加熱部及び温度
検出部も、当業者に公知の種々の方法により形成するこ
とが可能である。
【0088】以下に、シリコン基板を用いた場合の1製
造方法を例示する。II−1の工程で得られた第1の基
板に、エッチングによる反応セルの開口を行わない裏面
側にポリイミドを成膜する。ポリイミドの成膜方法は前
駆体であるポリアミド酸をスピンコート法によって成膜
した後に、ポリイミド膜に変性することにより得ること
が可能である。
【0089】次に、温度検出部をポリイミド膜上に形成
する。温度検出部の材質により、その形成方法を選択す
る必要がある。チタン薄膜により温度検出部を形成する
ことが、加熱体とのプロセスの整合性を考慮した場合に
はより好ましい。しかし、これに限られるものではな
い。
【0090】チタン薄膜は、スパッタ法により成膜する
ことが可能である。成膜したチタン薄膜上にフォトレジ
ストを形成し、目的とする形状にパターニングする。フ
ッ酸と硝酸の混合液等のパターニング溶液中に浸漬する
ことによりチタン膜をパターニングする。続いて、アセ
トン等のフォトレジストを溶解する溶液に浸漬すること
によりフォトレジストを除去する。
【0091】次に温度検出部の上に電気絶縁層としてポ
リイミド膜を成膜する。成膜方法は、例えば、ポリアミ
ド酸をスピンコート法によって成膜した後に、フォトレ
ジストを成膜し、温度検出部の電気接点の部分のポリア
ミド酸膜をパターニングした後、フォトレジストを除去
し、加熱によりポリイミド膜を形成することが可能であ
る。
【0092】加熱体の形成方法は、使用する材質に応
じ、それ自体公知の適切な方法から選択してよい。温度
検出部にチタンを用いる場合、加熱体も同様にチタンを
使用することが好ましい。このように温度検出部と加熱
体との材質を同一にする事で、プロセスを均一化でき、
低コストや設計の自由度の向上が可能となる。
【0093】加熱体は、温度検出部の形成方法と同様に
スパッタ法により形成することが可能である。パターニ
ングされ、フォトレジストを除去しし、加熱体の上に更
にポリイミドを成膜し、エッチングにより温度検出部と
加熱体の電気接点部分のみを露出させることが好まし
い。
【0094】また、上記方法では温度検出部及び加熱体
のパターンは、すべてチタン膜のみで形成することにな
るが、反応セルに対応しない部分までチタン膜で形成し
た場合、反応セルの温度の測定が不正確になる。その加
熱体の加熱効率が落ちる等の不具合が心配される。本発
明の装置では、温度検出部及び加熱体を反応セルに対応
する部分のみに形成し、金やアルミニウム等の抵抗値の
低い材料により配線することで上記の問題を解決でき
る。この場合、電気接点部は、金又はアルミニウムが露
出した状態になる。更に、アルミニウムは表面が酸化し
やすいため、更に、金等により酸化防止膜を形成するこ
とが好ましい。
【0095】II−3.第2の基板 第2の基板であるシリコンウェハへの試料溶液流入穴の
形成は、第1の基板に反応セルを形成する方法と同様に
して行うことが可能である。但し、該試料溶液流入穴
は、反応セルに対する方法とは異なり、エッチングを途
中で中止せず、シリコンウェハの裏面側面まで完全にエ
ッチングし、貫通穴を形成する必要がある。
【0096】II−4.モジュール 本発明のモジュールを形成するために、第1の基板と第
2の基板とを接合する。本発明の装置において使用する
ことが可能な接合方法は、接着剤による方法と、陽極接
合による方法、熱融着による方法等であるが、これに限
られるものではない。
【0097】本発明の装置に使用することが可能な接着
剤は、例えば、シリコーン系、ゴム系等である。特に、
PCR反応に本発明の装置を使用する場合には、ポリメ
ラーゼ酵素の活性を阻害しない接着剤を選択しなくては
ならない。そのような接着剤の例は、シリコーン系であ
る。
【0098】しかし、接着剤による方法は、反応セルと
試料溶液流入穴等が形成されている基板部材の接合面の
みに接着剤を均一に塗布する方法が難しいため、陽極接
合による方法が最も好ましい。
【0099】シリコン表面の酵素反応に対する阻害性
や、タンパク質に対する吸着性等を防止するために、ガ
ラス膜を前記2枚の基板の接合面に形成してもよい。こ
れにより、反応効率の向上が得られる場合がある。ガラ
ス膜の形成は、スパッタ法等のそれ自体公知の方法によ
って行うことが可能である。
【0100】また、モジュールの電気接点に、電源、コ
ントローラー等を接続する方法は、従来公知の方法によ
り行うことが可能である。
【0101】II−5.光透過性薄膜 第1の基板に光透過性薄膜を形成する手段として、窒化
シリコン膜、酸化シリコン膜、樹脂フィルム等が考えら
れる。しかし、作製の容易さから、窒化シリコン膜を光
透過性薄膜とすることが好ましい。窒化シリコン膜で光
透過性薄膜を形成する場合、反応セルの形成と同時に穴
を形成することが可能である。この場合、高濃度のアル
カリ溶液でエッチングする際に、エッチングを開始する
面とは反対の面である裏面に、窒化膜を形成し、その窒
化膜でエッチングを停止すれば、該窒化膜が光透過性薄
膜として形成される。このように光透過性薄膜を形成す
ることが好ましい方法であるが、これに限定されるもの
ではない。
【0102】第2の基板であるシリコンウェハに、試料
溶液流入穴を形成する方法も、窒化シリコン膜をマスク
にした方法により行うことが可能であるが、これに限定
されるものではない。
【0103】II−4.枠部材 枠部材は、目的により選択された材質に応じて、それ自
体公知の方法により製造することが可能である。
【0104】III.実施例 更に、本発明の小型化学反応装置について、以下に4つ
の実施例を挙げることにより更に詳しく説明する。しか
し、これに限定されるものではない。
【0105】III−1.第1の実施の形態 図1〜15を用いて、本発明の第1の実施の形態を示
す。
【0106】図1は、本発明の好ましい実施例である小
型化学反応装置の一部分をなす第1の基板である。基板
1は、複数の反応セル2を具備する。
【0107】図2は、図1中に示す線A−A’に沿って
基板1を切断した断面を示す。第1の基板の反応セルの
形成されていない片側に、樹脂膜3が形成されている。
【0108】図3は、図2に示される円Bで囲まれる部
分を示している。図3に示す通り、複数の反応セルの底
部には、基板1の薄い部分4が残っており、また、樹脂
膜3の内部には加熱体5及び温度検出部6が埋設されて
いる。
【0109】図4は、図1に示される第1の基板の樹脂
膜3を示している。加熱体の電気接点7及び温度検出部
の電気接点8は、樹脂膜の外側に露出している。この部
分の電気接点に、電源及びコントローラー等を接続すれ
ば作動する。
【0110】図5は、図3中に示される線C−C’に沿
って切断した断面を示す。加熱体5は、樹脂膜3に埋設
され、且つ全ての反応セルに対応する位置に配置されて
いる。また、温度検出部の電気接点8が、図に示すよう
に加熱体5と重ならない位置に形成されている。
【0111】図6は、図3中に示される線D−D’に沿
って切断された断面を示している。温度検出部6は、樹
脂膜3に埋設され、且つ、全ての反応セルに対応する位
置に図に示すように形成されている。
【0112】図7は、小型化学反応装置の一部分をなす
第2の基板を示している。第1の基板の反応セルの長手
方向の両端に対応する位置に、且つ夫々の反応セル1つ
に対し2つずつ、第2の基板9は試料溶液流入穴10を
有している。
【0113】図8は、図7中に示される線E−E’に沿
って切断された断面を示す。
【0114】図9は、図1〜6に示される第1の基板
と、図7〜8に示される第2の基板とを重ね合わせる様
子を示している。
【0115】図10は、図9に示される2枚の基板を重
ね合わせたモジュール部分を、図7中に示す線E−E’
に沿って切断したときの断面を示す。夫々の試料溶液流
入穴10と、夫々の反応セル2が重なり合うように、該
2枚の基板は(1及び9)は接合される。
【0116】図11は、図10と同様に図9に示される
モジュール部分を、図7中に示す線G−G’に沿って切
断した断面を示している。
【0117】図12は、小型化学反応装置の一部をなす
枠部材11を示す。枠部材11は、図7に示される夫々
の試料流入穴に対応した位置で、試料流入口12を有し
ている。
【0118】図13は、図12中に示される線G−G’
に沿って切断した断面を示している。ここで示される通
り、図9に示されるモジュール部分をはめ込む穴13
と、放冷穴14が形成されている。ここで、試料流入口
12は、モジュールをはめ込む穴13の反対側にテーパ
が施される。
【0119】図14は、図9で示されるモジュール部分
と、図12で示される枠部材11を組み合わせる様子を
示している。該モジュール部分は、枠部材の穴13には
め込まれ、押え部材15で固定される。図示していない
が、押え部材は、接着剤又はネジ止される。
【0120】図15は、図14で示されたモジュール部
分と枠部材とを組合わせた小型化学反応装置を、アタッ
チメント部材16に装着する様子を示している。アタッ
チメント部材16には、電極17が設けられている。前
記小型化学反応装置を、ガイド溝18を通して挿入した
場合、加熱体の電気接点7及び温度検出部の電気接点8
が、電極17と接触し、電気コンタクトを得ることがで
きる。
【0121】以上が、第1の実施の形態の構成である。
本発明の小型化学反応装置は、反応セル2をその表面に
開口するように形成した第1の基板と、試料溶液流入穴
10を形成した第2の基板とを接合したモジュール部分
(図9〜11)を、枠部材に組み込み(図14)、押え
部材で一体化した構成(図14)を有する。更に、モジ
ュール部分と枠部材11とからなる前記小型化学反応装
置を挿入するアタッチメント部材16と組み合わせるこ
とで(図15)、電源及びコントローラーと電気的に接
続し(図示せず)、温度制御を行うことができる。以
下、それぞれの部材について製造方法を詳述するが、こ
れに限定されるものではない。
【0122】シリコンウェハからなる基板部材に反応セ
ル2を形成するために、先ず、窒化シリコン膜を400
0Aの膜厚でシリコンウェハ表面に成膜した。次に、反
応セルの形状にフォトリソグラフィ技術によりパターニ
ングした。反応セルの形状は短辺2mm、長辺20mm
とし、基板部材の形状は短辺30mm、長辺40mmと
した。また、シリコンウェハの厚さは0.5mmとし
た。8つの反応セル2を形成した。このシリコンウェハ
を水酸化カリウム溶液に浸漬することでエッチングし
た。反応セルの底に薄い部分を残してエッチングを終了
させる判断は、反応セルの底の部分に1×1020原子
/cmのホウ素をドーピングすることで行った。
【0123】エッチングが終了した後、フッ酸溶液に浸
漬させて窒化シリコン膜を除去し、エッチングをしなか
った面にポリイミドを成膜した。ポリイミドの成膜方法
は、前駆体であるポリアミド酸をスピンコート法によっ
て形成し、更に、350℃で1時間加熱し、ポリイミド
膜に変性した。ポリイミド膜の膜厚は、約1μmとし
た。次に温度検出部をポリイミド膜上に形成する。温度
検出部を、チタン薄膜により形成した。チタン薄膜は、
スパッタ法によって膜厚4000Aに成膜した。成膜し
たチタン薄膜上にフォトレジストをスピンコート法によ
って成膜した。
【0124】その後、図6に示す形状にパターニング
し、フッ酸と硝酸の混合液中に浸漬し、チタン膜をパタ
ーニングした。純水洗浄後、アセトンに浸漬しフォトレ
ジストを除去した。次に、温度検出部の上に電気絶縁層
としてポリイミド膜を成膜した。ポリイミド膜の成膜法
は、以下の通りである。ポリアミド酸をスピンコート法
によって形成し、150℃で30分間加熱した後、ポリ
アミド酸膜の上にフォトレジストをスピンコート法で形
成した。次に、温度検出部の電気接点の部分のポリアミ
ド酸膜をパターニングした後で、フォトレジストを除去
した。これを、350℃で1時間加熱することにより、
電気接点の部分のみを露出させたポリイミド膜を形成し
た。
【0125】加熱体の材質にはチタンを選択した。この
ように温度検出部と加熱体との材質を同一にすること
で、プロセスを均一化でき、低コストや設計の自由度の
向上が可能となる。加熱体としてのチタン膜は膜厚40
00Aとし、前述の方法と同様にスパッタ法によって成
膜した。加熱体は、図5に示す形状に前述と同様の方法
によってパターニングされ、フォトレジストを除去し
た。加熱体の上に更にポリイミドを成膜し、前述と同様
の方法によって温度検出部と加熱体の電気接点部分のみ
を露出した。温度検出部及び加熱体は、反応セルに対応
する部分のみチタン膜で形成し、他の必要な配線にはア
ルミニウムを用いた。電気接点部で、アルミニウムを露
出した。アルミニウムは表面が酸化しやすいので、更に
金による酸化防止膜を形成した。
【0126】次に、第2の基板の具体的な製造例を示
す。シリコンウェハに試料溶液流入穴を形成した。これ
は、窒化シリコン膜をマスクとして用いて、0.5kg
/lの水酸化カリウム溶液に浸漬することで形成する。
ここで、前述した、第1の基板1における反応セル2の
形成方法と違うところはエッチングを途中で中止せず、
反対面までエッチングし、貫通穴を形成する点である。
その後、フッ酸溶液に浸漬し、窒化シリコン膜を除去し
た。
【0127】上記2枚の基板を、陽極接合法によって2
枚の基板部材を接合した。また、ガラス膜をスパッタ法
によって前記2枚の基板の接合面に形成した。この接合
した前記2枚の基板からなる部材が、モジュール部分で
ある。
【0128】枠部材11にはポリカーボネートを、押え
部材15にはアルマイト処理をしたアルミニウムを選択
した。枠部材は、裏面にモジュール部分を組み込むため
の穴13があり、更に効率よく放熱をするための穴14
が開口している。この穴13に、前記モジュール部分を
挿入し、押え部材15で抑えて組み上げた。ここで、前
記モジュール部分の試料溶液流入穴10と、枠部材の穴
12の位置は一致しているので、この穴を通して試料溶
液をモジュールの反応セル2内に注入することができ
る。
【0129】また、モジュール部分と枠部材11の間に
シリコンゴムを用いたパッキング材を挿入した。穴12
は、使い捨ての樹脂製ピペットチップの先端を差し込め
る径にした。ピペットチップで計量した試料溶液を直接
反応セル2に注入できる。更に、穴12の上部にテーパ
を形成し、ピペットチップを差し込み易い構造にした。
また、押え部材15は、温度検出部6及び加熱体5の電
気接点を避けるような形状にした。枠部材11と押え部
材15は、はめ込みによって固定した。このように枠部
材と組み合わせることにより、試料溶液の注入が容易な
小型化学反応装置を製作できた。
【0130】また、小型化学反応装置を、図15に示す
ようにアタッチメント部材16に挿入して固定した。こ
こで、アタッチメント部材16に形成された電極17
は、小型化学反応装置の電気接点の位置と一致するよう
に配置した。従って、小型化学反応装置を挿入すること
により、簡単に電気的コンタクトが得られる。この様に
固定化された小型化学反応装置は、試料溶液の出し入れ
も容易である。即ち、アタッチメント部材16に挿入し
た後で、試料溶液を注入すること、温度制御を伴う反応
を行うこと、更に、試料溶液を取り出すことが容易に行
える。
【0131】また、アタッチメントの内部に電動ファン
を設けた(図示せず)。
【0132】III−2.第2の実施の形態 図16〜21に本発明の第2の実施の形態を示す。
【0133】図16は、本発明の好ましい実施例である
小型化学反応装置の一部分をなす第1の基板19であ
る。第1の基板19は、複数の反応セル20を有してい
る。
【0134】図17は、図16中に示す線H−H’に沿
って切断した断面を拡大したものである。第1の基板1
9の反応セル20の形成されていない面に、樹脂膜22
が設けられている。反応セル20の底部には、基板部材
19の薄い部分21が残っている。樹脂膜22の内部に
は、加熱体24と温度検出部23が埋設されている。
【0135】図18は、図16に示される第1の基板1
9の裏面側に形成された樹脂膜22を示している。加熱
体の電気接点25,27,29,31及び温度検出部の
電気接点26,28,30,32が形成されている。
【0136】図19は、図17中に示される線I−I’
に沿って切断した断面である。樹脂膜22に、4つの加
熱体32,33,34,35が、それぞれ4つの反応セ
ルに対応した位置に埋設され配置されている。また、温
度検出部の電気接点26,28,30,32が形成され
ている。
【0137】図20は、図17中に示される線J−J’
に沿って切断された断面を示している。温度検出部3
6,37,38,39が、樹脂膜22に埋設された状態
で、且つ加熱体24と同様に反応セル20に対応した位
置に形成されている。
【0138】図21は、小型化学反応装置の一部分を第
2の基板40である。反応セル20の長手方向の両端に
位置に、且つ1つの反応セル当たり2つずつの割合で、
第2の基板40は試料溶液流入穴41を有する。
【0139】以上が、第2の実施の形態の構成である。
本発明の小型化学反応装置は、多数の反応セルを形成し
た第1の基板(図16〜20)と試料溶液流入穴41を
形成した第2の基板(図21)とを接合して形成したモ
ジュール部分を、枠部材と押え部材によって一体化した
構造を持つ(図示せず)。枠部材及び押え部材は、実施
の形態1で示した各部材を、試料流入穴の位置と数を変
更することにより形成することが可能である。
【0140】本実施の形態の反応セル20は、第1の基
板19に16個形成した。これらの反応セル20の全て
を、個別に温度制御するのではなく、4個の反応セル毎
に温度制御ができるように加熱体32,33,34,3
5と温度検出部36,37,38,39を形成した。
【0141】反応セル20、ポリイミド膜22、加熱体
23、温度検出部24の形成方法は実施の形態1と同様
に行った。反応セルの形状は、短辺2mm、長辺10m
mとし、基板部材の形状は短辺30mm、長辺40mm
とした。シリコンウェハの厚さは0.5mmとした。
【0142】本実施の形態の小型化学反応装置の電気接
点は、計16個必要であるが、この16個の電気接点
を、基板長辺40mmに1列に並べ、且つ両端にスペー
スを取ることを考慮すると、電気接点の幅は1mm、間
隔は約1mmとなった。仮に、これ以上の電気接点を一
列に並べたい場合には、基板部材を大きくしない限り、
電極とのコンタクト精度のため困難である。仮に、電気
接点を2列又は3列にした場合、それらを配置すること
は可能であるが、加熱体24、温度検出体23との配線
が難しくなる。従って、大幅に電気接点の数、すなわち
加熱体24、温度検出部23の数を増やすことは難し
い。
【0143】また、例えば、PCR反応を行う場合、プ
ライマーとDNAのハイブリダイゼーションの温度を特
定することは、非特異増幅の防止等の点から大変重要で
ある。しかし、酵素濃度、PH等の条件も合わせて考え
なければならないため、実際には数種類の試薬を同温度
条件でテストすることが必要となる。そのような場合、
本実施の形態の小型化学反応装置を用いることで、上記
実験が一度に実行できるようになる。更に、前記実験に
おいては、すべての反応セルを別々の温度条件で実験す
る必要はない。
【0144】本実施の形態は、様々に想定される実験条
件に対応することが可能である。また、装置構成を簡単
にして低コスト化を図れる点で大変有用である。
【0145】III−3.第3の実施の形態 図22〜26に本発明の第3の実施の形態を示す。
【0146】図22は、小型化学反応装置の一部分をな
す第1の基板である。第1の基板42は、図に示す通り
複数の反応セル43を有している。
【0147】図23は、小型化学反応装置の一部分をな
す第2の基板である。基板部材44は、それぞれの反応
セルの長手方向の両端と、長手方向の長さを2分する位
置に、計3つの穴45が形成される。
【0148】図24は、図22に示される第1の基板4
2と、図23に示される第2の基板44とを、第1の実
施の形態を示す図9に示されるのと同様に接合しモジュ
ール部分を形成した後、前記モジュール部分を、図23
中に示される線K−K’に沿って切断した断面を示して
いる。第2の基板44には、試料流入口を兼ねた穴45
が形成されている。第1の基板42には、反応セル43
と樹脂膜46が形成されている。樹脂膜46内には、加
熱体47と温度検出部48が埋設されている。
【0149】図25は、図24に示したモジュール部分
に、ピペットチップ49を用いて試料溶液を注入する様
子を表している。
【0150】図26は、図25に示されるように試料溶
液50を注入した後に、ミネラルオイル51をそれぞれ
の穴に滴下した様子を示している。本実施の形態のモジ
ュール部分は、更に枠部分と押え部材によって一体化さ
れた構成になっているが、枠部材及び押え部材は図示し
ていない。これらは、上述の第2の実施の形態において
述べた方法と同様に形成することが可能である。
【0151】本実施の形態の小型化学反応装置におい
て、試料流入穴を兼ねた穴45が、第2の基板44に施
設されていることが特徴である。この穴45は、試料溶
液を注入するためにピペットチップを直接挿入すること
が可能である。試料溶液50を注入した後で、ミネラル
オイル51を添加して穴を封入する。それにより、試料
溶液50を加熱しても、液が蒸発することはない。反応
が終了した後は、ピペットチップを再度差し込み、試料
溶液を取り出すことが可能である。また、反応セルに多
数の穴が空いているので、試料溶液中に気泡が入ってし
まった場合でも、加熱に伴い気泡が膨張した後に、穴か
ら圧力を抜くことができ、それにより反応セルの破壊や
突沸を防止できる。
【0152】本発明の実施の形態では、試料溶液の出し
入れを簡単にすることと、反応セルの破壊や試料溶液の
突沸を防止することが可能である。
【0153】III−4.第4の実施の形態 図27〜30に本発明の第4の実施の形態を示す。
【0154】図27は、小型化学反応装置の一部分をな
す第1の基板である。第一の基板52は、複数の反応セ
ル53を有している。
【0155】図28は、小型化学反応装置の一部分をな
す第2の基板である。第2の基板54は、夫々の反応セ
ル53の両端に相当する位置に、試料流入穴55が形成
される。また、反応セルの長手方向の長さを2分する位
置に複数の穴56が開いている。
【0156】図29は、図27に示される第1の基板5
2と図28に示される第2の基板54とを、第1の実施
の形態を示す図9と同様に接合しモジュール部分とした
後で、図28の示す線L−L’に沿って切断した断面を
示している。第2の基板54には、試料流入穴55及び
光透過性薄膜57が形成されている穴56がある。第1
の基板52には、反応セル53と樹脂膜58とが形成さ
れる。樹脂膜58内に、加熱体59と温度検出部60が
埋設されている。
【0157】図30は、図29で示されるモジュール部
分に試料溶液65を注入する様子を示している。励起光
照射装置61から、励起光62を、試料溶液65に照射
し、試料溶液65から生じた蛍光64を検出器63で検
出する。
【0158】本実施の形態のモジュールは、第1、第2
及び第3の実施の形態と同様に、枠部材と押え部材によ
って一体化された構成である(図示せず)。枠部材及び
押え部材は、各々第2の実施の形態と同様に形成するこ
とが可能である。
【0159】以上が、第4の実施の形態の構成である。
本実施の形態の小型化学反応装置は、光透過性薄膜57
を有した穴56が形成されていることを特徴とする。光
透過性薄膜57は、窒化シリコン膜からなる。これは、
第1の実施の形態で述べた、試料流入穴55を形成する
方法を応用して制作することができる。窒化シリコン膜
を、エッチングの停止膜として使用するため、穴55,
57をエッチングした際に、穴の底部に窒化シリコン膜
が残る。この窒化シリコン膜の面にフォトレジストを塗
布し、マスクで穴(57)の周囲を保護し、フォトレジ
ストをパターニングした。更に、RIE(Reacti
ve Ion Ecthing)装置によってフォトレ
ジストを除去し、露出している窒化シリコン膜をドライ
エッチングで除去した。その後、第1の実施の形態と同
様に、陽極接合法によりモジュール部分を制作した。更
に、第2の実施の形態と同様な方法により、モジュール
部分と枠部材を、押さえ部材により一体化し、小型化学
反応装置を完成した(図示せず)。
【0160】PCR反応は、この小型化学反応装置にイ
ンターカレート色素を含む試料溶液を注入して行う。こ
のとき、DNAが増幅していれば、インターカレート色
素が、DNAの2本鎖の間に入り込み、蛍光を発するよ
うになる。従って、装置外部に設置した励起光照射装置
61からの励起光62を、光透過性薄膜57を形成した
穴56を経て、試料溶液65に照射すれば、インターカ
レート色素から生じた蛍光64が、光透過性薄膜57を
形成した穴56を再度経て、検出部63に到達する。こ
れにより、PCR反応によってDNAが増幅程度を、P
CR反応と同時に測定することが可能になる。
【0161】ここで、光透過性薄膜57を形成した穴5
6は、短辺0.5mm、長辺2mmの穴を9個集積した
ものである。これにより、約5000Aである非常に薄
く脆い窒化シリコン膜を使用しても、十分な強度を得る
ことができる。
【0162】本実施の形態は試料溶液中にインターカレ
ーター色素を含み、PCR反応と同時にDNA増幅の程
度を確認できるため、PCR後の電気泳動等の手段に比
べ時間短縮と低コスト化に大変有利である。しかも、光
透過性薄膜を形成させた穴を小さくすることによって、
十分な強度を有し、実用的である。
【0163】
【発明の効果】本発明は、基板の表面に反応セルを形成
しことにより基板の一部が薄くなり、強度不足となった
基板の裏面側に樹脂薄間を形成することにより、該基板
の強度不足を補うことが可能である。また、同時に、前
記樹脂膜中に加熱体及び温度検出部を埋設して配置する
ことにより、製造コストを低くすることが可能である。
【0164】本発明は、シリコンウェハを基板とした場
合であって、且つ反応セルをアルカリ液によるウェット
エッチング法により形成する場合、シリコンウェハのエ
ッチングをしない片側にホウ素原子を高濃度でドーピン
グすることにより、容易に且つ精度良く、エッチングを
停止することが可能である。これにより、形成する膜厚
の再現性を向上することが可能である。
【0165】本発明は、反応セルの配置及び大きさ等を
変更することにより、様々に想定される実験条件に対応
することが可能である。また、多数の反応セルの幾つか
を纏めて制御することで、装置構成を簡略化することが
可能である。これにより低コスト化が図れ、且つ利便性
が向上する。
【0166】本発明は、試料溶液の出し入れを簡単に行
うことが可能である。また、小さい脱気用の穴を設ける
ことにより、反応セルの破壊や試料溶液の突沸を防止す
ることが可能である。
【0167】本実施の形態は試料溶液中にインターカレ
ーター色素を含み、PCR反応と同時にDNA増幅を確
認できるため、PCR後の電気泳動等の手段に比べ時間
短縮と低コスト化に大変有利である。しかも、光透過性
薄膜を形成させた穴を小さくすることによって、十分な
強度を有し、実用的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 好ましい態様である小型化学反応装置の第1
の基板の表面側を示す図。
【図2】 図1に示される線A−A’に沿って切断した
断面図。
【図3】 図2に示される円Bの拡大図。
【図4】 図1の第1の基板の裏面側に設置された樹脂
膜を示す図。
【図5】 図3に示される線C−C’に沿って切断した
断面図。
【図6】 図3に示される線D−D’に沿って切断した
断面図。
【図7】 図1に示す第1の基板と組合わせて使用する
ことを目的とする第2の基板を示す図。
【図8】 図7に示される線E−E’に沿って切断した
断面図。
【図9】 第1の基板と第2の基板とを重ねあわせる様
子を示す図。
【図10】 図9に示される第1の基板と第2の基板と
を重ねあわせて構成されるモジュール部分を、図7に示
される線E−E’に相当する位置に沿って切断した断面
図。
【図11】 図9に示される第1の基板と第2の基板と
を重ねあわせて構成されるモジュール部分を図7に示さ
れる線F−F’に相当する位置に沿って切断した断面
図。
【図12】 枠部材を示す図。
【図13】 図12に示される線G−G’に沿って切断
された断面図。
【図14】 図9のモジュール部分と枠部材を組合わせ
る様子を示す図。
【図15】 図14で示されたモジュール部分と枠部材
とを組合わせた部材をアタッチメント部材に挿入する様
子を示す図。
【図16】 第2の好ましい態様における小型反応装置
の第1の基板を示す図。
【図17】 図16に示される線H−H’に沿って切断
された断面図。
【図18】 図16に示される第1の基板の裏面側に設
置される樹脂膜を示す図。
【図19】 図17に示される線I−I’に沿って切断
された断面図。
【図20】 図17に示される線J−J’に沿って切断
された断面図。
【図21】 図16に示す第1の基板と組合わせて使用
することを目的とする第2の基板を示す図。
【図22】 第3の好ましい態様における小型反応装置
の第1の基板を示す図。
【図23】 図22に示す第1の基板と組合わせて使用
することを目的とする第2の基板を示す図。
【図24】 図22の第1の基板と図23の第2の基板
とを重ねあわせてモジュール部分とした後に、図23に
示される線K−K’に相当する位置に沿って切断した断
面図。
【図25】 図24に示されるモジュールに、ピペット
チップを用いて試料溶液を注入する様子を示す図。
【図26】 図25に示されるようにモジュールに試料
を注入した後に、ミネラルオイルを各穴に滴下した様子
を示す図。
【図27】 第4の好ましい態様における第1の基板を
示す図。
【図28】 図27の第1の基板と組合わせて使用する
ことを目的とする第2の基板を示す図。
【図29】 図27に示す第1の基板と図28に示す第
2の基板とを重ねあわせて構成されるモジュール部分
を、図28に示される線L−L’に相当する位置に沿っ
て切断した断面図。
【図30】 図29で示されるモジュールに試料溶液を
注入した後に、励起光照射装置からの励起光を試料溶液
中に照射し、それにより生じる試料溶液からの蛍光を検
出器で検出している様子を示す図。
【符号の説明】
1.第1の基板、2.反応セル、3.樹脂膜、4.基板
の薄い部分、5.加熱体、6.温度検出部、9.第2の
基板、10.試料溶液流入穴、11.枠部材、12.試
料流入口、13.モジュール用はめ込み穴、14.放冷
穴、15.押え部材、16.アタッチメント部材、1
8.ガイド溝、20.反応セル、21.基板の薄い部
分、22.樹脂膜、23.温度検出部、24.加熱体、
46.樹脂膜、47.加熱体、48.温度検出部、5
1.ミネラルオイル、57.光透過性薄膜、58.樹脂
膜、59.加熱体、60.温度検出部、61.励起光照
射装置、62.励起光、63.検出器、64.蛍光、6
5.試料溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田島 信芳 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA19 CA01 HA08 4B063 QA01 QA13 QQ42 QR08 QR42 QR62 QR66 QS25 QS34 QS39 QX02 4G075 AA13 AA24 AA63 BC06 BC07 CA02 CA03 DA02 EA02 EB15 EC14 EE12 EE23 FA05 FC04 FC07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板の表面に開口して設けら
    れた1つ以上の反応セルと、前記基板の裏面側に形成さ
    れた肉厚の樹脂膜と、前記樹脂膜に埋設された加熱体及
    び温度検出とを具備する小型化学反応装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の小型化学反応装置であ
    って、前記反応セル内壁部は高い熱伝導率を有する材質
    で形成され、且つ少なくとも前記基板の厚さの薄い部分
    に樹脂膜が形成されている小型化学反応装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の小型化学反応装置であ
    って、前記樹脂膜の膜厚が5μm以上、200μm以下
    である小型化学反応装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の小型化学反応装置であ
    って、前記基板の厚さの薄い部分にホウ素原子が高濃度
    で含まれている小型化学反応装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の小型化学反応装置であ
    って、前記反応セルを複数個で具備し、且つ該反応セル
    の数よりも少ない個数で具備された加熱体及び温度検出
    を具備する小型化学反応装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の小型化学反応装置であ
    って、更に、前記基板に具備される反応セルの開口部を
    覆うように配置された第2の基板を具備し、請求項1に
    記載の第1の基板及び第2の基板の一方又は両方に複数
    の穴が設けられている小型化学反応装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の小型化学反応装置であ
    って、前記複数の穴が光透過性薄膜で閉鎖されている小
    型化学反応装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の小型化学反応装置であ
    って、前記穴の面積が0.1平方mm以上100平方m
    m以下であり、且つ短辺が1mm以内の矩形状の窓であ
    る小型化学反応装置。
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