JP2000258318A - 溶媒置換用組成物及びこれを用いた標本作成方法 - Google Patents

溶媒置換用組成物及びこれを用いた標本作成方法

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JP2000258318A
JP2000258318A JP11061398A JP6139899A JP2000258318A JP 2000258318 A JP2000258318 A JP 2000258318A JP 11061398 A JP11061398 A JP 11061398A JP 6139899 A JP6139899 A JP 6139899A JP 2000258318 A JP2000258318 A JP 2000258318A
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aqueous
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hydrocarbon
xylene
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JP11061398A
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Masahiro Mori
雅裕 森
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MUTO KAGAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キシレンに代わる毒性等の低減された溶媒置
換用組成物を提供する。 【解決手段】 本発明は、臨床検査等における標本作成
の際に使用される従来のキシレンに代わる溶媒置換用組
成物であり、その組成は、非水系物質を溶解し得る炭化
水素系溶媒と、前記炭化水素系溶媒の水系溶媒に対する
相溶性を高める相溶媒と、が含まれる。炭化水素系溶媒
は、毒性、臭いがない又は低い沸点80℃〜270℃の
イソパラフィン系溶媒、沸点80℃〜320℃のナフテ
ン系溶媒または沸点70℃〜300℃の直鎖状パラフィ
ン系溶媒などを用いることができる。また、相溶媒とし
て界面活性剤、ケトン類、又はエステル類を用い、前記
炭化水素系溶媒に対して例えば、0.0001〜10重
量%で添加する。本組成物を従来の毒性を有するキシレ
ンに代って使用することにより、これを取り扱う者の人
体への影響を低減又は削除でき、臨床検査等の安全な操
作、実験等を確保することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料を被覆する溶
媒・物質を水系から非水系、又はその逆に交換する際に
使用される溶媒置換用組成物に関し、特に、臨床検査に
おける標本作成等に使用される溶媒置換組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、生検、剖検などによる組織の検査
又は癌検診などにおける細胞診において、採取した組織
を切片にして又は採取した細胞をスライドガラスなどに
塗抹して標本が作成されている。
【0003】病理組織切片標本の作成は、ホルマリン漬
けされた組織を水洗することから始まる。水洗された組
織は、組織切片を切り出すためにパラフィンに浸けられ
るが、このパラフィンは水とは馴染まないため、水洗時
の水をあらかじめ除去する必要がある。そのため、この
水洗された組織は、順次、低濃度のエタノール槽から高
濃度のエタノール槽へ浸漬させ、さらに、このエタノー
ルを除去するために、キシレン槽に浸漬されて、組織の
周囲及び内部の溶媒が非水系に置換される。
【0004】非水系溶媒に置換された組織は、パラフィ
ンに浸漬され、その後、切片の切り出しが行われる。こ
こで、切り出された切片は、スライドガラスに固定さ
れ、次の染色工程に移される。
【0005】この染色工程で使用される染色液は、染色
する対象によって種々異なるが、一般に水性であるた
め、切片にパラフィンが残存していると染色液をはじ
き、上手く染色ができないことになる。そのため、この
染色工程では、染色前に再び非水系から水系への溶媒置
換が行われる。
【0006】この溶媒交換は、具体的には、切片中のパ
ラフィンを除去するために、切片をキシレン槽に浸漬
し、次いで、このキシレンを除去するために、高濃度の
エタノール槽から低濃度のエタノール槽へと順次移動さ
せて、水系溶媒に置換される。水系溶媒に置換された切
片は、例えば、細胞核を染色するヘマトキシリン及びエ
オシン染色液を用いて染色が行われる。
【0007】染色後、標本の保存のために、スライドガ
ラス上の切片に封入剤を添加し封入を行う必要がある。
この封入剤は合成樹脂のキシレン溶液であるため、この
工程でも、再び、組織周囲の溶媒を水系から非水系に置
換を行うことが必要とされる。この置換を行った後、切
片は合成樹脂等により封入が行われ、カバーガラスで覆
われて、標本とされる。
【0008】また、細胞診の場合の標本作成は、上記し
た組織標本作成工程のうち、ホルマリン漬けされた組織
から切片を切り出すまでの工程が省略される以外は、ほ
ぼ同様の操作で行われる。
【0009】このように、病理標本などの作成において
は、水系溶媒と非水系物質等との間の置換が繰返し行わ
れ、その度、エタノールやキシレンなどが使用されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記キシレン
は、沸点140℃程度であり揮発性が高く、また、人体
に対して毒性があり、不快な刺激臭を有する。そのた
め、臨床検査における標本作成の際には、ドラフト内な
どの区画された領域内で取り扱うことが好ましいが、他
の試薬とともに一般の作業室などで取り扱われているの
が現状である。従って、人体に毒性を有するキシレンな
どを取り扱う者の健康などを考慮すれば、キシレンに代
わる毒性が低く、臭いの少ない溶媒置換用の試薬の開発
が望まれている。
【0011】そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、毒性等の低減された溶媒
置換用組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、試料を被覆する水系溶媒又は非水系物質
を、それぞれ非水系物質又は水系溶媒に置換する際に使
用される溶媒置換用組成物であって、前記非水系物質を
溶解し得る炭化水素系溶媒と、前記炭化水素系溶媒の前
記水系溶媒に対する相溶性を高める相溶媒と、を含むこ
とを特徴とする。
【0013】上記発明によれば、炭化水素系溶媒と相溶
媒とを混合することにより、新たな溶媒置換用組成物が
構成され、この炭化水素系溶媒にキシレンのような毒性
や刺激臭を有しない溶媒を用いることにより、新たな溶
媒置換用組成物を生成することができる。この組成物
は、基本となる炭化水素系溶媒が従来のキシレンと同様
にパラフィンを溶解することができ、また、当該組成物
には相溶媒が添加されているため、アルコール等の水系
溶媒に対しても、キシレン等のように相溶性を有するこ
とになる。
【0014】上記発明において、前記炭化水素系溶媒
は、沸点80℃〜270℃のイソパラフィン系溶媒、沸
点80℃〜320℃のナフテン系溶媒または沸点70℃
〜300℃の直鎖状パラフィン系溶媒のいずれかまたは
その混合物であることを特徴とする。
【0015】上記発明によれば、イソパラフィン系溶
媒、ナフテン系の溶媒、直鎖状パラフィン系溶媒は、従
来のキシレンのような毒性や刺激臭がないか又はきわめ
て低い。そのため、このような溶媒を用いた組成物によ
れば、一般の試薬などと同様に通常の実験室や作業室な
どで安心して取り扱うことが可能となり、作業効率の向
上が図れると同時に、実験者や作業者の人体に対する悪
影響を低減又は排除することができる。
【0016】また、上記沸点範囲のものであれば、従来
のキシレンのような溶媒置換に用いられていた試薬と類
似の性質を発揮することが期待できる。
【0017】また、上記発明において、前記相溶媒が界
面活性剤、ケトン類、又はエステル類であり、前記炭化
水素系溶媒に対して0.0001〜10重量%となるよ
うに添加されることを特徴とする。
【0018】パラフィンを溶解することが出来る炭化水
素系溶媒は、一般に非水系溶媒としての性質を有し、水
系溶媒との相溶性が低いが、相溶媒として界面活性剤又
はケトン類、或いはエステル類を所定の範囲内で添加す
ることにより、水系溶媒との相溶性を高めることが可能
となる。そのため、水系溶媒と非水系溶媒との間の溶媒
置換として本組成物を使用することが可能となる。
【0019】上記発明において、前記溶媒置換用組成物
がキシレンの代替として使用されることを特徴とする。
【0020】より具体的には、カバーガラス上に固定さ
れた組織切片又は細胞を染色し、水系溶媒で洗浄後、そ
の水系溶媒を除去して、封入剤で封入保存する標本作成
方法において、前記水系溶媒の除去が、イソパラフィン
系溶媒、請求項1〜6に記載された溶媒置換用組成物の
中から選択された一つを用いて行われることを特徴とす
る。
【0021】さらに、水系溶媒が付着している組織から
水系溶媒を除去して、非水系物質を被覆して固めた後、
切片を切り出し、必要に応じて当該切片から非水系物質
を除去する組織切片作成方法において、前記水系溶媒の
除去および前記非水系物質の除去が、イソパラフィン系
溶媒、請求項1〜6に記載された溶媒置換用組成物の中
から選択された一つを用いて行われることを特徴とす
る。
【0022】これらいずれの方法においても、水系溶媒
から非水系物質等への交換はキシレンを用いて行われて
いたが、これに代えて、上記組成物を用いることによ
り、これを取り扱う者の人体への影響を低減又は削除で
き、臨床検査等の安全な操作、実験等を行うことがで
き、かつ、従来のキシレンを用いた場合と同等の良好な
標本作成などを実行することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
詳細に説明する。
【0024】本組成物は、非水系物質を溶解し得る炭化
水素系溶媒と、前記炭化水素系溶媒の前記水系溶媒に対
する相溶性を高める相溶媒とが含まれる。
【0025】上記「炭化水素系溶媒」は、パラフィンな
どの非水系物質を溶解し得る溶媒であれば、イソパラフ
ィン系、ナフテン系、直鎖状パラフィン系などを用いる
ことができる。このうち、イソパラフィン系溶媒は毒
性、刺激臭がないという点において、特に好適である。
また、ナフテン系溶媒は、石油や石炭原料から抽出され
たものであってもよく、また、芳香族化合物を人工的に
水素添加したナフテン系溶媒を用いてもよい。
【0026】また、これら炭化水素系溶媒において、溶
媒置換用試薬として従来のキシレンなどと同等または類
似の性質をもつものとしては、イソパラフィン系溶媒で
あれば、沸点80℃〜270℃のものが好ましく、ま
た、ナフテン系溶媒の場合には、沸点80℃〜320℃
のものが好ましく、さらに、直鎖状非水系物質の場合に
は、沸点70℃〜300℃のものが好ましい。
【0027】これら炭化水素系溶媒は、パラフィンなど
の非水系物質等に対する溶解性を有しているが、アルコ
ール等の水系溶媒に対する相溶性は低く、この相溶性を
高めるために、本組成物には、相溶媒が添加されてい
る。ここで「相溶媒」は、エタノール、メタノール、プ
ロパノールなどのアルコール、その他の水系溶媒に対す
る炭化水素系溶媒の相溶性を高めるためのものを意味す
る。すなわち、この相溶媒の添加により、本来、水系溶
媒とは混ざり難い炭化水素系溶媒を水系溶媒と混ざり易
くすることができる。
【0028】従って、本組成物中に検査試料を浸す等す
ることにより、試薬に含有されている水系溶媒が組成物
中に混合、拡散して、検査試薬から水系溶媒を除去する
ことが可能となる。また、水系溶媒除去後の試料中にこ
の組成物が残存していても、本組成物は非水系物質など
の非水系溶媒に溶解して除去されるため、試料への非水
系溶媒の付着、浸透が可能となる。
【0029】逆に、検査試料中にパラフィンなどの非水
系溶媒が存在している場合には、本組成物がこの非水系
溶媒を溶解、除去する。そして、試料に水系溶媒を接触
させることにより、本組成物の有する水系溶媒との相溶
性により試料が水系溶媒と馴染み、水系溶媒への置換が
可能となる。
【0030】上記における相溶媒は、具体的には、界面
活性剤又はケトン類、或いはエステル類などを挙げるこ
とができる。この界面活性剤としては、例えば、ドデシ
ルベンゼンスルホネートなどのアニオン系界面活性剤、
ポリオキシエチレンオレイルエーテルサルフェート、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェー
ト、ポリオキシエチレンドデシルエーテルホスフェー
ト、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソル
ビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールソルビ
タンモノラウレート、ポリプロピレングリコールポリエ
チレングリコールエーテル等のノニオン系界面活性剤、
アルキルアミンポリオキシエチレン、アルキルジメチル
ベンジルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面
活性剤、イミダゾリン型又はベタイン型の両性界面活性
剤、フッ素系若しくはシリコーン系界面活性剤などが含
まれる。
【0031】また、ケトン類としては、メチルエチルケ
トン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルイソプロピルケトン、メチル−nプロピルケ
トン、ジエチルケトン、メチルフェニルケトン等、脂肪
族ケトン、芳香族ケトンが含まれる。
【0032】また、エステル類としては、酢酸エチル、
酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソペンチル、サリチル
酸メチル、イソ酪酸n−ブチル、吉草酸イソペンチル、
酢酸ヘキシル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等
が含まれる。
【0033】この相溶媒の添加量は、炭化水素系溶媒の
水系溶媒との相溶性を向上することができる。例えば、
界面活性剤又はケトン類、或いはエステル類の場合、炭
化水素系溶媒の0.0001〜10重量%、好ましく
は、0.001〜1重量%とすることができる。
【0034】上記の通り構成された組成物は、組織切片
作成から病理標本作成の際における溶媒置換用に使用さ
れていたキシレンなどの代替試薬として使用することが
できる。この組成物をキシレンの代替として使用するこ
とにより、キシレンと同様に非水系物質と水系溶媒との
間の溶媒置換を行うことができ、その上、従来のキシレ
ンのような毒性の低減又は削除、さらに、刺激臭の低減
又は削除を図ることができる。従って、本組成物を使用
することにより、安全な臨床検査や実験を行うことが可
能となる。
【0035】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて詳細に説明
するが、この実施例に限定されるものではない。
【0036】[実施例1]本実施例の溶媒置換用組成物で
は、炭化水素系溶媒として、イソパラフィン系溶媒であ
るアイソパーE(エクソン化学)を用い、これにシリコ
ーン系界面界面活性剤であるFZー2113(日本ユニ
カー製)を0.02%となるように添加して生成した。
この溶媒置換用組成物を従来のキシレンの代わりに用
い、以下の通り、病理標本の作成を行った。
【0037】病理組織切片標本は、上述した通り、ホル
マリン漬けされた組織を水洗し、切片の切り出しのため
にパラフィンに浸けて固める前に、組織に付着している
水系溶媒を非水系溶媒に溶媒交換を行う。溶媒交換を行
うために、水洗された組織は、先ず、70%アルコール
槽に浸けられ、その後、80%,90%,99%と段階
的に高濃度のアルコール槽に組織を浸けられて、組織か
ら水が除去される。
【0038】水の除去が行われた組織は、次に、本溶媒
置換用組成物中に浸けられる。この溶媒置換用組成物
は、上述した通り相溶媒として界面活性剤、ケトン類、
又はエステル類を添加していることから、組織に付着し
ているアルコールと容易に混ざり合い、アルコールを溶
媒置換用組成物中に拡散させ、組織からアルコールを除
去させる。
【0039】アルコールが除去された組織は、次に、例
えばパラベット(武藤化学株式会社製)などのパラフィ
ンに浸けられ、柔らかい組織が固められて切片の切出し
を容易にさせる。ここで、溶媒置換用組成物中でアルコ
ールが除去された組織は周囲に溶媒置換用組成物が付着
しているが、この溶媒置換用組成物は基材となるアイソ
パーEがパラフィンに溶解するため、パラフィンをはじ
くことなく組織にパラフィンを付着浸透させ、組織を固
めることができる。
【0040】パラフィンにより固められた組織は、ミク
ロトームにより薄く切断され、切片が作られる。この切
片は、次に染色が行われるが、切り出された切片には、
パラフィンが残留しているため、そのままでは染色液が
馴染まず染色を行うことができない。そのため、切片か
ら脱パラフィンを行い、切片の周囲の溶媒を非水系から
水系に置換する。
【0041】すなわち、切片は上記溶媒置換用組成物に
浸され、切片に浸透しているパラフィンが組成物中に溶
解し、パラフィンが除去される。パラフィンが除去され
た切片は、高濃度のアルコール槽(100%)から段階
的に低濃度のアルコール槽(95%,70%)に順次に
浸漬され、水系溶媒へと置換される。ここでも、上記組
成物は、アルコールとの相溶性が高められているため、
従来のキシレンと同様にアルコールと混ざり合い、水系
溶媒への置換を適切に行うことができる。
【0042】水系溶媒に置換された切片は、例えば、ヘ
マトキシリンやエオシンなどにより細胞核、その他の部
位が染色される。
【0043】染色後の切片は、非水系封入剤(合成樹脂
のキシレン溶液)で封入して保存するために、再び、エ
タノール及び溶媒置換用水系溶媒を順次用いて周囲の溶
媒を水系から非水系に交換される。非水系溶媒に置換さ
れた切片は、スライドガラス上でマリノール(武藤化学
株式会社製)などの非水系封入剤により封入され、カバ
ーガラスで覆われて保存される。
【0044】このように、従来のキシレンの代替として
上記溶媒置換用組成物を用いたが、標本作成において、
アルコールとの相溶性、封入剤とのなじみ易さは従来の
キシレンと変わらない結果が得られた。特に、従来のキ
シレンの代替として使用される溶媒置換用組成物は、イ
ソパラフィン系溶媒が基材となっているため、毒性、不
快な刺激臭などはほとんどなく、安全かつ快適に臨床検
査や実験を行うことができる。
【0045】なお、ここでは、界面活性剤の濃度を0.
02%として用いたが、この濃度を高めることにより最
終的に封入剤による封入に支障を来すことも考えられる
が、その場合には、上記溶媒置換用組成物の後に界面活
性剤を含有しない炭化水素系溶媒に浸し、界面活性剤を
希釈又は除去することにより、その問題を解消すること
も可能である。
【0046】[実施例2]本実施例の溶媒置換用組成物で
は、炭化水素系溶媒として、イソパラフィン系溶媒であ
るIPソルベント1016(出光石油化学株式会社製)
を用い、これに相溶媒としてシリコーン界面活性剤であ
るFZー2191(日本ユニカー製)を0.03重量%
となるように添加した。
【0047】この実施例2の溶媒置換用組成物において
も、上記実施例1と同様にキシレンに代えて病理組織標
本の作成に使用した結果、キシレンと同様にアルコール
との相溶性も良好であり、また、封入剤とのなじみも良
好であった。
【0048】[実施例3]本実施例の溶媒置換用組成物で
は、炭化水素系溶媒として、イソパラフィン系溶媒であ
るIPソルベント1016(出光石油化学株式会社製)
を用い、これに相溶媒としてジイソプロピルケトン(和
光純薬製)を5重量%となるように添加した。
【0049】この実施例3の溶媒置換用組成物において
も、上記実施例1と同様にキシレンに代えて病理組織標
本の作成に使用した結果、キシレンと同様にアルコール
との相溶性も良好であり、また、封入剤とのなじみも良
好であった。
【0050】[実施例4]本実施例の溶媒置換用組成物で
は、炭化水素系溶媒として、イソパラフィン系溶媒であ
るIPソルベント1016(出光石油化学株式会社製)
を用い、これに相溶媒として酢酸ヘキシル(和光純薬
製)を5重量%となるように添加した。
【0051】この実施例4の溶媒置換用組成物において
も、上記実施例1と同様にキシレンに代えて病理組織標
本の作成に使用した結果、キシレンと同様にアルコール
との相溶性も良好であり、また、封入剤とのなじみも良
好であった。
【0052】[実施例5]これらの炭化水素系溶媒に相溶
媒を添加した場合のアルコールとの相溶性を従来のキシ
レンの相溶性を基準として測定した。
【0053】相溶性の測定は、これらの炭化水素系溶媒
50mlにエチルアルコールを添加し、スライドグラス
を浸漬した際の“ぬれ”の状態から判定した。この“ぬ
れ”の状態とは、これらの溶媒槽から、浸漬したスライ
ドグラスを引き上げた際、スライドグラスの全表面が、
これらの溶媒によって覆われている状態と定義する。し
たがって、一部分でも溶媒が覆っていない場合は“ぬ
れ”ていないと判定する。また、この“ぬれ”の状態に
よる相溶性の判定は、例えば、エチルアルコール添加量
が多い程、相溶性は良好であることを示す。以下に、測
定した結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1に示すように、イソパラフィン系溶媒
であるIPソルベント1016(出光石油化学株式会社
製)及びダフニアルファクリーナーL(出光興産株式会
社製)では、キシレンよりも高い相溶性を示し、これに
様々な相溶媒を添加した結果、多くのものは相溶性をさ
らに高めることができることが示された。
【0056】従って、場合によってはイソパラフィン系
溶媒のみでもキシレンの代替試薬として使用することが
可能であるが、さらに好ましくは、界面活性剤、ケトン
類、エステル類の相溶媒を添加することにより、より好
適な試薬となることが示された。
【0057】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、炭化水素
系溶媒と相溶媒とを混合することにより、新たな溶媒置
換用組成物が構成され、この炭化水素系溶媒にキシレン
のような毒性や刺激臭を有しない溶媒を用いることによ
り、新たな溶媒置換用組成物を生成することができる。
この組成物は、基本となる炭化水素系溶媒がパラフィン
を溶解するものであるため、従来のキシレンと同様に非
水系物質のような非水系溶媒を溶解することができ、ま
た、当該組成物には相溶媒が添加されているため、アル
コール等の水系溶媒に対しても、キシレン等のように相
溶性を有することになる。
【0058】このように組成物は、従来のキシレンのよ
うな毒性、臭いなどが低減、削除されているため、一般
の試薬などと同様に通常の実験室や作業室などで安心し
て取り扱うことが可能となり、作業効率の向上が期待さ
れると同時に、実験者や作業者の人体に対する悪影響を
低減又は排除することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料を被覆する水系溶媒又は非水系物質
    を、それぞれ非水系物質又は水系溶媒に置換する際に使
    用される溶媒置換用組成物であって、 前記非水系物質を溶解し得る炭化水素系溶媒と、 前記炭化水素系溶媒の前記水系溶媒に対する相溶性を高
    める相溶媒と、を含むことを特徴とする溶媒置換用組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記炭化水素系溶媒が、沸点80℃〜2
    70℃のイソパラフィン系溶媒、沸点80℃〜320℃
    のナフテン系溶媒または沸点70℃〜300℃の直鎖状
    パラフィン系溶媒のいずれかまたはその混合物であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の溶媒置換用組成物。
  3. 【請求項3】 前記相溶媒が界面活性剤であり、前記炭
    化水素系溶媒に対して0.0001〜10重量%となる
    ように添加されることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の溶媒置換用組成物。
  4. 【請求項4】 前記相溶媒がケトン類であり、前記炭化
    水素系溶媒に対して0.0001〜10重量%となるよ
    うに添加されることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の溶媒置換用組成物。
  5. 【請求項5】 前記相溶媒がエステル類であり、前記炭
    化水素系溶媒に対して0.0001〜10重量%となる
    ように添加されることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の溶媒置換用組成物。
  6. 【請求項6】 前記溶媒置換用組成物がキシレンの代替
    として使用されることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の溶媒置換用組成物。
  7. 【請求項7】 カバーガラス上に固定された組織切片又
    は細胞を染色し、水系溶媒で洗浄後、該水系溶媒を除去
    して、封入剤で封入保存する標本作成方法において、 前記水系溶媒の除去が、イソパラフィン系溶媒、請求項
    1〜6に記載された溶媒置換用組成物の中から選択され
    た一つを用いて行われることを特徴とする標本作成方
    法。
  8. 【請求項8】 水系溶媒が付着している組織から水系溶
    媒を除去して、非水系物質を被覆して固めた後、切片を
    切り出し、必要に応じて当該切片から非水系物質を除去
    する組織切片作成方法において、 前記水系溶媒の除去および前記非水系物質の除去が、イ
    ソパラフィン系溶媒、請求項1〜6に記載された溶媒置
    換用組成物の中から選択された一つを用いて行われるこ
    とを特徴とする組織切片作成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006522337A (ja) * 2003-03-31 2006-09-28 サイティック コーポレイション パパニコロー染色法
JP2011002453A (ja) * 2009-06-19 2011-01-06 Leica Biosystems Nussloch Gmbh 組織処理装置内の組織試料の自動処理方法
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