JP2000190265A - 再構成型宇宙用多肢マニピュレ―タ・システム - Google Patents

再構成型宇宙用多肢マニピュレ―タ・システム

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JP2000190265A
JP2000190265A JP10375888A JP37588898A JP2000190265A JP 2000190265 A JP2000190265 A JP 2000190265A JP 10375888 A JP10375888 A JP 10375888A JP 37588898 A JP37588898 A JP 37588898A JP 2000190265 A JP2000190265 A JP 2000190265A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 宇宙で作業を行う小型の多肢マニピュレータ
システムとしてシステム構成を行うことが可能な再構成
型宇宙用多肢マニピュレータ・システムを提供する。 【解決手段】 関節部51を配設した2個のブーム53
と、該ブーム53の他端に関節部51を介して配設した
エンドエフェクタ52とからなるリンク構成の3本のア
ーム50を、エンドエフェクタ52を介してロボット中
心部54の結合ポート55に結合し、前記ブーム53内
には関節駆動回路、ワイヤーハーネスおよび関節制御、
ロボット全体の関節協調制御・操作監視・システム管理
等を行う分散型制御計算機を配置し、前記エンドエフェ
クタ52には操作指、テレビカメラ、コネクタ等を装備
して、3肢型マニピュレータ・システムを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のアームを作
業形態に応じて結合してマニピュレータを構成する再構
成型宇宙用多肢マニピュレータ・システムに関し、更
に、詳細には、宇宙で作業を行うための小型(1肢伸展
長が数10cm〜3m程度)の多肢型マニピュレータ・
システムとしてシステム構成を行うことが可能な再構成
型宇宙用多肢マニピュレータ・システムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、産業ロボットと異なり、宇宙
での作業のためロボットとして、宇宙用ロボットが開発
されている。このような宇宙用ロボットには、衛星軌道
上で飛行している宇宙機の各種のサービスを行う軌道上
ロボットや月惑星表層で各種の計測等を行う探査ロボッ
トがある。宇宙用ロボットは、今後の宇宙活動におい
て、無人宇宙活動の支援、有人宇宙活動での支援、宇宙
探査などの各ミッションで様々な作業を遂行させること
が期待されている。これまでに開発された宇宙用ロボッ
トには、次のようなものがある。
【0003】既に開発されたもの、開発中のものとして
は、図1に示すようなスペースシャトル用のShutt
le−RMS(カナダ)のロボットアーム100、図2
に示すような宇宙ステーション用のJEMRMS(Japan
ese Experimental Module Remote Manipulator System
:日本)などがある。図2において、201は補給部
与圧区、202はマニピュレータ、203は精密作業用
ロボットアーム、204は補給部曝露区、205はエア
ロック、206は曝露部、207は与圧部である。この
ようなロボットアームにおいては、専用把持部(数10
cm)を備えており、宇宙空間において、物体を移動さ
せたり、静定・浮遊している衛星を捕獲する作業を行う
ものである。
【0004】また、図3に示すように、宇宙ステーショ
ン用のSSRMS(Space StationRemoter Manipulator
System;米国・カナダ)のように、専用の移動ポート
を渡り歩いたり、レール上を移動し、上述の作業を行う
ものもある。図3において、301は宇宙ステーショ
ン、302はモービルトランスポーター、303はモー
ビル・リモート・サービス・ベース・システム、304
は宇宙ステーション・リモート・マニピュレータであ
る。これらは、10m規模のクレーン型マニピュレータ
を持つシステムである。
【0005】また、やや小型の2〜5m規模の単腕・複
腕マニピュレータを持つシステムとしては、図4に示す
ように、「ETS−VII」マニピュレータ(日本)のア
ームハンドカメラ403およびアームモニターカメラ4
02を持つロボットアーム401や、図3の参照番号3
05に示すようように、宇宙ステーション用のSPDM
(カナダ)のロボットアーム、図2の参照番号203に
示すようなJEMRMS子アームなどがある。これら
は、専用把持部(数〜10数cm)を備えた小型の操作
物体を扱うことを目的としているものである。
【0006】これまでに、研究・実験されてきたものに
は、宇宙飛行士が行うべき船外での曝露空間(以下EV
Aと略称する)作業の代行を目指して開発されてきたも
ののや、開発が中断されたFTS(Flight-Telerobotic
-Servicer:米国)や、船内与圧空間(以下IVAと略
称する)作業での宇宙実験に係るルーチン作業の代行を
目指し開発され、シャトルで飛行実験を行ったマニピュ
レータ型ではないロボットのCharlotte(米)などがあ
る。
【0007】更に、より基礎的な研究レベルでは、衛星
軌道上での飛行中にロボット構成要素を交換したり、再
構成したりできるモジュール構成型や、障害物を回避し
ながら操作位置まで到達できる多自由度のスネーク
(蛇)型、また、搭乗員の作業性を充分確保するように
作られているIVA作業およびEVA作業に適した人間
型などがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、今後の宇宙
ロボットの研究の一つの重要なターゲットは、現在、有
人システムにおいて搭乗員が行っているIVA作業およ
びEVA作業の一部を代行するロボットや、軌道上作業
機や太陽光発電プラットフォームなどの無人システムで
の作業を行うロボットである。IVAロボットでは、宇
宙実験装置のメータのモニタやスイッチの入切の作業、
実験試料カセットの交換などの作業を行うロボットであ
る。EVAロボットでは、これまでの操作対象物の交換
作業(精度〜10mm以上)やEVA−Crewの作業
補助を中心とした作業の機能提供から、より精細な(精
度〜数mm)で、作業クリアランス(ロボットが作業を
行うために要する空間領域)が小さく、船内・船外にお
いて、保守点検・宇宙実験・組立分解などの遂行・支援
の作業を行うことが所望される。
【0009】更には、無人プラットフォームの作業にお
いては、システムの組立・配線・調整・分解やシステム
保守作業などを行えることが所望される。これらの作業
のためのロボットとして、備えるべき機能は、作業範囲
の拡大のための移動機能、再構成機能、複腕操作機能、
高精度作業のためのハンド(器用な指)機能など、作業
能力を高めるたロボットアームである。
【0010】しかし、これまでは、実際に役立つ有効な
宇宙ロボットシステムを実現させるために、次に示すよ
うな多面的な観点の要求を満たす具体的な構成技術がな
かった。ロボットシステムの設計では、ロボットを導入
することによるユーザ側のシステム・ペナルティを最小
化(低コスト化・軽量化・収納性・耐故障性・信頼性・
稼動性・ロボット専用特殊インタフェースの簡潔化)し
て、運用性の向上(安全性・確実性・効率性・容易性)
を図りつつ、これを損なわずに必要かつ可能なレベルで
の器用さと、多機能性とを備えた総合的システム設計を
行うことが重要となる。
【0011】これまでに、開発されているロボットシス
テムの技術としては、動作範囲を拡大するために専用ポ
ートを渡り歩く機能、多自由度シリアルリンクによるス
ネーク機能、モジュール構成による再構成機能・修理機
能などの個別の要素の技術があるが、このような個別の
要素の技術だけでは、具体的で有効な宇宙ロボットシス
テムを構成することはできない。
【0012】次に、具体例によりその多面的な課題の問
題点を説明する。例えば、EVAロボットで、EVA−
Crew(船外作業員)と同等の力を持たせようとする
と、関節トルクは数十Nmが必要となる。関節部分は、
現状のモータ技術では10数cm径、〜数kgのものと
なり、マニピュレータとしては重量が〜50kg超、長
さが〜1m強となり、広い作業クリアランスを必要とす
る。双腕では作業性が更に劣化する。
【0013】例えば、従来のロボットシステムで、作業
範囲を拡大するために、専用ポート等を渡り歩く機能を
持たせようとすると、専用ポートのインタフェース結線
(100本以上を必要としている)や基台部機構が大が
かりなものとなり、宇宙機側の負担は極めて大きくな
る。
【0014】例えば、従来の宇宙ロボットの手先精度は
5〜10mm程度であるが、より精細な作業を行わせよ
うとして、2〜3mmの絶対位置再現精度を持たせるた
めには、広い温度範囲での動作・保存を前提とする宇宙
用のマニピュレータとすると、その場合、アーム長を数
10cm程度に短くするか、関節部分において能動的な
熱制御系を導入せざるを得ない。
【0015】また、例えば、信頼性を向上させようと冗
長の多重巻き線関節を使用したり、駆動アンプの「N
out of M(N<M)冗長方式」(これは代替え
可能なM個のアンプを切り替えながらN個のモータを駆
動する冗長方式)を採用する方法もあるが、要素の複雑
化と重量・サイズ増となり、機能性の低下と運用の複雑
化を招くことになる。
【0016】また、関節部分などを交換可能なモジュー
ル構成として、軌道上交換を行い信頼性・稼動性を向上
させようとしても、適切に設計されなければ、モジュー
ル化のための結合機構インタフェースが多くなり、より
複雑化してしまう。
【0017】同様に、作業性の向上と信頼性の向上のた
めに、マニピュレータを多自由度化(7自由度以上)す
ると、重量増・高価格化を招き、更に、単一故障の発生
で、故障形態によっては大部分の機能が失われることも
あり、縮退的機能維持システム(故障発生に応じてでき
るだけ多くのシステム機能が残存するシステム)とする
ことができるとは一概に言えない。
【0018】つまり、汎用的な作業能力や信頼性を高め
ようと、必要な機能要求に応じて単純にロボットを設計
してゆくと、どうしても複雑なシステムとなり、高価格
化、信頼性の低下、ロボットのサイズ・重量の増大に繋
がり、結果として有効なシステム構成にはならないとい
う問題がある。
【0019】更に、宇宙ロボットの開発には、高額な開
発費用と数年の開発期間が必要となるため、一つのロボ
ットシステムを開発・運用することで蓄積される技術
は、できる限り次期ロボツトの開発に継承できることが
重要であり、更に、10年等の長期に運用される宇宙シ
ステムでのロボットは、進展するロボット関連の要素技
術を取り込んで、システムを更新していけるような発展
性を持ったシステムであることが所望される。
【0020】宇宙ロボットは、このような観点を満たす
ように総合的に設計されることが期待されているもの
の、これまでには、このような課題を総合的に満たすも
のは提示されなかった。
【0021】したがって、本発明の目的は、宇宙で作業
を行う小型の多肢マニピュレータシステムとしてシステ
ム構成を行うことが可能な再構成型宇宙用多肢マニピュ
レータ・システムを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、本発明による再構成型宇宙用多肢マニピュレー
タ・システムは、システムを構成するため基本な概念と
して、(1)従来の産業用ロボットを単に宇宙に持ち上
げたようなシステム構成方法をやめて、(2)低重力と
いう宇宙の利点を生かした簡素で軽量・微力な関節と内
力操作による小型・軽量アームを備え、(3)柔軟性の
許容と相対精度の向上をはかり、(4)自動機械として
の操作と対話型操作のためのスマートな知覚を備え、
(5)移動・再構成・操作用を兼ねたエンドエフェクタ
を備え、(6)高性能組込み計算磯と高速シリアル内部
通信バスによる分散制御を行うことによりワイヤハーネ
スの低減(軽量化)をはかり、(7)オンボード監視系
を持たせた運用性の確保などの要素技術を取り入れるこ
ととする。そして、(8)高信頼性化に関しては、器用
さと冗長化が両立し難いとの考えから、冗長性のない簡
素な要素で構成された同じマニピュレータの複数でマニ
ピュレータシステムを構成し、複数のアームが再構成さ
れることによりシステム的な信頼性を確保することにし
た。
【0023】このため、本発明による再構成型宇宙用多
肢マニピュレータ・システムは、低重力下での様々な宇
宙作業を行うための再構成型宇宙用多肢マニピュレータ
・システムであって、第1の特徴として、基本的にシン
プルな同じ構造のシステム構成要素のマニピュレータ
(アーム)の複数個からシステムが構成される。1つの
アームは1台のロボットとして機能すると共に、相互に
結合することで形態を変えて1台または複数台のロボッ
トとしても機能するように構成する。
【0024】このような特徴を有することにより、1台
のアーム内部に従来のような内部冗長を多用することな
く、複数のシンプルな構成のアームによってシステムを
構成することにより信頼性向上の機能要求に応えること
ができる。更に、既に宇宙に配備したシステムに対し
て、共通(下位互換)インタフェースを備えた高性能な
アームを地上から補給して、交換・追加することにより
システム全体の維持を行い、高性能化を図ることができ
る。
【0025】また、宇宙ロボットの開発には、高額な開
発費用と数年の開発期間が必要となるので、一つのロボ
ットシステムを開発・運用することで蓄積される技術
は、できる限り次期ロボットヘと継承できることが重要
であり、更に10年等の長期に運用される宇宙システム
でのロボットは、進展するロボット関連の要素技術を取
り込んでシステムを更新していけるような発展性を持っ
たシステムであることが望ましい。本発明によるシステ
ム構成によれば、複数台のロボットを作業の遂行や相互
監視のために協調的に使うことは、人間への負担が大き
い宇宙では特に有効である。本発明によるシステムはこ
れを容易に実現する。
【0026】例えば、信頼性を向上させようとする場合
に、冗長の多重巻き線関節を使用したり、駆動アンプの
「N out of M(N<M)冗長方式」(代替え
可能なM個のアンプを切り替えながらN個のモータを駆
動する冗長方式)を採用する方法があるが、システム構
成要素の複雑化と重量・サイズ増となり、機能性の低下
と運用の複雑化を招く。また、関節などを交換可能なモ
ジュール構成として、軌道上交換を行い信頼性・稼動性
を向上させようとしても、適切に設計されなければ、モ
ジュール化のための結合機構インタフェースが多くなっ
て、より複雑化してしまう。同様に、作業性の向上と信
頼性の向上のためにマニピュレータを多自由度化(7自
由度以上)すると、重量増・高価格化を招き、更に、単
一故障の発生で、故障形態によっては大部分の機能が失
われることもあり、縮退的機能維持システム(故障発生
に応じて、できるだけ多くのシステム機能が残存するシ
ステム)とすることができるとは一概に言えない。つま
り、汎用的な作業能力や信頼性を高めようとして、機能
要求に応じて単純にロボットを設計していくと、複雑な
システムとなり、高価格化、信頼性の低下、ロボットサ
イズ、重量の増大に繋がり、結果として有効なシステム
にならない。上記のような特徴による本発明のシステム
構成によれば、これらが解決される。
【0027】また、本発明による再構成型宇宙用多肢マ
ニピュレータ・システムは、第2の特徴として、アーム
のブーム内部に高速シリアル通信機能付きの分散計算機
を備えており、ロボットシステム全体の協調制御や他の
マニピュレータの監視を行う処理の計算を行うと共に、
高速通信回線のための処理計算を行う。この分散計算
機は、複数アームのマニピュレータとして構成されたロ
ボット形態に応じて機能を変化させ、ロボットの中枢的
な計算を行う計算機になったり、形態に依っては知覚
(画像・振動・力覚等)のデータ処理やデータ中継計算
機となるものである。
【0028】また、本発明による再構成型宇宙用多肢マ
ニピュレータ・システムは、第3の特徴として、各アー
ムの両端に、基本的に1自由度の(一つのモータで駆動
される)操作指と電気的結合コネクタを有するエンドエ
フエクタを備えており、このエンドエフェクタにより、
操作対象物への操作機能を有するものとしている。ま
た、このエンドエフェクタは、宇宙機上やロボットシス
テム上に用意された専用ポートを把持することによって
電気・機械的に結合することができるものである。電気
的結合のための線数は、分散計算機により処理された高
速通信回線を用いることにより極めて少なくなる。具体
的には10〜30本程度に少なくなる。
【0029】このような特徴を備えることにより、ロボ
ットシステムの再構成や専用ポート上の歩行(伝い歩
き)を容易に実現できる。更には、例えば、移動ポート
のない組立途中の宇宙機上を渡り歩くために必要となる
ロボット制御システムの自律化を実現することができ
る。
【0030】これは、例えば、従来型のロボットシステ
ムにおいて作業範囲を拡大するために専用ポート等を渡
り歩く機能を持たせようとすると、専用ポートのインタ
フェースの結線(従来100本以上)や基部機構が大が
かりなものとなり、宇宙機側の負担は極めて大きくな
る。これに対して、今後の宇宙ロボットには、軌道上で
の点検作業を行うための赤外線カメラ、3Dカメラ、高
倍率カメラ、振動計などの特殊センサ・ヘッドなど、様
々な宇宙実験(材料系・生命系等)のための実験用ヘッ
ドを先端部に装備させることが想定されるが、上述のよ
うに、このような機器(ペイロード)システムも上記の
共通インタフェースとすることで、ロボット全体をシン
プルにできる。
【0031】本発明による「分散計算機」と「省配線型
高速内部通信システム」の組み合わせ技術は、基本概念
は最近のFA(Factory Automation)システムや研究ロ
ボットでも用いられているが、本発明によるシステム構
成の基本として、まず、再構成と歩行移動システムを容
易に具現するために省配線システムとしている。更に、
ドッキングした複数の宇宙機間の移動、死んだ宇宙機や
組立途中の宇宙機上を渡り歩く機能を実現するために
は、専用の移動ポートではない箇所(例えば、ハンドレ
ールやトラス)を伝って目的の場所に移動することが要
求されるが、これに対して、本発明では、ロボットアー
ムの内部に分散配置された分散計算機により各ロボット
を自律化させることにより、この機能を実現させてい
る。この場合には、バッテリの内蔵が必須であり、場合
によっては近傍のエアリンク通信を用意することが必要
となるが、これは簡単な付加機能であり、公知の技術に
よって実現可能である。
【0032】また、本発明による再構成型宇宙用多肢マ
ニピュレータ・システムは、第4の特徴として、アーム
の関節は、小型モータと出力余裕のある駆動回路を備え
ている。このアームの関節は、定常力(連続出力)は小
さいが、瞬時力(〜数秒)の大きな小型関節であり、小
型でありながら短時間ならば比較的大きな操作力を発揮
することができるように構成されている。この特徴によ
り、ロボットの小型軽量化と、作業クリアランスの低
減、および良好な作業性を実現できる。
【0033】また、本発明による再構成型宇宙用多肢マ
ニピュレータ・システムは、第5の特徴として、ロボッ
ト用に専用のインタフェースを持った操作対象物が、エ
ンドエフェクタ指の内力操作により操作できるように設
計されている。このエンドエフェクタの指は、操作時に
発生する力トルクがアームに伝わらないようになってお
り、この特徴により、ペイロード側に負担を強いること
なく、安全で確実な効率の良い容易なマニピュレータ操
作を実現することができる。
【0034】これは、例えば、EVAロボットでEVA
−Crew(船外作業員)と同等の力を持たせようとす
ると、関節トルクは数l0Nmが必要であり、関節は現
状のモータ技術では10数cm径、〜数kgのものとな
り、マニピュレータとしては重量〜50kg超、長さ〜
1m強となり、広い作業クリアランスを必要とし、更に
は、単腕および双腕での作業性が劣化する。また、現在
の技術レベルでは、例えば、地上を含むロボット技術に
おいて、『指』に相当する機能が未熟であり、宇宙での
作業のような確実な作業を要求される場合には、通常、
エンドエフェクタと操作物に専用のインタフェースを持
たせるが、本発明では、これに更に改良を加えて、宇宙
で期待される比較的容易な作業を小型アームにより効率
的に遂行させるシステム構成としている。
【0035】また、本発明による再構成型宇宙用多肢マ
ニピュレータ・システムは、第6の特徴として、エンド
エフェクタには広被写界深度(数mm〜数m)の小型カ
メラを備え、また、専用ポートや専用操作物などには計
測用小型マーカ(〜10mm角)を備えている。このよ
うな特徴により、広い範囲の周辺領域のモニタ・観察を
行えると共に、専用物体に対しては相対6自由度の位置
姿勢計測を至近距離まで行うことができる。
【0036】例えば、従来の宇宙ロボットの手先精度
は、5〜10mm程度であるが、より精細な作業を行わ
せようとする場合には、2〜3mmの絶対位置再現精度
を持たせなければならない。広い温度範囲での動作・保
存を前提とする宇宙マニピュレータでは、アーム長を数
10cm程度に短くするか、または関節へ能動的な熱制
御系を導入せざるを得ない。このため、従来技術におい
ては、10〜30cm離れたカメラで撮像し、相対位置
姿勢を計測するため、接触部から離れた数cm角くらい
のマーカが必要であったが、前述の本発明の特徴による
と、周辺観察とマーカ計測という二つの要求を、エンド
エフェクタに広被写界深度の小型カメラを備え、専用ポ
ートや専用操作物には計測用小型マーカ(〜10mm
角)を備えていることにより、マニピュレータ・アーム
による小型ロボットのシステム構成で実現されている。
【0037】このような様々な特徴を備えた本発明の再
構成型宇宙用多肢マニピュレータ・システムを用いて、
システム構成を行うと、ロボットアームのマニピュレー
タシステムとしては、発展性のある優れた自在性と実用
性を備えた多肢マニピュレータシステム構成が可能とな
る。
【0038】本発明の再構成型宇宙用多肢マニピュレー
タ・システムにより、例えば、2肢型マニピュレータ・
システムを構成する場合には、両端に結合ポートを有す
る複数の関節を中空のブームにより結合したアームと、
操作指部と電気的結合部を有し前記アームの両端に備え
られたエンドエフェクタと、前記中空のブームの内部に
通信機能と関節制御機能を有する分散型制御計算機を備
えた1肢型マニピュレータアームが構成され、この1肢
型マニピュレータアームの2本が結合ポートの位置で任
意に組み合わされて、2肢型マニピュレータ・システム
が構成される。ここでは、システム要素の部品・モジュ
ールが共通化され、且つ簡素であることから低コスト化
を図ることができる。
【0039】また、本発明の再構成型宇宙用多肢マニピ
ュレータ・システムによれば、軽量アームの再構成によ
るマニピュレータの任意構成によって、さまざまな作業
への対応能力、船内・船外での歩行移動機能が備えられ
ることになり、実用性のある宇宙ロボットとして必要機
能(導入に係るユーザ負担の少なさ、優れた運用性、ロ
ボットとしての作業能力)を備えたマニピュレータ・シ
ステムを構成することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施する場合の
形態について、具体的に図面を参照して説明する。本発
明の再構成型宇宙用多肢マニピュレータ・システムを構
成する場合のシステム構成例を、システムの概要と、各
種のシステム構成の各要素について説明する。ここでの
マニピュレータシステム構成の設計例として、3肢型マ
ニピュレータ(3本のマニピュレータアームによる)シ
ステムの構成例を図5に示し、2肢型マニピュレータ
(2本のマニピュレータアームによる)システムの構成
例を図6に示す。
【0041】これらのシステムは、いずれもシステム構
成としては同様なものとなるので、3肢型マニピュレー
タシステムのシステム構成を例として、システム要素の
詳細な例を説明する。図5に示すように、1本のマニピ
ュレータのアーム50は、全長が例えば80cmで、中
央部と両端にそれぞれ2自由度の関節部(軸方向に回転
する関節部と軸垂直に回転する関節部を組み合わせた関
節部)51を備えたリンク機構として構成されたもので
あり、いわゆる6自由度のシリアルリンク構造とされて
いる。そのアームの両端には、後述するように、操作
指、カメラ、コネクタ等を備えたエンドエフェクタ52
を装備している。また、アーム50のリンク機構を構成
する中空のブーム53内には、関節駆動回路、ワイヤハ
ーネスおよび、関節制御・ロボット全体の関節協調制御
・操作監視・システム管理・通信インタフェース等を行
う分散型制御計算機が配置される。なお、図5および図
6において、57は宇宙機、56は宇宙機に設けられた
結合ポートである。
【0042】アーム50の両端に備えられるエンドエフ
ェクタ52には、歩行移動・再構成のための機械的な構
造結合と、電気的な結合と、各種操作を行うため、複数
の操作指,コネクタ部分およびCCDカメラが装備され
ている。また、アーム50のブーム53内には、電源線
および高速シリアル通信バスから構成されるワイヤハー
ネスが貫通しており、両端のエンドエフェクタ52に外
部との結合(結合ポートにおける結合)のためのコネク
タが装備され、これにワイヤハーネスが接続される。
【0043】アーム50の基台部分となるロボット中心
部54には、各アーム50のエンドエフェクタ52と結
合して、アーム50内を電源線・高速シリアル通信バス
を貫通させるための結合ポート55が3ヶ所に取り付け
られている。また、図示しないが、ロボットアーム全体
の各所には、その動作を監視するための振動センサが複
数取り付けられている。振動センサにより検出された信
号は、中空のブーム内に設けられた分散型制御計算機に
入力される。
【0044】また、このマニピュレータシステムによれ
ば、後述するように、マニピュレータの複数のアーム5
0の制御によって、物体を把持した状態での歩行移動、
結合状態および分離状態での複腕作業、複数のアーム5
0のシリアル結合状態での歩幅の拡大と障害物を回避す
るスネーク動作、また、3本のアーム50のパラレル結
合状態での強力な力作業など、さまざまな作業に適用で
き、従来にない多くの機能を実現することできる。更
に、それぞれに両端に移動およびリンク機構の再構成の
ためのポートを持ち、直線・曲線の非可動のブームや受
動関節を持ったブームを別途用意することにより、歩幅
の拡大やスネーク動作の到達距雛の拡大など、それぞれ
の作業に適したロボットアーム形態に容易に再構成する
ことができる。
【0045】図6は、2肢型マニピュレータ・システム
の構成例を示す図である。2本のマニピュレータアーム
を組み合わせる場合、図6(A)に示すように、T字型
に組み合わせて結合し、第1番目のマニピュレータアー
ム61の中央部の関節部分に設けられている結合ポート
61bに対して、第2番目のマニピュレータアーム62
の両端部に設けられている一方のエンドエフェクタ62
aを結合して、システムを構成する。これにより、第1
番目のマニピュレータアーム61の端部に設けられてい
るエンドエフェクタ61aと第2番目のマニピュレータ
アーム62の他方の端部に設けられているエンドエフェ
クタ62bとの間で、11自由度のロボットアームとし
て機能することになる。
【0046】また、図6(B)に示すように、2本のア
ームを直列に組み合わせて結合するようにもできる。こ
の場合には、第1番目のマニピュレータアーム61の一
方の端部の関節部分に設けられている結合ポート61b
に対して、第2番目のマニピュレータアーム62の他方
の端部に設けられているエンドエフェクタ62aとを結
合して、システムを構成する。これにより、第1番目の
マニピュレータアーム61の端部のエンドエフェクタ6
1aと第2番目のマニピュレータアーム62の端部のエ
ンドエフェクタ62bとの間では、13自由度のロボッ
トアームとして利用できる。
【0047】図7(A)および図7(B)は、マニピュ
レータのアームのブーム内部に設けられる電気系統の回
路構成を示すブロック図である。図7(A)に示すよう
に、エンドエフェクタ部71,関節部72およびブーム
部73の基本要素から構成される1本のマニピュレータ
アームにおいて、中空のブーム部73の内部には、ワイ
ヤハーネス63、関節駆動回路64、分散型制御計算機
65、通信処理回路66が設けられている。分散型制御
計算機65は、関節制御・ロボット全体の関節協調制御
・操作監視・システム管理・通信インタフェース処理の
データ処理を行う。アームのリンク機構を構成するブー
ム部73の両端に設けられる関節部72には、関節モー
タ74が埋め込まれており、関節モータ74は分散型制
御計算機65による関節制御プログラムに従って、関節
駆動回路64により駆動制御される。なお、関節部72
は、軸方向に回転する第1関節モータと軸方向と直角の
方向に回転する第2関節モータの対から構成されてお
り、それぞれの関節モータが、分散型制御計算機65に
よる関節制御プログラムに従って関節駆動回路64によ
り駆動制御される。
【0048】エンドエフェクタ部71には、光学系レン
ズアッセンブリにより広被写界深度を持たせたCCDカ
メラ部67と、ポートと結合したシステム構成で使用す
る場合の電気的結合のためのコネクタ部68が設けられ
ている。更に、エンドエフェクタ部71には、各種の操
作を行うための複数の操作指(図示せず)とその駆動機
構の駆動モータ69が備えられている。これらの操作指
の制御は、関節モータと同様に、ブーム部分73に設け
られた分散型制御計算機65による駆動制御プログラム
に従い、駆動制御回路を介して駆動制御される。
【0049】これらのコネクタ68部はワイヤハーネス
63に接続され、ワイヤハーネス63は、電源線および
高速シリアル通信バスにより信号配線数を少なくしたデ
ータバス配線で構成されている。このワイヤハーネス6
3が、通信処理回路66と結合され、マニピュレータの
間を貫通して配設される。
【0050】また、CCDカメラ部67は、図7(B)
に示すように、CCD部76、前処理・A/D変換部7
7、焦点制御用レンズ駆動制御部78から構成されてお
り、カメラ本体部76からの映像信号は、前処理・A/
D変換部77において、デジタル化され画像処理され、
その映像信号が通信処理回路を通してワイヤハーネス6
3の高速シリアル通信バスを介して伝送される。
【0051】次に、このように構成されているマニピュ
レータアームの複数が結合されたシステム構成によるマ
ニピュレータシステムの操作例について説明する。図8
〜図10は、6自由度を持つ3本のマニピュレータアー
ムを結合してマニピュレータ・システムを構成している
場合の各種の作業モードによる形態を例示する図であ
る。ここでの1本のマニピュレータアームは6つの関節
を持ち、6自由度を有するものであり。これを3本利用
してマニピュレータシステムを構成している。図8およ
び図9に示す作業モードの形態は、中心部分となる結合
部によって3本のマニピュレータアーム(81,82,
83)をそれぞれ結合している。移動モードは、図8
(A)に示すような形態で利用するモードである。3本
のアームを3本足として利用して走行し作業場所への移
動を行う。また、この場合、例えば1本のアーム82で
物資を把持しつつ、残りのアーム81およびアーム83
を2本の足として利用して歩行するようにも利用でき
る。物資の移送に使われる形態の作業モードある。
【0052】片手作業モードは、図8(B)に示すよう
な形態で利用するモードである。1本のアーム81を足
として基台に固定し、1本のアーム83で(片手)作業
を行い、もう1本のアーム82は、そのエンドエフェク
タ部に設けられたCCDカメラにより1本のアーム83
による片手作業の監視を行う。これにより、監視を行い
ながら作業が進められる。
【0053】また、図9(A)に示す作業モードの形態
は、双腕作業モードである。このような形態で利用する
作業モードでは、1本のアーム81を足として基台に固
定しつつ、アーム82およびアーム83の2本のアーム
(双腕)で物資を移動する作業を行う。つまり、双腕で
作業対象物を把持し、移動を行い、又は、片腕で操作物
の一端を固定し、もう一方の他の片腕で他端の位置決め
操作を行う。多腕での操作を行う作業モードである。
【0054】大出力モードの作業モードの形態では、図
9(B)に示すような形態で利用する。この場合、安定
した大きな力を要する作業のため、アーム81およびア
ーム83の2本のアームを足として基台にしっかり固定
し、他の1本のアーム82で作業を行う。強い力を要す
る作業を行う場合の作業モードである。例えば、コネク
タの挿抜など大出力作業を行う場合の作業モードの形態
である。
【0055】また、3肢型マニピュレータシステムのシ
ステム構成の例であるが、直列に結合した作業モードの
形態は、図10(A)に示すように、3本のアーム8
1,82,83を直列に結合して利用するモードであ
る。つまり、遠隔場所での点検作業や操作のため、3本
のアームを直列に結合して長い1本のアームとして利用
する。この場合、例えば、アーム81およびアーム82
の関節はブレーキをかけた状態で固定して利用し、アー
ム83のみの関節で強い先端力を利用できるようにす
る。遠隔場所での点検作業や、操作に適した作業モード
である。この作業モードでは、端部の1本のアームのエ
ンドエフェクタ部に設けられたCCDカメラにより点検
作業を行い、また、端部の1本のアームのエンドエフェ
クタ部に設けられた操作指により作業を行う。
【0056】更に、直列に結合したシステム構成の他の
作業モードの形態として、例えば、図10(B)に示す
ような分離協調モードがある。この分離協調の作業モー
ドでは、アーム81およびアーム82の2本の直列に結
合したアームによる作業と、1本のアーム83による作
業とにより互いに協調して作業を行う。部品の受け渡
し、組立の作業に好適に利用できる作業モードである。
【0057】図11は、多自由度シリアル・リンク・マ
ニピュレータの先端自由度による操作例を説明する図で
ある。前述したように、複数のアームを直列に結合して
システムを構成した作業モードの形態では、直列アーム
の多くの関節は直接に作業に関わらなくても十分な動作
の自由度は得られるので、不要な多くの関節部の制御は
ブレーキで固定しておき、先端のアームの関節部による
必要な自由度の制御で作業を行う。理解を容易なものと
するため、図11に示すような2次元平面マニピュレー
タを例として説明する。この場合、平面運動の自由度は
3であるから、図示するような6関節シリアルリンク形
式のマニピュレータは3個の冗長自由度を持つ。
【0058】このシリアルリンクの6関節全てをアクテ
ィブにして先端力を加えようとすると、基部91の側の
関節(92,93,94)への負荷が大きくなることか
ら、図示するように、基部91の側から3個の関節9
2,関節93,および関節94による3自由度をブレー
キで固定しておき、先端のエフェクタ部98の側からの
関節97,関節96,および関節95による3自由度で
操作することにより、より強い先端力を生むようにす
る。
【0059】一方、先端力は微力でも良いが、エフェク
タ部による作業自体には相応のトルク力が必要となる場
合がある。この場合、エフェクタ部の操作指をテコにし
て操作し、または、作業対象にエフェクタ部を取り付か
せ、その作業荷重を操作物に逃がしすようにして操作す
ることにより、エフェクタ部内またはエフェクタ部と操
作物の間の内力で操作するようにして作業を行う。
【0060】図12は、エンドエフェクタの複数の操作
指による内力での操作例を説明する図である。被覆の剥
ぎ取り操作の例を、図12(A)〜図12(C)に示し
ている。この場合、内力操作ができるように、エフェク
タの操作指を制御して、アームに操作による力・トルク
が加わらないようにする。図12(A)〜(C)におい
て、120は被覆されている筐体部、121は被覆、1
22はエフェクタ部、123はアーム、124は操作指
である。被覆の剥ぎ取りの場合、まず、図12(A)に
示すように、アームのエフェクタ部122の操作指12
4を、筐体120と被覆121の間隙に差し込み、図1
2(B)に示すように、操作指124を開く操作を行
う。開いた筐体120と被覆121の間隙に、図12
(C)に示すように、更に操作指124差し込むように
して、被覆の剥ぎ取り操作を続行する。
【0061】また、ピンの引き抜き操作の作業では、図
12(D)に示すように、取り付け面125からピン1
26を引き抜く場合には、エフェクタ部の補助アーム1
27の先端を取り付け面125に取り付かせて、治具1
28により操作対象のピン126を把持し、この治具1
28を上方に移動することにより、ピン126の引き抜
き操作を行う。これによりアーム123には、操作によ
る力・トルクが加わらないようにする。
【0062】このような内力によるエフェクタ部の操作
は、特に、無人宇宙機でのサービス作業を行う場合に極
めて有効である。これは、操作対象となる物体自体に簡
素な内力操作用インタフェース(取手、凹部、凸部等)
を備えることにより、その操作を行いやすくする。この
結果、要求される作業力をエフェクタ部で担わせること
ができ、マニピュレータアームの先端力とエフェクタ部
の作業力の分離が可能となる。
【0063】本発明による再構成型宇宙用多肢マニピュ
レータ・システムによって宇宙用微力マニピュレータの
システム構成を行う場合には、例えば、次のようなシス
テム構成とする。
【0064】定常先端力の微力化による小型システム 微小重力下で行うORU(Orbital Replacement Unit;
軌道上交換に対応した機器)交換、軌道上点検、EV
A,IVAなどの宇宙作業を詳細に検討・分析すると、
5〜10N程度の先端力、〜5Nm程度のトルク(以
下、先端力という)があれば、多くの作業は効率性を失
わずに遂行できる。小さい先端力の宇宙マニピュレータ
(微力マニピュレータ)が、地上ではあり得ないロボッ
トとして有効であることが分かる。この結果、従来、小
型宇宙マニピュレータの関節出力トルクを10数〜数l
0Nmで構成してきた宇宙マニピュレータの関節を、5
〜l0Nm以下にして、スリムで軽量なロボットができ
得る。
【0065】内力によるエフェクタ作業 一方、先端力は微力でも良いが、エフェクタ部による作
業自体には相応の力・トルクが必要である。このため、
エフェクタ部の操作指をテコにして操作し、作業対象に
エフェクタを取り付かせ、また、作業荷重を操作物に逃
がすようにすることにより、エフェクタ内、またはエフ
ェクタと操作物の間の内力で操作するようにして作業を
行う。
【0066】これは、特に、無人宇宙機でのサービス作
業を行う場合に極めて有効である。例えば、操作物体自
体に簡素な内力操作用インタフェースを備えることによ
り、容易に実現できる。この結果、要求される作業力を
エフェクタ部で担わせることができ、マニピュレータ先
端力とエフェクタ作業力の分離が可能となる。
【0067】瞬時の強い先端力の装備 宇宙作業では、締めの最終トルキング,緩めの開始トル
キング,異常状態の機構への短期間の或いは間欠的な力
操作など、数秒以下の強い瞬時トルク・瞬時力を備える
ことが所望される。このためには、関節モータとして、
DCモータやステップモータを用い、間接モータに瞬時
(1〜5sec)に大きな駆動電流を与えるようにす
る。これにより、熱的制約を考慮しつつ駆動できる。こ
の場合、ギア部分の耐荷重性の制約があり、宇宙用小型
マニピュレータの関節で多用されるハーモニツクドライ
ブでは、ラチェッティング・トルク制約となるが、具体
的には定常の5倍程度の瞬時トルクを許容できる。
【0068】より強い定常先端力で運用する方法 マニピュレータが微力化するとしても、できるだけ先端
力を大きくしたいとの意図から、特に、多自由度のシス
テム構成でシリアル結合した形態のマニピュレータ・シ
ステムは、その有効な運用方法として、通常考えられる
特異点を積極的に活用した運用方法に加え、先端自由度
だけで操作し、移動スパンの短い力を生む方法とする。
図11で説明したように、荷重の最も大きい基台部に近
い関節は、操作に使わずにブレーキや制御(+減速器の
back-drive-torqe)で固定しておき、先端側の自由度だ
けで作業の操作を行うようにして運用する。
【0069】前述したように、本発明の再構成型宇宙用
多肢マニピュレータ・システムによると、マニピュレー
タアームの中空のブーム部分には、分散型制御計算機と
高速シリアル通信バスによるワイヤハーネスが備えら
れ、高速内部通信機能によるワイヤハーネスの配線数が
低減されている。
【0070】宇宙用微力マニピュレータのシステムを構
成する場合において、その構成要素として、歩行移動機
能・再構成機能を備えた宇宙用ロボットアームを実現す
るには、重量の点およびシステム構成の点から、ワイヤ
ハーネス(マニピュレータ内部の配線)を低減させる必
要があるが、従来方式によると、その配線数は100本
を越えてしまう。このため、ワイヤハーネスをマニピュ
レータアームに通す場合、その関節部でのロストルク
は、例えば〜10Nm以上に達してしまう。つまり、単
にワイヤハーネスを曲げるためだけに、大きな関節力を
要してしまう。また、柔軟な関節のシリアルリンクの位
置補償するためには、幾つかのカメラを装備することが
必要になるが、このためにもワイヤハーネス数が増大す
る。歩行移動や再構成機能を実現するためには、基台部
で結合される電力線・信号線コネクタを着脱する必要が
あるが、ハーネス数が多いとマニピュレータ先端部およ
び移動・再構成ポート部に大型のポートを備えなければ
ならない。
【0071】このような問題は、本発明の再構成型宇宙
用多肢マニピュレータ・システムによれば、分散型制御
計算機として、例えば、組込型のマイクロコンピュータ
(32ビット処理のRISC計算機)と、データ通信用
の汎用インターフェイス(USB;IEEE1394)
を用いる高性能シリアル通信バスを装備することにより
解決している。
【0072】エフェクタ部のCCDカメラ部67によっ
て撮影された映像信号は、デジタル化され、ブーム部分
に設けられる分散型制御計算機においてミドルウエア
(中間信号処理部)によるJPEG圧縮を行って、高速
シリアル通信バスによりシリアル転送することにより、
通信処理による遅延時間は数百msec以下で、任意の
映像チャンネルの映像をテレメトリや高度な画像処理計
算機に送信することができるように構成できる。
【0073】また、マニピュレータアームのブーム部の
内蔵した分散制御計算機により関節制御を行わせ、関節
間およびマニピュレータアームの間の協調制御のための
制御信号の転送は、同様にして、高速シリアル通信バス
を介して転送する。エフェクタ部に取り付ける様々な特
殊機器の制御信号の伝送についても、バス・インタフェ
ースを標準化することにより、高速シリアル通信バスで
制御信号を伝送し制御することができる。この結果、ア
ーム内のワイヤハーネスは最小で数本とすることがで
き、各所からの映像信号の伝送を含めても実用的に10
〜20本程度に低減でき、低いワイヤハーネスの曲げの
ロス・トルクと、移動・再構成に関する機器を著しく小
型化し、ロボット・システムとして整合の取れたものと
することができる。
【0074】次に、移動用と操作用を兼ねたエフェクタ
部の構成について、具体的に説明する。マニピュレータ
先端部に装備するエフェクタ部は、移動ポート機能と最
大限の操作機能を備え、モジュール化による新たな結合
部材を要しない構成としている。図13〜図16は、エ
ンドエフェクタの構成とその操作指による各種の操作例
を説明する図である。図13はトラス操作を説明するエ
ンドエフェクタの部分断面図である。図13(A)に平
面図を示し、図13(B)に正面図を示している。図に
おいて、130はエンドエフェクタ、131はアーム、
132は操作指、133はCCDカメラ、134は照明
用の発光ダイオード、135はコネクタである。図示す
るように、トラス操作では、エンドエフェクタ130の
3本の操作指132により、トラス構造の把持部を掴
む。トラス構造の把持部は、3本の操作指132の位置
の合わせて、切り欠き部が設けられており、これに適合
するように3本の操作指132により把持する。
【0075】図14はテザーアンカー操作を説明するエ
ンドエフェクタの部分図である。図において、130は
エンドエフェクタ、132,132aは操作指、133
はCCDカメラ、134は照明用の発光ダイオード、1
35はコネクタ、141は第1のアンカー、142は第
2のアンカー、143は第3のアンカーである。図示す
るように、アンカー操作では、エンドエフェクタ130
の1本の操作指132aにより、アンカーの爪の操作を
行う。図14(A)の操作例では、アンカーの爪がバネ
力により引き戻されているので、操作指132aを上方
に移動させることにより、アンカー141の爪を操作す
る。図14(B)に示すように、第2のアンカー142
の例は、操作指による操作は行わなくてもよい例であ
る。また、図14(C)に示すように、第3のアンカー
143の例では、アンカーの爪がバネの力により操作さ
れないので、操作指132aにより操作する。
【0076】図15はマイクロ・コニカル操作を説明す
るエンドエフェクタの部分断面図である。図15(A)
に示すような形状のマイクロ・コニカル150を、エン
ドエフェクタ130の3本の操作指132により把持す
る場合、マイクロ・コニカル150の形状から、そのく
びれ部分を3本の操作指132により把持するようにし
て掴む。図において、130はエンドエフェクタ、13
1はアーム、132は操作指、150はマイクロ・コニ
カルである。この場合、図15(B)および図15
(C)に示すように、3本の操作指132の取り付け位
置と、操作対象のマイクロ・コニカルのくびれ位置の位
置合わせを行って把持する。
【0077】図16はハンドレール操作を説明するエン
ドエフェクタの部分断面図である。この場合の操作で
は、図16(A)に示すような形状のハンドレール16
0を、エンドエフェクタ130の3本の操作指132に
より把持する。この場合、図16(B)および図16
(C)に示すように、ハンドレール160の形状から、
1本の操作指でハンドレール160上面の凹部に係合さ
せ、他の2本の操作指を反対側の切り欠き部分に係合さ
せて、これをを掴むようにして把持する。なお、前述の
場合と同様に、図において、130はエンドエフェク
タ、132は操作指、160はハンドレールである。こ
の場合にも、3本の操作指132の取り付け位置と、操
作対象のハンドレール160の凹部および切り欠き部の
位置合わせを行って把持する。
【0078】また、前述したように、本発明の再構成型
宇宙用多肢マニピュレータ・システムでは、エンドエフ
ェクタに備えるCCDカメラとして、広被写界深度カメ
ラを備えるようにする。広い動作温度範囲・保存温度範
囲で使用する宇宙用マニピュレータシステムの関節で
は、熱的な信頼性を確保するために遊びの多い設計が多
用される。このようなシンプルな設計では、特に、多自
由度のシリアル結合のマニピュレータ・システムを構成
する場合、先端位置再現性について、高い絶対精度を期
待することは困難である。そこで、ロボット作業に要求
される位置精度は操作物との相対精度であることから、
視覚計測による相対精度を簡易に確保する方式として、
広被写界深度カメラを採用する。
【0079】また、自動機械操作の対象(R−ORUや
移動ポート)には、相対位置計測用のマーカを付けるの
が有効であるが、現状のような大型(5〜40cm)の
ものを避けるために、エンドエフェクタに設けるCCD
カメラと近接して計測できる小型(〜1cm)マーカ方
式を用いる。把持したORU等の取付に関しては、OR
UとWorksiteの相対位置を、他のアーム上のカ
メラで計測して位置制御を行うことで、従来使用してい
る大型(従来、数cm〜数10cm)の挿入ガイドを小
型化することができる。このためには、エンドエフェク
タのCCDカメラ部の光学系は、被写界深度を広く取
り、数mmの接触直前までの相対位置計測を行え、且
つ、他のアームが操作しているときの状況を監視・誘導
するために数mまでの視認性を確保させるものとする。
このようないわゆる暗い光学系は、地上ロボットでは適
していないが、特に、宇宙作業のような比較的ゆっくり
した操作を基本とするシステムに対して適用できるもの
である。
【0080】また、従来において、作業性の向上のた
め、手先に柔らかさを持たせるためには、受動的柔剛性
機構を入れたり、コンプライアンス制御(手先の柔らか
さをソフトウエア的に実現するように、力・トルクセン
サ情報により各関節を協調制御する方法)を行ってき
た。このような受動的柔剛性機構は、ロボット環境モデ
ルが確定できなくなるため、遠隔操作上は望ましくな
く、また、手先に力・トルクセンサを持たせる方法で
は、エンドエフェクタの機構が複雑化する。
【0081】したがって、宇宙用のロボットアームでコ
ンプライアンス制御が期待される操作では、マニピュレ
ータ姿勢が大きく変化しないことに注目し、多自由度ロ
ボットによりセンサ感度を確保する姿勢を取り、各関節
のサーボを上記の分散計算機によりプログラマブルにし
て制御する。そして、各関節に内戴したトルクセンサを
用いて、指定の柔らかさと減衰性を制御する方法を使
う。
【0082】また、自動機械操作の確実性と効率を向上
させ、ロボットの暴走に係るシステムを簡略にするため
には、オンボード監視系を導入する。簡単に、オンボー
ド自動監視を行うには、監視カメラによるマーカ計測に
従ったロボット・操作物のリアルタイム座標管理が挙げ
られる。制御システムが独立に切り替えられれば、双腕
機能により、一方のアームでの作業中に他のアームによ
り監視するようにできる。これにより、自動機械操作の
確実化と効率化とロボットの暴走に係るシステムのロバ
スト化・簡略化が可能である。
【0083】また、本発明による再構成型宇宙用多肢マ
ニピュレータ・システムによれば、信頼性に係るシステ
ム設計を行うことができる。宇宙機器は高価で修理し難
いものであるために、通常、単一故障点を排して設計さ
れる。従来の宇宙用のマニピュレータシステムにおいて
は、有人システムでは、関節故障時にEVA作業により
交換できるようにしており、また、無人システムでは、
現状はいくつかの単一故障点を持ったシステムとしてい
る。前述したように、冗長化のための多重巻き線関節や
駆動アンプの「N out of M」冗長は、複雑化
を招き、システム構成法として好ましくない。一般に器
用さと冗長化は両立が難しく、本発明によるシステム構
成では、基本的には、冗長性のない簡素な要素で構成さ
れたマニピュレータアームの複数本により、システムを
構成する方式としている。ロボットシステム全体の構成
では、使用する宇宙機システムの要求に応じて、以下の
ようにさまざまに対応することができる。
【0084】例えば、宇宙往還機や小型プラットフォー
ム、軌道上作業機などのような小規模な宇宙システム
で、マニピュレータシステムを用いる場合に、2肢型マ
ニピュレータでシステム機能要求を満たすようにシステ
ム構成を設計できれば、更に、1本のマニピュレータア
ームを追加して、3肢型マニピュレータシステムによる
構成のロボットアームとしてシステム設計を行う。故障
がない場合には3肢型マニピュレータシステムの構成で
運用性をあげて使用し、故障時には効率を落として2肢
型マニピュレータシステムの構成で運用する。また、シ
ステム機能要求が3肢型マニピュレータでシステム機能
要求を満たすようにシステム構成を設計できれば、軌道
上待機用に1肢のマニピュレータアームを備え、計4肢
型のマニピュレータでシステムの構成とする。
【0085】このような再構成型の多肢マニピュレータ
・システムとすることで、長寿命の宇宙機システムの場
合には、補給回収系により故障したマニピュレータを回
収・補給することができ、また、宇宙ステーションや宇
宙太陽発電プラットフォームのような大型システムで
は、信頼性と運用性の要求から全体として必要マニピュ
レータ数を決定し、作業に応じて3肢、2肢、或いはよ
り多い多肢システムとして使用することができる。
【0086】また、実用において有効となるロボットを
創出してゆくには、発展性を備え汎用性のあるシステム
設計を行って、それが順次更新して行けることが重要で
ある。本発明による再構成型宇宙用多肢マニピュレータ
・システムでは、従来のような中央/下位計算機システ
ムの構成ではなく、分散型システムであり、下位互換性
のあるより性能の高い通信機能やエンドエフェクタ機能
を持った高性能マニピュレータを新規に追加すること
で、旧マニピュレータも使用しつつ、システムを陳腐化
させず発展させてゆくことができる。これは、従来には
見られない大きな利点である。
【0087】以上に説明したように、再構成型の宇宙用
多肢マニピュレータ・システムにより、所期の目的を達
成させる宇宙ロボットシステムを構成することができ
る。このようなロボットアームシステムは、軌道上のよ
うな微小重力〜無重力下で有効であると共に、同様の概
念により重力(1/6)gの月面や、重力(1/2)g
の火星表面等での作業ロボットにも容易に拡張適用でき
る。また、作業対象の大きさによりサイジングを変更す
ることは容易である。
【0088】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の再構成
型宇宙用多肢マニピュレータ・システムによれば、ロボ
ットアームのシステム構成によって、システムは、無人
往還機や無人プラットフォーム上での宇宙実験・システ
ム点検保守、或いは小型ミッションでのロボットによる
組立や宇宙実験などに使用可能である。また、有人シス
テムに利用すると、船内での簡単な宇宙実験作業におけ
る搭乗員作業の軽減や、船外での簡単な点検保守・宇宙
実験の支援作業、更に無人運用時のロボットによる自動
運用などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスペースシャトル用Shuttle−R
MSのロボットアームを説明する図である。
【図2】開発中の宇宙ステーション用JEMRMS親ア
ームを説明する図である。
【図3】開発中の宇宙ステーション用のSSRMSを説
明する図である。
【図4】従来の単腕・複腕マニピュレータを持つシステ
ムを説明する図である。
【図5】本発明に係る再構成型宇宙用多肢マニピュレー
タ・システムの実施の形態の3肢型マニピュレータシス
テムの構成例を示す図である。
【図6】同じく実施の形態の2肢型マニピュレータシス
テムの構成例を示す図である。
【図7】マニピュレータのアームのブーム内部に設けら
れる電気系統の回路構成を示すブロック図である。
【図8】6自由度の3本のマニピュレータアームを結合
してマニピュレータ・システムを構成している場合の作
業モードの第1の形態を例示する図である。
【図9】6自由度の3本のマニピュレータアームを結合
してマニピュレータ・システムを構成している場合の作
業モードの第2の形態を例示する図である。
【図10】6自由度の3本のマニピュレータアームにより
マニピュレータ・システムを構成している場合の作業モ
ードの第3の形態を例示する図である。
【図11】多自由度シリアル・リンク・マニピュレータの
先端自由度による操作例を説明する図である。
【図12】エンドエフェクタの複数の操作指による内力で
の操作例を説明する図である。
【図13】トラス操作を説明するエンドエフェクタの部分
断面図である。
【図14】テザーアンカー操作を説明するエンドエフェク
タの部分図である。
【図15】マイクロ・コニカル操作を説明するエンドエフ
ェクタの部分断面図である。
【図16】ハンドレール操作を説明するエンドエフェクタ
の部分断面図である。
【符号の説明】
50 アーム 51 関節部 52 エンドエフェクタ 53 ブーム 54 ロボット中心部 55,56 結合ポート 57 宇宙機 61,62 マニピュレータアーム 61a,62a,62b エンドエフェクタ 61b 結合ポート 63 ワイヤハーネス 64 関節駆動回路 65 分散型制御計算機 66 通信処理回路 67 CCDカメラ部 68 コネクタ部 71 エンドエフェクタ部 72 関節部 73 ブーム部 74 関節モータ 76 カメラ本体部 77 前処理・A/D変換部 78 焦点制御用レンズ駆動制御部 81,82,83 アーム 91 基部 92,93,94,95,96,97 関節 98 エフェクタ部 100 ロボットアーム 120 被覆されている筐体部 121 被覆 122 エフェクタ部 123 アーム 124 操作指 125 取り付け面 126 ピン 127 補助アーム 128 治具 130 エンドエフェクタ 131 アーム 132,132a 操作指 133 CCDカメラ 134 照明用の発光ダイオード 135 コネクタ 141 第1のアンカー 142 第2のアンカー 143 第3のアンカー 150 マイクロ・コニカル 160 ハンドレール 201 補給部与圧区 202 マニピュレータ 203 精密作業用ロボットアーム 204 補給部曝露区 205 エアロック 206 曝露部 207 与圧部 301 宇宙ステーション 302 モービルトランスポーター 303 モービル・リモート・サービス・ベース・シス
テム 304 宇宙ステーション・リモート・マニピュレータ 305 ロボットアーム 401 ロボットアーム 402 アームモニターカメラ 403 アームハンドカメラ
フロントページの続き (72)発明者 下田 孝幸 茨城県つくば市千現2丁目1番1号 宇宙 開発事業団筑波宇宙センター内 (72)発明者 狼 嘉彰 東京都目黒区大岡山2丁目12番1号 東京 工業大学学部機械宇宙学科内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低重力下での様々な宇宙作業を行うため
    の再構成型宇宙用多肢マニピュレータ・システムであっ
    て、システム構成要素が同じ構造であるマニピュレータ
    アームの複数個からシステムが構成され、1つのマニピ
    ュレータアームが1台のロボットとして機能すると共
    に、複数個のマニピュレータアームを相互に結合するこ
    とで形態を変え1台または複数台のロボットとして機能
    するようにシステム構成することを特徴とする再構成型
    宇宙用多肢マニピュレータ・システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の再構成型宇宙用多肢マ
    ニピュレータ・システムにおいて、前記マニピュレータ
    アームは、複数の関節を中空のブームにより結合したア
    ームと、前記アームの両端に備えられ操作指と電気的結
    合部を有するエンドエフェクタと、前記中空のブームの
    内部に備えられた高速シリアル通信処理およびロボット
    制御を行う分散計算機とを備え、 前記分散計算機は、ロボットシステム全体の協調制御、
    他のマニピュレータの監視を行う監視処理、高速通信回
    線のための通信制御処理を行い、複数個のマニピュレー
    タアームから構成されるマニピュレータとしてシステム
    構成されたロボット形態に応じて、機能を変化させたロ
    ボット制御の中枢的な計算を行い、形態によっては知覚
    データ処理やデータ中継を行うことを特徴とする再構成
    型宇宙用多肢マニピュレータ・システム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の再構成型宇宙用多肢マ
    ニピュレータ・システムにおいて、マニピュレータアー
    ムは、各アームの両端に、基本的に1自由度の操作指と
    電気的結合コネクタとを有するエンドエフエクタを備
    え、 エンドエフェクタは操作対象物への操作機能を有し、宇
    宙機上やロボットシステム上に用意された専用ポートを
    把持することで他のマニピュレータアームと電気的およ
    び機械的に結合されることを特徴とする再構成型宇宙用
    多肢マニピュレータ・システム。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の再構成型宇宙用多肢マ
    ニピュレータ・システムにおいて、マニピュレータアー
    ムは、アームの関節が、小型モータと出力余裕のある駆
    動回路を備え、関節機能として、定常力は小さいが瞬時
    力の大きな小型関節とし、短時間に比較的大きな操作力
    を発揮するように構成されていることを特徴とする再構
    成型宇宙用多肢マニピュレータ・システム。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の再構成型宇宙用多肢マ
    ニピュレータ・システムにおいて、前記マニピュレータ
    アームは、複数の関節を中空のブームにより結合したア
    ームと、前記アームの両端に備えられ操作指と電気的結
    合部を有するエンドエフェクタと、前記中空のブームの
    内部に備えられた高速シリアル通信処理およびロボット
    制御を行う分散計算機とを備え、 前記エンドエフェクタは、ロボット用に専用のインタフ
    ェースを持った操作対象物を当該エンドエフェクタの操
    作指の内力操作により操作し、エンドエフェクタの操作
    指は、操作時に発生する力トルクがアームに伝わらない
    機構であることを特徴とする再構成型宇宙用多肢マニピ
    ュレータ・システム。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の再構成型宇宙用多肢マ
    ニピュレータ・システムにおいて、前記マニピュレータ
    アームは、複数の関節を中空のブームにより結合したア
    ームと、前記アームの両端に備えられ操作指と電気的結
    合部を有するエンドエフェクタと、前記中空のブームの
    内部に備えられた高速シリアル通信処理およびロボット
    制御を行う分散計算機とを備え、 前記エンドエフェクタには、専用ポートまたは専用操作
    物に備えられた計測用小型マーカを計測する広被写界深
    度の小型カメラを備えることを特徴とする再構成型宇宙
    用多肢マニピュレータ・システム。
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