JP2000180256A - 計量装置 - Google Patents

計量装置

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JP2000180256A
JP2000180256A JP10361167A JP36116798A JP2000180256A JP 2000180256 A JP2000180256 A JP 2000180256A JP 10361167 A JP10361167 A JP 10361167A JP 36116798 A JP36116798 A JP 36116798A JP 2000180256 A JP2000180256 A JP 2000180256A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 計量精度の低下が起きるほどの異常が計量装
置に生じていることを容易に判定し、その原因を速やか
に特定することを課題とする。 【解決手段】 被計量物Xを搬送する搬送ユニット11
を備える計量チェッカー1において、該ユニット11全
体を支持するロードセル22の出力信号を周波数分析す
る。該信号にはローラ13,14や搬送ベルト15、プ
ーリ16,18やタイミングベルト19等の回転駆動部
材の回転振動が含まれる。正常時の各部材の振動の周波
数及び振幅を記憶し、これと現在のそれとを比較して自
己診断するコントロールユニットを備える。破損や異物
が付着した部材の振動は動的バランスの崩れによって振
幅が大きくなる。それゆえ、正常時の振動と現在の振動
とを各部材毎に比較することにより、計量チェッカー1
に異常が発生していることだけではなく、どの部材に異
常が生じているかを特定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は計量装置、特にロー
ドセル等の荷重検出器を用いる計量装置に関し、物品計
量の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】荷重が負荷された際の起歪体の弾性変形
に応じた電気的信号を出力するロードセルを荷重検出器
として用いる計量装置のひとつに計量チェッカーが知ら
れている。この計量チェッカーは例えば商品の最終生産
ラインにおいて出来上がった商品を搬送しながらその重
量が適正か否かをチェックするもので、商品を搬送する
ための搬送ユニットが起歪体の可動剛体部で支持され、
この搬送ユニット全体の重量が負荷された状態を計量ゼ
ロ点として商品の計量値を得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記搬送ユニ
ットには商品が載置される搬送平ベルトやこれを走行さ
せるための駆動モータの他、ローラやタイミングプーリ
ないしタイミングベルト等の各種の回転駆動部材が備え
られる。したがって、これらの駆動部材に破損が生じた
り異物が付着したりすると、該部材の質量分布バランス
ないし回転の動的バランスが崩れ、その結果生じる振動
が駆動ノイズとなってロードセルの起歪体に伝達され
る。それゆえ、弾性変形部材である起歪体が共振してロ
ードセルの出力信号もまた同じ周波数で振動し、計量値
が安定するまで長い時間がかかったり、あるいは該ノイ
ズを取り込んで誤った計量値を算出したりする等、計量
精度の低下が引き起こされる。さらには、付着した異物
を部材同士が噛み込むときのショックによっても振動が
発生し、計量精度が低下する。
【0004】このとき、どの部材が原因で計量精度が低
下したのかを特定するには、およそ考えられる駆動部材
のひとつひとつを目視確認していくか、あるいは別途F
FTアナライザ等の計測器を用いて精査するしかなかっ
た。
【0005】本発明は、このような現状に鑑み、まず計
量装置が現在計量精度が低下するような状況にあるのか
どうかを容易に判断することのできる技術の開発、さら
にはそのような状況を引き起こす原因となっている部材
を容易に特定することのできる技術の開発を目的として
鋭意研究を重ねた結果、完成するに至ったものである。
以下、本発明が解決しようとするその他の課題を含め、
本発明を詳しく説述する。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の特許請
求の範囲の請求項1に記載の発明は、荷重検出器の出力
信号に基づいて被計量物の重量を計量する計量装置であ
って、当該計量装置が正常であるときの上記出力信号の
状態を記憶する記憶手段と、現在の出力信号の状態を検
出する検出手段と、これらの両状態を用いて所定の処理
を行なう処理手段とが備えられていることを特徴とす
る。
【0007】この発明によれば、荷重検出器の現在の信
号状態をモニターしながら、一方で当該計量装置が正常
である場合の信号状態を記憶しているから、もし当該計
量装置に何らかの異常が発生して上記のモニター信号に
異変が生じたときには、これらの両信号状態を用いて所
定の処理を行なうことにより、当該計量装置が正常でな
いことがわかり、計量精度の低下するおそれがあると容
易に判断することができる。しかも、計量装置本来の機
能である物品の計量に用いる荷重検出器の信号を利用す
るから計量装置自体が複雑化しない。
【0008】ここで、例えば計量装置が工場出荷時の検
品に合格したときの状態等は計量装置が正常である場合
の典型例である。特に、計量装置が上記計量チェッカー
のようなものである場合においては搬送ユニットの回転
駆動部材に破損や異物付着のない状態等が計量装置が正
常である場合の例に含まれる。
【0009】次に、請求項2に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明において、上記処理手段は、正常時の
状態と現在の状態とを比較のため併せて外部へ情報とし
て提供するものであることを特徴とする。
【0010】この発明によれば、特に、上記処理の一つ
の態様として、正常時の信号状態と現在の信号状態とが
比較のために併せて外部へ情報提供されるから、例えば
計量作業員等の外部のものがこれらの両信号状態を比較
することにより当該計量装置が現在正常かどうかを判断
することができる。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、上記請求
項2に記載の発明において、上記荷重検出器は、弾性部
材を荷重検出要素として含み、その出力信号は、上記弾
性部材に伝達された振動の重なり合いでなると共に、出
力信号を周波数分析する分析手段が備えられ、処理手段
は、周波数分析された各周波数毎に正常時の振動と現在
の振動とを併せて提供するものであることを特徴とす
る。
【0012】この発明によれば、特に、上記荷重検出器
の出力信号が荷重検出要素である弾性部材に伝達された
振動波形の合成である場合に、その出力信号が周波数分
析されたうえで、各周波数毎に、正常時の振動と現在の
振動とが比較のために併せて外部へ情報提供されるか
ら、例えば計量作業員等の外部のものはどの周波数の振
動に異変が生じ、したがってどの周波数の振動発生源が
計量装置の異常の原因となっているかまでを特定するこ
とができる。
【0013】一方、請求項4に記載の発明は、上記請求
項1、請求項2、又は請求項3のいずれかに記載の発明
において、上記処理手段は、正常時の状態と現在の状態
とを比較して当該計量装置が現在正常であるか否かを自
己診断するものであることを特徴とする。
【0014】この発明によれば、特に、上記処理の他の
態様として、正常時の信号状態と現在の信号状態とがそ
のまま処理手段により比較され、その結果、当該計量装
置が現在正常かどうかが自己診断されるから、例えば計
量作業員等の外部のものが上記両信号状態を比較検討し
て判断する必要がなくなる。
【0015】さらに、請求項5に記載の発明は、上記請
求項4に記載の発明において、上記荷重検出器は、弾性
部材を荷重検出要素として含み、その出力信号は、上記
弾性部材に伝達された振動の重なり合いでなると共に、
出力信号を周波数分析する分析手段が備えられ、処理手
段は、周波数分析された各周波数毎に正常時の振動と現
在の振動とを比較して両者の差異が所定以上に大きい周
波数の振動発生源を当該計量装置の異常発生源であると
特定するものであることを特徴とする。
【0016】この発明によれば、特に、請求項3に記載
の発明と同様、上記荷重検出器の出力信号が荷重検出要
素である弾性部材に伝達された振動波形の合成である場
合に、その出力信号が周波数分析されたうえで、各周波
数毎に、正常時の振動と現在の振動とが処理手段により
比較され、その結果、両者の差異が所定以上に大きい周
波数の振動があったときは、その振動の発生源が当該計
量装置の異常発生源であると特定されるから、例えば計
量作業員等の外部のものがどの周波数の振動に異変が生
じ、したがってどの周波数の振動発生源が計量装置の異
常の原因となっているかまでを特定する必要がなくな
る。
【0017】そして、請求項6に記載の発明は、上記請
求項3又は請求項5に記載の発明において、上記弾性部
材は、複数の駆動部材の回転により被計量物を搬送する
搬送ユニットを支持し、各駆動部材の回転に起因する振
動が該弾性部材に伝達されることを特徴とする。
【0018】この発明によれば、特に、上記荷重検出器
の弾性部材が搬送ユニットを支持し、該ユニットの各駆
動部材の回転に起因する振動が上記弾性部材に伝達され
るように構成されているから、上記計量チェッカーのよ
うな計量装置において、どの周波数の振動を発生する回
転駆動部材が当該計量装置の異常の原因となっているか
が、計量作業員等の外部のもの又は計量装置自体によっ
て特定されることになり、駆動部材のひとつひとつを目
視確認したり、FFTアナライザ等の計測器類を別途備
える必要がなくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通して
本発明をさらに詳しく説述する。
【0020】図1に示すように、この実施の形態に係る
計量装置1は商品を搬送しながらその重量を測定する計
量チェッカーである。この計量チェッカー1は商品の最
終生産ラインに配置され、上流側の搬入コンベアYから
供給された商品Xを矢印A方向に搬送している間にその
重量を測定し、下流側の振分装置のコンベアZに排出す
る。計量の結果重量が適正範囲から逸脱している商品は
振分装置によって生産ラインから除外される。
【0021】計量チェッカー1は商品XをA方向に搬送
するための搬送ユニット11を備える。この搬送ユニッ
ト11は断面コ字状のフレーム12の両端部に回転自在
に支持された従動ローラ13及び駆動ローラ14を有す
る。これらのローラ13,14間には商品Xが載置され
る搬送平ベルト15が巻き掛けられ、駆動ローラ14の
軸にはタイミングプーリ16が組み付けられている。フ
レーム12には駆動モータ17が取り付けられ、該モー
タ17の出力軸に組み付けられたタイミングプーリ18
と、上記駆動ローラ14のタイミングプーリ16との間
にタイミングベルト19が巻き掛けられて、このタイミ
ングベルト19を介して上記モータ17の駆動により搬
送平ベルト15がA方向に走行する。
【0022】搬送ユニット11は架台21に内装された
ロードセル22の起歪体23の可動剛体部23aによっ
て全体が支持されている。起歪体23の固定剛体部23
bは架台21に固定されている。搬送ユニット11の背
後には操作パネル31が立設され、メインスイッチ32
や各種キー操作が行なわれる操作入力部33、あるいは
商品の計量値が表示される計量値表示部34、及び当該
計量チェッカー1の信号振動情報が表示される分析情報
表示部35が配置されている。
【0023】図2に示すように、ロードセル22は負荷
に応じた圧縮及び引張を受ける起歪体23に複数のスト
レインゲージ24…24が貼着され、これらのゲージ2
4…24がホイートストンブリッジ回路に接続されたも
ので、負荷に応じた電気的信号が上記回路から取り出さ
れる。そのロードセル22の出力信号は増幅器41で増
幅されたのち、A/Dコンバータ51でデジタル信号に
変換されて、操作パネル31に内装されたコントロール
ユニット61に入力される。
【0024】コントロールユニット61は入力されたロ
ードセル22の出力信号に基づいて重量演算部62で商
品Xの重量を演算する。ここでロードセル22の起歪体
23には常に搬送ユニット11全体の重量が負荷されて
いる。したがってこの搬送ユニット11全体の重量が負
荷された状態での計量値がゼロ点に設定されている。図
3のステップS11に示すように、重量演算部62は例
えば光電センサでなる計量物検出用センサ71(図1、
図2参照)で商品Xを検出した時点から所定の時間が経
過したときの計量値を商品Xの重量とする。計量結果は
計量値表示部34に例えばグラム単位でディスプレイさ
れる。
【0025】コントロールユニット61は本来の機能で
ある上記重量演算を実行する以外に、図3のステップS
12に示すように、ロードセル22の出力信号を信号分
析部64において周波数分析する。つまりロードセル2
2の出力信号がどんな周波数の正弦波の重ね合せで構成
されているかを例えばフーリエ分解を用いて分析するの
である。
【0026】前述のようにロードセル22は搬送ユニッ
ト11全体を支持している。したがって搬送ユニット1
1で生じた振動はロードセル22に入力され、ロードセ
ル22の出力信号に例えば図4に符号G1で示すような
波形となって表れる。この波形G1は起歪体23に伝達
された振動が重なり合い合成されたものである。起歪体
23には搬送ユニット11における駆動モータ17、駆
動プーリ18、タイミングベルト19、従動プーリ1
6、駆動ローラ14、搬送平ベルト15、従動ローラ1
3等の各駆動部材の回転から生じる振動が伝達される。
したがってロードセル22の出力信号を周波数分析する
ことにより各回転駆動部材がそれぞれ発している振動が
個別に得られる。
【0027】搬送ユニット11の各駆動部材の回転から
生じる振動としては、駆動モータ17自体の回転振動の
他、例えばタイミングプーリ16,18とタイミングベ
ルト19との噛み合いのアンバランスに起因する振動
や、搬送平ベルト15のつなぎ目とローラ13,14と
の接触時の衝撃に起因する振動等がある。これらは完全
に払拭することが困難なほど微細なものであり、たとえ
このような振動が生じていても計量チェッカー1は工場
出荷時の検品に正常品として合格する。
【0028】これに対し、例えばローラ13,14の表
面に欠けが生じたり異物が付着したり、あるいはタイミ
ングプーリ16,18の歯に異物が挟まったりすると、
各駆動部材の質量バランスないし回転バランスが崩れ、
また異物噛込みのショックによって計量精度に悪影響を
及ぼすほどの振動が発生する。これらは計量チェッカー
1としての異常の原因となる。
【0029】各駆動部材から発生する振動の周波数は該
駆動部材の回転速度と関連する。例えば従動プーリ16
の歯の一箇所が欠ける等の異常が起こったときは、その
部分がタイミングベルト19と噛み合い始める際に衝撃
が出る。その衝撃は該プーリ16が一回転する間に一回
起きるから、次式により、例えば該プーリ16の回転速
度Rが600rpmであれば、周波数Fが10Hzの振
動が生じることになる。
【0030】
【数1】 各駆動部材の径や長さあるいは部材間のそれらの比は予
めわかっているから、そのときの商品搬送速度から全て
の駆動部材の回転速度が求められ、各駆動部材に振動が
起こったときの該振動の周波数が全て決定する。
【0031】コントロールユニット61のメモリ63に
は、上記のように工場出荷時の検品に正常品として合格
したときに搬送ユニット11を空運転し、そのときのロ
ードセル22の出力信号を周波数分析した結果が格納さ
れている。すなわち、当該計量チェッカー1が正常状態
である場合において発生するもともとの各振動の振幅等
の振動情報がその周波数と部材とに対応させて記憶され
ているのである。
【0032】今回、図3のステップS12において、例
えば図4に示す波形G1を時刻アにおいて周波数分析し
た結果、図5に実線で示すような波形G2に分解された
とする。この波形G2は搬送平ベルト15の回転に伴う
周波数F1の振動のピークaと、タイミングベルト19
の回転に伴う周波数F2の振動のピークbと、従動プー
リ16又は駆動ローラ14又は従動ローラ13の回転に
伴う周波数F3の振動のピークcと、駆動モータ17又
は駆動プーリ18の回転に伴う周波数F4の振動のピー
クdとを有する。
【0033】コントロールユニット61は、図3のステ
ップS13に示すように、この現在運転中のロードセル
22の出力信号を周波数分析した結果G2を当該計量チ
ェッカー1の信号振動情報として分析情報表示部35に
例えば図5に示すようなグラフ形式でディスプレイする
と同時に、これと重ねて、メモリ63に格納されている
正常時のロードセル22の出力信号を周波数分析した結
果を同じく当該計量チェッカー1の信号振動情報として
分析情報表示部35にディスプレイする。ここで、正常
時にロードセル22の出力信号を周波数分析した結果、
図5に鎖線で示すような波形G0に分解されたとする。
この波形G0は上記各駆動部材13〜19の振動のピー
クa〜dに対応するするピークを有する。
【0034】信号分析部64は少なくとも搬送ユニット
11が駆動している期間中、周波数分析に必要なデータ
やプログラムをメモリ63から読み出して周波数分析を
連続して実行する。したがって分析情報表示部35にデ
ィスプレイされる各周波数毎ないし各駆動部材毎の現在
の振動波形G2及び正常時の振動波形G0は共に経時的
に変化し、特にその振幅が上下するように挙動する。
【0035】これにより、例えば計量作業員が分析情報
表示部35を観察することによって、正常時の振動状態
G0と現在の振動状態G2とを比較検討することがで
き、特に、両振動G0,G2の振幅を各周波数毎に比較
することが可能となる。図例の場合では、タイミングベ
ルト19の両振動G0,G2の振幅の差異Δが大きいか
ら、該ベルト19に異物付着等の異常が発生し、それに
よってノイズが増大したと判定することができる。その
結果、タイミングベルト19が当該計量チェッカー1の
異常発生源であると特定することができる。
【0036】図6は当該計量チェッカー1の具体的動作
の他の例を示す。図中のステップS21及びS22はそ
れぞれ図3のステップS11及びS12と同じ内容であ
る。この場合は、コントロールユニット61は、現在の
ロードセル22の出力信号の周波数分析を行なった段階
では、その結果G2を正常時の分析結果G0と併せて分
析情報表示部35にディスプレイせず、ステップS23
に示すように、自ら両結果G0,G2を比較する。
【0037】その結果、前述のように、タイミングベル
ト19の現在の振幅が正常時のそれに比べて大きな差異
Δだけ増大しているから、ステップS24に示すよう
に、該ベルト19に異常が発生し、該ベルト19が当該
計量チェッカー1の異常発生源であると特定することが
できる。
【0038】そして、コントロールユニット61は、ス
テップS25に示すように、この判定結果を分析情報表
示部35に例えば図7に示すような態様でディスプレイ
する。
【0039】このように、計量チェッカー1自らが異常
発生を自己診断し、また異常発生原因の特定を行なうか
ら、例えば計量作業員が分析情報表示部35をのぞき込
んで比較検討する必要がなくなる。
【0040】また、いずれの動作の場合においても、当
該計量チェッカー1が現在異常で計量精度が低下するよ
うな状況にあるのかどうかを容易に判断することができ
る。さらには、駆動部材のひとつひとつを目視確認した
り、FFTアナライザ等の計測器類を別途備えることな
く、計量精度が低下するような状況を引き起こす原因と
なっている駆動部材を容易に特定することができる。
【0041】そして、計量チェッカー1本来の機能であ
る物品の計量に用いるロードセル22の出力信号をその
まま利用するから、ハード面でもソフト面でも当該計量
チェッカー1が過剰に複雑化することがない。
【0042】なお、搬送ユニット11の非駆動時には、
当該計量チェッカー1のメカ的な異常を検出することが
できる。
【0043】例えば搬送ユニット11の構成部材である
ボルトやネジ等が長時間の使用により緩んだり脱落した
りすると、搬送ユニット11を振動させたときの固有振
動数が変化する。あるいは、フレーム12等の部材に金
属疲労が起こってひび割れが生じたり、そこから腐食が
進んだりしても、搬送ユニット11全体の固有振動数に
変化が生じる。
【0044】したがって、そのようなメカ的な異常のな
い正常な状態のときに搬送ユニット11を停止しておい
て振動させ、そのときロードセル22の出力信号に表れ
る固有振動数をメモリ63に記憶しておいて、これと、
同じく搬送ユニット11を停止しておいて定期的に振動
させたときにロードセル22の出力信号に表れる固有振
動数とを比較することによって、上記のようなネジの緩
みや脱落、金属疲労やひび割れ、腐食等といったメカ的
な異常が自己診断できることになる。
【0045】それゆえ、本発明は、動的状態の計量チェ
ッカー1だけでなく静的状態の計量チェッカー1に対し
ても正常異常の自己診断に適用でき、さらには、プーリ
やベルト等の回転駆動部材をいっさい含まない計量皿の
みを備えた静止式の電子秤等に対しても適用可能であ
る。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、計量装
置が現在正常な状態で運転しているのかあるいは計量精
度が低下するような不具合を有したまま運転しているの
かが計量装置自体が計量値信号を処理することによって
容易に判定できる。さらには、計量精度が低下するよう
な不具合を有したまま現在運転していると判定した場合
に、その不具合の原因となっている構成部材を同じく計
量装置自体が計量値信号を処理することによって容易に
特定できる。それゆえ、計量精度の低下及び計量誤差を
未然に防止できる。
【0047】本発明は、搬送ユニットを備える計量チェ
ッカーのような動的な計量装置をはじめ、計量皿のみを
備える静的な計量装置を含む重量計測産業、秤産業一般
に広く好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る計量装置の正面図
である。
【図2】 同計量装置のシステム構成図である。
【図3】 同計量装置の一具体的動作の流れ図である。
【図4】 同計量装置の荷重検出器の出力信号の波形図
である。
【図5】 同出力信号を周波数分析した結果の波形図で
ある。
【図6】 同計量装置の他の具体的動作の流れ図であ
る。
【図7】 同計量装置の自己診断結果が表示された表示
部の拡大図である。
【符号の説明】
1 計量チェッカー(計量装置) 11 搬送ユニット 13〜19 駆動部材 22 ロードセル(荷重検出器、検出手段) 23 起歪体(弾性部材) 34,35 表示部 61 コントロールユニット(処理手段) 62 重量演算部 63 メモリ(記憶手段) 64 信号分析部(分析手段)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷重検出器の出力信号に基づいて被計量
    物の重量を計量する計量装置であって、当該計量装置が
    正常であるときの上記出力信号の状態を記憶する記憶手
    段と、現在の出力信号の状態を検出する検出手段と、こ
    れらの両状態を用いて所定の処理を行なう処理手段とが
    備えられていることを特徴とする計量装置。
  2. 【請求項2】 処理手段は、正常時の状態と現在の状態
    とを比較のため併せて外部へ情報として提供するもので
    あることを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
  3. 【請求項3】 荷重検出器は、弾性部材を荷重検出要素
    として含み、荷重検出器の出力信号は、上記弾性部材に
    伝達された振動の重なり合いでなると共に、出力信号を
    周波数分析する分析手段が備えられ、処理手段は、周波
    数分析された各周波数毎に正常時の振動と現在の振動と
    を併せて提供するものであることを特徴とする請求項2
    に記載の計量装置。
  4. 【請求項4】 処理手段は、正常時の状態と現在の状態
    とを比較して当該計量装置が現在正常であるか否かを自
    己診断するものであることを特徴とする請求項1ないし
    請求項3のいずれかに記載の計量装置。
  5. 【請求項5】 荷重検出器は、弾性部材を荷重検出要素
    として含み、荷重検出器の出力信号は、上記弾性部材に
    伝達された振動の重なり合いでなると共に、出力信号を
    周波数分析する分析手段が備えられ、処理手段は、周波
    数分析された各周波数毎に正常時の振動と現在の振動と
    を比較して両者の差異が所定以上に大きい周波数の振動
    発生源を当該計量装置の異常発生源であると特定するも
    のであることを特徴とする請求項4に記載の計量装置。
  6. 【請求項6】 弾性部材は、複数の駆動部材の回転によ
    り被計量物を搬送する搬送ユニットを支持し、各駆動部
    材の回転に起因する振動が該弾性部材に伝達されること
    を特徴とする請求項3又は請求項5に記載の計量装置。
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