JP2000178764A - 断熱皮膜系のための改善された拡散アルミニウム化物ボンディングコ―トとその製法 - Google Patents

断熱皮膜系のための改善された拡散アルミニウム化物ボンディングコ―トとその製法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ガスタービンエンジンのような高温に曝され
る部品の断熱皮膜であるセラミックス層の剥離しにくい
拡散アルミニウム化物ボンディングコートを提供する。 【解決手段】熱絶縁性セラミック層26および拡散アル
ミニウム化物ボンディングコート24からなり、ボンデ
ィングコート24上に酸化アルミニウムスケールが成長
されており、これがその下層の部品22の表面を保護し
そしてセラミック層26を化学的に結合している。ボン
ディングコート24は、白金、パラジウム、ロジウム、
クロムおよび/またはケイ素の添加剤金属、およびイッ
トリウムおよび/またはジルコニウムの添加剤元素を含
む。ボンディングコート24は、アルミニウムを活性元
素と共に一緒に付着するか、あるいは添加剤金属および
活性元素を部品22の表面上に付着しそれからアルミニ
ウム化して拡散アルミニウム化物ボンディングコート2
4を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はガスタービンエンジンの敵性熱環
境のような高温に曝される部品のための断熱皮膜系に係
わる。より詳しくは、本発明はセラミック層と、添加剤
金属および活性元素が導入されており、これら両者が一
緒になってセラミック層の剥離抵抗を促進している拡散
アルミニウム化物ボンディングコートとを、使用した断
熱皮膜系に係わる。
【0002】
【発明の背景】ガスタービンエンジン内の運転環境は熱
的および化学的に共に敵性である。鉄、ニッケルおよび
コバルト−基超合金の調合を介して高温合金に著しい進
歩が達成されているが、かかる合金から形成されている
部品はタービン、燃焼器およびオーグメンタのようなガ
スタービンエンジンの或るセクションに置かれると長期
の使用の露出にしばしば耐え難い。その普通の解決策は
酸化および熱腐食を抑制する環境皮膜をこのような部品
に施すことである。
【0003】この目的に広く使用されている被覆材には
拡散アルミニウム化物皮膜が含まれ、これは一般にパッ
ク(pack)拡散浸透法のような拡散法によって形成され
る単層の酸化−耐性の層である。拡散法は一般に部品の
表面をアルミニウム−含有気体組成物と反応させて2つ
の別個の帯域を形成する必要があり、この帯域の最も外
側はMAl(Mは基材の材料次第で鉄、ニッケルまたは
コバルトである)によって表される環境−耐性の金属間
化合物を含有する添加剤層である。この添加剤層の下に
は種々の金属間化合物相および準安定相を含んだ拡散帯
域があり、これらの相は基材の局部的領域における拡散
勾配および元素溶解度の変化によって被覆反応の間に生
成される。高温で空気中に露出されている間に、MAl
金属間化合物は保護性の酸化アルミニウム(アルミナ)
スケールまたは層を形成し、これが拡散皮膜およびその
下の基材の酸化を抑制する。
【0004】特に高い温度での用途に対しては、環境皮
膜系は拡散皮膜の上にしばしば熱絶縁性セラミックの層
が含まれており、そこでこの拡散皮膜はボンディングコ
ートと呼ばれる。このボンディングコートとセラミック
層との組合せは当業界では断熱皮膜系として知られてい
る。このセラミック層には種々のセラミック材料が使わ
れており、特にイットリア(Y23)、マグネシア(M
gO)、セリア(CeO2 )、スカンジア(Sc23
または他の酸化物で完全にまたは部分的に安定化された
ジルコニア(ZrO2 )が使われている。これらの特定
の材料は望ましい熱サイクル疲労特性を示しまたプラズ
マ溶射、火炎溶射および蒸着技術によって容易に付着で
きるので当業界で広く用いられている。
【0005】ボンディングコートはそれが使用されてい
る断熱皮膜系の使用寿命にとって重要でありまたこの皮
膜系で保護されている部品の使用寿命にとっても重要で
ある。拡散アルミニウム化物ボンディングコートによっ
て形成される酸化物スケールは接着性であり連続してい
るので、酸化障壁として働いてボンディングコートおよ
びその下にある超合金基材を保護するだけでなく、セラ
ミック層を化学的に結合する。それにも拘わらず、アル
ミニウム化物ボンディングコートは高温で時間の経過と
ともに酸化し続けるという固有の特性があり、これによ
りボンディングコートから徐々にアルミニウムを枯渇し
ていき、酸化物スケールの厚さを増加していき、ついに
はスケールはボンディングコートと酸化アルミニウムス
ケールの界面でセラミック層の剥離を引き起こす臨界的
な厚さにまで至る。一度剥離が生ずると、部品は急速に
劣化し、かなりのコストで一新するかまたはスクラップ
にされねばならなくなる。
【0006】過剰な酸化物の成長に加えて、アルミニウ
ム化物ボンディングコートの形成の間または高温への露
出の間の如きに、ボンディングコート中のアルミニウム
が超合金基材と相互拡散することにより、および超合金
からの元素がボンディングコート中に拡散することによ
り、ボンディングコートの適当な酸化アルミニウムスケ
ールを形成し維持する能力が妨げられる可能性がある。
皮膜中のアルミニウムが酸化および相互拡散により枯渇
されるにつれて、モリブデン、タングステン、レニウ
ム、チタンおよびタンタルのような元素のアルミニウム
化物ボンディングコート内への拡散およびそれに引き続
く酸化が熱力学的に有利になる可能性がある。更に、こ
れらの元素はセラミック層の接着にとって有害な容積の
大きな非接着性のスケールを形成する傾向がある。
【0007】上記したところから、断熱皮膜系、従って
この皮膜によって保護されている部品の使用寿命は熱絶
縁性のセラミック層を定着するのに使用されるボンディ
ングコート次第であることは明らかである。米国特許
3,677,789;4,352,840および4,9
33,239に開示されているように、従来技術ではア
ルミニウム化物環境皮膜の環境抵抗性を白金族金属のよ
うな種々の元素の添加によって改善することが提案され
ている。酸化における改善はこれらの皮膜によって達成
されているが、ボンディングコートは環境抵抗性を示す
だけでなくセラミック層の接着をも促進しなければなら
ないので、アルミニウム化物ボンディングコートに対す
る要求はアルミニウム化物環境皮膜に対する要求とは異
なることがある。例えば、アルミニウム化物環境皮膜上
での酸化物の成長は皮膜によってその下の基材に与えら
れる環境保護を促進するが、アルミニウム化物ボンディ
ングコート上での連続した酸化物の成長はその上のセラ
ミック層の剥離抵抗にとって有害である。Strangman の
米国特許5,514,482はスケール接着を促進する
ために拡散アルミニウム化物ボンディングコートを白
金、ケイ素、ハフニウムおよび酸化物で変性しうること
が呈示されているが、過剰なスケールの成長に伴う問題
は認識されていないし解決されてもいない。それ故に、
より遅い酸化物成長を示す改善されたボンディングコー
トの使用によって断熱皮膜系の使用寿命に対する改善が
果たされたら望ましいことであろう。
【0008】
【発明の要約】本発明の目的はガスタービンエンジンの
超合金部品のような敵性熱環境に使用するために設計さ
れた部品に対する改善された断熱皮膜系およびその製法
を提供することである。本発明の別の目的は皮膜系が部
品の表面上に形成された拡散アルミニウム化物ボンディ
ングコートを含むことである。
【0009】本発明の更に別の目的は皮膜系がアルミニ
ウム化物ボンディングコートの表面上の酸化アルミニウ
ムスケールによって部品に定着された熱絶縁性セラミッ
ク層を含むことである。本発明の更に別の目的は比較的
に不純物を含まずそしてひび割れおよびスポーリングに
抵抗性の比較的に遅く成長する酸化物スケールを生成す
るようにアルミニウム化物ボンディングコートを変性す
ることである。
【0010】本発明の更なる目的はアルミニウム化物ボ
ンディングコートが添加剤金属および活性元素を含み、
これら両成分が一緒になって、酸化物スケールに対して
の比較的遅い成長速度の結果として増大された酸化に対
する抵抗性によって特徴付けられ、そしてボンディング
コートに対する酸化物スケールの改善された接着によっ
て更に特徴付けられ、その結果セラミック層の剥離抵抗
も促進される、ようなボンディングコートをもたらすこ
とである。
【0011】本発明は一般に断熱皮膜系を提供し、ガス
タービンエンジンの超合金タービン、燃焼器およびオー
グメンタ諸部品のような敵性熱環境で使用するように設
計された部品上にこの皮膜系を形成する方法を提供する
ものである。この方法は特に酸化抵抗性の拡散アルミニ
ウム化物ボンディングコートを含みその上に酸化アルミ
ニウムスケールを成長させて皮膜系の下にある部品の表
面を保護しそして皮膜系の上にある熱絶縁性セラミック
層を接着させる断熱皮膜系に向けられている。
【0012】本発明によれば、セラミック層に対する剥
離抵抗の顕著な改善は、一種以上の特定の金属添加剤、
即ち貴金属類(白金、パラジウムおよびロジウム)、ク
ロムおよび/またはケイ素並びに限定された添加の活性
元素類イットリウムおよび/またはジルコニウムを含む
ようにアルミニウム化物ボンディングコートを形成する
ことによって達成される。ボンディングコートの添加剤
金属および活性元素の成分はスパッタリングによりある
いは陰極アーク法によって、アルミニウム化物ボンディ
ングコートに先だって、付着することができる。別の方
法では、活性元素成分はパック拡散浸透法あるいは気相
処理を使用してアルミニウム化物ボンディングコートと
同時に付着することができる。この変性されたアルミニ
ウム化物ボンディングコートは、形成されると、酸化を
受けて、酸化抵抗性の障壁層として働きそして熱絶縁性
セラミック層を化学的に結合する、酸化アルミニウムス
ケールを形成する。
【0013】本発明によれば、一種以上の上記の添加剤
金属および一種以上の上記の活性元素を含有するように
アルミニウム化物ボンディングコートを適当に合金化す
れば、酸化アルミニウムスケールの接着を促進しそして
酸化物スケールの成長を遅くすることによってボンディ
ングコートの上にあるセラミック層の剥離抵抗を著しく
高めるよう働く。活性元素は酸化物、ボンディングコー
トおよび酸化物−ボンディングコート界面の構造を変え
および/または硫黄のようなトランプ元素を固定するこ
とによって酸化物スケールの接着を改善する。添加剤金
属はボンディングコート中の比較的に低いアルミニウム
の濃度でアルミニウムの選択的な酸化を促進する。更
に、貴金属類は耐火金属の酸化物が酸化物スケールをド
ーピングするのを防ぐために基材からの耐火金属の拡散
を阻害する。ケイ素およびクロムのような添加剤元素は
耐火金属と反応して耐火金属を固定する化合物を形成
し、これによりアルミニウム化物ボンディングコートの
表面に耐火金属の酸化物が形成されるのを防止する。従
って、添加剤金属は部品がタンタル、タングステン、モ
リブデン、チタンおよびレニウムのような一種以上の耐
火金属を含有する超合金である場合に特に顕著な利益を
提供する。添加剤および活性元素の両方が存在するため
に相乗効果が生じて著しく遅い酸化物成長速度がもたら
されるようである。酸化物スケールの厚さが増すと応力
が上昇し接着が減少して究極的な結果として剥離となる
が、本発明によって提供される遅延された酸化物成長速
度は断熱皮膜系の寿命を著しく延長することができる。
【0014】以下の詳細な記述から本発明のその他の目
的および利益がより認識されよう。
【0015】
【発明の詳細な記述】ここに、本発明を添付の図面を参
照して実施例により記述する。本発明は一般に、比較的
に高い温度で特徴される環境内で運転されそれ故敵性の
酸化性環境並びに厳しい熱応力および熱循環に曝される
部品に適用しうる。このような部品の注目される例はガ
スタービンエンジンの高圧および低圧タービンノズル並
びに翼、シュラウド、燃焼器ライナおよびオーグメンタ
ハードウエアが含まれる。高圧タービン翼10の例が図
1に示されている。翼10は一般にエーロフォイル12
およびプラットホーム16を含んでおり、これらに対し
てガスタービンエンジンの運転中に熱燃焼ガスが向けら
れ、従ってこれらの表面は酸化、腐食および侵食による
厳しい攻撃を受ける。エーロフォイル12およびプラッ
トホーム16は翼10のシャンクセクション上に形成さ
れたダブテール14によりタービンデスク(図示されて
いない)に固定されている。エーロフォイル12を貫通
して冷却用通路が存在しこれを通してブリード空気が強
制して通されて翼10からの熱を伝達する。本発明の利
益は図1に示されている高圧タービン翼10に関して記
載されるが、本発明の教示は部品をその環境から保護す
るためにその上に断熱皮膜系が使用できる如何なる部品
にも一般に適用できる。
【0016】図2に本発明による断熱皮膜系20が表さ
れている。図示されているように、この皮膜系20は典
型的には翼10の基礎材料である基材22の上にある、
セラミック層26および拡散アルミニウム化物ボンディ
ングコート24を含んでいる。基材22(それ故翼1
0)に対して適当な材料にはニッケル、鉄およびコバル
ト−基超合金が含まれ、本発明はモリブデン、タングス
テン、レニウム、チタンおよびタンタルのような耐火金
属を一種以上含有するニッケル−基超合金に対して特に
有利である。アルミニウム化物ボンディングコート24
は一般に添加剤層24aが拡散帯域24bの上層になっ
ていることで特徴付けられ、前者の添加剤層24aは通
常ニッケル−アルミニウム化物β相(NiAl)のよう
な酸化−抵抗性のMAl金属間化合物相のモノアルミニ
ウム化物層である。このタイプの皮膜はエンジン環境に
曝される間に添加剤層の表面の上に酸化アルミニウムス
ケール(図示せず)を形成する。酸化物スケールはボン
ディングコート24および基材22の酸化を抑制し、セ
ラミック層26をボンディングコート24に化学的に結
合する。ボンディングコート24に対する適当な厚さは
約25乃至約150マイクロメーターである。
【0017】ガスタービンエンジンの高温部品(例えば
翼10)にはアルミニウム化物ボンディングコート24
の上にセラミック層26が必要とされる。上述したよう
に、セラミック層26はアルミニウムボンディングコー
ト24の表面上の酸化物スケールに化学的に結合され
る。好ましいセラミック層26は当業界で知られた物理
蒸着(PVD)技術、例えば電子ビーム物理蒸着(EB
PVD)によって得られる歪み−耐性の柱状結晶構造を
有しているが、セラミック層は空気プラズマ溶射(AP
S)技術によっても形成される。セラミック層26に対
して適当な材料は部分的にまたは完全にイットリアで安
定化されたジルコニア(YSZ)であるが、マグネシ
ア、セリア、スカンジアまたはその他の酸化物で安定化
されたイットリアまたはジルコニアを含めた別のセラミ
ック材料を使用することもできる。セラミック層26は
その下層の基材および翼10に対して要求される熱的保
護を提供するのに十分な厚さ、一般に約75乃至約30
0マイクロメーターの程度で付着される。
【0018】本発明によれば、セラミック層26の剥離
抵抗を促進するためにボンディングコート24はある種
の金属および活性元素の添加物を含んでいる。本発明に
よって使用される金属添加剤はクロム、ケイ素および/
または白金、ロジウムおよびパラジウムのような貴金属
であり、これらは比較的低い濃度でアルミニウムを選択
的に酸化するのを助成している。活性元素はイットリウ
ムおよびジルコニウムであり、ハフニウムの添加も可能
である。ボンディングコート24は活性元素成分と一緒
に付着することができるし、あるいは金属添加剤および
活性元素の予め付着した層内に拡散することもできる。
本発明によれば、これらの成分の拡散アルミニウム化物
ボンディングコートへの添加により、安定な酸化物を形
成し、硫黄のような有害なトランプ元素を捕捉または固
定し、そして酸化物スケールのボンディングコート24
上への接着を促進することに加えて、酸化物スケールの
成長速度を遅延することが分かっており、これら全てが
合わさってセラミック層26の剥離抵抗が促進されてい
る。好ましい添加剤金属はボンディングコート24の環
境抵抗(即ち、酸化および熱腐食抵抗)を高めそしてア
ルミニウムの選択的酸化を促進する能力を基準に選択さ
れており、一方活性元素は酸化物の固定および/または
硫黄のようなトランプ元素のゲッタリングのような機構
によって酸化物スケールの接着を改善する。これらの添
加は又基材22からの元素の拡散をも阻害し、その為に
ボンディングコート24を従来技術のボンディングコー
トとその超合金基材との間に観察される元素の相互作用
および相互拡散に受け難くしている。
【0019】重要なことは、相乗効果は添加剤金属と活
性元素の両者が存在する結果起こるようである。本発明
による断熱皮膜系は白金アルミニウム化物ボンディング
コートを使用した従来技術の皮膜系よりも約2.5倍、
そしてアルミニウム化物ボンディングコートを使用した
従来技術のボンディングコートより約6倍良好な熱サイ
クル抵抗を発揮した。本発明の利益を達成するために
は、添加剤金属は約5乃至約50重量%の量で存在し、
一方活性元素は好ましくは約10ppm乃至約1.0重
量%のイットリウムおよび/または約0.01乃至約
5.0重量%のジルコニウムの量で存在し、約0.01
乃至約5.0重量%のハフニウムの添加も可能である。
【0020】金属添加剤、活性元素およびアルミニウム
のある種の組合せを適当な技術を使用して一緒に付着さ
せて基材22内に拡散することができる。例えば、パッ
ク(pack)拡散浸透法およびアウト−オブ−パック(ou
t-of-pack )(気体または蒸気相付着)法のような適当
なアルミニウム化技術を使用してアルミニウムと活性元
素を一緒に付着して同時に基材22内に拡散することが
できる。加えて、いずれも基材22上に所望の元素を蒸
発させ次いで凝縮させることを伴う、スパッタリングあ
るいは陰極アーク法によって一種以上の貴金属と活性元
素を同時に施すことができる。別の方法では、アルミニ
ウムと活性元素を化学蒸着(CVD)技術によって同時
に施すことができ、そしてアルミニウムとクロムをパッ
ク拡散浸透法およびアウト−オブ−パック法によって一
緒に付着させることができる。白金およびロジウムのよ
うな添加剤金属は電気メッキによって個々に付着するこ
とができる。この例としては、白金をスパッタリングま
たはメッキし、次いでイットリウムと共にアルミニウム
化するかまたはイットリウムをスパッタリングしてから
アルミニウム化することであろう。この後者の例では、
白金の付着の前にイットリウムをスパッタリングできよ
う。ボンディングコート24の活性元素成分を下層の超
合金22によって提供できることも本発明の範囲内であ
り、この際超合金22の組成はボンディングコート24
に対して所望される活性元素含有量を達成できるように
修正されよう。
【0021】スパッタリングおよび陰極アーク被覆法は
特定の合金の組合せを反復可能に付着することができる
という、従来技術の技術を上回る利点がある。いずれの
方法による付着も金属添加剤および活性元素の所望の組
合せに適合した組成の合金シート、粉末等の予め合金に
されたターゲット陰極材料を使用することによって行う
ことができる。別の方法では、添加剤金属および活性元
素に対する実質的に純粋な成分の多くのターゲットを形
成して、これらを次いで同時に蒸発させそして付着させ
て均質な皮膜を形成したり、あるいはこれらを逐次的に
蒸発させそして付着させて多層からなる皮膜を形成しう
る。後者の場合、その後の熱処理または高い使用温度へ
の露出がこれらの材料を相互拡散してボンディングコー
ト24に対して修正された組成物を形成する働きをす
る。添加剤金属および活性元素の付着に続いて、次いで
部品の表面を任意の適当な方法によってアルミニウム化
してアルミニウム化物ボンディングコート24を形成す
る。
【0022】本発明によれば、活性元素に組み合わせて
添加剤金属を選択的に添加すれば、セラミック層26の
剥離抵抗、従って断熱皮膜系20によって保護される部
品の使用寿命を著しく高めることができる。これらの選
択的添加はボンディングコート24の環境抵抗を促進す
る一方、又ボンディングコート24上の酸化物スケール
の成長を遅らせそしてより接着性で安定な酸化物スケー
ルを促進し、その結果セラミック層26はボンディング
コート24に対してより接着性となる。ボンディングコ
ート24は又基材成分のボンディングコート24内への
拡散に対してより抵抗性にされうる。最も注目されるの
は耐火性金属のタンタル、タングステン、モリブデン、
チタンおよびレニウムであり、これらはボンディングコ
ート24上の所望なアルミニウム酸化物スケールに有害
な影響を与えることのある望ましくない酸化物を形成す
る。
【0023】本発明の調査にあたり、ニッケル−基超合
金供試体を、ボンディングコートを従来技術の拡散アル
ミニウム化物とするかまたは本発明に従って形成した、
断熱皮膜系で被覆した。特に、供試体は本発明の譲受人
に譲渡された米国特許出願08/270,528に開示
されているニッケル−基超合金ルネN5から形成され
た。この超合金は公称組成では、重量%で、約7.5%
コバルト、約7%クロム、約1.5%モリブデン、約5
%タングステン、約3%レニウム、約6.5%タンタ
ル、約6.2%アルミニウム、約0.15%ハフニウ
ム、約0.05%炭素、約0.01%イットリウム、お
よび約0.004%硼素を含み、残部はニッケルおよび
付随の不純物である。本発明に従って形成されたボンデ
ィングコートは約20乃至40重量%の白金および約
0.01乃至0.1重量%のイットリウムの添加物を含
有する拡散アルミニウム化物であった。対照的に、ここ
で評価した従来技術のボンディングコートはパック拡散
浸透法、気体または蒸気法およびテープ拡散法によって
形成された拡散アルミニウム化物であった。一つのグル
ープの従来技術のボンディングコートは更に白金を含ん
でいて白金−変性アルミニウム化物皮膜を生成した。
【0024】約1135℃(2075°F)での炉循環
試験の結果では、本発明のボンディングコートは白金ア
ルミニウム化物ボンディングコートを使用した従来技術
の皮膜系よりも約2.5倍、そしてアルミニウム化物ボ
ンディングコートを使用した従来技術のボンディングコ
ートより約6倍良好な平均熱サイクル抵抗を達成した。
このような結果は従来技術の皮膜系に比較して本発明の
断熱皮膜系の剥離抵抗が顕著に改善されていることを実
証するものである。アルミナスケールの厚さと剥離との
間の関係を示した試験に基づけば、本発明によって作ら
れた供試体に対する剥離までの時間の増加は、本発明に
よって提供される酸化物成長速度の減少およびスケール
接着の改善に起因していた。
【0025】以上本発明は好ましい実施の態様に関して
記載されたが、当業者によれば他の形態も採用できるこ
とは明らかである。従って、本発明の範囲は特許請求の
範囲によってのみ制限されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】高圧タービン翼の斜視図である。
【図2】図1の翼の線2−2に沿って見た断面図であ
り、本発明に従って翼上に形成された断熱皮膜系を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 バンガロー・アスワサ・ナガラジェ アメリカ合衆国、オハイオ州、ウェスト・ チェスター、トラヴァース・コート、5196 番 (72)発明者 ジョセフ・アロイシウス・ヘイニー,ザ・ サード アメリカ合衆国、オハイオ州、ミドルタウ ン、ディヴォン・ドライブ、6640番 (72)発明者 ンリペンドラ・ネイス・ダス アメリカ合衆国、オハイオ州、ウェスト・ チェスター、ノース・レガーレ・コート、 8168番 (72)発明者 パトリシア・アン・ゾムシック アメリカ合衆国、オハイオ州、シンシナテ ィ、イリー・アヴェニュー、3551番 (72)発明者 デイヴィッド・ジョン・ワートマン アメリカ合衆国、オハイオ州、ハミルト ン、リバティー・ウッヅ・コート、5614番 (72)発明者 デイヴィッド・ヴィンセント・リグニー アメリカ合衆国、オハイオ州、シンシナテ ィ、ウェザリッジ・ドライブ、6838番 (72)発明者 ジョン・コンラド・シェーファー アメリカ合衆国、サウス・カロライナ州、 グリーンヴィレ、ガーリントン・ロード、 300番 Fターム(参考) 4K044 AA01 AB10 BA12 BA13 BB05 BC05 BC11 CA11 CA12 CA13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に断熱皮膜系(20)を有する部品
    (22)において、前記皮膜系(20)が、 前記部品(22)の表面にあって、白金、パラジウム、
    ロジウム、ケイ素およびクロムからなる群から選ばれる
    少なくとも1種の添加剤金属並びにイットリウムおよび
    /またはジルコニウムである少なくとも1種の活性元素
    を含むアルミニウム化物ボンディングコート(24)、 ボンディングコート(24)の上にある酸化アルミニウ
    ム層、および前記酸化アルミニウム層によって前記ボン
    ディングコート(24)に化学的に結合されたセラミッ
    ク層(26)を含んで成っている、部品(22)。
  2. 【請求項2】 ボンディングコート(24)が約10p
    pm乃至約1.0重量%のイットリウムおよび/または
    約0.01乃至約5.0重量%のジルコニウムを含有し
    ている、請求項1記載の部品(22)。
  3. 【請求項3】 ボンディングコート(24)が約5乃至
    約50重量%の添加剤金属を含有している、請求項1記
    載の部品(22)。
  4. 【請求項4】 ボンディングコート(24)が更に約
    0.01乃至約5.0重量%のハフニウムを含んでい
    る、請求項1記載の部品(22)。
  5. 【請求項5】 活性元素がイットリウムであり、添加剤
    金属が白金である、請求項1記載の部品(22)。
  6. 【請求項6】 ボンディングコート(24)が白金と活
    性元素の少なくとも1種とを含有している、請求項1記
    載の部品(22)。
  7. 【請求項7】 セラミック層(26)がEBPVD技術
    によって形成された結果柱状結晶構造を有している、請
    求項1記載の部品(22)。
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