JP2000171425A - 酸化還元電位及びゼータ電位測定用セル並びに酸化還元電位及びゼータ電位測定方法 - Google Patents

酸化還元電位及びゼータ電位測定用セル並びに酸化還元電位及びゼータ電位測定方法

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JP2000171425A
JP2000171425A JP10342933A JP34293398A JP2000171425A JP 2000171425 A JP2000171425 A JP 2000171425A JP 10342933 A JP10342933 A JP 10342933A JP 34293398 A JP34293398 A JP 34293398A JP 2000171425 A JP2000171425 A JP 2000171425A
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oxidation
measuring
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Takashi Masuda
尚 増田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平板状試料の酸化還元電位とゼータ電位とを
同時にまたは連続的に測定する。 【解決手段】 一面が開放された凹部の開放された面に
平板状測定対象物6を押し当てて形成される透明状の電
気泳動槽5と、上記凹部の長手方向の両端部近傍に連通
する一対の直流電界印加用電極挿入孔2,3と、上記直
流電界印加用電極挿入孔2,3の間で上記凹部に連通す
る参照電極挿入孔4とを備えた酸化還元電位及びゼータ
電位測定用セル。上記参照電極13と上記平板上測定対
象物6との間の電位差から上記測定対象物の酸化還元電
位を測定するとともに、上記直流電界印加用電極15に
直流電界を印加して上記電気泳動槽5内を電気泳動する
モニタ粒子の移動速度から上記平板状測定対象物のゼー
タ電位を測定する酸化還元電位及びゼータ電位測定方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体材料等の酸
化還元電位とゼータ電位を同時に、あるいは一連の測定
で連続して測定するのに好適なセル及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン等を用いた半導体製品の製造工
程においては、配線幅や配線間隔の微細化に伴って、ウ
エハ上に存在する微小な粒子状異物が短絡や断線の原因
となり、微量の金属汚染が製膜工程等に悪影響を及ぼす
ことになる。このため、より微小な粒子状異物やより微
量の金属汚染を除去するための高性能な洗浄技術の開発
が必要となっている。
【0003】洗浄方法としてはウェット洗浄と呼ばれる
水溶液を用いた洗浄が一般的である。現在のウェット洗
浄では、粒子状異物や金属汚染といった除去対象に応じ
て好適な洗浄液及び洗浄条件があり、この洗浄条件によ
る洗浄と、水洗、乾燥とが組み合わされて一連の洗浄工
程が形成されている。洗浄液中において、ウエハ表面か
ら異物を除去できるかできないか、また、洗浄中に洗浄
液からウエハに異物が付着するかしないかということ
は、ウエハと異物の静電気的な力に影響され、ゼータ電
位はこの静電気的力の発生原因の一つとして考えられて
いる。
【0004】金属汚染に関しては金属の種類にもよる
が、ウエハ上に金属が析出したり、洗浄液中で金属イオ
ンが酸化物や水酸化物を形成し、それらがウエハに付着
する現象があり、このような現象はウエハの酸化還元電
位あるいは洗浄液の酸化力と、汚染物質である金属の酸
化還元特性と関係している。
【0005】薬品使用量の削減や洗浄工程の短縮等を狙
いとして、1回の洗浄で粒子状異物と金属汚染の両方を
同時に除去する方法の確立が求められている。このよう
な洗浄方法を開発する際には、粒子状異物の除去能力や
金属汚染の除去能力を評価するために、ウエハの酸化還
元電位とゼータ電位とを測定する必要がある。
【0006】酸化還元電位は、電気化学に関する多くの
成書に記載されているように、測定溶液中に参照電極と
試料とを浸漬し、電位差計やエレクトロメータ等の電位
差検出手段によって測定することができる。一方、ゼー
タ電位に関しては、近年、実開平4−66572号公報
や特開平5−312757号公報等に記載されているよ
うに平板状試料での測定を可能とする技術が開発されて
きており、また、大塚電子(株)より平板状試料のゼー
タ電位を測定できる電気泳動光散乱光度計(型名:EL
S−800)が発売されるようになって、ウエハのゼー
タ電位が測定できるようになった。
【0007】ところが、ウエハ上の異物と金属汚染を同
時に除去するための新たな洗浄液及び洗浄方法を開発す
る際には、ウエハの酸化還元電位とゼータ電位とを同時
にまたは連続的に測定する必要がある。なぜなら、それ
らを別々に測定したのでは、ウエハの表面状態や測定溶
液の微妙な違いや、測定溶液に試料ウエハを浸漬してか
らの時間等が測定結果に影響して、酸化還元電位及びゼ
ータ電位の両データを統一的に解釈することが難しいと
いう問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、酸化還元電
位の測定は金属材料や電極材料等の導電性の物質に対し
て行われるものである。一方、ゼータ電位の測定、特に
本発明で行なおうとする平板状試料のゼータ電位の測定
は、一般的に絶縁性の物質に対して行われ、さらに、導
電性の物質からなる平板状試料ではゼータ電位の測定が
できない。このように酸化還元電位の測定とゼータ電位
の測定とは測定対象物質が異なるため、通常、酸化還元
電位及びゼータ電位の両者を同時に測定する必要性はな
いので、両者を同時にまたは連続的に測定するための装
置がなく、それらを別個に測定する以外に方法がなく、
結果として両データを統一的に解釈するのが困難である
という問題があった。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、測定溶液中における平板状試料の酸化還
元電位とゼータ電位とを同時にまたは連続的に測定でき
る酸化還元電位及びゼータ電位測定用セル並びに酸化還
元電位及びゼータ電位測定方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る酸化還
元電位及びゼータ電位測定用セルは、一面が開放された
凹部の開放された面に平板状測定対象物を押し当てて形
成される透明状の電気泳動槽と、上記凹部の長手方向の
両端部近傍に連通する一対の直流電界印加用電極挿入孔
と、上記直流電界印加用電極挿入孔の間で上記凹部に連
通する参照電極挿入孔とを備えたものである。
【0011】第2の発明に係る酸化還元電位及びゼータ
電位測定方法は、上記第1の発明による酸化還元電位及
びゼータ電位測定用セルを用い、凹部の開放された面に
平板状測定対象物を押し当てて、一対の直流電界印加用
電極挿入孔の一方から電気泳動するモニタ粒子を懸濁し
た測定溶液を注入して電気泳動槽に上記測定溶液を貯留
した後、上記一対の直流電界印加用電極挿入孔を介して
直流電界印加用電極と上記測定溶液とを電気的に接続
し、さらに参照電極挿入孔を介して参照電極と上記測定
溶液とを電気的に接続し、上記参照電極と上記平板状測
定対象物との間の電位差から上記測定対象物の酸化還元
電位を測定するとともに、上記直流電界印加用電極に直
流電界を印加して上記電気泳動槽内を電気泳動するモニ
タ粒子の移動速度から上記平板状測定対象物のゼータ電
位を測定するものである。
【0012】第3の発明に係る酸化還元電位及びゼータ
電位測定方法は、上記第2の発明において、酸化還元電
位を連続的に測定し、直流電界印加用電極に直流電界を
断続的に印加してゼータ電位を断続的に測定するもので
ある。
【0013】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、本発明の
実施の形態1による酸化還元電位及びゼータ電位測定用
セルの外形を示し、(a)は平面図、(b)は正面図で
ある。図2は、図1の測定用セルに試料を固定し、各電
極を設置した様子を示す正面図であり、図3は、本発明
の実施の形態1による酸化還元電位及びゼータ電位の測
定方法を説明する平面図である。
【0014】図1において、1はガラス等の透光性の材
料で形成された測定用セルである。5は電気泳動槽であ
り、測定用セル1の底部に設けられ下面が開放された直
方形の凹部の開放された面に平板状測定対象物を押し当
てて形成される。2、3は凹部の長手方向の両端部近傍
すなわち図1では凹部上面の長手方向の両端部に連通し
て測定用セル1本体を貫通する一対の直流電界印加用電
極挿入孔である。本実施の形態ではこれらの直流電界印
加用電極挿入孔2、3は測定溶液の注入口2及び排出口
3を兼ねている。4は直流電界印加用電極挿入孔2と3
の間で凹部5に連通して測定用セル1本体を貫通する参
照電極挿入孔である。参照電極挿入孔4には酸化還元電
位測定用の参照電極を挿入することができ、あるいは、
実施の形態2で説明するように別に設置した参照電極と
電気泳動槽5とを参照電極挿入孔4を通じて液絡するこ
とができる。
【0015】次に、測定時における 測定用セル1の構
成を説明する。図2において、6は平板状測定対象物す
なわち試料、7は酸化還元電位測定用端子、8は試料支
持板である。9は上部セル支持体であり、図2では直流
電界印加用電極挿入孔2、3及び参照電極挿入孔4にそ
れぞれ連通する貫通孔200、300、400が形成さ
れている。10は下部セル支持体、11はボルト、12
はナット、13は参照電極、14は電気泳動するモニタ
粒子を懸濁した測定溶液、15は直流電界印加用電極、
16は電界モニタ用電極、17はゴム栓である。
【0016】図2に示すように、測定用セル1の底面
に、電気泳動槽5を完全に覆うように平板状試料6を接
触させ、さらに、酸化還元電位測定用端子7を試料6と
試料支持板8との間に挟む。測定用セル1、試料6、酸
化還元電位測定用端子7、試料支持板8を上部セル支持
体9及び下部セル支持体10で挟み、ボルト11とナッ
ト12を用いて固定した後、上部セル支持体9に設けた
貫通孔200を通って注入口2から測定溶液14を注入
して電気泳動槽5に測定溶液14を貯留する。次に、直
流電界印加用電極15と電界モニタ用電極16とをゴム
栓17に固定したものを2組用意し、上部セル支持体9
の貫通孔200及び300に挿入して測定用セル1の直
流電界印加用電極挿入孔2、3内に固定する。上部セル
支持体9の貫通孔400及びこの貫通孔400と連通す
る参照電極挿入孔4には参照電極13を挿入する。参照
電極13は、ゼータ電位測定時の粒子の泳動を妨害しな
いように、その底面が周囲の測定用セル1と同一平面に
なるように挿入深さを調節する。
【0017】次に、酸化還元電位及びゼータ電位の測定
方法について説明する。参照電極挿入孔4に参照電極1
3を挿入し、電気泳動槽5に測定溶液14を注入し、直
流電界印加用電極挿入孔2及び3のそれぞれに直流電界
印加用電極15と電界モニタ用電極16とを設置した
後、図3に示すように、参照電極13と酸化還元電位測
定用端子7との間にエレクトロメータ等の電位差測定装
置31を接続し、この電位差測定装置31のデータを記
録する記録計32を接続し、また、電界印加用電極15
間に電源33を接続し、電界モニタ用電極16間に電圧
計34を接続する。
【0018】酸化還元電位は、参照電極13と平板状試
料6との間の電位差をエレクトロメータ等の電位差検出
装置31で測定する。一方、ゼータ電位は、直流電界印
加用電極15に直流電界を印加して電気泳動槽5内を電
気泳動するモニタ粒子の移動速度を測定し、電気浸透流
速分布を電気泳動槽5の深さ分布、すなわち平板状試料
6からの距離に対する分布として求めた後、平板状試料
6表面での電気浸透流速を決定する。次に、後出のヘル
ムホルツ−スモルコウスキーの式を用いて、その電気浸
透流速からゼータ電位を算出する。
【0019】以上のように、本実施の形態によれば、直
流電界印加用電極挿入孔2、3と参照電極挿入孔4を有
する測定用セルを用いることにより、ゼータ電位と酸化
還元電位の両方を同一セルで同時にあるいは連続的に測
定することができ、別個に測定する場合に比べて測定時
間を大幅に短縮することができ、しかも測定データを統
一的に解釈しようとする場合の誤差要因である、試料6
の表面状態、測定溶液14の濃度、水温や室温等の影響
を除去することができる。さらに、酸化還元電位を連続
的に測定し、直流電界印加用電極2、3に直流電界を断
続的に印加してゼータ電位を断続的に測定すれば、酸化
還元電位とゼータ電位を同時に測定できるので、試料6
を測定溶液14に浸漬してから測定するまでの時間の違
いによる誤差要因も除去することができる。
【0020】実施の形態2.図4は本発明の実施の形態
2による酸化還元電位及びゼータ電位測定方法を説明す
る正面図である。図において、18は容器、19はゴム
栓、20はシリンジ、21はゴム管である。本実施の形
態のように、参照電極挿入孔4には参照電極13を挿入
せず、図4に示すように、別に参照電極13を測定用セ
ル1の外部に設置し、ゴム管21を参照電極挿入孔4に
差し込む等の方法により、測定用セル1の電気泳動槽5
と参照電極13とを液絡させて用いることもできる。本
実施の形態による測定方法を用いた場合には、参照電極
13内部の測定溶液14がゼータ電位測定に悪影響を及
ぼす場合や逆に測定溶液14が参照電極13の電位に悪
影響を及ぼす場合等に影響を著しく軽減することができ
る。
【0021】
【実施例】次に、本発明の酸化還元電位及びゼータ電位
測定用セル並びに酸化還元電位及びゼータ電位測定方法
の実施例について説明する。 実施例1.本実施例では図1に示した測定用セル1を透
明なアクリル樹脂で製作した。測定用セル1の外寸は幅
50mm、奥行き20mm、高さ30mmであり、その
底部には電気泳動槽5となる幅30mm、奥行き10m
m、深さ2mmの直方形の凹部を設けた。また、図1
(b)に示すように、測定用セル1を上下に貫通し、電
気泳動槽5の左右両端に連通する直径3mmの一対の貫
通孔を形成し、それぞれ測定溶液の注入口及び排出口を
兼ねた直流電界印加用電極挿入孔2及び3とした。測定
用セル1の中央部には一対の直流電界印加用電極挿入孔
2と3の間で電気泳動槽5に連通する直径4mmの参照
電極挿入孔4を形成した。
【0022】次に図2の酸化還元電位及びゼータ電位測
定用セルを用いた酸化還元電位及びゼータ電位の測定方
法を具体的に述べる。平板状試料6としてシリコンウエ
ハを用いた。酸化還元電位を測定するためには、シリコ
ンウエハ6、測定溶液14、参照電極13、及び電位差
測定装置31による電気回路を構成し、その回路にごく
微弱な電流を流す必要がある。ところがシリコンウエハ
は通常、裏面に酸化膜が形成されており、導通がない。
そこで、シリコンウエハ裏面の酸化物を除去し、そこに
酸化還元電位測定用端子7としてアルミ箔を接触させ
た。また、測定用セル1と試料6との隙間からの液漏れ
を防止するため、測定用セル1の底面の試料6と接触す
る部分に、薄くグリースを塗布した。試料支持板8は、
試料6の厚さが均一でない場合などに試料6にかかる力
を一様にするためのものであり、また、試料6と下部セ
ル支持体10との間に硬い異物が挟まった場合等に試料
6が破損するのを防ぐためのものであり、ある程度の柔
軟性があればよく、本実施例では厚さ2mmのゴム板を
用いた。
【0023】測定溶液14としては、0.001mol
/lの塩化ナトリウム水溶液にpH調整用の塩酸を適宜
添加したものに、測定溶液の動きを観測するための電気
泳動するモニタ粒子として0.1μmのポリスチレン粒
子を懸濁したものを用いた。上部セル支持体9及び下部
セル支持体10はアクリル樹脂で形成し、上部セル支持
体9には測定用セル1の各電極挿入孔2、3、4と連通
する貫通孔200、300、400を設けた。各貫通孔
200、300、400の大きさは各電極挿入孔2、
3、4よりも少し大きく形成した。参照電極13には、
銀−塩化銀電極を用いた。直流電界印加用電極15には
外径0.3mmの白金線を用い、その下側先端部約1c
mが測定溶液に浸漬するようにした。電界モニタ用電極
16は外径0.3mmの白金線に下側先端部約1mmと
上側の接点部を残して絶縁性の塗料を塗布したものであ
り、下側の先端が電気泳動槽5の上面の位置になるよう
に配置した。測定用セル1と試料6をセットした後、参
照電極13を挿入し、測定溶液14を上部セル支持体9
の貫通孔200を通って注入口2から入れて、電気泳動
槽5及び各電極挿入孔2、3、4の少なくとも一部を満
たし、電界印加用電極15及び電界モニタ用電極16を
挿入した。
【0024】さらに、図3に示すように、電界印加用電
極15には電源33を、電界モニタ用電極16には電圧
計34を、酸化還元電位測定用端子7と参照電極13と
の間には電位差測定装置31としてエレクトロメータを
接続し、さらにエレクトロメータ31に記録計32を接
続した。顕微鏡35は上下微動装置付きで電気泳動槽5
を水平に見るように設置し、モニタ粒子が最も見やすい
ように照明36の位置、方向、照度などを調節した。こ
のように構成することにより、試料6の酸化還元電位は
常時、連続的に測定できるので、あとはタイミングを見
はからってゼータ電位の測定を行うことにより、酸化還
元電位とゼータ電位を同時に測定することができる。
【0025】ゼータ電位の測定は、2本の電圧印加用電
極15間に直流電圧を印加して、電気泳動槽5内を電気
泳動するモニタ粒子の移動速度を、顕微鏡の位置(高
さ)を少しずつ変えながら観測する。すると電気泳動槽
5の上面(アクリル)と下面(試料)のゼータ電位に起
因した電気浸透流によって測定溶液の流速は電気泳動槽
内の位置ごとに異なった値を示す。この流速と高さとの
関係は2次曲線となる。一方、モニタ粒子本来の電気泳
動速度は電気泳動槽5の位置によらず一定であるが、実
際に観測されるモニタ粒子の移動速度は、本来の電気泳
動速度に測定溶液14の流速が重畳されたものになって
いる。したがって、観測されたモニタ粒子の動きを求
め、その値からモニタ粒子の電気泳動速度を差し引き、
2次曲線を試料の位置に外挿することにより、試料6表
面での電気浸透流速を求めることができる。この電気浸
透流速から、下記のヘルムホルツ−スモルコウスキーの
式 ζ=u・η/(ε0・εr) ただし、ζ:ゼータ電位(V) u:電気浸透流速(m2・V-1・sec-1) η:測定溶液の粘度(poise) ε0:真空の誘電率 εr:測定溶液の比誘電率 によりゼータ電位が求められる。
【0026】なお、測定は同一試料について測定溶液の
pHを2、4、6と変えて行った。このようにして測定
したシリコンウエハの酸化還元電位とゼータ電位を表1
に示す。
【0027】
【表1】
【0028】従来は酸化還元電位とゼータ電位とは全く
別の実験系及び全く別の装置を用いて別個に測定してい
たため、測定溶液の濃度や試料の表面状態の微妙な違
い、さらには水温や室温の影響、試料を測定溶液に浸漬
してから測定するまでの時間の違い等、種々の誤差要因
によって、これらのデータを統一的に解釈することが困
難であった。また、統一的な解釈が可能であるとして
も、そのための実験方法に対する注意や制約事項は非常
に多岐にわたり、結果的に、すべてのデータを取得する
のに相当長時間を要していた。これに対して本実施例で
は、1つの測定用セル1を用いて酸化還元電位とゼータ
電位とを同時に測定することが可能であるため、データ
を統一的に解釈しようとする場合の誤差要因を除去する
ことができ、また、測定時間を大幅に短縮することがで
きた。
【0029】実施例2.実施例1では測定用セル1の参
照電極挿入用孔4に参照電極13を挿入して測定した
が、図4に示すように参照電極13を別に設置して、ゴ
ム管21を参照電極挿入孔4に差し込む等の方法によ
り、測定用セル1の電気泳動槽5と参照電極13とを液
絡させて測定することもできる。この実施例では、測定
溶液14を入れた容器18にゴム栓19を用いて参照電
極13とゴム管21を固定した。上部セル支持体9の貫
通孔200を通って測定用セル1の測定溶液注入口2か
ら測定溶液14を注入しながらシリンジ20でゴム管2
1内部の空気を抜いていくと、電気泳動槽5と参照電極
13とを液絡することができる。
【0030】この測定方法によると、参照電極13内部
の測定溶液14がゼータ電位測定に悪影響を及ぼす場合
や逆に測定溶液14が参照電極13の電位に悪影響を及
ぼす場合等に影響を著しく軽減することができる。
【0031】変形例.なお、上記実施例1及び実施例2
以外にも種々の変形例が考えられる。例えば、酸化還元
電位及びゼータ電位測定用セルの形状に関していえば、
本実施例では図1や図4に示すように電気泳動槽5を測
定用セル1の下部に設けたが、この位置は下部に限らず
上部や側面でもよい。また、電界印加用電極挿入孔2、
3や参照電極挿入孔4の位置や向きに関しては、電界印
加用電極挿入孔2、3が電気泳動槽5の長手方向の両端
部近傍に連通しており、参照電極挿入孔4が電界印加用
電極挿入孔2と3の間で電気泳動槽5に連通していれば
よく、それ以外の特別な制約はない。例えば本実施例の
ように各電極挿入孔2、3、4がすべて電気泳動槽5の
同じ面に連通していなくてもよく、向きもそれぞれ平行
でなくてもよい。また、本実施例では電界印加用電極挿
入孔と注入口及び排出口を兼用したが、別々に設けても
よい。
【0032】また、本実施例では参照電極14として、
ガラス管を用いて作成したいわゆる銀−塩化銀電極を用
いたが、測定溶液14の種類によっては参照電極挿入孔
4に、基準となる電位を示す物質からなる細線を挿入
し、試料溶液14に浸漬するだけで参照電極として使用
できることもある。また、測定用セル1は電極挿入孔部
分と電気泳動槽部分が別体で形成されていてもよく、少
なくとも電気泳動槽部分が透明な材料で形成されていれ
ばよい。また、透明な材料に関していえば、本実施例で
はアクリルを用いたが、ガラスや石英等、測定溶液14
に侵されない材質であれば種々の材料が使用可能であ
る。
【0033】また、上部セル支持体9は下部セル支持体
10との間に測定用セル1や試料6や酸化還元電位測定
用端子7を挟んで押圧するために用いられ、各貫通孔2
00、300、400は必ずしも必要なものではなく、
上部セル支持体9を枠状に形成して各電極挿入孔2、
3、4に直接各電極を挿入することも可能である。
【0034】さらに、酸化還元電位ゼータ電位の測定方
法に関していえば、図2において、測定用セル1の下面
で試料6と接触する部分には、液漏れ防止のために本実
施例ではグリースを塗布したが、グリースの代わりに軟
質な樹脂等のシートを同様の目的で挟んでもよい。ま
た、試料6の材質によってはグリースや試料支持板8さ
らには酸化還元電位測定用端子7も必要ない場合もあ
る。
【0035】すなわち、本質的に測定用セル1にゼータ
電位測定のための直流電界印加用電極挿入孔2、3と酸
化還元電位測定のための参照電極挿入孔4を設け、各電
極挿入孔2、3、4を介して直流電界印加用電極15や
参照電極13と測定溶液14とが電気的につながるよう
に構成していれば、他の変形は自由である。
【0036】なお、上記実施例では酸化還元電位とゼー
タ電位とを同時に測定する場合について説明したが、例
えば先に酸化還元電位を測定してからゼータ電位を測定
するというように、時間をずらして連続的に測定するこ
とも可能であり、この場合にも測定溶液の濃度や試料の
表面状態の微妙な違い、さらには水温や室温の影響等を
回避することができる。なお、先にゼータ電位を測定す
ると電気泳動用の電界印加により試料6と測定溶液14
が反応する場合もあるので好ましくない場合もある。
【0037】
【発明の効果】以上のように第1の発明によれば、一面
が開放された凹部の開放された面に平板状測定対象物を
押し当てて形成される透明状の電気泳動槽と、上記凹部
の長手方向の両端部近傍に連通する一対の直流電界印加
用電極挿入孔と、上記直流電界印加用電極挿入孔の間で
上記凹部に連通する参照電極挿入孔とを備えたので、1
つのセルを用いて平板状測定対象物の酸化還元電位とゼ
ータ電位とを同時にまたは連続的に測定することが可能
となる。
【0038】第2の発明によれば、上記第1の発明によ
る酸化還元電位及びゼータ電位測定用セルを用い、凹部
の開放された面に平板状測定対象物を押し当てて、一対
の直流電界印加用電極挿入孔の一方から電気泳動するモ
ニタ粒子を懸濁した測定溶液を注入して電気泳動槽に上
記測定溶液を貯留した後、上記一対の直流電界印加用電
極挿入孔を介して直流電界印加用電極と上記測定溶液と
を電気的に接続し、さらに参照電極挿入孔を介して参照
電極と上記測定溶液とを電気的に接続し、上記参照電極
と上記平板状測定対象物との間の電位差から上記測定対
象物の酸化還元電位を測定するとともに、上記直流電界
印加用電極に直流電界を印加して上記電気泳動槽内を電
気泳動するモニタ粒子の移動速度から上記平板状測定対
象物のゼータ電位を測定するので、平板状測定対象物の
酸化還元電位とゼータ電位とを同時にまたは連続的に測
定することができる。その結果、酸化還元電位とゼータ
電位を統一的に解釈する際の誤差要因を大幅に低減する
ことができ、また、従来別個に測定するために要してい
た時間を大幅に短縮することができる。
【0039】第3の発明によれば、上記第2の発明にお
いて、酸化還元電位を連続的に測定し、直流電界印加用
電極に直流電界を断続的に印加してゼータ電位を断続的
に測定するので、平板状測定対象物の酸化還元電位とゼ
ータ電位とを同時に測定することができる。その結果、
酸化還元電位とゼータ電位を統一的に解釈する際の誤差
要因をほとんどなくすことができ、また、従来別個に測
定するために要していた時間を大幅に短縮することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による酸化還元電位及
びゼータ電位測定用セルの外形を示し、(a)は平面
図、(b)は正面図である。
【図2】 図1の測定用セルに試料を固定し、各電極を
設置した様子を示す正面図である。
【図3】 図1の測定用セルを用いて酸化還元電位及び
ゼータ電位を測定する方法の概略を示す平面図である。
【図4】 図1の測定用セルを用いた本発明の実施の形
態2による酸化還元電位及びゼータ電位測定方法を説明
する正面図である。
【符号の説明】
1 測定用セル、2 直流電界印加用電極挿入孔兼測定
溶液注入口、3 直流電界印加用電極挿入孔兼測定溶液
排出口、4 参照電極挿入口、5 電気泳動槽、6 試
料、7 酸化還元電位測定用端子、8 試料支持板、9
上部セル支持体、10 下部セル支持体、11 ボル
ト、12 ナット、13 参照電極、14 測定溶液、
15 電界印加用電極、16 電界モニタ用電極、17
ゴム栓、18 容器、19 ゴム栓、20 シリン
ジ、21 ゴム管、31 電位差測定装置、32 記録
計、33 電源、34 電圧計、35 顕微鏡、36
照明、200、300、400 貫通孔。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一面が開放された凹部の開放された面に
    平板状測定対象物を押し当てて形成される透明状の電気
    泳動槽と、上記凹部の長手方向の両端部近傍に連通する
    一対の直流電界印加用電極挿入孔と、上記直流電界印加
    用電極挿入孔の間で上記凹部に連通する参照電極挿入孔
    とを備えた酸化還元電位及びゼータ電位測定用セル。
  2. 【請求項2】 上記請求項1記載の酸化還元電位及びゼ
    ータ電位測定用セルを用い、凹部の開放された面に平板
    状測定対象物を押し当てて、一対の直流電界印加用電極
    挿入孔の一方から電気泳動するモニタ粒子を懸濁した測
    定溶液を注入して電気泳動槽に上記測定溶液を貯留した
    後、上記一対の直流電界印加用電極挿入孔を介して直流
    電界印加用電極と上記測定溶液とを電気的に接続し、さ
    らに参照電極挿入孔を介して参照電極と上記測定溶液と
    を電気的に接続し、上記参照電極と上記平板状測定対象
    物との間の電位差から上記測定対象物の酸化還元電位を
    測定するとともに、上記直流電界印加用電極に直流電界
    を印加して上記電気泳動槽内を電気泳動するモニタ粒子
    の移動速度から上記平板状測定対象物のゼータ電位を測
    定する酸化還元電位及びゼータ電位測定方法。
  3. 【請求項3】 酸化還元電位を連続的に測定し、直流電
    界印加用電極に直流電界を断続的に印加してゼータ電位
    を断続的に測定する請求項2記載の酸化還元電位及びゼ
    ータ電位測定方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010078394A (ja) * 2008-09-25 2010-04-08 Tohoku Univ 簡易ゼータ電位測定装置及びゼータ電位測定法
JP2021169982A (ja) * 2020-04-16 2021-10-28 大塚電子株式会社 ゼータ電位測定用治具
RU2798290C1 (ru) * 2022-11-29 2023-06-21 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Тихоокеанский государственный медицинский университет" Министерства здравоохранения Российской Федерации Способ определения окислительного потенциала клеток с применением бихроматометрии

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