JP2000166593A - ピキア酵母による甲状腺刺激ホルモン受容体の製造方法 - Google Patents

ピキア酵母による甲状腺刺激ホルモン受容体の製造方法

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JP2000166593A
JP2000166593A JP10349756A JP34975698A JP2000166593A JP 2000166593 A JP2000166593 A JP 2000166593A JP 10349756 A JP10349756 A JP 10349756A JP 34975698 A JP34975698 A JP 34975698A JP 2000166593 A JP2000166593 A JP 2000166593A
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隆雄 松葉
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清 保川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗TSHR自己抗体との反応性に優れたヒトT
SHRを、従来以上に大量に製造することにより、放射
性同位元素に代えて酵素等を標識物質として使用し得る
抗TSHR自己抗体の測定試薬を実現すること。 【解決手段】ピキア酵母を宿主として用いることを特徴
とする、組換え甲状腺刺激ホルモン受容体の製造方法に
より前記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピキア酵母を宿主
として用いることを特徴とする、組換え甲状腺刺激ホル
モン受容体の製造方法に関するものである。本発明によ
り製造される組換えTSHRは、甲状腺機能異常等の疾
患を引き起こす、抗TSHR自己抗体を測定するための
試薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】甲状腺刺激ホルモン受容体(Tyroi
d Stimulating Hormone Rec
eptor;以下、甲状腺刺激ホルモン受容体をTSH
Rと略記する)は、甲状腺刺激ホルモン(Tyroid
Stimulating Hormone;以下、T
SHと略記する)の受容体であり、脳下垂体から分泌さ
れたTSHが甲状腺ろ胞細胞膜上にあるTSHRに結合
すると、甲状腺は代謝機能の調節ホルモンであるT3及
びT4を分泌する。ヒトTSHRの構造等については詳
細が明らかにされているが、それによれば、その分子量
は約8万7千で、7回膜貫通型のレセプターであり、細
胞外ドメインの分子量は約4万5千である。
【0003】バゼドウ氏病は、甲状腺ホルモンの生成、
分泌の亢進による甲状腺機能亢進症である。その原因の
一つは、甲状腺ホルモンの分泌を促す刺激物質が血清中
に存在することにある。これまでの研究により、バゼド
ウ氏病患者の血清中には、甲状腺成分に対する自己抗体
が存在し、これが甲状腺ホルモンの生成、分泌を促し、
最終的に甲状腺組織の崩壊を引き起こすことが明らかに
なっている。
【0004】バゼドウ氏病に代表される甲状腺自己免疫
疾患を診断し、早期治療を実施するための試薬として、
例えば甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、サイログロ
ブリン(Tg)そしてTSHR等に対する自己抗体を測
定する試薬が知られている。抗TSHR自己抗体は、前
記疾患を伴う種々の疾患に強く関与することが知られて
いることから、前記試薬の中でも、TSHRに対する自
己抗体測定用の試薬は重要である。
【0005】従来から市販されている抗TSHR自己抗
体測定用の試薬は、スミスら(Method in E
nzymology、74、405−420、1981
年及びEndocr.Rev.、9、106−120、
1988年)により提案された方法を用いたものであ
る。これら試薬では、125Iで標識したウシTSHと患
者血清中の抗TSHR自己抗体を、ブタの甲状腺膜画分
中のTSHRに競合的に結合させることにより、当該患
者血清中の抗TSHR自己抗体の存在や存在量を測定す
るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来市販されている抗
TSHR自己抗体測定用の試薬では、125Iという放射
性同位元素が標識物質として使用されているため、保存
条件や実施条件等、試薬の取扱いが面倒である、測定後
の廃液までも厳密に管理しなければならない、等の課題
がある。また、ブタの甲状腺膜画分中のTSHRを必須
の成分とするため、工業的な量産が困難であるという課
題もある。更には、ブタの甲状腺膜画分中のTSHRと
測定対象物であるヒトの抗TSHR自己抗体との反応性
が、ヒトのTSHRとヒトの抗TSHR自己抗体との反
応性と同一ではない、という課題もある。
【0007】近年になって、ヒトTSHR遺伝子を含む
発現ベクターを用いてCHO細胞やミエローマ細胞を形
質転換し、これら細胞を培養することでヒトTSHRを
工業的に生産する試みが報告されている。しかしなが
ら、これまでのところ大量のヒトTSHRを生産したと
の報告は成されておらず、前記したような、高感度検出
が可能な放射性同位元素を標識物質として用いる測定試
薬には十分であっても、かかる測定試薬が内包する課題
を解決すべく、例えば酵素等を標識物質として用いよう
とするには量的に不十分である、という課題があった。
また一方では、大腸菌を宿主としてヒトTSHRを発現
する試みも成されてきたが、大腸菌が生産するヒトTH
SRでは反応性が悪く、抗TSHR自己抗体の測定用試
薬に使用するのが困難であるという課題がある。
【0008】一般に、放射性同位元素に代え、感度は低
いものの取扱いの簡便な酵素等を標識物質として使用
し、かつ、放射性同位元素を標識物質として用いた場合
と同等の感度を得るためには、抗TSHR自己抗体との
反応性が高いTSHRを、最低でも1mgのオーダーで
製造できなければならない、と言われている。
【0009】そこで本発明の目的は、抗TSHR自己抗
体との反応性に優れたヒトTSHRを、従来以上に大量
に製造することにより、放射性同位元素に代えて酵素等
を標識物質として使用し得る抗TSHR自己抗体の測定
試薬を実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために成されたものであり、ピキア酵母を宿主と
して用いることを特徴とする、組換え甲状腺刺激ホルモ
ン受容体の製造方法である。以下、本発明を詳細に説明
する。
【0011】天然のTSHRでは、その細胞外領域に糖
鎖が結合し、抗TSHR自己抗体との反応性に大きな影
響を与えている。そこで本発明は、外来遺伝子の発現に
際し、発現蛋白質に対してヒト型糖鎖と類似した糖鎖を
付与でき、しかも外来遺伝子産物の発現量が大きいピキ
ア酵母を宿主として利用することにより完成したもので
ある。
【0012】ピキア酵母に導入するTSHR遺伝子は、
TSHRの全長をコードするもののほか、その一部に変
異が導入されたTSHRをコードするものであっても良
い。また全長のTSHRをコードするものに加え、その
一部分をコードするものであっても良い。一部分をコー
ドするものとしては、例えば、TSHRの膜外領域部分
をコードする遺伝子が例示できる。
【0013】TSHR遺伝子は、ピキア酵母における発
現量が特に顕著な他の蛋白質、例えばヒト血清アルブミ
ンやウサギ血清アルブミン等、をコードする遺伝子の
3’末端に結合して使用することもできる。この場合に
は、製造されたTSHRの回収を容易にする目的で、当
該他の蛋白質をコードする遺伝子とTSHRをコードす
る遺伝子を直接結合するのではなく、任意の蛋白質分解
酵素により特異的に分解されるアミノ酸残基配列をコー
ドする遺伝子を介して結合することが好ましい。この場
合、当該他の蛋白質をコードする遺伝子は、当該他の蛋
白質の全てをコードしている必要はない。例えば後の実
施例で示したように、ウサギ血清アルブミンを使用する
場合には、その95%程度をコードする遺伝子を使用す
ることもできる。
【0014】また更に、ピキア酵母において高発現する
シグナルペプチドをコードする遺伝子の3’末端にTS
HRをコードする遺伝子を結合することもできる。
【0015】TSHR遺伝子の3’末端には、ターミネ
ータ等を配置して、当該部分でmRNAへの転写が終了
するようにする。以上のような遺伝子を適当な発現ベク
ターに導入した後、該ベクターを用いてピキア酵母を形
質転換するが、発現ベクターとしては、該酵母中で増殖
し、かつ、該酵母中で外来遺伝子を発現せしめることが
可能なものであれば特に制限はない。好ましくは、形質
転換酵母を選択可能とする指標となる遺伝子を有してい
ると良い。前記遺伝子を導入するためにはアルコールオ
キシダーゼ遺伝子の上流配列と下流配列を有しているこ
とが好ましく例示でき、形質転換酵母の選択のための指
標としてはヒスチジン合成遺伝子を有していることが好
ましく例示でき、前記遺伝子を発現せしめるためにはア
ルコールオキシダーゼ遺伝子のプロモーター配列を有す
ることが好ましく例示できる。このような好ましい発現
ベクターの一例として、市販のベクター(pPIC9、
インビトロジェン社製)を例示することができる。
【0016】宿主として使用する酵母は、ピキア酵母で
あれば特に制限はない。中でも、メタノールを唯一の炭
素源として生育できる酵母であり、CHO細胞のような
動物細胞と比較して経済的に培養できるという利点を有
するピキア・パストリス(Pichia Pastor
is)種の酵母を使用することが特に好ましい。
【0017】形質転換操作は、リチウムクロライド法、
スフェロプラスト法、エレクトロポーション法等の通常
の方法に従うことができる。操作を終えた酵母は、ヒス
チジン合成遺伝子の働き等を指標として形質転換された
ものとそうでないものを分けた後、好ましくは30℃以
下で培養することによりTSHRを発現させることが可
能となる。形質転換されたピキア・パストリス種の酵母
を培養する操作は、ジャーファーメンターを用いる通常
の操作のほか、本出願人による特許出願(特願平9−3
59838号、特願平10−1478号)に記載された
方法を採用することができる。培養操作を継続する中
で、発現用ベクター中の遺伝子が発現し、培養液中にT
SHRが蓄積される。培養液から発現された融合蛋白質
を取得するには、通常の蛋白質の分離・精製方法を適用
すれば良いが、処理能力の高さや操作に要する時間が短
いという利点を有することから、ゲル濾過、疎水クロマ
ト等の複数種の液体クロマトグラフィー操作を組み合わ
せることが特に好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
るために実施例を記載するが、これら実施例は本発明の
一実施形態であり、本発明を限定するものではない。
【0019】実施例1 ヒトTSHR遺伝子の取得 m−RNAの抽出、DNAの制限酵素による切断等、以
下の一連の遺伝子組換え操作はマニアティスらの方法
(Molecular cloning、Cold S
pring Habor Laboratory、19
82年)及びハーウィンらの方法(DNA Cloni
ng,a Practical Approach、v
ol.1、p49、Oxford 1985年)に記載
された方法に従った。またラムダgt11 cDNAラ
イブラリーの抗体によるスクリーニングは、市販のベク
ター(Pharmacia社製、商品名 lambda
Directional Cloning Vect
or)を用いて行った。
【0020】まず、ヒト甲状腺細胞(甲状腺摘出組織)
からm−RNAを抽出し、ラムダgt11(クローンテ
ック社製)を用いてcDNAライブラリーを作製した。
次に、TSHRに対するヒト由来のモノクローナル抗体
(TRMo、J.B.C.263巻、p168341、
1988年参照)を用いて約50万個のクローンを抽出
した。
【0021】抽出したクローンを解析した結果、Rap
oportら(B.B.R.C.165巻、p118
4、1989年)によって報告されたヒトTSHR遺伝
子と同一の配列を有していることが確認された。
【0022】実施例2 ヒトTSHR細胞外領域発現ベ
クターの構築 実施例1で抽出したヒトTSHR遺伝子を材料として、
TSHRが持つシグナルペプチドを利用しつつ、TSH
Rの細胞外領域を発現するためのベクターを構築した。
【0023】まず、TSHRの全長をコードするcDN
Aを市販のベクター(宝酒造(株)製、pUC118)
にクローニングした後、TSHRの細胞外領域末端に終
始コドンを、更に該終始コドンの直ぐ下流にEcoRI
サイトを導入するために、配列番号1のオリゴマーを合
成し、市販の試薬(Amersham社製、商品名in
vitro mutagenesis syste
m)を用いて導入した。
【0024】オリゴマーの導入後、ベクターをEcoR
Iで処理して断片を取り出し、市販のピキア発現用のベ
クター(インビトロジェン社製、商品名 pHIL N
1)のEcoRIサイトに導入してTSHRをピキア酵
母で発現するための発現ベクターpHIL N1−TS
HRを構築した。
【0025】実施例3 ウサギ血清アルブミン(RS
A)とヒトTSHR細胞外領域の融合蛋白質を発現する
ための発現ベクターの構築 実施例1で抽出したヒトTSHR遺伝子を材料として、
RSAのN末端1番目のメチオニンから582番目のシ
ステインをコードする遺伝子に続き、TSHRのN末端
22番目のメチオニンから414番目のチロシンをコー
ドする遺伝子が結合した遺伝子を含む発現ベクターを調
製した。
【0026】まず、TSHRの全長をコードするcDN
Aを市販のベクター(宝酒造(株)製、pUC118)
にクローニングした後、TSHRのシグナルペプチドの
下流にEcoRVサイトを、TSHRの細胞外領域末端
に終止コドンを、更に該終止コドンの直ぐ下流にEco
RIサイトを導入するために、配列番号2及び配列番号
3のオリゴマーを合成し、市販の試薬(Amersha
m社製、商品名 invitro mutagenes
is system)を用いて導入し、pUCTSHR
−ecd2を得た。
【0027】次に、RSAをピキア酵母で発現するため
のベクター(pYRSA3;柿谷及び金子ら、東ソー研
究報告36、3巻、1992年)をPstIで切断し、
クレノウ酵素で平滑末端化してRSAをコードする遺伝
子を含む断片を得た。
【0028】RSAをコードする遺伝子断片を、Eco
RVで処理したpUCTSHR−ecd2に導入し、R
SA遺伝子の下流にTSHRの細胞外領域をコードする
遺伝子が結合されたベクターを得た。このベクターをS
maI及びEcoRIで処理した得たフラグメントを、
前記pYRSA3をSmaI及びEcoRIで切断して
得たベクターに結合させ、RSAとTSHRの融合蛋白
質をピキア酵母で発現するための発現ベクターRS1−
TSHRを調製した。
【0029】実施例4 RSAとヒトTSHR細胞膜領
域の融合蛋白質を発現するための発現ベクターの構築 実施例1で抽出したヒトTSHR遺伝子を材料として、
RSAのN末端1番目のメチオニンから57番目のリジ
ンをコードする遺伝子に続き、TSHRのN末端22番
目のメチオニンから414番目のチロシンをコードする
遺伝子が結合した遺伝子を含む発現ベクターを調製し
た。
【0030】まず、前記ベクターpYRSA3をBsp
1286Iで切断し、クレノウ酵素で平滑末端化してR
SAのN末端付近をコードする約230bpの断片(以
下、RS2断片とする)を得た。これを、EcoRVで
切断した前記ベクターpUCTSHR−ecd2に結合
させ、RS2断片の下流にTSHR細胞外領域をコード
する遺伝子が結合した遺伝子を含むベクターを調製し
た。
【0031】このベクターをNsp7524VとEco
RIで処理してRS2断片の下流にTSHR細胞外領域
をコードする遺伝子が結合した断片を回収し、 Nsp
7524VとEcoRI前記ピキア酵母発現用ベクター
pHIL N1に導入し、RSAとTSHRの融合蛋白
質をピキア酵母で発現するための発現ベクターRS2−
TSHRを調製した。
【0032】実施例5 αファクターのシグナルペプチ
ドを用いたヒトTSHR細胞外領域発現ベクターの調製 実施例1で抽出したヒトTSHR遺伝子を材料として、
αファクターのシグナル配列の下流にTSHRのN末端
22番目のメチオニンから414番目のチロシンをコー
ドする遺伝子が結合した遺伝子を含む発現ベクターを調
製した。
【0033】αファクターのシグナル配列を有する市販
のピキア酵母発現ベクター(インビトロジェン社製、商
品名 pPIC9K)をSnaBIとEcoRIで切断
し、前記ベクターpUCTSHR−ecd2をEcoR
V及びEcoRIで処理して得た断片を導入し、pPI
C9K−TSHRを得た。
【0034】実施例6形質転換体のスクリーニング ピキア・パストリス(Pichia pastori
s)GS115株(インビトロジェン社製)から、市販
のキット(インビトロジェン社製、商品名 EasyC
omp. Trasformation Kit)を用
いてコンピタントセルを調製し、線状化したpHIL
N1−TSHR、RS1−TSHR、RS2−TSHR
又はpPIC9K−TSHRを導入した。形質転換菌
は、最小栄養培地で培養し、ヒスチジン要求性を失った
形質転換菌を選別した。また比較のため、前記発現ベク
ターpHIL N1で形質転換した酵母についても同様
の操作を行った。
【0035】実施例7 発現の確認 実施例6で取得した酵母を、それぞれ試験管を用いて5
%(V/V)のメタノールを含むBMGY培地(1%
(W/V)酵母エキス、2g(W/V)ペプトン、1.
34%(W/V)YNB wo AA(Yeast N
itrogenBase Without Amino
Acid)、0.4mg/lビオチン、100mMリ
ン酸カルシウム(pH6.0)、1%(W/V)グリセ
ロール)3ml中で、30℃で120時間培養し、遠心
により上清を取得した。
【0036】培養上清は10倍に濃縮した。酵母はOD
100となるようにBreaking Buffer
(破砕緩衝液(25mMリン酸カリウム緩衝液(pH
7.0)、0.2mM pyridoxal phos
phate(PLP)、1mM2−aminoethy
lisothiouronium bromide(A
ET)、1mM benzamidine hydro
chloride)で希釈した後、同体積のガラスビー
ズを添加して4℃で30秒攪拌後攪拌を30秒停止する
という操作を8回繰り返して細胞を破砕し、遠心分離し
て上清のみを回収した。
【0037】培養上清及び細胞破砕物上清をSDS−P
AGEに供し、その後、ウエスタンブロッティングを行
い、抗TSHR抗体を用いてTSHRの発現状況を観察
した。
【0038】細胞破砕物についての結果を図1に示す。
図1から明らかなように、本発明の4種類全ての形質転
換酵母において、細胞膜外領域のみからなる可溶性TS
HRが菌体内に蓄積されていることが確認された。また
その分子量から、発現されたTSHRは切断されておら
ず、細胞膜外領域を含むものであることが分かる。
【0039】なお、培養上清には可溶性TSHRの分子
量に該当する産物は存在していなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明の発現ベクターによれば、ヒトT
SHRを大量に製造することが可能である。しかも製造
されるヒトTSHRは、ヒト血清中に見いだされる抗T
SHR自己抗体との反応性において、ブタ甲状腺膜画分
中のTSHRや大腸菌で製造されたヒトTSHRに比較
して優れた反応性を示すものである。
【0041】このように、大量のヒトTSHRの製造を
可能とすることにより、放射性同位元素を標識物質とし
て使用しない、抗TSHR自己抗体を測定するための試
薬を提供することが初めて可能となる。かかる試薬は、
放射性同位元素を標識物質として使用する試薬と比較し
て取扱いが容易である等の効果を有する。また前記の通
り、抗TSHR自己抗体との反応性に優れたヒトTSH
Rを提供することにより、ブタ甲状腺膜画分中のTSH
Rや大腸菌で製造されたヒトTSHRを用いる試薬と比
較して、信頼性の高い試薬を提供することも可能とな
る。
【0042】またヒトTSHRの大量製造を可能とする
本発明は、大量のヒトTSHRを要求する、ポリクロー
ナル及びモノクローナル抗ヒトTSHR抗体の製造も容
易にするものである。
【0043】
【0044】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Tosoh Corporation <120> ピキア酵母による甲状腺刺激ホルモン受容体の製造方法 <130> PA210−9665 <160> 3 <210> 1 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> 変異導入用オリゴマー <400> 1 caattctcag gaattcttag tagcccatta tgtc 34 <210> 2 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> 変異導入用オリゴマー <400> 2 caattctcag gaattcttag tagcccatta tgtc 34 <210> 3 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> 変異導入用オリゴマー <400> 3 gacgaacacc ccatgatatc cgcccaggtc cctg 34
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例7の結果を示すものである。図
中第1のレーンは、比較のために用いたpHILN1で
形質転換した酵母についての、第2のレーンはpHIL
N1−TSHRで形質転換した酵母についての、第3の
レーンはRS1−TSHRで形質転換した酵母について
の、第4のレーンはRS2−TSHRで形質転換した酵
母についての、そして第5のレーンは、 pPIC9K
−TSHRで形質転換した酵母についての結果を、それ
ぞれ示すものである。図中左の数字は、別途SDS−P
AGEに供した分子量マーカーから算出した分子量を示
し、図中矢印は発現されたヒトTSHR(又はヒトTS
HRとRASの融合蛋白質)を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:84) (C12N 1/19 C12R 1:84) Fターム(参考) 4B024 AA11 BA63 CA03 DA12 EA04 FA18 GA11 HA15 4B064 AG20 CA06 CA19 CC24 DA13 4B065 AA77X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA46 4H045 AA20 CA40 DA50 EA50 FA74 GA01 GA15

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピキア酵母を宿主として用いることを特徴
    とする、組換え甲状腺刺激ホルモン受容体の製造方法。
JP10349756A 1998-12-09 1998-12-09 ピキア酵母による甲状腺刺激ホルモン受容体の製造方法 Pending JP2000166593A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011136911A (ja) * 2009-12-25 2011-07-14 Tosoh Corp 甲状腺刺激ホルモンレセプターの安定化方法

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JP2011136911A (ja) * 2009-12-25 2011-07-14 Tosoh Corp 甲状腺刺激ホルモンレセプターの安定化方法

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