JP2000157275A - 高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子 - Google Patents

高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子

Info

Publication number
JP2000157275A
JP2000157275A JP10331585A JP33158598A JP2000157275A JP 2000157275 A JP2000157275 A JP 2000157275A JP 10331585 A JP10331585 A JP 10331585A JP 33158598 A JP33158598 A JP 33158598A JP 2000157275 A JP2000157275 A JP 2000157275A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rrf
protein
dna
amino acid
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10331585A
Other languages
English (en)
Inventor
Giichi Nakamura
義一 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RRF KENKYUSHO KK
Original Assignee
RRF KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RRF KENKYUSHO KK filed Critical RRF KENKYUSHO KK
Priority to JP10331585A priority Critical patent/JP2000157275A/ja
Publication of JP2000157275A publication Critical patent/JP2000157275A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高度好熱菌のリボゾームリサイクリング因子(R
RF)遺伝子と、この遺伝子によってコードされるタンパ
ク質の提供。 【解決手段】高度好熱菌であるT.thermophilusに由来す
るRRF遺伝子、この遺伝子がコードするタンパク質、な
らびにそれらの用途を提供する。本発明によるRRFは、1
85個のアミノ酸で構成される分子量20994 Daのタンパク
質で、安定性にすぐれ、容易に結晶化することができ
る。結晶化RRFにより、CARDDを利用したRRFをターゲッ
トとする抗菌剤の創薬システムに必要なRRFの3次元構
造解析が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌のリボソーム
リサイクリングファクター(Ribosome RecyclingFacto
r;以下、RRFと記載する)に関する。
【0002】
【従来の技術】細菌のタンパク質合成最終段階に関わる
因子(RRF;リボソーム・リサイクリング・ファクター、
Kaji a.et al.,Disassembly of the post-termination
complex and reduction of translational error by ri
bosome recycling factor (RRF) -A possible new targ
et for an antibacterial agents.Biochem.Biophys.Re
s.Commun.250:1-4,1998)は、細菌の増殖に必須のタン
パク質である。タンパク質合成の最終段階では、完成し
たペプチドがペプチジルtRNAから遊離する反応が起き、
終止コンプレックスと呼ばれる複合体が生じる。タンパ
ク鎖の翻訳開始ステップ(第1ステップ)、タンパク鎖
延長ステップ(第2ステップ)、そしてタンパク鎖合成
終止ステップ(第3ステップ)に続くこの段階は、リボ
ゾームリサイクリングステップ(第4ステップ)と呼ば
れている。終止コンプレックスは、mRNA、tRNA、そして
70sリボゾームから構成されている。RRFは、終止コンプ
レックスを構成している各要素をばらばらにして再びタ
ンパク質合成に利用可能な状態とする機構を支えるタン
パク質である。RRFは一連の作業をタンパク鎖延長因子
であるEF-G(elongation factor-G、あるいはtranslocas
e)、ならびにGTPと協力して行っている(Hirashima A.et
al.,Factor-dependent release of ribosomesfrom mes
senger RNA.Requirement for two heat stable factor
s. J.Mol.Biol.65:45-38,1972)。
【0003】RRFが関与するタンパク質合成の第4ステ
ップは、細菌と真核生物とでは機構が異なっている。た
とえば、細菌においてはRRFは必須だが、真核生物にお
いては必須ではない。したがって、RRF阻害物質は細菌
に対して選択毒性を示すものと期待される。またRRFは
すべての病原細菌に存在している。更にこれまでに明ら
かにされたRRFの構造を比較すると、アミノ酸配列レベ
ルで40-60%程度のホモロジーを有し、各細菌に固有のRR
Fが存在する。したがって、個々の微生物に特異的なRRF
阻害剤を実現できる可能性が有る。このような背景か
ら、現在RRFは抗生物質の新しい標的因子として注目さ
れている。RRFの阻害は、細菌の生理学的状況により、
致死的または増殖抑制的に働き、RRFの阻害機構は他の
タンパク質合成阻害とは全く異なることが明らかにされ
てきた(Janosi L.,Evidence for in vivo ribozome re
cycling, the fourth step in protein biosynthesis.
EMBOJ.17:1141-1151,1988)。このように、RRFを選択的
に阻害する物質は、従来から存在する抗生物質とは全く
異なる新しい抗菌剤となることが期待される。
【0004】ペニシリンの発見以来、人類は数多くの抗
生物質を手にした。そして抗生物質は感染症治療に大き
く貢献し、結核や赤痢などの伝染病を克服してきた。抗
生物質の登場で人類は、細菌感染との戦いに勝利したと
まで言われたこともあった。しかしながら、高齢化が進
み、高度医療の進展による感染のハイリスク者が増加し
ている昨今、抗生物質に耐性を持った薬剤耐性菌の出現
と拡大が懸念されている。例えば、既に克服されたと思
われた結核菌も再び耐性病原菌として台頭しつつある。
黄色ブドウ球菌等にも薬剤耐性を持つ菌(MRSA; methic
illin resistant Staphylococcus aureus)が増加して
いる。また、MRSAに対する唯一の特効薬と考えられてい
たバンコマイシンにも、低感受性のMRSAの存在が報告さ
れ始めている。その他、バンコマイシン耐性腸球菌(VR
E;vancomycin resistant enterococcus)の拡散も心配
されている。
【0005】こうした状況の中で、既知の抗生物質とは
全く異なった作用機序で病原微生物に作用するRRF阻害
剤を作り出すことは、閉塞状況にある薬剤耐性菌対策を
打開する有効なてだてである。しかしこれまでにRRF活
性阻害剤についての報告は無い。一方RRF阻害剤のスク
リーニングに必要な細菌のRRFとしては、これまで図1
にまとめたような微生物に由来するものが公知である。
すなわち以下のような微生物については、RRF遺伝子の
存在が確認されている。 Aquifex aeolicus (Deckert G.et al.,Nature,392:353-358,1998) Bacillus subtilis (Kunst F.et al.,Nature,390:249-256,1997) Escherichia coli (Ishikawa S.et al.,J.Biol.Chem.264:20054-20059,1989) Haemophilus influenzae (Fleshmann R.D.,et al.,Science,269,496-512,1995) Mycobacterium leprae (Eiglmeier K.et al.,Mol.Microbiol.7(2):197-206,1993) Staphylococcus aureus等 (GenBank Locus AF033018 ;Accession AF033018)
【0006】以上のような微生物に由来するRRFは、結
晶化することが難しく、いくつかの微生物からRRFの遺
伝子が単離され組み換えタンパク質としてRRFが回収さ
れるようになっているのにもかかわらず、RRFの結晶化
は未だに成功していない。一般にタンパク質の結晶化に
おけるタンパク質分子の安定性は、結果を左右する重要
な要素の一つである。公知のRRFにおいては、結晶化に
必要な安定性の維持が困難なため、結晶化が遅れてい
る。
【0007】現在ではタンパク質の活性中心の解析や反
応機作の予測といった作業にコンピューターを利用した
CARDD(Computer Aided Rational Drug Design)が実用的
なレベルで活用されるようになり、こうした創薬工程が
飛躍的に効率化されつつある。CARDDによる創薬システ
ムにおいては、ターゲットとなるタンパク質の3次元構
造解析データが重要な情報となる。X線構造解析による
3次元構造解析には、解析試料として多量の結晶化タン
パク質が必要である。また同様にNMRによる3次元構造
解析にも多量の純粋なタンパク質が必要である。X線結
晶構造解析およびNMRによる構造解析は、タンパク質の
3次元構造を明らかにするための主要な方法である。X
線結晶構造解析では、X線にさらされる結晶試料は損傷
しやすいため十分な情報を得るためには多くの結晶が必
要である。NMRにおいても、試料として1mM程度を越え
る濃度を要求することから、やはり純粋なタンパク質が
多量に求められる。したがってRRFにおいても、CARDDに
よる創薬システムに基づいて阻害物質の開発を進めるに
は、RRFの結晶化が必要である。更にターゲットとなっ
ているRRFタンパク質の活性中心や他の反応構成成分と
の相互作用を再現し、創薬を進めていくには、単一の分
子のみならず、終止コンプレックス、ERF-G、あるいはG
TPといった実際の反応を構成する他の成分との関係を明
らかにしていかなければならない。そのためにも、より
結晶化しやすく、しかもNMRにおけるピーク帰属が容易
なRRFタンパク質の提供が望まれる。しかしながら、前
述のとおり公知のRRFはいずれも結晶化が困難で、またN
MR解析においてもピーク帰属が困難なタンパク質であ
り、CARDDに必要な情報を与えうるものではなかった。
【0008】またRRFの安定性は、生化学的な手法によ
るRRFの阻害物質スクリーニングにおいても問題となる
ケースがあった。一般的なスクリーニング方法において
は、ターゲット因子であるRRF、あるいはその活性部位
を構成する断片に対して結合性を有する物質がスクリー
ニングの対象となる。RRFに対して候補化合物を接触さ
せて結合活性を示すものを選択する実験が行われるが、
RRFの安定性が不充分な場合には効率的なスクリーニン
グが行えなくなるのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、結晶化しや
すく、機器による3次元構造解析の容易なRRFの提供を
課題とする。更には、結晶化の容易なRRFを利用したRRF
阻害物質のスクリーニング方法をはじめとするRRFの用
途の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高度好熱
菌にRRFを求めれば、結晶化が容易なRRFを得ることがで
きるのではないかと考えた。高度好熱菌のタンパク質
は、高温で安定であるのみならず常温でも高度な安定性
を備え、酸やアルカリ、あるいはタンパク質変性剤に対
しても安定な場合が多く結晶化が容易であることが期待
された。また、同様に3次元構造を解析する手段である
NMRスペクトルの計測においても、昇温が可能であるこ
とからスペクトルピークがシャープな解析しやすいデー
タを与えることが期待された。そのためピーク帰属が容
易になり距離情報などの3次元構造を解析するために必
要な情報を容易に入手できるようになると考えた。本発
明者らは、このような考え方に基づいて高度好熱菌とし
て75℃を増殖至適温度とするThermus thermophilusを
選択した。一方で、公知のRRF遺伝子の塩基配列比較に
基づいて保存性の高い領域を選択して、これをプロー
ブ、あるいはプライマーとして利用することにより高度
好熱菌RRF遺伝子のクローニングを行い本発明を完成し
た。すなわち本発明は、以下のRRF遺伝子、RRFタンパク
質、ならびにそれらの用途に関する。
【0011】〔1〕配列番号:2に記載のアミノ酸配列
からなるタンパク質。 〔2〕〔1〕のタンパク質を構成するアミノ酸配列にお
いて、1もしくは複数のアミノ酸を置換、欠失、付加、
および/または挿入したアミノ酸配列を有し、かつ耐熱
性であるリボソームリサイクリングファクター活性を有
するタンパク質。 〔3〕配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとハ
イブリダイズするDNAがコードするタンパク質であっ
て、耐熱性であるリボソームリサイクリングファクター
活性を有するタンパク質。 〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載〕のタンパク質
をコードするDNA。 〔5〕配列番号:1の塩基配列を持つ〔4〕のDNA。 〔6〕〔4〕または〔5〕に記載されたDNAが挿入され
たベクター。 〔7〕〔4〕または〔5〕に記載されたDNAを発現可能
に保持する形質転換体。 〔8〕〔7〕に記載の形質転換体を培養する工程を含
む、〔1〜3のいずれかに記載〕のタンパク質の製造方
法。
〔9〕〔4〕または〔5〕に記載のDNAと特異的にハイ
ブリダイズするDNAであって、少なくとも14ヌクレオ
チドの鎖長を持つDNA。 〔10〕オリゴヌクレオチドが配列番号:3、配列番
号:4、および配列番号:5で構成される群から選択さ
れた塩基配列を含む、
〔9〕のDNA。 〔11〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のタンパク質
に結合する抗体。 〔12〕次の工程を含む、抗生物質活性を持つ化合物の
設計方法。 a)配列番号:2に示すアミノ酸配列で構成されるタン
パク質を結晶化する工程 b)結晶化タンパク質の3次元構造を決定する工程 c)3次元構造における活性部位を決定する工程 d)活性部位にフィットする化合物を検索する工程 〔13〕次の工程を含む、リボゾームリサイクリングフ
ァクター活性の阻害物質のスクリーニング方法。 i)配列番号:2に示すアミノ酸配列で構成されるタンパ
ク質、またはその活性部位を含む断片を候補化合物と接
触させる工程 ii)配列番号:2に示すアミノ酸配列で構成されるタン
パク質、またはその活性部位を含む断片と結合した候補
化合物を選択する工程 〔14〕候補化合物が〔12〕の方法によって設計され
た化合物である〔13〕の方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らが単離した高度好熱菌
RRFは、185個のアミノ酸から構成される、分子量20994
Daのタンパク質である。そのアミノ酸配列は配列番号:
2に示すとおりであり、ゲノムにおいては配列番号:1
に示した塩基配列によってコードされている。本発明に
よるRRFの活性は、大腸菌TF1001のようなRRFの欠損株を
利用した相補試験に基づいて確認することができる。RR
Fの欠損株は、P1ファージを利用したヒドロキシルアミ
ンによる局所的な突然変異誘発に基づき実施例に示すよ
うな方法によって得ることができる。まずMG12025株の
ようなテトラサイクリン耐性TcRマーカーがRRF遺伝子と
約50%のco-transduction頻度を示す変異株からP1ファー
ジを調製する。得られたP1ファージをヒドロキシルアミ
ン処理後に大腸菌へ感染させる。テトラサイクリン耐性
の形質導入コロニー(transductant)を選択し、テトラサ
イクリン添加プレートで高温致死性のコロニーを単離す
る。得られた変異体のうち、野生型のRRF遺伝子のみを
持つプラスミドで形質転換したときに、高温で生育の回
復するものがRRF欠損変異体である。RRF欠損株を用いた
相補試験は、次のような原理に基づいている。すなわ
ち、活性を確認すべきタンパク質をコードするDNAの翻
訳領域のみを挿入した発現ベクターで前記RRF欠損株を
形質転換する。形質転換体が高温条件下での生育を回復
するとき、その遺伝子が欠損していたRRFを相補した、
つまりRRF活性を持っているものと見なすことができ
る。
【0013】本発明は高度好熱菌RRFの機能的に同等な
タンパク質にも関する。機能的に同等なタンパク質と
は、RRF活性を備え、かつ耐熱性を有するタンパク質を
含む。本発明において、耐熱性とは、60℃で加熱しても
なおRRF活性を失わないことと定義される。大腸菌等に
由来する公知のRRFは、60℃の加熱により不可逆的に失
活する。この性質を利用して、一般に好熱菌タンパク質
(特に翻訳関連の)の精製においては次のような条件で
熱処理が広く行われている。すなわち、0.8M NaCl、
0.15M MgCl2、50mM Tris-HCl(pH7.5)の溶液において、
60℃10分間加熱したときに、耐熱性のタンパク質は変性
しないが、大腸菌等に由来するタンパク質はアグリゲー
トを形成して低速の遠心分離により除去される(Vysotsk
aya et al.,Eur.J.Biochem.223:437-445,1994、Davydov
a et al.,FEBS Letters,369:229-232,1995)。本発明に
おける機能的に同等なタンパク質は、公知のアミノ酸の
変異導入方法によって得ることができる。たとえば部位
特異的な変異導入方法(di CaraE.1998,Site-specific a
nalysis of mutational effects in proteins. Adv.Pro
tein Chem.51:59-119、Mendel D.,et al.,1995,Site-di
rected mutagenesis with an expanded genetic code.
Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.24:432-62、Profy A.
T. et al.,1988,Complementary use of chemical modif
ication and site-directed mutaganesis to probe str
ucture-activity relationship in enzymes.Prog.Nucle
ic Acid.Res.Mol.Biol.35:1-26)によって、配列番号:
2に示すアミノ酸配列中の希望するアミノ酸を変更し、
天然型の高度好熱菌RRFと同等の機能を持つタンパク質
を得ることができる。変異体のRRF活性は、前記のよう
な方法によって確認される。
【0014】本発明による高度好熱菌RRFの機能的に同
等なタンパク質は、配列番号:1に示す塩基配列を持つ
DNA、あるいはその断片に対して相同性の高いDNAを単離
することによって得ることもできる。すなわち本発明
は、配列番号:1に示す塩基配列を含むDNAとハイブリ
ダイズするDNAによってコードされるタンパク質であっ
て、高度好熱菌RRFと機能的に同等なタンパク質をも含
む。ハイブリダイゼーションの条件としては、特異的な
ハイブリダイゼーションを達成可能なストリンジェント
な条件を選択する。具体的には、6×SSC、50%ホルムア
ミド、42℃でのハイブリダイゼーション、0.2×SSC、50
℃での洗浄という条件を示すことができる(J.Sambrook,
E.F.Fritsch, T.Maniatis,cds. Molecular Cloning:A
laboratory Mannual Second Edition, Chapter 9, Anal
ysis and cloning of eukariotic fenomic DNA, 1989,C
oldspring Harbor Laboratory Press.Cold Spring Harb
or)。これらの条件は限定されるものではなく、同様の
ストリンジェンシーを与える条件は当業者が適宜設定す
ることができる。このような方法に基づいて単離される
本発明によるRRFと機能的に同等なタンパク質をコード
するDNAは、配列番号:1に示す塩基配列と高い相同性
を示す。具体的には、塩基配列レベルで望ましくは50%
以上、より望ましくは60%以上のホモロジーを有する。
【0015】本発明は、これらの高度好熱菌RRFならび
にその機能的に同等なタンパク質をコードするDNAに関
する。本発明のDNAは、cDNA、ゲノムDNAの他、合成DNA
であることもできる。これらDNAは、本明細書の開示に
基づいて当業者に公知の方法によって単離することがで
きる。具体的には、配列番号:1に示す塩基配列を持つ
DNA、あるいはその断片、それらに相補的なRNA、更にcD
NA配列の一部を含む合成オリゴヌクレオチド等を32P等
で標識し、高度好熱菌のゲノムやcDNAのライブラリーを
スクリーニングすることができる。あるいは、高度好熱
菌のゲノムをターゲットとしてPCRを実施し、RRFをコー
ドする遺伝子を直接増幅することもできる。PCRによる
クローニングには、次のような塩基配列を持つプライマ
ーを用いることができる。 センスプラマー(配列番号:9):5'-ATGACCCTGAAGGAGC
TTTACGCG-3' アンチセンスプライマー(配列番号:10):5'-TCAGCC
CAGGATCTCCTGCTCCTT-3' 配列番号:1に示した塩基配列を持つDNAは、高度好熱菌
であるThermus thermophilusのゲノムライブラリーから
得られたものである。先に述べたようにRRFは細菌に一
般的に存在するとされたタンパク質であるが、高度好熱
菌で単離された報告はない。
【0016】本発明に基づいて得られたRRFをコードす
るDNAは、組み換えタンパク質の生産に利用することが
できる。たとえば配列番号:1に記載した塩基配列を持
つDNAを適当な発現ベクターに挿入すれば、本発明によ
る高度好熱菌RRF発現ベクターを得ることができる。こ
の発現ベクターで適当な宿主を形質転換し、形質転換体
を培養することによって高度好熱菌RRFを発現させるこ
とができる。発現産物を回収して精製すれば、本発明に
よる高度好熱菌RRFを純粋な組み換えタンパク質として
得ることができる。宿主が大腸菌(Escherichia coli)の
場合、発現ベクターには、プラスミドベクターpET30a
(Novagen社製)、pGEX(Pharmacia社製)、あるいはpT
YB1(New Englan Biolab社製)等が用いられる。大腸菌
の形質転換は、Hanahan法や電気穿孔法等の公知の方法
(Hanahan D.et al.,Plasmid transformation of Escher
ichia coliand other bacteria. Methods Enzymol.,199
1,204:63-113)に基づいて行われる。組み換えタンパク
質は、N末端やC末端にヒスチジン残基等のタグを結合し
た融合タンパク質の形で発現させ、このタグを介して親
和性樹脂に結合させることによって精製することができ
る。融合タンパク質から目的のRRFを分離するには、ト
ロンビン、血液凝固因子Xa等のプロテアーゼで切断す
る。あるいは、pTYB1を用いた場合のようにタグがイン
テインを含む場合はdithiothreitolなどで還元条件とし
て切断する。アフィニティクロマトグラフィーによる精
製を可能とする融合タンパク質には、ヒスチジンタグの
他にグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、キチン結
合ドメイン(CBD)、マルトース結合タンパク(MBP)、ある
いはチオレドキシン(TRX)等も公知である。GST融合タン
パク質は、GST親和性レジンによって精製することがで
きる。宿主が分裂酵母シゾサッカオマイセス・ポンベ(S
hizosaccharomyces pombe)の場合には、プラスミドベク
ターpESP-1(Stratagene社製)等が用いられる。酵母の
形質転換には、スフェロプラスト法(A.Hinnen et al.,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA.75,1929,1978)や酢酸リチウム
法(H Ito.et al.,J.Bacteriol.153,163,1983)等が利用
される。宿主には微生物細胞の他に昆虫細胞を利用する
こともできる。昆虫細胞を用いた組み換え体の生産に
は、バキュロウイルスベクターpBacPAK8/9(クロンテッ
ク社製)等が用いられる。組み換え体の生産には、CHO
細胞、HeLa細胞、あるいはCOS7細胞のような哺乳動物細
胞を利用することもできる。これらの宿主においてはpM
SG(クロンテック社製)等のベクターが用いられる。哺
乳動物細胞の形質転換は、リン酸カルシウム法、リポフ
ェクション法、電気穿孔法等(W.A.Kcown et al.,Method
sfor introducing DNA into mammalian cells.Methods
Enzymol.185,527-537,1991)が利用される。
【0017】精製された本発明による高度好熱菌RRF
は、結晶化しX線結晶構造解析のための試料とすること
ができる。結晶化は、蒸気拡散法や透析法等の公知の方
法に基づいて行われる。タンパク質の結晶化には、タン
パク質の純度、温度、pH、あるいは共存する添加物等の
様々な要素が影響を与える。本発明の高度好熱菌RRF
は、高度な安定性を持つことから、一連の操作を通じて
構造が安定に保持されるため、結晶化を容易に行うこと
ができる。こうして得られた結晶化高度好熱菌RRFを利
用し、X線結晶構造解析によって3次元構造の解析が行
われ、最終的には3次元構造が決定される。更に、タン
パク質そのものの3次元構造のみならず、RRFがリボゾ
ーム、tRNA、mRNA、あるいはEF-Gとの相互作用の結果と
して生じる3次元構造の変化についての解析も可能とな
る。
【0018】RRFの3次元構造解析は、以下のように行
われる。タンパク質などの生体高分子の結晶構造解析の
手順は、純粋なタンパク質を数mg以上精製することから
始まって、結晶化、X線回折強度データ収集、各回折斑
点の位相決定、電子密度計算、分子モデル作成、構造の
精密化と続く。タンパク質構造解析を行うための主要な
設備として、結晶化用インキュベーター、双眼顕微鏡、
X線回折計、3次元コンピュータグラフィックス装置な
どが必要である。具体的にタンパク質の結晶を作製する
実験過程は、タンパク質を大量に(数mg以上)精製する
段階、結晶が得られる条件を広く検索する段階、X線解
析に適した良質の結晶を得る段階に分けられる。
【0019】まず、結晶化のためには非常に多くの条件
を検索しなければならない。従って、大量のタンパク質
が必要である。このためにタンパク質の大量発現系の構
築が必須である。結晶になるものの多くは溶液状態では
単分散であり、多分散のものは大体において結晶化しな
いので、得られたタンパク質について、光散乱装置によ
ってタンパク質溶液の単分散性を判定し、試料が結晶化
に適しているかどうかを検討する。
【0020】結晶化条件の検索は、市販のスクリーニン
グ試薬を使用して広い範囲で行うことができ、1つの条
件に1〜2%濃度のタンパク質溶液を1〜2μLずつ使
用して検索する。こうして微結晶などが得られた場合に
は、さらに条件を精密化する。具体的には、結晶化を行
う温度、使用した沈殿剤濃度、pHなどの条件を最適化す
る。以上により得られた結晶を用い、X線回折強度測定
を行う。最近では、結晶を細い糸の輪などですくって液
体窒素温度に急速冷却してそのまま低温で測定する方法
が定着しつつある。回折X線の強度測定にはイメージン
グプレートなどの2次元検出器によって行う。X線を当
てながら結晶を回転させることで発生する多くの回折線
をイメージングプレートに記録し、記録された回折強度
をレーザーを当てることにより読み取る。
【0021】次に遺伝子組み換え技術を使用するか、あ
るいは重原子ソーキング法や共結晶化法により重原子同
型置換体を調製する。これを使用して多重同型置換法
(MIR法)によりタンパク質結晶の位相を決定する。こ
の他、重原子を導入する代わりに、複雑の波長のX線に
よる回折強度データに基づいて位相を決定する多波長異
常散乱法(MAD法)も利用できる。さらに似た構造の分
子が既に解析されている場合には、その分子構造を結晶
中にあてはめて初期構造を得ることができ、これをもと
にフーリエ合成図を描き、残りの部分を見つけだして構
造を精密化して全構造決定に至る分子置換法(MR法)も
利用できる。
【0022】位相が上記の方法で決定したならば、これ
より電子密度を求める。この精度は、反射の数(分解
能)と使用した反射の精度による。分解能は使用する反
射の最小面間隔で表し、少なくとも2.8Å程度の分解能
が原子位置の決定には必要とされている。この電子密度
図から分子モデルを組み立てる。分子モデルを組み立て
ると原子座標が得られるので、これより構造因子の計算
値を求め、この大きさを観測値に近づける最小自乗法に
より原子パラメータの精密化を行う。このようにして妥
当な構造を得るようにしている。同様に精製された本発
明による高度好熱菌RRFは、NMRによる立体構造解析の試
料にも利用できる。NMRによる測定も数mg程度のタンパ
ク質が必要となるために、大腸菌などを用いた大量発現
系の確立が必須である。測定試料は1mM 程度の水溶液
(90%H2O , 10%D2O)を400μL用いる。この際試料の p
H、イオン強度などを変化させて至適条件を見つけだ
す。次に実際に測定を行いNMRシグナルがどの原子核由
来であるかシグナルの帰属を行う。帰属の方法はいくつ
かの2次元、3次元、4次元NMRスペクトルを使用する
組織だった戦略が確立されている。NMRスペクトルの中
には、核オーバーハウザー効果(NOE ; Nuclear Overha
user Effect)、スピン結合などタンパク質の構造決定
に有用な情報が多数含まれている。NMRスペクトルを多
次元表示することにより、例えばプロトン核間の距離情
報を反映したNOE交差ピークを一望に鳥瞰することがで
き、シグナル帰属に基づき溶液中のタンパク質のプロト
ン間距離を見積もることができる。2点間の距離からそ
れぞれの3次元座標を求める方法をディスタンス・ジオ
メトリー法と呼び、NMRの場合の立体構造計算はNOEから
得られた距離情報などをもとにこの方法で計算を行うも
のである。
【0023】NMRの場合はX線結晶解析の場合とは異な
り、近距離(5Å以内)情報の積み重ねにより決定され
る。具体的には安定同位体標識タンパク質を用いて、1H
15N2次元HSQC(Heteronuclear Single Quantum Corre
lation)スペクトルでシグナルの縮重を軽減し、3次元H
NCOスペクトルでアミドプロトン、アミド窒素、カルボ
ニル炭素化学シフト間の相関が得られる。さらにHN(CA)
CO スペクトルで同一残基内の化学シフト相関が得ら
れ、主鎖に沿った連鎖的な帰属については3次元CBCA(C
O)NH及びCBCANHスペクトルによって効果的に行われる。
また、一般には、アミノ酸残基の同定は側鎖のスピンシ
ステムを利用する。1H-15NTOCSY-HSQC(15N-edited TOC
SY)やH(CCO)NHから得られた側鎖プロトンの化学シフト
や、C(CO)NHやHCCH-TOCSYによって得られる側鎖炭素原
子の化学シフト値から側鎖スピンシステムを解析し、特
徴的なパターンを観測させる。このようにアミノ酸タイ
プとそのつなりを既知のアミノ酸配列を照合させていく
ことによって帰属が完成する。
【0024】NMRによるタンパク質の立体構造決定に使
われる構造情報は、核間距離情報、2面角情報、水素結
合情報である。そのうち最も大きな役割を果たしている
のは水素原子間の核間距離情報である。水素原子間距離
はNOESYスペクトルと呼ばれる水素原子間距離に依存し
たNOE交差ピークを与える2次元スペクトルで求められ
る。これらの情報を使用して、分子動力学計算を利用し
たシミュレーテッド・アニーリング法により立体構造を
計算する。これによって得られた数十個の収束構造を重
ね合わせ、平均構造を得、その平均構造から各構造の座
標の二乗平均誤差(R.m.s.d.)を求め、主鎖のR.m.s.d.が
0.8Å以下であるか評価を行う。さらに得られた構造に
ついて、ファンデルワールスエネルギー項のチェック、
Ramachandran図による評価を行い構造の妥当性について
検討する。
【0025】こうして本発明の高度好熱菌RRFに基づい
て得ることができる3次元構造は、CARDDによる創薬シ
ステムのための重要な情報である。RRFが抗生物質開発
のターゲットとして注目されていることは既に述べたと
おりである。このRRFの活性中心を明らかにし、その部
位に結合して活性を阻害する物質を検索することは、RR
Fを標的分子とする抗生物質開発の重要なステップであ
る。抗菌活性に優れ、しかも高度な安全性を持った抗生
物質の候補化合物の構造を予測するには、RRFの活性部
位に関する詳細な情報が不可欠である。RRFと終止コン
プレックスとの反応には、リボゾーム、tRNA、mRNA、あ
るいはEF-Gといった多様な成分が関与している。したが
って、RRFの活性部位にはこれら複数の成分との相互作
用部位の存在も予想される。X線結晶構造解析に基づく
3次元構造に関する情報の他、NMRによる原子間の距離
に関する情報等も含めて、構造既知の他のタンパク質合
成の可溶性因子との比較に基づいて活性部位の推定が可
能である。たとえばタンパク鎖の伸長因子であるEF-G(E
MBO J.13,16,3669-3677,1994)やEF-Tu(Kjeldgaard M.et
al.,J.Mol.Biol.223,721-742,1992)は既にその構造が決
定されている。これらの可溶性因子と構造を比較すれ
ば、本発明の高度好熱菌RRFにおけるリボゾーム結合部
位の推定が可能である。事実タンパク質終止因子である
RF-1やRF-3等はタンパク質伸長因子であるEF-GやEF-Tu
等とともにtRNAと同様の3次元構造を取ることが明らか
にされている(Nakamura ,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.93,5
443,1996)。RRFはこれらの因子と同じようにリボゾーム
A部位に結合すると考えられることから(Janosi et al.D
ual functions of ribozome recycling factor in prot
einbiosynthesis: disassembling the termination com
plex and preventing translational errors. Biochimi
e 78:959-969,1996)、RRFの活性部位(特にリボゾーム
と反応する部位)は、RRFの3次元構造を他の可溶性因
子のそれと比較することで明らかにできる。こうして推
測された活性部位は、公知の生化学的手法、あるいは分
子遺伝学的手法により確認される。
【0026】活性部位の決定はジメチルスペリミデート
のような化学リンカーを用いて行う方法が一般的であ
る。その原理は、RRFが例えばリボゾームのタンパク質
と反応するサイトは、反応中に至近距離に近づくことか
ら、両者を化学リンカーによって結合させれば活性部位
のアミノ酸がこの試薬によって結合されることに基づい
ている。また、RRFはもう一つの可溶性因子であるEF-G
とも反応するので、この部位も同じ手法によって決定す
ることが可能である。同様に、リボゾームRNAと反応す
る活性部位はケトキサールのようなリンカーを利用して
決定することができる。
【0027】活性部位の確認方法として、3次元構造か
ら推定される活性部位を構成するアミノ酸配列に相当す
るペプチドを化学的に合成し、そのRRF活性阻害を観察
する方法を採用することもできる。この方法は、CD4とM
HC ClassIIタンパク質の相互反応の活性部位の決定に有
力であった。公知の組み合わせにおいては、更にこの方
法により活性部位を確認後、CARDDにより極めて有効な
阻害剤に到達している(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94,73,
1997)。したがって、RRFの阻害剤開発においても、有効
な手法となることが期待できる。
【0028】RRFは4つの異なった基質と相互作用す
る。つまり、mRNA、リボゾーム、tRNA、そしてEF-Gであ
る。これらの基質のうちリボゾームは、RNAとタンパク
質とで構成される巨大分子であり、これに対する活性部
位は最低2個所が予想される。したがってRRFには少な
くとも5個所の活性部位が考えられる。すなわち、リボ
ゾームサイト1、リボゾームサイト2、tRNAサイト、mR
NAサイト、そしてEF-Gサイトである。
【0029】活性部位を決定した後には、コンピュータ
による候補化合物の推定が行われる。活性部位に結合す
る化合物のコンピュータによる推定には、次のような方
法が知られている。
【0030】分子の3次元構造に基づく薬物設計につい
ては、医薬品の開発・第7巻「分子設計」(廣川書店)
をはじめとして数多くの総説がある。具体的には、第一
にFlexiDock、FlexX等のフレキシブルリガンドバインデ
ィングシミュレーションソフトウエアを用いて、Oracle
等のリレーショナルデータベースに格納された低分子
(分子量1000以下)化合物のライブラリー(たとえば約
150000種)をコンピュータでスクリーニングする。この
ライブラリー内の化学物質はCONCORD等のプログラムで
3次元構造を指定し、活性部位にはめ込める物質を選択
することができる。選ばれた物質の中からInsight IIや
MOE等のシミュレーションプログラムを用いて肉眼によ
り更によく活性部位にあてはまる化合物を絞り込む。一
連の過程で利用されるコンピューターソフトウエアは、
いずれも以下のような市販のものである。 FlexiDock: Tripos Inc. FlexX: Tripos Inc. CONCORD: Tripos Inc. Oracle: Oracle Corp. Insight II: Molecular Simulations Inc. MOE: Chemical Computing Group Inc. 候補化合物はRRFのアッセイ法によって阻害活性を測定
する。RRFには上述のように活性部位が複数存在すると
考えられるので、以上の操作をそれぞれの活性部位につ
いて行い、いくつかの候補化合物を選択する。有効候補
物質を実際にRRFと混合しNMR解析、および結晶化してそ
のフィットを検討する。更にフィットを有機合成を用い
て修飾することにより、より望ましい構造とする。この
方法によって2年足らずという短期間の間に実用化を達
成したものもある(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94,73,199
7)。RRFは複数の活性部位を持つために事実上は800000
程度の候補物質から選択できることになる点で、この方
法を適用するのに好適なターゲット分子である。
【0031】第二の方法は、未知の物質を含めた候補化
合物のコンピューターによる設計である。この方法に
は、メチル、エチル等の化学基を活性部位に並べてフィ
ットするものを探す方法と、原子を活性部位にコンピュ
ータープログラムを用いて並べていく方法とが知られて
いる。これらの方法は、ライブラリーに候補化合物を限
定されない点で、理論的には第一の方法よりもはるかに
勝っている。
【0032】このような操作を何度も繰り返すことで、
候補化合物の絞り込みが行われる。絞り込まれた化合物
は合成され、実際に抗菌活性に基づいてスクリーニング
される。十分な抗菌活性を示した候補化合物は、更に動
物実験によってin vivoでの抗菌活性や、体内動態、あ
るいは毒性等に関して試験される。
【0033】本発明による高度好熱菌RRFは、RRF阻害化
合物の生化学的な手法によるスクリーニングにおいても
有用である。すなわち、本発明のRRF、あるいはその活
性部位を含む断片と、候補化合物とを接触させ、RRFあ
るいはその断片に対して結合活性を示す化合物を選択す
ることにより、RRFの活性を阻害する化合物のスクリー
ニングが行われる。本発明による高度好熱菌RRFは安定
性に優れるため、少量のタンパク質で繰り返しスクリー
ニングを行うことができる。また、耐熱性であることを
生かして高温でのスクリーニングを可能とする。一般に
抗生物質の活性は高温ではより強く現れる。したがっ
て、高温条件下でのスクリーニングには、候補化合物の
活性を高い感度で検知できるメリットがある。しかし、
そのターゲットとなる因子が高温での活性を維持できる
ものでなければ高温でのスクリーニングは行えない。本
発明のRRFは、高度好熱菌に由来するため高度な耐熱性
を有するものと考えられ、公知のRRFでは実現できなか
った高温条件下でのスクリーニングを可能とする。
【0034】加えて本発明は、本発明に基づくDNAに特
異的にハイブリダイズするDNAであって、少なくとも1
4ヌクレオチドの鎖長を有するDNAに関する。本発明に
おいて特異的とは、ストリンジェントな条件下で他のタ
ンパク質をコードするDNAとクロスハイブリダイゼーシ
ョンしないことを意味する。このような条件を満たすDN
Aは、高度好熱菌RRFをコードするDNAを検出、あるいは
単離するためのプローブやプライマーとして有用であ
る。特に本発明に基づくオリゴヌクレオチドが、図4に
示すようなThermus thermophilusを含む幅広い種の間で
高度に保存されている領域に相当する部分に対応する塩
基配列を含む場合には、Thermus thermophilus以外の高
度好熱菌でRRFのクローニングを進めるためのプロー
ブ、あるいはプライマーとして利用することができる。
未知のRRF遺伝子増幅に有用なプライマーを構成する塩
基配列としては、図1に示したコンセンサス領域に対応
する塩基配列を挙げることができる。すなわち、配列番
号:3、配列番号:4、および配列番号:5である。こ
の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドは、未知のRRF遺
伝子増幅を目的とするプライマーとして有用である。こ
れらの塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマー
とするには、配列番号:3、配列番号:4、および配列
番号:5から選択された任意の2つの塩基配列(あるい
はそれを含む塩基配列)をプライマーセットとして利用
することができる。
【0035】更に本発明は、高度好熱菌RRFを認識する
抗体に関する。本発明による抗体は、高度好熱菌RRFを
利用して当業者に公知の方法によって得ることができ
る。本発明による抗体は、ポリクローナル抗体であるこ
ともできるし、モノクローナル抗体として得ることもで
きる。ポリクローナル抗体は、適当な免疫動物に本発明
の高度好熱菌RRF、あるいはそのドメインペプチドを免
疫し、回収された血清からイムノグロブリンを精製する
ことによって得ることができる。免疫動物には、一般
に、ウサギ、モルモット、あるいはマウス等が用いられ
る。免疫にあたっては、フロイントのコンプリートアジ
ュバント(FCA)等のアジュバントが利用される。モノク
ローナル抗体は、免疫動物の抗体産生細胞を回収し、こ
れをミエローマ細胞等の適当な融合パートナーと細胞融
合させ、必要な活性を持った抗体を産生するクローンを
スクリーニングすることによって得ることができる。抗
体産生クローンを培養し、その培養上清からモノクロー
ナル抗体を精製する。抗体の精製は、プロテインA固定
樹脂へのIgGの吸着と回収によって行われる。あるい
は、免疫に用いたRRFを固定化したカラムによるイムノ
アフィニティクロマトグラフィーに基づいて精製するこ
ともできる。こうして得ることができる本発明による抗
体は、高度好熱菌RRFの精製や検出等に利用することが
できる。本発明による抗体を高度好熱菌RRFの検出に利
用する場合には、放射性同元素や酵素、あるいはビオチ
ンのような親和性リガンドによって標識しておくことが
できる。続いて実施例に基づいて、本発明を更に具体的
に説明する。
【0036】
【実施例】1)PCR(polymerase chain reaction)法に
よる高度好熱菌RRF(ttRRFと省略)遺伝子の増幅 (a)既知のRRF遺伝子の配列比較から保存された配列
領域(Ito, K., Nakamura,Y.: Cloning and overexpress
ion of polypeptide release factor 1 of Thermus the
rmophilus. Biochimie,79:287-292,1997)を見い出し
(図1)、PCR増幅(Saiki RK, Gelfand DH, Stoffel S,
Scharf SJ, Higuchi R, Horn GT, Mullis KB, Erlich
HA (1988) Primer-directed enzymatic amplification
of DNA with athermostable DNA polymerase. Science
239, 487-491)のためのプライマーとして、次のような
1種類の順(センス)方向プライマー(Pup;配列番
号:3)と2種類の逆(アンチセンス)方向プライマー
(Pdown1;配列番号:4, Pdown2;配列番号:5)を設
計した。 Pup 5'-GTSGASTACTACGG-3' Pdown1 5'-CKNCKYTCYTCNGTNARNGSNGG-3' Pdown2 5'-CGSCGSAYGTTMCGSAC-3' (ただし、S=C/G、Y=C/T、K=G/T、N=A/G/T/C、M=A/C、R
=A/G) (b)Pup - Pdown2を用いてのPCR反応で、高度好熱菌
ゲノムDNAより233-bpのfragment 1を得た(図2の
A)。さらに、増幅されたfragment 1を鋳型にPup - Pd
own1を用いてのPCR反応で、206-bpのfragment 2を得た
(図2のB)。 (c)得られたfragment 2をプローブとして、高度好熱
菌ゲノムDNAを限定分解しSouthern blot hybridization
を行った。その結果、fragment 2は高度好熱菌ゲノムDN
A由来であることが確認された。
【0037】2)高度好熱菌RRF遺伝子のクローニング (a)高度好熱菌ゲノムDNAをSau3Aで限定分解し、lEMB
L3 vectorのBamH I サイトにサブクローニングした。こ
れを高度好熱菌ゲノムライブラリー(lEMBL3-ttRRFプー
ル)とした。 (b)fragment 2をプローブとしてplaque hybridizati
onを行い、高度好熱菌RRF遺伝子をスクリーニングし、
陽性クローンを分離した。 (c)得られた陽性クローンからファージDNAを調製し
た。これを数種の制限酵素で分解し電気泳動後、fragme
nt 2をプローブとしてSouthern blot hybridizationを
行った。 (d)ファージDNAをBamH Iで分解することで得られた
約3-kbの陽性フラグメントをプラスミドpUC119 [Vieira
J, Messing J (1987) Production of single-stranded
plasmid DNA. Methods. Enzymol 153, 3-11] にサブク
ローニングした。
【0038】3)高度好熱菌RRF遺伝子の塩基配列解析 (a)得られたpUC-ttRRFクローンを用いてジデオキシ
法(Sanger F, Nicklen S,Coulson AR (1977) DNA seque
ncing with chain-terminating inhibitors. Proc Natl
Acad Sci USA 74, 5463-5467)により高度好熱菌RRF遺
伝子の全塩基配列を決定した(図3)。高度好熱菌RRF
タンパク質は、185個のアミノ酸から構成される、分子
量20994 Daのタンパク質であることが明らかになった。 (b)そのアミノ酸配列を他のRRFタンパク質の配列と
比較すると、比較的高い保存性が認められる(図4)。
大腸菌RRFタンパク質とは、44%の同一アミノ酸、67%
の相同アミノ酸を保持する。それらの生物種を越えて保
存された領域は、RRFの活性に重要なドメインを形成す
るものと考えられる。
【0039】4)高度好熱菌RRFの過剰生産プラスミド
の作成 (a)高度好熱菌RRFの過剰生産・精製系を確立するた
め以下の3種類のオリゴヌクレオチドプライマーを設計
した。 sense primer;配列番号:6 5'-NNNTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATAT
GACCCTGAAGGAGCTTTACGCG-3' antisense primer1;配列番号:7 5'-NNNGGATCCTCAGTGGTGGTGGTGGTGGTGGCTGCCCAGGATCTCCT
GCTCCTT-3' antisense primer2;配列番号:8 5'-NNNGGATCCTCAGCCCAGGATCTCCTGCTCCTT-3' (b)pUC-ttRRFを鋳型にsense primer - antisense pr
imer1、sense primer -antisense primer2を用いてPCR
反応を行い、得られたフラグメントをプラスミドpET30a
のXba I、 BamH I部位にサブクローニングした。sense
primer - antisense primer1の組み合わせで得られたフ
ラグメントにはC末端にヒスチジンタグが付加される。
これをサブクローニングしたものをpET30-ttRRFH6、sen
se primer- antisense primer2組み合わせで得られたフ
ラグメントをサブクローニングしたものをそれぞれpET3
0-ttRRFH6(図5)、pET30-ttRRF(図6)と命名した。
【0040】5)高度好熱菌RRFの過剰生産と精製 (a)pET30-ttRRFH6ならびにpET30-ttRRFプラスミドを
大腸菌株BL21(DE3)(Novagen社製)に形質転換した。BL
21(DE3)株はT7 RNAポリメラーゼをIPTGにより発現誘導
でき、pET30プラスミド系に組み込まれたT7プロモータ
ーを稼動させる宿主菌として高発現ができる。 (b)個々の形質転換体をLB/カナマイシン培地中で培
養し、log phaseで終濃度0.5mM IPTG、0.5% グルコース
としてタンパク質の発現誘導をかけた。 (c)SDS-PAGEによって目的タンパク質の発現誘導を確
認した(図7、レーン3)。 (d)C末端にhistidine tagが付加された高度好熱菌RR
FをProBond Resin(Invitrogen社)で精製した(図7、レ
ーン2)。 (e)上記粗精製で得られたタンパク質をRESORSE Sカ
ラム(Pharmacia Biotech社)を用い、高圧クロマトシス
テム(AKTA explorer 100、Pharmacia Biotech社)を使
って精製分離した。精製タンパク質のSDS-PAGEのコマジ
染色像(図7、レーン1)、ならびに高圧クロマトグラ
フィーの溶出パターン(図8)を示す。
【0041】6)高度好熱菌RRF遺伝子の相補機能試験 (a)pET30aにサブクローニングしたフラグメントと同
一のものをpSUIQ [Uno M, Ito K, Nakamura Y (1996) F
unctional specificity of amino acid at position 24
6 in the tRNA mimicry domain of bacterial release
factor 2. Biochimie 78, 935-943] にサブクローニン
グし、これをpSUIQ-ttRRFH6、pSUIQ-ttRRFとした。pSUI
Qプラスミドはlacプロモーターの発現ベクターであり、
IPTG依存的にクローンしたRRF遺伝子の発現を制御でき
る。
【0042】(b)大腸菌のRRF遺伝子の欠損変異株を
用いた相補試験 RRFを欠損した大腸菌TF1001を作製し、これに前記RRF発
現ベクターを形質転換することにより本発明のRRF遺伝
子の機能を確認した。RRF欠損大腸菌TF1001は、P1ファ
ージを利用したヒドロキシルアミンによる局所的な突然
変異誘発に基づいて作製した。まずMG12025(zad-220::
Tn10、テトラサイクリン耐性TcRマーカーがRRF遺伝子と
約50%のco-transduction頻度を示す)株からP1ファージ
を調製した。得られたP1ファージを0.1M リン酸カリ
ウム緩衝液(pH6.0)/1M ヒドロキシルアミンで37℃で
12時間処理した。ヒドロキシルアミン処理したP1ファ
ージを大腸菌KH5402(tyr(Am)trpE9829(Am)thr metE ilv
thy supF6(Ts); Inada T.et al, Conditionaly lethal
amber mutations in the leader peptidase gene of E
scherichia coli. J.Bacteriol.171,:585-587,1989)株
に感染させた。テトラサイクリン耐性の形質導入コロニ
ー(transductant)をテトラサイクリンを含むLBプレート
上で37℃で選択した。得られたプレートを新規のテトラ
サイクリン含有LBプレートにレプリカし、42℃で保温し
て高温致死性のコロニーをts mutantsとして同定し単離
した。これらのts mutantsを大腸菌の野生型のRRF遺伝
子のみを持つプラスミド(pTWV-eRRFH6)で形質転換し
た。アンピシリン耐性のコロニーを選択し、42℃で生育
の回復する変異体TF1001を得た。使用したpTWV-eRRFH6
プラスミドはRRFの構造遺伝子配列(開始コドンから終
結コドンの塩基配列)のみしか持たないので、この相補
テストの結果は得られたTF1001株の温度感受性変異がRR
F遺伝子の変異であることを証明するものである。続い
て相補試験は、以下のように行った。RRF欠損大腸菌TF1
001を、pSUIQ-ttRRFH6ならびにpSUIQ-ttRRFで形質転換
し、0、0.01、0.1、および1mMのIPTGを含むLBプレート
上にまいて42℃で培養し生育を観察した。図9に示した
ように、IPTG濃度が0.1mM以上の場合に大腸菌の生育が
観察された。この結果が高度好熱菌RRFの発現によるも
のであることを証明するために、生育コロニーにおける
高度好熱菌RRFの発現状態をウエスタンブロット法によ
って確認した。実験に用いたプラスミドが発現すればヒ
スチジンタグを結合したRRFを生成することから、検出
はNi-NTA affinity stainingによって行った。このウエ
スタンブロット法の結果(図10)から明らかなよう
に、IPTGの濃度依存的にRRF融合タンパク質(ヒスチジ
ンタグ)の発現量が増加している。以上の結果から、RR
F欠損大腸菌TF1001の生育の回復は、本発明による高度
好熱菌RRFの発現によって相補された結果もたらされた
ものであることが立証された。
【0043】
【発明の効果】本発明によって、より容易に結晶化させ
ることができる高度好熱菌RRFを得ることができる。結
晶化RRFは、CARDDによるRRFをターゲットとした抗菌剤
開発に必要な3次元構造解析を行うための試料として有
用である。
【0044】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> RRF Research Inc. <120> Highly Thermophilic Bacterial RRF Gene <130> RRF <140> <141> <160> 8 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 558 <212> DNA <213> Thermus thermophilus <220> <221> CDS <222> (1)..(555) <400> 1 atg acc ctg aag gag ctt tac gcg gaa acc cga agc cac atg caa aag 48 Met Thr Leu Lys Glu Leu Tyr Ala Glu Thr Arg Ser His Met Gln Lys 1 5 10 15 agc ctc gag gtc ctg gag cac aac ctg gcg ggc ctc cgc acc ggc cgc 96 Ser Leu Glu Val Leu Glu His Asn Leu Ala Gly Leu Arg Thr Gly Arg 20 25 30 gcc aac ccc gcc ctc ctc ctg cac ctg aag gtg gag tac tac ggc gcc 144 Ala Asn Pro Ala Leu Leu Leu His Leu Lys Val Glu Tyr Tyr Gly Ala 35 40 45 cac gtc ccc ctg aac cag atc gcc acc gta acc gcc ccc gac ccc agg 192 His Val Pro Leu Asn Gln Ile Ala Thr Val Thr Ala Pro Asp Pro Arg 50 55 60 acc ctg gtg gtc cag tcc tgg gac cag aac gcc ctc aag gcc ata gag 240 Thr Leu Val Val Gln Ser Trp Asp Gln Asn Ala Leu Lys Ala Ile Glu 65 70 75 80 aag gcc atc cgg gac tcg gac ctg ggc ctg aac ccc agc aac aag ggg 288 Lys Ala Ile Arg Asp Ser Asp Leu Gly Leu Asn Pro Ser Asn Lys Gly 85 90 95 gac gcc ctc tac atc aac atc ccg ccc ctc acg gag gaa agg cga aag 336 Asp Ala Leu Tyr Ile Asn Ile Pro Pro Leu Thr Glu Glu Arg Arg Lys 100 105 110 gac ctg gtg cgg gcg gtg cgg cag tac gcc gag gag ggg cgg gtg gcc 384 Asp Leu Val Arg Ala Val Arg Gln Tyr Ala Glu Glu Gly Arg Val Ala 1
15 120 125 atc cgc aac atc cgc cgc gag gcc ttg gac aag ctg aag aag ctg gcc 432 Ile Arg Asn Ile Arg Arg Glu Ala Leu Asp Lys Leu Lys Lys Leu Ala 130 135 140 aag gag ctc cac ctc tcc gag gac gag acc aag cgg gcg gag gcg gag 480 Lys Glu Leu His Leu Ser Glu Asp Glu Thr Lys Arg Ala Glu Ala Glu145
150 155 160 atc cag aag atc acc gac gag ttc atc gcc aag gcc gac cag ctg gcg 528 Ile Gln Lys Ile Thr Asp Glu Phe Ile Ala Lys Ala Asp Gln Leu Ala 165 170 175 gag aag aag gag cag gag atc ctg ggc tga 558 Glu Lys Lys Glu Gln Glu Ile Leu Gly 180 185 <210> 2 <211> 185 <212> PRT <213> Thermus thermophilus <400> 2 Met Thr Leu Lys Glu Leu Tyr Ala Glu Thr Arg Ser His Met Gln Lys 1 5 10 15 Ser Leu Glu Val Leu Glu His Asn Leu Ala Gly Leu Arg Thr Gly Arg 20 25 30 Ala Asn Pro Ala Leu Leu Leu His Leu Lys Val Glu Tyr Tyr Gly Ala 35 40 45 His Val Pro Leu Asn Gln Ile Ala Thr Val Thr Ala Pro Asp Pro Arg 50 55 60 Thr Leu Val Val Gln Ser Trp Asp Gln Asn Ala Leu Lys Ala Ile Glu 65 70 75 80 Lys Ala Ile Arg Asp Ser Asp Leu Gly Leu Asn Pro Ser Asn Lys Gly 85 90 95 Asp Ala Leu Tyr Ile Asn Ile Pro Pro Leu Thr Glu Glu Arg Arg Lys 100 105 110 Asp Leu Val Arg Ala Val Arg Gln Tyr Ala Glu Glu Gly Arg Val Ala 115 120 125 Ile Arg Asn Ile Arg Arg Glu Ala Leu Asp Lys Leu Lys Lys Leu Ala 130 135 140 Lys Glu Leu His Leu Ser Glu Asp Glu Thr Lys Arg Ala Glu Ala Glu 145 150 155 160 Ile Gln Lys Ile Thr Asp Glu Phe Ile Ala Lys Ala Asp Gln Leu Ala 165 170 175 Glu Lys Lys Glu Gln Glu Ile Leu Gly 180 185 <210> 3 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 3 gtsgastact acgg 14 <210> 4 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 4 cknckytcyt cngtnarngs ngg 23 <210> 5 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 5 cgscgsaygt tmcgsac 17 <210> 6 <211> 69 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 6 nnntctagaa ataattttgt ttaactttaa gaaggagata tacatatgac cctgaaggag 60 ctttacgcg 69 <210> 7 <211> 54 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 7 nnnggatcct cagtggtggt ggtggtggtg gctgcccagg atctcctgct cctt 54 <210> 8 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence <400> 8 nnnggatcct cagcccagga tctcctgctc ctt 33 <210> 9 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for T.th. RRF <400> 9 atgaccctga aggagcttta cgcg 24 <210> 10 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized P
rimer Sequence for T.th. RRF <400> 10 tcagcccagg atctcctgct cctt 24
【図面の簡単な説明】
【図1】既知のRRF遺伝子との配列比較。囲みはプライ
マーの設計のために見い出した保存配列を示す。囲み1
に対してPup、囲み2に対してPdown1、囲み3に対してPdo
wn2を各々設定した。
【図2】高度好熱菌ゲノムDNAからPCR反応によって増幅
されたRRF遺伝子fragment。各々増幅されたfragmentを
矢印で示してある。AはPup-Pdown2を用いてのPCR反応で
高度好熱菌ゲノムDNAから増幅されたfragment1の5%ポ
リアクリルアミドゲルでの電気泳動図。BはPup-Pdown1
を用いてのPCR反応でfragment1から増幅されたfragment
2の5%ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動図。
【図3】高度好熱菌RRF遺伝子の塩基配列およびアミノ
酸配列。
【図4】高度好熱菌RRFアミノ酸配列と既知のRRF遺伝子
の配列比較。囲みは保存配列を示す。
【図5】pET30-ttRRFH6の構造を示す模式図。下線部が
サブクローニングした遺伝子で、その中で斜体部分はtt
RRFH6の翻訳領域を示す。
【図6】pET30-ttRRFの構造を示す模式図。下線部がサ
ブクローニングした遺伝子で、その中で斜体部分はttRR
Fの翻訳領域を示す。
【図7】高度好熱菌RRFタンパク質のSDS-PAGEのコマジ
染色像。
【図8】C末端にヒスチジンタグが付加された高度好熱
菌RRFをProBond Resinで精製後得られたタンパク質を、
高圧クロマトシステムを使って精製分離した時の溶出パ
ターン。
【図9】相補試験におけるpSUIQ-ttRRFで形質転換され
たRRF欠損大腸菌TF1001の培養結果を示す写真。図中に
示すとおり、左下から順にIPTG添加濃度が0、0.01、0.
1、および1mMに対応している。
【図10】pSUIQ-ttRRFで形質転換されたRRF欠損大腸菌
TF1001におけるRRF融合タンパク質のウエスタンブロッ
ト法による分析結果を示す写真。各レーンは、以下の培
養物に対応する。 レーン1:IPTG添加濃度 0mM レーン2:IPTG添加濃度 0.01mM レーン3:IPTG添加濃度 0.1mM レーン4:IPTG添加濃度 1mM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/08 C12P 21/08 G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/566 33/566 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA43 BA80 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 HA11 4B064 AG01 AG26 AG27 BA16 CA02 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01Y AA26X AB01 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA11 DA76 DA86 EA50 FA74 HA07

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:2に記載のアミノ酸配列から
    なるタンパク質。
  2. 【請求項2】 請求項1のタンパク質を構成するアミノ
    酸配列において、1もしくは複数のアミノ酸を置換、欠
    失、付加、および/または挿入したアミノ酸配列を有
    し、かつ耐熱性であるリボソームリサイクリングファク
    ター活性を有するタンパク質。
  3. 【請求項3】 配列番号:1に記載の塩基配列からなる
    DNAとハイブリダイズするDNAがコードするタンパク質で
    あって、耐熱性であるリボソームリサイクリングファク
    ター活性を有するタンパク質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のタンパ
    ク質をコードするDNA。
  5. 【請求項5】 配列番号:1の塩基配列を持つ請求項4
    のDNA。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載されたDNAが挿
    入されたベクター。
  7. 【請求項7】 請求項4または5に記載されたDNAを発
    現可能に保持する形質転換体。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の形質転換体を培養する
    工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク
    質の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項4または5に記載のDNAと特異的
    にハイブリダイズするDNAであって、少なくとも14ヌ
    クレオチドの鎖長を持つDNA。
  10. 【請求項10】オリゴヌクレオチドが配列番号:3、配
    列番号:4、および配列番号:5で構成される群から選
    択された塩基配列を含む、請求項9のDNA。
  11. 【請求項11】 請求項1〜3のいずれかに記載のタン
    パク質に結合する抗体。
  12. 【請求項12】 次の工程を含む、抗生物質活性を持つ
    化合物の設計方法。 a)配列番号:2に示すアミノ酸配列で構成されるタン
    パク質を結晶化する工程 b)結晶化タンパク質の3次元構造を決定する工程c)
    3次元構造における活性部位を決定する工程 d)活性部位にフィットする化合物を検索する工程
  13. 【請求項13】 次の工程を含む、リボゾームリサイク
    リングファクター活性の阻害物質のスクリーニング方
    法。 i)配列番号:2に示すアミノ酸配列で構成されるタンパ
    ク質、またはその活性部位を含む断片を候補化合物と接
    触させる工程 ii)配列番号:2に示すアミノ酸配列で構成されるタン
    パク質、またはその活性部位を含む断片と結合した候補
    化合物を選択する工程
  14. 【請求項14】 候補化合物が請求項12の方法によっ
    て設計された化合物である請求項13の方法。
JP10331585A 1998-11-20 1998-11-20 高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子 Pending JP2000157275A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10331585A JP2000157275A (ja) 1998-11-20 1998-11-20 高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10331585A JP2000157275A (ja) 1998-11-20 1998-11-20 高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000157275A true JP2000157275A (ja) 2000-06-13

Family

ID=18245304

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10331585A Pending JP2000157275A (ja) 1998-11-20 1998-11-20 高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000157275A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000075182A1 (fr) * 1999-06-04 2000-12-14 Akira Kaji Cristal de proteine du facteur de recyclage ribosomique (rrf) et son application sur la base de donnees de structure tridimensionnelles provenant du cristal
KR20020004089A (ko) * 2000-07-01 2002-01-16 오현숙 리보솜 재활용 인자의 삼차원 구조 및 결정화 방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000075182A1 (fr) * 1999-06-04 2000-12-14 Akira Kaji Cristal de proteine du facteur de recyclage ribosomique (rrf) et son application sur la base de donnees de structure tridimensionnelles provenant du cristal
KR20020004089A (ko) * 2000-07-01 2002-01-16 오현숙 리보솜 재활용 인자의 삼차원 구조 및 결정화 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
O'Farrell et al. Crystal structure of KsgA, a universally conserved rRNA adenine dimethyltransferase in Escherichia coli
Sergiev et al. The ybiN gene of Escherichia coli encodes adenine-N6 methyltransferase specific for modification of A1618 of 23 S ribosomal RNA, a methylated residue located close to the ribosomal exit tunnel
Spyrakis et al. Energetics of the protein-DNA-water interaction
US20090081697A1 (en) Methods of growing crystals of free and antibiotic complexed large ribosomal subunits, and methods of rationally designing or identifying antibiotics using structure coordinate data derived from such crystals
US7133783B2 (en) X-ray crystal structures of functional ribosome complexes containing transfer RNA and model messenger RNAs and methods of use
Xian et al. Dissecting the gelsolin–polyphosphoinositide interaction and engineering of a polyphosphoinositide-sensitive gelsolin C-terminal half protein
CA2397135A1 (en) Methods of identifying modulators of the fgf receptor
JP2003523502A (ja) プロテオームの調査
Sashi et al. Solution NMR structure and backbone dynamics of partially disordered Arabidopsis thaliana phloem protein 16-1, a putative mRNA transporter
GB2368067A (en) Crystal structures of antibiotics bound to the 30S ribosome and their uses
JP2000157275A (ja) 高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子
US7079956B2 (en) Crystal structure of antibiotics bound to the 30S ribosome and its use
US6495356B1 (en) Beryllofluoride analogues of acyl phosphate polypeptides
JP2000333679A (ja) 高度好熱菌リボソームリサイクリングファクター遺伝子
WO2003091282A1 (fr) Mutant a activite ordinaire du recepteur h3 de l&#39;histamine et utilisation correspondante
Bal et al. Characterization of peptidyl-tRNA hydrolase encoded by open reading frame Rv1014c of Mycobacterium tuberculosis H37Rv
Gilliland et al. Assisting functional assignment for hypothetical Heamophilus influenzae gene products through structural genomics
JP2001289847A (ja) リボソームリサイクリングファクターの阻害物質のスクリーニング方法
US6492131B1 (en) Class I-type lysyl-TRNA synthetase
JP2000350584A (ja) ビブリオ・パラヘモリティカス由来のリボソームリサイクリングファクター遺伝子
Mehla et al. YhcB (DUF1043), a novel cell division protein conserved across gamma-proteobacteria
WO2006113841A2 (en) Nucleic acid-like proteins
US20080057494A1 (en) Ribosomal Rna Methyltransferases Rima:Target Validation and Processes for Deleloping an Inhibitor Assay and Identification of Candidate Inhibitors
Izquierdo-Martinez et al. DipM controls multiple autolysins and mediates two regulatory feedback loops promoting cell constriction in C. crescentus
Parsons Structural genomics of hypothetical proteins from Haemophilus influenzae by NMR spectroscopy