JP2000154148A - インターフェロンβをアジュバントとするワクチン - Google Patents

インターフェロンβをアジュバントとするワクチン

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JP2000154148A
JP2000154148A JP33073498A JP33073498A JP2000154148A JP 2000154148 A JP2000154148 A JP 2000154148A JP 33073498 A JP33073498 A JP 33073498A JP 33073498 A JP33073498 A JP 33073498A JP 2000154148 A JP2000154148 A JP 2000154148A
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interferon
adjuvant
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antigen
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Norihisa Goto
紀久 後藤
Yuichiro Sato
雄一郎 佐藤
Nobutake Sakurai
信豪 桜井
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】同時にあるいは別に投与した抗原に対し、
鼻腔、口腔および咽頭粘膜経由投与によるインターフェ
ロンβをアジュバントとするワクチンに関する。 【効果】インターフェロンが鼻腔、口腔および咽頭粘膜
経由投与で高い抗体産生増強作用を有し、しかも極微量
でそれが達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同時にあるいは別
に投与した抗原に対し、その抗体産生を増強する鼻腔、
口腔および咽頭粘膜経由投与のインターフェロンβをア
ジュバントとするワクチンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から感染症の予防接種で優れた免疫
を得るための方法を見つけることはワクチン研究者にと
って重要な課題であった。1925年にRamonは注
射局所に浮腫を伴った炎症を起こすことが抗体産生増強
に大切であることに気づき、グリセリン、ゼラチン、タ
ピオカ、スターチオイル、サポニン等を用い、増強作用
を比較した結果、ワクチンとタピオカとの組み合わせが
最も有効であることを示した(Bull Soc. Centr. Med. V
et. 101: 227-234)。また、1926年、Glenny
は液状トキソイド(ワクチン)より沈殿させたトキソイ
ドの方が高い抗体産生することを見つけた(J. Pathol.
Bacteriol. 29: 38-39)。その後、1937年、免疫学
の実験に用いられている有名なフロイントの油性アジュ
バントが登場した(Proc. Soc. Exp. Biol. 37: 509-51
3)。これはパラフィン油に結核死菌を混ぜた完全タイプ
と結核死菌を混ぜない不完全タイプがある。前者は免疫
増強作用が極めて強いが副作用も強く、動物実験にしか
用いられていない。後者も長年にわたり、人体用ワクチ
ンで実用化に向けて試験されたが局所の副作用(肉芽
腫、膿瘍、シスト形成)が同様に強すぎるため、動物用
にしか実用化されていない。日本では人体用アジュバン
トとしてアルミニウム化合物(水酸化アルミニウム、燐
酸アルミニウム)だけであり、破傷風トキソイド、ジフ
テリア・百日咳・破傷風混合ワクチン、B型肝炎ワクチ
ンそして蛇毒トキソイドに使われている。一方、フラン
スでは燐酸カルシウムがジフテリア・百日咳・破傷風混
合ワクチンやポリオワクチン等に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
オイル、アルミニウム、カルシウム等のアジュバントは
局所貯留型アジュバントであり、局所刺激により、炎症
性細胞の浸潤を促し、抗原を徐々に放出させ、長時間に
わたり免疫に関与する細胞と抗原とを接触させ、抗体産
生を強めそして持続させる。そのため、局所反応(腫
張、発赤、硬結)が強く見られる。in vitroの
実験で、アルミニウムゲルはマクロファージに毒性を示
すが、サスペンジョンタイプに変えると好中球にも毒性
を示し、マクロファージはより強い細胞死を引き起こ
す。一方、カルシウムゲルは溶血性が強く見られる。ま
た、アルミニウムアジュバントはIgE産生を刺激する
ので小児のアレルギー疾患を強めるといわれ、さらにア
ルツハイマー型痴呆や透析脳症の病因に大きな役割を演
じる可能性も報告されている。また、特に免疫力が劣る
小児、病人、老人等へのワクチン接種は有効率が低いと
いわれている。また、同様に免疫力が落ちている癌患者
への癌ワクチン療法等における接種効率の悪さが、同療
法の問題点として指摘されている。
【0004】また、近年、免疫賦活作用を有するサイト
カインをアジュバントとして用いる検討もさかんに行わ
れている。これらにはインターロイキン12やインター
フェロンγ(特公平8−32633)が主に知られてお
り、インターフェロンβも同じく抗体産生増強作用を有
することは知られているが、いずれのサイトカインも注
射で用いた場合、安全性やコスト面などの理由でワクチ
ンのアジュバントとしての実用化には至っていない。そ
れに対し、アルミニウムアジュバントが上記副作用があ
るにもかかわらず、極めて安価であるということが、現
在使用されている理由の一つである。
【0005】一方、粘膜免疫の研究もさかんに行われて
いる。これは従来通常注射で行われているワクチンの投
与を経口や経鼻投与でおこなう試みである。現在、実用
化されたワクチンはロタウイルスの感染防御を目的とし
たものただ1つである。しかし、注射と異なり副作用や
投与負担の軽減という意味合いもあり、コレラトキシン
Bサブユニットや大腸菌易熱性毒素をアジュバントとし
て用いる研究がなされている。
【0006】優れたワクチンを開発することは同時に安
全でしかも有効なアジュバントの開発を行うことでもあ
る。本発明では、インターフェロンβをアジュバントと
して用い、しかも鼻腔、口腔および咽頭粘膜経由投与に
より、微量でその作用を発揮することにより上述の問題
点を改善し、危険性の少ない安全でしかもより有効なワ
クチンを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、インターフェロンの鼻腔、口腔および咽
頭粘膜経由投与は高い抗体産生増強作用を有し、しかも
特筆すべきは極微量でそれが達成できることを見いだし
て本発明を完成した。
【0008】
【発明の実施後の形態】ここでワクチンとはアジュバン
トとしてのインターフェロン製剤と対象とする抗原の2
つから製したものをいうが、この2つを混合して用いる
ことは必要条件ではなく、別々に同時に投与する形態も
含む。ここでいうインターフェロンを含む製剤とは、線
維芽細胞などの細胞を処理して得た粗インターフェロン
β培養液から精製した天然型インターフェロンβあるい
はインターフェロンβの遺伝子を組み込んだ大腸菌、酵
母、昆虫細胞、動物細胞などの遺伝子組み換え体が産生
したものを精製した遺伝子組み換え型インターフェロン
βの何れでも良い。しかし、これらに限定したものでは
ないが、既に市販されているような安全性の確保された
製剤と同等な品質のものが好ましい。また、製剤中にイ
ンターフェロン以外に適当な安定化剤などを含むもので
も構わない。さらにインターフェロンで既に製造承認を
受け、長年抗ウイルス薬として使用されているこれら製
剤は、従来の技術の項で述べたようなアルミニウムアジ
ュバント等が示す局所反応(腫張、発赤、硬結)が弱い
か、ほとんどないため、より望ましい。
【0009】ワクチンを形成するもう一方である対象抗
原とは一般に用いられるワクチン、例えば感染性微生物
に対する防御抗原から製した調製物について適用でき
る。これらの中には感染性微生物が生産した毒素性蛋白
質を不活化したもの、例えば破傷風トキソイド、百日咳
ワクチンなどや、ポリオ、風疹、麻疹、狂犬病、インフ
ルエンザなどの生ワクチンが不活化されたものも含む。
また、特に近年、研究から実用に移されつつある対象抗
原を遺伝子組み換え法で製したワクチン、例えばB型肝
炎ワクチンについても容易に適用できる技術である。こ
れら遺伝子組み換え技術で製したワクチンは従来のよう
な感染性微生物が生産した毒素性蛋白質とは異なり、同
一抗原としての純度が極めて高いため、安全性及び生産
性(コスト)の面では優れるものの、均一蛋白質である
がゆえに天然の免疫賦活物質(エンドトキシンなど)が
含まれず、抗原性は低く、アジュバントの併用が必要で
ある。本発明ではこのような遺伝子組み換え型ワクチン
を実用化する上で、必要な安全性の高いアジュバントを
提供するものであり、抗原摂取量の低減、及びワクチン
の接種効率の上昇といった改善が達成できる。以上に示
したワクチンのうち、あらかじめアジュバントとしてア
ルミニウムアジュバントを含むものであっても適用可能
である。ここでは一例として破傷風トキソイドを用いた
が、これに制約されるところのものではない。
【0010】投与方法は鼻腔、口腔および咽頭粘膜経由
投与で用いられる。注射でも効果はあるため、静脈内、
筋肉内、皮下、腹腔内投与等の何れでも良いが、本発明
対象抗原の適当量をインターフェロンβを含む製剤と一
緒にあるいは混合した製剤として投与することもでき
る。投与する場合は、ある種の抗原の場合は同時に同じ
ルートから投与できることもあるが、あらかじめインタ
ーフェロンβを投与しておき、のちに抗原を体内に投与
することでも抗体増強が達成される。
【0011】また、本発明はヒト用としてだけでなく、
動物用ワクチンとしても有用である。その場合、該当す
る動物のインターフェロンβであっても差し支えない
し、ヒトインターフェロンβが交差性を示す動物にあっ
てはヒト型のものでも良い。
【0012】以上のように、本発明は対象抗原として破
傷風トキソイドを例にインターフェロンβを含むワクチ
ンが、その抗原に対する抗体産生を増強することを示
し、現在用いられているアルミニウムアジュバント等の
問題点である局所反応および痴呆症、アレルギー増強な
どの懸念されている各種危険性を除去し、生体にとって
の安全性向上が達成されうることを示唆した。本発明は
これらのポイントの改善が可能であり、その実用化を促
進できるワクチンおよびその製造方法として適用でき
る。
【0013】
【実施例】実施例1 Balb/cマウス(雌、7週齢)を1群5匹とし、抗
原には破傷風トキソイドを0.5Lf/匹で投与した。
インターフェロンβは50,500IU/匹で抗原と必
ず同時に投与し、コントロール群はインターフェロンβ
非投与で抗原のみとした。投与はすべて経鼻により行
い、1回目の投与後、2週、3週、4週、5週の4回の
追加投与ののち、6週目に採血を行い、血清を分離し、
測定まで−80℃で保管した。血清中の抗破傷風トキソ
イド抗体価(IgG)はELISA法(Vaccine, 15,
p.1364-1371)にて測定した。その結果を表1に示す。
【0014】
【表1】 実施例2 Balb/cマウス(雄、7週齢)を1群5匹とし、抗
原には破傷風トキソイドを用いた。経口投与するインタ
ーフェロンβ濃度は0,0.1,1,10IU/mLの
5群とし、破傷風トキソイドを投与する3日前から投与
後7日までの10日間飲水中から経口投与した(1日の
標準的飲水量は5mL)。破傷風トキソイドは0.2m
L/匹で背部皮下から1回投与した。血液採取はインタ
ーフェロンβ投与前、破傷風トキソイド投与前、投与後
1,2,3,4週目に鎖骨下静脈から行い、血清を分離
し、測定まで−80℃で保存した。血清中の抗破傷風ト
キソイド抗体価(IgG)は実施例1と同様にELIS
A法(Vaccine, 15, p.1364-1371)にて測定した。その
結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】インターフェロンが鼻腔、口腔および咽
頭粘膜経由投与で高い抗体産生増強作用を有し、しかも
特筆すべきは極微量でそれが達成できることを見いだし
て本発明を完成した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同時にあるいは別に投与した抗原に対し、
    鼻腔、口腔および咽頭粘膜経由投与によるインターフェ
    ロンβをアジュバントとするワクチン。
  2. 【請求項2】1回あるいは1日のインターフェロンβの
    投与量が0.5〜500IUである請求項第1項記載の
    ワクチン。
JP33073498A 1998-11-20 1998-11-20 インターフェロンβをアジュバントとするワクチン Pending JP2000154148A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008504299A (ja) * 2004-06-25 2008-02-14 アイディー バイオメディカル コーポレイション オブ ケベック 神経障害を治療するための組成物および方法

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JP2008504299A (ja) * 2004-06-25 2008-02-14 アイディー バイオメディカル コーポレイション オブ ケベック 神経障害を治療するための組成物および方法

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