JP2000147081A - 磁気共鳴装置 - Google Patents

磁気共鳴装置

Info

Publication number
JP2000147081A
JP2000147081A JP10323875A JP32387598A JP2000147081A JP 2000147081 A JP2000147081 A JP 2000147081A JP 10323875 A JP10323875 A JP 10323875A JP 32387598 A JP32387598 A JP 32387598A JP 2000147081 A JP2000147081 A JP 2000147081A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spectrum
dimensional
magnetic resonance
curve fitting
computer system
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10323875A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3113862B2 (ja
Inventor
Hidehiro Watanabe
英宏 渡邉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus
Original Assignee
Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus filed Critical Technology Research Association of Medical and Welfare Apparatus
Priority to JP10323875A priority Critical patent/JP3113862B2/ja
Publication of JP2000147081A publication Critical patent/JP2000147081A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3113862B2 publication Critical patent/JP3113862B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気共鳴装置において、位相補正が困難である
2次元スペクトルを解析し、物質の情報を取得するこ
と。 【解決手段】予め計算機システムにカーブフィッティン
グ範囲を記憶させておき、2次元絶対値スペクトル、実
部スペクトル、虚部スペクトル、パルスシーケンス条件
から推定すべきパラメータの初期値を直接求めることに
より、自動的にかつ高精度に物質の情報を求めることが
できる。かつパラメータ数の少ないモデル式でカーブフ
ィッティングを行い、推定された値を初期値として、全
パラメータのカーブフィッティングを行うことで、カー
ブフィッティングの動作を安定させることが可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次元(以下、2
D)スペクトルに対してスペクトル処理を行い、物質の
情報を推定することが可能な磁気共鳴装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴装置は、磁気共鳴現象を利用し
て物質の様々な情報を取得でき、化学分析をはじめとし
て広く用いられている装置である。特に、医学の分野で
用いられているMagnetic Resonance
Imaging(MRI)装置は、被検体内の水の分
布を画像化することにより非侵襲に形態情報を取得する
とが可能であり、必須の装置となっている。
【0003】これに対して、Magnetic Res
onance Spectroscopy(MRS)は
例えば代謝物の 1H、13Cあるいは31Pの磁気共鳴信号
を検出することによって被検体内の代謝情報を非侵襲に
取得することができる方法であり、有力な代謝測定法と
して期待されている。このうち、近年、13C−MRSが
特に関心を集めている。これは、13C−MRSでは13
の天然存在比が1.1%と低いことを利用して13C標識
物質投与後の代謝を追跡することが可能であり、 1Hや
31Pとは異なる代謝情報を得ることができるためであ
る。13C−MRSで取得できる情報として例えば脳のア
ミノ酸代謝、すなわち脳内の主要なエネルギー源である
グルコースが脳内に取り込まれた後、グルタミン酸等の
アミノ酸が合成されるという代謝が挙げられる。つま
り、13C標識グルコースの利用により、13Cがグルタミ
ン酸等のアミノ酸に取り込まれていく様子を13C−MR
Sでとらえることが可能となる。以上の理由で、13C−
MRSは、有力な脳代謝計測法として期待されている。
【0004】しかし、13C−MRSは感度が低いという
問題があり、これを解決するために様々な方法が提案さ
れてきた。このうちで最も期待されている方法が、13
に磁気的に結合した 1Hの感度を利用する 1H観測法で
ある。この 1H観測法の中でも、 1H−13C相関2Dス
ペクトロスコピーを行うことで、13C化学シフトを用い
た代謝物のピーク分離が可能な、Heteronucl
ear multiple quantum cohe
rence(HMQC)やHeteronuclear
single quantum coherence
(HSQC)といった方法が期待されている。
【0005】図10および図11に、HMQC、HSQ
Cのシーケンスを記す。これらのシーケンスは、準備
期、展開期(時間長t1 )、検出期(時間長t2 )から
構成される。両者の差は展開期のコヒーレンスであり、
このコヒーレンスが多量子コヒーレンスであるシーケン
スがHMQC、一量子コヒーレンスであるシーケンスが
HSQCである。両者は共に、準備期にて 1Hから13
に分極を移動し、展開期にて13C化学シフトが展開さ
れ、検出期にて再び13Cから 1Hに分極を移動すること
によって、 1H感度で13C化学シフトの情報が付与され
た信号を取得できる。これらのHMQC、HSQCを含
めて、一般に2Dスペクトルは、展開期の時間t1 を変
化させた2DデータセットS(t1 ,t2 )を取得後、
2Dフーリエ変換を行うことによって取得できる。上記
HMQCシーケンスおよびHSQCシーケンスでは、展
開期の最小時間をt1 =0とすることで13C化学シフト
軸方向(F1 軸方向)の位相は周波数に依存しない0次
位相のみとなる。そして、検出期において 1Hの化学シ
フトがリフォーカスされている、すなわち 1H化学シフ
ト軸方向(F2 軸方向)がリフォーカスされているの
で、再構成の結果得られる2Dスペクトルの位相は0次
位相φ0 のみとなる。従って、F1 、F2 方向の周波数
をω1 、ω2 、F1 軸方向、F2 軸方向の吸収、分散波
形をそれぞれA1 、A2 、D1 、D2 、ピーク体積をV
とした時、2Dスペクトルは以下の式で表せる。
【0006】
【数1】
【0007】分析用NMR装置では、上記(1)の位相
φ0 を0°とする位相補正と呼ばれる方法を用い、実部
をV[A1 2 −D1 2 ]、虚部を[A1 2 +A2
1]として両者を分離し、この結果得られる実部の2
Dスペクトルを描画する。これによって、良好な化合物
のピーク分離が可能となる。
【0008】しかし、上記HMQC、HSQCを被検体
に応用する場合には、被検体内の一部の領域の信号を取
得するための局所励起が必要となってくる。この局所励
起のための方法は、例えば、特開平8−252230号
公報、特開平8−252236号公報、特願平8−77
545号に提案されている。特に、HSQCを局所励起
が可能となるような発明である特開平8−252236
号公報の場合には、RFパルス数の多さによる信号低下
を防ぐため、図11に示した従来のHSQCシーケンス
とは異なり、検出期の 1Hパルスを90°パルスのみと
している(図12,図13)。しかし、この90°パル
スとデータ収集開始までの時間を0とすることは不可能
であり、ディレイ(デッドタイムtd )を設ける必要が
ある。これは、90°パルスのパルス幅や、水除去、あ
るいはスライスのために印加する必要のある勾配磁場パ
ルスのパルス幅に依るディレイであり、装置性能等で決
定される。このため、位相は上記に説明した0次位相の
みではなく、周波数に依存した1次位相項exp(iω
1Hd )が生ずる。特に、人用のMRI機の場合、RF
コイル径、勾配コイル径が大きくなるため、このデッド
タイムtd を数msと長くせざるを得ない。このため、
上記1次位相の影響が大きくなり、この条件下で位相補
正を行うと、一般的に知られている様にベースラインの
歪みを引き起こす。ベースライン歪みはsinc関数と
NMRスペクトルとのコンボリューションにより生ずる
ため、多項式近似で表すことは定量精度劣化につなが
る。従って、被検体の場合には、位相補正を行う必要が
無いため、ベースライン歪みを生ずることの無い絶対値
スペクトル表示を行っていた。そして、代謝物の量に関
する情報としては、ピーク強度、すなわち絶対値スペク
トルのピークの値を用いていた。しかし、ピークの値を
用いると、重畳したノイズの影響を直接受けるため、得
られる情報の精度が低いという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2次
元(以下、2D)スペクトルに対してスペクトル処理を
行い、物質の情報を推定することが可能な磁気共鳴装置
を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、絶対値スペクトルの
ピーク強度としてピーク値を用いる場合に得られる精度
よりも高精度にピーク情報を推定する磁気共鳴装置を提
供することにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、この磁気共鳴
装置において、推定処理の自動化、高速化、且つ安定化
を向上することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、情報を記憶する手段を有し、2次元スペクト
ルデータの解析を行うことが可能な計算機システムを具
備する磁気共鳴装置において、解析を行う2次元スペク
トル上の範囲を予め前記計算機システムに記憶させてお
き、解析の際に該範囲の2次元スペクトルデータのみを
読み出して解析を行うことを特徴とする。かかる発明に
よれば、2次元スペクトルの解析する範囲を予め計算機
システムに記憶させておくためカーブフィッティング範
囲の自動設定が可能となり、かつ解析すべきデータ数が
範囲内のみであるため高速な解析が可能となる。
【0013】また、本発明は、情報を記憶する手段を有
し、2次元スペクトルデータの解析を行うことが可能な
計算機システムを具備し、かつ静磁場中に置かれた被検
体あるいは試料に所定の手順に従って高周波磁場および
勾配磁場を印加し、被検体あるいは試料に含まれる物質
の情報を取得する磁気共鳴装置において、解析を行う2
次元スペクトル上の範囲を予め前記計算機システムに記
憶させておき、かつ前記磁気共鳴装置から取得される情
報をもとに該範囲を修正し、解析の際に修正した範囲の
2次元スペクトルデータのみを読み出して解析を行うこ
とを特徴とする。かかる発明によれば、磁気共鳴装置か
ら取得される情報をもとにカーブフィッティング範囲を
修正するため、解析対象の物質のピークを範囲外とする
ことなく範囲の自動設定が可能となる。
【0014】また、情報を記憶する手段を有し、2次元
スペクトルデータの解析を行うことが可能な計算機シス
テムを具備する磁気共鳴装置において、2次元スペクト
ルのデータ配列を1次元データ配列に一定の規則に従っ
て変換し前記計算機システム内に格納し、該1次元デー
タ配列に対して解析を行い、物質の情報を取得すること
を特徴とする。かかる発明によれば、2次元スペクトル
のデータ配列を1次元データ配列と変換することによ
り、数値解析で扱えるデータ構造とすることができる。
【0015】また、本発明は、カーブフィッティングに
より2次元スペクトルで得られる物質の情報を求めるこ
とが可能な計算機システムを具備する磁気共鳴装置にお
いて、2次元絶対値スペクトルから直接求められる少な
くともピーク値、半値幅、および2次元実部スペクトル
および2次元虚部スペクトルから求められる位相情報か
ら該カーブフィッティングに用いるパラメータの初期値
を計算し、計算した初期値を用いてカーブフィッティン
グを行うことを特徴とする。かかる発明によれば、2次
元絶対値スペクトルからカーブフィッティング等のデー
タ処理法を介さずに直接ピーク値、半値幅を求め、かつ
2次元実部、虚部スペクトルから直接位相情報を求め、
これらを用いて計算したパラメータの初期値を用いてカ
ーブフィッティングを行うことにより、極小条件ではあ
るが最小条件ではないパラメータ値に推定することな
く、安定して最小条件であるパラメータ値に収束するこ
とが可能となる。
【0016】また、本発明は、カーブフィッティングに
より2次元スペクトルで得られる物質の情報を求めるこ
とが可能な計算機システムを具備する磁気共鳴装置にお
いて、2次元絶対値スペクトルから直接求められる少な
くともピーク値、半値幅、および該2次元スペクトルを
取得したパルスシーケンスの条件から該カーブフィッテ
ィングに用いるパラメータの初期値を計算し、計算した
初期値を用いてカーブフィッティングを行うことを特徴
とする。かかる発明によれば、2次元絶対値スペクトル
からカーブフィッティング等のデータ処理法を介さずに
直接ピーク値、半値幅を求め、かつパルスシーケンス条
件から1次位相を求め、これらを用いて計算したパラメ
ータの初期値を用いてカーブフィッティングを行うこと
により、極小条件ではあるが最小条件ではないパラメー
タ値に推定することなく、安定して最小条件であるパラ
メータ値に収束することが可能となる。
【0017】また、本発明によれば、2次元スペクトル
で得られる物質の情報を複数のパラメータとして該パラ
メータの関数であるモデル式を設定し、該モデル式と該
2次元スペクトルデータとの差を最小とするカーブフィ
ッティングを用いて該パラメータを求めることによって
該物質の情報を取得することが可能な計算機システムを
具備する磁気共鳴装置において、前記複数のパラメータ
の一部をパラメータとするモデル式を用いたカーブフィ
ッティングにより該一部のパラメータの値を推定し、推
定した値を該一部のパラメータの初期値として該複数の
パラメータの関数であるモデル式によりカーブフィッテ
ィングを行い、前記物質の情報を取得することを特徴と
する。かかる発明によれば、少ない数のパラメータでカ
ーブフィッティングを行うことにより、カーブフィッテ
ィングの動作が安定し、すなわち極小条件ではあるが最
小条件ではないパラメータ値に推定することなく、安定
して最小条件であるパラメータ値に収束することが可能
となる。かつ、推定したパラメータを初期値として推定
すべき全てのパラメータでカーブフィッティングを行う
ことにより、初期値が収束値に近づくため同様にカーブ
フィッティングの動作が安定し、すなわち極小条件では
あるが最小条件ではないパラメータ値に推定することな
く、安定して最小条件であるパラメータ値に収束するこ
とが可能となる。
【0018】また、本発明は、2次元スペクトルで得ら
れる物質の情報を複数のパラメータとして該パラメータ
の関数であるモデル式を設定し、該モデル式と該2次元
スペクトルデータとの差を最小とするカーブフィッティ
ングによって該パラメータを求めることにより該物質の
情報を取得することが可能な計算機システムを具備し、
かつ1次位相が該パラメータの一つに含まれる磁気共鳴
装置において、前記一次位相は中心周波数の関数である
ことを特徴とする。かかる発明によれば、1次位相を中
心周波数の関数とすることで2次元実部スペクトル、虚
部スペクトルをより正確に記述することが可能となり、
高精度のカーブフィッティングを行うことにより、すな
わちパラメータ推定を行うことが可能となる。
【0019】また、本発明は、静磁場中に置かれた被検
体あるいは試料に所定の手順に従って勾配磁場および少
なくとも 1Hに対応する高周波磁場を印加し、被検体あ
るいは試料に含まれる物質の少なくとも 1Hの情報を取
得し、再構成により少なくとも1軸が 1H化学シフト軸
である2次元スペクトルを求め、この2次元スペクトル
を計算機システムにより解析する磁気共鳴装置におい
て、前記物質の情報を取得する際に取得する該物質の領
域に対応した水 1Hの信号を取得し、再構成の結果得ら
れる該領域に対応した水 1Hのスペクトルの半値幅を求
め、解析対象である物質のピークの 1H化学シフト軸方
向における半値幅を該水 1Hのスペクトルの半値幅とし
て固定したモデル式を用いて該2次元スペクトルの解析
を行うことを特徴とする。かかる発明によれば、対象と
なる領域、すなわちボクセルの水 1Hのスペクトルは高
精度に求めることが可能であるため、水 1Hスペクトル
から求められる半値幅を高精度に求めることができ、求
めた半値幅を固定した2次元スペクトルのカーブフィッ
ティング、高精度のカーブフィッティング、すなわちパ
ラメータ推定を行うことが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。なお、2次元(2D)スペクトルの
例として、 1H−13C相関2D HSQCスペクトルを
用いているが、位相補正を行うことが困難な全ての2D
スペクトルに対して本発明の解析を実施することが可能
である。また、磁気共鳴装置および本装置によって得ら
れる2Dスペクトルの例として 1Hと13Cに関してのみ
記してあるが、これらの例はたとえば 1Hと15Nといっ
た組み合わせ、あるいは 1Hと 1Hの同種核の場合でも
本発明を用いることが可能である。
【0021】すなわち、以下、図1で示す磁気共鳴装置
の構成において、送信部として 1H、13C、受信部とし
1Hとしているが、別の組み合わせとした磁気共鳴装
置構成も可能であり、かつこの以下の説明とは異なる構
成とした磁気共鳴装置において得られる2Dスペクトル
に対しても、本発明による解析を実施することが可能で
ある。
【0022】図1は、本発明の一実施形態に関わる磁気
共鳴装置の構成を示すブロック図である。同図におい
て、静磁場磁石1とその内側に設けられた勾配コイル2
及びシムコイル4により、図示しない被検体に一様な静
磁場とそれと同一方向で互いに直交するx,y,z三方
向に線形勾配磁場分布を持つ勾配磁場が印加される。勾
配コイル2は、勾配コイル電源5により駆動され、シム
コイル4はシムコイル電源6により駆動される。勾配コ
イル2の内側に設けられたプローブ3は、送信部7、8
から高周波信号が供給されることによって被検体に高周
波磁場を印加し、被検体からの磁気共鳴信号を受信す
る。プローブ3は送受両用でも、送受別々に設けても良
い。プローブ3で受信された磁気共鳴信号は、 1H受信
部9で検波された後、データ収集部11に転送され、こ
こでA/D変換されてから計算機システム12に送ら
れ、データ処理がなされる。プローブは 1Hと13Cの両
方の共鳴周波数で同調がとられている。
【0023】以上の勾配コイル電源5,シムコイル電源
6、 1H送信部7、13C送信部8、 1H受信部9および
データ収集部11は、全てシーケンス制御部10によっ
て制御され、このシーケンス制御部10はさらに上位の
制御系としての計算機システム12によって制御され
る。計算機システム12はコンソール13からの指令に
より制御される。データ収集部11から計算機システム
12に入力された磁気共鳴信号に対して後処理、すなわ
ちフーリエ変換等の再構成や以下説明するスペクトル処
理等が行われ、それに基づいて被検体内の所望核スピン
のスペクトルデータあるいは画像データが求められる。
【0024】このスペクトルデータあるいは画像データ
はディスプレイ14に送られ、スペクトルあるいは画像
等々として表示される。計算機システムに関しては、上
記の後処理を行うための計算機システムを別途設けるこ
とも可能である。あるいは、上述の磁気共鳴装置によっ
て得られるスペクトルの解析を、データ転送あるいは記
録媒体を介する等の手段を用いて別の計算機システム上
で行うという構成もとることが可能であり、すなわち、
本発明で説明する磁気共鳴装置には、このスペクトルの
解析に用いる別の計算機システムも含まれる。また、ス
ペクトルの解析に用いる単独の計算機システムに対して
も、磁気共鳴スペクトルの解析を行うためのシステムで
あるという理由により、磁気共鳴装置であると定義す
る。
【0025】次に、上記磁気共鳴装置上で行うスペクト
ル解析方法について説明する。本実施形態の方法による
解析の対象である位相補正が困難な2Dスペクトルの例
として、被検体に13Cを1位に標識したグルコースを投
与した際に、上述の局所励起HSQCシーケンスを用い
て、脳から非侵襲にすなわちin vivoで取得する
ことができる2D絶対値スペクトルを用いる。この模式
図を図2に示すが、グルコースから産生される代謝物と
しては簡便のためグルタミン酸のみを示している。
【0026】このスペクトルから物質の情報を精度良く
取得するための第一の発明は、絶対値スペクトルに対し
て、非線型最小二乗法を用いたカーブフィッティングを
行うことで、ピーク情報を推定する方法である。
【0027】非線型最小二乗法は、線形最小二乗法を反
復して用いることでデータとモデルとの差の二乗和が最
小となるようなパラメータを求める方法であり、例え
ば、“中川徹、小柳義夫著、最小二乗法による実験デー
タ解析、東京大学出版会”に詳しく記されている。1次
元(以下、1D)スペクトルデータy(ω)に対するこ
の方法の概略は、以下の様である。
【0028】まず、カーブフィッティングの対象のスペ
クトルデータをy(ω)を行列で表現し、計算機システ
ム上で扱える形、すなわち数値解析で扱える形とする。
つまり、スペクトルデータ上の座標の数をnとする時、
スペクトルデータをn行1列のベクトルy= t[y1
2 ,…,yn ]で表す。但し、 tは転置行列を表す記
号であり、yi は座標ωi でのスペクトルデータであ
る。
【0029】次に、このスペクトルデータyをモデル式 f(x)= t[f1 (x),f2 (x),…,f
n (x)] で記述する。但し、 x= t[x1 ,x2 ,…,xnparam] であり、 xi (i=1,2,…,nparam)は、nparam個のパラ
メータである。また、f i (x)はωi 上のモデル式か
ら求められる値である。
【0030】次に、スペクトルデータyを、fのxによ
る偏微分 f/ xを用いて一次近似により以下のよう
に表す。
【0031】
【数2】
【0032】次に、この式(3)において、右辺と左辺
を等しいとみなし、Σi [Δyi −Σj ( fi / x
j )]2 が最小となるΔx(k) 、すなわち最小二乗条件
のΔx(k) を求める。これは、線形最小二乗法における
最小二乗条件であり、以下のΔx(k) に関する連立一次
方程式の解となる。
【0033】
【数3】
【0034】この行列Aはヤコビアン行列と呼ばれ、上
記式(8)の解Δx(k) は、正規行列 tAAを用いて
【0035】
【数4】
【0036】で求めることができる。あるいは、Aをn
行nparam 列の行列Qと下三角要素が0である上三角行
列Rとの積に分解するQR分解を用いてΔx(k) を求め
ることもできる。
【0037】次に、求められたΔx(k) からx(k+1)
(k) +Δx(k) を用いて、x(k+1 ) を求める。この解
(k+1) は、スペクトルデータyをモデル式f(x)の
パラメータxによる1次近似で記述した時の最小二乗条
件における解となる。x(k)が最適解すなわちS=Σi
[yi −fi (x)]2 を最小とするパラメータxに近
ければ、モデル式の高次項は0に近づき、すなわち式
(2)で示した1次近似でほぼ記述することができる。
従って上記の方法で求めたx(k+1) は最適解となる。非
線型最小二乗法はこれを利用する方法であり、つまり、
パラメータの初期値x0 から上記計算を繰り返し行うこ
とで最適解を推定していく、すなわちスペクトルデータ
yとモデル式f(x)との差の二乗和、すなわちS=Σ
i [yi −fi (x)]2 を最小とするxを反復により
推定していく方法である。
【0038】これが1Dスペクトルデータに対する非線
型最小二乗法の概要である。この方法では、反復の各ス
テップで式(9)あるいはAのQR分解を用いてΔx
(k) を求める必要があり、このため解析対象のデータy
が1Dデータに限定される。従って、2Dスペクトルデ
ータにこの方法を直接には適用できず、以下に説明する
様にデータ配列を1D配列として上記反復の数値解析が
行える形としなければならない。
【0039】上記非線型最小二乗法の性質等を踏まえ、
次に、2D絶対値スペクトルデータに対するカーブフィ
ッティング法を図3に示したアルゴリズムを用いて説明
する。
【0040】まず、解析するピークを指定し、カーブフ
ィッティングする領域を指定する(図4(a))。被検
体からin vivoで取得される2Dスペクトルの物
質およびピークは既知であり、特に13C標識グルコース
から産生される代謝物のピークは既知であるため、この
カーブフィッティングの領域は予め計算機システムに記
憶させておくことが可能である。 1Hあるいは13Cの中
心周波数がずれた場合にも、対応するボクセルの水 1
の周波数情報により 1Hの周波数を変更し、かつ脂肪ピ
ークの周波数情報等により13Cの周波数を変更すること
で、計算機システムに記憶させておいたカーブフィッテ
ィング範囲を補正することが可能である。脳ボクセルの
ように、対応するボクセル内に観測される脂肪ピークが
無い場合でも、頭皮等の脂肪スペクトルの周波数情報を
用いて上記範囲を補正することが可能である。これは、
信号観測前に磁場均一調整によりある程度の領域の磁場
をほぼ均一とするため、頭皮脂肪ピークを基準に上記範
囲を補正しても高々数ポイントの範囲ずれが起きるのみ
であり、実際の解析には全く問題が無いためである。
【0041】次に、カーブフィッティング範囲の絶対値
スペクトルデータの切り出しを行い、計算機システムの
メモリー上に格納する。切り出された2Dスペクトルデ
ータは、上記の非線型最小二乗法に適用するため、先に
説明した様に1D配列で格納する必要がある(図4
(b),(c),(d))。この一例が、カーブフィッ
ティング対象である2D絶対値スペクトルデータyabs
[i][j](i=NF1,NF1+1,…,NNF1(F1
方向),j=NF2,NF2+1,…,NNF2(F2
向))に対して、F2 方向のスペクトルデータを先に格
納する方法である。便宜的にこれをF2 方向のスペクト
ルデータ順に格納する方法と定義する。すなわち、この
配列方法は、
【0042】
【数5】
【0043】のように1D配列で格納する。あるいは、
1 方向のスペクトルデータ順にデータを格納する。カ
ーブフィッティングに利用するデータはこの範囲のみで
あるため、この切り出しにより計算すべきデータ量を減
ずることが可能であり、すなわち高速にスペクトル処理
することが可能となる。
【0044】上記範囲内のスペクトルデータに対して、
周波数領域の1ピークに対応するモデル式を用いてカー
ブフィッティングを行う。2Dスペクトルデータの式は
式(1)で示した通りであり、これより絶対値モデルの
モデル式は以下のようになる。
【0045】
【数6】
【0046】但し、αi は緩和の程度を示すパラメー
タ、ω0iはFi 方向の中心周波数を示し、Ai ,D
i (i=1,2)はどちらもαi ,ω0iの関数となる。
また、F(ω1 ,ω2 ;x1 ,x2 ,…)は、2D平面
上の点(ω1 ,ω2 )の値をパラメータxi (i=1,
2,…)によるモデル式Fで表すことを表現している。
【0047】このモデル式では、同種核カップリングに
関しては考慮していない。例えば、本実施形態の説明の
ために用いているグルタミン酸のスペクトルの場合、グ
ルタミン酸2位、3位、4位には実際には 1H間のJ
H-H カップリングによる同種核カップリングが存在し、
2 方向にスペクトル分裂が生ずる。しかし、このカッ
プリングの程度は数Hzであり、一般に被検体の場合に
は磁場の不均一性によって決まるスペクトル線幅よりも
小さい。従って、F2 方向も以下の1ピーク近似の以下
のモデル式で表現することが可能である。
【0048】また、上記式(10)、式(11)、式
(12)で示したA1 、A2 、D1 、D2 の関数に対応
する式は、ローレンツ型(Lorentzian)のモ
デル式でもよいし、ガウス型(Gaussian)のモ
デル式でもよい。また、ローレンツ型とガウス型を混在
させたヴォイト型(Voigt)のモデル式でもよい。
例えば、ローレンツ型のモデル式の場合には、それぞれ
以下のように記述できる。
【0049】
【数7】
【0050】但し、ωi はFi 方向の周波数を示す。こ
のモデル式では、推定すべきパラメータは、最大で次の
5つとなる。すなわち、ピーク体積V、F1 方向の緩和
α1 、F2 方向の緩和α2 、F1 方向の中心周波数
ω01、F2 方向の中心周波数ω02であり、上述の非線型
最小二乗法を用いてこれらのパラメータを推定すること
ができる。あるいは、幾つかのパラメータが既知である
場合には推定すべきパラメータ数を減じることも可能で
ある。例えば、F2 方向の中心周波数ω01、F1 方向の
中心周波数ω02が既知である場合には、これら3つを固
定した残りのピーク体積V、F1 方向の緩和α1 、F2
方向の緩和α2 を推定する。
【0051】以上の説明のように、上記モデル式を用い
たカーブフィッティングによって、カーブフィッティン
グ範囲内の複数のポイントのスペクトルデータを用いて
物質の量に関係するピーク体積Vを推定することが可能
となる。従って、従来のピークの値、すなわち1ポイン
トの値のみを用いる方法と比較して、精度良く物質量に
関係する量を推定することが可能となる。
【0052】しかしながら、非線型最小二乗法の場合、
上記残差二乗和が極小となる点が複数ある場合、すなわ
ちいわゆるローカルミニマムが存在する際には、最小値
を求められないことが生ずることがある。図5に、推定
すべきパラメータxと残差二乗和との関係(1パラメー
タの場合)の概念図を示す。この図のように、複数の極
小値がある場合、例えば、xstart0を初期値とする場
合、残差二乗和が最小値とならない極小値に対するパラ
メータ推定値xest0に収束することが有り得る。これに
対して、xstart1を初期値とする方が求めるべき推定
値、すなわち残差二乗和の最小値に対応するパラメータ
値、これを最適解xopt と定義するが、xop t に収束す
る確率が高くなる。つまり、カーブフィッティングによ
り安定してx opt に収束させるために、初期値xstart
と、残差二乗和を最小とするパラメータxopt との距離
を出来るだけ短くするように初期値を設定することが重
要になる。
【0053】この方法の一例が、取得された絶対値スペ
クトルからカーブフィッティングを施さずに直接求めら
れる値、これを初期値として用いる方法である。つま
り、求めるべき物質のピークの最大値、すなわちピーク
値と、最大値の約1/2の値間の幅、すなわち半値幅
と、および中心周波数ω1 ,ω2 とを、絶対値スペクト
ルから直接求める。例えば、ローレンツ型のモデル式を
用いる場合には、α1 ,α 2 は吸収スペクトルの半値幅
から求められる。一方、絶対値スペクトルの半値幅は吸
収スペクトルの半値幅の31/2 倍であり、この関係を用
いてα1 ,α2 を求めることができる。また、ピーク体
積は絶対値スペクトルから得たピーク値と上記α1 ,α
2 の積で求めることができる。以上より、絶対値スペク
トルを用いて、5つのパラメータに対する初期値を全て
求めることが可能となる。ガウス型、ヴォイト型の場合
にも、絶対値スペクトルの情報を用いて初期値を計算す
ることが可能である。
【0054】あるいは、絶対値スペクトルにて比較的精
度良く求められる値を固定してパラメータ数を減じた、
すなわち最終的に推定すべき全てのパラメータの一部の
みをパラメータとしたモデル式を用いて予めカーブフィ
ッティングを行い、この結果推定された値、および固定
していた値を初期値として最終的に全てのパラメータを
推定するという方法でもよい。これは、“パラメータ数
が多い程自由度が増えるため収束が不安定になるので、
パラメータ数を少ないモデルで予め推定して初期値を最
適解に近づけることによって、カーブフィッティングを
安定に動作させることが可能となる”という考え方に基
づいている。
【0055】この一例を次に説明する(図6参照)。上
記の5つのパラメータのピーク体積V、F1 方向の緩和
α1 、F2 方向の緩和α2 、F1 方向の中心周波数
ω01、F 2 方向の中心周波数ω02のうちで、絶対値スペ
クトル上で中心周波数ω01、ω02は比較的精度良く求ま
る。従って、まずω01、ω02を固定したV、α1 、α2
の3成分パラメータのカーブフィッティングを行う。こ
の際に用いる初期値は、上記で説明した絶対値スペクト
ルから直接求められる値である。上記カーブフィッティ
ングによってV、α1 、α2 を推定した後、これらの推
定値Vest 、α1est、α2estおよび先に固定値として用
いたω01、ω02を初期値としてパラメータ5成分のカー
ブフィッテングを行う。これによって、初期値と収束す
べき値xoptとの距離を短くすることが可能となり、カ
ーブフィッティングの動作が安定する。
【0056】以上、説明した初期値設定方法は、実際の
スペクトルデータを用いて行うことが可能であり、かつ
安定した収束が可能となるため、人手を介することなく
自動に行うことができ、すなわちカーブフィッティング
を自動に行うことができる。図3で説明したアルゴリズ
ムにおいて、解析する代謝物を計算機システムに記憶さ
せる等して予め設定しておけば、先に説明した様に計算
機システムに記憶されたカーブフィッティング範囲を用
いてこの範囲のスペクトルデータを切り出し、切り出し
たデータに対して上記のカーブフィッティングを自動に
行い、この結果パラメータ推定、すなわち物質の情報を
推定することができる。つまり、カーブフィッティング
範囲を予め計算機システムに記憶させておき、カーブフ
ィッティングのための初期値を上記のようにスペクトル
データを用いて直接求めることにより、自動2Dスペク
トル解析が可能となる。
【0057】以上説明したピーク情報推定の後、他のピ
ーク解析を行う。手動入力、あるいは上記と同様に計算
機システムに予め記憶させておいたカーブフィッティン
グ範囲を用い、上述と同様の方法でカーブフィッティン
グを行う。また、上述のように、後者に示した複数のカ
ーブフィッティング範囲を計算機システムに予め格納し
ておく方法により、2Dスペクトル上の複数のピークの
スペクトル解析を自動で行うことが可能となる。
【0058】勿論、以下に記述する複数ピークに対する
モデル式によるカーブフィッティングを行うことによっ
ても自動解析が可能となる。
【0059】
【数8】
【0060】ここで、Npは複数ピークの数である。以
下、その他の場合の解析方法について説明するが、カー
ブフィッティング範囲を予め計算システムに記憶させて
おき、カーブフィッティングのための初期値をスペクト
ルデータを直接用いて求めることにより、全ての解析方
法において自動解析が可能となる。
【0061】これまで図12に示した局所励起HSQC
シーケンス、すなわち検出期にて13Cデカップリングを
印加した場合に取得できる、F1 、F2 方向共にJC-H
カップリングによる分裂の無い2Dスペクトルの解析方
法について説明した。しかし、被検体ではデカップリン
グパルスによる発熱が問題となるため、13Cデカップリ
ングを行わない局所励起HSQCシーケンス(図13)
でスペクトルを取得する場合が有り得る。この場合、F
2 方向にJC-H カップリングによるスペクトル分裂が現
れ、得られる2D絶対値スペクトルの模式図は図7のよ
うになる。
【0062】この2D絶対値スペクトルのモデル式に関
して、13C化学シフト軸方向すなわちω1 方向に対して
は、スペクトル分裂が生じていないため式(10)のi
成分に関する記述を用いることができる。 1H化学シフ
ト軸方向すなわちω2 方向にのみ、新しい記述を用いる
必要がある。
【0063】このため、時間領域の 1H信号を求める。
但し、13C化学シフトに関しては上記の理由により考慮
せず、1D信号として示す。検出期の90° 1Hパルス
直後にはJC-H により分裂したスペクトルの位相差が1
80°であることを考慮すると、α2 でexponen
tial減衰する信号は
【0064】
【数9】
【0065】
【数10】
【0066】と変形できる。次に、F2 方向に2つに分
裂したピークの位相差を1次位相φ1、F2 軸方向の周
波数ω2 に依存しない位相である0次位相をφ0 と便宜
的に定義して、すなわち
【0067】
【数11】 とすることによって
【0068】
【数12】 となる。
【0069】式(20)のフーリエ変換が2Dスペクト
ルの 1H化学シフト軸方向の式である。従って、2Dス
ペクトルの式は以下のようになる。
【0070】
【数13】
【0071】式(21)は2つの分裂したスペクトルの
場合であり、A21、D21とA22、D 22はそれぞれF2
方向の中心周波数が異なる吸収、分散波形であるとみな
せる。一方、式(16)のフーリエ変換よりF2 方向の
モデル式を求めると、位相はω2 に依存しない。0次位
相φと、2つに分裂したピークのそれぞれに、それぞれ
の中心周波数ω02−2πJC-H /2、ω02+2πJC-H
/2の関数である1次位相との2種類になる。これはス
ペクトルピーク数が2つの場合に留まらず、つまり分裂
するスペクトルピーク数が増えた場合、あるいは異なる
物質のためスペクトルピーク数が増える場合にも、同様
であり、すなわち、1次位相を中心周波数の関数として
モデル式を設定しなければならないことを意味する。
【0072】一方、JC-H で分裂した場合のカーブフィ
ッティングのための絶対値スペクトルのモデル式は、以
下のようになる。
【0073】
【数14】
【0074】例えば、ローレンツ型のモデル式の場合に
は、吸収、分散の式は以下のようになる。
【0075】
【数15】
【0076】この時の推定すべきパラメータは、最大で
次の7つとなる。すなわち、ピーク体積V、F1 方向の
緩和α1 、F2 方向の緩和α2 、F1 方向の中心周波数
ω01、F2 方向の中心周波数ω02、1次位相φ1 、J
C-H カップリング定数のJC-Hである。勿論、J
C-H は、他の測定結果から既知であるから、これを固定
した6成分のカーブフィッティングを行うことも可能で
ある。
【0077】次に、絶対値スペクトルに対してではな
く、位相補正を行う前の、直接実部、虚部スペクトルに
対して直接カーブフィッティングを行う本発明の方法に
ついて説明する。
【0078】まず図12で示した13Cデカップリングを
行う場合の局所励起HSQCシーケンスで取得できる2
Dスペクトル、すなわちJC-H カップリングによるスペ
クトル分裂が生じていない状態の2Dスペクトルに対す
るカーブフィッティング方法について説明する。
【0079】この場合のアルゴリズムも絶対値モデルの
カーブフィッティングで説明したアルゴリズム(図3)
と同様である。これを図8に示す。異なる点は、2Dス
ペクトルからフィッティング範囲を切り出して計算機シ
ステムのメモリーに格納する方法と、モデル式である。
【0080】実部、虚部スペクトルは、実部スペクトル
と虚部スペクトルから構成される。従って、絶対値スペ
クトルに必要な領域の2倍の領域が必要となる。この格
納方法は、カーブフィッティング範囲として指定された
2D実部、虚部スペクトルデータyreal[i][j],
imag[i][j](i=NF1,NF1+1,…,NN F1
(F1 方向),j=NF2,NF2+1,…,NNF2(F2
方向))に対して、例えば実部を最初にかつF2 方向の
スペクトルデータ順に格納する(図9)。すなわち、切
り出した実部スペクトルデータを、
【0081】
【数16】 の順に格納し、これに続き虚部スペクトルを、
【0082】
【数17】
【0083】の順に格納し、これによって1D配列で格
納することが可能となる。また、モデル式に関しては、
位相として0次位相のみの以下のモデル式を用いる。
【0084】
【数18】
【0085】となり、切り出してきた実部、虚部スペク
トルに対してそれぞれFreal、Fimagをモデル式として
用いてカーブフィッティングを行う。すなわち、図9
(d)に示した1D配列の実部、虚部スペクトルデータ
に対して、実部データの部分に対しては式(38)のF
realを、虚部データの部分に対してはFimagをモデル式
としてカーブフィッティングを行う(図9(d))。こ
の時の求めるべきパラメータ数は最大で7ケであり、ピ
ーク体積V、F1 方向の緩和α1 、F2 方向の緩和
α2 、F1 方向の中心周波数ω01、F2 方向の中心周波
数ω02、0次位相φ0 、1次位相φ1 である。
【0086】次に、図13に示した13Cデカップリング
を行わない局所励起HSQCシーケンスに対して取得で
きる2Dスペクトル、すなわちJC-H カップリングによ
るスペクトル分裂を生じたスペクトルに対するモデル式
について説明する。このモデル式は、2D絶対値スペク
トルに対するモデル式の導出で説明したように、以下の
ように記述できる。
【0087】
【数19】
【0088】となり、切り出してきた実部、虚部スペク
トルに対してそれぞれFreal、Fimagをモデル式として
用いてカーブフィッティングを行うことが可能となる。
この時の求めるべきパラメータ数は最大で8ケであり、
ピーク体積V、F1 方向の緩和α1 、F2 方向の緩和α
2 、F1 方向の中心周波数ω01、F2 方向の中心周波数
ω02、0次位相φ0 、1次位相φ1 、JC-H カップリン
グ定数JC-H である。
【0089】次に、実部、虚部スペクトルの場合の初期
値の求めかたについて説明する。
【0090】実部、虚部スペクトルの際にも、絶対値ス
ペクトルの際に説明した初期値の設定が問題となり、最
小値以外の極小値にて収束しないような初期値選択が必
要となる。特に、実部、虚部スペクトルのカーブフィッ
ティングの場合、位相の初期値の求めかたが重要とな
る。
【0091】このための一実施形態が、まず絶対値スペ
クトルでカーブフィッティングを行い、得られたパラメ
ータ値を初期値として実部、虚部スペクトルのカーブフ
ィッティングを行うという方法である。これは、絶対値
スペクトルの際に説明した“パラメータ数が多い程自由
度が増えるため収束が不安定になるので、パラメータ数
を少ないモデルで予め推定して初期値を最適解に近づけ
ることによって、カーブフィッティングの安定に動作さ
せることが可能となる”という考え方に基づいている。
つまり、JC-H によるスペクトル分裂の無い絶対値スペ
クトルに対するカーブフィッティングの場合、パラメー
タ数は5つとなり、最終的に推定すべき全てのパラメー
タの一部である。そこで、このカーブフィッティングの
後に、0次位相と1次位相をパラメータに追加した7成
分の実部、虚部モデルを用いた実部、虚部スペクトルの
カーブフィッティングを行う。
【0092】以下、JC-H カップリングによるF2 方向
の分裂を生じた2Dスペクトルに適用する場合について
具体的に説明する。まず、絶対値スペクトルのカーブフ
ィッティングで説明したように、絶対値スペクトルから
直接ピーク値、半値幅(F1方向、F2 方向)、中心周
波数ω01、ω02を求め、ピーク値、半値幅(F1 方向、
2 方向)から緩和項α1 、α2 およびピーク体積Vを
求めて初期値とする。F2 方向に2つに分裂しているた
め、ω02として2ピークの周波数の平均値を用いる。J
C-H については、一般的に知られている値を用いればよ
い。あるいは、JC-H はパラメータとせずに固定してカ
ーブフィッティングを行うことも可能である。これらの
絶対値モデルに対する初期値を用いてまずカーブフィッ
ティングを行い、求められた値を実部、虚部モデルに対
するカーブフィッティングの初期値として用いる。1次
位相は、シーケンスの情報であるデッドタイムtdで記
述可能であり、tdを用いて計算した値を初期値として
用いる。0次位相に関しては、例えば0°を初期値とす
ればよい。あるいは、絶対値スペクトルから分裂した2
つのピークを求め、これらのピークの位相を実部、虚部
スペクトルから求め、これら2つの位相と上記で求めた
1次位相とから0次位相を求めることも可能である。以
上のようにして求めた初期値を用いて、実部、虚部スペ
クトルに対するカーブフィッティングを行う。
【0093】実部、虚部スペクトルに対するカーブフィ
ッティングの初期値を求める別の方法として、以下の様
な方法もある。すなわち、まず絶対値スペクトルから直
接求められるピーク値、半値幅、中心周波数を用いて、
ピーク体積V、緩和項α1 、α2 、中心周波数ω01、ω
02を求める。これらの値と、シーケンスからの情報であ
るデッドタイムから得られる1次位相とを固定値として
用いる。すなわち、モデル式において、これらの値を固
定値とし、0次位相のみをパラメータとする。そして、
0次位相の初期値を例えば0°としてカーブフィッティ
ングを行い、0次位相を推定する(ステップ1)。次
に、中心周波数ω01、ω02と1次位相φ1を固定値とし
て、ピーク体積V、緩和パラメータα1 、α2 と0次位
相φ0 をパラメータとするカーブフィッティングを行う
(ステップ2)。初期値には、最初に固定値として用い
た値とステップ1で推定された0次位相φ0 を用いる。
そして、次にステップ2のカーブフィッティングによっ
て求められた推定値と、ステップ2での固定値を用い
て、全成分のカーブフィッティングを行う。あるいは、
ステップ1の後に、固定値と推定値を用いて全成分のカ
ーブフィッティングを行うことも可能である。
【0094】次に、さらにカーブフィッティングの精度
を向上させるための方法について説明する。先に、パラ
メータ数を減ずることは、カーブフィッティングの動作
安定性につながると説明したが、同時に推定精度の向上
にもつながる。実際に、スペクトルデータ上のノイズと
パラメータの推定精度との関係を記述する誤差伝播則を
用いた解析の結果、特に緩和パラメータα1 、α2 を固
定したフィッティングによりピーク体積Vの推定精度が
向上することがわかった。 1H方向の緩和パラメータα
2 に関しては、in vivoの場合、磁場不均一性に
よる線幅の広がりが支配的になる。そこで、α2 を決定
するために、局所励起HSQCシーケンスによる信号取
得の度に、対象となる領域、すなわちボクセルの水のス
ペクトルを同時に取得する。この結果得られる水のスペ
クトルの線幅から固定すべきα2を求めることができ
る。特願平8−304561にて提案されている様に、
複数領域、すなわち複数ボクセルのスペクトルデータの
同時収集が可能な場合(図14)には、対応するそれぞ
れの領域、すなわちボクセルの水のスペクトルを取得す
ることで、それぞれのボクセルにおける緩和パラメータ
α2 を決定することが可能となる。例えば、3つの90
° 1Hパルスで3次元局所励起を行うSTEAMシーケ
ンスを用いてそれぞれの水のスペクトルを取得できる。
【0095】本発明は、上述した実施形態に限定される
ことなく、種々変形して実施可能である。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、2次元スペクトルの解
析する範囲を予め計算機システムに記憶させておくため
カーブフィッティング範囲の自動設定が可能となり、か
つ解析すべきデータ数が範囲内のみであるため高速な解
析が可能となる。
【0097】また、本発明によれば、磁気共鳴装置から
取得される情報をもとにカーブフィッティング範囲を修
正するため、解析対象の物質のピークを範囲外とするこ
となく範囲の自動設定が可能となる。
【0098】また、本発明によれば、2次元スペクトル
のデータ配列を1次元データ配列と変換することによ
り、数値解析で扱えるデータ構造とすることができる。
【0099】また、本発明によれば、2次元絶対値スペ
クトルからカーブフィッティング等のデータ処理法を介
さずに直接ピーク値、半値幅を求め、かつ2次元実部、
虚部スペクトルから直接位相情報を求め、これらを用い
て計算したパラメータの初期値を用いてカーブフィッテ
ィングを行うことにより、極小条件ではあるが最小条件
ではないパラメータ値に推定することなく、安定して最
小条件であるパラメータ値に収束することが可能とな
る。
【0100】また、本発明によれば、2次元絶対値スペ
クトルからカーブフィッティング等のデータ処理法を介
さずに直接ピーク値、半値幅を求め、かつパルスシーケ
ンス条件から1次位相を求め、これらを用いて計算した
パラメータの初期値を用いてカーブフィッティングを行
うことにより、極小条件ではあるが最小条件ではないパ
ラメータ値に推定することなく、安定して最小条件であ
るパラメータ値に収束することが可能となる。
【0101】また、本発明によれば、少ない数のパラメ
ータでカーブフィッティングを行うことにより、カーブ
フィッティングの動作が安定し、すなわち極小条件では
あるが最小条件ではないパラメータ値に推定することな
く、安定して最小条件であるパラメータ値に収束するこ
とが可能となる。かつ、推定したパラメータを初期値と
して推定すべき全てのパラメータでカーブフィッティン
グを行うことにより、初期値が収束値に近づくため同様
にカーブフィッティングの動作が安定し、すなわち極小
条件ではあるが最小条件ではないパラメータ値に推定す
ることなく、安定して最小条件であるパラメータ値に収
束することが可能となる。
【0102】また、本発明によれば、1次位相を中心周
波数の関数とすることで2次元実部スペクトル、虚部ス
ペクトルをより正確に記述するとが可能となり、高精度
のカーブフィッティング、すなわちパラメータ推定を行
うことが可能となる。
【0103】また、本発明によれば、対象となる領域、
すなわちボクセルの水 1Hのスペクトルは高精度に求め
ることが可能であるため、水 1Hスペクトルから求めら
れる半値幅を高精度に求めることができ、求めた半値幅
を固定した2次元スペクトルのカーブフィッティングを
行うことにより、高精度のカーブフィッティング、すな
わちパラメータ推定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁気共鳴装置の構成
を示すブロック図。
【図2】2次元スペクトル解析法の解析対象である、検
出期にて13Cデカップリングを印加する場合に得られる
2次元データセットを再構成して得られる2次元スペク
トルの模式図。
【図3】本実施形態による2次元絶対値スペクトルの解
析方法の手順を示す図。
【図4】図3に示した2次元絶対値スペクトルの解析方
法を、模式図を用いて説明した図。
【図5】パラメータxが1変数の場合で、スペクトルデ
ータとモデルとの残差の二乗和とパラメータxとの関係
を示した概念図。
【図6】2次元絶対値スペクトルのカーブフィッティン
グにおいて、カーブフィッティングの安定性のための初
期値設定手順を示す図。
【図7】2次元スペクトル解析法の解析対象である、検
出期にて13Cデカップリングを印加しない場合に得られ
る2次元データセットを再構成して得られる2次元スペ
クトルの模式図。
【図8】本発明の一実施形態である、2次元実部スペク
トルおよび2次元虚部スペクトルの解析方法の手順を示
す図。
【図9】図8に示した2次元実部スペクトルおよび2次
元虚部スペクトルの解析方法を、模式図を用いて説明し
た図。
【図10】従来のHMQCシーケンスを示した図。
【図11】従来のHSQCシーケンスを示した図。
【図12】従来の3次元局所励起が可能なHSQCシー
ケンスにおいて検出期に13Cデカップリングパルスを印
加する場合のシーケンスを示した図。
【図13】従来の3次元局所励起が可能なHSQCシー
ケンスにおいて検出期に13Cデカップリングパルスを印
加しない場合のシーケンスを示した図。
【図14】従来の複数領域の信号観測が可能で3次元局
所励起が可能なHSQCシーケンスを示した図。
【符号の説明】
1…静磁場磁石、 2…勾配コイル、 3…プローブ( 1H、13C)、 4…シムコイル、 5…勾配コイル電源、 6…シムコイル電源、 7… 1H送信部、 8…13C送信部、 9… 1H送信部、 10…シーケンス制御部、 11…データ収集部、 12…計算機システム、 13…コンソール、 14…ディスプレイ。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月14日(2000.2.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、情報を記憶する手段を有し、2次元スペクト
ルデータの解析を行うことが可能な計算機システムを具
備する磁気共鳴装置において、2次元スペクトルのデー
タ配列を1次元データ配列に一定の規則に従って変換し
前記計算機システム内に格納し、該1次元データ配列に
対して解析を行い、物質の情報を取得することを特徴と
する。また、本発明は、カーブフィッティングにより2
次元スペクトルで得られる物質の情報を求めることが可
能な計算機システムを具備する磁気共鳴装置において、
2次元絶対値スペクトルから直接求められる少なくとも
ピーク値、半値幅、および2次元実部スペクトルおよび
2次元虚部スペクトルから求められる位相情報から該カ
ーブフィッティングに用いるパラメータの初期値を計算
し、計算した初期値を用いてカーブフィッティングを行
うことを特徴とする。また、本発明は、カーブフィッテ
ィングにより2次元スペクトルで得られる物質の情報を
求めることが可能な計算機システムを具備する磁気共鳴
装置において、2次元絶対値スペクトルから直接求めら
れる少なくともピーク値、半値幅、および該2次元スペ
クトルを取得したパルスシーケンスの条件から該カーブ
フィッティングに用いるパラメータの初期値を計算し、
計算した初期値を用いてカーブフィッティングを行うこ
とを特徴とする。また、本発明は、2次元スペクトルで
得られる物質の情報を複数のパラメータとして該パラメ
ータの関数であるモデル式を設定し、該モデル式と該2
次元スペクトルデータとの差を最小とするカーブフィッ
ティングを用いて該パラメータを求めることによって該
物質の情報を取得することが可能な計算機システムを具
備する磁気共鳴装置において、前記複数のパラメータの
一部をパラメータとするモデル式を用いたカーブフィッ
ティングにより該一部のパラメータの値を推定し、推定
した値を該一部のパラメータの初期値として該複数のパ
ラメータの関数であるモデル式によりカーブフィッティ
ングを行い、前記物質の情報を取得することを特徴とす
る。また、本発明は、2次元スペクトルで得られる物質
の情報を複数のパラメータとして該パラメータの関数で
あるモデル式を設定し、該モデル式と該2次元スペクト
ルデータとの差を最小とするカーブフィッティングによ
って該パラメータを求めることにより該物質の情報を取
得することが可能な計算機システムを具備し、かつ1次
位相が該パラメータの一つに含まれる磁気共鳴装置にお
いて、前記一次位相は中心周波数の関数であることを特
徴とする。また、本発明は、静磁場中に置かれた被検体
あるいは試料に所定の手順に従って勾配磁場および少な
くとも 1 Hに対応する高周波磁場を印加し、被検体ある
いは試料に含まれる物質の少なくとも 1 Hの情報を取得
し、再構成により少なくとも1軸が 1 H化学シフト軸で
ある2次元スペクトルを求め、この2次元スペクトルを
計算機システムにより解析する磁気共鳴装置において、
前記物質の情報を取得する際に取得する該物質の領域に
対応した水 1 Hの信号を取得し、再構成の結果得られる
該領域に対応した水 1 Hのスペクトルの半値幅を求め、
解析対象である物質のピークの 1 H化学シフト軸方向に
おける半値幅を該水 1 Hのスペクトルの半値幅として固
定したモデル式を用いて該2次元スペクトルの解析を行
うことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報を記憶する手段を有し、2次元スペ
    クトルデータの解析を行うことが可能な計算機システム
    を具備する磁気共鳴装置において、 解析を行う2次元スペクトル上の範囲を予め前記計算機
    システムに記憶させておき、解析の際に該範囲の2次元
    スペクトルデータのみを読み出して解析を行うことを特
    徴とする磁気共鳴装置。
  2. 【請求項2】 情報を記憶する手段を有し、2次元スペ
    クトルデータの解析を行うことが可能な計算機システム
    を具備し、かつ静磁場中に置かれた被検体あるいは試料
    に所定の手順に従って高周波磁場および勾配磁場を印加
    し、被検体あるいは試料に含まれる物質の情報を取得す
    る磁気共鳴装置において、 解析を行う2次元スペクトル上の範囲を予め前記計算機
    システムに記憶させておき、かつ前記磁気共鳴装置から
    取得される情報をもとに該範囲を修正し、解析の際に修
    正した範囲の2次元スペクトルデータのみを読み出して
    解析を行うことを特徴とする磁気共鳴装置。
  3. 【請求項3】 1Hおよび13Cに対して高周波磁場を印
    加し、 1Hと13Cとの少なくとも一方から信号を取得す
    ることにより被検体あるいは試料に含まれる物質の情報
    を取得する手段を有し、水に含まれる 1Hの周波数情報
    および脂肪に含まれる13Cの周波数情報に基づいて前記
    範囲の修正を行うことを特徴とする請求項2に記載の磁
    気共鳴装置。
  4. 【請求項4】 情報を記憶する手段を有し、2次元スペ
    クトルデータの解析を行うことが可能な計算機システム
    を具備する磁気共鳴装置において、 2次元スペクトルのデータ配列を1次元データ配列に一
    定の規則に従って変換し前記計算機システム内に格納
    し、該1次元データ配列に対して解析を行い、物質の情
    報を取得することを特徴とする磁気共鳴装置。
  5. 【請求項5】 前記2次元スペクトルは2次元絶対値ス
    ペクトルであることを特徴とする請求項4に記載の磁気
    共鳴装置。
  6. 【請求項6】 前記2次元スペクトルは2次元実部スペ
    クトルおよび2次元虚部スペクトルであることを特徴と
    する請求項4に記載の磁気共鳴装置。
  7. 【請求項7】 カーブフィッティングにより2次元スペ
    クトルで得られる物質の情報を求めることが可能な計算
    機システムを具備する磁気共鳴装置において、 2次元絶対値スペクトルから直接求められる少なくとも
    ピーク値、半値幅、および2次元実部スペクトルおよび
    2次元虚部スペクトルから求められる位相情報から該カ
    ーブフィッティングに用いるパラメータの初期値を計算
    し、計算した初期値を用いてカーブフィッティングを行
    うことを特徴とする磁気共鳴装置。
  8. 【請求項8】 カーブフィッティングにより2次元スペ
    クトルで得られる物質の情報を求めることが可能な計算
    機システムを具備する磁気共鳴装置において、 2次元絶対値スペクトルから直接求められる少なくとも
    ピーク値、半値幅、および該2次元スペクトルを取得し
    たパルスシーケンスの条件から該カーブフィッティング
    に用いるパラメータの初期値を計算し、計算した初期値
    を用いてカーブフィッティングを行うことを特徴とする
    磁気共鳴装置。
  9. 【請求項9】 前記パルスシーケンスの条件は検出期の
    データ収集直前の高周波磁場パルスとデータ収集開始ま
    での時間長であることを特徴とする請求項8に記載の磁
    気共鳴装置。
  10. 【請求項10】 2次元スペクトルで得られる物質の情
    報を複数のパラメータとして該パラメータの関数である
    モデル式を設定し、該モデル式と該2次元スペクトルデ
    ータとの差を最小とするカーブフィッティングを用いて
    該パラメータを求めることによって該物質の情報を取得
    することが可能な計算機システムを具備する磁気共鳴装
    置において、 前記複数のパラメータの一部をパラメータとするモデル
    式を用いたカーブフィッティングにより該一部のパラメ
    ータの値を推定し、推定した値を該一部のパラメータの
    初期値として該複数のパラメータの関数であるモデル式
    によりカーブフィッティングを行い、前記物質の情報を
    取得することを特徴とする磁気共鳴装置。
  11. 【請求項11】 2次元スペクトルで得られる物質の情
    報を複数のパラメータとして該パラメータの関数である
    モデル式を設定し、該モデル式と該2次元スペクトルデ
    ータとの差を最小とするカーブフィッティングによって
    該パラメータを求めることにより該物質の情報を取得す
    ることが可能な計算機システムを具備し、かつ1次位相
    が該パラメータの一つに含まれる磁気共鳴装置におい
    て、 前記一次位相は中心周波数の関数であることを特徴とす
    る磁気共鳴装置。
  12. 【請求項12】 静磁場中に置かれた被検体あるいは試
    料に所定の手順に従って勾配磁場および少なくとも 1
    に対応する高周波磁場を印加し、被検体あるいは試料に
    含まれる物質の少なくとも 1Hの情報を取得し、再構成
    により少なくとも1軸が 1H化学シフト軸である2次元
    スペクトルを求め、この2次元スペクトルを計算機シス
    テムにより解析する磁気共鳴装置において、 前記物質の情報を取得する際に取得する該物質の領域に
    対応した水 1Hの信号を取得し、再構成の結果得られる
    該領域に対応した水 1Hのスペクトルの半値幅を求め、
    解析対象である物質のピークの 1H化学シフト軸方向に
    おける半値幅を該水 1Hのスペクトルの半値幅として固
    定したモデル式を用いて該2次元スペクトルの解析を行
    うことを特徴とする磁気共鳴装置。
JP10323875A 1998-11-13 1998-11-13 磁気共鳴装置 Expired - Fee Related JP3113862B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10323875A JP3113862B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 磁気共鳴装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10323875A JP3113862B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 磁気共鳴装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000147081A true JP2000147081A (ja) 2000-05-26
JP3113862B2 JP3113862B2 (ja) 2000-12-04

Family

ID=18159583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10323875A Expired - Fee Related JP3113862B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 磁気共鳴装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3113862B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010099539A (ja) * 2010-02-10 2010-05-06 Toshiba Corp 磁気共鳴装置
JP2015019958A (ja) * 2013-07-22 2015-02-02 株式会社日立製作所 磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置、および画像処理方法
WO2019001835A1 (de) * 2017-06-26 2019-01-03 Robert Bosch Gmbh Verfahren zum automatisierten quantifizieren eines analyten sowie nmr-messgerät zur durchführung des verfahrens

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010099539A (ja) * 2010-02-10 2010-05-06 Toshiba Corp 磁気共鳴装置
JP2015019958A (ja) * 2013-07-22 2015-02-02 株式会社日立製作所 磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置、および画像処理方法
WO2019001835A1 (de) * 2017-06-26 2019-01-03 Robert Bosch Gmbh Verfahren zum automatisierten quantifizieren eines analyten sowie nmr-messgerät zur durchführung des verfahrens
CN110832337A (zh) * 2017-06-26 2020-02-21 罗伯特·博世有限公司 用于分析物的自动量化的方法以及用于实施该方法的nmr-测量设备
JP2020523605A (ja) * 2017-06-26 2020-08-06 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh 被検体を自動的に定量化する方法、及び該方法を実行するnmr測定器
CN110832337B (zh) * 2017-06-26 2022-01-14 罗伯特·博世有限公司 用于分析物的自动量化的方法以及用于实施该方法的nmr-测量设备
JP7002571B2 (ja) 2017-06-26 2022-01-20 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 被検体を自動的に定量化する方法、及び該方法を実行するnmr測定器
US11415533B2 (en) 2017-06-26 2022-08-16 Robert Bosch Gmbh Method for automatically quantifying an analyte, and NMR measuring device for carrying out the method

Also Published As

Publication number Publication date
JP3113862B2 (ja) 2000-12-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
De Beer et al. Application of time‐domain fitting in the quantification of in vivo 1H spectroscopic imaging data sets
Lam et al. Ultrafast magnetic resonance spectroscopic imaging using SPICE with learned subspaces
Moonen et al. Comparison of single‐shot localization methods (STEAM and PRESS) for in vivo proton NMR spectroscopy
Webb et al. Automated single‐voxel proton MRS: technical development and multisite verification
Vanhamme et al. MR spectroscopy quantitation: a review of time‐domain methods
Chong et al. Two-dimensional linear-combination model fitting of magnetic resonance spectra to define the macromolecule baseline using FiTAID, a Fitting Tool for Arrays of Interrelated Datasets
US8160319B2 (en) Reducing distortion in magnetic resonance images
US8143890B2 (en) Spectral resolution enhancement of magnetic resonance spectroscopic imaging
Blüml Magnetic resonance spectroscopy: basics
Zhang et al. Fast computation of full density matrix of multispin systems for spatially localized in vivo magnetic resonance spectroscopy
Bilgic et al. Lipid suppression in CSI with spatial priors and highly undersampled peripheral k‐space
US7235971B2 (en) Shimming of MRI scanner involving fat suppression and/or black blood preparation
US10705168B2 (en) System and method for low rank approximation of high resolution MRF through dictionary fitting
Klose Measurement sequences for single voxel proton MR spectroscopy
US7253619B2 (en) Method for evaluating magnetic resonance spectroscopy data using a baseline model
Landheer et al. A semi‐LASER, single‐voxel spectroscopic sequence with a minimal echo time of 20.1 ms in the human brain at 3 T
US5283526A (en) Method for performing single and multiple slice magnetic resonance spectroscopic imaging
Soher et al. Short TE in vivo 1H MR spectroscopic imaging at 1.5 T: acquisition and automated spectral analysis
US8384382B2 (en) Magnetic resonance imaging apparatus
Kulpanovich et al. What is the optimal schedule for multiparametric MRS? A magnetic resonance fingerprinting perspective
JP2006317311A (ja) 緩和時間特定およびスペクトル帰属決定方法および計測結果表示方法
EP2369987B1 (en) Quantitative oxygen imaging methods using echo-based single point imaging
US5250899A (en) Method for fat suppression in magnetic resonance imaging
JP3113862B2 (ja) 磁気共鳴装置
JPH11313812A (ja) 磁気共鳴スペクトロスコピイ方法

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080922

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 13

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees