JP2000146806A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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JP2000146806A
JP2000146806A JP10320522A JP32052298A JP2000146806A JP 2000146806 A JP2000146806 A JP 2000146806A JP 10320522 A JP10320522 A JP 10320522A JP 32052298 A JP32052298 A JP 32052298A JP 2000146806 A JP2000146806 A JP 2000146806A
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Takaaki Takenobu
貴亮 武信
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】試料表面の摩擦力を測定する際に、試料の表面
状態に対応した吸着力等の表面力に基づく摩擦力と、試
料表面の摩擦係数に基づく摩擦力とを分離して測定する
ことが可能な走査型プローブ顕微鏡を提供する。 【解決手段】カンチレバー6の先端(探針4)を振動さ
せることによって、試料2表面に対するカンチレバーの
先端(探針)の押付力を変調させる振動機構と、探針を
試料表面に沿って相対的に走査させる走査機構と、探針
を試料表面に沿って走査した際に生じるカンチレバーの
捩れ量を検出すると共に、振動機構によって変調された
押付力によって生じるカンチレバーの撓み量を検出する
ことが可能な検出機構と、この検出機構によって検出さ
れたカンチレバーの捩れ量及び撓み量に基づいて、試料
の表面状態に対応した吸着力等の表面力及び試料表面の
摩擦係数を分離して測定することが可能な測定機構とを
備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料表面の摩擦力
を測定する際に、試料の表面状態に対応した吸着力(例
えば、水分、磁気力など)等の表面力に基づく摩擦力
と、試料表面の摩擦係数に基づく摩擦力とを分離して測
定することが可能な走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の走査型プローブ顕微鏡(SP
M:Scanning Probe Microscope)は、自由端に尖鋭化し
た探針を持つカンチレバーと、探針と試料とを相対的に
移動させるスキャナとを備えている。そして、探針を試
料に近接させると、探針先端と試料表面との間に働く相
互作用(原子間力、斥力、引力、粘性、磁気力等)によ
って、カンチレバーの自由端が変位する。この自由端に
生じる変位量を電気的あるいは光学的に検出しながら、
探針を試料表面に沿って(具体的には、カンチレバーの
長手軸方向に沿って)走査することによって、試料の表
面情報等(例えば、凹凸情報)を三次元的にSPM測定
している。
【0003】このような走査型プローブ顕微鏡では、カ
ンチレバーの長手軸に対して直交する方向に探針及び試
料を相対的に移動させて、探針を試料表面に沿って走査
させた際に、カンチレバーの捩れ量を検出することによ
って、試料表面の摩擦力を測定することが可能である
(例えば、特開平9−145723号公報、特開平7−
134023号公報、特開平8−146019号公報参
照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、例えば図1
(a)に示すような試料2の表面の摩擦力を測定する場
合を想定する。この試料2は、摩擦係数、及び、探針先
端と試料表面との間に作用する吸着力(例えば、水分、
磁気力など)等の表面力が異なる複数の材料で形成され
た平坦な表面A,B,C,Dを有している。なお、各表
面A,B,C,Dにおいて、摩擦係数及び表面力の特性
は、以下のようになっている。
【0005】表面A:摩擦係数大、表面力小 表面B:摩擦係数大、表面力大 表面C:摩擦係数小、表面力大 表面D:摩擦係数小、表面力小 このような試料2の表面A,B,C,Dに沿って、カン
チレバーの押付力(試料2表面に対する探針の押付力)
Pを一定にした状態(カンチレバーの撓み量を一定にし
た状態)で、カンチレバーの長手軸に対して直交する方
向に探針を走査すると、カンチレバーの捩れ量に基づい
て得られる摩擦力Fは、図1(b)に示すように変化す
る。また、摩擦力Fは、下記の式(1)のように、 F=μN=μ(P+S)…(1) 摩擦係数μと垂直力Nの積で表される。この場合、垂直
力Nは、カンチレバーの押付力(試料表面に対する探針
の押付力)Pと、探針先端と試料表面との間に作用する
吸着力等の表面力Sとの和となっていると考えられる。
【0006】しかしながら、従来の摩擦力測定法では、
試料2の表面状態に対応した吸着力(例えば、水分、磁
気力など)等の表面力に基づく摩擦力と、試料表面の摩
擦係数に基づく摩擦力とを分離して測定することができ
なかった。この場合、カンチレバーの捩れ量に基づいて
得られる摩擦力は、表面力の変化に応じて大きく変化し
てしまうため、再現性の良い摩擦力データを得ることが
できなかった。
【0007】本発明は、このような問題点を解決するた
めに成されており、その目的は、試料表面の摩擦力を測
定する際に、試料の表面状態に対応した吸着力等の表面
力に基づく摩擦力と、試料表面の摩擦係数に基づく摩擦
力とを分離して測定することが可能な走査型プローブ顕
微鏡を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレ
バーと、このカンチレバーの先端を振動させることによ
って、試料表面に対するカンチレバーの先端の押付力を
変調させる振動機構と、カンチレバーを試料表面に沿っ
て相対的に走査させる走査機構と、カンチレバーを試料
表面に沿って走査した際に生じるカンチレバーの捩れ量
を検出すると共に、振動機構によって変調された押付力
によって生じるカンチレバーの撓み量を検出することが
可能な検出機構と、検出機構によって検出されたカンチ
レバーの捩れ量及び撓み量に基づいて、試料の表面状態
に対応した吸着力等の表面力及び試料表面の摩擦係数を
分離して測定することが可能な測定機構とを備えてい
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の原理について説明
した後、この原理を適用した一実施の形態に係る走査型
プローブ顕微鏡について、添付図面を参照して説明す
る。まず、本発明の原理について説明する。
【0010】上述したように、カンチレバーの押付力
(試料2表面に対する探針の押付力)Pを一定にした状
態(カンチレバーの撓み量を一定にした状態)で、摩擦
係数μ及び表面力Sが異なる材料で形成された平坦な試
料2(図1(a)参照)に沿って探針を走査すると、カ
ンチレバーの捩れ量に基づいて得られる摩擦力Fは、図
1(b)に示すように変化する。
【0011】ここで、カンチレバーの基端に圧電体を取
り付ける。そして、この圧電体に交流電圧を印加して、
カンチレバーの先端を振動させる。このとき、カンチレ
バーの撓み量が変化することによって、押付力Pは図1
(c)のように変化する。このような状態において、カ
ンチレバーの捩れ量に基づいて得られる摩擦力Fは、図
1(d)に示すように変化する。
【0012】いま、試料2の任意の表面領域(例えば、
表面A)に押付力P1,P2が作用しているとして、こ
れら押付力P1,P2の値を式(1)に代入すると、各
押付力P1,P2に対応した摩擦力F1,F2は、 F1=μ(P1+S)…(2) F2=μ(P2+S)…(3) となる。これら2つの式(2),(3)から摩擦係数μ
を求めると、 μ=(F2−F1)/(P2−P1)…(4) と表される。この式(4)から明らかなように、摩擦係
数μは、試料2の任意の表面領域(例えば、表面A)に
おける表面力Sの影響を受けること無く、摩擦力Fの振
幅(F2−F1)と押付力Pの振幅(P2−P1)との
比で正確に表されることが分かる。また、式(2),
(3)から表面力Sを求めると、
【0013】
【数1】 と表される。この式(5)から明らかなように、表面力
Sは、摩擦力Fの振幅(F2−F1)と押付力Pの振幅
(P2−P1)との比(P2−P1)/(F2−F
1)、及び、平均摩擦力(F2+F1)/2、平均押付
力(P2+P1)/2で表されることが分かる。
【0014】このような演算処理を他の表面領域(例え
ば、表面B,C,D)について行うことによって、各表
面の摩擦係数μ及び表面力Sを求めることができる。こ
のように本発明の原理によれば、カンチレバーの先端を
振動させて、カンチレバーの撓み量を変化させながら、
探針を試料表面に沿って走査する際に、カンチレバーの
撓み量及び捩れ量の変化を検出することによって、試料
2表面の摩擦係数μ及び表面力Sを分離して測定するこ
とが可能となる。この結果、試料2の表面状態に対応し
た吸着力等の表面力Sに基づく摩擦力と、試料2表面の
摩擦係数μに基づく摩擦力とを分離して正確に測定する
ことができる。
【0015】次に、上述したような原理を適用した一実
施の形態に係る走査型プローブ顕微鏡について説明す
る。図2(a)〜(c)に示すように、本実施の形態の
走査型プローブ顕微鏡は、先端に探針4が突設されたカ
ンチレバー6と、このカンチレバー6の先端(探針4)
を振動させることによって、試料2表面に対するカンチ
レバー6の先端(探針4)の押付力を変調させる振動機
構と、探針4を試料2表面に沿って相対的に走査させる
走査機構と、探針4を試料2表面に沿って走査した際に
生じるカンチレバー6の捩れ量を検出すると共に、振動
機構によって変調された押付力によって生じるカンチレ
バー6の撓み量を検出することが可能な検出機構と、こ
の検出機構によって検出されたカンチレバー6の捩れ量
及び撓み量に基づいて、試料2の表面状態に対応した吸
着力等の表面力S及び試料2表面の摩擦係数μを分離し
て測定することが可能な測定機構とを備えている。
【0016】振動機構は、カンチレバー6の基端に取り
付けられた圧電体8を備えており、この圧電体8に所定
の交流電圧を印加して圧電体8を励振させて、カンチレ
バー6の先端(探針4)を振動させることによって、後
述する試料台12上にセットされた試料2表面に対する
カンチレバー6の先端(探針4)の押付力Pを変調させ
ることができるように構成されている。
【0017】走査機構は、スキャナ(例えば、圧電体ス
キャナ)10を備えており、このスキャナ10は、所定
の電圧を印加することによって、可動端をXYZ方向に
変位させることができるように構成されている。スキャ
ナ10の可動端には、試料台12が取り付けられてお
り、この試料台12上に試料2がセットされている。こ
の場合、スキャナ10の可動端をXY方向に変位させる
ことによって、試料2表面に沿ってカンチレバー6の探
針4を走査させることができる。即ち、本実施の形態で
は、試料走査型の走査型プローブ顕微鏡を想定してい
る。
【0018】検出機構は、光てこ方式の変位センサを備
えており、この変位センサは、カンチレバー6の背面
(探針4が設けられている面とは反対側の面)に変位測
定用レーザー光を照射することが可能な光源14と、カ
ンチレバー6の背面から反射した反射光を受光し、その
受光位置及び受光量の変化に基づいて、カンチレバー6
の捩れ量及び撓み量を光学的に検出することが可能な受
光素子(4分割フォトディテクタ)16とを備えてい
る。
【0019】測定機構は、例えば図2(b)に示すよう
な摩擦係数測定回路と、例えば図2(c)に示すような
表面力測定回路とを備えている。次に、本実施の形態の
動作について説明する。
【0020】まず、圧電体8を励振させて、カンチレバ
ー6の先端(探針4)を振動させることによって、試料
台12上にセットされた試料2表面に対するカンチレバ
ー6の先端(探針4)の押付力Pを変調させる。
【0021】この状態において、スキャナ10の可動端
に取り付けられた試料台12をXY方向に変位させるこ
とによって、試料2表面に沿ってカンチレバー6の探針
4をラスター走査させる。この場合、変位センサの4分
割フォトディテクタ16から出力される撓み量の変調信
号が一定になるように、スキャナ10のZ方向の変位量
をフィードバック制御する。このフィードバック制御
は、フィードバック制御回路(図示しない)により行わ
れる。なお、「撓み量の変調信号が一定」とは、撓み量
の変調信号の振幅が一定であると共に、その振幅の中心
位置が一定位置に保たれた状態を言う。
【0022】一般的に、カンチレバー6の共振周波数
は、20KHz程度であるため、上述したような制御条
件を満足させるためには、スキャナ10を制御する際の
応答周波数よりも充分高い周波数で圧電体8を励振させ
て押付力Pを変調させる必要がある。例えば、カンチレ
バー6の共振周波数を20KHzとすると、圧電体8の
変調周波数を2KHz程度に設定し、且つ、スキャナ1
0をZ方向にフィードバック制御するときの応答周波数
を200Hz程度に設定することが好ましい。
【0023】このようなフィードバック制御を行いなが
ら、試料2表面に沿ってカンチレバー6の探針4をラス
ター走査した際、変位センサによってカンチレバー6の
捩れ量及び撓み量が光学的に検出される。変位センサの
4分割フォトディテクタ16は、4つの受光領域16
a,16b,16c,16dを有しており、これら4つ
の受光領域16a,16b,16c,16dから出力さ
れる信号に基づいて、カンチレバー6の捩れ量及び撓み
量を特定することができる。具体的には、各受光領域1
6a,16b,16c,16dから出力される信号値を
a,b,c,dとすると、(a+c)−(b+d)なる
信号成分が、カンチレバー6の捩れ量に対応した捩れ信
号となり、(a+b)−(c+d)なる信号成分が、カ
ンチレバー6の撓み量に対応した撓み信号となる。
【0024】ここで、試料2の任意の表面に対して探針
4をラスター走査し、その表面の摩擦力Fを測定する動
作について説明する。この場合、スキャナ10を撓み信
号に基づいてZ方向にフィードバック制御する際に、ス
キャナ10に印加される電圧値から、試料2の表面情報
(例えば、凹凸情報)を測定することができる。
【0025】また、探針4を試料2表面に沿ってラスタ
ー走査している間、変位センサの4分割フォトディテク
タ16から出力された捩れ信号T=(a+c)−(b+
d)及び撓み信号W=(a+b)−(c+d)は、夫
々、例えば図2(b)に示すような摩擦係数測定回路又
は例えば図2(c)に示すような表面力測定回路に入力
される。
【0026】図2(b)に示す摩擦係数測定回路におい
て、捩れ信号T=(a+c)−(b+d)は、バンドパ
スフィルタ18を介して、圧電体8によって加えられた
変調周波数成分のみが取り出された後、実効値回路20
を介して、その交流成分(即ち、摩擦力振幅成分)T1
が取り出される。
【0027】この場合、例えば図1(a)に示すような
表面状態を有する試料2表面をラスター走査したとする
と、捩れ信号Tは、図1(d)に示すような信号特性を
有している。従って、実効値回路20を介して取り出さ
れた摩擦力振幅成分T1は、図3(a)に示すように、
表面C,Dにおいて振幅の減少した信号特性(F2−F
1)となる。そして、このような摩擦力振幅成分T1=
(F2−F1)は、割算器22に入力される。なお、摩
擦力振幅成分(F2−F1)は、カンチレバー6の捩れ
方向のバネ定数と4分割フォトディテクタ16の信号感
度とに基づいて算出することができる。
【0028】また、摩擦係数測定回路において、撓み信
号W=(a+b)−(c+d)は、バンドパスフィルタ
24を介して、圧電体8によって加えられた変調周波数
成分のみが取り出された後、実効値回路26を介して、
その交流成分(即ち、押付力振幅成分)W1が取り出さ
れる。
【0029】この場合、例えば図1(a)に示すような
表面状態を有する試料2表面をラスター走査したとする
と、撓み信号Wは、図1(c)に示すような一定の信号
特性を有している。従って、実効値回路26を介して取
り出された押付力振幅成分W1も、一定の信号特性(P
2−P1)となる。そして、このような押付力振幅成分
W1=(P2−P1)は、割算器22に入力される。な
お、押付力振幅成分(P2−P1)は、圧電体8の移動
量とカンチレバー6の撓み方向のバネ定数とに基づいて
算出することができる。
【0030】そして、割算器22において、上述した式
(4)に基づいて、摩擦力振幅成分T1と押付力振幅成
分W1に割算処理が施される。この結果、図3(b)に
示すように、各試料2表面の摩擦係数μ=(F2−F
1)/(P2−P1)を求めることができる。
【0031】一方、図2(c)に示す表面力測定回路に
おいて、捩れ信号T=(a+c)−(b+d)は、ロー
パスフィルタ28を介して、その平均摩擦力成分T2が
求められる。なお、ローパスフィルタ28は、圧電体8
で加えられた変調周波数よりも低い周波数に設定されて
いる。
【0032】この場合、例えば図1(a)に示すような
表面状態を有する試料2表面をラスター走査したとする
と、捩れ信号Tは、図1(d)に示すような信号特性を
有している。従って、ローパスフィルタ28を介して求
められた平均摩擦力成分T2は、図3(c)に示すよう
な信号特性(F2+F1)/2となる。そして、この平
均摩擦力成分T2=(F2+F1)/2は、割算器30
に入力される。
【0033】また、表面力測定回路において、撓み信号
W=(a+b)−(c+d)は、ローパスフィルタ32
を介して平均押付力成分W2が求められる。なお、ロー
パスフィルタ32は、圧電体8で加えられた変調周波数
よりも低い周波数に設定されている。
【0034】この場合、例えば図1(a)に示すような
表面状態を有する試料2表面をラスター走査したとする
と、撓み信号Wは、図1(c)に示すような一定の信号
特性を有している。従って、ローパスフィルタ32を介
して求められた平均押付力成分W2は、一定の値(P2
+P1)/2となる。そして、この平均押付力成分W2
=(P2+P1)/2は、引算器34に入力される。
【0035】割算器30は、上述した摩擦係数測定回路
で求められた摩擦係数μと平均摩擦力成分T2に割算処
理を施して、その割算結果Sdを引算器34に出力す
る。そして、引算器34において、上述の式(5)に基
づいて、割算結果Sdと平均押付力成分W2に引算処理
が施される。この結果、図3(d)に示すように、各試
料2表面の表面力S={(F2+F1)/2}×{(P
2−P1)/(F2−F1)}−{(P2+P1)/
2}を求めることができる。
【0036】本実施の形態によれば、試料2表面の摩擦
力を測定する際に、カンチレバー6の先端を所定の周波
数で振動させて、その撓み量を変化(押付力Pを変調)
させながら、カンチレバー6の撓み量及び捩れ量の変化
を検出することによって、試料2の表面状態に対応した
吸着力等の表面力Sに基づく摩擦力と、試料2表面の摩
擦係数μに基づく摩擦力とを分離して正確に測定するこ
とができる。
【0037】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されることは無く、以下のように種々変更することが
可能である。上述した実施の形態では、振動機構とし
て、カンチレバー6の基端に取り付けられた圧電体8を
適用したが、圧電体8を設ける代わりに、例えばスキャ
ナ(例えば、圧電体スキャナ)10をZ方向に高い周波
数で励振させることによって、試料2表面に対するカン
チレバー6の先端(探針4)の押付力Pを変調させても
良い。
【0038】また、上述した実施の形態では、試料走査
型の走査型プローブ顕微鏡を想定したが、探針走査型の
走査型プローブ顕微鏡にも本発明を適用することが可能
である。探針走査型の走査型プローブ顕微鏡には、スキ
ャナ10の可動端にカンチレバー6が取り付けられてお
り、スキャナ10の可動端をXY方向に変位させること
によって、試料2表面に沿ってカンチレバー6の探針4
を走査させる。なお、スキャナ10のZ方向のフィード
バック制御も上述した実施の形態と同様に行われる。つ
まり、スキャナ10は、測定時に試料2とカンチレバー
6の先端(探針4)とを相対的に移動(XY走査及びZ
方向フィードバック制御)させるための手段であれば良
く、試料2,カンチレバー6の何れを動作させても良
い。
【0039】また、上述した実施の形態において、変位
センサの4分割フォトディテクタ16から出力される捩
れ信号及び撓み信号や、振動機構(圧電体8)の移動量
等をコンピュータに取り込むように構成すれば、例えば
図2(b),(c)に示すような摩擦係数測定回路及び
表面力測定回路を設けること無く、上述した式(4)と
式(5)によって摩擦係数μ及び表面力Sを算出するこ
とができる。
【0040】更に、上述した実施の形態では、検出機構
として、光てこ方式の変位センサを用いて、カンチレバ
ー6の捩れ量及び撓み量を光学的に検出しているが、こ
の変位センサを用いる代わりに、例えばカンチレバー6
自体にピエゾ抵抗層を形成して、このピエゾ抵抗層の抵
抗値の変化(即ち、ピエゾ抵抗層を流れる電流値の変
化)に基づいて、カンチレバー6の捩れ量及び撓み量を
電気的に直接検出しても良い。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、試料表面の摩擦力を測
定する際に、試料の表面状態に対応した吸着力等の表面
力に基づく摩擦力と、試料表面の摩擦係数に基づく摩擦
力とを分離して測定することが可能な走査型プローブ顕
微鏡を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、表面力の異なる複数の材料で形成さ
れた平坦な表面を有する試料の構成を示す図、(b)
は、同図(a)に示された試料表面に沿って探針を走査
した際に得られる摩擦力の変化状態を示す図、(c)
は、カンチレバーの先端を振動させながら走査した際に
得られる押付力の変化状態を示す図、(d)は、カンチ
レバーの先端を振動させながら走査した際に得られる摩
擦力の変化状態を示す図。
【図2】(a)は、本発明の一実施の形態に係る走査型
プローブ顕微鏡の主要な構成を示す図、(b)は、摩擦
係数測定回路の構成を示すブロック図、(c)は、表面
力測定回路の構成を示すブロック図。
【図3】(a)は、図1(a)に示すような表面状態を
有する試料表面をラスター走査した際に得られる摩擦力
振幅の特性を示す図、(b)は、図1(a)に示すよう
な表面状態を有する試料表面をラスター走査した際に測
定される摩擦係数の特性を示す図、(c)は、図1
(a)に示すような表面状態を有する試料表面をラスタ
ー走査した際に得られる平均摩擦力の特性を示す図、
(d)は、図1(a)に示すような表面状態を有する試
料表面をラスター走査した際に測定される表面力の特性
を示す図。
【符号の説明】
2 試料 4 探針 6 カンチレバー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンチレバーと、 このカンチレバーの先端を振動させることによって、試
    料表面に対するカンチレバーの先端の押付力を変調させ
    る振動機構と、 カンチレバーを試料表面に沿って相対的に走査させる走
    査機構と、 カンチレバーを試料表面に沿って走査した際に生じるカ
    ンチレバーの捩れ量を検出すると共に、振動機構によっ
    て変調された押付力によって生じるカンチレバーの撓み
    量を検出することが可能な検出機構と、 検出機構によって検出されたカンチレバーの捩れ量及び
    撓み量に基づいて、試料の表面状態に対応した吸着力等
    の表面力及び試料表面の摩擦係数を分離して測定するこ
    とが可能な測定機構とを備えていることを特徴とする走
    査型プローブ顕微鏡。
JP10320522A 1998-11-11 1998-11-11 走査型プローブ顕微鏡 Withdrawn JP2000146806A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103759872A (zh) * 2014-01-02 2014-04-30 上海交通大学 用于海洋平台模型振荡试验的多自由度测力装置
CN106017939A (zh) * 2016-05-10 2016-10-12 芜湖莫森泰克汽车科技股份有限公司 一种车辆天窗实验方法
CN109406386A (zh) * 2017-10-30 2019-03-01 西南交通大学 应用于纳米级单点接触超低摩擦系数测量的异形横截面微悬臂梁探针设计及加工方法

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