JP2000131450A - 電磁ポテンシャルの特定伝播波形遠隔測定装置 - Google Patents

電磁ポテンシャルの特定伝播波形遠隔測定装置

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JP2000131450A
JP2000131450A JP10304053A JP30405398A JP2000131450A JP 2000131450 A JP2000131450 A JP 2000131450A JP 10304053 A JP10304053 A JP 10304053A JP 30405398 A JP30405398 A JP 30405398A JP 2000131450 A JP2000131450 A JP 2000131450A
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waveform
amplitude
threshold
gate
antenna
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JP10304053A
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Yoshihiko Mizushima
宜彦 水島
Morio Takechi
盛生 武市
Satoru Kaneko
哲 金子
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物体の電磁ポテンシャルの特定伝播波形を遠
隔測定する電磁ポテンシャルの特定伝播波形遠隔測定装
置を提供する。 【解決手段】 本装置においては、アンテナ1の受信信
号出力が入力されると共に目的の波形を特定可能なよう
に波形振幅の上限及び/又は下限を規定する複数の振幅
閾値ゲートA1,A2が経時的に設定されている。目的
の波形が閾値ゲート手段を通過した旨はカウンター7記
録される。これにより目的外の信号を除外することがで
き、本装置は地震の災害予知などに利用することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁ポテンシャル
の過渡変動の結果として伝播する特定伝播波形を遠隔測
定する電磁ポテンシャルの特定伝播波形遠隔測定装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、地震予知を対象とした地殻の
探査研究は、各機関で盛んに行われている。一般の地殻
探査の際には、地中内に圧力波を送り、その応答を測定
することが行われている。また、地震の前兆とされる電
波異常を検出する試みもある。この場合、地殻を含む通
常の物体は、他の物体に対して完全に遮蔽又は接地され
ていない限り、その電磁ポテンシャルが必ずしも一定に
保持されていない。したがって、外部の原因、例えば充
放電等により、その電磁ポテンシャルが変動することが
ある。
【0003】地殻等の巨大物体の電磁ポテンシャル変動
に伴って発生する特定伝播波形は、特に単一波形からな
る場合が多い。本願発明者らは、地震予知等の前段階と
して、電磁ポテンシャル過渡変動の結果として伝播する
特定伝播波形を遠隔測定する装置を特願平10−151
616号において提案した。なお、この装置は、単一波
形を検出するために単一のゲートを備えており、地震予
知のみならず、種々の物体の計測に利用することができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記装
置は、単一ゲートであるため、特定伝播波形と妨害雑音
との判別精度は十分ではない。現実に、周囲の雑音が多
い時には、目的とする特定伝播波形のパルス以外の波形
が混入し得る。すなわち、単一ゲートでは、完全に妨害
雑音の混入を防止することはできないため、雑音が多い
場合には信号対雑音比が悪くなる。そこで、本願発明者
らは更なる改良を行い、更に高精度に巨大物体等からの
電磁ポテンシャルの特定伝播波形を遠隔測定する装置を
開発した。本発明は、このような電磁ポテンシャルの特
定伝播波形遠隔測定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る電磁ポテンシャルの特定伝播波形遠隔
測定装置は、低周波域に感度を有するアンテナと、アン
テナの受信信号出力が入力されると共に目的の波形を特
定可能なように波形振幅の上限及び/又は下限を規定す
る複数の振幅閾値ゲートが経時的に設定された振幅判別
用閾値ゲート手段と、目的の波形又は該波形が閾値ゲー
ト手段を通過した旨を検出し、又は選択して保存する検
出保存手段とを具備することを特徴とする。
【0006】本発明の装置によれば、目的の波形を特定
可能なように波形振幅の上限及び/又は下限を規定する
複数の振幅閾値ゲートが経時的に設定された振幅判別用
閾値ゲート手段を通過した目的の波形又はその旨を検出
保存手段によって検出又は選択して保存するので、この
目的の波形情報を他の波形ないし雑音と区別することが
できる。
【0007】例えば、単一パルスに注目するとき、後続
波が無いことを保証するための閾値ゲート手段は振幅の
下限を規定する第1ゲート及び振幅の上限を規定する第
2ゲートの2段より成り、所定の特定遅延時間後の第2
ゲートの閾値が第1ゲートのそれよりも低く設定されて
いることとしてもよい。
【0008】アンテナはループコイルであり、その平面
を水平に設置する場合を含むこととすれば、空電雑音が
少なくすることができる。
【0009】また、アンテナは、複数のアンテナの指向
性を二次元又は三次元に組み合わせてなり、各々の複数
のアンテナの出力を閾値ゲート手段に入力し、検出保存
手段により閾値ゲート手段を通過したそれぞれを判別記
録し、記録されたそれぞれの比較により電磁波の到来方
向の情報を得るようになされることとしてもよい。すな
わち、各方位のアンテナからの出力は到来方向に関して
信号の方向余弦成分に相当するようにその出現数が減少
分配されるので、これから電磁波の到来方向を知ること
ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態に係る電磁ポテ
ンシャルの特定伝播波形遠隔測定装置について説明す
る。同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を
用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0011】図1は、測定対象物と測定装置の関係を説
明するための説明図である。本実施の形態に係る電磁ポ
テンシャルの特定伝播波形遠隔測定装置100は、物体
101から発生した特定の電磁波102を検出する。
【0012】物体101の電磁ポテンシャル変動は、通
常、平衡状態にある物体101の電磁気的な過渡揺らぎ
を意味し、この結果、空間を伝播する電磁波102が発
生する。なお、ここで言う電磁ポテンシャルとは、静電
荷による静電ポテンシャル若しくは物体101中の電流
によるベクトルポテンシャルを指すものとする。
【0013】物体101が大地或いは地殻の一部である
場合、その電気伝導率は有限であるので、これは誘電緩
和時定数を有し、何等かの原因による変動によって比較
的低周波の静電気的揺らぎや地電流が発生する。したが
って、これに伴う充放電等により物体には電磁ポテンシ
ャルの揺らぎが起り、これからの電磁波102を測定装
置100によって検出することにより、大地の状態を把
握し、この結果を地震予知に利用することができる。例
えば、地殻の歪みや部分的破壊は、静電荷や地電流を誘
発するので、これから発生する電磁波102を監視する
ことによって、地震予知を行うことができる。また、落
雷などの監視は、従来、遠方の空中電波を監視すること
によって行われてきたが、この方法には危険が迫ってい
る状態との判別に問題がある。一方、大地である物体1
01の電磁ポテンシャルを測定装置100により遠隔測
定すると、測定装置100は安全な位置で、物体101
が雷雲により荷電する様子を直接観測することができ
る。すなわち、雷雲からの誘導で荷電した物体101の
ポテンシャルは、大地の誘導緩和により消失するため、
短時間で再びゼロとなるが、その過渡変化は低周波域の
電磁波となって観測できるのである。
【0014】物体101が大地に建設された構造物であ
る場合、その電磁ポテンシャルは大地の電磁ポテンシャ
ル変動に伴って過渡的な変動を示す。なお、上記電磁ポ
テンシャル変動の測定に関し、一般に物体101の電磁
ポテンシャルが変動するときには、その物体101を載
せている大地のポテンシャル自体が変動する。(したが
って、接地点に対しての電位を一定と考えること自体に
意味がない。)また、物体101が大地とは絶縁状態に
ある移動体である場合、これは帯電しやすく、電磁ポテ
ンシャルが変動しやすい。上記構造物としては石油タン
ク等、移動体としては自動車等が列挙される。これらの
引火性のある物体は保安上重要なため、これらの電磁ポ
テンシャル変動に伴う電磁波102を測定装置100に
よって検出することにより、物体の状態を把握し、この
結果を物体の監視に利用することができる。換言すれ
ば、ある物体の対地電磁ポテンシャルは、大地に接続又
は接触している状態で変動するため、これを監視するこ
とができるが、大地に接触していなくても、同様にして
2物体間の電磁ポテンシャルの変動を監視することがで
きる。
【0015】物体101が、電気鉄道に使用される線路
等である場合、この付近では漏洩帰線電流が地中を流れ
る場合がある。これは付近の電食を引き起こす場合があ
り、漏洩帰線電流を監視することにより、電食発生状況
を把握することができる。物体101が電車である場
合、その移動通過に伴って近傍に電磁ポテンシャルの変
動を起こすので、これを監視することで、その移動を知
ることができる。
【0016】上述の特定伝播波形には、予想できる波形
を持つもがあり、例えば地殻変動等の静電荷の揺らぎに
関係する電磁波においては誘電緩和による損失のため
に、波形は単一パルス(及び若干の過渡裾引きを含む)
から成ることが多い。この他の交番電流波形では積算し
たときに直流分を持たないので、電荷の蓄積(又は消
失)にならない。
【0017】一般に、信号の計測においては、しばしば
特定の波形、(例えば単一パルス)に着目して、これを
抜き出して計測又は計数する必要がある。到来パルスの
波形を全数記録してからメモリーから取りだして検査
し、その中から特定のパルス波形を判別して、その結果
により必要なものを保存し、不必要のものを捨てること
はもちろん技術的に可能である。しかしながら、その処
理は複雑になり、膨大なメモリーを消費するので、更に
簡単に行うことが求められる。このことは、問題の現象
が電子回路の処理速度にくらべて早すぎる時にも、遅す
ぎる時にも深刻になる。
【0018】一方、本装置100は低周波域の電磁波に
おいて、目的とする波形が特定の波形(例えば単一パル
ス)の場合、これのみを簡単な回路で選択的に抽出しリ
アルタイムで検出することができる。以下、詳説する。
【0019】図2は、測定装置100のアンテナ信号出
力波形を示すグラフであり、横軸は時間を、縦軸は振幅
を示す。これは単一パルスの波形を検出するための例で
ある。
【0020】測定装置100のアンテナ信号出力には低
振幅のノイズ成分が含まれているので、これと目的の信
号とを区別するために、第1の振幅閾値A1が設定され
ている。閾値A1を越える振幅を有する波形が入力され
た場合には、目的の波形X(実線)が入力されたものと
仮定する。目的の波形Xの概形は予め予定されているも
のとする。入力された波形が目的の波形Xであれば、時
刻t0から所定遅延時間Tを経過した時刻t1におい
て、その振幅が第2の振幅閾値(A2)以下であるもの
とする。なお、時刻t0は閾値A1を越えた時刻或いは
波形のピーク時刻である。
【0021】したがって、入力された波形が第1の振幅
閾値(下限閾値A1)を越えた後、更に所定遅延時間T
経過後に振幅が第2の振幅閾値(上限閾値A2)を下回
った場合には、目的の波形Xが入力されたものと認定す
ることができる。
【0022】入力された波形が第1の振幅閾値(下限閾
値A1)を越えた場合であっても、所定遅延時間T経過
後に振幅が第2の振幅閾値(上限閾値A2)を上回る場
合には、目的外の波形Y(一点鎖線)が入力されたもの
と認定することができる。
【0023】上記目的の波形の監視は、非接触測定、す
なわちアンテナを用いた遠隔測定で行われるが、これは
換言すれば誘導電位の変化を測定することである。上記
測定における閾値A1,A2や所定時間Tなどは、検出
感度やその環境の電磁気的時定数など、その環境に応じ
て設定すればよい。
【0024】図3は上記測定装置100の好適な構成例
を示すブロック図である。この装置100は、上記のよ
うに上限及び又は下限を持つ二段以上の通過限界閾値ゲ
ートを設け、特定波形と他の波形や雑音とを区別して選
択できるようにされている。
【0025】アンテナ1の出力は要すれば増幅器2で増
幅され、また要すれば帯域制限され、また全波整流器3
で全波整流されて正負両方向の振幅最大値を正方向に揃
えて直す。これは到来信号の極性において正負両極性の
場合を含むときに有効である。その出力をゲート4に加
える。これは第1の設定された下限閾値A1を持つゲー
トであり、判定回路の初期値は、閾値が第1の値A1で
あり、かつメモリー5が空の状態である。アンテナ1か
らの信号振幅がこの第1の初期値A1を超えるときゲー
ト4を通過した信号はメモリー5に一時的に保存され
る。メモリー5に保存された信号があるときには、その
動作に伴って遅延時間T経過後、ゲート4が第1の閾値
A1よりも低い第2の上限閾値A2で動作するように変
更される。したがって、このゲート4は異なるタイミン
グで異なる動作を行うので、実質的には複数のゲートで
ある。別に所定のタイマー信号発生器6があり、これで
規定する所定の遅延時間T以内にゲート4の第2の閾値
A2を通過する信号が発生したときには、メモリー5に
保存された信号は棄却され、状態はリセットされる。こ
の動作に伴ってメモリー5は空になるので、閾値は初期
の第1の値A1に戻される。
【0026】所定の遅延時間T後に第2の閾値A2を通
過する信号が無いときにのみ、メモリー5に既に保存し
てある信号又はその旨がカウンター7に送られ、状態は
リセットされる。こうしてカウンター7は、目的の波形
である単一パルスのみを検出し計数する。上記の所定の
一定時間Tは、その下限としては、その振幅における目
的とする単一パルス波形自体の幅より長く設定される。
これ以下の短時間では、波形が閾値以上の値を保持して
いる。この長さは、目的のパルスによって、又、応用分
野により異なるが、地殻に関係する所定の低周波域で
は、例えば、1ミリ秒程度の時間以上に選ぶことが多
い。また、とくに外来雑音を考慮するときには、特に、
電力線からの誘導の多い地域では、その交流周波数によ
って、繰り返し波形の妨害を避けるように時間の長さを
選定する。例えば、アンテナ信号出力が全波整流された
場合では交流半周期を考え、10ミリ秒程度以上に選ぶ
ことがある。
【0027】また、波形を記録するには、上記のメモリ
ーで1ビットを記憶する代わりに、AD変換器と所定長
の波形メモリー等を用い、カウンターの代わりにハード
ディスク等を用いてもよい。
【0028】本装置においては、少なくとも2個の閾値
ゲートを有するが、これは既に述べたようにパルス波形
を特徴づけるには、少なくとも上記のように二段ゲート
A1,A2が必要となるからである。第1の閾値A1は
雑音を越えて求める信号の振幅を受け入れるに必要な下
限値に設定され、第2の閾値A2は所定の遅延時間T後
に目的の波形を表す振幅に必要な値に設定される。しか
し、3段以上のゲートを用いれば、更に正確な判定がで
きる。正確に目的の波形を捕捉選別するためには、複数
の閾値及び所定遅延時間の許容範囲について上限下限を
厳密に規定することが必要である。目的の波形が既知で
ある時には、それに従い、さらに第3、第4の閾値ゲー
トを設け、それぞれ波形の上限及び又は下限を設定し、
その許容範囲を通過する波形のみを許容検出ないし保存
記録すればよい。遅延時間Tについても同様に設定すれ
ばよい。このように、複数の閾値を設定してゆけばどん
な波形でも厳密に規定できる。
【0029】図4は上記測定装置100の好適な別の構
成例を示すブロック図である。アンテナ等は上記と共通
である。8は第1の設定された下限閾値A1を持つ第1
のゲートであり、9はこれと並列に接続され、第2の設
定された上限閾値A2を持つ第2のゲートである。第2
の閾値A2は第1の閾値A1よりも低く設定されてある
ものとする。ゲート8を通過する信号があるときには、
その出力によってこの情報がメモリー5に優先的に書き
込まれる。別に所定のタイマー信号発生器10があっ
て、これで規定する所定の遅延時間T以内にゲート9を
通過する信号があるときには、メモリー7は消去され、
状態はリセットされる。ゲート9を通過する信号が無い
ときにはメモリーの情報は次段のカウンター11に送ら
れ、状態はリセットされる。こうしてカウンター11の
出力は単一パルスのみを計数できる。波形を記録すると
きには前述の例と同様にすればよい。
【0030】上記装置100は、主として大地電位に関
係して信号発生機構を監視する。被測定信号が、有線を
介して対象物から直接に得られるときには雑音が少な
く、広帯域に信号を処理することができるが、本発明例
は野外で測定することが多く、無線であるため、多くの
雑音成分を含むこととなる。(雷撃を予知しようとする
場合には、目的信号は空電であるが)以下では、別の信
号(例えば地殻からの信号)が目的信号であることと
し、空電がその妨害となる場合について述べる。すなわ
ち、低周波アンテナ1を用いた測定において、重大な妨
害雑音となるのは、雷に関する空電現象と電力線からの
誘導である。これらは一般に交番的繰り返し波形ないし
既知の長さを持つので、単一パルス波形とは区別される
べきものであるため、回路的にも除去可能なものである
が、電気回路のみでは十分に除去できない場合もある。
【0031】空電の電波は空間を伝播してくるのである
が、大地の有限の電気伝導度のために電磁波成分のうち
電気力線は大地に垂直となる傾向をもつ。磁気力線はこ
れに垂直であるので、これにより大地付近に設置された
垂直面をもつループアンテナに空電雑音は受信されやす
い。そこで、空電妨害を避けるため、ループアンテナの
面を水平に置くこともよい。水平に置かれたループアン
テナの方が空電による雑音が少なく、目的信号波のうち
の磁気波を受信しやすいからである。磁気力線には上記
の制約がなく、地中では電界成分よりも磁界成分が多い
からである。したがって、目的磁気波が大地に関係する
ときには、地中電流による発生磁気力線を捕捉するため
にも水平アンテナがよい場合がある。
【0032】このように、検出の方式としては磁気力線
を捕捉する方が有利な場合が多いので、本装置100で
はループコイルアンテナが用いられる。フェライトコア
などは必要に応じてこれに追加使用される。
【0033】なお、上述の場合には瞬間の過渡的電磁ポ
テンシャル変動が電磁波102となって伝播するので、
本装置により無線で測定することになるが、その電磁波
102は大地の誘電緩和時間(通常は100マイクロ秒
ないし1ミリ秒の程度)の関係で低周波域となる。従
来、これは測定困難であったため、厳密な波形の評価測
定はなされたことがない。
【0034】上記において指定したパラメータには、第
1及び第2の閾値(レベル)上限値か下限値かの別、及
び所定の遅延時間がある。レベル値はアンテナ及び付加
増幅器、周波数フィルターなどを含む総合増幅率と、目
的の電磁波の強度と、妨害電磁雑音との比較(信号対雑
音比)によって決められる。その実例は、例えば、アン
テナ1がループコイルアンテナであって、その直径10
cm、巻数104回、増幅率60dBのとき、第1レベ
ルは1ないし0.3ボルト、第2レベルは0.5ないし
0.2ボルトの範囲に設定されること等がその例であ
る。また、所定遅延時間Tは目的とする信号の特定波形
と妨害波形との比較から選ばれる。例えば送電線や架空
線の近傍では商用周波数ないし誘導雑音の妨害が多いの
で、第2ゲートは、この周期に感じないような時間に設
定すると有効である。通常、0.5乃至10ミリ秒の間
が選ばれる。また電気鉄道の地電流は、通過電気車輌の
速度や長さによってその経過時間長が異なるので、あら
かじめその時間長を予定して設定することが好ましい。
【0035】また、上記に説明したように、地震に関係
する電磁波形に関しては、経験的に発生波形は地殻の誘
電緩和周波数に関係して波形が決まっており、ミリ秒又
はそれ以下のことが多いので、電力周波数妨害とは区別
できる。この種の妨害は下記の方法などでその到来方向
が特定されれば、除くことも容易である。以下に説明す
る発生源の方向の特定においては、上記垂直面のアンテ
ナの指向特性を利用することも必要で、その際には、上
記に拘らずアンテナの方位を組み合わせ、それによっ
て、できるだけ雑音を消去するようにデータ処理され
る。
【0036】地震などのように、電磁波の到来方位を求
める必要があるときには、アンテナ1の持つ指向性を利
用し、それをxyの二次元ないしxyzの三次元に組み
合わせ、それぞれの方位についてカウントする。求める
イベントから生じる到来電磁波は、振幅に関して分布を
持ち、その例としては、波高値が高いほど出現数は減少
する関数形を有することが多く、また振幅の狭い範囲で
は近似的には比例的な形を取ることの多いことなどが、
本発明者の実験により見出されている。
【0037】これらの分布関数を別途測定しておく。x
yz各方位のアンテナからの出力は到来方向に関して信
号の方向余弦成分に相当するように出現数が減少分配さ
れるので、またこれをゲートにおいて一定の閾値でスラ
イスすることによっても、それぞれの方向成分のイベン
ト数を決定できる。一般にこのような信号の方向余弦成
分とそのイベント振幅分布関数とは独立であるので、そ
の方向余弦成分がアンテナによって異なるとき、各アン
テナからのイベント数の比は方向余弦成分の比に対応す
るので、xyz方向のアンテナを備え、到来方向のxy
z3成分のカウント数を求めて比較することにより、こ
れから電磁波102の到来方向を知ることができるので
ある。
【0038】また、別の応用として、信号到来波102
の振幅包絡線についての特定波形を検出する例について
述べる。電気鉄道の沿線近傍では、架空線がアンテナの
役割をするため雑音再放射が多い。この時電車が通過す
ると、車体が一時架空線を高周波的に接地短絡するため
再放射雑音が減少し、通過後はもとに戻る。これによっ
て電車の通過を検出できる。すなわち、信号波の単一パ
ルス波形を検出するのではなく、連続的雑音が特定時間
だけ減少するとき、その受信強度包絡線が負方向の単一
パルス波形をなすことに着目し、この特定波形を選別す
る。この時のゲート作用も同様で、第1閾値A1が雑音
レベルを検出できる下限値であり、第2閾値A2は、そ
れよりも低い上限値であることは上記と共通である。そ
れによって、一時メモリー5に保存した信号の選別保存
が発生するときに、それを検出してカウントすれば電車
の通過を遠隔監視することができる。
【0039】上記に述べた程度の受信装置による例で
は、電気鉄道近傍での雑音振幅は、1ボルト程度の振幅
を持ち、10キロヘルツ以上の不規則な雑音から成り立
っている。電車の通過は、秒単位のゆっくりした現象な
ので、そのような低周波では100ヘルツ程度の雑音周
波数は連続波とみなせ、この包絡線強度が電車の通過に
よって変化する現象とみなせる。実際、電車の通過時に
は雑音振幅が、例えば1/3に低下する。したがって、
上述のように本装置は複数ゲートで特定波形を検出する
手段を有する。
【0040】また、このような応用は、目的物体による
電波の遮蔽撹乱効果にも適用できるので、工場内の物体
移動監視等にも利用できる。道路の反対側に電波源があ
り、これを通過自動車が遮断するときにも使用できる
が、この時、目的の電波周波数に同調して受信する方法
ではなく(電波源は何らかの電波雑音でもよいので)、
物体通過に対応するようなゆっくりした低周波帯域のみ
を利用して、自然雑音などの低周波受信電波の振幅変動
包絡線における特定波形を検出することもでき、この波
形を特定するために複数のゲートを用いることは電波源
を不要とするので新規な手法である。
【0041】上記前願発明においては、パルス波形の選
別基準として次の手段を用いた。すなわち、到来信号の
振幅がある下限閾値(レベル)を超えるとき、これを一
旦記録しておき、それから所定の遅延時間内に該閾値を
超える信号が再来しないときに、該信号は孤立パルスで
あると認定して、記録することとした。しかし、該信号
がその後にそれより僅か低い過渡減衰波(又は連続波)
を伴っているときも単一パルスとして認定する恐れがあ
り、結果として、雑音の混入を許すこととなる。
【0042】本実施の形態においては、さらに高度に厳
密な測定を行うために、新しい手段を設けたので、目的
とする特定の波形、例えば単一パルス波形に着目限定し
てその他の雑音波形を排除した測定を実行することがで
きる。なお、ここでは、単一パルスというのは、平均し
て直流分を有するものを指すことにする。
【0043】信号選別用のゲート閾値は前願発明におい
ては1個であったが、これでは高精度の検出ができない
ため、本実施の形態においては閾値ゲートを複数とし、
その閾値とその作用時刻をそれぞれ異なる値に指定する
ことにより、特定の波形のみを通過させるようにした。
すなわち、後続波の振幅で目的波と雑音とを選別制限す
べく、もうひとつの手段を設けた。最初の信号を一旦記
録したのち、その後続波に対しては上限閾値を積極的に
低くしておき、その閾値を超えて再来しないことを確認
してから記録することにした。これにより、真の単一パ
ルス的波形のみを正確に選別することができ、雑音の混
入も少なくすることができる。このために、本装置で
は、下限及び/又は上限を規定する少なくとも2種以上
の閾値A1,A2を設けることとした。
【0044】以上、説明したように、上記電磁ポテンシ
ャルの特定伝播波形遠隔測定装置は、低周波域に感度を
有するアンテナ1と、アンテナ1の受信信号出力が入力
されると共に目的の波形を特定可能なように波形振幅の
上限及び/又は下限を規定する複数の振幅閾値ゲートA
1,A2が経時的に設定された振幅判別用閾値ゲート手
段4,5,6と、目的の波形又は該波形が閾値ゲート手
段を通過した旨(イベント)を検出し、又は選択して保
存する検出保存手段7とを具備する。この装置100
は、低周波受信機なのでコストは安く、応用は巨大物体
などの保安安全、地震の災害予知など広範囲にわたり、
本発明の効果は今後大きいものがある。
【0045】
【発明の効果】以上、本発明に係る電磁ポテンシャルの
特定伝播波形遠隔測定装置においては、複数の閾値を使
い分けることによって、目的とする特定波形、例えば単
一パルス波形のみに着目して、これを選択的に監視ない
し計測記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定対象物と測定装置との関係を説明するため
の説明図。
【図2】測定装置100のアンテナ信号出力波形を示す
グラフ。
【図3】測定装置100の好適な構成例を示すブロック
図。
【図4】測定装置100の好適な別の構成例を示すブロ
ック図。
【符号の説明】
1…アンテナ、2…増幅回路、3…全波整流回路、4…
ゲート、5…メモリー、6…タイマー、7…カウンタ
ー。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低周波域に感度を有するアンテナと、前
    記アンテナの受信信号出力が入力されると共に目的の波
    形を特定可能なように波形振幅の上限及び/又は下限を
    規定する複数の振幅閾値ゲートが経時的に設定された振
    幅判別用閾値ゲート手段と、目的の波形又は該波形が閾
    値ゲート手段を通過した旨を検出し、又は選択して保存
    する検出保存手段とを具備することを特徴とする電磁ポ
    テンシャルの特定伝播波形遠隔測定装置。
  2. 【請求項2】 前記閾値ゲート手段は振幅の下限を規定
    する第1ゲート及び振幅の上限を規定する第2ゲートの
    2段より成り、所定の特定遅延時間後の前記第2ゲート
    の閾値が前記第1ゲートのそれよりも低く設定されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の電磁ポテンシャル
    の特定伝播波形遠隔測定装置。
  3. 【請求項3】 前記アンテナはループコイルであり、そ
    の平面を水平に設置する場合を含むことを特徴とする請
    求項1に記載の電磁ポテンシャルの特定伝播波形遠隔測
    定装置。
  4. 【請求項4】 前記アンテナは、複数のアンテナの指向
    性を二次元又は三次元に組み合わせてなり、各々の前記
    複数のアンテナの出力を前記閾値ゲート手段に入力し、
    検出保存手段により前記閾値ゲート手段を通過したそれ
    ぞれを判別記録し、記録されたそれぞれの比較により電
    磁波の到来方向の情報を得るようになされたことを特徴
    とする請求項1に記載の電磁ポテンシャルの特定伝播波
    形遠隔測定装置。
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