JP2000126282A - 補助人工心臓及びその制御方法 - Google Patents

補助人工心臓及びその制御方法

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JP2000126282A
JP2000126282A JP10302864A JP30286498A JP2000126282A JP 2000126282 A JP2000126282 A JP 2000126282A JP 10302864 A JP10302864 A JP 10302864A JP 30286498 A JP30286498 A JP 30286498A JP 2000126282 A JP2000126282 A JP 2000126282A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補助人工心臓の装着時にもある一定数以上の
自己心の心拍数を維持して、心臓内に血栓や徐脈の発生
を防ぎ、左室心尖部に挿入した脱血カニューラの吸い付
き現象を防止する補助人工心臓及びその制御方法を提供
する。 【解決手段】 本発明の補助人工心臓は、心臓ペースメ
ーカ回路61を含み、心臓を電気的にペーシングしなが
ら血液循環を補助する。又、脱血カニューラの吸い付き
を検出し(62)、吸い付きを検出した場合に前記心臓
ペースメーカ回路61によるペーシングレートを上げる
よう制御する(63)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は補助人工心臓及びそ
の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】補助人工心臓システムにおいて血液循環
を行う場合、人工心臓ポンプにより、左房または左室よ
り脱血し、下行大動脈へ送血することによって、心臓自
体の循環の補助を行うのが一般的である。この際に、心
臓ペースメーカのセンシング機能及びデマンド機能を利
用して拍動型人工心臓ポンプの制御を行う技術が、実公
平3−049710、特公平6−14961等により提
案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、一般に生体
組織ではその機能が不要になる条件で機能的、形態的な
調整力の低下(down regulation)が起こり、筋組織で
は萎縮が発生する。そのため、補助人工心臓で補助循環
を長期にわたって行った場合に、心臓自体の拍動が徐脈
になる傾向にあることが知られている。
【0004】このように補助循環を行うことにより心拍
が徐脈になることは、心機能回復後に人工心臓ポンプを
離脱させようとする際に、治療以前には無かった徐脈と
いう新たな問題を生み出してしまう。また、人工心臓装
着中にも、徐脈になることによって心臓内の血流量が低
くなり、心臓内に血栓を生じやすくなる。そのため、体
内埋込型の補助人工心臓ポンプシステムの装着時にも、
ある一定周期以上の心拍が得られることが望ましい。さ
らに、左室の圧力低下により発生する左室心尖部に挿入
した脱血カニューラの吸い付き現象を防止するために、
左室拡張末期圧の過度の低下を防ぐことも望まれる。
【0005】本発明の目的は、体内埋込型の補助人工心
臓において、心臓ペーシング機能を利用して実際に心室
をペーシングすることにより、補助人工心臓の装着時に
もある一定数以上の自己心の心拍数を維持して、心臓内
に血栓や徐脈の発生を防ぎ、左室心尖部に挿入した脱血
カニューラの吸い付き現象を防止する補助人工心臓及び
その制御方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の補助人工心臓は、心臓ペースメーカ回路を
含み、心臓を電気的にペーシングしながら血液循環を補
助することを特徴とする。ここで、脱血カニューラの吸
い付きを検出する検出手段と、吸い付きを検出した場合
に前記心臓ペースメーカ回路によるペーシングレートを
上げるよう制御する制御手段を有する。また、前記補助
人工心臓が連続流型ポンプである。
【0007】又、本発明の補助人工心臓の制御方法は、
補助人工心臓に含まれる心臓ペースメーカ回路で心臓を
電気的にペーシングしながら、血液循環を補助すること
を特徴とする。ここで、脱血カニューラの吸い付きを検
出し、吸い付きを検出した場合に前記心臓ペースメーカ
回路によるペーシングレートを上げるよう制御する。
【0008】かかる構成により、心拍数をある一定数以
上に維持した状態で補助人工心臓を装着することが可能
となる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施の形態の心臓
ペーシング機能付き補助人工心臓の模式図、図2に概略
のブロック図を示す。
【0010】図1で、1は心臓、特に左室、8は下行大
動脈であり、これらは人体の一部である。その他の要素
から成る構成が、本実施の形態の心臓ペーシング機能付
き補助人工心臓である。
【0011】本実施の形態の心臓ペーシング機能付き補
助人工心臓は、次のように動作する。左室1から脱血カ
ニューラ2により吸い出された血液は、ポンプインレッ
ト3を通って人工心臓ポンプ4に入り、本例では連続流
型ポンプである人工心臓ポンプ4はポンプコントローラ
6の制御に従って血液を送血カニューラ5へ送り出す。
送り出された血液は下行大動脈8に送り込まれ、心臓1
のみによる下行大動脈8への血液の送出不足を補う。こ
の時に、本実施の形態では、ポンプコントローラ6内に
ペーシング回路61を有し、平常時は所定の周期、例え
ば60〜70bpm程度の患者に合わせた周期でペーシ
ングリード7からの刺激を発生して、心臓の心拍数を一
定数以上に維持する。しかし、ポンプコントローラ6が
左室内の圧力低下による脱血カニューラ2の吸い付きを
検出すると、ペーシング回路61による刺激の周期を上
げて、脱血カニューラの吸い付き現象を防止する。
【0012】図2で、ポンプコントローラ6の構成例を
示す。尚、図1と同じ機能部分は同じ参照番号が付与さ
れている。
【0013】ポンプコントローラ6は、指示された周期
等でペーシングリード7による刺激を行うペーシング回
路61と、指示された流量等で人工心臓ポンプ4のモー
タ駆動を行うモータ駆動回路64と、モータ電流等の状
態をセンシングし、信号処理(波形部分、FFT等)を
行う信号処理回路62と、信号処理回路62からの検出
情報に従って、ペーシング回路61及びモータ駆動回路
64を制御する制御回路63とを有する。
【0014】ポンプコントローラ6の上記制御回路63
は、例えば汎用のコンピュータ等からなるモニタ97を
含む外部装置9と接続されて、外部への報知あるいは外
部からのオペレータによる制御を可能とする。尚、モニ
タ97を含む外部装置9は、単に情報を報知する表示部
のみであってもよい。又、ポンプコントローラ6には、
ポンプコントローラ6及びポンプ4を動作させるための
電源回路10が接続される。この電源回路10は、本実
施の形態の心臓ペーシング機能付き補助人工心臓と共
に、人体に埋めこまれてもよい。
【0015】図3に、制御回路63とモニタコントロー
ラ9の更に詳細な構成例を示す。
【0016】図3で、制御回路63は1チップのマイク
ロコンピュータで作成でき、制御用のCPU631、プ
ログラム及びパラメータ格納用のROM632、補助記
憶用のRAM633、ペーシング回路61やモータ駆動
回路64や信号処理回路62とのインタフェースである
入出力インタフェース634、モニタコントローラ9と
のインタフェースである入出力インタフェース635を
有する。
【0017】RAM633は、ペーシング回路61のペ
ーシングレートの目標値を格納する領域6331と、モ
ータ駆動回路64のポンプ流量の目標値を格納する領域
6332と、信号処理回路62から得たモータ電流等の
検出データを格納する領域6333とを含む。尚、前述
のように、モニタコントローラ9からのペーシングレー
トやポンプ流量の設定をしない場合は、ペーシングレー
トやポンプ流量はROM632に格納すればよく、この
場合はRAMは必要なく検出データの格納やモニタへの
出力データの格納は、CPU631のレジスタで代用で
きる。心臓ペーシング機能付き補助人工心臓の埋めこみ
のためには、出来るだけ軽量・小型化が望まれる。
【0018】図3のモニタコントローラ9は、汎用のコ
ンピュータ等からなるモニタ97を含む外部装置9の場
合の構成例であり、CPU91と、ROM92と、RA
M93と、フロッピー等の外部記憶装置94と、入力手
段としてのキーボード96等と出力手段としてのモニタ
97等が接続される入出力インタフェース95と、制御
回路63とのインタフェースである入出力インタフェー
ス99とからなる。尚、モニタコントローラ9が単なる
モニタ機能でよければ、入出力インタフェース99とモ
ニタ97とがあればよい。
【0019】図4に、制御回路63の制御手順例のフロ
ーチャートを示す。
【0020】まず、ステップS41で、外部装置から基
準となるペーシングレートやポンプ流量の変更指示があ
ったか否かを判定する。あればステップS42で外部か
らのデータを受信しRAM633のデータを更新する。
初期には、ペーシングレートとして60〜70bpm程
度の周期が記憶されている。
【0021】外部装置からの指示がなければ、ステップ
S44に進んで検出データから脱血カニューラ2の吸い
付きが発生したか否かを判定し、吸い付きが発生してい
ればステップS45でペーシングレートを上限値まで上
げるように制御する。一方、吸い付きが発生していなけ
ればステップS46で基準値までペーシングレートをさ
げる。尚、ペーシングレートの変更は所定量だけ一気に
上下してもよいが、ステップS45及びS46で徐々に
上下するよう制御するのが望ましい。
【0022】ステップS43では、設定されたペーシン
グレートやポンプ流量で、ペーシング回路61やモータ
駆動回路64を制御する。以上の手順を繰り返す。尚、
ペーシングレートやポンプ流量の変更をしない場合は、
ステップS41及びS42は削除される。
【0023】図5は、モニタコントローラ9の制御手順
例を示すフローチャートである。
【0024】まず、ステップS51で制御回路63から
検出データを受信し、ステップS52で検出データを表
示する。ステップS53でオペレータによるペーシング
レートやポンプ流量の変更指示があったか否かが判定さ
れ、あればステップS54で変更データを制御回路63
に送信する。尚、ペーシングレートやポンプ流量が固定
であれば、ステップS53及びS54は削除される。
【0025】尚、本実施の形態では、制御回路63をプ
ログラム制御としたが、ハードウエア回路で実現するこ
とも考えられる。
【0026】以上説明したように、補助人工心臓のポン
プ体、もしくはコントローラに心臓ペーシング回路を設
置し、ペーシングリードを心房、もしくは心室に配置す
る。このペーシング回路を用いて心臓を電気的にペーシ
ングすることによりペーシングリードを配置した心房、
もしくは心室を拍動させる。これによって補助人工心臓
ポンプシステムを使用した際にペーシングレート以下に
は心拍数が低下しないので徐脈を防止することができ
る。また、ことによって脱血カニューラの吸い付きが検
知されたときはペーシングレートを上昇させることによ
り吸い付き状態からの回復をはかることができる。
【0027】
【発明の効果】本発明により、体内埋込型の補助人工心
臓において、心臓ペーシング機能を利用して実際に心室
をペーシングすることにより、補助人工心臓の装着時に
もある一定数以上の自己心の心拍数を維持して、心臓内
に血栓や徐脈の発生を防ぎ、左室心尖部に挿入した脱血
カニューラの吸い付き現象を防止することが可能とな
る。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の心臓ペーシング機能付き補助人
工心臓の模式図である。
【図2】本実施の形態の心臓ペーシング機能付き補助人
工心臓の概略ブロック図である。
【図3】本実施の形態の心臓ペーシング機能付き補助人
工心臓の制御回路の構成例を示す概略ブロック図であ
る。
【図4】本実施の形態の制御回路の動作手順例を示すフ
ローチャートである。
【図5】本実施の形態のモニタコントローラの動作手順
例を示すフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA04 BB10 CC09 DD10 DD21 EE01 FF04 HH03 HH13 HH15 HH21 JJ08 JJ09 JJ28 JJ30 KK01 KK23 KK25 KK27

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 心臓ペースメーカ回路を含み、心臓を電
    気的にペーシングしながら血液循環を補助することを特
    徴とする補助人工心臓。
  2. 【請求項2】 脱血カニューラの吸い付きを検出する検
    出手段と、吸い付きを検出した場合に前記心臓ペースメ
    ーカ回路によるペーシングレートを上げるよう制御する
    制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の補助
    人工心臓。
  3. 【請求項3】 前記補助人工心臓が連続流型ポンプであ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の補助人工心
    臓。
  4. 【請求項4】 補助人工心臓に含まれる心臓ペースメー
    カ回路で心臓を電気的にペーシングしながら、血液循環
    を補助することを特徴とする補助人工心臓の制御方法。
  5. 【請求項5】 脱血カニューラの吸い付きを検出し、吸
    い付きを検出した場合に前記心臓ペースメーカ回路によ
    るペーシングレートを上げるよう制御することを特徴と
    する請求項4記載の補助人工心臓の制御方法。
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